2022年4月18日、国公私立大学と経団連の代表者による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が「産学協働による自律的キャリア形成の推進」を公表しました。
この「産学協働による自律的キャリア形成の推進」は、産学協働によるリカレント教育や地方大学を核とした産学連携の推進、また、学生のキャリア形成支援における産学の取組みとして、特に質の高い新しいインターンシップの要件提案等で構成されています。
「就活の答え」の読者、特に2025年卒以降の大学2・3年生、大学院進学予定の大学3・4年生は早めに知っておいて欲しい情報です。
就活に直接かかわるのは、質の高い新しいインターンシップの要件と、その要件を満たしたインターンシップに参加した学生の情報を、企業は「採用活動開始以降に活用できる」としている点です。
2024年卒の就活生までは、インターンシップに参加する学生の情報を採用活動に使うことは禁止されていました。
これは、大学4年生(または修士2年)の6月1日に解禁される前に行われるインターンシップが就職に直結してしまうと、学生が本来行うべき学業がおろそかになってしまうという大学側の懸念を反映しているためです。
しかしながら、現実は政府が要請している採用スケジュール(大学3年の終わりの3月1日に採用広報活度の解禁、6月1日に採用活動(選考)の解禁、10月1日に内定解禁)というスケジュールとともに、このインターンシップに参加する学生の情報を採用活動に使わないという規定も骨抜きになっています。
実際には、「実態に合わせる」、「合わせるなら、学生・企業にもメリットになるように、しっかりとした実のあるインターンシップにしたい」というのが今回の産学の合意の背景と言ってよいでしょう。
「産学協働による自律的キャリア形成の推進」は政府に受け入れられたことから、2025年卒の就活生からは、政府公認で「一定の条件を満たしたターンシップ参加」が採用活動に組み入れられることになったのです。(2024年6月に所轄三省も合意)
Contents
2025年卒の就活生が参加するインターンシップは何が変わるのか
自律的キャリア形成の推進とは、どういう意味なのか
皆さんは、「企業と学生のミスマッチ採用」が問題になっているのをご存知ですか?全産業平均で、大卒新卒人材の入社3年後の離職率が約3割にも及ぶことをご存知でしょうか?
また東証プライム市場に上場しているような企業が、経常利益がでていても事業のリストラクチャリングを行い、早期退職の募集をしている場合もあることを知っていますか?
大企業でも変化が激しく、厳しい市場での競争に負けて、赤字に陥ってなかなか復活できないことも決して珍しいことではありません。
終身雇用制度や年功序列が過去の話になりつつあるのも、「何となく分かっている、感じている」のではないでしょうか。
一方、現在の産業界では、DX人材(事業のデジタル・トランスフォーメーションに対応できる人材)が圧倒的に不足しており、その能力がある人材は引く手あまたです。
DXだけでなく、高度な専門性を持った人材は、企業が高給を提示して即戦力・中途採用で補っているのも現実です。
企業が求める仕事の変化と、変化のスピードも速いという現実、また人材側でも価値観の多様化や多様性が許容される選択肢の増加から、かつてのように「新卒一括採用、総合職採用で、長い期間をかけて一兵卒から色んな仕事を経験しながら汎用性のある人材をじっくり育てる」ことが時代の要請に合わなくなっているのです。
もちろん、急激に全てを変えることはできませんが、産学ともに「人材は、自律的にキャリア形成をすべき」と認識しており、そのことがタイトルとして使用されている重みを感じてください。
就活時点で言えば、しっかりした、本当に実のある「インターンシップ」に参加して、学生も企業も、「適性」、「能力」、「ビジョン」を共有して、学生は職業選択、企業は採用の可能性をしっかり見極めた上で志望・採用し、お互いにミスマッチを無くすとともに、生涯に渡って成長し、自律的にキャリアを形成していってほしいというのが趣旨なのです。
2025年卒のインターンシップは具体的に何が変わるのか
「産学協働による自律的キャリア形成の推進」で提案されている、インターンシップ(インターンシップと呼べるもの)は次の2タイプに分かれます。
類型 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 高度専門型インターンシップ
※試行結果を踏まえ、今後判断 |
対象 | 学部生(主に高学年)・大学院生向け | 大学院生向け |
主たる目的:学生 | その仕事に就く能力が自ら備わっているか見極める | 自らの専門性を実践で活かし、向上させる(実践研究力の向上等) |
主たる目的:企業 | マッチング精度向上・採用選考を視野に入れた評価材料の取得 | 今後拡大が見込まれるジョブ型採用を見据えた産学連携の大学院教育 |
汎用的能力・専門活用型インターンシップの内容・特徴
メインになる「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」の内容は以下のような想定となっています。
- 主に、企業単独、大学が企業あるいは地域コンソーシアムと連携して実施する、適性・汎用的能力ないしは専門性を重視したプログラムを想定
- 学生の参加期間(所要日数)について、汎用的能力活用型は短期(5日間以上)、専門活用型は長期(2週間以上)
- 就業体験は「必ず行う(必須)」。学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験
- 実施場所は、「職場(職場以外との組み合わせも可)」(テレワークが常態化している場合、テレワークを含む)
- 実施時期は、「学部3年・4年ないしは修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)」「大学正課および博士課程は、上記に限定されない」
- 無給が基本。但し、実態として社員と同じ業務・働き方となる場合は、労働関係法令の適用を受け、有給
- 就業体験を行うにあたり、「職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後にフィードバック」
- 募集要項等において、必要な情報開示を行う
- 取得した学生情報の採用活動への活用は、「採用活動開始以降に限り、可」
- の基準を満たすインターンシップは、実施主体(企業または大学)が基準に準拠している旨宣言したうえで、募集要項に産学協議会基準準拠マークを記載可
高度専門型インターンシップ(参考)
- 該当する「ジョブ型研究インターンシップ(文科省・経団連が共同で試行中)」「高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ(2022年度にさらに検討)」は、大学と企業が連携して実施するプログラム
- 就業体験は「必ず行う(必須)」
- 取得した学生情報の採用活動への活用は、「採用活動開始以降に限り、可」
2025年卒インターンシップの注意点
このように、採用に直結させるインターンシップを実施するなら、汎用的能力活用型は短期(5日間以上)、専門活用型は長期(2週間以上)、そのうち学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験を必須で行う事、という要件が設定されています。
現状の就活では、インターンシップと称して1日実施型、2~3日の短期型などを開催する企業が多く、会社説明会に近いものや、工場見学会、グループワークやグループディスカッションを行う等の面接選考に近いものも含まれています。
また、企業は採用活動に活用しないと言いながら、実質は優秀な学生と早期にコンタクトを取り、選別した上で本選考までの囲い込みを行う目的、あるいは実質的な内々定を出す目的でインターンシップを活用しているのが実態です。
従って、2025年卒用で開催されるインターンシップの全てが、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」で提案されたインターンシップなる訳ではありません。
今まで通り1日実施型、2~3日の短期型などを開催して、それを水面下で採用活動に活用する企業が行うインターンシップと、「産学協働による自律的キャリア形成の推進」の要件を満たす、産学協議会基準準拠マークがついた本格的(少なくとも5日間)の玉石混合のインターンシップが混在していくことが予想されます。
経団連に参加しているような大企業を中心に、産学協議会基準準拠マークを持ったインターンシップが開催されること、また、そこに参加するための選考は本選考以上に厳しい選考になることが容易に予想できます。
現状でも、就活人気が高い企業のインターンシップに参加するのは本選考以上に難しいハードルです。それが公認となれば、更に早期での選別が加速することになるでしょう。
ただし、インターンシップに参加しなかったからといって、当該企業の選考に参加できない訳ではありません。当該企業の一般選考にエントリーすることは可能です。そこは誤解しないで下さい。
またインターンシップに参加できた=本選考に必ずプラスになるとも限りません。
あくまで「インターンシップに参加した情報が、採用活動に活用できる」ことが、政府に認められるという意味であり、「プラスもマイナスもある」と理解して下さい。
インターンシップが行われる時期
産学協議会基準準拠したインターシップは、少なくとも5日間の開催が要件となっているため、長期休暇中の開催となる予定です。
- 汎用的能力・専門活用型インターンシップの場合:
学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)
企業側は採用したいと考えられるポテンシャルの高い学生に早期にコンタクトをとりたいという欲求が高い為、現状と同じくサマーインターンシップを開催する企業が多くなるでしょう。
- 高度専門型インターンシップの場合:
実施時期 1修士1年の冬~春季休業期間(12月~翌年3月)を中心に開催される予定
尚、詳しくは下記の記事で解説しています。是非参考にしてみてください。
経団連(日本経済団体連合会)が2023年1月10日から2月3日に経団連全会員企業(1,521社)行った「質の高いインターンシップに関する意向調査」*の結果では、回答企業数275社からの回答が公開されています。
その調査によると、タイプ3(汎用的能力型)に該当するプログラムについて、「すでに実施している」企業が37%(102社)、「2023年度より実施予定(検討中を含む)」の企業が19%(52社)であり、2023年度に実施予定(検討中含む)の企業は回答した企業の約6割(154社)という結果でした。
詳しく知りたい方は、以下の調査結果を参照して下さい。
データソース:「質の高いインターンシップに関する意向調査」2023年3月23日(一般社団法人 日本経済団体連合会)
大学1年、2年の時から「自分の職業」について考え、「就活」を意識しよう
大学の4年間はあっという間に終わります。
現在でも就活は既に早期化しており、大学3年の6月にはサマーインターンシップへのエントリーが始まります。
インターンシップはエントリーすれば参加できるものではなく、人気企業のインターンシップはエントリーシートの作成や、SPI等の能力検査、面接選考まで実施する企業も多いのです。
参加のためのハードルを越えるためには、大学2年の春休みから、または3年になった4月から就活に意識を向けて、それなりの対策や準備をしていく必要があります。
もちろん、早期から全力で就活に取り組もうと言っている訳ではありません。
人間は緊張感を保ち続けることができる期間に個人差が大きく、就活本番までに疲れてしまっては元も子もありません。
「就活の答え」では、早期に「就活」の全体像、スケジュールや、必要な準備の全容を把握して、少しずつでも良いので「就活」を学生生活の中に組み込んで行くことをお勧めしています。
自分自身と職業の関係を考えてみよう
就活を意識し始めて一番初めにつきあたる問いは「自分は何になりたいか?」ではないでしょうか。
以前から「自分は○○になりたい」が決まっていた人の中には、大学もそれに向けた専攻を選び、迷いも何もない学生もいると思います。
しかし、大半の就活生は小さい時から、親や友達から「将来は何になりたいの?」と尋ねられたこの質問に、直に答えられなかったのでは?
答えられたとしても、年齢を重ねていくうちに価値観や興味が移り変わり、「将来の職業」はだんだん漠然としたものになっていくものです。
就活生の皆さんの多くは、今まで漠然としか意識していなかった、「これからの人生、自分は何をして生きて行くのか、自分でお金を稼いで生活していくのか」の問いに直面していると思います。
この問いは就職事情の好況、不況という客観的な状況に関わらず、どんな時代でも自分にストレートにつきつけられる問いなのです。
何故「自分は何になりたい」が決まっていないのか?
欧米の教育では小さい時から教育プログラムの中に職業選択のためのプログラムが用意されていて、将来のなりたい自分をはっきりイメージしている学生が大半です。
大学の専攻もそれに基づいて選択する学生が多いのに対し、日本では「一流大学」→「一流企業」という親が考えるレールに幼いころから塾→受験という「方法」をこなすことが目的化されてしまっていることが主因です。
乱暴に言えば「ブランド」さえあれば「内容・中身」は問わない、という流れに親も子も流され本質的な「何をして生きて行くか」に向き合っていないのが原因です。
そして就活本番を迎える直前で、極めて短期間でこの問題に向き合うことになります。
就活で言う「自己分析」を、人によっては膨大な時間を使って行なうことで、かえって迷宮に陥ってしまう場合や、逆に「憧れの業界や企業の情報をみて、本当の自分は違うのに、企業が求める人材像に合わせてしまう」ということが起こります。
これらは、企業とあなたのミスマッチの原因となります。
それを防ぐために、早期に「自分の将来、自分は何をして生きていくのか」の問いに向き合い、就活を意識して、実のあるインターンシップに参加する価値は大きいと言えます。
自分の人生の大半を占める「職業・仕事」を真剣に考えることから、「就活」の一歩を踏み出しましょう。
「就活の答え」はその一歩から内定、内定後まで「あなた自身のベスト」を追求できるように情報提供をしています。ブックマークをして、折々に必要な情報をみつけてみて下さい。
尚、政府は、「2026年3月以降の卒業・修了予定者の就職・採用活動日程については、今後の経済情勢と企業の採用活動の関係や産学協議会で検討されているインターンシップの見直しの動き等を見極め、そのあり方を含め検討を行う」としており、2026年卒の就活生は政府要請のスケジュールの見直しが行われるかもしれません。
情報のアンテナは立てておきましょう。
参考記事:
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