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面接の自己PRでは、何が見られているのか
学生にとっての面接の目的は、自分を志望企業に売り込むことです。従って全ての回答は自己PRにつながります。
狭義では、エントリーシートに記載した、強み、能力、長所を、面接であらためて「あなたの自己PRをお願いします」、「あなたの長所は何ですか?」という質問で聞かれます。
チームワークやチームワーク力を自己PRのテーマとしてアピールしたい場合、どう話せば面接官に響くのでしょうか?自己PR質問の意図からおさらいしておきましょう。
面接官が自己PRや長所の質問で知りたいのは次の5点に集約できます。
質問の意図:
- どんな人柄で、どんな特長(強み、長所)を持っているのか
- 物事に対する考え方、価値観、興味、取り組み方、態度・姿勢、行動特性
- 人柄や特長(学生の主張)の裏付けや経験、事実
- 人柄や特長を、どのように活かしているのか、活かそうとしているのか
- 魅力的で、印象に残す説明ができるか
つまり特長(強み、長所)を通じて、あなたの人柄、考え方、行動特性、物事に取り組む熱意をアピールするべきなのです。どんな特長でもこの趣旨を理解して、それが伝わるような回答ができれば良いのです。チームワークやチームワーク力をアピールする場合の、大切なポイントを解説していきます。
自己PRで、チームワークを取り上げる場合の注意点
チームワークは、企業が選考時にあたって重視するポイントです。経団連が1997年より毎年行っている「新卒採用に関するアンケート調査」で、直近の2019年卒を対象とした調査ではチームワークに必要な「協調性」が第四位にランクしています。
ちなみに第一位はコミュニケーションの能力(82.4%)、二位は主体性(64.3%)、三位はチャレンジ精神(48.9%)と続き、四番目がチームワークに必要な協調性(47.0%)の順です。
面接でチームワークや協調性を自己PRや長所であげられたポイントだけで判断しているかというと、それは違います。他の質問の答えとの整合性、性格を含めて全人格的な資質そして企業によってはグループディスカッションやグループワークを通じて学生のチームワーク力を判断しているのです。
チームワーク力とは何か
チームワークは説明の必要がないでしょう。
チームで一緒に仕事をしていくことで、すべての企業活動はチームワークによって成立しています。社内のみではなく、協力会社との連携もチームワーク、法人顧客との関係性もパートナーとしてのチームワークが必要不可欠です。
チームワーク力はどうでしょうか?あなたは「チームワーク力がある人」を、どうイメージしますか?10人に同じ質問をした場合、10人とも解釈が違う答えをしてきます。
ある学生にとっては、「周囲の人とうまくコミュニケーションがとれて、一緒に働いていける人」、「チームワークに貢献できる人」またある学生にとっては、「調整することが得意な人」、「皆の意見をまとめることができるリーダー的な存在」、「指導力がある人、統率力がある人」、などバラバラな回答が返ってきます。
このように「チームワーク力=チームワークに貢献するチカラ」とは非常に曖昧であり、人によって伝わる意味やイメージが違うということをまず知っておきましょう。
就活の文脈でいうチームワーク、チームワーク力とは何か
企業が選考時にあたってチームワークで仕事ができるかを重視するのは、全ての仕事はチームプレイで成り立っているという、非常にシンプルな理由からです。
企業にとってチームに貢献する能力や姿勢は、「当然備わっていて欲しい資質」なのです。どんな仕事でも上司や同僚、場合によっては協力会社や顧客との連携が不可欠ですし、程度の差はありますが周囲の協力かないと仕事は進められません。
多くの学生がサークルや部活で「チームとして達成できたこと」をアピールポイントにして自己PRを行います。その数が多いこと、また、チームに対して貢献する能力や姿勢は、企業にとって当然備えていて欲しい資質という2つの意味で、他の学生との差別化が難しい長所ということを知っておいてください。
自己PRでよくある、「徹底的に話し合いをした結果チームで合意することができ、イベントも大成功しました」レベルのアピールでは面接官の印象には残りません。
就活文脈のチームワーク、チームワーク力に必要な要素
就活文脈のチームワーク、チームワーク力をもう少し深く考えてみましょう。企業のニーズにマッチするチームワーク力の要素は以下のようになります。
- チームの重要性、チームで成果を上げる目的をよく理解している
- 個人プレイに走らず、チームプレイで最高の成果を出すために貢献できる
- チームメンバーの個性や能力を理解して、適切な対応やサポート、アドバイス、コーチングができる
- 自分の役割と、各チームメンバーの役割を理解して、効率的な連携作業ができる
- 意見が対立した際、傍観せずに自ら対立点を整理して、合意への努力を惜しまない
- 対立した意見や組織の利害を調整するのが得意、調整力がある
- 会議で参加者の発言を促し、参加者が納得できる結論へ導く能力
- 時と場合によっては、自ら犠牲的な役割、仕事をすることを厭わず、チームでの成果を優先できる
しかし、あなたがチームワークやチームワーク力を自己PRのポイントにするならば、あなたが語るエピソードにこれらの要素が一部でも感じられないと、非常に弱い自己PRになってしまいます。
ESであれば、提出する前に自己PR文をもう一度読んであなたのアピール、あなた自身が「志望する企業の仕事に活きる、ポテンシャルがある」という印象が残るかどうかをチェックポイントとして下さい。
もし残らなければ、あなたの自己PR文は「就活」という括りの中ではうまく機能していません。もう一度、就活文脈の「チームワーク力」の要素が際立つようにリライトして下さい。
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チームワークやチームワーク力を具体的に語ろう
チームワークやチームワーク力の持つ意味が曖昧で、個人差があるため、チームワークやチームワーク力をアピールする際には、具体的にどんな強みなのかを定義して語ってください。
自分がアピールしたいチームワークやチームワーク力とは何かをはっきり定義するべきなのです。
チームの中でのあなたの役割と、どんな能力を発揮してチームに貢献したのかを、あなた自身が自ら行ったこととして説明しない限り、自己PRにはならないので特に注意してください。
間違っても「私は他のメンバーの意見にも耳を傾けて、チーム一丸になることを最も大切にしています」という文脈だけでチームワークやチームワーク力を語らないでください。
他人との協調は大事なことですが、当たり前過ぎてアピール力がありません。意地悪な面接官は、「それって、全く普通のことで、長所、強みでも何でもないよね」と切り捨てます。
アピールポイントの根拠を語ろう
チームワークやチームワーク力のアピールポイントを語っただけでは誰も信じてくれません。なぜそう主張できるのかを事実・経験に基づいたエピソードで証明しましょう。
エピソードはESに取り上げるメインを含めて、少なくとも3つエピソードを用意しておきましょう。
1つのエピソードだけでは根拠と言えず、仕事での再現性をアピールできません。2つの場合でも、どちらかのエピソードの評価がイマイチの場合、不安定であり、根拠が薄いという判断を受ける可能性があります。3つの場合、「自己分析をしっかりした上での強み」としての印象が強まり、面接官は根拠と再現性を評価しやすくなります。
深堀質問がこなくても、簡潔にに複数のエピソードを紹介できるようにしておきましょう。
自己PRをエントリーシートに書くために、あなたの強み・長所は事実・経験から抽出していますね。その過程で使用したエピソードの展開フレームを面接にも応用しましょう。
チームワークやチームワーク力をアピールするには次の3点をアピールできるエピソードを選びましょう。
- 何故チームワークが重要だと思ったのかの気づき・視点・理由
- あなたがチームで最良の結果を出すために、具体的に何をしたのか、あなたの役割を強調できるもの
- エピソードの中に、あなたが自主的に、積極的にチームに提案したこと、働きかけたことを必ず入れること
- 事実に基づくことが前提ですが、対立した意見をまとめて成果に貢献した実績
強み・長所を上手に伝えるパターン
- 結論を先に述べる:「私の強み・長所は○○○を○○○するチームワーク力です」(強み・長所のチームワーク力を具体的に表現する)
経験・エピソードパート:
- 強み・長所の根拠である経験、力を発揮できたエピソードの概要を簡潔に語る
- そこにあった問題点・課題、課題に対して考えたこと・課題解決への動機
- 問題・課題に対してとった行動とその結果
まとめパート:
- チームワーク力のまとめと、仕事への活かす決意
これらの要素を一気に話すのではなく、できるだけ面接官との会話の中で伝えてください。面接に慣れてくれば、順番を敢えて崩して印象を深めるなどの余裕も出てくると思います。
暗記した文の棒読みはだめです。キーワードをしっかり頭に入れて、会話で伝えることを心がけましょう。
チームワーク・チームワーク力を自己PRする場合の回答例
大学1年の時から大手居酒屋チェーンでのアルバイトをはじめました。もちろんマニュアルがあって、それを理解すれば一通りのことができたのですが、当初はミスも多くお店に迷惑をかけてしまいました。
そんな時、一人の先輩が私の事を見かねて、マニュアルの書かれている内容の深い意味を教えてくれました。お客様に気持ちよくお金を払っていただくということは、どういうことなのか、何故マニュアルに書いてある業務が必要なのかを丁寧に教えてくれたのです。
私はその先輩を尊敬し、先輩と同じことができるように懸命に仕事を覚えました。その結果、お客様から評価も高くチェーンで表彰も受けました。
私は先輩が私にしてくれたことを、新人アルバイトに対して必ず行いました。居酒屋のアルバイトは色んな人がいて、その目的も働くモチベーションもばらばらです。年上の方や子育て中の女性もいらっしゃいます。私はその人たちの個性や、働くモチベーションを聞きだし、それに合うような説明の仕方をするように工夫しています。
マニュアルも店長の許可をいただき、その店独自の追補版を作成しました。
人の出入りが激しく厳しい環境でしたが、アルバイト同士でも「いい仕事をしよう」という雰囲気ができていきました。その結果、お店自体も関東地区で最も売り上げ効率の高い店舗となり、アルバイトも含めて地区表彰されたのです。
この3年間で学んだことは、チームに対して自分が貢献することの大切さです。アルバイトという立場でしたが、自分で工夫したり、提案したり、アドバイスしながらチームに貢献する姿勢が良い結果に結び付くということを学びました。また、大きな自信にもなりました。
社会人になっても、このチームへ貢献する姿勢を大切に、最高の成果が上がるように働きたいと考えています。
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