「就活の答え」では代表的な専門商社の概況を専門分野別で紹介していきます。
この記事では繊維系商社の内上位企業3社の概況を、直近年度の有価証券報告書や中期経営計画を基にまとめています。短時間で読めるようにコンサイスにまとめていますので参考にしてください。
専門商社と一口に言っても、国内外のメーカー企業に製造に必要な原料、素材、部品などを主に輸入して供給する上流部分を主な事業とする商社、製品や商品を国内のユーザーや小売業に卸売することを主な事業にしている商社、その両方を事業としている商社があるため注意が必要です。
それによって「海外」への向き合い方も違っていますので、専門的に取り扱っている分野とともに、商社毎の事業の内容を把握しておきましょう。
また専門といっても、就活生が志望するようなある程度の規模の商社の場合、そのカテゴリーのみを扱っている商社は稀であり、大手繊維系商社の場合は、繊維以外の化学素材・アパレル、エレクトロニクス、機械等の事業を展開しています。
従って、扱う商品やサービスに関しては、あまり限定せずにその商社の全事業を俯瞰して、研究しておくことも大切です。
Contents
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代表的な繊維系商社の業績と概況
東レインターナショナル株式会社
2022年3月期連結決算(2021年度)
売上高 (百万円) | 570,122 |
営業利益 (百万円) | 12,098 |
経常利益 (百万円) | 14,975 |
税引前当期純利益 (百万円) | 14,952 |
当期純利益(百万円) | 11,010 |
従業員数:国内(人) | 563 |
従業員数:海外(人) | 866 |
子会社 | 5社 |
関連会社 | 1社 |
兄弟会社(親会社の子会社) | 3社 |
東レインターナショナルは1986年に東レグループの商事活動を担うことを目的に設立され、「メ―カー商社」として成長してきました。
グローバルな取引を通じて蓄積した経験とノウハウ、さらに日本を含む世界23ヶ国・地域の販売拠点を活かし、原料から最終消費財まで幅広くビジネスを展開しています。
長期経営ビジョンとして “SUPPLY CHAIN INNOVATOR” -世界を舞台に素材と加工と流通で新たな価値を創出するGLOBAL MARKETING AND MERCHANDISING FORCE(GM2F) を掲げています。
東レグループのリソースをフル活用するとともに、東レグループにとらわれない常に新しい発想によるお客様へのソリューションの提案や新たな事業の創出にも挑戦しています。
東レが生産しているのは繊維製品だけではなく、素材、化学品、電子部品、機械、水処理、環境、アパレルなど多様なため、東レインターナショナルも繊維は扱っていますが、繊維商社の枠では語れないほど扱い商品は多様化しています。
具体的な取り扱い品目は以下を参照してください。
- 合繊原糸原綿、レーヨン、綿花、羊毛、紡績糸、不織布、工業用吊下スリング
- 合繊織物、ニット、綿・TC織物、縫製品一般、 ウルトラスエード®、皮革製品
- 繊維・プラスチック製造加工プラント・機械一式
- 繊維産業関連助剤・油剤・サイジング剤・染料
- 合繊原料化学品、ファインケミカル、炭素繊維 トレカ® 、コンポジット部品、鉄鋼
- プラスチック各種樹脂、フィルム
- 電子材料・電子部品、印刷材料、カラーフィルター、光ファイバー、水処理機器、
- コンピュータ周辺機器、セラミックス
- 輸入カーペット
- 家庭用浄水器 トレビーノ®、
- EMSトレーニングマシーン トレリート®
- 眼鏡拭き トレシー®、
- トレシー®工業用、
- スキンケア トレシー®、
- ブランドサングラス
2022年3月期(2021年度)連結業績概要
東レインターナショナルの2022年3月期におけるグループ連結業績については、売上高が14.2%増の、5,701億22百万円となっています。
利益面では、営業利益が前年同期比で12.4%増の120億98百万円、経常利益が前年同期比で14.8%増の149億75百万円、当期純利益は前年同期比18.2%増で、110億10百万円となり、総じて増収・増益の決算となっています。
長期経営ビジョン:
東レインターナショナルは、長期経営ビジョンとして “SUPPLY CHAIN INNOVATOR” を掲げ、素材と加工と流通で新たな価値を創出する GLOBAL MARKETING AND MERCHANDISING FORCE(GM2F)を「あるべき姿」としています。
東レグループのリソースをフル活用するとともに、常に新しい発想による顧客へのソリューションの提案を強化や、東レグループにとらわれない新たな事業の創出にも挑戦していく方針です。
就活で東レインターナショナルを志望する方は、親会社である東レ株式会社の繊維事業の研究は当然として、東レ全体の企業理念、中長期計画や戦略も把握しておくことをおススメします。
繊維ビジネスの全体像、幅広い産業での用途や新技術、新規繊維の創出、高機能製品や先端素材に興味や関心を深め、自分自身のビジョンや志望動機を固めていきましょう。
蝶理株式会社
2022年3月期連結決算(2021年度)
売上高 (百万円) | 284,096 |
経常利益 (百万円) | 10,274 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 6,811 |
包括利益(百万円) | 8,157 |
従業員数(人) | 1,322 |
外、平均臨時雇用者数 | 133 |
子会社 | 36社 |
関連会社 | 8社 |
蝶理の親会社は株式会社東レであり、東レが蝶理の株式の52.69%(2022年3月末)を所有しています。
蝶理は上場企業ですが東レのグループの企業という位置づけです。
蝶理及びグループ各社は、繊維事業、化学品事業、機械事業、その他の事業を展開しています。事業セグメントでの取扱商品は以下の通りです。
- 繊 維:
- 各種合成繊維及び天然繊維の原料、各種織物、編み物、不織布及び関連商材、各種衣料製品、産業用繊維資材及び関連商材
- 化 学 品:
- ウレタン原料、樹脂原料、樹脂添加剤、化粧品原料、ガラス原料、電子部品用原材料、電池関連材料、医薬品・農薬中間体、表面処理剤、食品原料・食品添加物、飼料及び飼料添加物等の各種化学品
- 機 械:
- 四輪車・二輪車・トラックなどの輸送機器、農業用機械、建築機械及び関連資材
- その他 :事務処理受託業
2022年3月期(2021年度)連結業績概要
蝶理の2022年3月期におけるグループ連結業績については、売上高は前期比31.4%増収となり、2,840億96百万円という結果でした。
利益面では、増収効果等による売上総利益の増加等により、営業利益が前期比154.6%増の93億28百万円、経常利益は前期比120.6%増の102億74百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比446.2%増の68億11百万円で、売上、利益とも前期(2021年3月期)の減収・減益決算から反転して、大幅な増収・増益を達成しています。
その結果、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は最高益を更新しています。
2022年3月期連結決算での事業セグメント別業績概要は以下の通りです。
2022年3月期(2021年度) 事業セグメント別業績概要
事業名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益・損失(百万円) | 利益構成比 |
繊維 | 115,539 | 40.7% | 2,980 | 28.6% |
化学品 | 164,155 | 57.8% | 7,410 | 71.0% |
機械 | 4,323 | 1.5% | -6 | -0.1% |
その他 | 77 | 0.0% | 45 | 0.4% |
合計 | 284,096 | 100.0% | 10,430 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -155 | ー |
計上額 | 284,096 | ー | 10,274 | ー |
中期経営計画
蝶理は現在、2022年度を最終年度とする中期経営計画「Chori Innovation Plan 2022」(2020年5月29日開示)を策定し、その基本戦略や諸施策を実行中です。
基本戦略は「連結経営基盤強化」、「次世代型ビジネスモデル創出」、「コーポレート・ガバナンス」、「コンプライアンス」、「人的基盤強化」を柱として、事業上及び財政上の優先課題として捉え、事業を展開しています。
またこの中期計画では、セグメント別に戦略が設定されています。概略は以下の通りです。
- 繊維事業:
- 繊維総合力の強化
- グローバルサプライチェーンマネージメントの拡充
- 蝶理オリジナル商材のグローバル提案とマーケティングの強化
- 化学品事業
- 事業投資・新規開発の強化、推進
- グローバル展開の加速
- 事業HQの最適地への移転
- ミヤコ化学を軸とした事業子会社の充実
- M&Aによる事業範囲の拡大新規開発・事業投資、M&Aを通じて、事業投資型ビジネスモデルを推進し、事業範囲の拡大・収益構造の転換を図る
- 機械事業
- 世界四極+1(インド)の市場開拓
- 車輛取引から商材を拡大、収益モデルへ転換
- 世界各地のグローバル企業との戦略的連携
上記は中期計画の骨子のみですが、就活で蝶理を志望する皆さんは、企業研究を深め蝶理の事業を理解するのは当然として、中長期の事業戦略もしっかり把握して、自分自身のビジョンや志望動機を固めていきましょう。
帝人フロンティア株式会社
2022年3月期連結決算(2021年度)
売上高 (百万円) | 181,593 |
営業利益 (百万円) | 2,633 |
経常利益 (百万円) | 1,960 |
税引前当期純利益 (百万円) | 3,379 |
当期純利益(百万円) | 2,045 |
従業員数(人)単独 | 877 |
グループ会社(国内) | 15社 |
グループ会社(海外) | 21社 |
上記、帝人フロンティアの2022年3月期(2021年度)業績は、事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号 2020年3月 31 日)を適用した結果となっています。
「収益認識に関する会計基準」の主な変更点としては、衣料繊維用途製品及び産業資材用途製品の一部の取引について、従来は、顧客から受け取る対価の総額で収益を認識していました、顧客への財又はサービスの提供における帝人フロンティアの役割が代理人に該当する取引については、顧客から受け取る額から仕入先等に支払う額を控除した純額で収益を認識している点です。
また、この会計基準の変更による営業利益、経常利益及び税引前当期純利益に与える影響はありません。
企業研究で、前年もしくは暦年の業績比較をする場合は上記の点を考慮して下さい。
帝人グループ
繊維・製品を主たる事業とする帝人フロンティアグル―プ各社は、帝人グループの中で、「業界で唯一の繊維製造と販売を一貫で手掛ける事業体」という特色があります。
売上高9,261億円、21,815人の従業員(連結)を擁する帝人グループ(2022年3月現在)は、以下の事業領域を展開しています。
- マテリアル事業領域:
- 高機能材料、複合成形材料の製造・販売等
- ヘルスケア事業領域:
- 医薬品と医療機器の製造・販売及び在宅医療サービス等の提供
- 繊維・製品事業:
- 繊維製品等の製造・販売
- IT事業:
- システムソフトウェア開発等の情報関連事業
- その他:
- 機器の製造・販売・メンテナンス、再生医療等製品及び関連製品の開発・製造・販
帝人の「繊維・製品」事業グループ全体で2,825億円の売上(帝人グループ全体の連結売上高の約30.5%)をあげています。
参考情報 | |
帝人㈱ 繊維・製品事業グループ売上高 | 2,825億円 |
帝人㈱ 繊維・製品事業グループ売上高 | 56億円 |
帝人㈱ 繊維・製品事業グループ従業員数 | 5,505人 |
帝人グループ中で、帝人フロンティアは、繊維製品事業セグメントの中核企業として、国内外のグループ会社約36社を率い、衣料と産業資材(工業用繊維など)の二つの分野で、世界のさまざまな顧客に対して原料から最終消費財までの幅広い製品群を供給しています。
繊維事業の中核を担い、ニーズの分析・解析、研究・開発、原糸製造から小売展開までの幅広いサプライチェーンを背景に持つことで、より高度な差別化商品の開発力によって顧客のニーズに合った商品や市場にない商品やサービスを創出・提供していくことを可能にしています。
また原糸から素材・製品化までの一貫型開発・生産により、これまで以上にスピーディーな対応を行うとともに、繊維だけではなく、樹脂・フィルムをはじめとする化学品にも注力しています。
主な扱い品目は以下の通りです:
- 繊維原料・衣料製品、工業資材、産業資材、車輌資材、インテリア関連製品、生活用品、樹脂、フィルム化学品、工業製品、包装資材、建設資材、人工皮革、ヘルスケア用品、クリーン製品、その他各種機械などの販売および輸出入取引
「商社機能」と、合成繊維メーカーがもつ「技術力・開発力・生産力」といった「メーカー機能」を併せ持ち、素材の開発・調達から製品化、その販売に至るまでの一貫したグローバルなバリューチェーンを構築できることが強みの企業です。
新卒で帝人フロンティアを志望する皆さんは、帝人フロンティアの企業研究を深めるのは当然として、親会社である帝人の中長期戦略の概要も把握しておきましょう。
まとめ
専門商社を目指す就活生は、その分野の代表的な企業を深く研究することが不可欠です。各社の戦略に違いがあり、その特徴を自分の価値観や強み、就活の軸に照らして吟味して、志望動機を磨いていきましょう。
そのマッチングが曖昧だと、上位企業の選考には勝ち残れません。「商社ビジネス」への憧れや、海外志向から志望業界にするのは良いですが、専門分野と企業研究に時間をかけて取り組んでください。
繊維専門商社の場合、化学製品やアパレル、車両、住宅・生活、環境・インフラ、ヘルスから領域など、事業分野は皆さんの想像以上に拡大しています。
海外に輸出展開している企業も数多く、「商社ビジネス」に興味を繋げた方は、ぜひ積極的にチャレンジしてください。
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