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志望動機の基本の書き方
まず基本の書き方を覚えましょう。志望動機を書くためには、以下のクリティカルな質問に対する答えを用意します。
- 何故、他の業界ではなく飲料業界、さらに飲料・酒類という業種なのか?
- 何故、他社の飲料メーカーではなく、この飲料メーカーなのか?
- この飲料メーカーで、何を実現したいのか?何がしたいのか?
志望動機の作成方法に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。もし読んでいなければ飲料メーカーへの志望動機を書く前に、ぜひ参考にしてください。志望動機の構成要素に関する理解が深まります。
ここでは、作成のためのフローチャートと、志望動機のまとめ方のフローチャートを掲載しておきます。志望動機の作成フロー
志望動機の構成要素とまとめ方
飲料メーカーへの志望動機の書き方
飲料メーカーへの志望動機を説明するために、具体的にサントリーホールディングスへの志望動機文を掲載しています。これは、あくまで飲料メーカーへの志望動機文の構成要素と文章フローの参考用です。具体的な事実に基づかないと、参考にし難いという理由からです。
志望動機は、あくまで「あなた起点」で書かなければ意味がありません。就活本やマニュアル、就活支援サイトにある例文は参考にして良いですが、コピペや流用は止めましょう。コピペや流用をして一時的にしのげたとしても、面接では説得力がなく選考には勝ち残れないでしょう。
うまく内定がとれたとしても、あなたの本質からずれたところで選んだ企業に入社するリスクになります。入社後にミスマッチが起こると、あなたも企業もお互いに不幸な結果になってしまうので、志望動機は必ず自分の考えと意思で作成しましょう。
例文:サントリーホールディングスへの志望動機
サントリーのビジネス部門で具体的にやってみたい仕事とその理由(500文字)
私は中学までKLに在住しており、FRASER AND NEAVE 社の100PLUSという炭酸スポーツ飲料を愛飲していました。味は爽快感のある炭酸スポーツ飲料ですが、スポーツ用というより一般のソフトドリンクとして人気が高い飲料でした。その時強烈に感じたのが、日本に何故100PLUSのような飲料がないのか、日本に輸出すればかなりヒットするのではないという思いでした。少年時代からスポーツが大好きで、喉が渇いた時に飲むソフトドリンクの爽快感は成人してからのビール好きにもつながっていると思います。
私は所属していた体育会のバドミントン部の先輩を通じて貴社へのOB訪問や説明会への参加し、事業展開のお話をうかがうことができました。特に印象に残ったのは、参入後45年間かけて黒字化したビール事業に象徴される挑戦と創造のDNA、そしてオランジーナの成功例に象徴されるグローバル企業化へのクロスセル戦略です。
入社後は営業の最前線で社員としての基礎力を身に付け、将来的にはマーケティング部門から語学力を活かした海外とのクロスセル拡大にチャレンジして貴社に貢献したいと考え志望しました。
その飲料メーカーで実現したいことを結論として初めに書く
エントリーシートでも、面接でも、「この企業でやりたいこと、実現したいこと」は志望動機の結論部分になります。結論は、エントリーシートの志望欄には一番初めに、明確に書きましょう。面接では、結論を始めに述べましょう。
理由から入ると、話の核心が見え難く、弱くなってしまいます。ESでも面接の応答でも基本は結論をはじめに述べてから、その理由を簡潔に説明していくフローを使いましょう。
サントリーホールディングスのESの場合は、部門別の応募となっており、ESの質問も志望する部門でやってみたい仕事を直截答えるフォーマットになっています。
飲料メーカーの志望動機で良くあるのが、そのメーカーのある商品が「好き」、「子供のころの思い出」、酒類であれば「学生時代の思い出」などを挙げるパターンです。「好き」であることは大事な要素ですが、志望動機としては非常に根拠が浅いものになってしまいます。
このような「好き」の要素は、興味を持つ「きっかけ」にはなりますが、動機として扱うには不十分なので注意が必要です。そもそもそのメーカーの商品を嫌いな学生が、志望する訳はありませんし、「好き」ではあなたを差別化することはできません。
サントリーホールディングス志望のAさんの志望動機の場合は、以下の部分が冒頭の結論になります。
「やってみたい仕事は、世界市場での飲料のクロスセルとローカライズの拡大です。」
志望動機の結論として、「自分の成長」や「自己実現」など、自分へのメリットを書くのは止めましょう。企業はあなたのために採用活動を行っているのではありません。あくまで企業のために行っています。企業のためとは、企業の利益に貢献をすること、そのためには、企業の顧客に価値を提供することです。
成長していくという姿勢は非常に重要ですが、何のためにという部分が、自分に向いている志望動機はNGです。多くのエントリーシートを読んでいますが、ここをはき違えてしまっている学生は多いのです。
冒頭に書くのは結論=核心部分なので、飲料メーカーの独自性、特長や業界でのポジショニングを反映しないと、非常に弱い結論になってしまいます。他業界の企業にもあてはまるような、「人々の生活を豊かにしたい」「人々の幸せに貢献したい」「お客様・消費者との信頼を築く」などの動機では抽象的であり、全くアピール力がないことは、言うまでもありません。
この結論部分には、「あなたならでは」の要素を入れましょう。サントリーの例では下記の部分がそれにあたります。
このように他の学生ではない、あなた独自の情報を入れないと、あなたの志望動機としては弱いものになってしまいます。あなた独自の情報とは、経験、価値観、独自の視点や強み、専門領域を指します。
適切な経験や、専門分野がどうしても思いつかない場合は、徹底した企業研究から次のステップで考えていきましょう。
- Step 1: 志望する会社の特徴・強み・長所・中長期の経営方針をまとめる
- Step 2: 上記の要素から、自分として最も魅力に感じる部分を選び、その理由を深堀する
何故、飲料メーカーなのかを理由付ける
志望動機の作成フローにあるように、あなたがなぜその業界に興味、関心があり人生の重い決断である職業選択の対象にしたのかを説明しましょう。そして、何が結論である「あなたがその企業でやりたいこと」に結び付いているのかを説明します。
サントリーホールディングスへの志望動機の例では、中学校までのクアラルンプールでの炭酸スポーツ飲料との出会いという実体験(きっかけ)から、下記の部分で酒類を含む飲料への興味に広げて語っています。
何故、同業他社ではなく、この飲料メーカーなのかを理由付ける
このパートに説得力を持たせるのは、徹底した個別企業の研究と、自己分析です。志望企業はもちろんの事、その業界内で競合する企業を研究して、志望企業ならではの特徴、独自性を見つけていきます。
企業の独自性と、業界を志望する「あなた自身の理由」を結び付けて下さい。「私のしたい仕事、ビジョンを実現できるのは、○○○という特長を持っている貴社である」という文脈を構成しましょう。
サントリーの例では以下の部分で企業の独自性を理由として挙げています。
自己PR要素で、どんな貢献ができるのかを明記しよう
飲料メーカーの場合、人気の業種ということもありエントリーしてくる学生のレベルが非常に高いため、エントリーシート段階でも自分のアピ―ルポイントを明記しておきましょう。それによってどんな貢献ができるのかをビジョンでも良いので書くことが重要です。
サントリーホールディングスのエントリーシートでは、志望動機の他に、「今までの人生における『挑戦』または『創造』の経験について」という自由記述欄が大きく設けられているため、自己PR要素はそのページで最大限表現する必要があります。
飲料メーカーの場合、ESに自己PRや学生時代に力を入れたことを詳細に書く項目がある例がほとんどです。その記述欄に自分で最も競争力があると思うアピールポイント(経験、能力、長所、強み、資格、専門領域など)を書くことは当然ですが、志望動機にも一貫性を表現できているとプラスポイントになるでしょう。
サントリーホールディングスの志望動機欄の文字数は少ないため、多くは盛り込めませんが、最低限、体育会に所属していたこと、OB訪問を実施して直接先輩から話を聴いたこと、英語力の3点は入れることができています。
自己PR要素を盛り込む際に注意したいのは、いくらあなたの価値観や経験に適合しているからといって、企業の中核のビジネスから距離のある活動にフォーカスするのは止めておきましょう。
サントリーの場合は企業のDNAとして様々な「芸術」「文化」「学術」「スポーツ」を支援しています。また「人と自然と響き合う」というミッションから自然の恵みに感謝して、自然環境や生態系の保護に力を入れています。
これらは全て素晴らしい活動であり、サントリーらしさを色濃く表出しています。個別の活動がその企業に興味を持つ「きっかけ」になったとしても、それを直截志望動機にするのではなく、一度は企業の本質的な存在意義に立ち戻って下さい。
志望動機の作成フローにもあるように、最も上位の概念はその企業の本質的な存在意義です。そこからナローダウンする必要はありますが、存在意義に基づいた企業や事業の本質的な部分に、あなた自身の志望動機を結び付けてください。
キャリアプランで意欲をアピールしよう
あまり無理やりこじつけるのは得策でありませんが、志望職種とキャリアプランまでできていれば、説得力を増すことになります。エントリーシートの記載までに、職種志望動機とキャリアプランまでをまとめておきましょう。その企業に入って、具体的に何をしたいかを結論として書くためには避けては通れません。
文字数の制限がある場合はESには入れられなくても、自分が実現したいことには関わるため、ビジョンとしてでもまとめておきましょう。面接では必ず質問がありますので、ES提出段階で、早めに固めておくことをお勧めします。
就活の軸、「企業選択で譲れない基準」を基に志望動機を結ぼう
志望動機文の最後のフレーズは、就活の軸の実現がこの企業だからできるという文脈で結びましょう。それまでの文章のフローで、二度同じことを言わないように表現を工夫する必要はあります。
文を締める意味で、「貴社を志望しています」で結ぶために、核心部分を別の表現で補強しておきましょう。例文ではキャリアプランの紹介から冒頭の結論=やりたい仕事につなげて志望動機をまとめています。
「やってみたい仕事は、世界市場での飲料のクロスセルとローカライズの拡大です」
最後に結論を言い換えて志望意欲を補強する:
「入社後は営業の最前線で社員としての基礎力を身に付け、将来的にはマーケティング部門から語学力を活かした海外とのクロスセル拡大にチャレンジして貴社に貢献したいと考え志望しました」
就活の軸という直截的な表現を使わなくとも、志望動機に一貫性が感じられ、軸が十分伝わる構成になっています。
飲料メーカーへの志望動機のまとめ
- その飲料メーカーでやりたいこと、実現したいことを結論として初めに書く
- 何故、食品・飲料業界の中の飲料メーカーなのかを理由付ける (業種・業界の存在意義 X 価値観・経験)
- 何故、他の飲料メーカーではなく、その飲料メーカーなのかを理由付ける(志望する飲料メーカーの存在意義・特徴・独自性 X 価値観 X 自己PR要素)
- 就活の軸、「企業選択で譲れない基準」を基に志望動機を結ぶ (志望する飲料メーカーの存在意義・特徴・独自性 X 就活の軸)
尚、文字数制限300字以下の場合は、自己PR要素は削除してもかまいません。殆どのESには自己PR欄や、学生時代に力をいれたことを記述する欄がるため、そちらで集約して、志望動機は全体を簡潔にまとめてください。
ただし上記の4つの要点はカバーしましょう。完全に一つ一つをカバーしなければならないという意味ではありません。文脈の中でうまく伝えることにトライしてください。ES全体として「あなた」という個性と志望動機に一貫性が読み取れ、採用担当に「あなたがこの企業で働いている姿」が想像できれば選考を勝ち抜けます。
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