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【就活の業界研究】:自動車部品業界の現状と課題、未来を俯瞰して理解しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。「就活の答え」では自動車部品業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

自動車部品業界の6つのポイントを押さえよう

  • 自動車部品業界の構造とビジネスモデルを理解しよう
  • 自動車部品業界の現状と課題・未来
  • 自動車部品メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 自動車部品メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 自動車部品メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 自動車部品メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では自動車部品業界の現状と課題、そして未来についても分かり易く解説します。自動車業部品界入門編として活用してください。尚、自動車完成品メーカーに関しては別の記事でまとめていますので、そちらも併せて活用してください。

自動車完成車メーカーの海外生産と部品メーカー

国内メーカーでは断トツ1位のトヨタの場合、2018年3月期の所在地別連結販売台数の内訳をみると、販売台数 8,964(千台)の内、日本25.2%, 北米31.3%, 欧州10.8%, アジア 17.2%, その他地域15.5%となっています。

同決算で生産台数内訳をみてみると、国内47.8%、北米21.2%, 欧州7.6%, アジア17.9%, その他地域 5.5%となっており、生産、販売とも海外マーケットの比率が高く事業がグローバル化していることが分かります。日産の場合は海外生産比率は既に8割以上に達しており、更に進んでいることが分かります。

日産、ホンダ、SUBARU、マツダ、三菱の国内販売比率は20%を切っており、更に海外売上に業績が左右されます。生産も販売もその重要性が海外市場にシフトしていることは明らかです。

系列部品メーカーでも、独立系部品メーカーでも自動車部品製造メーカーはメーカーの生産拠点がある海外に進出しない限りビジネスを維持、成長させることはできなくなっています。

その意味では資本力がなく、海外進出できない中小部品メーカーは段々苦しい展開になっていくことは避けられません。また、比較的単純な部品の場合既に現地の部品メーカーが存在して完成品メーカーの求める品質の部品を供給している場合は更に厳しい状況です。

就活を考える場合は、その部品メーカーの製品の国際的な競争力もしっかりチェックする必要があります。既にコモディティ化してしまった部品と、世界でも「オンリーワン」ともいえるようなそのメーカーしか作れない部品ではその将来が決定的に違うことは言うまでもありません。キーワードは世界シェアと技術力、自動車産業の大きなトレンドでの位置づけです。

自動車部品メーカーの現状と課題・未来

自動車業界を一変させる「CASE」とは?

自動車業界を就職先として検討しようと思っている学生の皆さんには絶対に知っておいて欲しいのが「CASE」という概念です。

「CASE」とは「Connected:コネクティッド化」「Autonomous:自動運転化」「Shared/Service:シェア/サービス化」「Electric:電動化」の4つの頭文字をとったもので、2016年のパリモーターショーで独ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOが発表した中長期戦略の中で提唱した造語です。

この4つの概念は独立したものではなく、相互に関連して自動車メーカーのビジネスモデルをシフトチェンジしていくものです。ひとつずつ説明していきます。

Connected: コネクティッド化

自動車を単体と捉えずに、IoTで情報をやり取りする端末の一つとして捉え、情報通信を通じて様々なサービスを実現していこうというものです。

自動車は今後、自動運転化の技術が搭載されていくにつれ、現実(まさに今)の地図情報や、車の状態をやりとりするための無線情報通信端末化が進んでいきます。

従って、車はパワートレインと電子機器の融合体に変化していく、変化させようというトレンドシフトです。

Autonomous:自動運転化

日米欧中の自動車メーカーおよびGoogleをはじめとするIT企業は完全自動運転の実現に向け、技術開発を急いでいます。各国政府はそれぞれのロードマップを引き、法改正を含めその実現をサポートしています。現状は2030年に完全自動運転(場所の限定なくシステムが全てを操作)を実現するスピード感です。

現在日本でも既に一部のモデルにはADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)技術による機能が搭載されています。詳しくは解説しませんが、衝突警告、回避機能や、車間距離を一定に保って走行する機能、ハンドルを握って自分で運転しなくても自動的に駐車してくれる機能など、テレビコマーシャルでよく見るものです

今後より高いレベルを目指すためには、大量の情報を高度に処理できるAIプロセッサの開発と搭載が必要になります。

クルマに搭載するカメラや、センサ、レーダー、ロケーター等の自動運転実現のための重要部品の開発も必要になります。クルマの中で人が情報を処理するためのインターフェイスやソフトウェアの開発も必要です。

また、高精度な3次元地図情報やAIが状況を判断するために学習する画像のビックデータ等も必要になり、それが常に最新の状態であることが必要になります。

このように考えると、現在車メーカーが持っている技術以外の分野も多く、自動車メーカーや現状の自動車部品メーカーに必ずしも優位性がないとも言えるのです。

AIプロセッサ、センサ、レーダー、ロケーター等は電子部品メーカーが得意とする分野であり、既に電子部品メーカーが自動車部品メーカーとしても確固とした地位を築きつつあります。

Shared/Service:シェア/サービス化

この分野を象徴する動きとして、トヨタ⾃動⾞が2018年1月、⽶国ラスベガスで開催された「2018 International CES」で、トヨタが目指す方向性として、移動や物流、物販など多⽬的に活⽤できるモビリティサービス(MaaS:Mobility as a Service)への注⼒を宣⾔したことが挙げられます。

極論すると、クルマをつくる会社ではなく、一つのサービスとしてモビリティを提供する会社になるということです。ダイムラーも「自動車メーカーからモビリティのサービスプロバイダへと変わる」と宣言しており、同じコンセプトです。

日本では自動車は稼働しているのが1割、残りの9割の時間は駐車場で止まっていると言われています。それでも今までは自動車を持つことへの憧れ、カッコよさ、ステイタスで新車が売れていました。

しかし国内マーケットをみると、人口減少と少子高齢化、若い人のクルマ離れが進んでおり、購入意向度は全国平均でも42%*しかありません。更に軽自動車に買い替えるなどのダウンサイズ化も進んでいます。(*2015年度 市場動向調査 一般社団法人 日本自動車工業会調査:「買いたい」と「まあ買いたい」の計)

都市部ではカーシェアリングのビジネスが成長していたり、世界に目を向けるとUberをはじめとしたライドシェアサービスが急速に成長しています。

クルマの情報端末化が加速すると、クルマをシェアして利用するサービスが、現状よりもっともっと使いやすくなり、利用者が増えることが予想されます。車の稼働状況を考えると、クルマを維持するコストは現在でも合理性が低いとも言え、技術の発展とともの都市部から「持つもの」から「必要に応じて借りるもの」に需要がシフトしていくことが予想されています。

「Electric:電動化」

最後のEも自動車産業に大きなインパクトを与えます。Electric 電動化は、まさにガソリンやでディーゼルといった化石燃料を燃焼させて動力を得るエンジンから、モーターで動く電気自動車へのシフトを意味します。

現在、トランプ大統領は別ですが、世界各国では地球温暖化を抑制する為に、クルマによる化石燃料の使用を抑制もしくは廃止していこうというトレンドにあります。需要が急拡大する中国や、新興国では大気汚染問題も深刻であり、最終的には排ガスゼロの電気自動車が現在のクルマに置き換わることが予想されています。

実際に欧州や中国では以下のマイルストーンが設定されています。

  • フランス: 2040年をもってガソリン社の販売を禁止、発売する車はすべてEVとする
  • イギリス: 2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止
  • ドイツ: 2030年までにガソリン車などの販売を禁止する決議が国会で採択
  • オランダ/ノルウェー: 2025年以降のガソリン車やディーゼル車の販売禁止を検討
  • インド: 2030年までに販売する車をすべてEVにする目標
  • 中国: EVとPHV(プラグインハイブリッド)の販売比率が2020年には12%と予測。電気自動車開発促進を後押し
  • 日本: 2030年までにEVやPHVの新車販売比率を5~7割にする目標

また国際エネルギー機関(IEA)の予測では、EVなどの累計台数が2020年には2000万台、2025年には7000万台になるとしています。

短期的にみると、このEV化がもたらす波が自動車部品メーカーに与える影響が最も大きいのです。

存知のように自動車は内燃機関としてのエンジンが生み出すパワーで動いてきましたが、EV化が本格的に進むと内燃機関とそれに必要な部品は不要になり、モーターとバッテリーに置き換わることになります。

日本が特使としてきたハイブリットやPHVにはエンジンが搭載されており、部品メーカーの既存ビジネスへの影響は軽微でしたが、本格的なEVは内燃機関が不要になるため自動車市場がEVに置き換わるにつれて内燃機関関連部品メーカーには大きな影響が出ることは明らかです。

電気自動車は部品点数も少なく、駆動がエンジンのような非常に開発の難しい部品ではなくモーターのため、性能の良いモーターとバッテリーさえ調達できれば、比較的容易に車を製造することが出来ます。

中国が国家をあげて電気自動車に力をいれているのは大気汚染対策もありますが、自前の技術だけで自動車産業を構築でき、輸出産業にそだてることができるからです。

世界市場でEV化が進むと、クルマの製造に関わる機械的な部品点数が激減し、より簡単にクルマを完成させることができるようになります。

最もEV化は一挙に進行するわけではなく、内燃機関・エンジンがすべてなくなる訳ではありません。また部品という意味では電子部品の点数は増えていくでしょう。

EV化で不要となる部品としてはエンジン系部品、パワートレイン部品、スパークプラグなどのエンジン電装部品が挙げられます。

またEV化の進行スピードは国ごとに差が出るため、既存のビジネスを行いつつ、新たな事業にシフトしたり、新たな分野を開発すること二面作戦でビジネスモデルの転換を図ることも可能でしょう。

これから部品メーカーを就活の対象として考える方は、しっかりと対象となる自動車部品メーカーの主たる部品、海外進出の度合い、EV化に対する対応、考え方、現在とっている戦略をしっかりチェックしてください。長い仕事人生を考えると、その見極めは非常に重要です。

メガサプライヤー化の動き

自動車部品メーカーは、完成車メーカーの資本が入っていたり、そうでなくても特定の車メーカーへの納入シェアが高く、系列がまだ色濃く残っている業界です。

しかし世界にはドイツのボッシュをはじめとするメガサプライヤーが存在しており、生産の海外移転を前提にするとそれらのメガサプライヤーとは競争になります。日本メーカーへの部品供給は当然として、海外の完成車メーカーからの受注を目指すことが成長につながるため、広範な部品ニーズやモジュールのニーズにこたえるため、シナジーがつくれる部品メーカー同士が経営統合をしていく傾向が出ています。

9019年10月30日に、日立製作所とホンダは傘下の部品メーカー4社を経営統合することを発表しています。具体的にはホンダが出資している傘下の部品メーカー、ケーヒン、ショーワ、日信工業の3社に対してTOB (株式公開買い付け)を行って完全子会社化し、その後日立の完全子会社である、日立オートモーティブシステムズがその3社を吸収合併して統合する計画です。

新会社は日立が66.6%、ホンダが33.4%を出資する資本構成になり、日立の幅広いネットワークを活用して需要を拡大し、規模のメリットで技術研究開発やコストダウンという両社にとってのシナジーを生みだす目論見です。

この統合が実現すると新会社はデンソー、アイシン精機に続き国内3位の部品メーカー、(売上の単純合計は、1兆7,000億円)が誕生することになります。

また2019年10月にはカルソニックカンセイとFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)系列の部品メーカーであるマニエッティ・マレリの統合が行われ、社名もマレリ株式会社に変恋されました。こちらも日産、FCAのそれぞれの系列色を薄めていき、グローバルサプライヤーとして体力の強化を狙ったものです。

自動車部品メーカーを就活の対象に考えている就活生は、部品メーカー同士の合従連合の動きも注視しておきましょう。

他の産業への技術の応用、新たな事業の創出

トヨタ系の合成樹脂、ゴム製品やの自動車部品メーカーの豊田合成は2019年1月に「スタートアップ投資企画室」を設立すると発表しています。豊田合成では既に発光ダイオードなど非自動車事業にも投資を行い注力していますが、更に将来有望な自動運転や医療・産業ロボットに向けて技術を取り込む予定で、他産業へのつながりも拡大していく計画を持っています。

2次、3次部品メーカーでも独自の技術を活かして生き残りをかけて新規事業の開拓に取り組んでいる中堅、中小企業は沢山あります。

それだけ変化に対応しなければならないという危機感の表れでもあります。また各自の得意分野を持ち寄って製品を共同開発する、脱下請け型、ネットワーク型のビジネスにも可能性はあるでしょう。

今後は完成車メーカーのために、完成車メーカーのコストのマイナス要因を取り除くことによって受注し、収益を得るビジネスモデルでは通用しなくなっていくでしょう。

オンリーワンの存在になれれば尚可ですが、なれなくても「自立できる」様々な戦略を張り巡らせて、他の応用可能な産業に事業リスクを分散していく必要はあるでしょう。

まとめ

自動車部品業界の海外進出の必然性や、自動車業界を一変させる「CASE」という視点で、自動車部品業界の現状、課題、未来をみてきました。

これらの変化はもう始まっており、あと10年もすれば業界は大きく変わる可能性を秘めた変化です。

自動車部品業界に興味を持った皆さんは、自動車業界そのものがこの10年、20年は大きな変化の時期であることを十分理解して、完成車メーカーの動向や系列、独立の部品メーカーの事業内容を細かくみていく必要があります。

また自動車部品メーカーに特徴的な仕事の内容や、部品メーカーで働いている先輩の「やりがい」やモチベーション、部品メーカ―に向いている人、向いていない人の「適性」についてもチェックしておきましょう。

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