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【就活の業界研究】ハウスメーカー業界の構造と主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」ではハウスメーカー業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

ハウスメーカー業界情報の7つのポイントを押さえよう

  • ハウスメーカーのビジネスモデルを理解しよう
  • ハウスメーカー業界の現状と課題・未来
  • ハウスメーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • ハウスメーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • ハウスメーカーに向く人、向かない人は誰か
  • ハウスメーカー業界の構造
  • 主要ハウスメーカーの現況

この記事ではハウスメーカー業界の構造と主要ハウスメーカーの現況やその事業を取り巻く状況をまとめて解説します。

自分の未来をこの業界、ハウスメーカーに託したいと思えるか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

ハウスメーカー業界の構造

全国で家を造る会社を総数と考えると、年間施工数が10棟に満たない中小企業が全体の8割を占めています。

その街にしかない工務店も家を造る会社なので、そう考えると頷ける数字です。

また全国の新設戸建着工数の内、大手ハウスメーカー10社を合計しても、そのシェアは30%程度です。つまり、残りの70%の大半の一戸建てを受注しているのは地域の工務店という構造になっています。

この記事では就活生にとって興味がある、全国展開しているハウスメーカーに絞って分析し、その中でも上位5社に関しては直近の業績と概況をまとめておきます。

ハウスメーカーの工法分類

ハウスメーカーと一口に言っても、各社ごとに得意とする構造・工法が異なります。一覧表にすると以下のような分類になります。

工法名 主な企業・ブランド名
在来軸組工法 住友林業、一条工務店、積水ハウス、桧家ホールディングス、日本ハウスホールディングス、タマホーム、アキュラホーム等
枠組壁工法(2×4工法) 三井ホーム、住友不動産、三菱地所ホーム 等
木質パネル工法 ミサワホーム、ヤマダホームズ(エス・バイ・エル)等
軽量鉄骨構造 積水ハウス、大和ハウス、セキスイハイム、パナホーム、トヨタホーム
重量鉄骨構造 旭化成ホームズ

それぞれの工法には、メリット、デメリットがあり、坪単価や建築に必要な期間にも違いがあります。

工法名 特徴
在来軸組工法 日本に昔からある木造軸組工法で、最もポピュラーな伝統的工法です。間取りの自由度が高く、リフォームにも対応しやすい工法です
枠組壁工法(2×4工法) 柱や梁で家を建てていくのではなく、壁や天井の面で家を建てていく工法です。アメリカから輸入された工法で、マニュアル化、単純化されているので、工期が短く高気密・高断熱の省エネ性能が高い住宅です
木質パネル工法 住宅の床・壁などの構造体をパネルとして、工場で生産したものを現場にもちこんで組み立てるプレハブ工法。施工の均一化が可能で工期が短いメリットがありますが、搬入の制約があり、クレーンが入れない狭小地には向いていない工法
軽量鉄骨構造 厚さ6mm未満の鋼材を主として用いた工法で、重量鉄骨構造や鉄筋コンクリート構造と比較すると低コストになり、工期も短くて済む。業界最大手ハウスメーカーが得意の工法ですが、構造上、大空間・大開口等のプランの自由度に限界がある場合もある
重量鉄骨構造 厚さ6mm以上の鋼材を主として用いた工法で高コストにはなるが、最も耐久性のあるある工法。構造上、大空間や吹き抜け、大きな間口なども可能な工法
鉄筋コンクリート構造(RC造) 鉄筋コンクリートを用いた工法で、重量鉄骨構造と比較してプランの自由度が高い。建物本体の建築コストが高くなるが、耐火性、耐久性が高くいという特徴がある

高い木造軸組工法(伝統工法)のシェア

大手ハウスメーカーを目指している皆さんは意外に思えるかもしれませんが、住宅産業研究所による戸建の工法別シェアのデータでは、木造軸組工法は全体の71.3%を占めています。

次にくるのはプレハブ15.2%2x4工法の10.8%、その他2.7%の順になっています。2×4と合わせ、全体の約82%が木造住宅というデータです。(平成30年度実績)

国土交通省の住宅着工統計でも、令和3年度の新設着工住宅戸数総数865,909戸の内、木造は502,820戸(58.1%)、非木造が363,089戸(41.9%)での割合であり、マンション等の共同住宅を含んだ新設着工住宅戸数総数からみても、尚、木造のシェアが高いことが分かります。

もちろん戸数には分譲住宅も含まれているため、注文住宅を主なビジネスソースとするハウスメーカーに直接あてはめることはできませんが、コストも含め日本人の木造住宅に対する需要の高さを物語っているデータです。

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ハウスメーカー業界上位5社の現況

ハウスメーカー業界上位5社の現況を直近年度の有価証券報告書や中期経営計画を基に概要を解説していきます。

大和ハウス工業株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 4,908,199
経常利益 (百万円) 456,012
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 308,399
包括利益(百万円) 352,742
従業員数(人) 49,768
外、平均臨時雇用者数 22,737
連結子会社 432社
持分法適用関連会社 54社
持分法非適用関連会社 1社

大和ハウス工業の事業セグメント

大和ハウスグループは戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギー及びその他の7事業を主として行っており、グループ企業とともに生活基盤産業への総合的な事業を展開しています。

その事業は戸建住宅・賃貸住宅・マンション・リフォームを中心とした「Housing」、商業施設・物流施設・医療介護施設・不動産開発・環境エネルギー等の「Business」、ホテル・ホームセンター・フィットネスクラブ等の「Life」と、多様な分野に広がっています。

企業としては、もはやハウスメーカーと呼ぶには相応しくないと思いますが、ハウスメーカーへの就職をモチベーションにしている方向けに、他社と比較できるようハウスメーカー事業関連の以下、3事業のセグメント情報及びその活動を中心に簡単に解説していきます。

  • 戸建住宅事業:戸建住宅の注文請負・分譲
  • 賃貸住宅事業:賃貸住宅の開発・建築、管理・運営及び仲介
  • マンション事業:、マンションの開発・分譲・管理
  • 商業施設事業:商業施設の開発・建築、管理・運営
  • 事業施設事業:物流・製造施設、医療介護施設等の開発・建設及び仮設建物の建築・管理・運営
  • 環境エネルギー事業:再生可能エネルギー発電所の開発・建築、再生可能エネルギーの発電及び電力小売事業等
  • その他事業:リゾートホテル事業及びその他の事業

大和ハウス工業は、2021年4月より事業本部制の運用を本格始動し、事業特性に応じたリスクマネジメント体制を強化するとともに、グループ会社も含めた事業バリューチェーン一体でお客様に価値あるサービス提供していく体制で事業を展開しています。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期の大和ハウス工業の連結業績は、売上高が4,908,199百万円(前連結会計年度比、以下前年度比10.6%増)となり増収を達成しています。

利益面では、営業利益が465,370百万円(前年度比21.4%増)、経常利益は456,012百万円(前年度比21.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は308,399百万円(前年度比36.9%増)となり、増収と大幅な増益を記録した年度となっています。

なお、営業利益には退職給付数理差異等償却益96,656百万円を含んでおり、数理差異等を除いた営業利益は368,714百万円(前度比11.0%増)でした。

2022年度の国内全体の住宅市場における新設住宅着工戸数は、分譲住宅及び貸家が前年比プラスとなったものの、持家が減少したことにより全体では前年比がわずかにマイナスでした。

一般建設市場でも、建築着工床面積において、事務所の使途が減少し、全体では前年比がわずかにマイナスという環境の中で、大和ハウスは増収増益を達成したことになります。

2023年月期(2022年度)の売上、利益とも前期に引き続きでコロナ以前の水準以上を達成しています。

2023年3月期の事業セグメント別の業績は以下の通りです。

2023年3月期セグメント別業績 (2022年度)

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
戸建住宅事業 903,101 18.4% 46,666 10.6%
賃貸住宅事業 1,143,863 23.3% 109,710 24.8%
マンション事業 475,631 9.7% 40,879 9.3%
商業施設事業 1,083,151 22.1% 132,984 30.1%
事業施設事業 1,101,964 22.5% 99,630 22.6%
環境エネルギー 143,386 2.9% 6,285 1.4%
その他事業 57,100 1.2% 5,497 1.2%
合計 4,908,199 100.0% 441,654 100.0%
調整額 23,716
計上額 4,908,199 465,370

戸建住宅事業の概況:

戸建住宅部門では、事業本部制移行に際し、事業ミッション「『続く幸せ』を、住まいから」及び、事業ビジョン「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」を策定し、新しいミッション・ビジョンのもとで、お客様の人生に寄り添い、地域に密着した事業展開を推進しています。

具体的な取り組みは以下の通りです。

  • 主力鉄骨造商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、木造住宅商品「xevo Granwood(ジーヴォグランウッド)」、3・4・5階建「skye(スカイエ)」を中心に、オンラインで家づくりができる「Lifegenic(ライフジェニック)」を提案
  • 富裕層をターゲットとした最高級戸建住宅商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を拡販
  • 快適に在宅勤務ができるオリジナルのテレワークスタイル「快適ワークプレイス」、「つながりワークピット」、家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」等の課題解決提案の強化
  • デジタル技術を使った提案力を強化し、初回提案時におけるプランの3D化やWEBコミュニケーションツール「LiveStyle診断」等をスタート
  • 業界初となる24時間防犯カメラ機能付きインターホンを搭載した戸建住宅向け宅配ボックスを開発し、防犯や社会課題の改善に取組む商品を提案
  • 新築住宅だけでなく、リフォームや自宅の住み替え・売却、住まい探しや家具の提案等、ライフタイムバリューに対応した提案の拡大

海外では、主要進出エリアの米国において、経済が好調な米国東部・南部・西部を結ぶスマイルゾーンでの戸建住宅事業の展開を進め、東海岸のStanley Martin Holdings, LLC、西海岸のTrumark Companies, LLCに加えて、2021年9月に南部のCastleRock Communities LLCをグループに迎えることで事業拡大の基盤を強化する等、将来の成長に向けた投資を継続しています。

これらの活動の結果、戸建て住宅事業の売上高は910,076百万円(前年度比15.9%増)、営業利益は46,666百万円(前年度比21.6%増)となり、二期連続で大幅な増収・増益を達成しています。

賃貸住宅事業の概況:

賃貸住宅部門では、土地診断からプランニング、設計、建築、経営サポートにいたる総合力を活かした土地の有効活用の提案に注力しています。

特に、都市部や中心市街地での店舗付き住宅や、中高層賃貸住宅への取り組みを強化するなど、大型物件の受注拡大を図っています。

入居者に選ばれ、長く住み続けたいと思ってもらえる住まいを提供し、市場性と顧客ニーズに適った質の高い賃貸住宅を土地オーナーに提案することにより、入居者の安心・安全・快適な暮らしと、土地オーナーの長期安定経営をサポートする事業となっています。

具体的な取り組みは以下の通りです。

  • 分譲賃貸物件や環境負荷低減につながるZEH-M物件等の販売を推進
  • 環境負荷を低減し、省エネ・創エネ対応の賃貸建物を推進、2022年10月に断熱性能を高めた「TORISIA(トリシア)」を販売開始
  • Webセミナーを定期的に開催し、最新の土地活用・賃貸住宅市場等の情報提供を通じて、お客様との継続的な関係構築を強化
  • 海外では、賃貸住宅開発事業を展開している米国において、メリーランド州で開発した賃貸住宅「ロックビルタウンセンター」の収益性が評価され、早期の売却を実現
  • 開発した物件を高収益で売却できるタイミングを計りつつ、稼働率や賃貸による収益率の向上に注力

これらの活動の結果、賃貸住宅事業の売上高は1,149,424百万円(前年度比9.2%増)、営業利益は109,710百万円(前年度比13.5%増)となり、連続して増収・増益を達成しています。

貸住宅事業は、売上、営業利益とも戸建住宅事業を大きく上回っており、大和ハウスの中核の事業であることには変わりはありません

大和ハウスの企業理念・長期ビジョン

大和ハウス工業は、2055年に創業100周年を迎えます。大和ハウスには「創業100周年に売上高10兆円の企業グループ」という創業者・石橋信夫 氏の壮大な夢があります。

また事業には、「儲かるからではなく、世の中の役に立つ」、「先の先を読む」、「夢=夢のある所に前進があり、企業は夢とともに伸びる」という哲学があります。

100周年を迎える2055年に向けて、どのような社会を創り出したいか、そのために何をなすべきかというテーマを掲げ、全従業員参加型の“将来の夢”プロジェクトを立ち上げています。

このプロジェクトでは、「“将来の夢”が人や企業を成長させる」という創業者の想いに立ち返り、約7万人にのぼるグループ全従業員が1年間かけてこれからの社会課題について話し合い、大和ハウスの存在意義について議論を重ねてきました。

その結果、導き出された「将来の夢」をパーパスと定義し、大和ハウスグループが成長していくための新たな羅針盤としています。

「将来の夢」、パーパスお実現に向けた6つのマテリアリティ(企業活動の重要課題)

大和ハウスは“将来の夢”(パーパス)の実現に向け、「再生と循環を前提とした価値の創造」、「デジタルによるリアルの革新」、「多様な自分らしい生き方の実現」をグループが取るべきアクションと定義しています・

具体的には以下の6つのマテリアリティを特定し、中期経営計画に反映しています。

  1. サーキュラーエコノミー&カーボンニュートラル-再生と循環を実現する環境経営の推進
    • 地球環境に対する想いを全従業員で共有し、未来の社会を支えるまちづくりを推進
  2. 地域社会の再生-日本国内における社会課題解決型事業
    • 「創る・育む・再生する」循環型バリューチェーンを各事業が全国で展開
  3. グローバリゼーション-海外での社会課題解決型事業の展開
    • 海外においても現場主義で各地域特性を踏まえた事業展開
  4. DE&I*-多様な価値観を受容し価値創造に活かす組織文化の醸成
    • 長所軸を見て、個々が輝き活躍できる仕組みを整備する
  5. デジタル変革-生き方の革新のためのデジタル技術の最大活用
    • デジタル活用により、顧客基盤と技術・ものづくり基盤を強化する
  6. ガバナンスー未来を創るガバナンス
    • 大和ハウスのDNAを引き継ぐ後継者育成計画を推進

*ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン:社会の多様性、公平性、包摂性

また「将来の夢」プロジェクトでは、すべての世代の従業員が「社会へ貢献したい」という熱い気持ちと「数字に対する強いこだわり」を持っている、そしてこの2つが、大和ハウスの成長を支えてきた共通の価値観と行動原理であることが示されました。

大和ハウス工業を志望する皆さんは、創業者の経営哲学や、多角化して成長・拡大してきた大和ハウスのダイナミズムを良く理解して、自身の就活の軸や、自己PR,志望動機に活かして下さい。

積水ハウス株式会社

2023年1月期連結決算(2022/2/1~2023/1/31)(2022年度)

売上高 (百万円) 2,928,835
経常利益 (百万円) 257,272
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 184,520
包括利益(百万円) 262,931
従業員数(人) 29,052
子会社 345社
関連会社 40社

積水ハウスの事業セグメント

積水ハウスグループは工業化住宅の設計、施工及び請負並びに不動産の売買、仲介、賃貸借、管理及びそれらに関連する事業活動を行っています。グループ全体では以下の9事業を展開しています。

  • 戸建住宅事業:戸建住宅の設計、施工及び請負
  • 賃貸住宅事業:賃貸住宅、医療介護施設等の設計、施工及び請負
  • 建築・土木事業:RC造による賃貸住宅及び事業用建物等の建築工事及び土木工事の設計、施工の請負
  • リフォーム事業:住宅の増改築等。
  • 不動産フィー事業:不動産の転貸借、管理、運営及び仲介等
  • 分譲住宅事業:住宅、宅地の分譲、分譲宅地上に建築する住宅の設計、施工及び請負
  • マンション事業:マンションの分譲
  • 都市再開発事業:オフィスビル、商業施設等の開発、保有不動産の管理、運営
  • 国際事業:海外における戸建住宅の請負、分譲住宅及び宅地の販売、マンション及び商業施設等の開発、分譲
  • その他:エクステリア事業等

注意:積水ハウスの場合、戸建住宅事業、賃貸住宅事業及び分譲住宅事業は、セグメントごとの経営組織体系を有していないため、同一の従業員が各々の事業に従事しています

2023年1月期(2022年度)連結業績の概要

2022年度における住宅市場は、国内では、新設住宅着工戸数は底堅い状況が続きました。一方で、2022年3月の行動制限解除に伴う旅行や外食支出等の増加、加えて年後半は高水準の物価上昇による消費マインドの慎重化等を背景に、受注は減少傾向で推移しました。

アメリカでは、住宅に対する潜在需要は強いものの、住宅ローン金利の上昇と住宅価格の高止まり等により、住宅着工及び販売戸数は減少傾向で推移した年度になりました。

このような環境の中、2023年1月期(2022年度)における積水ハウスグループの連結業績は、連結受注高が2,809,277百万円(前期比3.2%増)、連結売上高は2,928,835百万円(前期比13.1%増)となり、増収を達成しています。

利益面では、連結営業利益は261,489百万円(前期比13.6%増)、連結経常利益は257,272百万円(前期比11.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は184,520百万円(前期比19.9%増)となり、総じて増収・増益の年度となっています。

2022年度は、第5次中期経営計画の最終年度でしたが、3ヵ年の業績(2020年度―2022年度)は、策定時の計画を大きく上回る結果となっています。

 2023年1月期の事業セグメント別の業績は以下の通りです。

2023年1月期セグメント別業績 (2022年度)

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
戸建住宅事業 352,463 12.0% 38,309 12.3%
賃貸住宅事業 426,116 14.5% 58,407 18.8%
建築・土木事業 298,777 10.2% 13,214 4.3%
リフォーム事業 165,910 5.7% 27,561 8.9%
不動産フィー事業 619,271 21.1% 50,659 16.3%
分譲住宅事業 238,252 8.1% 20,777 6.7%
マンション事業 90,883 3.1% 13,403 4.3%
都市再開発事業 135,320 4.6% 15,051 4.8%
国際事業 521,124 17.8% 73,860 23.8%
その他 80,715 2.8% -439 -0.1%
合計 2,928,835 100.0% 310,806 100.0%
調整額 -49,317
計上額 2,928,835 261,489

2022年度における、事業セグメントごとの概況は以下の通りです。

戸建住宅事業の概況:

  • 戸建住宅事業では、ハード・ソフトを融合した高付加価値提案により、中高級商品・高価格商品の拡販に注力
  • 大空間リビング「ファミリー スイート」による生活提案、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」や次世代室内環境システム「スマート イクス」に加え、間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」が好評で、受注は堅調に推移
  • 戸建て住宅事業における売上高は352,463百万円(前期比1%減)、営業利益は38,309百万円(前期比9.8%減)

 

賃貸住宅事業の概況:

  • 都市部中心のエリアマーケティング戦略を徹底し、強靭な構造と設計自由度を両立する積水ハウスのオリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販に注力
  • 収益性を高めながら、脱炭素に貢献するゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及を推進
    • 太陽光発電の電力を各戸に配分することで、入居者が利用し売電もできる等、ZEHのメリットを実感できるエシカルな選択肢として好評で、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸割合は65%(15,064戸、累計27,371戸)まで拡大
  • これらの高付加価値提案に加え、高い入居率と賃料水準を実現する積水ハウス不動産各社の物件管理が奏功し、法人向け事業も含め受注は好調に推移
  • これらの活動の結果、賃貸住宅事業における売上高は426,116百万円(前期比0%増)、営業利益は58,407百万円(前期比4.2%増)となり、増収・増益を達成

リフォーム事業の概況:

  • 戸建住宅では、「ファミリー スイート リノベーション」等の提案型リフォーム、「いどころ暖熱」や創エネリフォーム等の環境型リフォームが好評で、大規模リフォームの受注割合が拡大
  • 賃貸住宅では、資産価値を向上させ、高入居率と高水準の賃料を実現するリノベーション提案に注力
  • これらの取り組みによって受注は好調に推移し、リフォーム事業における売上高は165,910百万円(前期比2%増)、営業利益は27,561百万円(前期比7.9%増)となり、増収増益を達成

不動産フィー事業の概況:

  • 好立地に建築した高品質・高性能な賃貸住宅「シャーメゾン」の供給により管理受託戸数が堅調に増加
  • 積水ハウス不動産ホールディングス株式会社が積水ハウス不動産グループの更なる持続的成長と企業価値最大化に向け事業を推進し、長期安定経営をサポートする質の高い建物管理と入居者の生活を充実させるサービスを提供したこと等により、高水準の入居率と賃料を維持し、増収に寄与
  • 不動産フィー事業における売上高は619,271百万円(前期比9%増)、営業利益は50,659百万円(前期比0.4%増)

分譲住宅事業の概況:

  • エリアマーケティングに沿った優良土地の積極仕入れと美くしいまちなみづくりにより、土地取得から検討中の顧客への拡販に注力した結果、受注は好調に推移
  • 分譲住宅事業の売上高は238,252百万円(前期比4%増)、営業利益は20,777百万円(前期比42.8%増)となり、前期の好調な受注及び順調な工事進捗が増収に寄与

積水ハウスの中期経営計画

積水ハウスは、創業以来「人間性豊かな住まいと環境の創造」を目指し、住宅業界のトップ企業として最高の品質と技術の提供を図ることを基本とし、根本哲学である「人間愛」を日々の活動に反映させ、「真実・信頼」を旨として、常に「お客様本位」の家づくりに取り組んでいます。

根本哲学である「人間愛」とは、「人間は夫々かけがえのない貴重な存在であると云う認識の下に、相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする奉仕の心を以て何事も誠実に実践する事」と定義しています。

商品寿命が超長期に及ぶ住宅という商品特性上、徹底した顧客満足の向上やアフターサービス等の日頃の地道な業務の積み重ねにより確固たる信頼を構築することが、永続的な成長の基本であり不可欠な要素という考え方に立っています。

積水ハウスでは今後の持続的成長を図るため、グローバルビジョン「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」を掲げるとともに、2020年からの30年をビジョン実現の第3フェーズ「高付加価値の提供」として、「健康・つながり・学び」を追求し、事業を通じて「お客様の幸せ」「社会の幸せ」「従業員の幸せ」を提供することで「人生100年時代の幸せ」を担う社会づくりを目指して事業を展開しています。

2023年度からは、「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とする第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)を実行中です。

第6次中期経営計画の骨子:

  • グループのコアコンピタンスである「技術力」「施工力」「顧客基盤」と、商品・技術開発から、営業・設計・施工・アフターサービスまで、住まいづくりに関わるすべてのプロセスを積水ハウスグループが担う独自のバリューチェーンを活かし、既存事業の深化と拡張を図る
  • 日本で培った積水ハウステクノロジーの移植による海外での事業展開や、社会・事業環境の変化への対応、デジタル技術の活用による新規事業の開拓と拡張を推進
  • 従業員のキャリア自律支援やベクトルの一致、ダイバーシティ&インクルージョンの推進等の取り組みを通じ、グループの更なる人財価値の向上を図り、グローバル企業としての成長を加速
  • 財務面においては、資本効率を意識した成長投資の推進と財務健全性のバランスを保つことが重要という認識のもと、キャッシュリターン創出力の強化によるROE向上と、ESG経営推進の相乗効果により企業価値の向上を目指す
  • 成長投資は、国内外の不動産投資と、人財、IT・DX、研究開発、M&A等への成長基盤投資を積極的に実施

上記の他、財務健全性の確保、株主還元、株主価値向上を図る構成となっています。

これらの課題への対応するため、事業戦略と組織の連動性を高め、資本効率の向上を図ることを目的として2023年度より事業セグメント構成を見直し、それぞれの事業戦略を策定、実行しています。(戦略の詳細は、「積水ハウス第6次中期経営計画」で検索して下さい)

2023年度からの事業セグメント:

  • 請負型ビジネスモデル
    • 戸建住宅
    • 賃貸・事業用建物
    • 建築・土木
  • ストック型ビジネスモデル
    • 賃貸住宅管理
    • リフォーム
  • 開発型ビジネスモデル
    • 仲介・不動産
    • マンション
    • 都市再開発
  • 国際事業

就活で積水ハウスを志望する皆さんは、積水ハウスの企業理念、中長期のビジョンや計画を理解することは当然ですが、建築・土木事業、マンション事業、都市再開発事業、国際事業の内容もよく理解しておきましょう。

バリューチェーンとしての事業のつながりや、将来ビジョンの形成、志望動機の「深み」に繋がります。是非、全体像をつかんでおいてください。

積水化学工業株式会社

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 1,242,521
経常利益 (百万円) 104,241
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 69,263
包括利益(百万円) 84,008
従業員数(人) 26,838
子会社 165社(国内94社・海外71社)
関連会社 15社

積水化学工業の事業セグメント

積水化学工業グループは、住宅事業、環境・ライフライン事業、高機能プラスチックス事業、メディカル事業その他事業の5事業部門に関係する事業を主として行なっています。

  • 住宅事業:
    • 鉄骨系・木質系ユニット住宅の製造、施工、販売ならびに分譲用土地の販売、リフォーム、不動産、サービス付高齢者向け住宅、インテリア、エクステリアの販売、施工、高齢者向け介護サービス、電力売買、まちづくり事業等
  • 環境・ライフライン事業
    • 塩化ビニル管・継手、ポリエチレン管・継手、プラスチックバルブ、強化プラスチック複合管、塩素化塩ビ樹脂コンパウンド、雨水貯留材、建材(雨とい、エクステリア材)、介護機器、浴室ユニット、合成木材、防音制振材料、不燃性ポリウレタン、耐火材料、管きょ更生材料及び工法、パネルタンク等の製造、販売、施工
  • 高機能プラスチックス事業:
    • 液晶用微粒子、感光性材料、半導体材料、光学フィルム、工業用テープ、合わせガラス用中間膜、発泡ポリオレフィン、車輌用樹脂・ラバー成型品、工業用テープ、放熱材料(グリス・シート)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等複合材成型品、加飾シート、ポリビニルアルコール樹脂、ブロー容器、建設用資材、接着剤、包装用テープ、プラスチックコンテナ、樹脂畳、衛生材料等の製造、販売
  • メディカル事業:
    • 臨床検査薬、自動分析装置、採血管、医薬品原薬・中間体、創薬支援、酵素原料等の製造・販売
  • その他事業:
    • フィルム型リチウムイオン電池及び上記4事業部門に含まれない製品の製造、販売及びサービス

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

2023年3月期(2022年度)の積水化学工業グループ全体の連結業績としては、売上高は1,242,521百万円(前連結会計年度比+7.3%、84,576百万円増)となり、増収でした。

利益面では、営業利益は91,666百万円(前連結会計年度比+3.1%、2,786百万円増)、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて29,634百万円増加し、99,494百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は69,263百万円(前年度比86.9%増)となり、総じて増収・増益の年度となっています。

2023年3月期の事業セグメント別の業績は以下の通りです。

2023年3月期セグメント別業績 (2022年度)

事業名 外部顧客売上(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
住宅 537,067 43.2% 32,831 34.3%
環境・ライフライン 221,305 17.8% 21,192 22.1%
高機能プラスチックス 390,812 31.5% 40,091 41.9%
メディカル 89,680 7.2% 12,511 13.1%
その他 3,654 0.3% -10,894 -11.4%
合計 1,242,521 100.0% 95,731 100.0%
調整額
計上額 1,242,521 95,731

ハウスメーカーとしての住宅セグメントは積水化学工業全売上高の43.2%を占めています。売上のシェアでは最大であり、続いて高機能プラスチィックス事業31.54%、環境・ライフライン事業17.8%、メディカル事業7.7%の順になっています。

また住宅事業の利益のシェアは34.3%であり、売上、利益とも企業の屋台骨を支える重要な事業です。

尚、積水化学工業の住宅ブランドは「セキスイハイム」です。積水ハウス工業の積水ハウスとは別なので、混同しないように注意しましょう。

住宅事業の概況:

住宅事業の売上高は、前連結会計年度比(以下、前年度比)4.3%増の537,371百万円、営業利益は前連結会計年度比7.0%減の32,831百万円でした。

2022年度は、売上高は新築住宅、リフォーム、不動産、まちづくりの各事業が増収となり、カンパニーとして過去最高となった一方、営業利益は特に新築住宅事業において部材価格高騰の影響を受け、増収減益となっています

2022年度における主な事業展開のトピックは以下の通りです。

  • 自然災害の深刻化などを背景にエネルギー不安が高まる中、新築住宅、リフォーム、まちづくりの各事業でスマート&レジリエンスを訴求
  • 新築住宅事業では、新型コロナウイルス感染症や物価上昇による購買意欲低下の影響などにより、受注棟数は前期を下回る結果
  • 2022年10月に新分譲地ブランド「ユナイテッドハイムパーク」を立ち上げ
  • 自社サイトを活用したウェブマーケティングの強化に加え、分譲・建売住宅の拡販に注力
  • リフォーム事業は、蓄電池などの拡販により受注が前期を上回り、定期診断の拡充や提案力を強化

積水化学の中長期計画

積水化学では長期ビジョン「Vision 2030」を掲げて、そのビジョンの実現に向けて事業を展開中です。

長期ビジョン「Vision 2030」は、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げています。

レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つの事業領域を設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙うビジョンとなっています。

また長期ビジョン実現のため、2020年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「Drive 2022」を実行中です。

「Dvive2022」の基本戦略は、ESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させることのできる企業体制の構築を追求すること、長期ビジョンの第一歩として以下の3つを重点課題に設定しています。

  1. 成長と改革
  2. 長期への仕込み
  3. ESG基盤強化

2022年度からは、2025年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Drive 2.0」を策定し、以下の取り組みを推進しています。

長期ビジョンの第2フェーズとなる中期経営計画「Drive 2.0」では、積水化学グループの業容倍増に向け、“持続的成長”と“仕込み充実”により、長期ビジョンの実現を目指すことを基本方針とし、1. 戦略的創造、2. 現有事業強化、3.ESG経営基盤強化の3つの基本戦略に取り組み、企業価値の向上を推進しています。

  1. 戦略的創造(Strategic Innovation)
    • 新事業領域の創出を目指した仕込みの具体化
  2. 現有事業強化(Organic Growth)
    • 現有事業の着実な成長とポートフォリオの磨き上げ
  3. ESG経営基盤強化(Strengthen Sustainability)
    • 持続的成長と仕込み充実に資するESGマネジメント強化

2025年度数値目標:

指標 2025年度目標
売上高 14,100億円
営業利益 (率) 1,150億円(8.2%)
親会社株主に帰属する当期純利益 820億円
ROIC(投下資本利益率) 8.5%
ROE(自己資本利益率) 11.0%
海外売上高(比率) 4,800億円(34%)
EBITDA (利払い前・税引前・減価償却前利益) 1,750億円

就活で積水化学を志望する皆さんは、長期ビジョンや中期経営計画の内容を把握し、自身の就活の軸や志望動機の作成に活用してください。

住友林業株式会社

2022年12月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 1,669,707
経常利益 (百万円) 194,994
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 108,672
包括利益(百万円) 187,225
従業員数(人) 21,948
外、平均臨時雇用者数 4,688
連結子会社 348社
持分法適用関連会社 164社

住友林業グループは、山林事業を礎として、「木」を活用した総合生活関連事業を営む企業グループを目指し、木材・建材の仕入・製造・加工・販売、戸建住宅等の建築工事の請負・リフォーム、分譲住宅の販売、集合住宅・商業複合施設等の開発、不動産の管理・仲介、及びそれらに関連する事業活動を、国内外において行っています。

住友林業の事業セグメント

  • 材建材事業 :
    • 木材(原木・チップ・製材品・集成材等)・建材(合板・繊維板・木質加工建材・ 窯業建材・金属建材・住宅設備機器等)の仕入・製造・加工・販売等
  • 住宅・建築事業 :
    • 戸建住宅・集合住宅等の建築工事の請負・アフターメンテナンス・リフォーム、 分譲住宅等の販売、不動産の賃貸・管理・売買・仲介、 住宅の外構・造園工事の請負、都市緑化事業、CAD・敷地調査等
  • 海外住宅・不動産事業
    • 海外における、分譲住宅等の販売、戸建住宅の建築工事の請負、集合住宅・商業複合施設の開発等
  • 資源環境事業:
    • バイオマス発電事業、植林事業等
  • その他事業:
    • 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業、保険代理店業、土木・建築工事の請負等

2022年12月期(2022年度)連結業績の概要

2022年12月期(2022年度)における住友林業グループ全体の連結業績は、売上高が1兆6,697億7百万円(前期比20.5%増)となり、大幅増収を達成しています。

利益面では、営業利益が1,582億53百万円(同39.2%増)、経常利益は1,949億94百万円(同41.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,086億72百万円(同24.7%増)となり、総じて前年度に引き続き大幅増収・増益を達成した年度となっています。

なお、退職給付会計に係る数理計算上の差異はプラス79億68百万円となり、数理計算上の差異を除いた経常利益は1,870億27百万円でした。

自己資本利益率(ROE)につきましては19.4%となり、目標に掲げていた15%以上を達成しています。

2022年12月期セグメント別業績の概要は以下の通りです。

2022年12月期セグメント別業績概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
木材建材事業 253,196 15.2% 14,878 7.6%
住宅・建築事業 533,147 31.9% 15,899 8.1%
海外住宅・不動産事業 848,023 50.8% 161,317 82.5%
資源環境事業 20,501 1.2% 1,392 0.7%
その他 14,241 0.9% 1,938 1.0%
合計 1,669,109 100.0% 195,423 100.0%
調整額 599 -429
計上額 1,669,707 194,994

住友林業のハウスメーカーとしての住宅・建設事業は外部顧客への売上高全体の約31.9%を占めています。

ちなみに住友林業は海外住宅・不動産事業比率が高く、全売上の50.8%、木材事業が15.2%という割合です。

またセグメント利益では、住宅事・建築事業は全体利益の8.1%、海外住宅・不動産事業は82.5%、木材事業が7.6%となっています。

住友林業は海外で戸建住宅や集合住宅の販売などを行うなど、海外住宅・不動産事業に積極的に取り組んでいます。

住友林業という社名からくるイメージからは想像し難い。海外事業が重要な位置を占めていることが分かるデータです。

また戸建注文住宅事業で培った技術力を基盤として住まいに新しい価値を生み出すリフォームやリノベーション等を行うストック事業、さらに非住宅建築物の木造化・木質化などを推進する木化・緑化事業の拡大に注力する他、福岡県苅田町の木質バイオマス発電事業所の営業運転開始や三重県多気町のホテルヴィソンの開業、米国では戸建住宅事業の新規エリア進出や、新たに戸建賃貸開発事業に参入する等、積極的な事業展開を行っています。

住宅事業の概況:

2022年度の住宅・建築事業セグメントの連結業績は、売上高が5,335億6百万円(前期比4.4%増)、経常利益は158億99百万円(同19.1%減)となっています。

2022年度における住宅・建築事業の主な事業展開は以下の通りです。

戸建注文住宅事業:

  • WEBマーケティングの強化に引き続き注力
  • 建設時、居住時及び解体時におけるCO2を削減し、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により住宅のライフサイクル全体でCO2収支をマイナスにするLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅を発売
  • エネルギー消費量が正味ゼロとなるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様住宅の受注拡大に注力
  • 販売単価の上昇により、売上高は増加、資材価格の高騰に伴うコスト上昇により減益

賃貸住宅事業:

  • 住友林業が建設した賃貸住宅のオーナー様から借り上げた物件をモデルルームとして体感していただく、「タウンスクエア」による受注活動を推進
  • 賃貸集合住宅「フォレストメゾン」全棟で省エネルギー性能を高めたZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)化を推進
  • 資材価格の高騰に伴うコスト上昇により、業績は伸び悩む結果

分譲住宅事業:

  • 優良な土地の仕入れが奏功したこと等により、業績は堅調に推移

リフォーム事業:

  • 「住友林業の家」のオーナー向けの需要の掘り起こしに注力し、業績は堅調に推移

中大規模木造建築事業:

  • 2022年5月に、住友林業が設計・施工した木造3階建ての耐火構造である上智大学四谷キャンパス15号館が竣工
  • 2022年6月には、札幌市において株式会社熊谷組との共同企業体により地下1階地上10階建ての耐火木質ビルを着工
  • 脱炭素社会の実現に貢献するべく、中大規模建築の木造化・木質化を推進

企業としては前年度に引き続き海外事業が好調でした。海外住宅・不動産事業の売上高は8,487億24百万円(前期比31.7%増)、経常利益は1,613億17百万円(同54.6%増)となり、大幅な増収・増益傾向が継続しています。

住友林業への就活を考える方は、成長している海外事業にも着目してください。米国、オーストラリア、ベトナム、インドネシア、タイなどで戸建住宅やマンションのプロジェクトが進んでいます。特に米国では、戸建住宅事業進出エリアは、14州にも及んでいます。海外志向がある方は検討する価値はあります。

住友林業の中長期計画

住友林業は、長期ビジョン「Mission TREEING 2030」及び中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase1」を策定し、事業を展開しています。

長期ビジョン:

Mission TREEING 2030

~地球を、快適な住まいとして受け継いでいくために~

長期ビジョンのステートメントは以下の通りです。

「私たちは、地球環境、人々の暮らしや社会、市場や経済活動に価値を提供することで、将来世代を含むあらゆる人々やすべての生き物に、地球が快適な住まいとして受け継がれていくことを目指します。これまでも強みとしてきた「森」と「木」の価値を活かし、深め、新たな未来の力へと変えていきます。」

長期ビジョンを達成するために、重要課題を「地球環境への価値」、「人と社会への価値」、「市場経済への価値」に紐づけた上で、いずれの価値も損なうことなく、また、それぞれの価値を高めることにより、3つの価値を同時に満たす事業活動を推進する方針を掲げています。

この長期ビジョンを実現するための、Phase 1の位置づけで、中期経営計画として示されています。

 中期経営計画の概要:

  • 3年後の2024年12月期末に売上高1兆7,700億円、経常利益1,730億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,160億円、ROE15%以上、自己資本比率40%以上を目指す

そのために以下の5つのテーマと基本方針を打ち出しています。

  1. 木材資源の活用による脱炭素化への挑戦
    • 森林のCO2吸収源としての価値を訴求した新たな事業の展開
    • 国産材の競争力強化に向けた施策の推進
    • 中大規模木造建築事業の拡大
  2. 収益基盤の強靭化の推進
    • 住宅・建築事業及び木材建材事業の収益力の回復、並びに将来の市場変化を見据えた変革の推進
    • 資産効率の向上
  3. グローバル展開の加速
    • 米国及び豪州における戸建住宅事業の更なる事業拡大
    • 資材の共同購買拡充、パネル事業等によるグループシナジー創出の取り組みと将来の人件費高騰に備えた合理化を推進
    • 不動産開発事業では他人資本を活用する事業モデルにより資金効率を向上
  4. 持続的成長に向けた経営基盤の強化
    • デジタル化の推進
    • 人財の確保及び育成の強化、社員のエンゲージメントの向上
    • リスクマネジメントの強化
  5. 事業とESGの更なる一体化
    • 住友林業の事業活動に伴う環境目標(国際的なイニシアチブRE100、SCOPE1、SCOPE2、SCOPE3)について取り組みを促進

住友林業への就活を行う方は、ハウスメーカーとしての住宅事業だけではなく、他の事業の事業研究も深耕して、自身のキャリアプランを深く考えて、志望動機や自己アピールに活かして下さい。

また、森や木、自然や環境といった軸でも住友林業が行っている事業を深く掘り下げてみてください。

旭化成ホームズ株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

*億円以下は四捨五入しています。

売上高 (百万円) 859,200
営業利益 (百万円) 74,600
従業員数(人) 7,612
旭化成住宅事業関係会社数 95社

2023年3月期セグメント別業績

事業名 売上(百万円) 対前年同期比 営業利益(百万円) 対前年同期比
建築請負部門(旭化成ホームズ) 410,700 1.8% 37,000 1.5%
不動産部門 (旭化成不動産レジデンス) 189,500 3.8% 21,700 9.9%
リフォーム部門 (旭化成リフォーム) 54,400 3.7% 5,800 10.4%
海外事業部門 203,400 39.1% 9,200 22.4%
その他(グループ内取引による消去含む) 1,200 -34.9% 900 -46.5%
合計 859,200 9.2% 74,600 5.6%

*億円未満は切り捨てています

旭化成住宅事業(建材事業、海外を含む、関係会社95社連結)は旭化成の連結決算売上の約1/3の売上、4割以上の利益を構成する重要な位置づけになります

住宅事業の中核企業が旭化成ホームズです。

旭化成ホームズのビジネス構造は、旭化成ホームズが建築請負部門、不動産部門は旭化成不動産レジデンス、リフォーム部門は旭化成リフォームが行う構造になっています。これらの企業はすべて、旭化成株式会社の連結子会社という構造です。

以下に旭化成ホームズの連結業績概況を簡潔にまとめておきます。

建築請負部門(旭化成ホームズ):

2023年3月期(2022/4/1~2023/3/31)の建築請負部門の業績は、売上高は 4,107 億円(72 億円・1.8%増収)、営業利益は 370 億円(5 億円・1.5%増益)、受注高は3,556 億円(287 億円・7.5%減少)という結果でした。

主な取り組みとトピックは以下の通りです。

  • 2021 年度策定の新マーケティング戦略に基づき、エリア特性やお客様のニーズに合わせたきめ細かいサービスを実施し、引き続き高品質な住まいの提案に注力
  • 戸建住宅「へーベルハウス」において、2022年4 月に上市した50 周年記念商品「HEBEL HAUS RATIUS|RD(ラティウス アールディ-)」に続き、11 月には、新たな天井高バリエーションや新インテリアスタイルを導入し邸宅にふさわしい心地よいゆとりや穏やかな空気感を提案した第二弾「 RATIUS|RD FINEST VILLA(ファイネスト ヴィラ)」を発売し、重鉄2 階建てのプロモーションを積極的に展開することで中大型面積帯の拡販に注力
  • 集合住宅「ヘーベルメゾン」では、独自のZEH-M 商品「Eco レジグリッド」の積極展開やペット共生型賃貸住宅「+わん+にゃん」などの付加価値型賃貸住宅の拡販に注力
  • 旭化成不動産レジデンスとの連携強化に努め高家賃戦略を推進
  • シニア向け賃貸住宅「へーベルVillage(ヴィレッジ)」では、入居者の訪問調査を実施し、シニアの健康寿命延伸を目指した取り組みを強化

不動産部門(旭化成不動産レジデンス)

2023年3月期(2022/4/1~2023/3/31)の不動産部門の業績は、売上高が過去最高となる1,895 億円(70 億円・3.8%増収)、営業利益は217 億円(20 億円・9.9%増益)となり、増収・増益を達成しています。

主な取り組みとトピックは以下の通りです。

  • 賃貸管理事業では、へーベルメゾンの空き駐車場を活用したシェアサイクルサービスの試験導入を開始
  • 2023年1 月からは、入居希望者の利便性向上を図るため、賃貸物件の新規申し込みオンラインサービスの導入を開始
  • 2022年度の管理戸数は 11.6 万戸を超え、空室率は 2%台前半を維持するなど堅調に推移
  • 分譲マンション事業では、上期に東京都荒川区での都市共同化(等価交換)事業、兵庫県神戸市での商業・住宅一体複合型の再開発事業における建築物が完成。下期には、東京都渋谷区での都市共同化(等価交換)事業が竣工するなど今年度の国内での売上戸数は624 戸

 リフォーム部門(旭化成リフォーム)

2023年3月期(2022/4/1~2023/3/31)は、売上高が544 億円(19 億円・3.7%増収)、営業利益は58 億円(5 億円・10.4%増益)でした。

  • お客様の「暮らしと人生」に寄り添った事業への変革を目指し、上期に引き続き、改装・環境系の提案の更なる強化に注力
  • 塗装・防水における高耐久仕様の普及を受けてメンテナンス系工事の減少はあり
  • ましたが、LDK リフォームパック「一新LDK」の積極的な提案による改装系工事やレジリエンス訴求による環境系設備工事の増加により売上高、営業利益ともに増加

海外事業部門

2023年3月期(2022/4/1~2023/3/31)は、売上高が2,034 億円(572 億円・39.1%増収)、営業利益は92 億円(17 億円・22.4%増益)となり、売上高については今中計で目標としていた2025 年度2,000 億円を3 年前倒しで達成しています。

海外事業部門の主なトピックは以下の通りです。

  • 北米事業では、2022年11 月に住宅用配管、躯体、電気、基礎などの工事を行う建築サプライヤー Focus 社を買収
  • 豪州事業では、2023年2 月にビクトリア州のビルダーArden 社を買収、これまで拠点としてきたニューサウスウェールズ州に加え、豪州戸建市場の約 30%を占める最大市場ビクトリア州進出への足掛かりを築く
  • 海外事業部門は先述の買収や、為替の影響により前期比で売上高、営業利益とも大幅なプラスを達成

就活で旭化成ホームズを志望する皆さんは、旭化成ホームズの個別の企業研究を行うことは当然として、親会社の旭化成グループの住宅事業に対する考え方、長期戦略や経営計画も把握しておきましょう。

人口減少により、国内市場では成長の限界があるため、住宅業界は海外ビジネスに成長の機会を求めています。

大きなトレンドを理解して、自身の就活の軸や志望動機の作成に活かしていきましょう。

まとめ

以上駆け足で業界の構造と大手ハウスメーカーの概況を解説しました。大きなトレンドや企業の特徴、課題や今後の方向性は理解できたと思います。

また上記5社以外でも、上場しているハウスメーカー、不動産ディベロッパー大手、パワービルダー系、低価格で戸建(上物)を実現してシェアを拡大している中堅企業などがあり、業界を横櫛で貫いて分析、解説するのが非常に難しいのも事実です。

また、ハウスメーカーという括りでは分析できない企業(元々の本業が違い、住宅部門は主要部門であるものの一部門であったり、ハウスメーカーから出発したが、賃貸投資事業、不動産事業、マンション開発、商業施設、物流、宿泊施設、環境事業などに多角化している場合)も多いのが現実です。

採用方法も各社に違うため、ハウスメーカーという業界に興味を持ったら、徹底的に個別企業の研究をすることをお勧めします。

ハウスメーカー業界は競争が厳しく、成長という視点では長期的には国内市場の需要の拡大に期待できません。

そのため時代を先駆けるようなマーケティングによるイノベーションや、テクノロジー、技術革新による他社に先んじた商品で新たな市場を創っていくか、シェアを拡大するか、あるいは国内市場の成長の限界を前提に、日本市場で培った非常に高い品質の住宅建設とそのノウハウで海外に活路を求めるしかありません。

また大和ハウスのように思い切って事業を多角化して企業の形を大きく変えていくことも成長のドライバーになるでしょう。

大手ハウスメーカーへの就活は、競争は厳しいですが給与面や福利厚生、待遇は恵まれています。

営業活動は厳しく、数値目標達成への高い意欲を維持することが求められる業界です。

相手の立場に立って物事を考え、人に愛される素養を持った学生や、チャレンジ精神旺盛で、ストレス耐性や忍耐力、真面目さや高い目標意識をもって成長したいと思える学生には「やりがい」のある業種です。

更なる成長のために、海外市場に打って出る気概や能力のある学生、新しい事業にチャレンジしたいという意思や能力のある学生はぜひチャレンジしてみてください。そしてハウスメーカーを志望してみたいと思った方は、近接する業界も含めて、ぜひ企業毎に深い研究を進めていってください。

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【24年卒】首都圏の学生で、納得できる内定が取れていない人への神サービスを試してみよう

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