就活に正解はない。あるのは自分の「答え」だけ。自分にベストな答えを見つける就活情報サイト

【就活の業界研究】製薬業界の構造と主要製薬企業の概況をチェックしておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では製薬業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

製薬業界の7つのポイントを押さえよう

  • 製薬業界のビジネスモデルを理解しよう
  • 製薬企業の現状と課題・未来
  • 製薬企業にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 製薬企業に働く人のモチベ―ション、「やりがい」は何か
  • 製薬企業に向く人、向かない人はどういう人か
  • 製薬業界の構造
  • 主要製薬企業各社の概況

人々の命や健康を医薬品の研究、開発、製造、販売を通じて支えている製薬業界。そして薬学・理系の学生を中心に歴史的に非常に人気の高い製薬企業。

その性格から社会的な責任や影響も大きい存在です。

この記事では製薬業界の構造と大手製薬企業の概況をまとめました。自分自身が、製薬業界に自分の未来を託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

新型コロナウイルスが生活様式を一変させるような影響を与えたため、新薬やワクチンの開発に注目が集まっている業界です。製薬業界に就職を目指す皆さんは、深い業界研究を進めていきましょう。

製薬業界の構造

日本製薬工業協会の2023 DATA BOOKでは、2021年度のデータをまとめており、調査対象の製薬企業数は総数で302社:*にも及んでいます。

その内訳は、主に医療用医薬品を製造販売している企業は104社、主に一般用医薬品を製造販売している企業が94社、医療用・一般用医薬品以外の医薬品を製造・販売している企業は104社となっています。

  • *出所:厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」
  • 出典:日本製薬工業協会 DATA BOOK 2023

日本製薬工業協会のDATA BOOK 2023は就活生が製薬業界全体を理解できる非常に優れた資料です。

就活で製薬業界への志望を検討している方は、是非入手して業界研究を深めてください。Web公開されているのでダウンロードできます。

別のデータになりますが、厚生労働省が毎年発表している「医薬品・医療機器産業実態調査」によると、2021年度における国内の製薬企業数は330社でした。その内訳は内資系製薬企業が288社(87.3%)、外資系製薬企業が42社(12.7%)という割合です。

売上規模で言うと、医薬品売上が500億円以上の企業が48社(全体の15.0%)、100億~500億の企業が59社(18.5%)となっています。年間売上100億以下の企業は212社(全体の66.4%)でした。(医薬品売上高の記載のない11社除く集計)

就活でこの記事を読んでいる方は、大手試薬企業の名前を数社直に思い出せると思いますが、売り上げ規模が500憶以上の企業だけでも48社、100億以上まで広げれば107社もあり、意外と裾野の広い業界であることが理解できると思います。

また医薬品の上場企業の数は75社が該当し、東証プライム市場のみでも33社、スタンダード市場は8社、東証グロース市場には34社もの企業が上場しています。それ以外でも主な非上場企業、約37社が存在するため、大手有名製薬企業だけではなく、一度視野を広げて業界各社を調べて企業研究をする事をお勧めします。

製薬企業の分類は、ビジネスモデル記事でも解説しましたが以下を参考にしてください。

  • 広域創薬型:
    • 広い領域に渡る新薬の研究、開発、製造、販売を行っている企業
  • 領域特化型:
    • 特定の領域、狭い領域に特化して新薬の研究、開発、製造、販売を行っている企業
  • ジェネリック特化型:
    • 特許が切れた医薬品に特化して、研究、開発、製造、販売を行っている企業
  • ハイブリット型:
    • 新薬とジェネリックの両方の医薬品の研究、開発、製造、販売を行っている企業
  • OTCメーカー:
    • 処方箋の必要がない一般医薬品の研究、開発、製造、販売を行っている企業
  • 兼業メーカー:
    • 食品や化学品等、他分野のメーカーが医薬品の研究、開発、製造、販売を行っている場合、もしくは製薬メーカーが他の分野の製品の製造、販売を行っている場合
この記事では売上規模の大きい内資系・広域創薬型の製薬企業とジェネリック医薬品の大手企業の直近年度の有価証券報告書や中期経営計画からその概況を解説していきます。

自分は医薬品・製薬業界に向いているタイプか、適性を診断してみよう

自分の適性や性格が、医薬品・製薬業界の仕事に向いているのかどうか、気になりませんか?

そんな時、力になるのは本格的な適職診断ソフト、「Analyze U+」です。

「Analyze U+」は251問の質問に答える本格的な診断テストで、質問に答えていくと経済産業省が作った「社会人基礎力」を基に、25項目に分けてあなたの強みを偏差値的に解析してくれるものです。

本当のあなたの強みや向いている仕事を素早く「見える化」してくれます。

「AnalyzeU+」を利用するには、スカウト型就活サイト「OfferBox」への会員登録が必要です。もちろん全て無料で利用できます。

OfferBoxは、自分のプロフィールを登録しておくだけで、あなたに関心を持った企業から選考のオファーがもらえるサイトなので、就活で納得のいく結果が得られるかどうかに不安を抱いている人、自己分析がうまくいかない人や選考がうまくいかない人でも登録しておくのがおススメです。

手早く本格的で客観的な自己分析を済ませ、納得の結果を追求していきましょう。

今すぐ登録してみる(完全無料)

内資系大手、広域創薬型の製薬企業の概況

武田薬品工業株式会社

2023年3月期連結決算  (2022年度)

売上収益 (百万円) 4,027,478
税引前当期利益(百万円) 375,090
当期利益(百万円) 317,038
親会社の所有者に帰属する
当期利益(百万円)
317,017
当期包括利益(百万円) 911,574
従業員数(人) 49,095
連結子会社 180社
持分法適用関連会社 17社

武田薬品は国内首位の売上を誇る製薬会社です。

国際化が進んでおり、医療用医薬品の売上全体で、4兆275億円の内、日本国内は6,590億円であり12.7%に過ぎません。

残りの84.9%は米国、欧州及びカナダ、新興国であげているグローバル企業です。なかでも連結売上収益における米国の割合は既に約5割(2022年度実績では52.2%)となっています。

武田薬品グループの事業は「医薬品事業」単一のセグメントになっています。

グループの主要な事業は、医薬品の研究、開発、製造および販売であり、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)が主要ビジネスエリアとなっています。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期における武田薬品工業の連結業績は売上収益が、前年度から4,585億円増収(+12.8%)となり、4兆275億円*という結果でした。

前年度に売上収益に計上した日本の糖尿病治療剤ポートフォリオの帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円の減収影響がありましたが、為替相場が円安に推移したこと、および事業が好調に推移したことによる増収影響がそれを上回ったことによります。

利益面では、営業利益が年度から4297億円増益+6.4%)となり、4,925億円、当期利益は、前年度から869億円増益(+37.7%)の3,170億円という結果でした。

2023年3月期における地域別の売上収益の構成は以下のようになっています。

国・地域 売上収益(百万円) 2022年度地域別売上収益構成比
2021/4/1~2022/3/31 2022/4/1~2023/3/31
日本 658,983 512,043 12.7%
米国 1,714,421 2,103,772 52.2%
欧州およびカナダ 739,168 842,668 20.9%
アジア(日本除く) 196,964 225,007 5.6%
中南米 128,467 160,375 4.0%
ロシア/CIS 62,057 88,431 2.2%
その他 68,945 95,182 2.4%
合計 3,569,005 4,027,478 100.0%

武田薬品は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「希少疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の4つの重点疾患領域のビジネスにフォーカスするとともに「血漿分画製剤」及び「ワクチン」に研究開発分野を絞り込み、研究開発体制の変革に取り組んでいます。

また成長ドライバーを消化器系疾患、オンコロジー、ニ ューロサイエンス、新興国事業として、成長戦略を推進しています。

2019年度には、アイルランドの製薬会社であるシャイアーを6兆8000億の日本企業最大となる巨費を投じてM&Aを行いました。(2019年1月)

この買収により武田は重点領域の消化器や中枢神経系を強化するとともに、希少疾患の製品とパイプラインを獲得し2021年12月期では、世界第11位の規模を誇るグローバル企業となっています。

2023年3月期の連結決算における、疾患領域及び製品別の売り上げ構成は以下のようになっています

疾患領域別および製品別の売上収益

疾患領域 売上収益(百万円) 2022度領域別売上収益構成比
2021/4/1~2022/3/31 2022/4/1~2023/3/31
消化器系疾患 875,685 1,094,541 27.2%
希少疾患(合計) 611,196 723,442 18.0%
血漿分画製剤(免疫疾患)合計 506,951 678,443 16.8%
オンコロジー 468,730 438,742 10.9%
ニューロサイエンス 482,294 637,711 15.8%
その他 624,150 454,598 11.3%
合計 3,569,006 4,027,478 100.0%

主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))の売上収益は、前年度から6,280億円増収(+21.3%)の3兆5,729億円でした。

円安による増収影響、および各疾患領域における好調な業績があったことにより、オンコロジーを除き、それぞれ全社の売上収益の増収に貢献しています。

オンコロジーにおいては、円安による増収影響により一部相殺したものの、一部の製品が後発品の参入や競争の激化による影響を受けたことにより前年度比で299.9億円の減収となっています。

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応

製薬業界を目指す就活生なら誰もが気になる、新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンに関しては、武田薬品は日本におけるCOVID-19ワクチンの供給に係る以下の2つの提携をしています。

2021年5月には武田薬品工業が日本におけるモデルナ社製ワクチンである「TAK-919」の安全性および免疫原性を評価する国内臨床試験の良好な結果を受けて、厚生労働省より製造販売承認を取得し、 日本における供給を開始し2022年用の追加分を含めて供給を行ってきました。

その後、2022年5月、武田薬品工業およびModerna社は、2022年8月1日付で同ワクチンの製造販売承認を武田薬品工業からモデルナ・ジャパンに継承することを発表し、現在

武田薬品工業は、COVID-19に対するmRNAワクチンである「スパイクバックス筋注」(オミクロン株対応の二価ワクチン)の流通を引き続き担うカタチとなっています。

2022年度は、Novavax社からライセンス供与と技術移転を受けた組換えスパイクタンパクを抗原としたCOVID-19ワクチン「ヌバキソビッド筋注」を武田薬品工業の光工場において製造し、日本国内において供給を行なっています。

またNovavax社と協力しオミクロン株を含む変異株に対応したワクチンの開発を進めています。

就活における企業理解度に直接係るニュースなので、就活生は今後の動向をモニターしていきましょう。

一般用医薬品への対応

尚、就活生の皆さんが知っておくべき情報として、武田薬品工業はOTC(一般用医薬品)子会社の武田コンシューマーヘルスケアを米投資ファンド・ブラックストーンに売却しています。

売却は2021年3月末に完了し新会社はアリナミン製薬としてアリナミンブランドの製品や、ベンザブロック、マイティアやボラギノールをはじめとするOTC医薬品のマーケティングを移管しています。

売却前の武田コンシューマーヘルスケアの2020年3月期の売上高は609億円で、武田薬品の連結売上高に占める割合は1.9%という状況でした。

近年は減収が続いており、売上収益の比率も年々低下していました。経営的に重点領域として投資をしていくのが難しいため、武田コンシューマーヘルスケアの成長のためにも新たなパートナーに売却という選択となりました。

真のグローバル製薬企業への加速

2022年4月には、業務執行の創造性と革新性を確保し、重点戦略分野へのさらなる注力により、将来にわたって競争力を維持するため、タケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)の体制を戦略的に変更しています。

TETは、世代、国籍、性的指向、性別、の側面において多様性を有するメンバーにより構成されるチームです。

グローバル ポートフォリオ ディビジョンは、製品のライフサイクルマネジメント、地理的拡大、市場浸透を通じてグローバル製品を成長させるとともに、後期開発パイプラインを引き続き進捗させるための支援を行い、製品上市や中国における事業拡大を推進するなど、当社の将来の成功に向けて機能を結集して新設されました。

TETでは、データ、デジタルおよびテクノロジーとサステナビリティにおいて注力する分野の体制変更も実施しています。

武田薬品工業は、最も信頼される、データ主導型で成果に重きを置いたデジタルバイオ医薬品企業に変革することを目指して事業を展開しています。

就活で武田薬品工業を志望する方は、事業の内容や直近のトピックスを深く理解するのは当然として、グローバル製薬企業としてのビジョンや中長期の戦略も理解して、自分の就活の軸や志望動機作成に役立ててください。

アステラス製薬株式会社

2023年3月期連結決算  (2022年度)

売上収益 (百万円) 1,518,619
税引前利益(百万円) 132,361
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 98,714
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) 205,277
従業員数(人) 14,484
連結子会社 77社
持分法適用関連会社 3社

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期(2022年度)における、アステラス製薬の連結業績は、売上収益が1兆5,187億円 (前連結会計年度比17.2%増) という結果でした。

利益の概要は以下の通りです。

  • 営業利益:営業利益は1,330億29百万円(前会計年度比、-226億57百万円 14.6%の減益)
  • 税引前利益:税引前利益は1,323億61百万円(前会計年度比、-245億25百万円 15.6%の減益)
  • 当期利益:当期利益は987億14百万円(前会計年度比、-253億72百万円 20.4%の減益)

2023年3月期における地域別の売上収益の構成は以下のようになっています。

地域別売上収益計算 売上収益高(百万円) 売上収益構成比
日本 284,844 18.8%
米国 658,247 43.3%
その他 575,528 37.9%
合計 1,518,619 100.0%

その他の内訳は、エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、グレーターチャイナ:中国、香港、台湾、インターナショナル:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、オーストラリア、輸出売上等

アステラス製薬の事業戦略

アステラス製薬では、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」ことをVISIONに掲げ、最先端の科学を追求し、患者さんに「価値」をもたらす医療ソリューションの創出を継続的に目指しています。

新たな経営計画である「経営計画2021」は、2025年度までを期間設定しており、以下の4つの戦略目標と、それを推進する企業風土を醸成するための “道しるべ”となる3つの組織健全性目標、それらが全て達成された際に到達できると考える3つの成果目標を設定して、事業を展開しています。

  • 患者さんのより良いアウトカムの実現
    • アステラス製品に対する患者さんの持続的なアクセス
    • 患者さんがアステラスの製品から享受するアウトカム、の最大化に取り組む
  • 科学の進歩を確かな「価値」へ
    • 研究開発戦略上のPrimary Focusに優先的に経営資源を投下し、パイプライン価値を高める
      • Primary Focus:遺伝子治療、がん免疫、再生と視力の維持・回復、ミトコンドリア、標的タンパク質分解誘導
  • Rx+ビジネスの進展
    • Rx+プログラムの事業化に、より一層注力し、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会の実現」を目指す
  • 持続可能性(サステナビリティ)向上の取り組みを強化
    • 社会・環境に対する様々な活動を推進し、活動の基盤となるガバナンスの強化に努める
    • 社会に良い影響を与える活動によって得られたステークホルダーからの信頼による、アステラスのサステナビリティの向上

3つの組織健全性目標:

  • 目標1:果敢なチャレンジで大きな成果を追求
  • 目標2:人材とリーダーシップの活躍
  • 目標3:One Astellasで高みを目指す

3つの成果目標 (2025年時点での達成を見込んだ数値成果目標)

  • 売上収益:XTANDI及び重点戦略製品の売上は2025年度に1.2兆円以上
  • パイプライン価値:Focus Areaプロジェクトからの売上は2030年度に5,000億円以上
  • コア営業利益率:2025年度に30%以上

これら3つの成果目標を達成することで、2025年度において株式時価総額7兆円以上と評価されるような企業となることを目指す

上記は中期経営計画の骨子の一部に過ぎません。

就活でアステラス製薬を目指す皆さんは、事業の内容を深く理解するとともに、企業のビジョンや成長戦略を自分事化して、自身の就活の軸や志望動機に反映できるように企業研究を深めてください。

第一三共株式会社

2023年3月期連結決算  (2022年度)

売上収益 (百万円) 1,278,478
税引前利益(百万円) 126,854
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 109,188
親会社の所有者に帰属する包括利益(百万円) 149,038
従業員数(人) 17,435
連結子会社 49 社
関連会社 2社

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

第一三共グループの2023年3月期における連結業績は、売上収益が前連結会計年度比2,336億円(22.4%)増収となり、1兆2,785億円という結果でした。

この増収は、グローバル主力品エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201)、リクシアナ(一般名:エドキサバン)等の伸長及び円安の進行による為替の増収影響等が寄与したものです。(売上収益に係る為替の増収影響は939億円)

利益面の概要は以下の通りです。

  • コア営業利益:前連結会計年度比(以下、前年度比)320億円(35.3%)増益の1,226億円
  • 営業利益:前年度比476億円(65.1%)増益の1,206億円
  • 税引前利益: 前年度比533億円(72.6%)増益の1,269億円
  • 親会社の所有者に帰属する当期利益:前年度比422億円(63.0%)増益の1,092億円

2023年3月期(2022年度)は総じて増収・増益を達成した年度となっています。

2023年3月期における地域別の売上構成は以下の通りです。

地域別売上収益計算 売上収益(百万円) 売上収益構成比
日本 533,508 41.7%
北米 396,579 31.0%
欧州 204,657 16.0%
その他 143,733 11.2%
合計 1,278,478 100.0%

また、医療用医薬品以外にヘルスケア事業も展開しており、その売上げ構成は以下の通りです。

製品・サービス 売上収益(百万円) 売上収益構成比
医療用医薬品 1,115,232 87.2%
ヘルスケア 70,242 5.5%
技術料収入 64,564 5.1%
その他 29,438 2.3%
合計 1,278,478 100.1%

第一三共の事業戦略

第一三共は、ESG経営のもと、新たに「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」となることを2030年ビジョンとして掲げています。

パーパス(存在意義)である「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」の実現に向けて、第一三共グループに期待される社会課題の解決(革新的医薬品の創出、SDGsへの取り組みなど)を目指し、強みであるサイエンス&テクノロジーに基づき、イノベーティブなソリューション提供に挑戦するとしています。

具体的に現在は第5期中期経営計画(2021年度-2025年度)を基に事業を展開しています。

2025年ビジョンとして「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」となることを掲げ、2030年ビジョン達成に向けた成長ステージに移行することを目指した計画という位置づけです。

具体的には、2025年までの中期計画では、以下の4を戦略の柱としています。

  1. 3ADC*最大化の実現
  2. 既存事業・製品の利益成長
  3. 更なる成長の柱の見極めと構築
  4. ステークホルダーとの価値共創

*ADCとは、Antibody Drug Conjugateの略、抗体薬物複合体。抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬品で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤のことです。

第一三共では、第5期中期経営計画において、エンハーツ、Dato-DXd、HER3-DXdの3つのADCの最大化の実現を最重要課題として設定しています。

エンハーツ、Dato-DXdについてはアストラゼネカとの戦略的提携を活用、またHER3-DXdについては自社開発による最速での上市を目指しています。

4つの戦略の柱の実行を支える基盤を強化するため、DX推進によるデータ駆動型経営を実現するとともに、先進デジタル技術による変革や新たなグローバルマネジメント体制により迅速な意思決定を実現していく方針です。

また2025年度の定量目標として、売上収益1兆6,000億円、がん領域売上収益6,000億円以上等の数値目標を掲げて事業を展開しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応

新型コロナウイルスに関しては、第一三共は、新型コロナウイルス感染症の予防を目指しmRNAワクチンの開発を最優先プロジェクトの1つに位置づけています。

アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの受託製造も担い、国産の新型コロナウイルスワクチンの早期供給開始にも注力してきました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して第一三共が開発したmRNAワクチンである「ダイチロナ」(開発番号:DS-5670)については、厚生労働省は2023年8月2日に、追加接種用のCOVID-19ワクチンとしてダイチロナを製造販売承認したことにより、国産第一号のCOVID-19ワクチンとなりましが、「ダイチロナ」は従来型ウイルスに対応した1価ワクチンのため出荷はせず、変異型対応ワクチンの開発を進める方針です。

就活生の皆さんには、ロキソニンや、ルル、マキロン等のヘルスケア製品でなじみがあると思いますが、就活で第一三共を志望する皆さんは、事業の全体像や重点領域を深く理解するとともに、中長期のビジョンと成長戦略を頭に入れて就活に臨んで下さい。

大塚ホールディングス株式会社

2022年12月期連結決算 (2022年度)

売上収益 (百万円) 1,737,998
税引前益(百万円) 172,954
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 134,019
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) 268,095
従業員数(人) 33,482
外、平均臨時雇用者数 5,386
子会社 167社
関連会社 28社

大塚ホールディングスの医療関連事業は、国内においては、大塚製薬㈱及び大鵬薬品工業㈱他が、海外においては大塚アメリカファーマシューティカルInc.、大鵬オンコロジー Inc.及び大塚ファーマシューティカルヨーロッパ Ltd.他が医療用医薬品の販売を担っています。

精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域として、また循環器・腎領域にも研究開発を進めています。その他領域(皮膚や泌尿器領域)も加えて日本、米国、欧州、アジアにて積極的に事業を展開しています。

また、ポカリスエットやオロナミンC、SOYJOYやカロリーメイト、チオビタドリンクやOS-1、サプリメントのネイチャーメイド、スキンケア商品のインナーシグナルでおなじみのニュートラシューティカルズ関連事業や消費者関連事業(クリスタルカイザー、ジャワティストレート、マッチ、ボンカレー等)を展開しています。消費者関連事業は連結子会社の大塚食品が担っています。

その他の事業は商品の保管、保管場所の提供、化学薬品及び液晶評価機器・分光分析機器他を生産及び販売が主な事業です。

2022年12月期(2022年度)連結業績の概要

2022年12月期における大塚ホールディングスの連結業績は、売上収益が1,737,998百万円(前期比16.0%増)と増収となっています。

2022年度は、すべての事業において増収しましたが、以下の要因が特に増収に寄与しています。

  • 医療関連事業において、持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」のグローバル4製品、臨床栄養や抗悪性腫瘍剤「INQOVI」の伸長が業績を牽引
  • ニュートラシューティカルズ関連事業において、「ポカリスエット」の日本の回復及び海外の大幅な伸長、また健康の自己管理意識の向上とともに、「ネイチャーメイド」が伸長し、さらに、その他の事業の機能化学品及びファインケミカル分野が好調に推移

利益面では、営業利益が150,323百万円(同2.7%減)、当期利益は137,419百万円(同6.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は134,019百万円(同6.8%増)という結果でした。

営業利益の減益の主な要因は、バダデュスタットに係る無形資産等の減損損失として当連結会計年度で合計41,521百万円を計上したことが影響した結果です。

2022年12月期における、事業セグメント別の連結業績概要は以下の通りです。

2022年12月期 事業セグメント別業績概要:

セグメント名 外部顧客売上収益(百万円) 売上収益構成比 セグメント利益(百万円) 利益構成比
医療関連事業 1,137,857 65.5% 123,145 62.1%
ニュートラシューティカルズ関連事業 437,014 25.1% 56,276 28.4%
消費者関連事業 35,854 2.1% 6,930 3.5%
その他の事業 127,271 7.3% 11,916 6.0%
合計 1,737,998 100.0% 198,268 100.0%
調整額* -47,945
連結合計 1,737,998 150,323

*セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去、全社費用、その他収益の合計

  • 医療関連事業:
    • 売上収益は1,137,857百万円(前期比16.4%増)、事業利益は151,875百万円(同8.5%増)
  • ニュートラシューティカルズ関連事業:
    • 売上収益は437,047百万円(前期比16.0%増)、事業利益は54,195百万円(同16.4%増)
  • 消費者関連事業:
    • 売上収益は35,880百万円(前期比12.4%増)、事業利益は持分法投資利益の増加等により7,135百万円(同34.0%増)
  • その他の事業:
    • 売上収益は169,227百万円(前期比12.8%増)、事業利益は9,047百万円(同16.0%減)

大塚ホールディングスの事業戦略

大塚ホールディングスは、Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道(Commitment)」、「実証(Actualization)」、「創造性(Creativity)」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造している企業です。

その目指す姿を、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」と定義し、医療関連事業では、顕在化しているが満たされない医療ニーズにアプローチし、ニュートラシューティカルズ関連事業では消費者が気づいていないニーズを開拓することを柱にして事業を行っています。

現在は、第3次中期経営計画(2019年度~2023年度)-を基に具体的な取り組みを行っています。

第3次中期経営計画は、「独自のトータルヘルスケア企業として世界に躍進~成長の5年間~」と位置づけ、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業として、既存事業価値の最大化と新たな価値創造に注力しています。

具体的には、年平均成長率10%以上の事業利益成長を掲げ、既存事業価値の最大化と新たな価値創造による事業戦略を展開、主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速させ、更に次世代の事業・製品への取り組みにも積極的に取り組んでいます。

事業戦略:既存事業価値の最大化と新たな価値創造

  1. 主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速
    • 医療グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)、
    • ニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)、
    • ニュートラシューティカルズ育成3ブランド(デイヤフーズ社ブランド、「エクエル」「ボディメンテ」)

上記を成長ドライバーと位置付け、戦略的な取り組みを強化

  1. 次世代の事業・製品への取り組み
  • 医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業における持続的成長を牽引する新製品群の上市と育成
    • 医療関連事業:
      • “大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出
    • ニュートラシューティカルズ関連事業:
      • 環境変化を見据えた新しいコンセプトの創出、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦による、高利益率体制の継続

大塚ホールディングス傘下のそれぞれの事業会社への就活を考える皆さんは、それぞれの企業の企業研究を深めるのは当然として、グループ全体のビジョン、理念や価値観、成長戦略を十分理解し、自分就活の軸や志望動機作成に役立ててください。

エーザイ株式会社

2023年3月期連結決算  (2022年度)

売上収益(百万円) 744,402
営業利益(百万円) 40,040
当期利益(百万円) 56,836
親会社の所有者に帰属する
当期利益(百万円)
55,432
当期包括利益(百万円) 96,893
従業員数(人) 11,076
連結子会社 47社
持分法適用関連会社 1社

エーザイグループの医薬品事業は、医療用医薬品、一般用医薬品等の研究開発・製造・販売で構成されています。

日本(医療用医薬品、一般用医薬品等)、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、香港、インド、アセアン、中南米等)、一般用薬品(日本)の6つの地域別事業セグメントで事業を展開しています。

その他事業は、ライセンス、医薬品原料、業務サービスで構成しています。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期(2022年度)におけるエーザイグループの連結業績は、売上収益が前年比1.6% 減の7,444億円となっています。

利益面では、営業利益が400億円(前年比25.5%減)、当期利益は568億円(前年比24.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、554億円(前年比 15.6%増)という結果でした。

2023年3月期における、セグメント別の業績概要は以下の通りです。

事業 売上収益 売上収益構成比 セグメント利益 利益構成比
医薬品事業 (単位:百万円)
日本 215,422 28.9% 67,775 18.1%
アメリカス 212,742 28.6% 133,420 35.7%
中国 110,768 14.9% 55,623 14.9%
EMEA 72,159 9.7% 41,553 11.1%
アジア・ラテンアメリカ 49,839 6.7% 22,119 5.9%
一般用医薬品等 23,505 3.2% 5,106 1.4%
報告セグメント計 684,434 91.9% 325,596 87.0%
その他の事業* 59969 8.1% 48,484 13.0%
合計 744,402 100.0% 374,079 100.0%

*その他事業は、親会社のライセンス収入及び医薬品原料などに係る事業

セグメント別の業績概要は以下の通りです。

  • 日本医薬品事業:
    • 売上収益は2,154億円(前期比100.6%)、セグメント利益は678億円(同111.1%)
  • アメリカス医薬品事業:
    • 売上収益は2,127億円(前期比129.6%)、セグメント利益は1,334億円(同146.3%)
  • 中国医薬品事業:
    • 売上収益は1,108億円(前期比106.7%)、セグメント利益は556億円(同106.1%)
  • EMEA医薬品事業:
    • 売上収益は722億円(前期比121.6%)、セグメント利益は416億円(同137.9%)
  • アジア・ラテンアメリカ医薬品事業:
    • 売上収益は498億円(前期比102.5%)、セグメント利益は221億円(同108.4%)
  • 一般用医薬品等事業:
    • 売上収益は235億円(前期比98.6%)、セグメント利益は51億円(同108.6%)

エーザイの事業戦略

エーザイは、「患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献すること」を企業理念として、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることを目指しています。

ヒューマン・ヘルスケアはエーザイのテレビコマーシャルの最後にナレーションで入るため記憶に残っている方も多いでしょう。

中期経営計画である「EWAY 2025」では、以下の3つを戦略意志として、その実現を目指すことを掲げてきました

  • 「病気になりたくない、罹っていれば早く知りたい、そして治りたい」に応える
  • 「住み慣れた場所、地域やコミュニティで自分の病気を管理し、予後や老後を安心して過ごしたい」に応える
  • 「hhc(ヒューマン・ヘルスケア)ニーズにもとづく立地(機会)が見出せ、それを満たすイノベーションが可能な事業分野」に集中する

エーザイでは現在、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」を基に事業を展開しています。

2021年度からの5年間を「EWAY Future」、2026年度以降を「EWAY Beyond」とし、視点を患者様から生活者一人ひとりであるThe Peopleに転換、「The Peopleの“生ききる”を支える」をビジョンとして、エーザイグループが最も強みを持つニューロロジー領域とオンコロジー領域に立脚し、サイエンスに基づくソリューション創出を推進する方針を打ち出しています。

具体的にはニューロロジー(神経)領域およびオンコロジー(がん)領域を戦略的重点領域と位置づけ、戦略的パートナーシップおよび新ビジネスモデルによる新薬創出の加速とその価値最大化を目指しています。

エーザイではニューロジー領域で最も注力しているアルツハイマー病/認知症領域や、オンコロジー領域では自社創製の抗がん剤「レンビマ」、「ハラヴェン」の価値最大化に向けた取り組みを行っています。

「EWAY Future & Beyond」では、長年実践してきたhhc理念に基づく、顧客の憂慮を知り、取り除くための戦略を立案し、解決するというhhcプロセスを磨き、一人ひとりの人生に寄り添っていくことで、健康な状態から最期の時まで、その人らしく生ききることを叶え、支えるhhc理念+エコシステム (hhceco)へと進化すること目指しています。

hhcecoモデルにおいては、研究開発がデータのインプットに基づいて価値を創造する主要な役割を果たします。

疾患を連続体( Disease Continuum)として捉え、ヒューマンバイオロジーエビデンスに基づく創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)体制のもと、医薬品やデジタルメディスン、疾患の予測モデルなどを創出し、日常領域から医療領域までのすべてのステージの人々に対するソリューションとして提供していくことをめざしています。

エーザイグループは、当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能な5つの創薬領域(ドメイン)にフォーカスし、創薬仮説の構築・検証から承認取得までの研究を推進しています。

具体的には、「微小環境」、「タンパク質恒常性破綻」、「細胞系譜や細胞分化」、「細胞老化を伴う炎症、低酸素、酸化ストレス」、「顧みられない熱帯病やパンデミックの制圧」の創薬領域で構成され、アルツハイマー病(AD)に代表される神経変性疾患と難治性がんの分野でフロントランナーになるとともに、グローバルヘルスにおいても継続的な貢献を果たしていくことを目指す方針です。

またhhcecoを実現する上で、幹となるのがEisai Universal Platform(EUP)というプラットフォームを構築するというユニークな戦略を発表しています。

EUPは、グループが強みとして有するアセットからなるプラットフォームであり、R&D&I(リサーチ&ディベロップメント&インキュベーション)とSP&D(ソリューションパッケージ&デリバリー)の二つのレイヤーによって成り立っています。

様々な産業、地方自治体などとのエコシステムの構築、様々な外部パートナーの技術とエーザイの持つ技術(R&D)とのシンクロにより、医薬品をはじめとするソリューションをパッケージ化し、そのパッケージをリアルあるいはバーチャルに提供する構想です。

また日常領域では、健康状態の維持・支援、疾患啓発と予防・検査・病院検索、医療領域では正確な診断、治療(薬物・非薬物)の効果確認、QOL(quality of life)の向上に寄与する施策などのソリューションが想定しています。

これらの活動によって、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現することを目指す方針です。

これらの新しい戦略はエーザイならではのものです。

エーザイを就活の対象に考える皆さんは、ぜひ新たな中期経営計画の内容とエーザイのユニークネスを理解して、自身の就活に役立ててください。

ジェネリック医薬品企業の概況

サワイグループホールディングス株式会社

2023年3月期連結決算  (2022年度)

売上高 (百万円) 200,344
税引前益・損失(百万円) 16,789
当期利益・損失(百万円) 12,836
親会社の所有者に帰属する
当期利益・損失(百万円)
12,667
親会社の所有者に帰属する当期包括利益・損失(百万円) 17,125
従業員数(人) 3,393
外、平均臨時雇用者数 346
連結子会社 7社

サワイグループホールディングスは、沢井製薬が事業形態を持株会社制に移行したことにより設立された企業です。

サワイグループホールディングスグループは、主としてジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本及び米国で展開しています。

「なによりも健やかな暮らしのために」の企業理念の下で、ジェネリック医薬品事業では、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の約900品目を提供しています。

事業セグメントは、日本セグメントと米国セグメントの2つに分かれています。

日本セグメントでは、主に沢井製薬が製造した医薬品を国内の販売会社、卸売店及び他の医薬品メーカーに販売するほか、医療機関にも直接販売を行っています。その他、メディサ新薬(株)、化研生薬(株)、トラストファーマテック(株)によって事業を展開しています。

米国セグメントではSAWAI AMEICA HOLDINGS INC.及びSAWAI AMERICA, LLCを米国持株会社として米国の子会社管理統括業務を行っています。またUpsher-Smith Laboratories, LLCは製造した医薬品を米国の卸売店等に販売し、沢井製薬と協働して研究開発を行う体制です。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期における沢井製薬グループの連結業績は、売上収益が200,344百万円(前期比3.4%増)となり、前会計年度より若干の増収という結果でした。

利益面では、営業利益16,984百万円(前期は35,888百万円の営業損失)、税引前当期利益16,789百万円(前期は36,214百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益12,667百万円(前期は28,269百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となり、前期の赤字決算から黒字回復を達成しています。

2023年3月期における事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。

セグメント名 外部顧客売上収益(百万円) 売上収益構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
日本セグメント 163,702 81.7% 16,054 94.5%
米国セグメント 36,642 18.3% 930 5.5%
合計 200,344 100.0% 16,984 100.0%
連結合計 200,344 100.0% 16,984 100.0%

中長期の事業計画

サワイグループホールディンスでは、2030年度(2031年3月期)に向けた長期ビジョン及びそのファーストステップとして2023年度(2024年3月期)を最終年度とする3か年の中期経営計画を策定し、事業を展開しています。

中長期の事業計画概要は以下の通りです。

長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」

1.2030年度に目標とする企業グループイメージ

  • 創りたい世界像:
    • より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界
  • ありたい姿:
    • 個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける、存在感のある会社

2.財務目標

  • 売上収益 4,000億円 ROE 10%以上

中期経営計画「START 2024」

  1. 重点戦略
    1. 国内ジェネリック市場におけるシェア拡大
      • 新製品の売上増加
      • 安定供給力の強化
    2. 米国事業における将来の成長に向けた事業投資
    3. 新たな成長分野の開拓
      • デジタル・医療機器事業
      • オーファン医薬品事業
      • 健康食品事業
  1. 社会課題解決に向けた取り組み
    • 1.持続可能な社会保障制度と医療アクセス向上への貢献
      • ジェネリック医薬品による医療費節減効果として、日米ジェネリック事業の売上全体の約2倍を節減
    • 2.新規事業による健康寿命延伸への貢献
      • 未病・予防を含む、より広いヘルスケア領域に事業拡大
  1. 資本政策
    • 1.成長に向けた投資を積極的かつ効果的に実施
      • 研究開発・製品等買収約750億円、設備投資約700億円、新規事業(投資枠)300億円
    • 2.配当性向30%をめどに安定的かつ継続的に配当を実施
      • 3年間での配当総額約170億円(年間130円/株)以上

国内においてはジェネリック医薬品の需要増が確実なため、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値高め、競争に勝ち、持続的に成長していく戦略です。

そのために以下の7点を優先課題として事業を展開しています。

  1. 高付加価値ジェネリック医薬品の、いち早い開発と確実な上市
  2. 安定供給の維持・確保
  3. 信頼性の向上
  4. 情報提供の充実
  5. マーケティング機能の充実
  6. 企業体質・経営管理の強化
  7. 新規事業基盤の構築・強化

日本の医療サービスにおいて、ジェネリック医薬品担う役割は非常に重要であり、その重要性は増々高まっています。

就活でジェネリック医薬メーカーを志望する方は、業界・企業の研究を深めて、企業の社会的な存在意義も含めて自分自身のビジョンを語れるようにしていきましょう。

東和薬品株式会社

2023年3月期連結決算  (2022年度)

売上高 (百万円) 208,859
経常利益(百万円) 5,141
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 2,201
包括利益(百万円) 7,825
従業員数(人) 4,298
外、平均臨時雇用者数 837
連結子会社 12社
関係会社 1社

東和薬品およびグループ企業は、主要な事業として医療用医薬品の製造販売を展開しています。

グループの医薬品事業の主な扱い品目はジェネリック医薬品(後発医薬品)であり、新薬(先発医薬品)の有効性と安全性が一定期間にわたって確認された後に上市される、有効成分が同一でかつ効能・効果、用法・用量が同等の医薬品です。

事業セグメントは、国内セグメントと海外セグメントに分かれています。

国内セグメント:

  • 東和薬品が製造した医薬品を当社の営業所を通じて直接医療機関へ販売するほか、代理店、医薬品卸及び他の医薬品メーカーへも販売
  • ジェイドルフ製薬株式会社は、東和薬品及び他の医薬品メーカーとの間で製品等の売買及び製造を受託
  • 大地化成株式会社は、東和薬品より原薬等の研究及び製造を受託
  • グリーンカプス製薬株式会社は、東和薬品よりソフトカプセルの製造を受託
  • 三生医薬株式会社は、健康食品・医薬品等の企画・開発・受託製造業等を展開

海外セグメント:

  • Towa Pharma International Holdings, S.L.は、欧米でのジェネリック医薬品事業を集約する持株会社であり、同社のグループ会社は欧州に研究開発、製造拠点を有し、ジェネリック医薬品販売事業及び受託研究開発・製造事業を展開
  • 東和薬品は同社のグループ会社に研究開発を委託

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期における東和薬品の連結業績は、売上高が208,859百万円、営業利益5,514百万円、経常利益5,141百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,201百万円という結果でした。

セグメント別の業績概要は以下の通りです。

地域名 売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失(百万円) 利益構成比
日本 155,538 74.4% 10,931 102.6%
海外 53,487 25.6% -277 -2.6%
合計 209,025 100.0% 10,653 100.0%
調整額 -166 -5,139*
連結合計 208,859 5,514

*セグメント利益又は損失(-)の調整額-5,139百万円は、のれん償却額-5,148百万円、セグメント間取引消去9百万円

東和薬品の事業戦略

ジェネリック医薬品のリーディング企業の一角を占める東和薬品工業は、ジェネリック医薬品の更なる普及と自社のシェア拡大のために、以下の5点を基本方針として事業を展開しています。

基本方針1 :コア事業としてのジェネリック医薬品事業の進化

  • ジェネリック医薬品への信頼を取り戻すための、品質確保・安定確保の徹底と適切な情報発信
  • 総合ジェネリック医薬品メーカーとして、より信頼され、必要とされる存在となる」
  • 安定供給体制の向上のための「原薬調達」、「生産能力向上、「販売体制の最適化」を継続
  • 品質保証体制の強化・幅広い品揃え・製品総合力1の製品づくりに取り組む
  • 医薬品における品質や安定供給に関する問題が起こる中で、ジェネリック医薬品メーカーとしての安定供給責任を果たす

基本方針2 :海外市場での拡大と成長

  • 欧州・米国での新製品投入を通じた事業の持続的成長
  • 海外の顕在的及び潜在的ニーズにも応える東和品質の製品開発とその展開
  • 未進出地域への事業拡大に向けた市場探索等に取り組む
  • Towa HDを中心として海外市場における国や地域を拡大させつつ、事業規模を成長させる
  • 日米欧3極から世界中の患者に高品質で付加価値のあるジェネリック医薬品を提供できるグローバル事業基盤を確立

基本方針3 :新たな健康関連事業への展開

  • 「人々の健康に貢献する」という理念に沿って、新たな技術の獲得及びまったく新しい知見や技術との融合を図りつつ、新しい医療体制に対応した健康に関連する新規事業の創出に取り組む

基本方針4 :技術イノベーションと製品価値の創出

  • 「原薬技術」「製剤化技術」「生産技術」における技術イノベーションの創出に継続して取り組む
  • 既存薬の新たな薬効を発見し、別の治療薬として開発する「ドラッグ・リポジショニング」等のように新たな製品価値の創出にも取り組む

基本方針5 :働きがいのある環境づくりと人財育成

  • 個人の成長やキャリアの充実により、社員一人ひとりにとって、働きがいのある会社であり続けることに取り組み、製品づくりへのこだわりや思いが社員に伝承されることで、東和薬品らしさが存続することを目指す

上記は骨子の一部ですが、国内ではジェネリック医薬品の品質不正問題によって、供給不足が続いており、問題となっている中、政府は医療費の抑制のために処方される医薬品のジェネリック比率を現状の約8割(令和4年9月診療分では全国平均79.94%)から更に引き上げ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする新たな目標を定めており、ジェネリック医薬品メーカーの社会的な重要度が増しているとも言えます。

東和薬品の様なジェネリック大手の企業が果たす社会的な役割は大きいため、医薬品業界に興味のある就活生は、ジェネリック医薬品メーカーも含めて、業界・企業研究を進めてみて下さい。

理系の学生、大学院生とポスドクが選んでいる就活サービスを利用してみよう

・ニッチトップ企業がさがせる ・専門職のスカウトが届く ・大学院出身コンサルタントに就活相談できる

▼詳細はこちら

≪15万人以上の大学院生が選んだ、貴方の研究を活かせる企業に出会える就活サイト【アカリク】


まとめ

以上、駆け足で製薬企業の現況をみてきました。いずれの企業も規模が大きく、特徴があるため、個別の徹底した企業研究は必須です。

製薬業界は非常に高度なエキスパティーズを必要とする業界です。また世界有数の外資系巨大製薬企業も日本に進出しており、この業界でキャリアを磨いていけば職業人としての力は間違いなくつくため、報酬やキャリアアップしていくことも充分可能な業界です。海外志向の強い人にもチャンスは広がっています。

大手製薬企業は年収が高いことで有名であり就活では最難関業界の一つですが、人の命や幸福にも貢献でき、チャレンジしがいのある業界です。製薬業界に興味を持ったら、ぜひ徹底した企業研究をして志望動機を固めていきましょう。

この記事を読んだ人は、以下の記事も併せて読んでいます。

36の質問で、あなたの強み・適職を診断

就活は自己分析が必須!…ただ、やり方がわからず、悩んでいる人も多いはず。 そんな時は、自己分析ツール「My analytics」を活用しましょう My analyticsを使えば、36の質問に答えるだけであなたの強み・適職を診断できます。 My analyticsを活用して、サクッと自己分析を終わらせ、内定を勝ち取りましょう。

My analyticsで自己分析する(無料)

あわせて読みたい!就活に即効の記事、ベスト5

offer_box_fixed_icon_150x150.jpg1
25年卒の登録が殺到中!大手企業も利用するオファーボックスでスカウトをもらおう

資生堂、マイクロソフト、朝日新聞、ニトリ、コクヨ、KUMON、TREND MICRO、ぴあ、CO・OP、ATEAM、sansan、MicroAd、istyle、RISOなども利用している逆求人型スカウトサービスのOfferBoxを賢く使い、就活のもう一つのルートを開いておこう

doda_campus_fix_image.jpg2
就活が不安な25年卒の就活生には、dodaキャンパスを賢く利用する打ち手がある

少しでも納得感が高い内定を目指す25年卒の就活生は、スカウトサービスで急成長しているdodaキャンパスを試してみよう。オファーの受信率は99%(23卒2022年6月時点、プロフィール入力率80%以上の場合)。ベネッセならではの充実したオンライン講座やイベント、本格的な適性診断まで無料で使えます!

kuchikomi_150x150.jpg3
2025年卒就活の情報戦へ、【就活会議】に無料登録すれば、88,000枚以上の本物のESを閲覧できる!

就活は情報戦。企業が提供する情報は重要ですが、それだけでは不安です。実際の社員の評価や、選考を受けた先輩達の口コミによる生の声を入手できる「就活会議」を徹底解説。ESや選考情報のリアルを手に入れよう

Kimisuka_after_Sq.jpg4
落ちてしまった選考の結果を、スカウト獲得に活用できる心強いサービスがある

スカウトサービスの大手、【キミスカ】の特徴は、落ちてしまった選考の結果さえもスカウト獲得に利用できる点です。それまでの頑張りを評価してくれる、「本当のあなた」を認めてくれる企業からのオファーを獲得しよう

 b3b75e7093f0c280652cb24dec855b9c.jpg5
【24年卒】首都圏の学生で、納得できる内定が取れていない人への神サービスを試してみよう

もう一人で悩まなくていい。就活の専任アドバイザーがマンツーマンでES添削・面談対策をしてくれ、しかもあなたに合った優良企業を紹介、完全無料の就活サポートをしてくれる「キャリアチケット」を紹介します