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【就活の業界研究】:鉄鋼/金属・ガラス・セメント素材業界の特徴とビジネスモデル を理解しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。

「就活の答え」では金属・ガラス・セメント、素材業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材業界の6つのポイントを押さえよう

  • 鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材業界の特徴とビジネスモデル
  • 鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材業界の現状と課題・未来
  • 鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 鉄鋼/金属・ガラス・セメント、素材メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では金属・ガラス・セメント等、素材業界の特徴とビジネスモデルを中心に分かり易く解説します。素材業界入門編として活用してください。

鉄鋼/金属・ガラス・セメント等、素材業界を整理して理解しよう

鉄鋼や非鉄金属、ガラスやセメント等の素材は、専門分野として研究している大学生を別として、一般的の学生には日常生活から遠い存在であるため、業界研究に時間をとって理解する必要があります。

一方、就活初期では様々な業界を知り、真剣に志望するかどうかを考えたいので、一つの業界の研究にそれほど多くの時間をかけられません。

でも大丈夫です。「就活の答え」では、短時間で業界の重要なポイントを理解できるように業界研究記事をまとめています。

素材産業は原料・素材を購入・調達して加工して他の産業へ素材・材料を供給することによって収益を得る業界です。代表的な素材業界は鉄鋼業界、非鉄金属業界、ガラス工業、セメント業界、紙・パルプ業界、化学素材業界等になります。

この記事では、その中から鉄鋼製造業、非鉄金属製造業、ガラス製造業、セメント製造業に絞って解説していきます。

素材産業の特徴

素材産業の共通の特徴、ポイントを以下にまとめました。

製品のライフサイクル

素材産業は製造業が製造する製品に用いられる材料、また建設・土木用の建材になる基本の材料を製造し供給しているため、素材そのものの製品ライフサイクルは非常に長いという特徴があります。

汎用素材は規格を守る必要があるため、規格が変わらない限り同じものを製造し続けることになります。そのため他社との製品の品質の差別化ができない、でき難いという特徴もあります。

為替の影響を受ける業界

日本は資源に乏しいため、素材メーカーが製造するための原料の殆どは輸入に頼っています。(セメント産業以外)

例えば鉄鋼(高炉)メーカーに必要な原料である鉄鉱石やコークスは全て輸入に頼っています。またほとんどの企業の事業は輸出や海外での製造を行っているため、円安になれば原料のコストが上昇し、円高になれば輸出部分は減益になる構造です。

また素材を生産するための電力やエネルギーコストにも大きな影響を受けるという特徴もあります。

国際的な需給によって影響を受ける業界

素材産業だけではありませんが、原料を輸入に頼っている業界は原料、鉱石やコークス等の世界的な需給によって市況が変動すると同時に、汎用製品の場合は特に他国の企業の生産量の増強によって素材製品の供給過多になると、その国、もしくは世界的に市況が低迷してしまう構造になっています。

生産規模の大きさと資本力

素材製品を製造するためには大規模な生産設備を必要とします。そのため生産設備を作るためには巨額のコストが必要です。従って製造設備の新設・統廃合も簡単ではなく、長期的な需要予測と計画が非常に重要な業界です。

また、生産拠点毎の生産量も膨大な量になるため、改善効果・効率化が収益に及ぼす影響が大きいという特徴もあります。

大口取引先の産業や企業の動向に影響を受ける業界

素材メーカーの取引先は大規模な産業、例えば自動車業界、自動車製造業向け、建設・土木業界向け等である場合が多く、その業界の市況や業績に影響を受けます。

例えば自動車産業用の鋼板は、国内の自動車業界が不況になればその影響を当然受けます。また不況でなくても、自動車生産設備が海外に移転した場合もネガティブな影響を受けるでしょう。

大口顧客に対して価格交渉力が相対的に弱いという特徴もあり、為替等のリスクも製品価格に転嫁し難い構造にあります。

環境対策が重要の業界

素材産業はエネルギーや資源を大量に消費する産業でもあり、生産設備も巨大なことからその周辺環境に対する影響も大きいという特徴があります。

従って環境に対する配慮や省エネ設備に対する投資が必要な業界です。特に脱炭素社会の実現に向けて、環境対策は企業の社会的な責任を果たす上で益々重要になっています。

典型的なBtoBビジネス

製品の販売は、ほとんどの場合代理店、特約店、商社等を通した販売形態、商流になりますが、製品は直接メーカーからユーザーへと納品される物流となります。

取引先は大口で且つ長期的な関係になることが一般的な典型的なBtoBビジネスです。

素材産業のビジネスモデル

素材産業別の特徴をみていきましょう。はじめに金属産業を鉄鋼と非鉄金属で分けて、その特徴とビジネスモデルを理解しておきましょう。

鉄鋼メーカーの特徴とビジネスモデル

鉄鋼業界の鉄鋼メーカーを大別すると、鉄鋼の製造方法によって以下の3タイプに分けることが出来ます。

高炉メーカー:

  • 鉄鉱石、原料炭から、高炉(溶解炉)で銑鉄を作り、製鋼の後、最終の鋼材製品まで一貫して生産するメーカーを指します。
  • 国内の粗鋼生産量(加工を施す前の鋼)の77%を高炉鉄鋼メーカーが製造しています。国内には日本製鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼所の3社が高炉メーカーです。(注:日新製鋼は日本製鉄の完全子会社のため3社としています)

電炉メーカー:

  • 鉄スクラップなどを電気炉で溶解して不純物を取り除き、鋼を生産し、鋼材製品を製造するメーカーになります。主に建設・土木向けの汎用的な普通鋼材を製造しています。主なメーカーはトピー工業、共英製鋼、東京製鐵、大和工業等になります。
  • 電炉メーカーには、鉄とその他の金属の合金である合金鉄の製造および販売を手がける合金鉄電炉メーカー(新日本電工、大平洋金属、等)と、電気炉で鉄スクラップとレアメタル等の副原料を用い、硬さや耐摩性等の特殊な機能を持たせた高級鋼を製造する特殊鋼メーカー(山陽特殊製鋼、大同特殊鋼、日立金属、等)もあります。

単圧メーカー:

  • 単圧メーカーは製鉄工程を持っていません。国内外の高炉メーカーや電炉メーカーからスラブと呼ばれる半製品を購入し,これを最終製品に仕上げる製鉄会社を単圧メーカーと呼んでいます。主な企業に淀川製鋼所、東洋鋼鈑等があります。

非鉄金属メーカーの特徴とビジネスモデル

非鉄金属とは鉄および鉄を主成分とした合金つまり鋼以外の金属のすべてを指し、産業用には軽金属、ベースメタル、レアメタル、レアアース、貴金属、放射性金属に分類できます。

代表的なものは以下の通りです。

  • 軽金属:アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、チタン
  • ベースメタル:銅、スズ、亜鉛、鉛
  • レアメタル:ニッケル、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、ビスマス、カドミウム、コバルト
  • レアアース:セリウム、ネオジム、プラセオジム、貴金属、金銀、白金、放射性金属、ウラン、プルトニウム

非鉄金属の中でも、特に大量に消費される金属であり消費者ニーズが多様化しているのがベースメタルの銅と軽金属のアルミニュウムです。上記の中で銅や亜鉛、アルミなどは電線、電気製品や電子部品やアルミサッシ、航空機等に使用されています。

非鉄金属のビジネスは資源、製錬、加工に分けられます。

  • 資源:鉱石の採掘、金属リサイクル、環境ビジネスの原料に関連するビジネスです。日本は原料の鉱石はほとんどが輸入に頼っており、国内企業の力関係は弱いため、日本企業は海外鉱山の権利取得を積極的に行っています。
  • 製錬:輸入した鉱石を地金(中間材)に製錬した際に発生する製錬マージンというものがあり、非鉄各社の主要な利益となります。その精錬マージンに自社の販売プレミアムを加えたものが非鉄金属メーカーの収益になります。
    • 製錬マージンとは、鉱山から採鉱された鉱石を地金に加工する手数料であり、製錬マージンは、LME(ロンドン金属取引所)で売買される地金価格を指標として決定されます。
    • 実際には各非鉄金属の国際的な市況、需給と力関係によって地金価格は決まり、5大資源メジャー(BHP ビリトン(英・豪)、アングロ・アメリカン(英)、リオ・ティント(英・豪)ヴァーレ(ブラジル)、グレンコア・エクストラータ(スイス))主導で価格が決められています。(精錬マージンは年1回の交渉によって決まります)
  • 加工:自社で製造した地金をさらに加工して電子部品や自動車部品を加工・製造するビジネスです。非鉄金属メーカーの多角化の一環です。また貴金属回収や廃棄物処理ビジネスも手掛けている企業もあります。

ガラスメーカーの特徴とビジネスモデル

窯業・土石製品製造業の一角を占めるのがガラス製品製造業です。

ガラス製品製造業は、製品別に「板ガラス製造業」、「ガラス製品製造業」、「ガラス繊維製造業」の3つに区分されており、中心は板ガラス製造業になります。

国内市場の板ガラスは大手企業の寡占状態です。上位5社(AGC、日本板硝子、HOYA、日本電気硝子、セントラル硝子)で業界売上高全体の約9割を占めています。

中心的な板ガラス製造業は、用途別に「板ガラス」と、「液晶パネル用ガラス」(テレビ、スマートフォン用等)に分けられ、板ガラスの大部分は、建設業者や自動車メーカー向けとなっています。

商流は板ガラスメーカーと特約した卸売業者に販売され、卸売業者はさらに建築業者、自動車メーカー等の大口需要家や小売業者に販売するBtoBモデルになります。

ガラス業界全体で見ると、国内市場は減少傾向にあるため、大手メーカーは積極的に海外展開を推進しています。世界規模でのM&A(日本板硝子による英ピルキントン社の買収、セントラル硝子による仏サンゴバン社との合弁会社設立等)

尚、ガラスびん製造業、卓上用・厨房用ガラス器具製造業、理化学用・医療用ガラス器具製造業等は、中小零細企業が主なプレーヤーになっています。

セメントメーカーの特徴とビジネスモデル

セメントを製造している大手4社は業界最王手の太平洋セメント(専業)、住友大阪セメント(専業)、宇部興産(化学・金属兼業)、三菱マテリアル(化学・金属兼業)他、麻生セメント、日立セメント、日鉄高炉セメント、琉球セメントなどの企業があります。

セメント工場は主原料の石灰石資源が豊富な北九州地区、山口県と国内最大の消費地を抱える関東地区に多く立地しています。セメント協会のデータによると 2019年4月現在、全国の企業数17社、30工場があり、クリンカ(セメントの中間製品)生産能力は54,589千t/年です。

セメントの製造補方法は主原料である石灰石と、粘土、けい石、鉄原料などを乾燥・粉砕・調合し予熱機から巨大な回転窯に投入し、高温焼成した後、空気で急冷します。この工程によってセメントクリンカと呼ばれる1cm程度の火山岩のような黒い塊を作ります。

次にクリンカをさらに粉砕し、石膏を加えて更に細かく粉末になるまで粉砕してセメントが完成します。

尚、主原料の石灰石は100%国内調達されており、こうした工業製品は日本では稀です。

また、回転窯内の温度は最高1,450℃にも達することから、他産業から排出される廃棄物や副産物を原料の代替物や熱エネルギーの一部として取り込むことが可能で、製造コストの低減にも繋がっています。

セメントのほとんどがコンクリートとして使用されています。コンクリートはセメント、水、細骨材、粗骨材、混和材料から構成されます。これらをコンクリート中に占める体積でみると、もっとも多いのが粗骨材で、次いで細骨材、水、セメント、混和材料の順になります。

コンクリート以外のセメントの使い方として、セメントペーストとモルタルがあります。セメントを水で練混ぜたものがセメントペースト、これに砂(細骨材)を練混ぜたものがモルタルです。

出来上がったセメントの76%が汎用性のあるポルトランドセメント、それ以外が混合セメントやエコセメント(都市ごみ焼却灰、汚泥等を主原料にしたセメント)で、両方ともJIS規格を遵守して製造されており、製造会社の違いによる製品の差別化はみられません。

重量物であるがゆえに運賃負担力が弱く、全体の80%が国内で消費、20%が輸出という比率です。

セメントの販売先の最終ユーザーは建設部門、セメント自体が中間建設資材であるためにコンクリートという最終製品になるためには、生コンクリート製造業という業態向けにその殆ど(71%)を供給するとうビジネスです。

生コンクリートはナマモノであるため、日本全国に3,298の生コンクリート工場を配して実際の工事現場と直結して事業を展開しています。

このようにセメント業界は国内市場に大きく依存していることから、国内景気の動向、建設業の動向、公共事業の動向に大きく左右される業界という特徴があります。

また昨今の建設・土木現場の人で不足から工事が出来ず、需要はあっても供給に結びつかないという現象も出てきています。

セメント業界の代表的な上位企業は、化学や部品、機械等に事業を多角化しているため、セメントの製造だけに頼っている訳ではありません。企業毎にしっかり事業構成、内容を理解していきましょう。

まとめ

就活での金属、ガラス、セメント等の素材製造産業の研究に際しては、短時間で業界の全体像を理解した後は個別の企業研究に時間をたっぷりとってください。

理工系の学生には専門分野との関連も大きい業界であるため、どんな業界にどんな企業があり、どんな産業や企業の為に、何のソリューションを提供しているのかを調べていきましょう。

その際、重要なのは企業規模や年収、やりがいや、適性ですが、「グローバル化」と「高付加価値のある新しい素材開発に対する姿勢」、「新しい技術に対する取り組み方」、「専門分野の世界・国内シェア」のポイントにもフォーカスしていきましょう。

日本の素材メーカーは高スペックで高品質、高額のハイエンドの品質に定評があります。また低/中位の品質の素材では、中国をはじめとした新興国のメーカーの技術でも十分な場合も多くなっており、価格差で負けてしまうケースも多くなっています。

この三つとも企業の成長の条件とも言える重要なポイントです。これらの視点でもしっかり精査していきましょう。

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