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【就活の業界研究】:エネルギー専門商社の概況をチェックしよう

「就活の答え」では代表的な専門商社の概況を専門分野別で紹介していきます。

この記事ではエネルギー専門商社の内、上位企業3社の概況を直近年度の有価証券報告書や中期経営計画を基にまとめています。短時間で読めるようにコンサイスにまとめていますので参考にしてください。

専門商社と一口に言っても、国内外のメーカー企業に製造に必要な原料、素材、部品などを主に輸入して供給する上流部分を主な事業とする商社、製品や商品を国内のユーザーや小売業に卸売することを主な事業にしている商社、その両方を事業としている商社があるため注意が必要です。

それによって「海外」への向き合い方も違っています。専門的に取り扱っている分野によって、就活生の専攻や強みが活かせるかも違ってきます。企業によっても戦略に違いがあるため商社毎の事業の内容や経営戦略を把握しておきましょう。

エネルギー業界においては、石油製品の需要が引き続き減少傾向にあるなか、石油元売りの再編や電力・都市ガスの自由化などの影響を受けて経営環境は大きく変化しています。長期的にはグローバルで化石燃料依存を脱し、カーボンニュートラルを2050年までに達成するというメガトレンドにも対処していく必要がある業界です。加えて直近では新型コロナウイルス感染症の影響で航空機燃料をはじめ、輸送用や産業用のエネルギー需要が落ち込んでいるという環境にあります。

2020年度(2021年3月期)の年度決算(業績)はもとより、2021年度の業績も四半期決算や半期決算で確認しながら、志望業界を広げて就活戦略を立てていきましょう。

代表的なエネルギー専門商社の業績と概況

伊藤忠エネクス株式会社

2021年3月期連結決算(2020年度)

売上収益 (百万円)739,067
税引前利益 (百万円)20,039
当社株主に帰属する当期純利益(百万円)12,168
当社株主に帰属する当期包括利益(百万円)12,945
従業員数(人)5,558
外、平均臨時雇用者数2,105
連結子会社45社
持分法適用関連会社21社

伊藤忠エネクスグループは、親会社(伊藤忠商事株式会社)及び子会社45社、持分法適用会社22社で構成され、以下の事業を展開しています。燃料商社としては首位企業です。また電力販売や、自動車関連事業、EV蓄電池を活用した新規事業も手掛けています。

(1)ホームライフ事業:

  • LPガス、スマートエネルギー機器、家庭用リチウムイオン蓄電システムの販売等(伊藤忠エネクスによる)
  • LPガス、都市ガス(大分県中津市・関東)、産業用ガス、電力、灯油、生活関連機器の販売、リフォーム、ガス容器耐圧検査事業等(子会社)
  • ⅬPガス等の充填、配送の事業(子会社)

 

(2)カーライフ事業

  • ガソリン、灯油、軽油、重油、LNG、電力、車関連商品サービス、石油製品の輸出入、ターミナルタンク賃貸の販売及びドサービスの提供 (伊藤忠エネクスによる)
  • 石油製品、電力、自動車、生活・車関連商品、レンタカーの販売及びサービスの提供 (エネクスフリート株式会社他子会社・持分法適用会社9社による)

 

(3) 産業ビジネス事業

  • ガソリン、灯油、軽油、重油、LNG、LPガス、高品位尿素水「アドブルー*」、GTL燃料、法人向け給油カード、アスファルト、船舶用燃料、石炭灰リサイクル、スロップ回収・リサイクルの販売及びサービスの提供 (伊藤忠エネクスによる)
  • 船舶の保有、石炭灰のリサイクル事業等 (子会社・持分法適用会社6社による)
    • アドブルー(AdBlue)とは、ディーゼル車の排気ガスを分解して無害化する際に使われる世界標準の高品位尿素水のこと

 

 (4) 電力・ユーティリティ事業

  • 電力の販売や需給管理サービスの提供等 (伊藤忠エネクスによる)
  • 発電(石炭火力、天然ガス火力、風力、水力、太陽光等)並びに電力、蒸気の販売、発電設備の運転・保守受託、アセットマネジメント事業等(エネクス電力株式会社他子会社・持分法適用会社19社による)
  • 地域熱供給サービス、総合エネルギーサービス、電熱供給サービスの提供等(子会社他、持分法適用会社による)

このように広範な事業を展開している伊藤忠エネクスの2021年3月期における連結業績は、売上収益が7,390億6千7百万円(前期比17.6%の減少)、利益面では営業活動に係る利益は193億4千6百万円(前期比0.5%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は121億6千8百万円(前期比0.9%の増加)という結果でした。

伊藤忠エネクスのセグメント別業績概要は以下の通りです。

2021年3月期セグメント別業績概要

事業名外部顧客収益(百万円)売上構成比売上総利益
(百万円)
利益構成比
ホームライフ事業78,96210.7%20,42923.5%
カーライフ事業414,64156.1%46,77653.8%
産業ビジネス事業160,77821.8%9,42610.8%
電力・ユーティリティ事業84,68611.5%10,25811.8%
合計739,067100.0%86,889100.0%
調整額
計上額739,067100.0%86,889100.0%

伊藤忠エネクスは、中期経営計画『Moving 2020 翔ける』(2019~2020年度)を基に、基本方針として「成長戦略の推進」と「組織基盤の進化」を掲げて事業を展開してきました。

しかしながら、急速に高まる脱炭素社会への要請、また新型コロナウイルス感染症への対応など、これまでの「Moving!」の取り組みを踏襲しながらも、もう一段ギアを上げ、更に加速させる必要から、2021年度よりスタートした新たな中期経営計画では、スローガンを「SHIFT!」として、国内外のBtoB、BtoCネットワーク(基盤)をベースとし、その更なる強化と、環境・エネルギーの2軸を中心に、新たな価値創造を目指す方針を掲げています。

新たな中期経営計画(2021年度~2022年度)の基本骨子は以下の通りです。

基本方針

  • 基盤
    • 国内販売ネットワーク・顧客基盤の更なる充実
    • DXを活用したBtoCビジネスの積極推進
    • アジアを中心とした海外事業の展開強化
  • 環境エネルギー
    • 環境商材をはじめ電力他多様なエネルギーで未開拓エリアへ進出
    • 再生可能エネルギーを中心に、発電から売電まで電力事業の更なる拡大
    • 環境技術力を高め、低炭素・脱炭素型商材拡充
  • 人事
    • 国内外で活躍するマルチ人材の育成
    • ダイバーシティ推進と多様な価値観の醸成

また2021年度の連結業績目標として、株主に帰属する当期純利益125億円等の経営にかかわる定量目標も設定しています。

就活で伊藤忠エネクスを志望する皆さんは、企業研究による事業の理解は当然として、海外展開強化や環境エネルギーへの取り組み等、事業戦略を基にした成長の機会を深く理解することによって、この企業で実現したいことを、しっかり自分事化することをお勧めします。

そしてそれを自分の言葉で語れるように、就活の軸や志望動機に活かしていきましょう。

三愛石油株式会社

2021年3月期連結決算(2020年度)

売上高 (百万円)473,899
経常利益 (百万円)10,001
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)7,053
包括利益(百万円)10,627
従業員数(人)2,010
外、平均臨時雇用者数1,239
子会社27社
関連会社4社

三愛石油は石油・LPガス卸の大手企業で、リコー三愛グループを形成しています。

三愛石油及びグループ会社は石油関連事業を中心に、石油製品販売事業(揮発油、灯油、軽油および重油等石油製品類の特約店ならびに大口需要家への販売、石油元売会社等からの委託による石油製品の保管および出荷業務)を主な事業としています。

上記事業の他は、自動車関連商品の販売、化学製品製造販売(洗車機用ワックス、撥水コート等の自動車関連商品、防腐・防黴剤および防災商品等化学製品類等)、LPガス販売、天然ガス販売、航空関連事業(航空会社および石油元売会社からの委託による航空燃料の保管ならびに航空機への給油業務等)などもカバーし、石油の関連した幅広い事業を展開しています。

ガソリンスタンドのブランドで知名度のあるギグナス石油は連結子会社です。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、石油製品全体の需要が減少し、特に航空燃料の需要は大幅に減少するなど、厳しい経営環境が続きました。

その結果、三愛石油の2021年3月期における連結業績は、売上高が前期比29.0%減の473,899百万円の減収、利益面では営業利益は前期比21.7%減の8,592百万円、経常利益は前期比16.2%減の10,001百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比13.6%減の7,053百万円という大幅な減収減益の決算となっています。

多くの事業を手掛けている三愛石油グループでが、事業セグメントとしては以下の構成となっています。

  • 石油関連事業:石油製品販売業、化学製品製造販売業、運送業他
  • ガス関連事業:LPガス販売業、LPガスサービス業、天然ガス販売業
  • 航空関連事業他:航空燃料取扱業、建設業、その他

三愛石油のセグメント別業績概要は以下の通りです。

2021年3月期セグメント別業績概要

事業名外部顧客売上高(百万円)売上構成比セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
石油関連事業424,55189.6%10,79799.2%
ガス関連事業39,0458.2%2,75525.3%
航空関連事業10,3022.2%-2,666-24.5%
合計473,899100.0%10,886100.0%
調整額-885
計上額473,89910,001

ちなみに社名の三愛とは、創業(三愛)精神「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」を意味し、社会から永続的に必要とされる企業グループとなることを目指している歴史のある企業です。

尚、三愛石油に限ったことではなくエネルギー業界全般に言えることですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、航空燃料は大幅に需要が減少し、輸送用、産業用の石油製品の需要も減少傾向で推移しています。当面は需要の減少が見込まれており、引き続き2022年3月期(2021年度)の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がありますので、エネルギー業界、エネルギー商社を志望する就活生の皆さんは、半期決算の状況や各社から発表されるニュースをモニターしていきましょう。

また、三愛石油に限ったことではありませんが、エネルギー業界は長期的には少子高齢化や自動車の燃費向上、電気自動車化などによる石油製品の需要減少に加えて、脱炭素社会への潮流が世界的に加速するなど、大きな転換期を迎えています。

三愛石油のみならずエネルギー各社は長期的な視点から事業構造の変革に向けた経営基盤の再構築を行うことが必要不可欠になっています。

このような長期トレンドも考慮しながら、他の業界研究も併せて、本当の自分の軸や志望動機を固めていきましょう。

岩谷産業株式会社

2021年3月期連結決算(2020年度)

売上高 (百万円)635,590
経常利益 (百万円)34,406
親会社株主に帰属する純利益(百万円)23,207
包括利益(百万円)35,627
従業員数(人)10,130
子会社154社
関連会社76社

岩谷産業及びそのグループ企業は総合エネルギー事業、産業ガス・機械事業、マテリアル事業、自然産業事業及び各事業に係る金融、保険、運送、情報処理等その他の分野に事業を展開しています。

LPガスの扱いは首位です。また合成樹脂や鉱物原料等も幅広く扱っています。そして水素事業に積極的な企業として知られており、水素事業をガスの次の柱に育成する方針を掲げています。

岩谷産業の2021年3月期における連結業績は、売上高が6,355億90百万円(前年度比511億81百万円の減収)、営業利益299億86百万円(同12億58百万円の増益)、経常利益344億6百万円(同21億35百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益232億7百万円(同22億12百万円の増益)となり、減収増益の決算となっています。

事業セグメントとその主要取扱意商品・製品は以下の通りです。

  • 総合エネルギー事業:家庭用・業務用・工業用LPガス、LPガス供給機器・設備、液化天然ガス、石油製品、家庭用厨房機器、住設機器、エネファーム、GHP、日用品、カセットこんろ、カセットボンベ、ミネラルウォーター、健康食品、電気 他

 

  • 産業ガス・機械事業:エアセパレートガス、水素、ヘリウム、その他特殊ガス、ガス供給設備、溶接材料、溶接・溶断機器、産業用機械・装置、産業用ロボット、ポンプ・圧縮機、水素ステーション設備、防災設備、高圧ガス容器、半導体製造装置、電子部品製造装置、工作・板金機械、製薬・食品機械、環境関連装置 他

 

  • マテリアル事業:PET樹脂、汎用樹脂、バイオマス燃料、二次電池材料、ディスプレイフィルム、半導体材料、ミネラルサンド、レアアース、セラミックス原料、ステンレス、アルミ 他

 

  • 自然産業事業:冷凍野菜、冷凍水産品、冷凍肉製品、農業設備、農業資材、種豚、畜産設備・機材 他

2021年3月期における岩谷産業のセグメント別業績概要は以下の通りです。

2021年3月期セグメント別業績概要

事業名外部顧客売上高(百万円)売上構成比セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
総合エネルギー事業296,14946.6%17,32650.4%
産業ガス・機械事業174,64127.5%9,95629.0%
マテリアル事業136,46721.5%4,78713.9%
自然産業事業23,9853.8%8312.4%
その他4,3450.7%1,4814.3%
合計635,590100.0%34,383100.0%
調整額-4,397
計上額635,59029,986

岩谷産業は創業以来、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」を企業理念として掲げ、常に世の中が求める新しい価値、お客様が求める価値の創造に努め、社会に貢献することを目指している企業です。

現在は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN23」を基に事業を展開しています。

PLAN23では、テーマに「水素エネルギー社会の実現に向けて~事業の枠組みを超えた挑戦~」を掲げ、基本方針を「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」及び「デジタル化の推進」としています。

2023年度での達成を目指す数値目標は、経常利益400億円、ROE(自己資本利益率)9%以上とし、主要事業の成長を図る指標として「LPガス直売顧客数」、「国内外カセットこんろ・ボンベ販売数量」、「エアセパレートガス販売数量」、「液化水素販売数量」の4指標を重要事業指標としています。

PLAN23の基本戦略は以下の骨子となっています。

1.脱炭素社会に向けた取り組み強化

  • 水素エネルギー社会の推進
  • 環境消費の拡販

2.エネルギー生活総合サービス事業者への進化

  • 顧客基盤の拡充
  • BtoC事業の拡大
  • イワタニゲートウェイ*による地域サービスの構築
    • ガス警報器に情報ネットワーク機能を付加し、さまざまな「モノ」をインターネットにつなぐ岩谷独自の IoT プラットフォームのこと

3.海外事業の拡大

  • 供給体制/メーカー機能強化
  • カートリッジガス事業の強化
  • 米国での産業ガス・機械事業の拡大

岩谷産業は1941年に水素の取り扱いを開始し、長い歴史に基づく経験とノウハウを有しています。液化水素の国内シェアは100%で、圧縮水素を含む水素の国内シェアは約70%というポジションを確立しています。

水素事業は将来の資源エネルギー事業であり、大量で安価なCO2フリー水素源の獲得が最も重要であるため、岩谷産業では液化水素製造能力をさらに増強するとともに、再生可能エネルギーからの水素製造や海外からのCO2フリー水素の輸入などに取り組んでいます。

就活で岩田産業を志望する皆さんは、商社の中でもユニークなポジショニングで事業を展開している事業内容の理解は当然として、水素エネルギーへの取り組みをはじめとする将来への成長戦略や中長期の事業戦略を理解して、自分自身の就活の軸や志望動機の作成に役立ててください。

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まとめ

専門商社を目指す就活生は、その分野の代表的な企業を深く研究することが不可欠です。各社の戦略に違いがあり、その特徴を自分の価値観や強味、就活の軸に照らして吟味して、志望動機を磨いていきましょう。

そのマッチングが曖昧だと、上位企業の選考には勝ち残れません。「商社ビジネス」への憧れや、海外志向から志望業界にするのは良いですが、専門分野と企業研究に時間をかけて取り組んでください。

エネルギー専門商社の場合、国内の卸売りがメインの業態にはなりますが、海外でのエネルギー開発や、自ら発電設備を稼働させるなど、ダイナミックに展開している企業も数多くあります。興味が繋げた方は、ぜひ積極的にチャレンジしてください。

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