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就活生が中小企業やベンチャー企業を意識するタイミング
就活を始めると、ほとんどの学生は自己分析から業界研究、更に企業研究という流れで志望する企業を決めていくことになります。
ある程度自分が興味を持てる業界が見えてくると、その業界の企業とそれぞれの企業の特徴を調べ、就活の難易度(試験内容、採用実績や競争倍率等)を加えて、第一志望、第二志望、第三志望・・・を決めていきます。
多くの学生は(実際にエントリーするかどうかは別としても)、その業界の優良な大企業から選んでいくのが一般的な志望順位の決め方です。
業界への「こだわり」や自分の就活の軸がその業界にしかない、あるいは適合度が強い場合は大企業⇒中堅企業⇒中小企業やベンチャー企業へと志望の枠を広げていく流れになります。
加えてたまたま会社説明会や就活イベントやスカウトオファーサービスから「全く知らなかった企業」に遭遇し、興味が湧いてその企業やその企業が所属する業界もあわせて研究することもあるでしょう。
就活生が「中堅・中小企業」や「ベンチャー企業」への就職を考える第一のタイミングがこの時です。
ここまでのフローは自分の価値観や就活の軸を基に中堅、中小、ベンチャーをみていくため、現在の就活では最も一般的なものです。
そして所謂「春採用」で、どこまでを自分のエントリーとしていくかを決めて選考過程に入っていくのです。
次に中堅、中小、ベンチャーの存在を真剣に考えるのは、3月1日のエントリー解禁後の選考が思うように進まない時です。
多くの学生は、一般選考ルートで自分の理想とする企業も含めて、エントリーを行います。
理想のハードルが高く、大企業や中堅企業までのエントリーに限ってしまった場合、学生の所謂「持ち駒」が、どんどん減っていくということが起こり得ます。
その時が、志望企業、志望業界の拡大や、スカウトサービスの利用、キャリアセンターへの再相談、就活エージェントの利用を検討するタイミングが第二のタイミングになります。
持ち駒を増やすべき時です。
そして春採用の結果が概ね決まる5月~6月末の段階で、内定が獲得できていない場合や、内定は獲得していても納得度が低く、就活を続けたいと考える時が第三のタイミングです。
夏採用や秋採用に向けて、仕切り直しが必要になり、本格的に今までの就活を見直す時です。
大きく言えば、この3つが「中小企業」や「ベンチャー企業」を真剣に考える時です。
その時、どのように中小企業(ベンチャー企業を含む)に対するマインドセットを持つべきなのでしょうか?
そもそも、どうやって志望すべき中堅・中小企業やベンチャー企業を探し、選べばよいのでしょうか?
この記事では、就活生のこれらの疑問に答えていきます。
中小企業の定義をしっかり持っておこう
中小企業基本法では、中小企業を以下のように定義しています。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
上記の中小企業の場合でも、大企業が単独で発行済株式総数又は出資総額の2分の1以上を所有又は出資していたり、役員総数の2分の1以上を大企業の役員又は職員が兼務している場合は「みなし大企業」とされ、補助金対象から除外される場合があります。大企業の完全子会社や連結グループ企業等がそれにあたります。
大企業とは法的には上記の中小企業以外を指します。しかし官公庁が行う各種の調査では「資本金3億円以上」を大企業としている場合もあります。
更に慣例的に大企業の中で資本金10億円未満の企業や、中小企業の中で資本金1億円以上の企業を「中堅企業」と分類する場合もあります。
また最近では、大企業が節税のためにあえて資本金を1億円以下に減資する場合もあり、資本金の多さだけでは単純に判断できません。
中小企業庁のデータで大企業と中小企業の比較をすると、以下のような結果になっています。
日本企業の内訳*
大企業 | 中小企業 | |
企業数 421万社 | 1.2万社 (0.3%) | 419.8万社 (99.7%) |
従業員数 4,013万人 | 約1,229万人(31%) | 2,784万人 (69%) |
製造業付加価値額 | 約50超円 47% | 約57兆円 (53%) |
*経済産業省 「工業統計表」(2006年)、総務省 「事業所・企業統計調査」(2006年)再編加工により中小企業庁がまとめた資料から引用
つまり、法律的な根拠によれば日本企業の99.7%が大企業ではありません。大企業と呼ばれる存在は、日本の企業総数から言えば1%以下であり、就活生の感覚とは大きなギャップがあるのです。
その意味では、中小企業への就活をことさら差別化して語ることすらミスリーディングかもしれません。
政府による2019年度(令和元年度)学校基本調査(確定値)によれば、大学・短大進学率は2019年度(令和元年度)は大学・短大進学率の合計は58.1% にも達しています。
大学院進学者を除いて考えれば、同じ年に生まれた子供(同学年の子供)の約0.2%ほどしか法的な意味での大企業に就職していないというのが事実なのです。
このようなに、大企業へ就職できることの方が非常に稀な出来事であり、マジョリティの学生は大企業以外の企業へ就職するか、別の道を選択しているの実態です。
そう考えると本来「中小企業に対する就活」そのものを、分けて論じること自体があまり意味がないのです。
ごく一部のハイパー就活生を除けば、大手企業や中堅、中小企業を含めて、「自分の就活の軸=職業選択において譲れないポイント」との適合性を考えるべきなのです。
それが本来するべき選択だとしても、殆どの就活生の「大企業志向」は変わりません。
変わらないことを前提として、中小企業へも就活をどのように考えるべきかを徹底解説していきます。
大企業への就職を目指すのは、合理的な選択なのか?
自身の価値観から興味を持ち、就活の軸の適合度が強い業界の大企業から志望順位を決めていくことは合理的です。
自分の大事な将来がかかっているので、利益を上げている、将来への投資を行っている、従業員に正当に報いている、労働環境が優良である等も重要です。
そして上記のデータからも読み取れるように、大企業の方が一人当たりの生み出す付加価値が大きいため、一般論としては従業員に対する報酬、福利厚生や労働環境の整備、未来への投資がより厚くできるためです。
また、中小企業に比べて事業規模が大きいことは仕事のスケールが大きく、社会に与えるインパクトもより大きいため、より大きな「仕事のやりがい」を感じることもあるでしょう。
大企業に就職できれば、上記のメリットを受けられる確率、傾向が高いため、その意味では合理的な選択です。
もちろん、大企業であれば全て良いという意味ではありません。
東証一部上場企業でも倒産する企業や、経営が立ち行かなくなりリストラを実施したり外資に身売りする企業もあるのです。また過労死や労働災害、パワハラ等の問題を起こしたり、「ブラック企業」として語られる企業も少なくありません。
大企業を目指す場合でも、しっかりチェックして「ホワイト度」の高い企業から志望していきましょう。
大企業と中小企業の働き方の違いを把握し、価値観に合った選択をしよう
「働き方」はそれぞれの企業ごとに大きく違うため、大企業と中小企業で単純に分けることはできません。業界や業種、職種や経営方針、教育方針、社風によっても違います。
しかしながら、はっきりとした「傾向」として、以下のポイントを上げることができます。
大企業 | 中小企業 | |
組織内の役割・仕事の範囲 | 縦割り組織の一領域の仕事 | 組織の枠を超えたマルチタスクが求められる |
経営者・幹部との距離 | 遠い | 近い |
仕事における個人の裁量権 | 狭い | 広い |
若い時の仕事 | 上司や組織のサポートが中心 | 早い段階で主体的な活躍を求められる |
あくまで一般論であり、傾向なので、実際に志望する、しないは企業ごとに細かく見ていく必要があります。中小企業であっても大企業の子会社や関連会社と、ベンチャー企業ではその傾向にも大きな差が出るからです。
ベンチャー企業では、更に若い時から新規の事業開発を行って、将来的にはその事業を別会社にしてその企業の経営幹部に育てるという経営方針で事業を展開している企業も多いのです。
若い時から自分の裁量と責任で事業を動かすというようなことは、大企業ではまず不可能です。
もちろん与えられた職務権限の中で、自由裁量の余地はあります。全くない訳ではありませんが、事業を決定づけるほどの裁量を与えられないという意味です。大企業の場合、新規事業であっても、相当のスケールとなるためです)
中小企業の場合は、経営幹部や経営者(社長)との距離が近く、良くも悪くも企業や経営のダイナミズムを感じ、学ぶこともできます。
将来的に自分で起業を考えている就活生であれば、就活の軸がある業界で中小企業からキャリアアップを目指す手もあるでしょう。
重要:中小企業でキャリアアップできる人とは
中小企業でキャリアアップできる人とは、自意識が高く「自分でやりたい気持ち」が強い人です。
何かのパーツを受け持ち、それを完璧にするより、パーツの仕事を行うにしても、「全体を把握したい」、「できれば色んなことに首をつっこみたい」、「自分の手でやってみたい」、「自分ならこうしたい」という意識が強い人です。
そのマインドセットによって、若いうちからゼネラリストとして力をつけることができるためです。そしてその企業で経営幹部への道も開けます。(大企業より出世競争をする人数も少ない)
40歳、50歳になったときに大企業で管理職になれなくても「やぶさかではない」と思うのか、それは「ありえないこと」であり中小企業で責任ある管理職として組織をリードしたいと思うかの、「自意識や価値観」の差でもあります。
中小企業に勤める場合、若いうちから第一線に投入されたり、色んなことをやらなければならず鍛えられるため、仕事の実力が早くついていく傾向があります。
その実力をもって、転職によるキャリアアップの道も開けます。
その段階でも就活の軸が同じ業界にある場合は、上位企業へのステップアップや新卒就活で諦めた企業や、落とされた企業へのリベンジの道を開くこともできるでしょう。
中小企業で成功できる人は、大企業と比べてしまえば見劣りする報酬や福利厚生にも腐らずに、モチベーションを持ち続けられる人、その業界や仕事が「好き」であり、仕事に面白みを感じられる人、努力し続けられる人です。
最近では一流企業でも中途採用、即戦力採用の道を開いている企業が増加しています。
中途採用は基本的に即戦力採用となるため、将来的なキャリアパスを考える上でも、真剣に自己分析を行って、自分の就活の軸をつくっていくことが重要なのです。
優良中小企業の探し方
選考過程が思うように進まず、持ち駒を増やさないといけない時や、春採用で内定がとれず就活を見直してリスタートする際も、自分の就活の軸がある業界内で、下に深く掘っていくこと、次に隣接した業界で下に掘っていくことが基本です。
闇雲に「どこかに、優良な中小企業はないかな?」と探すのはお勧めできません。
多くの就活のブログやWEB情報は、参考になるナビサイトや中小企業関連のアワード受賞企業の一覧サイトなどを検索するようにと書いてありますが、いきなりそれをしても全く意味はありません。
意味があるのは、自分の就活の軸がある業界内や隣接した業界で下に掘っていくときに、それらの情報を参照して選択の参考にする時です。
次に意味があるのは、キャリアセンターから紹介してもらった企業、逆求人型就活オファーサービス(OfferBoxや、キミスカ、からオファーを受けた場合や、就活エージェント(キャリアチケット等)からの照会があった際にクロスチェックする時です。
つまりカウンターリファレンスとして使用することを強くお勧めします。
モノづくりやBtoB業界に興味があれば、経済産業省が選んでいる「グローバルニッチトップ企業100選」は良い参考資料になりますが、例えば広告業界に就活の軸がある人にとっては良い資料とは言えないのです。
その上で、カウンターリファレンスとして参考になるサイトのリンクを紹介しておきます。
離職率の高い中手企業には要注意
中小企業の中には社員の平均勤続年素が臂臑に短い企業や、離職率が高い企業があります。
「中小企業だから」ということではなく、あくまで個別企業の経営方針や業績、社風、社員に対する考え方や待遇、報酬と様々な要素が絡んでいます。
これらのマイナスなポイントは企業のWEBサイト等のオープン情報では分かりません。
ネガティブ情報をチェックできるのは転職サイトの口コミや就活に関する口コミ情報です。それらの情報を探る時には、必ず複数のサイト、なるべく多くの投稿者の意見を参考にしてください。
単一の情報源だと、偏った意見に影響を受ける場合があるからです。かならず複数のサイトを参照してください。
信頼のおける転職口コミサイト:
営業利益率が高く、グローバル市場でシェアの高い企業は特にお勧め!
BtoB企業に興味ある方、理系の学生、グローバルな仕事がしたいと思っている方に特におすすめなのが、ニッチな市場でもグローバルで圧倒的に高い製品を持つ製造業です。
これらの企業はマーケットを支配しているため、価格競争で苦しめられることが少なく、自社が市場をコントロールできるからです。
他に代替できる企業が存在しない場合はさらに有利な展開が可能であり、高い利益率を享受できます。
BtoBに興味がある方は「オンリーワン企業」というフィルターで企業研究・選択をしてみましょう。
大企業への就活に行き詰った人、大企業の社風や雰囲気、大企業の社員の生き方に疑問を感じた人は、是非中小企業までの選択肢を広げてみて下さい。
就活は最終的に「あなたが決めることができる」のです。
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