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【就活の業界研究】:代表的なセメントメーカー主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では金属・ガラス・セメント素材業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

金属・ガラス・セメント素材業界の6つのポイントを押さえよう

  • 金属・ガラス・セメント、素材業界の特徴とビジネスモデル
  • 金属・ガラス・セメント、素材業界の現状と課題・未来
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では素材業界の中から、セメント業界の売上上位企業に絞って、メーカーの現況やその事業を取り巻く状況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に概要を解説していきます。

就活生が、自分自身の将来をセメント業界、セメントメーカーに託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

セメントメーカーは土木・建設用のコンクリート製造向けが中心ではありますが、大手企業は化学や新素材、環境事業、電子部品、機械事業等に進出し、多角化しています。業界としてはセメント製造業に分類されますが、各社の実態をよく理解しておきましょう。

セメント業界、上位企業の概況

太平洋セメント株式会社

2021年3月期連結決算(2020年度)

売上高 (百万円)863,903
経常利益 (百万円)65,744
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)46,800
包括利益(百万円)53,487
従業員数(人)12,586
外、平均臨時雇用者数1,060
子会社182社
関連会社102社

太平洋セメント及びグループ企業は、セメント事業、資源事業、環境事業、建材・建築土木事業、その他に不動産、エンジニアリング、情報処理、金融、運輸・倉庫、化学製品、スポーツ等の事業を営み、また、新規事業も積極的に展開しています。

事業セグメントとその主力製品、サービスは以下の通りです。

  • セメント:各種セメント、生コンクリートの製造販売
  • 資源:骨材、石灰石製品の製造販売
  • 環境事業:廃棄物リサイクル、脱硫材事業
  • 建材・建築土木:コンクリート二次製品、ALC(軽量気泡コンクリート) の製造販売、土木・建設事業
  • その他:不動産、エンジニアリング、情報処理、金融、運輸・倉庫、化学製品、スポーツ事業

太平洋セメントの2021年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が8,639億3百万円(対前年同期204億4千6百万円減、2.4%減)となり若干の減収という結果でした。

利益面では、営業利益が636億1千万円(同26億2百万円増)、経常利益は657億4千4百万円(同52億2百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は468億円(同76億4千9百万円増)となり、コロナ禍の中、増益を達成しています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2021年3月期連結決算セグメント状況

事業名外部顧客売上高(百万円)売上構成比セグメント利益
(百万円)
利益構成比
セメント610,43770.7%41,32665.0%
資源52,6846.1%6,0719.6%
環境事業67,6567.8%6,44710.1%
建設・建築土木68,6037.9%3,5645.6%
その他事業64,5207.5%6,1359.7%
合計863,903100.0%63,546100.0%
調整額64
計上額863,90363,610

また連結売上高の地域ごとの状況をみると、日本が630,838(単位:百万円)で73.0%、米国が150,397(単位:百万円)で17.4%、その他地域が82,667(単位:百万円)で9.6%の比率になっています。

太平洋セメントグループは、2020年代半ばをイメージした「ありたい姿・目指す方向性」として「グループの総合力を発揮し、環太平洋において社会に安全・安心を提供する企業集団を目指す」ことを掲げています。

その実現の至るまでを3つのステップに分け、2020年度までの3年間を実行期間とする「20中期経営計画」は、その第2ステップであり、現在は第3ステップの2021年から2023年度の「23年中期計画」を策定、実行中です。

23年中期計画の骨子は以下の通りです。

基本方針:

  1. 成長の歩みを止めない企業グループとなる。
  2. 社会基盤産業として、安全・安心社会の構築に貢献する。
  3. 収益基盤の強化、成長投資を着実に実行する。

上記の実行によって、太平洋セメントグループ全ての事業が総合的・複合的に機能し合う、太平洋セメントにしかできない新たな事業モデルを構築する=「圧倒的なリーディングカンパニー」となることを目指しています。

また、2023年度に達成すべき定量目標を掲げるとともに、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みにも注力する計画です。

太平洋セメントでは内需の補足に注力するとともに米国、中国、ベトナム、フィリピンなどにも積極的に展開しており、グローバル人材の確保・育成に取り組んでいます。

尚、太平洋セメントは東ソー株式会社の製造するセメントを受託販売する契約、また日立セメント株式会社とはセメント・クリンカ生産受委託等の業務提携に関する基本協定書を締結しています。同業界の主要企業との関係も理解して就活を進めましょう。

太平洋セメントだけではありませんが、CO排出量の多いセメント産業に共通する課題として、2050年カーボンニュートラル実現があり、実質CO2排出ゼロとなるカーボンニュートラル技術の確立は、産業の将来に繋がる最重要課題の1つとなっています。

また国内セメント需要の大きな伸びが期待できない現状では、国内セメント需要の大きな伸びが期待できない市場環境において、国内セメント事業の再構築、工場設備の強靭化、資源・環境事業と複合的営業体制の構築、AI・自動化による物流体制の最適化等も必要になっています。

就活でセメント業界、大手企業を志望する皆さんは、これらの課題もしっかり把握をしておきましょう。

住友大阪セメント株式会社

2021年3月期連結決算(2020年度)

売上高 (百万円)239,274
経常利益 (百万円)17,641
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)11,719
包括利益(百万円)14,717
従業員数(人)3,065
子会社46社
関連会社13社

住友大阪セメント及びそのグループ企業は以下のセグメントで事業を展開しています。

  • セメント事業:セメントの製造・販売を中心とし、生コンクリートの製造・販売、セメント工場における電力の販売やリサイクル原燃料の受入処理、営繕工事、各種品質試験サービス等の事業
    • 主要製品:各種セメント、セメント系固化材、生コンクリート、電力の供給、原燃料リサイクル
  • 鉱産品事業:製鉄材料としての石灰石や道路工事用、生コンクリート用の骨材の採掘・販売等
    • 主要製品:石灰石、ドロマイト、タンカル、骨材、シリカ微粉
  • 建材事業:コンクリート構造物向け補修材料等 の製造・販売、その関連工事等
  • 光電子事業:光通信部品及び計光測機器の製造・販売、導波路タイプ光変調器等の光関連部品の製造・販売
  • 新材料事業:各種セラミックス製品・機能性フィルム・各種ナノ粒子材料、抗菌剤、化粧品材料、各種機能性塗料等の製造・販売
  • 電池材料事業:二次電池正極材料の製造・販売
  • その他事業:遊休地を活用した不動産賃貸や情報処理サービス、電設工事等のエンジニアリング

住友大阪セメントの2021年3月期におけるグループ連結業績は、売上高がセメント事業、建材事業、その他事業等で減収となったことから、239,274百万円と前期実績を2.4%下回る結果となっています。

損益面ではセメント事業で生産コストの削減等により増益となったことから、経常利益は、17,641百万円と前期に比べ694百万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益も、11,719百万円と前期に比べ796百万円の増となり増益を達成しています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2021年3月期連結決算セグメント状況

事業名外部顧客売上高(百万円)売上構成比セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
セメント187,46978.3%9,67358.4%
鉱産品11,9845.0%1,84011.1%
建材17,5777.3%1,65710.0%
光電子5,7252.4%2711.6%
新材料10,7194.5%2,06712.5%
電池素材7210.3%-574-3.5%
その他5,0762.1%1,6419.9%
合計239,274100.0%16,576100.0%
調整額55
計上額239,27416,631

住友大阪セメントグループは、2020年度から「2020-22年度 中期経営計画」をスタートさせ、事業を展開しています。

2020-22中期経営計画では、「セメント関連事業および高機能品事業の両事業分野で、市場を拡大し、安定的に成長し続ける企業グループとなる」ことを将来目指すべき方向性としています。

具体的な取り組みの骨子は以下の通りです。

  1. セメント関連事業(セメント事業・鉱産品事業・建材事業)
  • セメント・固化材の収益力向上と事業基盤整備
    • セメント国内需要減少下においても輸出を含めた数量の確保
    • リサイクル品受入設備設置工事の実施をはじめとしたコスト削減
    • 外部環境に影響されにくい体制を構築。
    • 日鉄セメント株式会社との配船統合による物流の合理化をはじめとした、物流の合理化拡大
  • 関連事業の拡大
    • 引き続き、海外セメント事業の立ち上げに注力
    • 鉱産品事業・建材事業は、安定的な成長を目指す
  1. 高機能品事業(光電子事業・新材料事業・電池材料事業)
  • 既存主力商品の競争優位性の確保と新製品の開発
    • 技術力強化と生産性向上
    • 基盤技術の応用と外部リソースの活用による研究開発の強化
    • 新規事業・新製品の開発に取り組み、事業分野全体の継続的成長を目指す
  1. 環境対策
    • 社会的課題となっている廃プラスチックの受入量の増加
      • 廃プラスチックや一般ゴミ焼却灰の受入量の増加に注力し、そのための設備投資を実施
    • CO2排出削減への取り組み

住友大阪セメントを志望する就活生の皆さんは、住友大阪セメントの企業の特徴と新たな中期計画の方向性をしっかりおさえて選考に臨んでください。

宇部興産株式会社

2021年3月期連結決算(2020年度)

売上高 (百万円)613,889
経常利益 (百万円)23,293
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)22,936
包括利益(百万円)35,598
従業員数(人)10,897
連結子会社66社
非連結子会社25社
持分法適用関連会社1社
関係会社41社

宇部興産及びそのグループ企業は化学、医薬、建材資材、機械、エネルギー・環境、その他のセグメントで事業を展開しています。

各セグメントの主な製品・サービスは以下の通りです。

  • 化学: ナイロン樹脂、カプロラクタム(ナイロン原料)、工業薬品、ファインケミカル、ポリブタジエン(合成ゴム)、ポリイミド、電池材料、機能品、医薬品(原体・中間体)等の製造・販売
  • 建設資材:セメント、生コン、建材関連製品、石灰石、カルシア・マグネシア、機能性無機材料等の製造・販売、資源リサイクル事業、石炭の輸入・販売、コールセンター(石炭中継基地)の運営及び電力供給事業
  • 機械:成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁・鉄構、製鋼品(ビレット、鋳造品)等の製造・販売
  • その他:不動産の売買、賃貸借および管理等

宇部興産の2021年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が前連結会計年度に比べ540億3百万円減(8.1%減)の6,138億8千9百万円となり、減収という結果でした。

利益面では、営業利益が81億3千1百万円減(23.9%減)の259億2百万円、経常利益は124億3千1百万円減(34.8%減)の232億9千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4千万円減(0.2%減)の229億3千6百万円となり、減収減益の決算となっています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2021年3月期連結決算セグメント状況

事業名外部顧客売上高(百万円)売上構成比セグメント利益
(百万円)
利益構成比
化学258,61242.1%8,18431.2%
建設資材276,22945.0%14,74456.3%
機械77,30012.6%2,83110.8%
その他1,7480.3%4471.7%
合計613,889100.0%26,206100.0%
調整額-304
計上額613,88925,902

宇部興産は120年を超える歴史を刻むグループです。「共存同栄」と「有限の鉱業から無限の工業へ」という2つを創業の精神として受け継ぎ、時代と産業構造の変化に対応しながら、新たな技術への挑戦と自己変革を重ねて業容を多角化、拡大してきました。

尚、宇部興産は2022年4月1日よりUBE株式会社(ゆーびーいーかぶしきがいしゃ、英文表記:UBE Corporation)へ商号を変更することを決定しています。23年卒で宇部興産を目指す皆さんは注意しておいてください。

現在では「2025年のありたい姿」とその方向性を「Vision UBE 2025」として描き、その達成に向けたマ イルストーンとなる、2021年度までの3ヶ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」を策定して事業を展開しています。

中期計画の基本方針は、事業の成長基盤強化、経営基盤(ガバナンス)の強化、資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献を骨子としています。

  1. 化学セグメントを中心とした次なる成長の実現
  2. 海外拠点の拡充と国内外グループ会社の連携進化およびグローバルな事業環境変化へのスピーディな対応
  3. 安定的・持続的なキャッシュフロー創出と、成長投資の実施
  4. 人材確保と競争力向上のため、人材と働き方の多様化を推進
  5. 価値創出と業務効率化へのICT技術活用と関連する人材の育成

セメント事業は新会社、UBE三菱セメントへ継承

尚、宇部興産と三菱マテリアル株式会社は、2020年2月12日開催の各々の取締役会において、2022年4月を目途に両社のセメント事業およびその関連事業等の統合を実施することに向けた具体的な協議・検討を開始することを決議し、基本合意書をしました。

その後具体的な協議を経て、2020年9月29日に両社のセメント事業とその関連事業を完全統合する合意に達しています。

具体的には両社の統合対象事業を承継させる新会社を2021年4月に設立した上で、宇部三菱セメント(1998年に折半出資で設立した子会社)を吸収合併するカタチで統合が行われます。新会社へは両社が50%づつを出資し、本社は東京となります。

新会社の社名は「UBE三菱セメント」になると発表されています。社長は宇部興産の小山誠代表取締役建設資材カンパニープレジデント、副社長は三菱マテリアルの平野和人執行役常務セメント事業カンパニープレジデントが就任しています。

宇部興産にとっては売上高全体の半分近く、従業員数は3分の1を占める事業を切り離すことになるので、23年卒の就活生はこのニュースに注目して就活を進めてください。

宇部興産は化学事業のスペシャリティー化を追求し安定・成長を図り、新会社は第二創業として新たな価値創造に挑む方針です。

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まとめ

以上、セメント業界の上位企業の現状をみてきました。凝縮したサマリーですが、セメントメーカー主要企業の多角化した事業内容と規模感、国内市場の現状と課題、カーボンニュートラル実現への社会的課題の概要を理解できたと思います。

セメント業界や多角化している上位企業に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。

また上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。リクルーターから高評価を得ることがポイントになる業界なので、企業研修を徹底的に行って具体的なアクションを起こしていきましょう。

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