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【就活の業界研究】:産業ロボットメーカー主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では機械業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

機械業界の6つのポイントを押さえよう

  • 機械業界の構造とビジネスモデルを理解しよう
  • 機械業界の現状と課題・未来
  • 機械メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 機械メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 機械メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 機械メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では機械製造業界の中でも産業ロボットメーカーの売上上位企業に絞って、各メーカーの特徴や現況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に解説します。

就活生の皆さんが、自分の未来をこの業界、機械メーカーに託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

機械製造業は工作機械・産業用ロボット、建設機械・プラント、重機械・農業・縫製・食品・印刷産業機械など、様々な分野を専門的に扱っている企業や、複数の分野を扱っている企業、更に部品と機械の両方を製造している企業等、あるいは総合電機メーカーの一事業として機械を製造している等、様々なパターンがあります。

従って厳密にカテゴライズするのは難しい部分もありますが、就活生の専門分野や興味のある分野もあるため大枠で分類しています。

それでは、産業用ロボットメーカーの特徴から解説していきます。

産業用ロボットの特徴

ロボットは大きく産業ロボットとサービスロボットに分けられます。

産業用ロボットはJIS(日本工業規格)の定義によると「自動制御によるマニピュレーション機能または移動機能を持ち、各種の作業をプログラムによって実行でき、産業に使用される機械」と定義されています。

具体的には自動車の溶接や塗装、電子機器の組み立てや搬送に使用されているものが多く、その構造は基本的に以下の機能で構成されています。

  • マニピュレータ:腕や手の機能を具現化
  • アクチュエータ:腕や手等の関節機構を動かす駆動装置
  • 内界センサ:腕や手の位置、速度を計測する装置
  • 外界センサ:ロボットが作業する対象物や空間を認識する装置
  • 移動機構:ロボットが移動するための装置及び機構
  • コントローラ:ロボットの動きを制御する装置

産業ロボットは自動車産業をはじめ、半導体などのハイテク産業や食品の箱詰め、部材の搬送や取り付け、組み立て作業等にも用途が広がってきています。

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日本企業の高い技術力

産業用ロボットは人間が行うには重労働で生産性が落ちてしまう工程を機械で置き換える目的で開発されてきました。

日本の自動車産業と電子機器産業の発展と、日本が得意とするセンシング技術やサーボモーターの製造とその制御技術によって、それらを活用できる産業用ロボットを世に送り出すことができたのです。

自動車産業には垂直多関節ロボット、電子機器産業では水平多関節ロボットを中心に導入が進み、世界の産業用ロボットの2割程度が日本国内で使用されていると推定されています。

協調型産業用ロボット

今までの産業用ロボットは人を排した中で稼働していましたが、人と同じ作業スペースで稼働できる「協調型」産業ロボットが開発され、普及しつつあります。

高度なセンサと認識能力と制御によって、人の接近や接触を感知して停止するロボットで、人と同じ作業を分担するなど、柔軟な生産ラインの構築が可能になるメリットがあります。

人に代わることができ、人と同じ空間で人が安全に作業できるロボットの導入は、労働力不足も補い生産性の向上にも寄与するため、今後の技術進化と成長が期待される分野です。

サービスロボット市場

サービスロボットの明確な定義はありませんが、日本機械工業連合会と日本ロボット工業会は「稼働領域を人間の存在領域と共有するロボット(次世代ロボット)であり、次のものを除外したもの」としています。

  • 宇宙、水中、地中、人体または動物の体内、原子炉内、その他の特殊領域で稼働するロボット
  • 薬事法の定める医療機器に該当するロボット
  • 航空法に定める航空機に該当するロボット
  • 武器または兵器に該当するロボット

具体的にサービスロボットが活躍する範囲は広く、ホームユース(掃除・留守番・子守他)、オフィスワーク(受付・案内、搬送、他)その他ごみ処理、掃除、土木・建築、農林、畜産、運輸・倉庫、医療(手術用)、介護・福祉、外食、リハビリ、警備、エンターテイメント、災害支援等での活用が期待され、一部では既に実用化されています。

サービスロボットは据え置き型の産業用ロボットとは違い、自立走行型、人型等のタイプが多いのが特徴です。

人型やパーソナルユースのサービスロボットの普及はまだ少し先になるでしょうが、業務用では警備用の屋外巡回ロボットなどは既に実用化されており、介護、福祉、警備、掃除、物流、外食、健康管理、移動支援などの分野で成長が期待されています。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、人手不足によって、ファミリーレストラン等の外食産業では、配膳や片付けをしてくれるロボットの普及が進みました。

今後は様々な分野でサービスロボットによる人が行ってきた業務の置き換えが進んでいくでしょう。

テスラが人型ロボットを開発

アメリカの電気自動車大手のテスラのイーロン・マスク(CEO)は、人型ロボットの「テスラ・ボット」を開発することを発表しました。

テスラは電気自動車の自動運転システム「フル・セルフ・ドライビング(FSD)」を実現する研究開発を行っており、AIによる自動運転技術を人型ロボットの開発に取り組むとしています。

この「テスラ・ボット」の詳細は不明ですが、人間がやりたくない、危険かつ、反復的で、退屈な仕事を担うことを狙っているとのことです。

現状では、高さ1メートル72センチ、重さ約57キロで、動く速さは時速約8キロ、持ち運べる重さは約20キロで設定するとしており、まさに人間と同じ空間で共存することになります。

製品化は未定とされていますが、プロトタイプは数年後の実現を目指すとしています。

ボストンダイナミクスによるロジステック業務用ロボット

ロボットに興味がある学生なら、ロボットがバク宙返りをしたり、動物型の四足歩行ロボットが走り回る映像を見たことがあると思います。

これらを開発しているアメリカのボストンダイナミクスは、「Stretch」(ストレッチ)とよばれる商用ロボットを発表しています。

ストレッチは倉庫施設と配送センター向けに特別に設計された多目的移動ロボットによる自動化ロボットソリューションです。

このように、産業用ロボットの先進国だった日本のロボット産業も、海外の先進企業による別のアプローチとの競争になっていくことが予想されます。

たとえば、倉庫の自動化アプローチは、従来であれば商品を運ぶための固定されたインフラへの投資や、移動ロボットの特別な作業スペースの確保も必要ですが、ストレッチの場合は、既存の倉庫のスペースと運用の範囲内でロボットが作業することも可能になるため、自動化を導入するためのコストの障壁を下げることが可能になる訳です。

また、人が怪我をするリスクが高い業務を代替することも目指しており、今後のロボットによる工場の自動化は大きな将来性があるビジネスとなるでしょう。

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産業用ロボットメーカー、上位企業の現状

ここからは売上上位の産業用ロボットメーカーの特徴と現状を簡潔に解説します。

株式会社 安川電機

2022年2月期連結決算 (2021年度)

売上収益 (百万円) 479,082
営業利益 (百万円) 52,860
税引前当期利益 (百万円) 55,378
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 38,354
親会社の所有者に帰属する包括利益(百万円) 54,912
従業員数(人) 12,897
外、平均臨時雇用者数 1,983
子会社 66社
持分法適用関連会社 9社

安川電機の事業セグメント

安川電機及びそのグループ会社は、「モーションコントロール」、「ロボット」、「システムエンジニアリング」、「その他」の各セグメントの様々な分野 で製造、販売、据付、保守、エンジニアリング等の事業を展開しています。

セグメント毎の主要製品は以下の通りです。

  • モーションコントロール:
    • ACサーボモータ、工作機械用AC主軸モータ、リニアモータ、PMモータ、マシンコントローラ、ビジョンシステム、汎用インバータ、電源回生コンバータ、マトリクスコンバータ

 

  • ロボット:
    • アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム

 

  • システムエンジニアリング:
    • 鉄鋼プラント用電気システム、上下水道用電気システム、各種産業用電気システム、高圧インバータ、高圧マトリクスコンバータ、産業用モータ・発電機、風力発電用コンバータ・発電機、太陽光発電用パワーコンディショナ、小水力発電用発電機、船舶用電機品
  • その他:物流サービス ほか

その事業はグローバル展開を加速させており、中国に続いてスロベニアに産業用ロボットの生産拠点も稼働させています。

2022年2月期(2021年度)連結業績の概要

安川電機の2022年2月期連結業績の概要は以下の通りです。

  • 売上収益:4,790億82百万円(前年同期比895億70百万円の増収、+9%)
  • 営業利益:528億60百万円(前年同期比256億80百万円の増益、+5%)
  • 親会社の所有者に帰属する当期利益:383億54百万円(前年同期比194億27百万円の増益、+6%)

2021年度はコロナ禍からの正常化がグローバルに進み、製造業全般において生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が積極的に行われる等のフォローの経営環境にありました。

特に半導体・電子部品市場では需要が拡大を続け、自動車市場においてはEV(電気自動車)化やリチウムイオン電池関連などの設備投資が加速したことが好業績につながっています。

また中国では5Gや新エネルギーなどのニューインフラ投資が継続するなど、需要は期を通じてグローバルに高い水準で推移しました。

2022年2月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年2月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客売上収益(百万円) 売上構成比 営業利益/営業損失
(百万円)
利益構成比
モーションコントロール 227,260 47.4% 38,161 65.9%
ロボット 178,670 37.3% 17,248 29.8%
システムエンジニアリング 52,265 10.9% 2,126 3.7%
その他 20,886 4.4% 384 0.7%
合計 479,082 100.0% 57,921 100.0%
調整額 -5,061
計上額 479,082 52,860

中期経営計画

安川電機は産業用ロボットの世界シェアでは4位に位置しています。

具体的には、アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム等の製造を行っています。

安川電機では、新中期経営計画「Challenge 25」を基に、前中期経営計画で達成した高収益体質を更に向上させるとともに、「2025年ビジョン」の実現に向けた新領域・新ビジネスモデルへの挑戦を加速しています。

具体的には「産業自動化革命の実現」に向け、これまでのコンポーネント販売にデジタルデータのソリューション提供を加え、顧客企業の経営課題の解決に貢献する新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)*」によるビジネスモデルの変革、そして「i3-Mechatronicsを通じた成長市場での収益最大化」、「サステナブルな社会/事業構築に向けた新領域への展開」、をデジタル経営と品質経営を通じた経営効率の向上」、「サステナブルな社会/事業に寄与する経営基盤の強化」を基本方針に掲げています。

*i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):

機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から経営課題の解決に貢献する安川電機のソリューションコンセプト(2017年10月に発表)

「2025年ビジョン」実現に向けて、2019年度より中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)を展開中でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響によりグローバルで設備投資が抑制され、市況が悪化してしまったため、「Challenge 25」の最終年度を1年延長し、収益性向上を実現する新たな取り組みに加え、「Challenge 25 Plus」(2019年度~2022年度)とする見直しを2021年4月に行っています。

安川電機を就活の対象にする方は、中期経営計画の内容を理解して、具体的な「成長市場」や「サステナブルな社会/事業構築に向けた新領域」で自分のビジョンを重ねて考えてみて下さい。

川崎重工業株式会社

2022年3月期連結決算 (2021年度)

売上高 (百万円) 1,500,879
経常利益/経常損失 (百万円) 29,934
親会社株主に帰属する当期純利益/純損失(百万円) 21,801
包括利益(百万円) 59,880
従業員数(人) 36,587
子会社 119社
関連会社 27社

川崎重工の事業セグメント

川崎重工及びグループ会社では総合重機メーカーとして国内第三位という巨大企業です。

具体的な事業セグメントは以下の通りです。

  • 航空宇宙システム事業:航空機、航空機用エンジン等の製造・販売
  • 車両事業:鉄道車両、除雪機械等の製造・販売
  • エネルギーソリューション&マリン事業:エネルギー関連機器・システム、舶用推進関連機器・システム、産業機械、環境装置、低温貯槽装置、水素関連設備、破砕機、船舶等の製造・販売
  • 精密機械・ロボット事業:油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売
  • モーターサイクル&エンジン事業*:二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、パーソナルウォータークラフト(PWC)「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジン等の製造・販売
  • その他事業:商業、販売・受注の仲介・斡旋、福利施設の管理等

2021年10月、車両事業及びモーターサイクル&エンジン事業を分社し、自律的事業運営を強化するとともに、グループの事業を、「陸・空輸送システム」「モーションコントロール&モータービークル」「エネルギーソリューション&マリンエンジニアリング」の3つのグループに再編しています。

産業用ロボットは精密機械・ロボット事業のセグメントに位置しており、汎用、塗装、クリーン、ピッキング等の多機種を製造・販売しており、国内出荷シェアではパナソニック、安川電機に次いで第三位という位置づけです。

自動車のスポット溶接や塗装に使用する多関節ロボットや半導体製造装置に組み込むクリーンロボットが二本柱です。

また株式会社メディカロイド(持分法適用関連会社)による医療用ロボットの本格開発に着手する等の新マーケット開拓・拡大にも取り組んでいます。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

2022年3月期(2021年度)における川崎重工の連結業績は、連結受注高が前期比1,997億円増加の1兆6,021億円、連結売上高は前期比123億円増収の1兆5,008億円という結果でした。

利益面では、営業損益は前期比511億円改善の458億円の利益、経常損益は前期比327億円改善の299億円の利益、親会社株主に帰属する当期純損益は前期比411億円改善の218億円の利益となり、赤字となってしまった前年度から、黒字転換を達成しています。

尚、2022年3月期のセグメント別業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失(百万円) 利益構成比
航空宇宙システム 298,212 19.9% -9,702 -18.8%
車両 126,684 8.4% 3,288 6.4%
エネルギーソリューションマリン 297,306 19.8% 1,166 2.3%
精密機械・ロボット 252,678 16.8% 16,607 32.2%
モーターサイクル&エンジン 447,927 29.8% 37,338 72.4%
その他事業 78,070 5.2% 2,890 5.6%
合計 1,500,879 100.0% 51,590 100.0%
調整額 -5,785
計上額 1,500,879 45,805

川崎重工業の精密機械・ロボット事業の2022年3月期の連結業績は、連結受注高が半導体製造装置向けをはじめとする各種ロボットの増加などにより、前期に比べ124億円増加の2,718億円という結果でした。

連結売上高は、半導体製造装置向けをはじめとする各種ロボットの増加と円安の影響により、前期に比べ118億円増収の2,526億円、営業利益は、増収などにより、前期に比べ25億円増益の166億円となり、増収増益を達成しています。

ファナック株式会社

2022年3月期連結決算 (2021年度)

売上高 (百万円) 733,008
経常利益 (百万円) 213,395
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 155,273
包括利益(百万円) 201,257
従業員数(人) 8,675
外、平均臨時雇用者数 1,985
連結子会社 8社
持分法適用関連会社 2社

ファナックの事業

ファナック及びグループ会社は、ファクトリー オートメーション(FA)の総合的なサプライヤです。

CNCシステム(CNCおよびサーボモータ)、レーザ、ロボット(ロボットシステムを含む)およびロボマシン(ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)、ロボカット(ワイヤカット放電加工機)、ロボナノ(超精密加工機)など、CNCシステムの技術をベースとして、その用途も自動化による生産システムに使用されるものの開発、製造、販売ならびに保守サービスを主な事業として展開しています。

産業用の多関節ロボットと工作機械用NC装置は台数において世界首位であり、高収益、無借金経営企業、積極的な海外展開をする企業として有名です。

ファナックの基本技術であるNCとサーボから成るFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業の三本柱に、IoTを担うオープンプラットフォーム「FIELD system」を加えた事業を基本として、顧客企業における製造の自動化と効率化を推進しています。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

2022年3月期(2021年度)におけるファナックの連結業績は、売上高が7,330億8百万円(前期比33.0%増)の大幅増収という結果でした。

利益面では、経常利益が2,133億95百万円(前期比65.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,552億73百万円(前期比65.2%増)となり、大幅増益を達成しています。

ファナックの2022年3月の事業別と地域別の売上構成は以下の通りです。

事業別売上概要

ファナックの2022年3月の事業別と地域別の売上構成は以下の通りです。

事業別売上概要

事業名 外部顧客への売上高(百万円) 売上構成比
FA 226,165 30.9%
ロボット 268,478 36.6%
ロボマシン 144,633 19.7%
サービス 93,732 12.8%
合計 733,008 100.0%

部門別の概況は以下の通りです。

FT部門:FA部門の連結売上高は、2,261億65百万円(前期比51.5%増)、全連結売上高に対する構成比は30.9%

  • CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、堅調であった中国に加え、欧米、アジア、日本と世界規模で増加し、工作機械向けの当社のCNCシステムの売上も併せて増加
  • 2022年2月に当社CNCの累計生産台数は500万台に達しました。
  • レーザにつきましては、中国市場および欧州市場で回復基調

ロボット部門:ロボット部門の連結売上高は、2,684億78百万円(前期比27.8%増)、全連結売上高に対する構成比は36.6%

  • 中国でIT関連、EV、重機、建機向けを中心に好調に推移
  • 米国で一般産業向けおよびEV関連の需要を取り込んだ自動車産業向けが堅調
  • 欧州で一般産業向けが好調に推移
  • 国内需要も緩やかな回復

ロボマシン部門:ロボマシン部門の連結売上高は、1,446億33百万円(前期比26.3%増)、全連結売上高に対する構成比は19.7%と

  • ロボドリル(小型切削加工機)では、中国でパソコン、タブレット市場向けの需要を受け、売上が増加
  • ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連、医療市場向けの需要が好調に推移し、売上が増加
  • ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、IT関連、自動車部品市場向けの需要が好調に推移し、売上が増加

サービス部門:サービス部門の連結売上高は、937億32百万円(前期比20.9%増)、全連結売上高に対する構成比は12.8%

  • 世界中に270ヶ所以上のサービス拠点を置いて100ヶ国以上をカバーする体制を構築

地域別売上概要

地域名 外部顧客への売上高(百万円) 売上構成比
日本 111,090 15.2%
米州* 149,735 20.4%
欧州 120,847 16.5%
アジア** 346,022 47.2%
その他地域 5,314 0.7%
合計 733,008 100.0%

*米州売上の内、米国のり上げは125,316(百万円)

**アジア売上の内、中国の売上げは228,092(百万円)

ファナックの事業計画

現在ファナックでは「one FANUC」を合言葉にして、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供グループ一体となった世界レベルの顧客対応ができることを最大限活用して更なる成長を目指しています。

特に、CNC工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと設定した商品開発に注力しています。

お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底しています。

またファナックでは、今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで、IoT・AI 技術を必要不可欠なものと考えており、これらの技術をFA・ロボット・ロボマシンのすべての分野に積極的に適用していく方針です。

株式会社不二越

2021年11月期連結決算(2021年度)

売上高 (百万円) 229,117
経常利益 (百万円) 14,457
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 9,993
包括利益(百万円) 17,984
従業員数(人) 7,205
外、平均臨時雇用者数 602
連結子会社 55社
関連会社 3社

不二越及びそのグループ企業は、機械工具、部品、その他の製造販売を主な事業としており、機械工具事業では、工具、工作機械、ロボットを製造販売しています。部品事業では、ベアリング、油圧機器を、その他の事業として、特殊鋼、工業炉等の製造販売の事業を展開しています。

産業用ロボットでは自動車産業向けの溶接や塗装に使用する多関節ロボットが主力です。海外展開にも積極的で、中国、台湾をはじめとしたアジア、北米、欧州に販売・生産拠点を有しています。

不二越は大手自動車部品メーカーでもありますが、中長期的な自動車分野におけるEV化の進展、世界的な労働人口の減少に伴うものづくりのFA化、ロボットやIoTを活用した工場の自動化の加速などの大きな変化に対応して、事業の軸足をベアリングからロボット事業に移しています。

2021年11月期(2021年度)連結業績の概要

2021年11月期(2021年度)における不二越の連結業績は、売上高が自動車や建設機械分野に加え、産業機械・市販分野での需要の回復を受けて、2,291億17百万円(前期比14.0%増)となり、増収となっています。

国内売上高は1,167億71百万円(同11.8%増)、海外売上高は1,123億45百万円(同16.3%増)となり、国内、海外とも増収を達成しています。

利益面では、営業利益は147億18百万円(同2.1倍)、経常利益は144億57百万円(同2.6倍)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億93百万円(同4.1倍)となり、大幅増益を達成しています。

増益は売上・生産の増加による操業度の改善に加え、昨年来実施してきた自動化・合理化による生産性の向上、内製拡大、業務の効率化による販売費・一般管理費の節減など、トータルコストダウンの効果が出た結果となっています。

尚、2021年11月期のセグメント別業績概要は以下の通りです。

2021年11月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客売上(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
機械工具 71,493 31.2% 4,609 31.5%
部品 144,738 63.2% 9,903 67.8%
その他 12,884 5.6% 99 0.7%
合計 229,117 100.0% 14,611 100.0%
調整額 106
計上額 229,117 14,718

不二越では「ロボットを核に 世界最高水準の技術で ものづくりの革新をリードする」を事業運営スローガンとして、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化しています。

ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、EVへの採用拡大と、産業機械分野の深耕を軸に、新しいビジネスチャンスの創出や、市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した商品・サービスを拡販、また、自動化・合理化により生産性を向上させていく方針です。

就活で不二越を志望する方は、エントリー解禁(2023年3月)前のタイミングで2021年11月期の年度決算の発表があるので、最新の業績や方針をチックしておきましょう。

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まとめ

以上、主要分野別で産業用ロボットメーカーの上位企業の現状をみてきました。

凝縮したサマリーですが、産業用ロボットメーカーの事業内容と規模感、各社がいかにグローバルな存在であるかは感覚的にも理解できたと思います。

上位企業は理工系の学生に非常に人気の高い企業であり、難関です。また文系の学生でBtoBのビジネス、特に機械系が好きな方には選択肢になるでしょう。

機械業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。

上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。

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就活は情報戦。企業が提供する情報は重要ですが、それだけでは不安です。実際の社員の評価や、選考を受けた先輩達の口コミによる生の声を入手できる「就活会議」を徹底解説。ESや選考情報のリアルを手に入れよう

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落ちてしまった選考の結果を、スカウト獲得に活用できる心強いサービスがある

スカウトサービスの大手、【キミスカ】の特徴は、落ちてしまった選考の結果さえもスカウト獲得に利用できる点です。それまでの頑張りを評価してくれる、「本当のあなた」を認めてくれる企業からのオファーを獲得しよう

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【24年卒】完全無料の就活スクール「irodasSALON(イロダスサロン)を活用しよう

irodasSALONは、就活に関する充実したアドバイスが受けられ、面接やGD/GWのセミナー、企業の選考参加へのオファーももらえる就活エージェントサービス。更に学生同士が交流できるコミュニティで、情報やノウハウの共有が可能です


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