就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
「就活の答え」では機械業界を、以下の項目に沿って解説していきます。
機械業界の6つのポイントを押さえよう
- 機械業界の構造とビジネスモデルを理解しよう
- 機械業界の現状と課題・未来
- 機械メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 機械メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
- 機械メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
- 機械メーカーの上位企業の特徴と業績
この記事では機械製造業界の中でも産業ロボットメーカーの売上上位企業に絞って、各メーカーの特徴や現況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に解説します。
就活生の皆さんが、自分の未来をこの業界、機械メーカーに託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。
機械製造業は工作機械・産業用ロボット、建設機械・プラント、重機械・農業・縫製・食品・印刷産業機械など、様々な分野を専門的に扱っている企業や、複数の分野を扱っている企業、更に部品と機械の両方を製造している企業等、あるいは総合電機メーカーの一事業として機械を製造している等、様々なパターンがあります。
従って厳密にカテゴライズするのは難しい部分もありますが、就活生の専門分野や興味のある分野もあるため大枠で分類しています。
それでは、産業用ロボットメーカーの特徴から解説していきます。
産業用ロボットの特徴
ロボットは大きく産業ロボットとサービスロボットに分けられます。
産業用ロボットはJIS(日本工業規格)の定義によると「自動制御によるマニピュレーション機能または移動機能を持ち、各種の作業をプログラムによって実行でき、産業に使用される機械」と定義されています。
具体的には自動車の溶接や塗装、電子機器の組み立てや搬送に使用されているものが多く、その構造は基本的に以下の機能で構成されています。
- マニピュレータ:腕や手の機能を具現化
- アクチュエータ:腕や手等の関節機構を動かす駆動装置
- 内界センサ:腕や手の位置、速度を計測する装置
- 外界センサ:ロボットが作業する対象物や空間を認識する装置
- 移動機構:ロボットが移動するための装置及び機構
- コントローラ:ロボットの動きを制御する装置
産業ロボットは自動車産業をはじめ、半導体などのハイテク産業や食品の箱詰め、部材の搬送や取り付け、組み立て作業等にも用途が広がってきています。
日本企業の高い技術力
産業用ロボットは人間が行うには重労働で生産性が落ちてしまう工程を機械で置き換える目的で開発されてきました。
日本の自動車産業や電子機器産業の発展と、日本が得意とするセンシング技術やサーボモーターの製造とその制御技術によって、それらを活用できる産業用ロボットを世に送り出すことができたのです。
自動車産業には垂直多関節ロボット、電子機器産業では水平多関節ロボットを中心に導入が進み、世界の産業用ロボットの2割程度が日本国内で使用されていると推定されています。
協調型産業用ロボット
今までの産業用ロボットは人を排した中で稼働していましたが、人と同じ作業スペースで稼働できる「協調型」産業ロボットが開発され、普及しつつあります。
高度なセンサと認識能力と制御によって、人の接近や接触を感知して停止するロボットで、人と同じ作業を分担するなど、柔軟な生産ラインの構築が可能になるメリットがあります。
人に代わることができ、人と同じ空間で人が安全に作業できるロボットの導入は、労働力不足も補い生産性の向上にも寄与するため、今後の技術進化と成長が期待される分野です。
サービスロボット市場
サービスロボットの明確な定義はありませんが、日本機械工業連合会と日本ロボット工業会は「稼働領域を人間の存在領域と共有するロボット(次世代ロボット)であり、次のものを除外したもの」としています。
- 宇宙、水中、地中、人体または動物の体内、原子炉内、その他の特殊領域で稼働するロボット
- 薬事法の定める医療機器に該当するロボット
- 航空法に定める航空機に該当するロボット
- 武器または兵器に該当するロボット
具体的にサービスロボットが活躍する範囲は広く、ホームユース(掃除・留守番・子守他)、オフィスワーク(受付・案内、搬送、他)その他ごみ処理、掃除、土木・建築、農林、畜産、運輸・倉庫、医療(手術用)、介護・福祉、外食、リハビリ、警備、エンターテイメント、災害支援等での活用が期待され、一部では既に実用化されています。
サービスロボットは据え置き型の産業用ロボットとは違い、自立走行型、人型等のタイプが多いのが特徴です。
人型やパーソナルユースのサービスロボットの普及はまだ少し先になるでしょうが、業務用では警備用の屋外巡回ロボットなどは既に実用化されており、介護、福祉、警備、掃除、物流、外食、健康管理、移動支援などの分野で成長が期待されています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、人手不足によって、ファミリーレストラン等の外食産業では、配膳や片付けをしてくれるロボットの普及が進みました。
今後は様々な分野でサービスロボットによる人が行ってきた業務の置き換えが進んでいくでしょう。
テスラが人型ロボットを開発
アメリカの電気自動車大手のテスラのイーロン・マスク(CEO)は、人型ロボットの「テスラ・ボット」を開発することを発表しました。
テスラは電気自動車の自動運転システム「フル・セルフ・ドライビング(FSD)」を実現する研究開発を行っており、AIによる自動運転技術を人型ロボットの開発に取り組むとしています。
この「テスラ・ボット」の詳細は不明ですが、人間がやりたくない、危険かつ、反復的で、退屈な仕事を担うことを狙っているとのことです。
現状では、高さ1メートル72センチ、重さ約57キロで、動く速さは時速約8キロ、持ち運べる重さは約20キロで設定するとしており、まさに人間と同じ空間で共存することになります。
製品化は未定とされていますが、プロトタイプは数年後の実現を目指すとしています。
ボストンダイナミクスによるロジステック業務用ロボット
ロボットに興味がある学生なら、ロボットがバク宙返りをしたり、動物型の四足歩行ロボットが走り回る映像を見たことがあると思います。
これらを開発しているアメリカのボストンダイナミクスは、「Stretch」(ストレッチ)とよばれる商用ロボットを発表しています。
ストレッチは倉庫施設と配送センター向けに特別に設計された多目的移動ロボットによる自動化ロボットソリューションです。
このように、産業用ロボットの先進国だった日本のロボット産業も、海外の先進企業による別のアプローチとの競争になっていくことが予想されます。
たとえば、倉庫の自動化アプローチは、従来であれば商品を運ぶための固定されたインフラへの投資や、移動ロボットの特別な作業スペースの確保も必要ですが、ストレッチの場合は、既存の倉庫のスペースと運用の範囲内でロボットが作業することも可能になるため、自動化を導入するためのコストの障壁を下げることが可能になる訳です。
また、人が怪我をするリスクが高い業務を代替することも目指しており、今後のロボットによる工場の自動化は大きな将来性があるビジネスとなるでしょう。
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産業用ロボットメーカー、上位企業の現状
ここからは売上上位の産業用ロボットメーカーの特徴と現状を簡潔に解説します。
株式会社 安川電機
2023年2月期連結決算 (2022年度)
売上収益 (百万円) | 555,955 |
営業利益 (百万円) | 68,301 |
税引前当期利益 (百万円) | 71,134 |
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) | 51,783 |
親会社の所有者に帰属する包括利益(百万円) | 70,889 |
従業員数(人) | 13,094 |
外、平均臨時雇用者数 | 1,928 |
子会社 | 74社 |
持分法適用関連会社 | 17社 |
安川電機の事業セグメント
安川電機及びそのグループ会社は、「モーションコントロール」、「ロボット」、「システムエンジニアリング」、「その他」の各セグメントの様々な分野 で製造、販売、据付、保守、エンジニアリング等の事業を展開しています。
セグメント毎の主要製品は以下の通りです。
- モーションコントロール:
- ACサーボモータ、工作機械用AC主軸モータ、リニアモータ、PMモータ、マシンコントローラ、ビジョンシステム、汎用インバータ、電源回生コンバータ、マトリクスコンバータ
- ロボット:
- アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム
- システムエンジニアリング:
- 鉄鋼プラント用電気システム、上下水道用電気システム、各種産業用電気システム、高圧インバータ、高圧マトリクスコンバータ、産業用モータ・発電機、風力発電用コンバータ・発電機、太陽光発電用パワーコンディショナ、小水力発電用発電機、船舶用電機品
- その他:物流サービス ほか
その事業はグローバル展開を加速させており、中国に続いてスロベニアに産業用ロボットの生産拠点も稼働させています。
2023年2月期(2022年度)連結業績の概要
安川電機の2023年2月期連結業績の概要は以下の通りです。
- 売上収益:5,559億55百万円(前年同期比768億73百万円の増収、+16.0%)
- 営業利益:683億1百万円(前年同期比154億41百万円の増益、+29.2%)
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:517億83百万円(前年同期比134億29百万円の増益、+35.0%)
安川電機の2022年度は、半導体など長期化する部品の供給不足や中国のロックダウンによって生産制約の影響を受けましたが、下期からは部品の需給逼迫の緩和によって生産が回復し、好調な受注を売上につなげることで増収となっています。
利益面では、原材料・物流費の高騰影響やインフレ対応に伴う間接費の増加などがあった一方、製品の価格転嫁による採算性の改善や為替の円安影響に加え、退職年金制度の変更や遊休不動産の売却などに伴うその他の収益もあり、営業利益は前年同期比で増益となっています。
これらの結果、売上収益・営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益は、いずれも過去最高を更新した年度となっています。
2023年3月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。
2022年3月期(2,022年度)セグメント別業績概要
事業名 | 外部顧客売上収益(百万円) | 売上構成比 | 営業利益/営業損失 (百万円) |
利益構成比 |
モーションコントロール | 252,126 | 45.4% | 36,193 | 54.3% |
ロボット | 223,829 | 40.3% | 26,126 | 39.2% |
システムエンジニアリング | 51,111 | 9.2% | 2,574 | 3.9% |
その他 | 28,888 | 5.2% | 1,787 | 2.7% |
合計 | 555,955 | 100.0% | 66,681 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | 1,619 | ー |
計上額 | 555,955 | ー | 68,301 | ー |
中期経営計画
安川電機は産業用ロボットの世界シェアでは4位に位置しています。
具体的には、アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム等の製造を行っています。
安川電機の長期経営計画である「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)では、メカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域と定め、経営目標については営業利益を最も重要な経営指標と定め、「質」の向上にこだわることで経営体質の強化を目指す方針を掲げていいます。
現在は、「2025年ビジョン」の仕上げとしての中期経営計画「Realize 25」(2023年度~2025年度)をスタートさせ、事業を展開中です。
「2025年ビジョン」では、営業利益を最も重要な経営指標に据え、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指し、「Realize 25」においては、i3-Mechatronics*の展開とロボティクスの進化により新たな価値を創出し、収益および生産性を高めることで、「2025年ビジョン」の達成を目指しています。
*i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):
機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から経営課題の解決に貢献する安川電機のソリューションコンセプト(2017年10月に発表)
中期経営計画の基本方針:
- 方針1: i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出
- 「i3-Mechatronics」のコンセプトを軸に、お客さまが求める「コト」、すなわち「改善や進化」へのソリューションの価値を最大化する
- 「お客さまへのソリューション」を実現するために、技術・生産・販売・品質機能の強化を図る
- 方針2: 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略
- 自動化コンポーネントを中心としたグローバルでの市場別戦略を展開し、最適な生産体制を構築することで、成長市場の需要を確実に捉える
- グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築
- 自動化コンポーネントを中心としたグローバルでの市場別戦略を展開し、最適な生産体制を構築することで、成長市場の需要を確実に捉える
- 方針3: メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献
-
- Energy Saving
- Clean Power
- Food & Agri
- Biomedical Science
-
- 方針4: YDX(YASUKAWAデジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化
-
- PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供
- マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進
-
上記は中長期計画の骨子のまた一部にしか過ぎません。
安川電機を就活の対象にする方は、中期経営計画の内容を理解して、具体的な「成長市場」や「サステナブルな社会/事業構築に向けた新領域」で自分のビジョンを重ねて考えてみて下さい。
また中期経営計画では、事業セグメント別の課題や成長戦略も把握できます。自分の専門分野と重ねて、入社後の自分自身のビジョンを描いてみてください。
川崎重工業株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 1,725,609 |
経常利益/経常損失 (百万円) | 82,355 |
親会社株主に帰属する当期純利益/純損失(百万円) | 70,349 |
包括利益(百万円) | 53,029 |
従業員数(人) | 38,254 |
子会社 | 127社 |
関連会社 | 27社 |
川崎重工の事業セグメント
川崎重工及びグループ会社では総合重機メーカーとして国内第三位という巨大企業です。
具体的な事業セグメントは以下の通りです。
- 航空宇宙システム事業:
- 航空機、航空機用エンジン等の製造・販売
- 車両事業*:
- 鉄道車両、除雪機械等の製造・販売
- エネルギーソリューション&マリン事業:
- エネルギー関連機器・システム、舶用推進関連機器・システム、プラント関連機器・システム、船舶等の製造・販売
- 精密機械・ロボット事業:
- 油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売
- パワースポーツ&エンジン事業*:
- 二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、パーソナルウォータークラフト(PWC)「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジン等の製造・販売
- その他事業:
- 商業、販売・受注の仲介・斡旋、福利施設の管理等
*2021年10月、車両事業及びモーターサイクル&エンジン事業をそれぞれ分社し、自律的事業運営を強化、再編しています。
- 車両事業を分離し、川崎車両株式会社(連結子会社)に承継
- モーターサイクル&エンジン事業(現・パワースポーツ&エンジン事業)を分離し、カワサキモータース株式会社(連結子会社)に承継
産業用ロボットは精密機械・ロボット事業のセグメントに位置しており、汎用、塗装、クリーン、ピッキング等の多機種を製造・販売しており、国内出荷シェアではパナソニック、安川電機に次いで第三位という位置づけです。
自動車のスポット溶接や塗装に使用する多関節ロボットや半導体製造装置に組み込むクリーンロボットが二本柱です。
また株式会社メディカロイド(持分法適用関連会社)による医療用ロボットの本格開発に着手する等の新マーケット開拓・拡大にも取り組んでいます。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)における川崎重工の連結業績は、連結売上収益が前期比2,247億円増収の1兆7,256億円という結果でした。
またグループの連結受注高は前期比4,353億円増加の2兆374億円と受注ベースでも増加しています。
利益面では、事業利益が前期比519億円増益の823億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比403億円増益の530億円となり、増収・増益の決算となっています。
尚、2023年3月期のセグメント別業績概要は以下の通りです。
2023年3月期(2022年度)セグメント別業績概要
事業名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益/損失(百万円) | 利益構成比 |
航空宇宙システム | 348,880 | 20.2% | 14,877 | 15.1% |
車両 | 131,935 | 7.6% | 1,372 | 1.4% |
エネルギーソリューション&マリン | 314,552 | 18.2% | 3,905 | 4.0% |
精密機械・ロボット | 252,697 | 14.6% | 8,766 | 8.9% |
パワースポーツ&エンジン | 591,151 | 34.3% | 71,533 | 72.5% |
その他事業 | 86,392 | 5.0% | -1,845 | -1.9% |
合計 | 1,725,609 | 100.0% | 98,611 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -16,256 | ー |
計上額 | 1,725,609 | ー | 82,355 | ー |
川崎重工業の精密機械・ロボット事業の2023年3月期の連結業績の概要は以下の通りです。
精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、精密機械分野では、中国以外の地域における建設機械市場については堅調に推移しましたが、中国建設機械市場は、ゼロコロナ政策に伴うロックダウン等の影響により需要が低迷した年度でした。
ロボット分野では、足元ではメモリを中心とする半導体市場の落込みや米中経済摩擦の影響により、半導体製造装置向けロボット需要は減速していますが、通期では好調に推移し、一般産業用ロボットは、世界的に自動化投資の高い需要が継続しています。
- 連結売上収益:
- 中国建設機械市場向け油圧機器の減収はあったものの、拡販や部品供給不足の緩和による各種ロボットの増収などにより、前期並みの2,526億円
- 事業利益:
- 電子部品や素材費高騰等のコストアップ、中国でのロックダウンで一時操業が低下したことや、中国建設機械市場向け油圧機器が減少したことなどにより、前期に比べ51億円減益の87億円
中長期経営計画:
川崎重工業では2020年11月から、グループの目指す将来像として「グループビジョン2030」を推進しています。
現有主力事業の強化、事業間シナジー促進による将来の柱となる新事業育成、更に事業の選択と集中を行って事業ポートフォリオの変革を実現し、持続的な成長を追求する方針です。
長期ビジョンの注目するフィールドの一つとして、「安全安心リモート社会」-ロボティクスとネットワークを活用した新しい価値の創出を掲げています。
- 医療・ヘルスケア、ものづくり、産業インフラなど様々な分野で、グループが持つ遠隔操作・遠隔情報技術・ロボティクス等を用いて、安全かつ安心して暮らせる社会を創るとともに、リモート社会の実現によりすべての人々が社会参加できる新しい働き方・くらし方も提案
また、「近未来モビリティ」-人とモノの移動の変化・トレンドに素早く対応では、無人で物資を運ぶヘリコプタや自動配送ロボットなど、新しい輸送・移動手段を提案し、豊かでスマートかつシームレスな移動が可能な社会の創造を掲げています。
上記は計画の一部に過ぎません。ロボット分野に興味があり、就活で川崎重工業を志望する方は、グループ全体の経営方針や成長戦略を把握して、自分自身のビジョンを語れるように企業研究を深めて下さい。
ファナック株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
売上高 (百万円) | 851,956 |
経常利益 (百万円) | 231,327 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 170,587 |
包括利益(百万円) | 203,640 |
従業員数(人) | 9,432 |
外、平均臨時雇用者数 | 2,100 |
連結子会社 | 8社 |
持分法適用関連会社 | 2社 |
ファナックの事業
ファナック及びグループ会社は、ファクトリー オートメーション(FA)の総合的なサプライヤです。
CNCシステム(CNCおよびサーボモータ)、レーザ、ロボット(ロボットシステムを含む)およびロボマシン(ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)、ロボカット(ワイヤカット放電加工機)、ロボナノ(超精密加工機)など、CNCシステムの技術をベースとして、その用途も自動化による生産システムに使用されるものの開発、製造、販売ならびに保守サービスを主な事業として展開しています。
産業用の多関節ロボットと工作機械用NC装置は台数において世界首位であり、高収益、無借金経営企業、積極的な海外展開をする企業として有名です。
ファナックの基本技術であるNCとサーボから成るFA部門と、その基本技術を応用したロボット部門およびロボマシン部門の三本柱に、IoTを担うオープンプラットフォーム「FIELD system」を加えた事業を基本として、顧客企業における製造の自動化と効率化を推進しています。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)におけるファナックの連結業績は、売上高が8,519億56百万円(前期比16.2%増)となり、前年度に引き続き大幅な増収となっています。
利益面では、経常利益が2,313億27百万円(前期比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,705億87百万円(前期比9.9%増)となり、大幅な増益を記録した前年度に引き続き、増益を達成しています。
ファナックの2023年3月期(2022年度)の部門別と地域別の売上構成は以下の通りです。
部門別売上概要
部門名 | 外部顧客への売上高(百万円) | 売上構成比 |
FA | 250,113 | 29.4% |
ロボット | 356,984 | 41.9% |
ロボマシン | 132,788 | 15.6% |
サービス | 112,071 | 13.2% |
合計 | 851,956 | 100.0% |
部門別の概況は以下の通りです。
FT部門:FA部門の連結売上高は、2,501億13百万円(前期比10.6%増)、全連結売上高に対する構成比は29.4%
- CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、横ばいであった中国を除き好調に推移し、CNCシステムの売上も前期比で増加
ロボット部門:ロボット部門の連結売上高は、3,569億84百万円(前期比33.0%増)、全連結売上高に対する構成比は41.9%
- 中国でEV、物流、再生可能エネルギー関連向けを中心に需要が好調に推移し、売上が前期比で大幅に増加
- 米国では一般産業向けおよびEV関連の需要を取り込んだ自動車産業向けの需要が好調
- 欧州でも一般産業向けの需要が好調に推移し、総じて売上が大幅に増加
- 国内では一般産業向けを中心に期の後半に入り需要が堅調で、売上が増加
ロボマシン部門:ロボマシン部門の連結売上高は、1,327億88百万円(前期比8.2%減)、全連結売上高に対する構成比は15.6%
- ロボドリル(小型切削加工機)では、好調だったパソコン、タブレット、スマートフォン市場向けの需要が一巡し、売上が前期比で減少
- ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連、医療市場向けの需要が堅調に推移し、前期と同水準の売上
- ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、自動車部品市場、医療市場向けの需要が堅調に推移し、売上が増加
サービス部門:サービス部門の連結売上高は、1,120億71百万円(前期比19.6%増)、全連結売上高に対する構成比は13.1%
- 「サービス ファースト」をキーワードに、サービス体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップ等を推進
- 世界中に260ヶ所以上のサービス拠点を置いて100ヶ国以上をカバーする体制を構築し、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にすべく、迅速なサービス活動提供
地域別売上概要
地域名 | 外部顧客への売上高(百万円) | 売上構成比 |
日本 | 125,247 | 14.7% |
米州* | 199,448 | 23.4% |
欧州 | 146,642 | 17.2% |
アジア** | 372,262 | 43.7% |
その他地域 | 8,357 | 1.0% |
合計 | 851,956 | 100.0% |
*米州売上の内、米国のり上げは163,122(百万円)
**アジア売上の内、中国の売上げは245,642(百万円)
ファナックの事業計画
現在ファナックでは「one FANUC」を合言葉にして、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供やグループ一体となった世界レベルの顧客対応ができることを最大限活用して更なる成長を目指しています。
特に、CNC工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと設定した商品開発に注力しています。
お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底しています。
またファナックでは、今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで、IoT・AI 技術を必要不可欠なものと考えており、これらの技術をFA・ロボット・ロボマシンのすべての分野に積極的に適用していく方針です。
ファナックは、中長期的な成長のためには人材が最重要であるとの観点に立ち、社員がより働きやすい職場の実現、社員のモチベーションの一層の向上も重要課題として取り組んでいます。
将来を見据え、必要な人材の採用や社員の育成の強化のための人的資本への投資を積極的に行い、これらを通じて継続的に人的資本の充実を図っていく方針を掲げています。
株式会社不二越
2022年11月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 258,097 |
経常利益 (百万円) | 17,100 |
親会社株主に帰属する純利益(百万円) | 12,237 |
包括利益(百万円) | 22,585 |
従業員数(人) | 7,259 |
外、平均臨時雇用者数 | 749 |
連結子会社 | 53社 |
関連会社 | 2社 |
不二越及びそのグループ企業は、機械工具、部品、その他の製造販売を主な事業としており、機械工具事業では、工具、工作機械、ロボットを製造販売しています。部品事業では、ベアリング、油圧機器を、その他の事業として、特殊鋼、工業炉等の製造販売の事業を展開しています。
産業用ロボットでは自動車産業向けの溶接や塗装に使用する多関節ロボットが主力です。海外展開にも積極的で、中国、台湾をはじめとしたアジア、北米、欧州に販売・生産拠点を有しています。
不二越は大手自動車部品メーカーでもありますが、中長期的な自動車分野におけるEV化の進展、世界的な労働人口の減少に伴うものづくりのFA化、ロボットやIoTを活用した工場の自動化の加速などの大きな変化に対応して、事業の軸足をベアリングからロボット事業に移しています。
2022年11月期(2022年度)連結業績の概要
2022年11月期(2022年度)における不二越の連結業績は、自動車分野で生産調整など影響しましたが、産業機械・市販分野の需要が回復・拡大し、建設機械分野も堅調に推移したことにより、売上高は2,580億97百万円(前期比12.6%増)となり、増収でした。
国内売上高は1,216億77百万円(同4.2%増)、海外売上高は1,364億19百万円(同21.4%増)でした。
利益面では、営業利益は170億25百万円(同15.7%増)、経常利益は171億円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は122億37百万円(同22.5%増)となり、増益を達成しています。
売上・生産の増加による操業度の改善に加え、原材料価格上昇分の販売価格への環流や、生産ラインの自動化・合理化による生産性の向上、調達コストダウンにとり組み、また、為替が円安で推移した結果による増収・増益となっています。
尚、2022年11月期のセグメント別業績概要は以下の通りです。
2022年11月期(2022年度)セグメント別業績概要
事業名 | 外部顧客売上(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) |
利益構成比 |
機械工具 | 82,607 | 32.0% | 7,977 | 46.8% |
部品 | 159,062 | 61.6% | 7,660 | 45.0% |
その他 | 16,426 | 6.4% | 1,396 | 8.2% |
合計 | 258,097 | 100.0% | 17,034 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -8 | ー |
計上額 | 258,097 | ー | 17,025 | ー |
不二越では「ロボットを核に 世界最高水準の技術で ものづくりの革新をリードする」を事業運営スローガンとして、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化しています。
ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、EVへの採用拡大と、産業機械分野の深耕を軸に、新しいビジネスチャンスの創出や、市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した商品・サービスを拡販、また、自動化・合理化により生産性を向上させていく方針です。
業績目標の売上高4,000億円、営業利益600億円の実現に向けて経営基盤の強化を行い、長期ビジョンである、「成長企業への挑戦、夢をかなえるものづくり企業へ」の実現に向け、そのマイルストーンとして、海外事業の拡大により、海外売上高比率60%、営業利益率10%を掲げて事業を展開しています。
就活で不二越を志望する方は、エントリー解禁(2024年3月)前のタイミングで2023年11月期の年度決算の発表があるので、最新の業績や方針をチックしておきましょう。
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まとめ
以上、主要分野別で産業用ロボットメーカーの上位企業の現状をみてきました。
凝縮したサマリーですが、産業用ロボットメーカーの事業内容と規模感、各社がいかにグローバルな存在であるかは感覚的にも理解できたと思います。
上位企業は理工系の学生に非常に人気の高い企業であり、難関です。また文系の学生でBtoBのビジネス、特に機械系が好きな方には選択肢になるでしょう。
機械業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。
上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。
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