就活生から「OB・OG訪問はしないといけませんか?」という質問がよくあります。
訪問したい企業の先輩に、コネを自分で持っている人はまだ良いのですが、持っていない場合は「しなくて良いなら、なしで済ませたい」という気持ちになってしまうのでは?
初対面の人に面会の約束をとるのはハードルが高いものです。社会人でもそうなのですから、学生の皆さんはなおさらです。ではOB・OG訪問は実際どれくらい行われているのでしょうか?
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OB・OG訪問の実施率
既にある程度は業界・業種・企業研究は進んでいることと思います。まだ始めていない方は、少なくとも業界・業種研究をしてからOB・OG訪問*を計画しましょう。
直近2年間の内定者のOB・OG訪問の実施率は22%-25%であり、就活生の4人から5人のうち一人は実施しています。この割合を多いとみるか、少ないとみるかはあなた次第です。
OB・OG訪問が就活に絶対に必要かというと絶対ではありません。では何故「するべき」とされているのでしょうか。その意味について少し考えてみましょう。
OB・OG訪問は就活意欲を高める
就活生であれば業界地図や就職四季報、企業のWEBサイトの情報等で会社が行っているビジネスの概要・基本情報をもっていると思います。
しかしそれは調整、最適化された情報なのです。
たとえば多くの企業がWEBサイトや新卒採用専用サイトに掲載している先輩社員の「ある日の一日」は、リクルートに役立つように編集されたものです。先輩からの一言も学生の就活意欲が高まるようにポジティブなことのみ書いてあります。
業務内容の概要も読むだけでは、実際に何をするのかをイメージできる人は少ないと思います。とくに職種の情報は圧倒的に不足しています。
従って志望の業界・業種・企業・職種をオープン情報でいくら研究しても、学生側には「本当に志望するべきなのか」という疑問は常に付きまといます。研究がまだ進んでいない学生はなおさらです。
OB・OG訪問のメリットは業界・業種・企業・職種に対する疑問に対して、実際にそれに携わっている先輩の口から、生きた情報をその場で聞けることです。人事の直接の担当者ではないため、所謂「本音の情報」を取材できる得難い機会なのです。
志望意欲がいまいち湧かない、志望に対する疑問、不安が多い学生はOB・OG訪問の実施を計画しましょう。あなたの「能動的姿勢」は就活にプラスになることは間違いありません。
OB・OG訪問の時期
OB・OG訪問の時期はその目的によって違います。
目的:志望業界・業種・会社を絞りたい場合
- 3年の夏から10月まで、年末や年始、3-4月の企業繁忙期を除く時期に行いましょう。インターンシップ制度のある企業はインターンになれればそれで代行できますので、募集要項を調べて積極的に応募してみましょう
- 3年の2月~3月の解禁日前に行いその企業、もしくは同業種への志望意欲を固めましょう。解禁後でもエントリーシート提出の締め切り前に、できるだけ早いタイミングで実施しましょう
- 4月から5月はOB・OG訪問の集中する時期ですのでアポイントメントをとるのが難しくなる傾向があります。エントリーシートの志望動機欄の説得力を増すためにも早めに実施することをお勧めします
- 3年の2月から4年の5月の間、志望企業の面接の前に訪問しましょう。既にエントリーシート選考を通過していて、これから面接に向かう学生は、その前に志望企業のOB・OGに会って話を聞きましょう
- 会った事実そのものが面接時での差別化ポイントとして活かせますし、現場に行って取材する能動的姿勢はビジネスにおいても大切なことなので面接でのアピールポイントになります
OB・OG訪問はどうすれば良いのか
まず身の回りのコネクションを洗い出しましょう。
- 大学のキャリアセンター
- 教授・ゼミの指導者
- ゼミ・部活・サークルの先輩
- 家族・親戚関係・友人
- 先輩の先輩、先輩の友人、まで広げてトライしてみましょう
- 企業説明会の採用担当にお願いしてみる
- OB・OG訪問支援サービスの利用を検討してみる
- 直接企業に電話をして人事・採用担当セクションとコンタクトしてみる
志望者が殺到する大手企業の場合は、人事部経由のOB・OG訪問の依頼を受け付けていない場合が殆どです。リクルート用Webサイト、採用ページのQ&Aセクションに明記してあるので、必ず確認してください。
企業によっては面接で「OB(OG)訪問しましたか?」と質問してくる場合もあります。
出来ていない場合でも、「自分はやれることは全部やった」という説明ができますし、選考の結果に対する納得感にもつながります。志望順位の高い会社は、なんとか実現できるように、最大限の努力をしましょう。
OB・OG訪問を行う時の注意点
OB・OG訪問時に「セクハラ」にあたるような不快な思いをしたという学生もいるため、訪問を打診するルートは大学や企業経由の公式なものがベストです。
公式ルートでOB・OG訪問の目的を明確にし、希望が通るようなら職種や性別について人事に相談できれば尚良いです。
訪問は出来るだけ日中に行なって下さい。会食や飲み会、LINE交換等の誘いは勇気をもって断わりましょう。もしセクハラやパワハラで、少しでも不快な思いをしたら、その企業のことは一切忘れて、その事実を人事部と大学に報告してください。
そのようなOB・OGのいる企業に就職できたとしても、ろくなことはないので、他の選択肢を探すべきです。
OB・OG訪問の準備
やみくもに訪問してはいけません。先輩もあなたの為に貴重な時間を割いてくれるので準備とマナーが必要です。
質問を準備しよう:
事前に業界・業種・会社・職種の研究は必ず行い、本当に自分の聞きたい質問を必ず用意してください。
また先輩とのコンタクト手段はメールになると思いますので事前に聞きたい質問を連絡しておくのがマナーです。先輩といえども、あなたの質問にすべて答えられる訳ではありません。貴重な機会を無駄にしないためにも必ず行いましょう。
その際、WEBやオープン情報で得られる質問は時間の無駄なので避けましょう。聞くべき質問は、オープン情報では知りえない企業の現実と、自分に関してのこと、そして選考・採用に関する注意点・勘所です。
OB・OG訪問時の質問内容:
まず、自分で考えてみましょう。自分が一番気になるポイント、聞きたいことをリストアップしましょう。もう一度、オープン情報ソースをチエックして、OB・OG訪問でしか聞けない質問、本音で答えて欲しい質問に優先順位をつけていきましょう。
参考までに代表的な質問の例をいくつか挙げておきます:
会社に対しては:
- 「どんな仕事をされていて、どんな点が面白いと思うか。醍醐味。やりがいは?」
- 「本当はどんな社風?」
- 「どんな人材が評価されているか?」
- 「勤務実態・ワークライフバランスは?」
自分と就活に対しては:
- 「自分に対してどんな印象を持ったか?第一印象は?」
- 「この会社の就活で注意すべきポイントは?面接はどんな感じだったか」
- 「この会社に入社を決めた理由」
- 「入社前、入社後で一番変わった意識」
OB・OG訪問のマナー
遅刻は絶対にしてはいけません。余裕をもってスケジューリングしてください。万が一不可抗力で遅れる場合は必ず早めに連絡を入れることです。
終了時間も守ること。(親密な先輩の場合、相手が許してくれれば若干の時間オーバーは可能)必ず相手の都合を受け入れることです。
先輩は仕事をたくさん抱えているのです。先方からの直前のキャンセルも受け入れなければいけません。
メモは必ずとること。人間の記憶力はあいまいなものです。こちらの情報を先輩に渡して記録を残してください。
パソコンで写真入りの自分の名詞をつくって持参する手もあります。相手側に、自分の記録を残す一つのツールになります。
取材内容のメモ、先輩の本音の記録は必ず面接に役立ちます。真剣に話を聞いている印象を与えることができます。手土産は必要ありません。
OB・OG訪問時の服装
相手から「私服で来て」と言われない限りはリクルートスーツを着用してください。
一般的な業界の場合、相手はスーツを着用しているので、あなたが私服だとお互いに少し気まずい雰囲気になります。
自分もビジネスマン、ビジネスウーマンの自覚をもってリクルートスーツを着用してください。もちろん髪型・髭などは清潔に整えましょう。女性の場合は自然な印象のメークを施してください。遊びで友達や先輩に会うのではありません。面接に望むと思って準備してください。
訪問を依頼するメールの書き方や電話のかけ方は、別の記事で解説していますので併せて読んでください。
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