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【就活の業界研究】就活のはじめに、クレジットカード業界の現状と課題、未来を俯瞰してみよう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」ではクレジットカード業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

クレジットカード業界の7つのポイントを押さえよう

  • クレジットカード業界のビジネスモデルを理解しよう
  • クレジットカード業界の現状と課題・未来
  • クレジットカード会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • クレジットカード会社に働く人のモチベ―ション、「やりがい」は何か
  • クレジットカード会社に向く人、向かない人はどういう人か
  • クレジットカード業界の構造
  • クレジットカード主要各社の概況
世界的なトレンドのキャッシュレス化に直面している現在、現金(キャッシュ)指向の強い日本にも変化がみえてきています。

クレジットカード業界は、キャッシュレスの大きなトレンドの中では先駆的な業界であり、成長を続けている業界です。そのため、金融業界という安心感や、人々の生活にクレジット供与を通じて役に立っているという充足感から就活での人気も急速に高まっている業界です。

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、コンビニでのこぐ一の支払いにも現金を使用せず、カード決済や電子マネー決済が増々一般化してきました。

成長している現状に死角はないのか?テクノロジーの発達による影響は?日本の現状はどうなのか?この業界に賭けても良いのか?など就活生の悩みは尽きません。この記事ではクレジットカード業界の現状と課題、そして近未来への方向性を中心に解説していきます。

クレジットカードの現状と成長性

クレジットカード業界が就活で注目されている要因のキーワードは「成長性」でしょう。成長している産業や業界に就活生の人気が高まるのは当然です。まずクレジットカード業界の成長性に関して分析していきましょう。

一般社団法人 日本クレジット協会が2020 年 3 月末のクレジットカード発行枚数調査をした結果は、クレジットカード発行総枚数が2憶9,296万枚となり、前年同月比3.2%プラスという状況です。

クレジットカード利用をもう少し広い概念で括ると、「キャッシュレス決済」ということになります。現金(銀行券+硬貨)の流通残高の対名目GDP比率について、日本は20.0%と高く先進国の中では最も高く、現金信仰が依然強いという結果となりました。(出典: BIS, “Statistics on payment, clearing and settlement systems in the CPMI countries Figures for 2016(preliminary version) “ 2017.10)

政府はキャッシュレス決済の比率を2025年6月に40%、将来的には80%を目指しています。

キャッシュレス決済の比率に関しては、2015年のデータによれば日本は18.4%という結果であり、現金での決済がまだまだ主流です。(データ出典: 経済産業省「キャッシュレス・ビジョン—2018年4月)

ちなみに同じ調査のトップは韓国で89.1% 、2位の中国は60.0%、3位カナダ55.4%、4位イギリス54.9%、日本はぐっと下がって10位の18.4%という結果でした。

その後日本のキャッシュレス決済は毎年1.5%から2.0%の範囲で年々上昇をしており、2016年は20.0%、2017年は21.3% , 2018年は24.1%、2019年は26.8%まで上昇しました。

この二つのデータからも分かるように、日本はまだキャッシュレス決済が進んでおらず、逆に言うとまだ成長のポテンシャルが十分あることが見て取れます。

キャッシュレス化の推進

日本政府は成長戦略の柱としてインバウンド需要(外国人管顧客の観光、及び日本国内での諸費拡大)を掲げおり、それをサポートする施策としてキャッシュレス決済拡大のKPI(Key Performance Indicator)として、「2027年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」ことを閣議決定しています。

また経産省では「キャッシュレスビジョン」(2018年4月)にて、「大阪・関西万博(2025年)に向け、未来投資戦略のキャッシュ レス決済比率40%の目標を前倒しして、より高いキャッシュレス決済の比率の実現を目指すことを宣言しています。

現状はクレジットカード決済が約24%、それ以外のキャッシュレス決済サービス**を全部足し上げても26.8%程度であり、それを遅くとも2027年度中に40%までにしようとしているのです。

**デビットカード0.56%、電子マネー1.9%、QRコード0.31%

クレジットカード市場の成長とは何か

日本クレジット協会がまとめている、日本のクレジット統計(2020年3月)によると、クレジットカードそのものの契約数の推移は2013年が2憶3,502万枚に対し、2020年3月時点では2億9,296万枚と7年間で24.6%増というトレンドです。毎年1%~2%の微増が継続しています。

2019年の調査で都道府県別人口推計に対するクレジットカード契約数をみると、トップの東京都で244.6%、最下位の沖縄でも134.3%となっており、子供も含めた人口比ということを考えると地域的にも既に充分浸透・普及していることが分かります。

クレジットカードショッピングの信用供与残高の推移をみると、2016年が10兆227億円に対し、2020年は13兆6,543億円と5年間で36.2%増となっています。

これらの事象から、クレジットカード業界全体の成長とは契約数の向上ではなく、クレジットカードの使用機会の増加、使用頻度の増加によって支えられていることが分かります。

クレジットカード決済での割賦方式割合の低下

1990年代にはクレジットカード決済でのショッピングの割賦方式割合は17.2%であったのに対し、2019年の2月を超える支払いの割合は7.8%から9.4%の割合で推移しています。この減少トレンドは、2017年では10.5%から11.4%であったことから、更に減少しが続いていたことが分かります。

ショッピング利用の9割は金利のかからない1回(もしくは2回)払いで決済されているのが現状です。

従ってカード会社としては金利での収益には多くは期待できないのが現状です。

クレジットカードによるキャッシングの信用供与額のシェア

クレジットカードによるキャッシングの信用供与額の構成比シェアも2017年は3.2%、2018年は3.0%,2019年は2.7%と減少傾向で推移しています。

キャッシングによる金利収入にも多くは期待できません。

使用シーンの拡大と使用率の向上への課題と取り組み

クレジットカード業界全体では、以下にあげる切り口で使用シーンの拡大と使用率の向上に取り組んでいます。

少額支払いシーンでの使用拡大

  • サイレンス取引の促進:処理の迅速性が求められる一部の売り場、(デパ地下の食品売り場、スーパーの食品レジ、コンビニ、アミューズメントパーク等)において、上限金額を設定のうえ導入
  • ポストペイの促進:小額支払用カード等の発行により、事前のチャージ等は不要(後払い)を、カードタイプまたはモバイルタイプで かざすだけで支払いが完了する非接触型で 一定金額以下はサイン・PIN入力不要で支払いを行う
  • 電子マネーとの連動:事前登録したクレジットカードで電子マネーへのチャージを行う機能で、具体的には電車の改札通過時にオートチャージできる機能やインターネットで金額を指定し、店舗でチャージする機能、 モバイル電子マネーは、インターネットに接続してチャージするなどの連動を実現
公共分野でのクレジット使用の促進

  • 公共料金:電気、ガス、水道等の公共料金をクレジットカードで月極払いできる
  • 医療費:大・中規模病院を中心に拡大、自動精算機で迅速に支払いができる
  • 税金等:自動車税、軽自動車税、固定資産税、住民税、ふるさと納税、国民健康保険、介護保険料、後期高齢者医療保険料 他

EC取引での使用拡大

  • 小規模EC取引業者へのビジネスの拡大:決済代行業者との連携強化

新規分野の開拓

  • 加盟店端末としてのスマートフォン決済の促進:小規模店舗やイベント、移動販売業者への高額な信用照会端末の導入コスト障壁を取り除き、スマートフォン等のモバイル端末を通信手段に用いた信用照会端末の導入を促進することによってクレジットカードの利用場面を拡大
訪日外国人への対応を強化

  • 百貨店のサービスカウンターやレジ回りでのクレジットカードの利用訴求を強化

上記の使用促進策の他にも、クレジットカードの不正使用を防ぐための安心、安全への取り組みの強化を行っています。

クレジットカード業界の近未来

 QRコード決済業者の台頭

キャッシュレス決済という意味では、PayPayやLINEPAY、楽天ペイ、Apple Pay、d払い、Pring、マネーフォワード等のQR決済やスマホ決済は一部競合することになります。

特にQRコード決済業者の場合、加盟店にとっては、初期費用や加盟店手数料がゼロという企業もあり、小規模業態にとっては導入障壁が非常に低くメリットが大きいというアドバンテージがあります。

一方消費者にとってもスマートフォンさえあれば、財布をいちいち取り出さなくて良く、支出もデータで管理することができ、支払いのスピードも上がり、割り勘の計算も楽にできるなどのメリットがあります。

利用者は自分のスマホに電子決済アプリをダウンロードして、銀行口座を登録して決済枠の支払い用残高を作っておく、または事前にクレジットカードを登録して使用します。

クレジットカードと連携をすることで、登録したクレジットカードより支払い処理が実行される仕組みとなり、購入時点で残高がなくてもクレジットカードから正しく与信枠を確保できれば決済完了となります。

現状はクレジットカードからの引き落としという決済手段が選べるため、クレジットカード会社にとっては全くの競合ではありませんが加盟店ビジネスに関しては影響を受けるでしょう。

日本の現状ではまだ充分にバーコード決済、QR決済が普及しているとは言えない状況ですが、使う手間も電子マネーに比べれば煩雑なため、今後どれだけ日本の市場に浸透していくかが注目されています。

FinTech企業との競合と協業

QR決済業者だけではなく、ビットコインをはじめとする、ブロックチェーン技術を活用した送金サービスや、金融テクノロジーを使用したFinTeck企業、銀行などが全く新しい発想と技術でクレジット決済に参入してくる可能性も考えられます。

クレジットカードの国際的な決済システムの構築は参入障壁が非常に高い分野とされていましたが、金融テクノロジーの進化によってゲームチェンジャーが登場してくるかもしれません。Googleアマゾンのような企業が資本と技術を使って業界の地図を塗り替えてしまうかもしれません。

2019年6月18日には、フェイスブックがVISAやMaster Cardなど27の企業や団体と共同で2020年上半期にもブロックチェーン技術を使用して暗号資産(仮想通貨)リブラを発行すると発表しました。

2019年6月のフェイスブックの計画発表直後から、政治家や規制当局がプライバシーやマネーロンダリング(資金洗浄)面の不安に加え、中央銀行の権限がフェイスブックなどの企業に奪われるのではないかとの声も上がりました。

その結果、当初参加を表明していたVISAやペイパル・ホールディングスが離脱を表明し、当初の計画は変更を余儀なくされています。

「リブラ」という名称も「ディエム」に変更することが発表され、当初のセンセーショナルな構想は後退していますが、技術の進化によって、暗号資産とクレジット機能との関係でのビジネスチャンスが拡大する可能性もあるため、依然動向は注目しておく必要はあるでしょう。

当面はクレジットカード会社とスマートフォンの通信キャリアや、決済代行業者、QRコード決済業者、SNS企業、電子マネー企業等との協業が進んでキャッシュレス社会の促進が進んでいきますが、新たな役割を担うプレーヤーが増えることは、クレジット―カード会社にとっては手数料をそれらの企業とシェアしていくことになります。

手数料を増やすにも限界があり、増やすことは加盟店やカード会員の解約のリスクに繋がってしまうためです。そのため、クレジットカード会社は新たな収益源を見つけていく必要があるのです。

クレジットカード会社の新規事業の促進

クレジットカード会社が現状取り組んでいる、新しい事業をいくつか紹介します。

プロセッシング事業:

国際ブランドホルダーの1つであるJCBをはじめ、三井住友カードなどの大手カード会社の場合は、自社の決済システムを構築してきたノウハウを基に、他のカード発行会社にその資産を活用してもらうプロセッシングサービスを事業化しています。

他社がカード事業を新規に立ちあげる際、大手クレジットカード会社がその業務を受託することで、コスト削減のみならず、機能面においても有効性の高い提案を行うことができます。また提携によって長期的な収益も見込めます。

ビッグデータの活用:

クレジットカード各社は、会員の属性と利用・支払い状況等のデータを分析し、スコアリングモデルを構築するなど与信審査等に用いていますが、最近では会員情報等の蓄積したデータを分析し、マーケティングに活用することにも注力しています。

カード会社がカード保有者に対して、カード保有者の購入履歴、カード保有者の現在所在地情報等を活用して、クーポン等を配信(Card Linked Offer)する取組などが現在でも行われています。

流通系カードや楽天カードはデータ活用に特に注力しており、これらのデータサービスを加盟店に提供して送客しることによって手数料を集めるビジネスモデルです。

これはデータ活用のごく1例に過ぎませんが、「宝の山」である保有決済データの様々な活用により、ビッグデータの蓄積によるセキュリティ強化、ビッグデータ活用を新規事業とした収入源の確保、ビッグデータ活用を通じた消費拡大、などの様々なアプローチを見出すことができます。

もちろん個人情報の活用にあたっては、現行法においても、同意の取得により、あるいは個人情報に当たらないように統計的な加工をすることにより、その活用や提供を進める必要があります。

それをクリアした上でコンサルティング企業やアライアンスを組んだ企業と他のデータ結び付けて新たなビジネスプランを創造するなど、ビックデータの活用をクレジットカード企業の成長のためのドライバーとすることが求められています。

まとめ

クレジットカード業界の現状と課題、そして未来に関してアウトラインを解説してきました。トレンドをみると安定成長している業界に見えますが、課題も多いことが分かります。

政府は消費税増税による消費の落ち込みを防ぐために、キャッシュレス決済をした場合のポイント還元政策を導入することを計画し、また東京オリンピックの開催や大阪万国博覧会の開催による更なる外国人訪日客の増加とインバウンド消費の拡大を狙うために、早くキャッシュレス化を進めたいとしており、クレジットカード業界には追い風が続くと考えられています。

しかしながら長期的には人口減少により国内市場には成長の限界が見えているため、クレジットカード企業にも新しい戦略が必要になっています。

金融テクノロジーやクレジット決済システムのノウハウを活用し、新しい成長の芽をつくることや、新興国に出ていくことも選択肢の一つでしょう。

これからクレジットカード業界を目指す皆さんは、新しい柔軟な発想も必要なことを是非意識して就活に臨むことをお勧めします。

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