「就活の答え」では代表的な専門商社の概況を専門分野別で紹介していきます。
この記事では機械を主に扱っている専門商社の内上位企業5社を直近年度の有価証券報告書や中期経営計画を基にまとめています。短時間で読めるようにコンサイスにまとめていますので参考にしてください。
専門商社と一口に言っても、国内外のメーカー企業に製造に必要な原料、素材、部品などを主に輸入して供給する上流部分を主な事業とする商社、製品や商品を国内のユーザーや小売業に卸売することを主な事業にしている商社、その両方を事業としている商社があるため注意が必要です。
それによって「海外」への向き合い方も違っていますので、専門的に取り扱っている分野とともに、商社毎の事業の内容を把握しておきましょう。
代表的な機械専門商社の業績と概況
ユアサ商事株式会社
2020年3月期連結決算 (2019年度)
売上高 (百万円) | 491,348 |
経常利益 (百万円) | 12,804 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 8,950 |
包括利益(百万円) | 7,232 |
従業員数(人) | 2,242 |
外、平均臨時雇用者数 | 472 |
子会社 | 36社 |
関連会社 | 2社 |
ユアサ商事及びグループ会社は、産業機械、工業機械、住宅設備・管材・空調、建設・エクステリア、機械建設、エネルギー、その他の7部門で事業を展開しています。
2020年3月期廉潔決算での、各事業別の業績概要は以下の通りです。
2020年3月期連結決算 事業セグメント別業績概要
事業名 | 売上(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) | 利益構成比 |
産業機器部門 | 82,314 | 15.6% | 1,329 | 8.6% |
工業機械部門 | 126,968 | 24.1% | 5,300 | 34.5% |
住設・管材・空調部門 | 170,685 | 32.4% | 5,463 | 35.5% |
建築・エクステリア部門 | 63,510 | 12.1% | 1,885 | 12.3% |
建設機械部門 | 41,840 | 7.9% | 915 | 6.0% |
エネルギー部門 | 20,614 | 3.9% | 319 | 2.1% |
その他 | 20,421 | 3.9% | 157 | 1.0% |
合計 | 526,355 | 100.0% | 15,370 | 100.0% |
セグメント間取引等、調整・消去 | -35,006 | ー | -3,499 | ー |
計上額 | 491,348 | ー | 11,871 | ー |
ユアサ商事は創業360周年を迎える2026年のあるべき姿を「ユアサビジョン360」として定め、業界トップレベルの収益構造を持つ複合専門商社グループへの成長を目指しています。
2026年3月期の定量目標として連結売上高6,000億円、連結経常利益200億円、経常利益率3.3% 以上を掲げています。
2020年度は第一ステージの最終年度であり、Growing Together 2020として、コア事業の強化、成長事業の再強化、経営基盤の強化に取り組んでいます。
株式会社 山善
2020年3月期連結決算 (2019年度)
売上高 (百万円) | 472,191 |
経常利益 (百万円) | 11,895 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 8,088 |
包括利益(百万円) | 6,032 |
従業員数(人) | 3,077 |
子会社 | 24社 |
関連会社 | 1社 |
山善は機械、工具、住宅設備、家庭用機器の大手専門商社です。
2020年3月期廉潔決算での、各事業別の業績概要は以下の通りです。
2020年3月期連結決算 事業セグメント別業績概要
事業名 | 売上(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) | 利益構成比 |
生産財関連事業 | 315,210 | 65.5% | 9,673 | 81.2% |
消費財関連事業:住建 | 60,054 | 12.5% | 1,655 | 13.9% |
消費財関連事業:家庭機器 | 87,521 | 18.2% | 2,284 | 19.2% |
その他 | 18,461 | 3.8% | -1,706 | -14.3% |
合計 | 481,248 | 100.0% | 11,907 | 100.0% |
セグメント間取引等、調整・消去 | -9,056 | ー | 184 | ー |
計上額 | 472,191 | ー | 12,091 | ー |
山善ではモノづくりを支える生産財と、快適な住生活空間を提供する消費財の両マーケットを舞台に、組織改革や専門性に特化した部門の新設など、成長戦略を実行に移すための施策を実行中です。
新中期経営計画「CROSSING YAMAZEN 2021」では、事業部や部門が持つノウハウ・経験値・価値を文字通り「クロッシング」し、さらなる事業の高付加価値化と生産性向上を目指しています。
具体的には「国内事業の強化」、「グローバル展開の加速」、「機能商社化による収益力強化」、「eコマースの拡充」を計画の柱にしています。
トラスコ中山株式会社
2019年12月期連結決算 (2019年度)
売上高 (百万円) | 220,674 |
経常利益 (百万円) | 14,197 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 9,613 |
包括利益(百万円) | 9,927 |
従業員数(人) | 1,656 |
外、平均臨時雇用者数 | 903 |
子会社 | 2社 |
関連会社 | 2社 |
持分法非適用関連会社 |
トラスコ中山は、主に切削工具、生産加工用品、工事用品、ハンドツール、環境安全用品、物流保管用品、研究管理用品、オフィス住設用品等を取り扱っています。
これらの商品をファクトリールート(製造業、建設関連業等向け卸売)、eビジネスルート(ネット通販企業等向け販売)、ホームセンタールート(ホームセンター、プロショップ等向け販売)と海外ルートに販売し、販売ルートに即した営業体制のもと事業を展開しています。
2019年12月期廉潔決算での、各事業別の業績概要は以下の通りです。
2019年12月期連結決算 事業セグメント別業績概要
事業名 | 外部顧客への売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) | 利益構成比 |
ファクトリールート | 170,041 | 77.1% | 10,932 | 78.6% |
eビジネスルート | 34,492 | 15.6% | 3,155 | 22.7% |
ホームセンタールート | 14,703 | 6.7% | 64 | 0.5% |
海外ルート | 1,437 | 0.7% | -234 | -1.7% |
合計 | 220,674 | 100.0% | 13,917 | 100.0% |
セグメント間取引等、調整・消去 | ー | ー | 280 | ー |
計上額 | 220,674 | ー | 14,197 | ー |
各ルートで取り扱う作業用品・ハンドツール等の一部(キャスター、工具箱等)及び物流保管用品、研究管理用品等の一部(作業台等)を関連会社が製造し、トラスコ中山が仕入れて国内の販売店に販売しています。
海外にも進出しており、子会社トラスコナカヤマ タイランド及びトラスコナカヤマ インドネシアは、トラスコ中山が日本国内で培ってきた強み・ノウハウをもとに、卸売業として現地の販売店へ販売しています。
現在、製造業を中心としたモノづくり現場において、少量多品種・高頻度の商品ニーズは今後も高まることが予想されます。
そのニーズを満たすネット通販企業の台頭やAI、IoTといったIT関連が発展していく中で、継続して支店及び物流センターやIT分野への投資を強化していく必要があり、商品戦略、物流戦略、販売戦略、IT戦略、人事戦略を柱とした経営戦略を着実に実施していく方針です。
第一実業株式会社
2020年3月期連結決算(2019年度)
売上高 (百万円) | 161,476 |
経常利益 (百万円) | 7,426 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 4,876 |
包括利益(百万円) | 3,890 |
従業員数(人) | 1,209 |
子会社 | 26社 |
関連会社 | 2社 |
第一実業及びグループ企業は、各種機械・器具・部品の販売及び各種機械・器具の賃貸等を主な事業として、国内販売ならびに輸出入、一部商品に関しては製造を行っています。
具合的な事業セグメントは以下の通りです。
- プラント・エネルギー事業:エネルギー開発生産、ガス石油精製、化学、エンジニアリング、建設、紙・パルプ関連の機械・器具・部品の販売
- 産業機械事業:プラスチックス、ゴム、鉄鋼、食品関連の機械・器具・部品の販売
- エレクトロニクス事業:電子、情報通信、電機、精密、光学、音響、楽器関連の機械・器具・部品の販売
- 自動車事業:自動車関連の機械・器具・部品の販売
- ファーマ事業:薬品、医薬品関連の機械・器具・部品の販売
- 航空事業:航空、防災関連の機械・器具・部品の販売
- その他:各種機械・器具の賃貸、保険代理業等
2020年3月連結決算での、事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2020年3月連結決算セグメント別業績概要
事業名 | 売上(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) | 利益構成比 |
プラント・エネルギー事業 | 43,248 | 26.4% | 1,112 | 16.1% |
産業機械事業 | 25,396 | 15.5% | 454 | 6.6% |
エレクトロニクス事業 | 41,246 | 25.2% | 2,228 | 32.2% |
自動車事業 | 36,351 | 22.2% | 1,491 | 21.5% |
ファーマ事業 | 10,499 | 6.4% | 1,128 | 16.3% |
航空事業 | 6,775 | 4.1% | 534 | 7.7% |
その他 | 169 | 0.1% | -21 | -0.3% |
合計 | 163,688 | 100.0% | 6,928 | 100.0% |
セグメント間取引等、調整・消去 | -2,211 | ー | 69 | ー |
計上額 | 161,476 | ー | 6,998 | ー |
第一実業グループは、「協力一致、堅実運営、積極活動」の社是三原則を掲げています。
2019年4月から2022年3月までの3年間にわたる中期経営計画「FACE2021」では、「困難にも向き合いながらさらなる成長を促進し、新たな価値を創造し、会社の『品質』を向上させる。」をビジョンとして、営業と技術サービスの一体化、事業間交流による新たな価値の創造等、時流に適合した事業軸体制の進化を目指しています。
この3年間では、リスク管理の徹底を行うとともに、M&A、企業アライアンスの手段を検討する等、事業企画力の強化と経営資源の有効活用によって成長のための基礎固めを行う方針です。
具体的に1人財の育成、2エンジニアリングセンターの設立・運営、3グローバルITインフラの整備・強化の3つの全社横断プロジェクトを立ち上げ、これらの施策を強力に推進していく計画です。
西華産業株式会社
2020年3月期連結決算 (2019年度)
売上高 (百万円) | 140,677 |
経常利益 (百万円) | 3,122 |
親会社株主に帰属する当期純利益・純損失(百万円) | -1,262 |
包括利益(百万円) | -2,195 |
従業員数(人) | 971 |
子会社 | 19社 |
関連会社 | 7社 |
西華産業及びグループ会社は、電力、化学・エネルギー、産業機械、素材・計測分野の機械設備並びに機器、およびこれらに附帯する製品の販売、サービス等に係る事業を国内外にわたって展開しています。
具体的な事業セグメント(取扱製品・サービスの領域)は以下の通りです。
- 電力事業:発電設備、環境保全設備、および関連機器
- 化学・エネルギー事業:一般産業向発電設備、環境保全設備およびそれらの関連機器並びにプロセス用製造設備
- 産業機械事業:新素材・繊維、醸造・食品、出版・印刷、プラントエンジニアリング等の機械設備 等
- 素材・計測事業:各種素材、原材料(繊維原料、プリント基板等)および最先端計測機器 等
- グローバル事業:水中ポンプ、排水処理機器、繊維・化学向機械設備、原材料(繊維原料)およびエレクトロニクス実装関連設備 等
2020年3月連結決算での、事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2020年3月連結決算セグメント別業績概要
事業名 | 売上(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) | 利益構成比 |
電力事業 | 39,970 | 27.5% | 1,617 | 36.3% |
化学・エネルギー事業 | 43,083 | 29.7% | 895 | 20.1% |
産業機械事業 | 45,271 | 31.2% | 1,556 | 35.0% |
素材・計測事業 | 4,395 | 3.0% | 63 | 1.4% |
グローバル事業 | 12,410 | 8.6% | 317 | 7.1% |
合計 | 145,131 | 100.0% | 4,449 | 100.0% |
セグメント間取引等、調整・消去 | -4,453 | ー | 28 | ー |
計上額 | 140,677 | ー | 4,477 | ー |
西華産業グループは、創業以来「社業の発展を通じ社会に貢献する」を社是として事業を展開しています。
現在、2020年4月より3ヵ年の中期経営計画Re-SEIKA 2023を策定し、「変革と挑戦。強く価値ある会社へ」を掲げて事業を推進しています。
中期経営計画Re-SEIKA 2023の基本方針は以下の通りです。
・今までの考え方や行動を変え(改革 Re-formation)
・あらゆる困難に何度でも挑戦しながら(再挑戦 Re-challenge)
・持続的な成長サイクルを構築し(回復 Re-gain)
更なる企業価値の向上を実現する新たなステージ(再出発 Re-start)とする。
この基本方針の基で、グループ収益の拡大、収益基盤の強化、新たな収益源の開拓、経営基盤の強化を基本戦略として具体的な取り組みを開始しています。
新たな収益源の開拓では、既存事業との親和性が高い領域である再生可能エネルギーやライフサイエンス分野などをテーマに定め、戦略的なパートナーとの提携や人材の投入を図るなど経営資源を投入し、積極的な施策を打っていく計画です。
まとめ
専門商社を目指す就活生は、その分野の代表的な企業を深く研究することが不可欠です。各社の戦略に違いがあり、その特徴を自分の価値観や強味、就活の軸に照らして吟味して、志望動機を磨いていきましょう。
そのマッチングが曖昧だと、上位企業の選考には勝ち残れません。「商社ビジネス」への憧れや、海外志向から志望業界にするのは良いですが、専門分野と企業研究に時間をかけて取り組んでください。
機械専門商社の場合国内の卸売りがメインの業態にはなりますが、中国やアジア諸国をはじめ海外に展開している企業も数多くあります。興味が繋げた方は、ぜひ積極的にチャレンジしてください。
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