就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。「就活の答え」では精密機器業界を、以下の項目に沿って解説していきます。
精密業界の6つのポイントを押さえよう
- 精密機器業界の特徴とビジネスモデルを理解しよう
- 精密機器業界の現状と課題・未来
- 精密機器・事務機器業界にはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 精密機器・事務機器業界に働く人のモチベ―ションは何か
- 精密機器・事務機器業界に向く人、向かない人はどんな人か
- 精密機器・事務機器業界メーカー上位企業の特徴と業績
この記事では精密機械業界の現状と課題、そして未来について、分かり易く解説します。精密機械業界入門編として活用してください。
尚、医療機器業界、産業用機械業界や、産業用機械を事業の一つとして製造している電機業界、電子部品業界、自動車部品業界に関しては別の記事でまとめていますので、そちらも併せて活用してください。
Contents
精密機械業界の現状と課題
精密機器業界の現状と課題については、光学機器類、事務機器類、計測機器類、医療機器類の4業種の複数を手掛けている、キヤノン、リコー、ニコン、オリンパス、コニカミノルタ、富士フィルム(富士ゼロックス)エプソンの7社の事業を念頭に置いて解説していきます。
精密機器メーカーの事業は大きく分けて、メーカーから一般消費者への販売(B to C)と各研究機関・企業などへの販売(B to B)の2種類あります。上記のメーカーはB to CとB to Bのどちらにも関連する製品を製造している企業です。
精密機器のBtoC製品として代表的なのがカメラや時計ということになります。
カメラ事業の現状と課題:
カメラ事業はコンパクトデジタルカメラの需要がスマートフォンに置き換わり、コンパクトデジタルカメラの市場は大幅に縮小しています。
カメラはファッション的な要素や、ブランドのステイタス性もある商品ですが、基本的には機能によって消費される商品です。その機能を売りにしてきた日本のメーカーも、コンパクトカメラで撮る写真のレベルであればスマートフォンで代替でき、しかもSNSの普及によってシェアする行為が写真を撮るという行為と強く結びついたため、2011年から激減のトレンドになっており、現在でも下げ止まっていません。
そのため、コンパクトデジタルカメラの製造を縮小、もしくは撤退し、その技術を他の製品に応用する流れになっています。
一眼レフやミラーレスのレンズ交換式カメラに関しては、プロユースや、カメラ・写真が趣味のコア層の需要、仕事・記録需要や、スマートフォンではものたりない人生の特別な機会を写真で残したいという需要の受け皿、スマートフォンでは代替できない需要があるため、全体としては縮小トレンドにあるものの下げ止まりも予測されています。
しかしBtoC市場に頼っていては成長できないのは明らかです。従って精密機器メーカーはカメラ開発で培ってきた技術を、産業印刷事業や医療事業、ネットワークカメラ事業、情報ネットワーク事業などのBtoB市場に応用し、個人向け製品の減少を補っていく方針を立てています。
腕時計もBtoC精密機器の代表的な製品ですが、スマートフォンで時計機能は十分補えるものの、ファッション性やブランドのステイタス性によってコンパクトカメラのような影響は受けていません。一部にはグランドセイコーなどの高級時計が好調であったり、Gショックが再びブームになるなどのポジティブなトレンドも出てきています。
事務機器・OA機器の現状と課題
精密機器のBtoB製品として代表的なのがコピー機やプリンター、ファックスや複合機といった事務機器・OA機器です。もちろん一部は一個人・家庭用としてBtoC製品でもありますが、ここでは法人需要を中心に解説します。
上記の事務機器に共通するのが、紙を媒体として情報を記録するという機能、情報をのせた紙媒体が記録として保存されたり、必要な人にシェア、回覧することでビジネスにとって必要不可欠な機器として成長してきました。
インターネットが一般の社会インフラとして普及する以前は、ビジネス上の文章のやりとりはファックスや書類の受け渡しによって処理されていたため、コピー機やプリンター、ファックスを製造しているキヤノン、リコー、富士ゼロックス、エプソン、コニカミノルタ、等のメーカーは事務機ビジネスによって飛躍的な成長を遂げ、世界市場でも高いシェアを獲得しています。
しかし、インターネットの普及が急激に進み、PCの一人1台所有が常識となり、ビジネス文章がE mail中心、携帯情報端末の普及、クラウドサービス等のネットワーク技術が高度化、普及してきたことによって、データや情報を紙に記録する必要性が薄れ、むしろネットワークサーバーやクラウドを通じて、デジタルデータでやり取りをする時代になりました。
この劇的な変化が起こったのはWindows 95が発売された1995年以降のことなので、ここ20年~25年のことです。
もちろん紙に記録する需要は根強いものもありますが、環境や資源に対する意識も変わってきて、デジタルで済むものはデジタルでというのが時代の要請になっています。
この間、日本経済は低成長、停滞期であり、企業もコスト削減のためにコピー機械の設置台数を削減して、極力無駄なコピー、過剰なコピーを取らないようにしてきたという流れもあります。
このデジタル化、ペーパレス化は事務機器を製造している精密機器メーカーにとっては大きなインパクトを与えています。
具体的に2018年上期(1月~6月)の出荷実績を金額、台数、前年同期比でみてみると以下の様な結果になっています。
出典:一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会
品目 | 2018年上半期(1~6月) | |||||
金額 (百万円) | 前年同期比 | 台数 | 前年同期比 | |||
複写機・複合機 | モノクロ複写機・複合機 | 国内向け | 16,026 | 87.4% | 46,600 | 88.7% |
海外向け | 110,421 | 99.1% | 1,133,378 | 102.2% | ||
合計 | 126,447 | 97.4% | 1,179,978 | 101.6% | ||
カラー複写機・複合機 | 国内向け | 99,712 | 90.1% | 239,141 | 99.3% | |
海外向け | 219,038 | 104.9% | 978,744 | 109.6% | ||
合計 | 318,750 | 99.8% | 1,217,885 | 107.4% | ||
合計 | 国内向け | 115,738 | 89.7% | 285,741 | 97.4% | |
海外向け | 329,459 | 102.9% | 2,112,122 | 105.5% | ||
合計 | 455,197 | 99.1% | 2,397,863 | 104.5% | ||
ページプリンタ | モノクロ | 国内向け | 5,984 | 86.8% | ||
海外向け | 66,788 | 101.7% | ||||
合計 | 72,772 | 100.3% | 5,569,928 | 100.8% | ||
ヵラー | 国内向け | 4,758 | 101.8% | |||
海外向け | 20,657 | 93.0% | ||||
合計 | 25,415 | 94.5% | 862,236 | 96.6% | ||
合計 | 国内向け | 10,742 | 92.9% | |||
海外向け | 87,445 | 99.5% | ||||
合計 | 98,187 | 98.7% | 6,432,164 | 100.2% | ||
MFP* (参考) | モノクロ機 | 国内向け | 15,144 | 97.4% | ||
海外向け | 167,692 | 104.3% | ||||
合計 | 182,836 | 103.7% | 6,490,248 | 109.8% | ||
カラー機 | 国内向け | 96,160 | 96.0% | |||
海外向け | 252,724 | 118.4% | ||||
合計 | 348,884 | 111.2% | 2,573,545 | 108.6% | ||
合計 | 国内向け | 111,304 | 96.1% | |||
海外向け | 420,416 | 112.3% | ||||
合計 | 531,720 | 108.5% | 9,063,793 | 109.5% |
*MFPとは、PC(ネットワーク)接続を前提とした電子写真方式のプリンタ機能を標準で装備し、更にコピーかスキャナかファクシミリのいずれか1つ以上の機能を標準装備している製品
上記の表で順調に伸びているのはプリンタベースの複合機(MFP)しかなく、それ以外はほぼ前年並みという実績でした。
また上記の表で分かるように、事務機器ビジネスは圧倒的に海外向けの比率が高く、ビジネスはグローバルに展開されています。欧米はもちろん重要な市場ですが、先進国はペーパレス化が進行しているため、どちらかと言えば守りの市場であり、各社とも新興国マーケットの需要開拓に注力しています。
新興国の開拓には低価格モデルを新興国様に開発する、またはランニングコストを低く抑える事業モデルをつくるなどの工夫をして、製品のライフサイクル全体のコストを安くすることが重要になっています。
ソリューションビジネスへのシフト
事務機ビジネスは精密機械メーカーの事業の重要な柱ではありますが、現状のビジネスモデルでは各社の技術が高いところで同質化して、差別化が難しいことや、企業側のコスト意識もシビアになって、コピーカウントコストも含めた価格競争が販売の現場では繰り広げられています。
特に国内市場は市場の成熟化とペーパレス化が進行しており、今までと同じビジネスモデルでは利益が出にくい状況、特に販売会社には厳しい状況が続いています。
現在では企業内情報ネットワークに対する課題を企業と共有し、その課題に対するソリューション全般を提案する、ソリューション営業を行って、その中でプリンタ、複合機、通信機器、LAN、ウィルス対策などを文書管理システムとして提案、ソリューションの一環として自社の事務機を提案、販売していくことが求められています。
医療機器事業への注力
精密機器メーカーの一つであるオリンパスはカメラも製造していますが、その実態は内視鏡メーカーであり、内視鏡市場では世界で圧倒的なシェアを握っています。
またキヤノンも、X線撮影装置や眼底カメラ等の医療機器を展開していましたが、2016年に東芝の医療機器子会社であった東芝メディカルシステムズを買収し、医療機器事業へのフォーカスを鮮明にしました。
コンピューター断層撮影装置(CT)や超音波診断装置などの画像診断装置等の医療機器事業を手に入れ、社名をキヤノンメディカルシステムズとしてそれぞれの技術シナジーと投資によって事業を成長させていく計画です。
産業分野への注力
精密機器メーカーはオンデマンド印刷という分野の印刷機も手掛けています。少量の商業印刷物、名刺やチラシやカタログ、パンフレットまで断裁や製本までをワンストップで行う、業務用高速デジタル印刷機と後加工機の一貫印刷ラインまで含めた商業印刷事業を強化する動きも出ています。
代表的な部品製造用の精密機器の一つである、半導体露光装置はオランダのASML社が世界でトップシェアを握っていますが、ニコン、キヤノンも有力なメーカーです。
また大型の精密機器であるFPD(Flat Panel Display)露光装置はキヤノンやニコンがtr掛けておりこの2社で世界の市場を独占している状況です。
産業機器は最終製品(例えばスマートフォンや大型液晶ディスプレイ)の需要動向と競合企業の技術開発によって大きな影響を受けてしまう傾向はありますが、圧倒的な技術力、専門性によって世界のシェアを握ることが可能な分野、必要な分野なのです。
精密機器メーカーはネットワークカメラや監視システムなど、培ってきた技術を応用して展開できるビジネスなど、産業機器、医療機器を含めたBtoBビジネスに益々注力していくことが予想されます。
まとめ
精密機器メーカーの主要事業の現状と課題、そしてそこから考えられる未来への戦略を中心に解説してきました。
精密機器も日本が世界に誇る産業であることに変わりはなく、大手企業はグローバルに事業を展開しています。
ビジネスモデルの記事と併せて読めば、短時間で精密機器業界の重要なポイントは理解できると思います。
この業界に興味を繋ぐことができた人は、精密機械業界に特徴的な職種や仕事の内容、精密機器メーカーに勤める人の「やりがい」やモチベーションはどんなものなのか、また精密機器メーカーに向いている人、向かない人はどういう人なのかについてもチェックしておきましょう。
この記事を読んだ人は、以下の記事も併せて読んでいます。
36の質問で、あなたの強み・適職を診断
就活は自己分析が必須!…ただ、やり方がわからず、悩んでいる人も多いはず。
そんな時は、自己分析ツール「My analytics」を活用しましょう
My analyticsを使えば、36の質問に答えるだけであなたの強み・適職を診断できます。My analyticsを活用して、サクッと自己分析を終わらせ、内定を勝ち取りましょう。
またこのツールを利用するための登録時に、自分に役立つと思う完全無料の就活サービスを選んで、就活をより効率的に進めていきましょう。
就活のスタートには、自己分析のサポートツールで自分の強みを発見しよう

「自己分析」は就活のイロハの「イ」ですが、時間がかかり大変です。そして自分を冷静に見つめ直すのも難しいものです。そんな時、力になるのは本格的な適職診断ソフト、「Analyze U+」です。
「Analyze U+」は251問の質問に答える本格的な診断テストで、質問に答えていくと経済産業省が作った「社会人基礎力」を基に、25項目に分けてあなたの強みを偏差値的に解析してくれます。本当のあなたの強みや向いている仕事を素早く「見える化」してくれる優れたツールなのです。
「AnalyzeU+」を利用するには、スカウト型就活サイト「OfferBox」への会員登録が必要です。もちろん全て無料で利用できます。

<オファーボックス参加企業の一部>

人気企業1,000社の選考通過ESを参考にして、エントリーシート対策を強化しよう
「就活ノート」に無料登録すれば、先輩の書いたエントリーシートを1,000社、2,000枚以上閲覧できます。自分になかった視点や「その学生らしい切り口」も見つけ、選考に強いESを書くコツを身につけよう
選考を通過したエントリーシートを参照して、コツをつかみ、自分のESに活かしましょう!
\\ 就活を成功に導くカギは、具体的な行動を起こすこと //
あわせて読みたい!就活に即効の記事、ベスト5
-
1
22年卒の登録が殺到!大手企業も利用するオファーボックスでスカウトをもらおう
資生堂、マイクロソフト、日産自動車、朝日新聞、JCB、コクヨ、GREE、SECOM、3M、オプト、CO・OP、ATEAM、MicroAd、船井総研、大幸薬品なども利用している逆求人型スカウトサービスのOfferBoxを賢く使い、就活のもう一つのルートを開いておこう。
-
2
人気企業1,000社の選考通過ESを参考にして、エントリーシート対策を強化しよう
「就活ノート」に無料登録すれば、先輩の書いたエントリーシートを1,000社、2,000枚以上閲覧できます。自分になかった視点や「その学生らしい切り口」も見つけ、選考に強いESを書くコツを身につけよう
-
3
厳しい環境の22年卒就活には、dodaキャンパスを賢く利用する打ち手がある
厳しい環境の22年卒の就活では、逆求人型スカウトサービスで急成長しているdodaキャンパスを試してみよう。オファー受信率98%、ベネッセならではの充実したオンライン講座やイベント、本格的な適性診断まで無料で使えます!
-
4
本当の自分にベストな企業が選べる、逆求人型就活サイトを賢く使おう
自分にベストな企業に入るには、大手ナビサイトと逆求人型就活サイトのスカウトを併用するのがお勧め。逆求人型サイトの大手であるキミスカを例に、メリット、デメリットを分析し、その賢い使い方を解説します。
-
5
首都圏の学生で、内定が取れていない人への神サービスを試してみよう
もう一人で悩まなくていい。就活の専任アドバイザーがマンツーマンでES添削・面談対策をしてくれ、しかもあなたに合った優良企業を紹介、完全無料の就活サポートをしてくれる「キャリアチケット」を紹介します。