2020年上半期に勃発した新型コロナウイルスの問題。2月から3月にかけて、世界へのパンデミックが起こり、世界及び日本経済に甚大な影響を及ぼしました。
2020年3月末時点では、まだその影響がどこまで及ぶかの予測は難しい状況でしたが、その段階でアメリカや日本の政府はリーマンショック時を上回る大規模な財政支出を行い、経済を支える努力をすることを決定しました。
これは新型コロナイルスの影響がリーマンショックを上回ることを想定していることを意味し、21年卒、22年卒の就活生は、それを前提に就活戦略を組み直す必要があったのです。
もちろん、新型コロナウイルスに対する世界各国の対策が奏功し、治療薬やワクチンが新たに開発・普及し、早急に終息に向かうことを祈るのみです。
しかし未だに完全な終息には程遠い状況であり、一部の業界・企業の企業の新卒採用方針にも悪影響を及ぼし、「超売り手市場」と言われていた就活の様相は、コロナ禍でも業績が良い企業と、直撃を受けて業績が悪化した企業の「まだら模様」になっています。
2021年6月に入って、日本でもようやくワクチン接種が本格化して、もう少しでコロナの終息に期待が持てる状況になりましたが、変異種の蔓延で7月に入って第四回目の緊急事態宣言が東京に出されるなど、まだまだ安心はできない状況が続いています。
では、22年卒、更には23年卒のの就活生は、この危機に対して何をすればよいのでしょうか。それを考えるために、まず、リーマンショックと今回の危機の違いをみていきましょう。
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リーマンショックと新型コロナウイルスショックとの違い
リーマンショックは、アメリカの大手投資銀行のリーマン・ブラザースが破綻した2008年9月に端を発しています。
細かい説明は省きますが、リーマンショックとは2000年に起こったITバブル崩壊後の経済を立て直すために、米政府が金融緩和を進めたことにより住宅バブルを引き起こしたことが原因でした。
本来返済能力が不十分な人への住宅ローン(サブプライムローン)を証券化した投資商品が、米国の住宅バブル崩壊とともに 一挙に値崩れすることによって、金融機関や投資家が保有する債権が棄損し、信用不安が起こり世界的な金融危機、経済危機にまで発展した事象を指します。
リーマンショックは世界経済に大打撃を与えましたが、その本質は金融機関の破綻が実体経済への悪影響を及ぼすというパターンでした。
それに対し、今回の新型コロナウイルスショックは、人々の生命や生活を直撃して、移動の自由、観光、余暇活動、飲食、買い物、学習等の消費と、生産やサービスの提供というサプライサイドの両方に悪影響を及ぼすパターンになっています。
実際に新型コロナウイルスによる「緊急事態」が発せられた国々や大都市の光景を見れば、この状況が続くことがいかに深刻な影響を及ぼしてしまうかが直感的に分かると思います。
この実体経済で、悪影響に直撃された企業が連鎖倒産を引き起こした場合、それらの企業に債権を持つ金融機関が棄損してしまうと世界的な信用収縮(クレジットクランチ)にまで発展する可能性すら懸念されていました。
金融機関が打撃を受けると、更に実体経済に悪影響を起こすことになり、それが連鎖的に拡大していくと「大恐慌」にまで発展してしまうことになりますが、2021年の時点では世界の主要国による大型の財政出動によって、そこまでの経済危機には陥っていません。
ワクチンが普及した一部の先進国では、通常の生活に戻れる明るい兆しもみえてきました。本当に、新型コロナウイルス問題が早期に終息することを祈るばかりです。
それでも歴史から学ぶことは何時の時代でも重要です。次はリーマンショック前後で、大卒新卒の就活がどう変わったのかをみていきます。
リーマンショック前後の就活の変化
リーマンショックが起こった2008年9月は、2010年卒生の就活のプレエントリー開始(10月1日)の直前でした。
リーマンショック前後の年の卒業予定者の2月1日現在の就職内定率は以下の様な推移になっています。
政府統計引用:大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職内定状況等調査 / 令和元年度/ 令和2年2月1日現在
リーマンショックが起こった2008年の大学卒の内定率は88.7%でありは2005年から2014年の10年間の中で最高の内定率*を示しています。(*2月1日現在)
同様のデータで2020年卒の2020年2月1日現在の大卒内定率は92.3%となり、1997年からの統計で最も高くなっています。
リーマンショック直前と、現在の就活は「売り手市場」と呼ばれていた点は共通していますが、2020年は企業がより積極的に新卒の労働力確保に動いていることが分かります。
リーマンショック後の2009年の大学卒内定率は86.3%と微減、2010年卒は一気に6.3ポイントマイナスの80.0%、2011年卒の77.4%は1997年以降2020年までの最悪の内定率という推移になっています。
もちろんリーマンショック時と現在の状況は違うため、単純に比較はできませんが、経済危機が就活に及ぼす影響は若干時間差が出るということが考えられます。
これは企業のパフォーマンスと採用計画の関係を考えれば当然なことです。
- リーマンショックが起こる直前の2008年春→それ以前の「いざなぎ景気」で好調
- 2009年卒→リーマンショックが起こる前の採用計画によるため微減
- 2010年卒→リーマンショック直後の採用計画のため削減傾向(内定取り消しが始まった年)
- 2011年卒→リーマンショック後の決算により採用計画の見直しによる大幅減
2009年卒や2010年卒では、採用予定数を発表していない企業や、発表している企業でも応募した学生が採用するレベルに至らない場合は無理に採用しないという消極的運用が起こっていたと考えられます。
このパターンを2020年の新型コロナウイルスショックに当てはめてみると、以下の予測ができます。
- 2020年卒→新型コロナウイルスショックが起こる前の採用計画による空前の「売り手市場」
- 2021年卒→新型コロナウイルスショックが起こる前の採用計画によるが、悪影響を受ける度合いの強い産業・企業は採用数を減らす等の調整があり、全体の内定率は全体では微減
- 2022年卒→新型コロナウイルスの影響を受ける2020年度決算をベースに採用計画がたてられるため影響は避けられない。ただし新卒人材の人口減のため、好調・不調の業界・企業で大きな差が出るまだら模様
- 2023年卒→新型コロナウイルスの終息状況が2021年秋までに見通せる状況になれば、消費の復活によって全体的には「売り手市場」復活もありえるが、好調・不調の業界・企業の差があり、一部業界では新卒人材の採用調整が行われる
上記は全体の傾向の予測であり、航空業界、観光業界、外食産業、娯楽・イベント産業等では2021年卒から顕著な影響が出ていました。
また悪い影響とは逆に、産業や企業によっては業績を伸ばす産業や企業もあるでしょう。新型コロナウイルス関連では、人工呼吸器や人口心肺システム等の医療機器や検査機器を製造している企業などが分かり易い例です。
また「巣ごもり消費」のトレンドを上手くとらえることができた企業は業績を伸ばしたり、悪影響を最小限に抑えています。
2022年卒以降は、新型コロナウイルスがいつ終息に向かうかによって、どの産業がどれだけの影響を被るかで違ってくるので非常に予測が難しい状況です。
日本でもワクチン接種が進んだことから、悪影響を受けていた業界でも、終息状況によって今まで抑えられていた消費が一気に反動する「リベンジ消費」への期待が高まっています。
2021年に入りコロナ禍を克服しつつある製造業ですが原油価格や為替の動向、米中貿易摩擦などの要因もあるので、それらの動向は注意深くウォッチしていく必要があります。
日本では延期された東京オリンピック・パラリンピックが2021年夏に完全に近い形で開催できれば(それまでに充分、新型コロナウイルスが早期に終息に向かい制御可能であることが条件)、政府の財政出動の効果と相まってその後のV字的な回復の可能性も期待されていました。
しかし、オリンピックは一部の県を除き無観客開催という決定がなされ、2021年央の段階では未だ先行きは不透明な状況です。
コロナ禍の早期終息を願うばかりですが、2022年卒、2023年卒の就活生の皆さんがこの状況、を乗り切るためにするべきことをまとめておきます。
2022年卒の就活生がやっておくべきこと
2021年4月~9月:
- エントリーした書類選考、適性検査の選考結果をモニターしつつ、納得できる内定獲得までは志望業界、志望企業を拡大してエントリー数をアップしておく(内定獲得まで持ち駒の確保を常に行っておく)
- 面接の準備と面接の実施によって、選考結果を分析し面接力の改善を図る
- 選考結果が思わしくない場合は志望業界、志望企業を拡大し、追加エントリーを随時していく
- 一般選考ルート以外の道、スカウトサービスや内定直結イベントの参加、就活エージェントに相談して適した企業の紹介を受ける等のBプランを用意しておく
2023年卒の就活生がやっておくべきこと
4月~9月:
- 就活の全体像を把握し、危機感を以って1年間のスケジュール(アクションプランや資金計画含む)を立てる
- 自己分析と業界研究、企業研究を開始し、「自分は何をやりたいのか」、「将来なりたい自分の像」を明確にすること
- 就活や「やりたいこと」、「理想像」に向けて、自分が「最も足りていないこと」を把握して、それを改善する方法を考える事
- インターンシップに参加するための準備を具体的に開始し、積極的にエントリーをしていく
- オンライン就活への対応力をつける
- 能力試験(SPI、玉手箱他)の準備を開始し、早期に問題集に取り組む
生まれた年の巡りあわせと新型コロナウイルスの存在を呪いたいという気持ちは理解できます。でも、呪うだけでは状況は好転しません。
ここ20年間で就活が最も厳しかった2011年卒の学生は、非常に能力が高いという声が多くの企業から上がっています。
状況を変えていけるのは「あなた」であり、困難を克服して社会に出ても強い、変化に対応できる本当の力をつけていきましょう。
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