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ウイズ・コロナの就活のカギは就活の早期化対応とオンライン能力UP

2021年卒の就活は、19年の夏から実施されたインターンシップへ参加した学生の早期囲い込みが進んでいました。

2020年3月1日のエントリー解禁直前に、誰も予想できなかった新型コロナ・ウイルス感染症が就活を直撃したにもかかわらず、4月、5月の段階で早期に内定を獲得できた学生は、そうした学生達が中心でした。

その結果、2020年3月1日広就活広報禁に間に合うように2020年に入ってから就活に手を付けた学生との二極化がより鮮明に表れたのです。

21年卒の就活はオンライン化元年

新型コロナ・ウイルスが就活を大きく変えたのが、「就活のオンライン化」です。コロナ禍では、企業は自社の採用活動によって、学生が感染するクラスターを作ることは避けなければならないと考えています。

それは学生を守るためでもあり、万が一クラスターの原因になった場合、社会的な糾弾の対象になることを避けるためでもあります。

就活のオンライン化は、企業市民として自粛要請に応える中で採用活動を進める唯一の道と考えられており、特に上場企業をはじめとする大企業や知名度が重要なBtoC企業にはその傾向が強いです。

2020年では、全国で緊急事態宣言が解除された後(5月)に、採用活動が解禁される6月1日を迎えましたが、トヨタ、パナソニックや、三井住友海上火災保険のように最終面接までオンラインで行うことを発表している企業も数多くありました。

その後多くの企業が追随して、2021年卒の就活生を対象にした調査では、内定を獲得した企業の内、最終面接まで全てをオンラインで面接を行った企業は約5割、オンラインと対面の面接を組み合わせは約3割、対面のみの面接は約2割という割合でした。

つまり何らかの形で面接をオンライン化した企業は8割に達し、オンライン就活が短期間のうちにしっかり定着したことが分かるデータです。

「オンライン化」は「やむを得ない」という側面や、「本音では直接会って面接したい」という思いもある反面、学生、企業がそれぞれ発見したプラスの面があるのです。

学生は面接に参加するための交通費や時間の大幅な節約ができること、スケジュールを上手くやりくりすれば、リアルな面接以上に多くの企業の面接を受けることが可能になります。

また、自宅での面接実施となるため、過度な緊張をしなくて済むというメリットも発見しました。オンラインでの面接では、自分の主張したいことをまとめてPCスクリーンの後方に貼っておくことによって、大きなミスは防げることも安心につながっています。

企業側もオンライン就活を行うことによって、地方の優秀な学生や、海外に在住している学生に容易にリーチできるというメリットを発見しました。

23年卒ではオンライン就活が常識になる

23年卒の就活生は、今後新型コロナ・ウイルスがどのように推移していくか、ワクチン接種のスピードによっても違ってきますが、オンラインを前提とした就活が定着していくことは間違いないでしょう。

企業は常にコストをなるべくかけず、最大の効果を生むことを目指しています。新卒の採用でも、採用コストを抑えて自社が欲しい人材を必要数だけ確保することが人事に与えられたミッションです。

一言で言えば、効率化です。そのために、オンラインでできること、リアルでしかできないことを整理して、全体の効率化を図るのは当然の流れになります。

オンラインで技術的に不正を完全に防止できれば、テストセンターでの筆記試験でなくても良くなるでしょう。

一次や初期段階の面接では、むしろオンライン化を進めることで、多くの企業側の評価者も参加しやすくなるため、初期段階での属人的な判断で優秀な人材を見過ごしてしまうことを防ぐこともできるのです。

ウイズ・コロナは当然として、コロナ・ウイルスが終息したとしても採用プロセスに上手くオンラインを組み入れることが普通の就活になるでしょう。オンラインとリアルな対面のメリット、デメリットを整理した上で、それぞれのプロセスを最適化するのは人事としては当然の流れになります。

コロナ禍を経験している皆さんは、大学の授業がオンライン化、リモート化されたためにオンラインでの対応力は既に身に付いていると思います。就活を進めるためにも以下の準備・能力は重要です。

  • 早い段階からオンラインでの情報処理環境、能力を整えておくこと
  • 自宅のPCや周辺機器、通信環境の整備から、ZoomやMicrosoft Teams, Google Meetなどのオンライン会議ツールを使いこなすこと、Google Documentなどのクラウドサービスでの情報処理・共有能力を磨くこと

ウイズ・コロナの状況では、夏や秋に行われるインターンシップもオンラインで行う企業も増えています。一部の外資系企業ですが、例年春からインターンシップの募集は始めています。手をつけられるところから即行動に移していきましょう。

就活の長期化と早期化が同時に進行:2021年卒の先輩の状況

21年卒の就活は当初予定されていた2020東京オリンピック、パラリンピックの開催を前提とし、例年にも増して早期化が進行していました。

その結果、2019年の夏から開かれていたインターンシップに参加した学生を中心に、企業側が囲い込みを行っていったため、新型コロナ・ウイルスが直撃した後でも、3月、4月の内定率は20年卒を上回って推移していました。

しかし2020年5月以降の内定率は、新型コロナ・ウイルスによる緊急事態宣言の発出を受けて昨年実績を割っています。緊急事態宣言によって、ESの締め切りを延期する、採用活動(面接)を後ろ倒しにするなどの措置を講じたことが内定出しの遅れの原因でした。

オンラインシフトとスケジュールの仕切り直しが同時に行われたため、就活全体としては長期化したのです。

例年では6月中旬までに春採用の決着がついてきましたが、21年卒の6月1日時点の状況は既に内定を得た先行者や最終面接段階の就活生と、政府要請スケジュールによる選考に臨んでいる内定を獲得していない就活生が混在ていたのです。

もちろん例年でも混在はしているのですが、21年卒の場合、オンラインで選考が進んだ内定獲得者は「企業をリアルに体験していない」という人も多いため、「内定」に対して「これで良いのか」という思いが強いと分析されています。

従って、インターンシップに参加して実際に企業を体験し、その企業から内定を獲得している場合は既に就活を終えている学生も多い反面、それ以外の学生は6月以降も選考過程にいる学生も多く、例年より就活を続けている(終了させない)学生が多い傾向でした。

企業にとっては、「内定を出す数と、その中から実際に内定を承諾する数」が非常に読みにくい状況となっていたのです。

例年通りの予測で良いのか、例年以上に内定を出すべきなのか、それとも経済の先行きも不安なため、もしかしたらトップからいきなり採用数の削減の指令が出るかもしれない、等々の思いが交錯しており、企業側も走りながら考えていたのです。

学生側からも、コロナ・ショックによって「内々定取り消しなど、何が起こるか分からない」という不安から、10月1日の内定解禁まで複数内定をキープしておきたい、あるいはぎりぎりまで就活を続けたい、という声も上がっていました。

つまり例年以上に混沌とした状況、春採用の決着がつきにくい状況になっていたのです。

オンライン化がもたらした大手企業への偏り

オンライン化は大企業と中堅・中小企業の差を広げたという側面もあります。

新型コロナ・ウイルスが2月に就活を直撃した時、いち早く本格的にオンライン化に取り組めたのはIT系企業や、ITベースのベンチャーと大企業です。

これらの企業はいち早くオンライン会社説明会を取り入れ、その後、動画による選考やオンライン面接に対応してきました。

学生側は知名度のある大手企業のオンライン説明会に参加して、志望企業を絞っていくため大手企業に志望が集中している傾向が強まりました。

例年であれば、リアルな合同説明会に参加して、「面白そうだな」と思った企業と出会えたり、大学での説明会にたまたま参加して企業研究に結びつき、ESを提出するなどの中堅・中小企業、BtoB企業との出会いの場がないことが、大手集中の大きな要因なのです。

知名度のある大手企業は採用活動が進むが、知名度がない中堅、中小企業はエントリーしてくれる母集団そのものが思うように形成できていないのです。

学生が能動的に選ぶことが少ない中堅・中小企業、BtoB企業の採用活動は、例年以上に長期化する傾向となったのです。

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就活の長期化は内定を得ていない学生にとってはチャンスでしかない

新型コロナ・ウイルスの影響によって、採用そのものを中止したり、採用予定数を削減したりする企業が多くなるという不安を抱いている学生も多いと思います。

確かに、新型コロナ・ウイルスに直撃されている一部の業界、例えば航空業界、観光(旅行・宿泊)業界や外食業界、エンターテイメント業界の企業は、採用活動を凍結(一時中断)する、採用予定数を見直す(削減する)、もしくは中止する企業も出てきています。

就職情報サイトを運営するディスコが2021年5月下旬に行った全国の主要企業対象にした調査*によると、調査した1,122社の17.6%の企業が採用数を下方修正すると答えていました。

*データ引用:2021年卒 採用活動の感触等に関する緊急企業調査(株式会社ディスコ キャリタスリサーチ)

就活全体としては、新型コロナ・ウイルスの影響を受け、「売り手市場」一辺倒から変化しつつありますが、日本経済全体が受けている悪影響を考えると17.6%をどう見るかは意見が分かれるでしょう。

同じ調査で、「当初の計画通り」と答えた企業は69.5%と7割を占めます。

あなたは喉が渇いているとき、コップに残った半分の水に対し「もう半分しか残っていない」と思うのか「まだ、半分も残っている」と考えるか、どちらでしょう。

2020年5月時点で採用活動が苦戦していると答えた企業が24.9%、大変苦戦している答えた企業が7.2%あり、全体の30%以上の企業が依然高い採用意欲を示していたのです。

更に言えば、夏採用実施予定企業は47.7%、秋採用実施予定企業では28.1%にも及んでいました。

22年卒の就活の推移は21年卒よりは早めに進行しています。内定率の推移も21年卒よりは高めで推移しており、2021年5月、6月の段階では売り手市場と言われた2020年卒の内定率と同程度まで回復しています。

コロナ禍にあっても好調な業界もあり、またこの時期に大卒新卒社員を積極的に採用しておきたいという、知名度が高くないが業績が好調な中堅、中小、ベンチャー企業も多いのです。

一部の業界は例外ですが、コロナ禍にあっても、全体としては大卒新卒の人材に対する需要は底堅いのです。

6月中に内定を獲得できていない学生でも、また春採用が不調に終わった学生でも「まだまだチャンスが残っている」とポジティブに捉えて就活を継続できるのです。

23年卒就活を勝利に導くキーワードも早期化とオンライン化

23年卒の就活は、ウイズ・コロナ、アフター・コロナの状況と夏に予定されている、東京オリンピック、パラリンピックが無事に行われるか、および日本・世界経済の状況による企業業績がどうなるか等の変数によって左右されます。

その中で確実に言えることは、就活に早期に着手し、インターンシップ参加をはじめ、企業との接点をなるべく多く、厚くもっておくこと、そしてそのためにはオンラインでの情報処理能力をつけておくことの重要性です。

情報摂取、処理ツールをスマートフォンだけに頼っている人は、PCの併用をいち早く行えるようにしておきましょう。オンライン就活に備えるだけではなく、社会人としてPCスキルは必須です。

3年のリアルな学生生活が十分に出来ていない状況の中で「もう就活かよ」と思うかもしれませんが、早期に就活の全体像を理解し、スタートを切ることが「納得できる就活」する上でとても大切なのです。

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