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【就活の業界研究】就活のはじめに、小売業界のビジネスモデル、特徴を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では小売業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

小売業界の7つのポイントを押さえよう

  • 小売業界の業態を把握しておこう
  • 小売業のビジネスモデルを理解しよう
  • 小売業界の現状と課題・未来
  • 小売業界にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 小売業界に働く人のモチベ―ション、「やりがい」は何か
  • 小売業界に向く人、向かない人はどういう人か
  • 主要小売各社の概況

小売業界の基本のビジネスモデルを理解しよう

小売業の基本のモデルは商品を仕入れ、それを販売することにより、仕入れ価格と販売価格との価格差で、販売に関わる全ての費用をカバーした上で利益を得るというものです。

現実にはこの商品の販売に以外で多くの利益を出している企業もありますが、まずは基本の仕入れと販売から基本をおさえていきましょう。

小売業の仕入れ

小売業の仕入れルート

経済産業省の商工業実態基本調査は平成10年(1998年)で同種の調査は終了していますが、その当時、小売企業における商品仕入高は、99兆3千億円であり、その商品仕入高の仕入先をみると、卸売業者からの仕入高が75兆6千億円(商品仕入高に占める割合76.1%)と最も多く、次いで生産業者が16兆1千億円(同16.3%)、その他の者からが6兆6千億円(同6.7%)、直接輸入が1兆円(同1.0%)となっていました。

もちろん業種や業態、企業、商品毎に違いがありますが、多くの場合、小売業の仕入れには卸売り企業が介在していることが分かります。

小売業の仕入れ方法

小売業者が商品を仕入れる方法も一つではありません。以下の4つの方法を頭に入れておきましょう。

買取仕入:

仕入れ方法も小売業態や商品ごとで違ってきます。最も分かり易いのは買取であり、小売業者が仕入れで商品を卸売業者や生産者から仕入れの段階で買い取る方法です。

買取仕入をした時点で、その商品の所有者は小売業者となり、その代金を卸業者や生産者に支払います。仕入れた段階で、在庫リスク、保管責任、その商品が何らかの理由で販売できない等、仕入れ費用を回収できないリスクは小売業者になります。

しかし販売価格の決定権は小売り側にあるため在庫処分や割引セールという手法をとることが可能です。これが小売業の最も一般的な仕入れ方法です。

委託仕入:

主に百貨店とアパレルメーカーや商社と取引に使われる仕入れ方法です。「返品条件付き買い取り」とも呼ばれ、小売業者は仕入先から一定期間その商品を預りその販売を委託される仕入形態になります。

委託仕入をした商品は小売店の所有となりますが、売れ残った商品は仕入先に返品できるというものです。小売側のリスクが少ない代わりに、小売価格の決定権は仕入先にあるかたちになります。

仕入れ先、納入業者はその商品がディスカウントされて販売されることがないため、ブランドの値崩れを防ぎ、ブランド価値を保てるメリットがあります。

消化仕入:

委託仕入れと似ていますが、小売業者が商品を陳列していてもその段階での所有権は卸業者やメーカーに残っており、その商品が実際に売れた段階で売上と仕入が同時に計上されるという取引になります。

実際に商品が売れるまでは所有権及び保管責任は仕入先にあり、商品の販売価格決定権についても原則的に仕入先にあります。

小売業者にとっては売り場スペースの提供以外はノーリスクですが、仕入れ業者側がそれでも利益を確保できるような価格設定をするため、売れた場合でも小売り側の利益率は他の仕入れ方法より少なくなるのが普通です。

消化率契約:

日本百貨店協会と日本アパレル産業協会が共同で策定した方式で、消化仕入方式を基本にして事前に百貨店が消化率、アパレルが納品率を約束し、相互で確認した水準に達しなかった場合はペナルティーを支払うというものです。

アパレル側は一定の消化率が保証されているため計画的な生産が可能になり、百貨店側は発注した数量を確保して売場をつくれるというメリットがあります。

小売業の価格政策

小売業の価格政策と呼ばれる価格の付け方は非常に多くのバリエーションがあります。

小売業毎で独自の呼称をつけていたり、定義や運用方法も多様性があるためそれを全部理解するのは難しいのです。就活という目的では、以下の基本的なポイントを理解しておけばよいです。

値入高・値入率

小売業界では仕入れた商品に対していくらかの利益を乗せて販売価格(売価)を決めることを「値入れ」と呼び、「値入率」は売価の中の儲けの割合を表す比率を言います。この値入率は仕入れ価格=原価を基準に計算する場合と、売価を基準に計算する場合があるので注意が必要です。

価格政策のバリエーション

小売業が行う価格政策のバリエーションは、仕入れ量、仕入れ価格、値入高(値入率)、販売価格(売価)を交渉と戦略によって決定し、その結果としての販売価格を消費者に提示して商品を購入してもらうためのものです。多種、

多様な価格政策が存在しますが、就活目的では以下の三つを基本知識としておさえておきましょう。

レギュラープライス:

プロパー価格、正価、定価、正規の値段、通常価格などともいわれる価格であり、小売業が仕入れた商品を適正な値入率を掛けて販売価格を決め、それをディスカウントすることなしに販売する価格です。

セール価格:

一般的に消費者は同じ商品であれば、少しでも安く買いたいと思う傾向があり、商品の価格が安ければ、その商品を目当てにしたお客さんを呼ぶ効果がでてきます。

多くのスーパーマーケットでは意図的に目玉商品(売れ筋の商品の価格を一定期間(セール期間)中、価格を下げて販売する商品)をつくり、魅力的なセール価格を前面に打ち出して集客を図っています。

この値引きのための原資は、納入業者からの協賛金や、自ら値入高を削る、大量に仕入れることによって仕入れ価格を下げる交渉をするなどの方法によってつくられます。

小売業としてはセール商品だけ購入されれば利益が出ない、極端な価格設定をした場合は赤字になってしまいます。

しかし消費者はセール期間中、セール商品だけを購入する訳ではなく、必要に応じて値引きされていない他の商品も併せて購入する可能性も高いのです。

プロパー価格の商品の併売によって部門全体やストア全体で利益出すことを狙っている訳です。価格を集客の手段にするプライス・プロモーションという手法です。

セール期間が終わればセール該当商品も通常価格に戻るため、このように意図的に価格を上下させる手法をHigh & Low(ハイ・アンド・ロー)と呼んでいます。

EDLP:

世界一の小売業であるWal-Martが実践してきた価格政策で、基本的にはストアにあるすべての商品を常時、低価格で販売する(Every Day Low Price)というものです。

例外はありますが、基本的にはHigh & Lowのように価格が変動することはなく、セールという概念もありません。

消費者にとってはいつお店に行っても、どんな商品を購入しても他店の商品より安く手に入るという安心感がストア・ロイヤリティをつくるという考え方にたちます。

Wal-Martでも在庫処分などのディスカウントプライスで商品が販売されたり、大量仕入れやサプライヤーとの交渉によって価格を一段と下げる政策も行っているため理解が難しいのですが、ざっくりとレギュラープライスそのものが他店に負けない低価格であり、基本的にセールという概念がない価格政策と理解しておけば良いでしょう。

EDLPを実現するためのドライバーは、販売量を背景にして、ナショナルブランドのサプライヤーに対して大量発注を行って他店よりも有利な仕入価格や条件を実現する事、徹底的なローコスト・ストアオペレーション、プライベートブランドの開発、自ら商品を海外から安く調達するダイレクト・インポートなどの活用によります。

日本でもEDLP政策を推し進めているのが、Wal-Martの子会社であった西友(Wal-Martは2021年3月には保有株式をKKRと楽天DXソリューションに売却し、現在は15%を引き続き保有)や、地方のスーパーセンター企業、ディスカウントストア業態の企業です。

上記以外でも様々な理由で商品をディスカウントして販売するプライス・プロモーションが存在しますが業態によっても差があるので、小売業は価格に関して色んなことができる奥の深い業界であることを理解しておきましょう。

品揃え

品揃えはストアの魅力や特徴、価格にも関係するとても重要な要素です。品揃えによってストアの印象や性格も違ってきますし、価格とともに集客に大きな影響を及ぼします。

価格に関係するという意味は、低価格を実現するためには同一商品カテゴリーの中で品数を絞ることにより、一アイテム(ブランドといった方が分かり易いかもしれません)ごとの販売数量を上げた方が有利です。そのアイテムの価格交渉力が増すためです。所謂ボリュームディスカウント効果が期待できるのです。

例えば「納豆」売り場に色んなブランドの納豆(価格帯や仕様に違いがあるブランド)が1アイテムづつ8つの違ったブランドで並んでいるスーパーマーケットと、3ブランドがそれぞれ大量に3フェースづつ並んでいるスーパーマーケットでは、後者の方が1アイテムごとの仕入数量が上がるため、仕入れ価格の交渉力が増し、売価を安く設定できるでしょう。

一方前者の場合は、1アイテムごとの仕入れ数量が少ないため、ボリュームディスカウントが効かない(売価が高めになる)代わりに、品ぞろえが良いスーパーという評判を得ることができるでしょう。

都心部の高級スーパーの場合は明らかに前者の戦略をとるでしょう。しかし前者の戦略と後者の戦略のどちらかが良いかバランスの問題としか言いようがないのが現実です。

ストアの立地やお店のターゲットカスタマーによっても違ってきます。

Wal-Martの戦略は後者ですが、日本市場では品ぞろえのバラエティを確保しないとお客さんが離れてしまうという意見も多数あります。小売業は売り上げを左右する要素、変数が多いため、マーケティングという意味では非常に奥の深い業界なのです。

価格・品揃え以外の要素

店舗そのもの

小売業の売り上げを左右する要素は他にも沢山あります。

例えば売り場のレイアウトがお客様にとって商品が見つけやすいか、購入モチベーションごとに適切に配置されているか、関連商材の購入を促進するように工夫されているか、価格表示は見やすく誤認がないか、商品が魅力的に見えるか、動線が確保できているか、商品が適切に、適温の状態で陳列されているか、衛生面、鮮度管理(生鮮食料品や惣菜の場合)など、売り場作りに関するノウハウも非常に重要です。

しかも絶対の正解やセオリーがある訳ではなく、ドン・キホーテのような「圧縮陳列」が受けて成功しているケースもあります。

買い物は体験であり、そこに楽しさ、エンターティメント性があると集客にはプラスに働きます。

小売業は品ぞろえや価格、ストアコンセプトも含めた総合的なビジネスなのです。もちろん接客マナー、接客技術、ストアスタッフの商品知識、なども重要な要素になります。

CRMプログラム

ポイントカードに代表される、お客様を出来るだけ長く自社の店舗の顧客として、何度も来店してもらい商品を購入してもらえるような工夫も重要です。

ポイントカード以外でも一律数%を割り引く日を定期的に設けたり、スペシャルティ・ストアの場合はお誕生日月の割引サービス、食品スーパーの休憩・イートインスペースでのお茶の無料サービスなど、カスタマー・リレーション・マーケティングの要素も重要性が増しています。

広告・販促活動

全ての小売業ではありませんが、食品スーパーやGMS、紳士服や家電量販店、SPA業態の店舗などは毎週のように折込チラシを広告媒体として使用しています。

近年では新聞購読者が減少傾向にあるため、折込チラシによる集客に過度に依存する小売業態は減ってはいますが、それでも折込チラシは「なくせない」広告媒体です。

またTVコマーシャルやラジオコマーシャルを使用している小売業もたくさん存在します。チェーンストアの場合、地域や店舗の広さによって折込チラシで訴求する商品が違う場合が多く、チラシの制作・印刷も複雑になります。

以前より折込チラシへの集客依存度は減っている傾向にありますが、コモディティを扱う小売店にとっては季節、時期ごとの商品購入に対するモチベーションを喚起をするなど、依然重要な媒体であることには変わりありません。

まとめ

小売業のマーケティングは、売上げを左右する要素が非常に多く、しかも複雑に絡み合っているため奥が深い業界です。

特に販売する商品に差別化が難しい食品スーパーやGMSは競争が厳しい上に、変数が多すぎてなかなか勝ちパターンを確立し難いビジネスでもあります。

上記のマーケティング要素以外にも、ストアコンセプトの創出、出店計画、店舗設計、商圏設定など、ケアしなければならない要素が山ほどあるのです。更に収益に関わる重要な要素として、商品物流の最適化、効率化にも取り組まなければなりません。

メーカーを志望する方がモノづくりに興味がある人に対して、売るためのノウハウに興味がある人にとって、小売業は面白い業界です。

接客や人とのコミュニケーションが好きな人にも向いている業界です。基本的なビジネスモデルが理解できたら、小売業の現状と課題、未来に関しても把握しておきましょう。

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