就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
生命保険業界情報の7つのポイントを押さえよう
- 生命保険業界のビジネスモデルを理解しよう
- 生命保険業界の現状と課題・未来
- 生命保険会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 生命保険会社に働く人のモチベ―ションは何か
- 生命保険会社に向く人、向かない人は誰か
- 生命保険業界の構造
- 具体的な主要企業名
Contents
生命保険会社のビジネスモデル
生命保険の本質は、家族や大切な人が、死亡や、病気、事故や怪我などによる万が一の事態によって生じる経済的不安に備えるものであり、生命保険会社は多くの人や企業活動を支える社会的な役割を担っています。
生命保険は、大勢の加入者があらかじめ保険料を負担しあい、「もしも」のことが現実に起きたときに給付を受ける仕組みです。
加入者は自分や家族に起こるかもしれない、万が一に備え、残された家族が経済的に困窮してその後の人生に極力悪い影響を及ぼさないように保険金を支払います。
日本人は保険に対する意識が高く、大半の方が何かしらの生命保険に加入しています。日本の生命保険の世帯加入率は個人年金を含む生命保険全体で9割弱となってします。(公益財団法人生命保険文化センターの調べ)
生命保険会社は加入者から預かった保険金を運用し、被保険者が保険契約に該当する事態になった時、受取人に契約で保障された給付金を支払えるようにしておく責務があります。
保障の対象は死亡や病気、ケガ、介護、教育資金、老後の生活資金などが主なものですが、保険会社各社は、様々な顧客のタイプやライフステージのニーズをとらえて保険商品を開発し、加入者を獲得するように競争しています。
また、保険契約は長期間に渡るものがほとんどであり、解約を防止したり、ライフステージの変化に合った保険の見直しを勧めたりという、契約を維持するための活動も重要です。そして被保険者が万が一の事態になったとき、迅速に給付金を受取人に支払うことも重要な役割なのです。
生命保険の利益はどのように生まれるのか
保険料は、3つの予定率「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」で成立しています。これが「保険の3利源」と呼ばれています。分かり易く死亡保険を例にとって説明すると以下のようになります。
過去の統計から死亡人数を予測し、その年の死亡人数がAなら、Bの金額の保険金支払いがあるとの予見をする際、死亡率をある程度高めに設定することで、生命保険事業の安定化を図ります。常に死差率を生み出し、これによる利益が「死差益」です。
保険料の運用を率で設定します。保険金が、しっかりと安全に運用されるために、予定利率の算定方法の一部分は法律で規定されています。契約者に約束した保険金を支払うための予定利率以上の運用を行うことによって出るのが「運用益」です。
保険会社の必要経費(広告費・人件費・家賃等)を見積。実際の支出と、少し余裕目の見積額の差額が、保険会社の利益となります。
生命保険会社の経営は、その事業の特性上、基本的には、生命保険の保有契約高の規模が大きいほど基礎利益が大きく、収益基盤が安定するストック型経営といえるでしょう。
生命保険業界の現状と課題・未来
生命保険業界全体としては増収基調が続いています。
銀行窓販の強化や、保険の販売ショップへの注力、また伝統的な死亡保険から、医療保障や貯蓄性商品の販売に力をいれたり、顧客のライフステージやニーズに合うように保障を組み替えられる商品の開発などで、保険契約高の減少トレンドのなかでも保険契約数、保険料収入を伸ばしてきたのです。
しかし就職するということを前提に、長期の視点で生命保険業界をみていくと、今後ビジネスの環境は厳しくなることが予想されています。
日本の個人生命保険の市場規模は、総人口に対する労働人口の比率が1997年をピークに減少に転じたのに伴い、保有契約高ベースでは 1996 年度の 1,495 兆円をピークに減少に転じ、2019年度は 829 兆 9,003 億円となりピークの 55%の水準となっています。
労働人口比率と保有契約高との相関は高く、2030年ごろまでは労働人口比率は現在の水準のまま推移すると予測されているため、それまでは保有契約高が大幅に落ち込むことは想定しにくいものと分析されています。
しかし、20年後の2038年には労働人口比率が50%を下回る事が予想さえているため、保有契約高は1987年の水準の744兆円まで落ち込むことが予想されています。
このように人口減少と少子高齢化に直面する日本では、マクロでみると生命保険業界の未来は明るいとは言い難いのです。
人口動態を更に詳しくみていくと、生命保険 会社の主な顧客である「団塊の世代 」と呼ばれる人口のボリューム層が後期高齢者(75歳以上)となる2025 年以降、高齢者向けの既存商品(相対的に保険料が高い一時払い終身保険、年金・医療・介護保険等)の販売増にうまく繋げることができるのかという営業上の課題も見えきます。
更にその10年後の2035年には、 「団塊の世代」はすべて死亡平均年齢に達するため死亡数がピークに近づきます。同じく人口のボリューム層である「団塊ジュニア世代」がすべて 60歳以上となります。
現在の主要顧客である「団塊の世代」と「団塊ジュニア世代」は大幅に減少し、保険金の支払いが急増することが想定され、生命保険会社の経営に影響をあたえることが予見されているのです。
世帯数・世帯構造・社会保険料の影響
人口以外のマクロの変化も生命保険業界に営業を与えます。
世帯数は増加傾向が続いていましたが2020年に5310万世帯をピークに減少に転じることが予想されます。今まで世帯数の増加が、人口減少をオフセットして保険契約数の伸びに貢献してきましたが、それももう間もなくピークアウトします。
世帯構造の変化という視点では、女性の単身者世帯の増加が、女性のための保険の販売増につながってきました。このように顧客のライフスタイルやニーズに合った商品を開発できれば保険契約数の維持・増加が期待できるチャンスでもあります。
高齢化に直面している日本では医療費・介護費が増加し、それを支えるために社会保険料も上昇していく状況が続いていくでしょう。
所得が順調に増えてまかなえれば良いのですが、総務省の「家計調査」によれば、消費者の収入(実収入)、可処分所得は、リーマン・ショック後に減少し、その後は、ほぼ横ばいのままです。
そのため実収入に対する社会保険料の比率が高まり、そのことが将来的に家計内の「保険のリストラ」に繋がるリスクも考えなければなりません。
更に2019年6月に金融庁のワーキンググループが報告した『「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)』が、年金2000万円不足問題として政治的・社会的に注目され大きな関心を呼びました。
人生100年時代を迎え、平均的な世帯で年金だけでは不足する金額、2000万円を65歳の定年までに貯蓄できるように投資にも目を向けて自助努力しようという内容でした。
生命保険会社にとっては家計の見直しから「生命保内容と生命保険料の見直し」に繋がるリスクもありますが、寿命の延びや高齢になった時に必要な保障やサービスに注力した新しい保険を開発して販売するチャンスの両面があると考えてみましょう。
通販型の生命保険会社では、入院や死亡保障金を少額に設定した商品や、葬儀費用を賄う目的に限定した商品を高齢者に対して比較的少額の保険料で開発・販売しています。
若い世代にはネット専業の保険会社が、スマートフォンから簡単に見積もりや契約ができる保険の販売に注力しています。
就活にあたっては、ネガティブな事実や市場の変化を理解して、それをチャンスに変えていくマインドセット、発想をしていきましょう。
海外展開に活路
このように長期視点では、日本市場のビジネスのボリュームは縮小傾向が避けられないため、日本国内だけでは成長は難しいことは明らかです。
従って日本の大手生命保険会社は保険の普及率がまだまだ低く、人口増加や経済成長が見込める新興国への進出を積極的に行う経営戦略を実行しています。
現地の保険会社との業務提携や買収によって、海外での事業基盤をつくり、海外事業を収益の柱にしようというものです。
生命保険業界を目指そうと思う方は、是非この国際化への対応を考えてみてください。
海外での生命保険ビジネスの展開は、その国の文化や価値観、どんな仕事があり、どういう生活状況なのか、現地の状況理解する必要があります。
その上で現地の提携先、あるいは買収した保険会社のスタッフとともに、日本の生命保険ノウハウをベースにして、且つ現地のニーズに合った商品を開発していくという非常にやりがいのある仕事に携われるチャンスでもあります。
テクノロジーとデータの活用による新商品開発
生命保険業界内で検討されているのが究極のカスタマイズ商品の開発です。
IoTやAIの技術、個人情報のコネクティビティとビックデータの活用ノウハウの構築が大前提ですが、コンピュータが個人個人のリスクとニーズを判断して特定の個人に向けた究極のカスタマイズ商品の提供が可能になる訳です。
このようなテクノロジーの変化は生命保険会社の利差益、危険差益、費差益をベースとした保険の商品設計そのものを変えてしまうと言われています。それにともない生命保険会社の収益構造が変わり、ビジネスモデルそのものが変わってしまう可能性もあります。
何時の時代でも、技術の革新は事業にとってリスクでもありチャンスでもあります。数学やITを専攻している方で、業界に興味があればぜひ深堀してみてください。
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