就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
日本郵政グループの6つのポイントを押さえよう
- 日本郵政グループのビジネスモデルを理解しよう
- 日本郵政グループ各社の現状と課題・未来
- 日本郵政グループ各社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 日本郵政グループ各社で働く人のモチベ―ションは何か
- 日本郵政グループに向く人、向かない人はどういう人か
- 日本郵政グループ3社の事業の現況
日本郵政グループのビジネスモデル
2022年卒の就活生が選ぶ人気企業の総合ランキングでは、日本郵政グループは60位(キャリタス就活調べ)となっており、伝統的に根強い人気が続いています。
国営であった郵便局の事業が民営化され、日本郵政グループが発足したのが2007年ですので、現在就活している皆さんが小学生の時のこととなります。郵政民営化を進めた小泉元首相が記憶に残っている方も多いでしょう。
グループ株式の状況
日本郵政は、前島密により1871年に創業されて以来、郵便局ネットワークを中心に、郵便・貯金・保険の三事業を行ってきました。
現在はその3事業を日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の3事業会社で行っており、3社を統括する持株会社である日本郵政株式会社の4社体制で経営を行っています。
4社の内、日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険は2015年に東証1部に上場しました。日本郵便株式会社は全国の郵便配達事業を行い、僻地の不採算地域にもユニバーサルサービスを提供する公共性が重視されているため、法律により全株式を日本郵政株式会社が保有することが義務付けられており、上場はしていません。
ちなみに政府は持株会社である日本郵政の1/3を超える株の保有が義務付けられており、日本郵政の筆頭株主は財務大臣です。2015年の上場以降、政府は2017年に2次売却を公募で行っていますが、財務大臣は全株式の63.29%を所有しています。(2020年3月期の決算)
郵政民営化法の改正により、持株会社の日本郵政は「ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式全部をできる限り早期に処分すること」、とされていますが、政府や日本郵政の経営判断によるところもあり、現状ではゆうちょ銀行の株式の 88.99%、かんぽ生命保険の株式の 89%を日本郵政が保有しています。(2020年3月期決算)
民営化され、主要4社のうち3社は上場しているとはいえ、まだ国の支配、影響が強いことが理解できると思います。
主要4社の役割
それでは主要4社をビジネスモデルという視点で見ていきます。
日本郵政株式会社
日本郵政株式会社は、郵便局ネットワークを通じてグループの主要3事業(郵便・貯金・保険)のユニバーサルサービスを提供することにより、日本郵政グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出し、日本国民全員といっても過言ではない顧客への質の高いサービスの提供や新しい価値の創造を追求する使命を担っています。
グループ全体の持株の管理、経営戦略や投資、ガバナンス、調整・連携に責任を持ちグループ全体の最適化を行っています。
収益及び利益は連結事業子会社の、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業、その他の事業で構成されています。
日本郵便株式会社
日本郵便は、全国津々浦々の郵便局と配達網等を持ち、その機能と資源を最大限に活用して、地域のニーズにあったサービスを安全、確実、迅速に提供しています。
具体的には郵便・物流事業(郵便や宅配便、ゆうメール、通販決済事業)、金融窓口事業(郵便物の引受・郵便切手類の販売、ゆうパック等物流サービスの引受、印紙の売りさばき、銀行窓口業務(ゆうちょ銀行からの委託)、保険窓口業務(かんぽ生命からの委託)、物販事業、不動産事業、提携金融サービス(かんぽ生命以外の生命保険会社や損害保険会社から委託を受け、変額年金保険、法人向け生命保険、がん保険、自動車保険等を販売)、国際物流事業、その他不動産事業等を収益セグメントとしています。
株式会社ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は全国で通常貯金口座数 約1億2,000万を持っており、家計部門の預貯金に占めるゆうちょ銀行の割合は、推計で約20%を占める巨大金融機関です。店舗は郵便局なので全国約24,000の窓口を有し、約28,800のATMネットワークを持っている国民の銀行とも言える存在です。
ゆうちょ銀行の特徴の一つは、巨大な金融機関として民業を圧迫しないという配慮から、預けられる貯金の預入限度額が通常預金で1,300万円、定期性預金で1,300万円の上限(2019年3月)として決められている点です。限度額の廃止は民間金融機関の反対が強く見送られているのが現状です。
またもう一つの特徴は、ゆうちょ銀行は一般の銀行が行っているような住宅ローンやカードローンの個人向け貸付、企業向け融資が出来ない点です。
ゆうちょ銀行側はもちろんそれらの事業解の解禁を希望していますが、これも民間銀行への影響が大きすぎると考えられており現時点では実現していません。
融資が認められていない中で利益を生み出しているのは、預かった預金で有価証券を運用して得る有価証券運用益、いわゆる資金利益があるためです。また投資信託の販売による資産形成ビジネスもおこなっており販売手数料等の手数料収入も利益となっています。
利益の大部分を生み出している資産運用の状況は、国民の預金を運用するため国債や地方債、社債等での安全・安定的な運用が基本ですが、一部株式での運用も行われています。
低金利の継続により、日本国債等からの利息収入は大幅な減少が予想されるため、資本の有効活用による国際分散投資の推進、リスク性資産への投資拡大、デリバティブ取引等の活用による収益性向上にも取り組んでおり、安定的な収益確保を目指して運用を強化しているのが現状です。
株式会社かんぽ生命
かんぽ生命の保険は、加入の際に医師による診査を必要としない一方で、保険金額および年金額に制限があるなどの特徴があります。
郵政民営化関係法令により、被保険者1人について加入できる保険金額などの限度(加入限度額)が被保険者の年齢によって定められています。自社の保険商品カテゴリーは、終身保険、養老保険、学資保険、定期保険、長寿支援保険があります。
第三分野のがん保険はアフラックの商品を販売してきた経緯から、2018年12月に資本関係に基づく戦略提携に合意しています。アフラックの株式をまず7%取得し、今後20%まで増やしてアフラックの収益の一部を日本郵政の連結決算に反映させることを目指しています。当然郵便局でのアフラック保険商品(がん保険)の販売・取り組みは強化されていくでしょう。
アフラック以外にも、数多くの国内生保会社の商品の委託販売も行っています。その中でも第一生命とは海外生命保険事業、資産運用事業、国内生命保険事業に関する共同研究に関する業務提携を2016年に結んでいます。
利益は他の生命保険会社の構造と同様、国内債券、国内株式、外国為替等の運用や貸付による資産運用収益(利差益)、予定死亡率化と実際の死亡率との差から生じる利益(危険差益)、予定事業費と実際の事業費との差による利益(利差益)によって構成されています。
尚。かんぽ生命は2019年に不正販売問題が発覚し、社会的に大きな問題となったため、原因究明と再発防止のために新規の保険販売を停止していました。3,300人にものぼる処分を実施し、再発防止策にめどがたったことから、2021年4月より本格的に保険商品の販売を再開しています。
以上主要4社のビジネスモデルを駆け足で解説しました。事業会社3社はそれぞれ2018年3月期の決算では利益を出していますが、課題もあります。日本郵政グループの現状、課題、そして未来に関しては別の記事で解説しますので、あわせて参考にしてください。
まとめ
日本郵政グループ4社が、どの様な収益モデルを持っているかの概要が理解できたと思います。また日本郵政グループの現在、課題、そして未来に関する情報も、志望を決定づける重要なポイントとなります。別の記事で解説しますので、併せて参考にしてください。
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