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志望動機の基本の書き方
まず基本の書き方を覚えましょう。志望動機については、以下のクリティカルな質問に対する答えを必ず用意します。
- 何故、他の業種ではなく電子部品メーカーなのか?完成品メーカーではなく、電子部品メーカーなのか?
- 何故、他の電子部品メーカーではなく、この電子部品メーカーなのか?
- この電子部品メーカーで、何がしたいのか?何を実現したいのか?
志望動機の作成方法に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。もし読んでいなければ電子部品メーカーへの志望動機を書く前に、ぜひ参考にしてください。志望動機の構成要素に関する理解が深まります。
ここでは、作成のためのフローチャートと、志望動機のまとめ方のフローチャートを掲載しておきます。志望動機の作成フロー
志望動機の構成要素とまとめ方
電子部品メーカーへの志望動機の書き方
電子部品メーカーへの志望動機を説明するために、具体的に京セラへの志望動機の例文を掲載しています。これは、あくまで電子部品メーカーへの志望動機文の構成要素と文章フローの参考用です。具体的な例文に基づかないと、参考にし難いという理由からです。
志望動機は、あくまで「あなた起点」で書かなければ意味がありません。就活本やマニュアル、就活支援サイトにある例文は参考にして良いですが、コピペや流用は止めましょう。コピペや流用をして書類選考を一時的にしのげたとしても、面接では説得力がなく、選考には勝ち残れないでしょう。
うまく内定がとれたとしても、あなたの本質からずれたところで選んだ企業に入社するリスクになります。入社後にミスマッチが起こると、あなたも企業もお互いに不幸な結果になってしまうので、志望動機は必ず自分の考えと意思で作成しましょう。
京セラへの志望動機:技術系(400字)
弊社への応募の「きっかけ」を踏まえて、志望理由を教えて下さい。(400文字)
SOFCの開発から実用化に、企業理念の一つである「能力を未来進行形でとらえる」を実践している会社であることが分かり、深い感銘を覚えました。
私は大学院でエネルギー理工学を専攻し、特に既存エネルギーの変換プロセスの超効率化を中心に研究を行っています。エネルギー問題は人類の未来、全世界レベルの課題であり、その解決の一端を担うことが私の就活の軸です。
その意味で世界に先駆け家庭用の発電セルを開発し、更に環境・エネルギー関連の基礎研究にも挑戦されていることが、貴社を志望する第一の理由です。第二の理由として、世界の多くの企業に影響を与える活躍がしたいという軸もあり、貴社がグローバルな素材・デバイスメーカーであることも理由の一つです。
私が成長する事で貴社の事業、ひいてはより良い世界の実現に貢献したいと思い志望しました。
私は大学院で化石燃料などから高効率エネルギーの変換技術、化学反応・吸着操作を用いるカスケード利用からエクセルギー再生の研究、また次世代エネルギー材料、デバイスの開発という学際的研究も行っています。この分野は化石燃料の資源枯渇、地球温暖化問題、原子力発電の抱える矛盾を解決していく上で、最も実践的な研究テーマであると考えています。
中学の時に大震災を経験し、エネルギー問題に大きな関心を持ち、それ以来、再生可能エネルギーの研究をしたいと考え、電機電子工学科からエネルギー理工学の専攻を決めました。
将来的には各家庭のHEMS情報をネットワーク化して、地域単位でのエネルギーの高効率使用と災害に強いインフラの構築に寄与したいと考え貴社を志望します。
電子部品メーカーという業種の特徴を考える
電子部品メーカーの場合、注意すべき点は「なぜ完成品メーカーではなく、電子部品メーカーという業態に魅力を感じるのか」、そして「その電子部品メーカーが取り組んでいる事業分野は、自分にとって何が魅力なのか」を明確にして書くことです。
電子部品メーカーは基本的に特定の事業領域を専門的に扱っています。
例えば、京セラの場合はスマートフォンや携帯電話、宝飾品やセラミック素材を応用したキッチン製品、家庭用エネルギーシステムなどの一部完成品は除きますが、主力は広汎な電子部品(コンデンサ、パワーデバイス、水晶デバイス、コネクタ、プリンティングデバイス等)や基盤、ファインセラミックを応用した素材、工具、光学部品、ケミカル材料を開発・製造・販売するBtoBビジネスです。
村田製作所は、日本を代表する電子部品メーカーであり、その製品の90%が海外で販売されているグローバル企業です。コンデンサ(キャパシタ)は世界シェア40%、ショックセンサ 95%、コネクティビティモジュール55%、SAWフィルタ 50%など、世界でNo.1のシェアを持つ製品を数多く保有しているのが特徴です。これらのスマートフォンから自動車まで、世界中で様々な製品に使用されています。
日本電産は世界No.1の総合モーターメーカーであり、世界中にグループ企業300社を有し、パソコン、スマートフォン、家電、AV機器、OA機器、健康・医療機器、自動車、ロボットなど、なくてはならない企業として成長を続けています。売り上げ規模も2020年3月期には、1兆5348億円に達しているグローバル優良企業です。また2030年度は売上高10兆円をという野心的な目標を以て積極的に事業を展開しています。
電子部品メーカーはBtoB ビジネスであり、派手さはありませんが、特に大手は優良企業も多く市場は世界に広がっているグローバルカンパニーです。日本が誇る基幹産業であり、世界的なシェアを持っている部品も多いのです。また一分野に特化して世界的なシェアを握っている影の優良企業も多いため、特に技術系の志望者のレベルは高いので注意が必要です。
BtoBビジネスは世界のお客様のニーズをきめ細かく吸い上げ対応するため、顧客との信頼関係がとても厚く、深いという特徴があります。
特に技術やコストに関する顧客からの難しいリクエストを満たして製品を供給しないと競争に勝てないことから、チャレンジ精神や創造性、やる気、忍耐力が求められます。また中心の市場は海外のため、語学力が全くだめでは選考に勝ち残るのは難しいと考えて下さい。
事務系の職種を志望する学生は、電子部品メーカーのビジョンと自分の就活の軸をマッチングするのが基本となります。特に、何故完成品メーカーではなく、部品メーカーなのかは面接でも必ず質問されます。
理系の学生のように専攻が志望理由にできないために、より深い業界・企業研究やインターンシップへの参加で志望動機に説得力をつけることが必要になります。
入社後は事務職・営業職であっても深い知識や専門性が求められます。少数精鋭の優秀な人材が集まっており、語学も含めて高いレベルの業務をこなしていくことになるので、自分の特性をよく考えて志望しましょう。
その電子部品メーカーで実現したいことを結論とする
エントリーシートでも、面接でも、「電子部品メーカーで実現したいこと、やりたいこと」は志望動機の結論部分になります。結論は、エントリーシートの志望欄には一番初めに、明確に書きましょう。面接では、結論を始めに述べましょう。
文の冒頭は、結論=核心部分から書きます。理由から入ると話の核心が見えにくく、弱くなってしまいます。ESでも面接の応答でも基本は結論をはじめに述べてから、その理由を簡潔に説明していくフローを使いましょう。
また「理由」を述べる場合でも、企業の特徴を挙げているだけでは、あなたを感じることはできません。理由にも、あなたの「意思」や視点を入れて書かないとアピール不足になります。
京セラの技術職のESは、志望動機の一問目で「きっかけ」と「理由」、二問目で「どの事業分野で、どのような専門技術を活かしたいか」と非常に具合的に質問しているため、それに従って回答しています。
京セラ志望のAさんの場合は、二問目の冒頭部分が結論の「その電子部品メーカーでやりたいこと」の部分です。
京セラの場合スマートフォンやキッチン製品、宝飾品など身近な商品であれば、自分の興味や経験などに結び付けることは可能でしょうが、京セラという企業全体から見ると完成品事業はニッチであることから、それらを無理やり志望動機の核にすることはお勧めできません。主力の電子部品のような、純粋なBtoB製品の場合はなかなか自分事化できないため対策が必要です。
その対策として、電子部品メーカーの志望動機の場合は次の2点を入れて書くことをお勧めします。
- なぜ電子部品メーカーという業態に魅力を感じるのか(自分の視点で)
- その電子部品メーカーが取り組んでいる事業の魅力、社会的な重要性と自分にとっての意味
上記の問いに対し「理由の理由」を繰り返し深く掘り下げてみましょう。自分の深い部分で、どう結びつくかを自分の言葉で語って下さい。
電子部品メーカーの場合、会社ごとに事業ドメインに違いがあります。しかしその中でも、以下のような共通点があります。
- 事業・取引が国内・海外に展開をしていること
- 電子部品・素材のイノベーションで世の中のモノや生活を変革する
- プロフェッショナルな専門知識が必要
- 企業と企業を繋ぐ、企業と情報、人(技術者)と企業を繋ぐBtoBビジネス
また、志望動機の結論に、「自分の成長」や「自己実現」など、自分へのメリットを書くのは止めましょう。企業はあなたのために採用活動を行っているのではありません。あくまで企業のために行っています。企業のためとは、企業の利益に貢献をすること、そのためには、企業の顧客に価値を提供することです。
多くのエントリーシートを読んでいますが、志望動機の結論部分を自分の成長など、自分へのメリットに重きを置いて書いてしまっている学生は非常に多いのです。自己の成長は非常に重要ですし、多くのBtoB企業が求める資質ではありますが、志望動機を自己目的化しないように注意しましょう。
この結論部分には、「あなたならでは」の要素を入れましょう。他の学生ではない、あなた独自の情報を入れないと、あなたの志望動機としては弱いものになってしまいます。京セラのエンジニアの場合は、まさに専攻と希望する事業分野に、「あなたならでは」の情報を入れる必要があります。あなた独自の情報とは、経験、価値観、独自の視点、強みや専門領域を意味します。
中学の時に大震災を経験し、エネルギー問題に大きな関心を持ち、それ以来、再生可能エネルギーの研究をしたいと考え、電機電子工学の学科からエネルギー理工学の専攻を決めました」として、自分の専門研究分野と、事業領域に興味を持った理由を説明しています。
何故、電子部品メーカーなのかを理由付けをする
志望動機の作成フローにあるように、あなたがなぜその業界に興味、関心があり職業選択の対象にしたのかを説明しましょう。そして、何が結論である「あなたがその電子部品メーカーでやりたいこと」に結び付いているのかを説明します。
京セラへの志望動機の例では一問目の「きっかけ」と「志望理由」への回答でそれを説明しています。
電子部品メーカーという業種である理由:
「第二の理由として、世界の多くの企業に影響を与える活躍がしたいという軸もあり、貴社がグローバルな素材・デバイスメーカーであることも理由の一つです」
自分の専門領域を明記した上で、その研究の成果を世界の様々な企業に供給し、その結果、世界の発展に貢献したいという意欲が語られており、専門領域と部品メーカーという業種の存在意義が上手く結びついています。
何故、他の電子部品メーカーではなく、このメーカーなのかを理由付ける
このパートに説得力を持たせるのは、徹底した個別の企業研究と、自己分析です。志望企業はもちろんの事、その業界内で競合する企業を研究して、志望企業ならではの特徴、独自性を見つけていきます。
電子部品メーカーの扱っている事業や製品は電子部品メーカーごとに様々です。京セラ技術職の例文のように、あなたが本当にある特定部分のスペシャリストで、専門知識があり、その分野にこだわりがあればそれを核に志望動機をつくるべきです。
同じ事業分野内で、いくつかの電子部品メーカーが競合している場合、事業領域までは自分の専門性や価値観、経験に結び付けられたとしても、何故競合企業ではなく、この企業なのかの答えを用意しておきましょう。
自己PR要素を加え志望動機を補強しよう
自分のアピ―ルポイントを明記して、それによってどんな貢献ができるのかを、ビジョンでも良いので書くことが重要です。例えば、専門領域が文系であれば、語学や会計などにアドバンテージがある場合は、その専門性でアピールしましょう。
それ以外の場合でも、文字数が許せば自分で最も競争力があると思うアピールポイント(経験、能力、長所、強み、資格、専門領域など)を書いておきましょう。学生時代の経験で、リーダーシップや交渉力、実行力や粘り強い性格などの人間的な力でも良いのです。書いていない場合、書いていないことではじかれるリスクがあるためです。
エントリーシートのフォーマットの多くは自己PR欄を別に設けているため、文字数が少ない場合は志望動機に自己PR内容を無理に入れなくて良いですが、ひとつのエントリーシートとして、あなたの人格が伝わるような一貫性は持たせておきましょう。
自己PR要素を盛り込む際に注意したいのは、いくらあなたの価値観や経験に適合しているからといって、企業の本質から距離のある個別の活動に志望動機を結びつけるのは止めておきましょう。
例えば、京セラの場合、創業者である稲森和夫名誉会長の、「敬天愛人」の社是のもと、「社会との共生」、「世界との共生」、そして「自然との共生」という3つの「共生(LIVING TOGETHER)」をすべての企業活動の基本に置き、エコロジー(環境性)とエコノミー(経済性)の両立を追求しながら持続的な発展をめざす「環境経営」にグループを挙げて取り組んでいます。
その理念を基にした環境保護に対する取り組みや社会貢献、CSRの個別の活動は、それぞれ素晴らし取り組みです。これらの活動は京セラに対し、興味を持つきっかけとしては良いと思います。
あなたがそれらの活動によって、京セラに興味を持ったとしても、その活動の奥にある企業理念まで深堀して考えていきましょう。活動そのものを理由にすると、非常に浅い印象を受けてしまいますので注意してください。
志望動機の作成フローにもあるように、志望動機の核にするのは最も上位の概念の企業の存在意義であるべきです。もちろん、そこからナローダウンする必要はありますが、存在意義に基づいた企業や事業の本質的な部分に、あなた自身を結び付けてください。
職種とキャリアプランによる貢献を語ろう
具体的にこの電子部品メーカーに入って何を以て貢献できるかを、職種希望と結びつけて語りましょう。そして文字数が許す範囲で、キャリアプランまで熱く語ると好印象です。例文では自分の研究分野を詳しく紹介しているため、環境エネルギー事業の技術職への志望が明確になっています。
あまり無理やりこじつけるのは得策でありませんが、志望職種とキャリアプランまでできていれば、志望動機の説得力を増すことが出来ます。エントリーシートの記載までに、職種志望動機とキャリアプランまでをまとめておきましょう。その企業に入って、具体的に何をしたいかを結論として書くためには避けては通れません。
文字数の制限がある場合はESには入れられなくても、自分が実現したいことには関わるため、ビジョンとしてでもまとめておきましょう。面接では必ず質問がありますので、ES提出段階で、早めに固めておくことをお勧めします。
就活の軸、「企業選択で譲れない基準」を基に志望動機を結ぼう
志望動機文の最後のフレーズは、就活の軸の実現が、この電子部品メーカーだからできるという文脈で結びましょう。それまでの文章のフローで、二度全く同じことを言わないように表現を工夫する必要はあります。
文を締める意味で「貴社を志望しています」、「貴社に貢献したい」という志望意欲を伝えるために、核心部分を別の表現で補強しておきましょう。京セラ志望のAさんは冒頭のビジョンをより具体的に言い換えています。
電子部品メーカーへの志望動機のまとめ
- その電子部品メーカーで実現したいこと、やりたいことを結論として初めに書く
- 何故、電子部品メーカーなのかを理由付ける(業種・業界の存在意義 X 価値観・経験)
- 何故、他の電子部品メーカーではなく、その電子部品メーカーなのかを理由付ける(志望する電子部品メーカーの存在意義・特徴・独自性 X 価値観 X 自己PR要素)
- 就活の軸、「企業選択で譲れない基準」を基に志望動機を結ぶ (志望する電子部品メーカーの存在意義・特徴・独自性 X 就活の軸)
尚、志望動機欄の文字数制限が300字以下の場合は、自己PR要素は削除してもかまいません。殆どのESには自己PR欄や、学生時代に力をいれたことを記述する欄がるため、そちらで集約して、志望動機は全体を簡潔にまとめてください。
ただし上記の4つの要点はカバーしましょう。完全に一つ一つをカバーしなければならないという意味ではありません。文脈の中でうまく伝えることにトライしてください。ES全体として「あなた」という個性と志望動機に一貫性が読み取れ、採用担当が「あなたがこの企業で働いている姿」を想像できれば選考を勝ち抜けます。
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