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【就活の業界研究】不動産業界の特徴とビジネスモデルを理解しよう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

この記事では不動産業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

不動産業界情報の6つのポイントを押さえよう

  • 不動産業界の特徴とビジネスモデルを理解しよう
  • 不動産業界の現状と課題・未来
  • 不動産会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 不動産会社に働く人のモチベ―ションは何か
  • 不動産業界に向く人、向かない人は、どういう人か
  • 代表的な不動産企業の概況

就活生なら不動産とは何を指すのかは、「土地や建物」であると理解し、それを取引する業界を不動産業界であると認識しているでしょう。

しかし、就活という文脈では、それ以上の理解が必要です。不動産企業の存在は、マンションや一戸建、もしくは賃貸の宣伝等で誰でも知っていますが、不動産企業の活動や実態は驚くほど知られていません。

学生が実体験として不動産業界と関わるのは、親の不動産に関連する体験か、自分自身が居住するところを決める賃貸物件探しや、その契約に際しての事でしょう。

単身用の賃貸契約は別として、不動産の売買は高額取引が一般的、一生のうちに体験する頻度が非常に少ないため、不動産業界のビジネスモデルも殆ど理解できていないのが実情なのです。

でも大丈夫です。まずは不動産業にはどういうビジネスがあり、「どんなビジネスモデルで収益を得ているのか」から把握していきましょう。

この記事を読んでいる方は、ハウスメーカーに興味を持っている方もいると思います。就活の初期段階では志望する業界を絞り込みすぎないで、自分の最も興味のある業界と関係の深いビジネス、近接しているビジネスについても研究してみましょう。

不動産業界のビジネスモデル

この記事では不動産業界、不動産会社のビジネスモデルについて解説していきます。不動産業界入門編として活用してください。

不動産とは民法第86条《不動産及び動産》に規定する「土地及び土地の定着物」と理解してください。印紙税法上は財団を組成するものの全体を1個の不動産として取り扱うことになっていますが、就活の文脈では「土地と建物=土地に定着しているもの」と理解しておけば問題ないです。

この土地と建物に関連して「開発」、「賃貸」、「流通」、「管理」、「投資」という5つの事業が成立し、それをビジネスにしているのが不動産業界です。

一つ一つ説明していきます。

不動産開発事業:

不動産開発とは、土地を取得してその土地を開発して経済的な価値を生む事業です。土地を造成して土地を売却する場合もありますが、多くの場合はその土地にマンションや一戸建て、オフィスビルや大規模商業施設等を建設して販売したり、賃貸をして収益を上げる事業です。

この開発を行う不動産企業をデベロッパーと呼んでいます。規模が大きくなれば、街全体を開発する街づくりレベルの大規模開発を手掛けることになります。

事業の流れは、土地に対する情報収集を行い、開発する方針を決めたら地権者と交渉を行って土地を取得します。

土地を取得したら、その土地や周辺の環境、歴史等を考慮してプロジェクトの企画、建物、環境計画を含めたコンセプト設定や企画を行います。

企画が通れば、具体的なデザインや設計に進み、建設会社が実際の工事を行い完成後はその不動産を販売したり、賃貸をすることにより収益を上げます。

通常は設計段階からは建設会社(ゼネコン)や設計事務所が設計を行い、施工はゼネコン、販売は不動産販売会社、賃貸は不動産管理会社との協力・協業により行われます。

ディベロッパーは施主としてプロジェクト全体の進行管理、品質管理によって全体のマネジメントを行っていきます。

不動産賃貸事業:

賃貸事業は所有している不動産を、企業や個人に貸し出すことで利益を上げる事業です。

不動産ビジネスで「賃貸」をビジネスにする場合、賃貸契約を仲介することで収益を得る場合と、自ら所有する不動産を賃貸することにより収益を上げる二つのルートがあります。はじめに自ら所有する物件を事業として賃貸する場合を解説します。

その場合、重要なのが利回りという考え方です。不動産の利回りには、表面利回りと、実質利回りがあり、注意が必要用です。以下、要点は以下の通りです。

不動産賃貸:表面利回り:不動産の表面利回りは単純で、以下の計算によって求められます。

表面利回り=年間収入÷購入価格

  • 単純計算例:【土地購入費+建築費用が10億円、テナントの賃料が月額80 万円 テナントスペースが10区画、均等条件の場合】
  • 80万円 × 10区画 =800万円(月額収入)× 12ヶ月=9600万円(年間収入)
  • 9600万円÷10億円=0.096 %に直すためこの数値を100倍にする。
  • 0.096 × 100=年間の表面利回りは9.6%となります。

実質利回りは、その物件に付随した費用を計算に入れて利回りを計算します。不動産を所有するには、固定資産税、火災保険料、賃貸管理費、建物管理費、修繕の為の積立金、不動産管理会社に支払う費用、その他費用が発生します。これらを指しい引いて、実質利回りを計算します。計算式は以下の通りです。

実質利回り=( 年間収入-年間支出 )÷ 購入価格

賃貸事業の場合、ある年数が経過する時点で投下した資本を回収し、その後は得られるテナント・家賃収入から維持管理に必要な費用を引いた額を収益にするモデルになります。

もちろん、ある段階で賃貸から売却に収益モデルを変えて投下した資本・費用以上のゲインを狙うこともあります。

不動産流通事業:

不動流通事業とは、第三者が所有する不動産を売買や賃貸の仲介をすることによって収益を得るビジネスです。

アパートやマンションを借りたことのある方には最も身近な不動産ビジネスでしょう。

不動産の売り手と買い手を結び付ける事で、その仲介手数料を得るビジネスが成立します。その場合、宅地建物取引業法では、不動産会社は売買や仲介の依頼を受けた場合、「媒介契約」を締結し、媒介契約には「報酬(仲介手数料)を明記しなければならない」と定められています。

この媒介契約は、不動産会社が「依頼された売買や賃貸の契約を成立させる手助けをする」という契約になるので、もし売買や賃貸の契約が成立しなければ、報酬は発生しません。

不動産売買の場合の仲介手数料:

売買契約の場合、仲介した不動産会社が一方の依頼者(売主または買主)から受け取る仲介手数料は宅地建物取引業法でその算出方法と上限額が以下のように定められています。

  • 物件の売買価格が400万円を超える部分:対象金額の3パーセント+消費税
  • 物件の売買価格が200万円超~400万円以下の部分:対象金額の4パーセント+消費税
  • 物件の売買価格が200万円以下の部分:対象金額の5パーセント+消費税

例えば、5,000万円のマンションの仲介手数料は以下の計算式で計算されます。

5,000万円 : 200万円×5%+200万円×4%+4,600万円×3%+税

物件価格 計算式 仲介手数料 仲介手数料に加算される消費税(10%の場合)
5,000万円 200万円×5%+200万円×4%+4,600万円×3% 1,560,000円 156,000 円

この仲介手数料は基本的には売主と買主両方から得ることが出来ますが、契約条件や取引の状況によって片方の仲介をした場合は片方の報酬になります。

不動産売買を仲介する不動産流通事業では、当然売主と買主を自社のみで結び付け成約を仲介できれば利幅が大きくなります。

法律で決まっているのはあくまで上限なので、仲介手数料の交渉は常に行われていて、依頼主からはディスカウント要求ができます。

いくら大手の不動産企業でも、抱えている顧客には限界があります。自社で売却を扱う場合でも、自社でプールしている顧客リストや、自社の広告宣伝では必ずしも購入してくれる顧客を見つけることはできない場合があります。

現在は国土交通省が企画したレインズ(Real Estate Information Network Systemの略)という不動産物件情報交換のためのコンピュータネットワークシステムがつくられており、国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」である全国4つの公益法人((財)東日本不動産流通機構、(財)中部圏不動産流通機構、(財)近畿圏不動産流通機構、(財)西日本不動産流通機構)によって運営され、全国の不動産業者が加入しています。

そのシステムに物件を登録することで、全国の不動産業者がその物件情報にアクセスすることが可能になっています。

全国の不動産会社はその情報を自社の顧客に紹介して買手をつけることができれば、買手から仲介手数料を得ることが出来ます。つまり仲介の片側(片手)の仲介手数料が収入となる訳です。

不動産賃貸の場合の仲介手数料:

不動産賃貸の仲介手数料は基本的に法律によって決まったルールがあります。

”宅地建物取引業法”によって不動産会社が受け取ることができる仲介手数料は「賃料の1ヶ月分以内」が上限として定められています。

また、この賃貸の仲介手数料に関しては細かい条件があり、「貸主と借主それぞれから受け取る仲介手数料は賃料の半月分以内とするが、依頼者の承諾”があればどちらか一方から賃料の1ヶ月分以内を受け取ることができる」という規定です。

原則として借主が支払う仲介手数料は賃料の半月分以内ということになりますが、借主が承諾した場合は大家さんか借主のいずれかが賃料1ヶ月分以内の仲介手数料を支払うこともあると解釈することができます。

現実的には賃貸の場合の仲介手数料の相場は家賃の0.5〜1ヶ月分+消費税が目安となります。

ちなみに、不動産賃貸契約の場合、敷金、礼金というものを仲介手数料以外に支払う場合があります。

  • 敷金:部屋を退去するときの原状回復費用として、入居前にあらかじめ払う準備金のようなお金です。原状回復にかかった費用が差し引かれたお金が戻ってくるのが原則になりますが、相場としては家賃1カ月分が目安の金額になります。
  • 礼金:大家さんに対して、お礼の意味として支払うお金であり、お礼なので退去時に返金されることはありません。こちらも家賃1カ月分が目安ですが、最近は礼金無しの物件も増えています。

敷金も礼金も物件を借りる立場からすると支払うお金になりますが、不動産会社にとっての報酬ではありません。不動産賃貸の貸主側の仲介を行った場合は、賃貸管理会社となって家賃徴収の手数料が報酬となる場合があります。

不動産管理事業:

今まで不動産管理ビジネスは、不動産業界の中では華やかではなく、販売や賃貸事業に付随するものとして「魅力的な事業」、「魅力的な業界」とは言い難い存在でした。

学生の皆さんにとって「不動産管理」と聞いて初めに思い浮かべるのが、マンションの管理人が働いている会社ぐらいのイメージかと思います。

不動産管路会社の提供するサービスそのものが、「清掃や設備のメンテナンス、管理員の派遣、管理組合やテナントとの調整、修繕維持といった契約で決まった内容を漏れなく愚直にこなすというモデル」という位置づけなので、大手不動産企業の子会社、系列企業が行っている事業というイメージでしょう。

確かに「不動産管理」という業務の性格上、安定的なキャッシュフローの獲得という点が、本業界の最大の強みであるとも言える反面、競争や飛躍的なイノベーションは起きにくい分野とされてきました。

しかし、その構造にも変化が見え始めています。一番大きな理由は新たな不動産開発がだんだん難しくなっており、今までのように新規案件による収益の創出が難しくなりつつある点です。

第二の理由としては、バブル崩壊後、長引くデフレ経済においては既存の不動産の価値を高めたり、維持していきたいという意識や要望が根付いてきた点です。

不動産を取得して、ある時期に売却して投下した資本に対する売却益(キャピタルゲイン)を狙うのではなく、安定した収益を出来るだけ長く得る(インカムゲイン)という考え方が定着してきました。

企業側の意識も変わっています。

現在では不動産に対する管理に加え、日々の生活の中から生まれる派生的なビジネス、或いは修繕、その先の建替え需要の獲得といった、不動産のストックビジネスに注力、強化することによって収益を補完していく戦略が重視されています。

不動産投資事業:

不動産投資事業とは、不動産が生み出す収益を証券化し、投資家から集めた資金でビルや集合住宅を購入・運用して賃料収益や売却益などを配するビジネスです。

不動産証券化には特定の不動産を証券化する資産流動化型と、複数の不動産を対象としてファンドを運用する資産運用型があります。

前者は、特定目的会社(SPC)などを通じて証券化され、後者は不動産投資信託「J-REIT」(日本版不動産投資信託)といい、投資法人・投資信託が投資家から集めた資金をファンドとして不動産に投資します。

現在、大手不動産業者の大半が「J-REIT」に参入しており、証券化市場規模は急激に拡大しています。

資産流動化型と試算運用型は既に存在する不動産(建物)を証券化の対象にするのに対して、これから建設する建物を対象とする開発型証券化型というパターンもあります。

不動産投資事業には多くの利害関係者が存在します。まず不動産を保有し資金調達を図りたいオリジネーター(原債権者)と投資家との間に入って証券化を完成させる役割を担っているアレンジャーが存在します。

アレンジャーはオリジネーターや不動産購入のための融資を実行する銀行、あるいは投資家の間に入って証券化商品を作って販売し、投資家に配当を還元するまでの一連の証券化業務を取り仕切ります。

アレンジャーは通常、不動産会社や銀行・信託銀行、証券会社、不動産専門のコンサルタント会社が担い、証券化に必要なSPC(特別目的会社)の組成を行い、証券化商品の格付けや証券化された不動産の資産管理の具体的な方法なども整えます。

不動投資事業は、不動産はもちろん、金融、法務、税務などの専門的な知識が不可欠であり、弁護士や会計士、不動産鑑定士など、より専門的な領域の知見を持つ関係者と共にプロジェクトを進行していきます。

アパートやマンションへの投資事業:

不動産会社の中には、サラリーマンや土地持ちに向けてアパートやワンルームマンション、中古マンションへの投資を募って、その物件を賃貸に出して、そこから得られる家賃収入から管理経費等を引いて投資家に戻す事業を行っている企業もあります。

レオパレス21、大東建託グループ、やハウスメーカー・建設会社の賃貸住宅建設事業部、また学士の皆さんには馴染みがないと思いますが、比較的新しい企業であるグローバル・リンク・マネジメント、シノケングループ、プロパティエージェント、FJネクスト、オープンハウス、GAテクノロジーズ、デュアルタップなどの上場企業があります。

まとめ

以上、不動産業界の「開発」、「賃貸」、「流通」、「管理」、「投資」という5つの事業の概要を解説してきました。ディベロッパーと呼ばれる大手不動産企業は自社及びグループ企業を通じて全ての事業を行っています。

中堅・中小企業の場合は特定の事業領域を専門的に扱うか、複数の領域に特化して事業を展開しています。また不動産という特性上、地域性が強い業界です。

不動産業界のビジネスモデルの概要を理解出来たら、この業界の現状と課題、そして未来についてもチェックしていきましょう。

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