就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
「就活の答え」では証券業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。
証券業界情報の7つのポイントを押さえよう
- 証券業界のビジネスモデルを理解しよう
- 証券業界の現状と課題・未来
- 証券会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 証券会社に働く人のモチベ―ション、やりがいは何か
- 証券会社に向く人、向かない人はどんな人か
- 証券会社の類型と主要企業名
- 大手証券会社の現状と業績
この記事では証券業界の中で特に就活生に人気が高い野村ホールディングス、大和証券グループ本社や、銀行系証券会社、準大手証券、オンライン専業証券の中から大手企業をピックアップして、事業の概況や業績をまとめて解説します。
就活生が証券会社を就活の対象とし、自分の将来を証券業界に託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。
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Contents
野村ホールディングス株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
収益合計(百万円) | 2,486,726 |
収益合計:金融費用控除後(百万円) | 1,335,577 |
税引前当期純利益・損失(百万円) | 149,474 |
当社株主に帰属する当期純利益・損失(百万円) | 92,786 |
当社株主に帰属する包括利益(百万円) | 283,267 |
従業員数(人) | 26,775 |
外、平均臨時雇用者数(人) | 4,420 |
連結子会社及び連結変動持分事業体 | 1,432社 |
持分法適用関連会社 | 14社 |
野村ホールディングス及びグループ各社は、証券業を中核とする投資・金融サービス業であり、日本をはじめ世界の主要な金融・資本市場を網羅する営業拠 点等を通じて資金調達、資産運用の両面で幅広いサービスを提供しています。
具体的な事業としては、有価証券の売買等および売買等の委託の媒介、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集および売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱い、自己資金投資業、アセット・マネジメント業およびその他の証券業ならびに金融業等を展開しています。
事業セグメントとその主要な事業会社は以下の通りです。
営業部門 | (国内)野村證券株式会社、他 |
インベストメント・マネジメント部門 | (国内)野村アセットマネジメント株式会社、他 |
ホールセール部門 | (国内) 野村證券株式会社 野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービス株式会社 野村アジアパシフィック・ホールディングス株式会社 (海外) ノムラ・ホールディング・アメリ カ Inc、 ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル Inc. ノムラ・アメリカ・モーゲッジ・ファイナンスLLC インスティネット Incorporated ノムラ・ヨーロッパ・ホールディングズ PLC ノムラ・インターナショナル PLC ノムラ・インターナショナル(ホンコン) LIMITED ノムラ・シンガポール LIMITED 他 |
その他 | (国内) 野村信託銀行株式会社 野村プロパティーズ株式会社株式会社野村総合研究所野村不動産ホールディングス株式会、他 |
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)における野村ホールディングスの連結業績は、収益合計(金融費用控除後)が、前期比2.1%減の1兆3,356億円となり、若干の減収という結果でした。
金融費用以外の費用は同4.3%増の1兆1,861億円となり、連結利益面の業績としては、税引前当期純利益が1,495億円、当社株主に帰属する当期純利益は928億円となり、前連結会計年度比では減益となっています。
2023年3月期における各事業の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期 連結決算セグメント別業績
セグメント名 | 収益:金融費用控除後(百万円) | 収益構成比 | 税引前当期純利益/純損失(百万円) | 利益構成比 |
営業部門 | 300,191 | 22.0% | 33,496 | 18.6% |
インベストメント・マネジメント部門 | 128,559 | 9.4% | 43,495 | 24.2% |
ホールセール部門 | 772,380 | 56.5% | 29,369 | 16.3% |
その他(消去分含む) | 164,718 | 12.1% | 73,385 | 40.8% |
連結合計 | 1,365,848 | 100.0% | 179,745 | 100.0% |
注意:2023年3月期の金融収益以外の収益および金融費用以外の費用に米国顧客との取引に起因した損失からの回収額12,025百万円を含みます。なお、連結損益計算書上、トレーディング損益に9,954百万円、金融費用以外の費用-その他に△2,071百万円が含まれています。
野村ホールディングスの課題と取組み
野村ホールディングスグループでは、2021年に発生した米国において多額の損失を出してしまったリスク管理の体制の見直し、業務運営のプロセスや組織体制の検証と改善に取り組んでいます。また中長期的に取り組む課題を以下のように整理しています。
特に長期化した新型コロナウイルス感染症の影響も受けて、顧客の行動変化や新たなニーズが生まれている中、ビジネス環境の変化を見据え、「社会課題の解決を通じた企業価値の持続的成長の実現」を経営ビジョンとしています。
中長期の優先課題:
「野村を今立っている場所とは違うところ、次のステージに進める」という考えのもと、その実現に向けた成長戦略を以下の3点を軸に具体化する方針です。
企業価値の持続的向上を目指す成長戦略:
- 「パブリック」に加え「プライベート領域」への拡大・強化
- 「商品・サービス」の拡充、「お客様(顧客基盤)」の拡大
- 「デジタルを活用したデリバリー(お客様との接点)」
上記の3軸に関連した施策を通して、一人ひとりのお客様にカスタマイズされた「プライベート、あなただけのため」のサービス・ソリューションの提供を強化していく方針です。
主要な取り組みと施策
主要な取り組みと施策は以下の通りです。
資産コンサルティング業への転換:
- 国内の個人顧客に対し、資産コンサルティング業への転換を推進
- 中長期的な観点でお客様にベストと思われる資産コンサルティングを提供し、資産を増やすサポートによって預り残高を増やすことで、フィー収入の増加を目指す
- 多様化するお客様のニーズに的確に応え、お客様の属性やニーズに沿ったセグメンテーションの下、お客様の属性に合わせてパートナー(営業担当者)を配置し、各領域におけるソリューションを提供する領域別のアプローチを強化
- 職域ビジネスの強化や地域金融機関との包括提携によるアライアンスを通じたビジネスの広がりにより、顧客基盤の拡大を図る
インベストメント・マネジメントの強化:
- 幅広いプライベート資産の領域に挑戦し、投資家の方々が投資しやすい環境を整える
- 従来のアセット・マネジメント部門およびマーチャント・バンキング部門を廃止し、インベストメント・マネジメント(IM)部門を新設して事業を展開
- 株式・債券に代表される伝統的資産から、プライベート・エクイティ等のオルタナティブ資産にいたるまで、グループ内に蓄積された専門性を融合した付加価値の向上を図る
- 国内では未上場株に投資する投資法人や事業承継のための株式取得ファンド(サーチファンド)、私募不動産ファンド、海外ではプライベート・クレジットファンドや森林資源ファンドなど、プライベート領域での投資機会を拡張
- 米国非上場REIT(不動産投資信託)に投資する公募投資信託を設定し、国内の個人投資家に提供
ホールセールビジネスにおける収益の多様化
- 野村が持つグローバルな顧客基盤に対してファイナンス等のソリューションをシームレスに提供
- 市場変動の影響を受けにくいソリューションビジネスについては、インフラ・ファイナンスやファンド向けファイナンス等のストラクチャード・ファイナンスでの実績を積み上げ
- コア・プロダクトでは高いマーケットシェアの維持しつつ、収益源の多様化を目指す
- 米州中心にグローバル・アドバイザリー・ビジネスを強化
- M&Aアドバイザリー等のオリジネーション。ビジネス
- サステナブル・テクノロジーとインフラ・ストラクチャーの分野において高いプレゼンスを持つ「グリーンテック・キャピタル」を買収し、2020年4月より「ノムラ・グリーンテック」として運営
デジタル金融サービスの強化
- デジタル化への取組みの推進・強化により、利便性の高いサービスの提供し多様化するニーズに応える
- 人は野村グループの生み出す付加価値の源泉であるため、対面と非対面を駆使したコンサルティング能力の向上とともに、これからの時代に求められる資質を備えた人材育成を強化
- 海外を含む野村グループ内におけるデジタル分野の協業を一層強化するとともに、下記の注力領域のさらなる取組み強化を企図し、「デジタル・カンパニー」を設立
- 業務の効率化・高度化
- 顧客接点のデジタル化
- 新たな顧客層へのアプローチ(若年層、働く世代へのデジタルプラットフォームの構築)、営業支援システム「リモート相談」の活用
- デジタルアセットビジネスへの参画
- 新領域におけるビジネス創出
- セカンダリー・トレーディング、ベンチャー・キャピタル、投資商品の3つの分野にフォーカスし、今後新しいサービスや商品群を段階的にローンチしていくことを目指す
サステナビリティへの取り組み
- お客様・ステークホルダーのサステナビリティへの取り組み:
- 事業会社や金融機関が発行するグリーンボンドやソーシャルボンドなどの引受けや、M&Aなどの戦略的アドバイザリーサービスの提供、投資対象としてのESG関連ファンドの開発や個人投資家への提供を通じたサステナブルな資金循環の促進といった機能を強化
- 事業承継のサポート機能や、地方創生や農業・医療分野でのイノベーション推進機能、調査分析の分野における専門性や知見も活かしながら、社会課題解決のためのソリューションを提供
- 日本の小・中学生から大人まで、幅広い世代を対象とした金融経済教育の取り組みを通じ、社会全体の金融リテラシーの向上に貢献
- 野村自身の取り組み:
- 2030年までに野村の拠点で排出する温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」を達成すること、および2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロを達成することを目指すことを表明
- 2021年にNZBA(ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス)に加盟した他、多くのイニシアティブに参画
野村の人材に関する考え方
野村には「人材こそが最大の財産」という理念があります。
その理念のもと、社員が長期的なキャリアを築き、長く生き生きと活躍していける職場を目指し、そのために欠かせない心身の充実のためのさまざまな施策を行っています。
・企業理念に基づくタレントマネジメント
野村グループは企業理念において「金融資本市場を通じて、真に豊かな社会の創造に貢献する」ことを社会的使命と考え、その実現のために常に持ち続けなくてはならない価値観として「挑戦」、「協働」、「誠実」を掲げています。
リスクカルチャーを有する人材を獲得することを前提としており、その上で、入社後に高度な専門性を発揮できる人材を獲得・育成するために、日本を含むすべての地域、ならびに新卒採用およびキャリア採用の双方において、部門または職種別の採用を実践しています。
- 人材育成方針:
- 野村グループは、社会課題の解決を通じた持続的成長と企業価値向上を実現するため、社員一人ひとりが社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナルとして付加価値を生み出し、生産性の向上、新たな価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続ける人材を輩出するよう、人材育成に取り組みます
企業理念とこれらの価値観を繋ぐための具体的な指針として行動規範を定めています。それらを体現していくべきタレントマネジメントとして「多様な人材の確保」、「成長機会の提供・支援/プロフェッショナル人材の育成」、「人材抜擢・登用」、「適正な評価・処遇」、「自律的なキャリア形成の支援」、「従業員エンゲージメント」、「リスク・カルチャーの醸成」、「DE&I、健康経営、平等な機会の提供・差別の禁止」を重視した施策に取り組んでいます。
タレントマネジメントに関する取り組みの中で、就活によるファーストキャリアの選択に関連するトピックをあげておきます。
インターンシップ・野村パスポート:
- 野村證券では多様なコースのインターンシップを揃え、金融ビジネスを広く深く学ぶ機会を提供
- 金融知識のみならず、証券業務の意義や役割を理解してもらうことで、学生の成長や職業観の形成に貢献
- 野村パスポートという、理工系の博士課程に在籍する学生を対象とした採用プログラムを導入しており、AI開発、データサイエンス、デジタライゼーション等の分野で高い専門性を有する人材を採用
また、入社後は「成長機会の提供・支援/プロフェッショナル人材の育成」にも力をいれており、研修、海外留学制度、国際間移動、デジタルIQプログラムの導入等で人材の成長を支援しています。
証券業界に興味があり、成長意欲が高い人はぜひ企業研究を深めて下さい。
野村證券株式会社
2023年3月期決算 (2022年度)
野村證券株式会社の2023年3月期の業績概要は以下の通りです。
営業収益(百万円) | 587,186 |
純営業収益(百万円) | 488,777 |
営業利益(百万円) | 44,349 |
経常利益(百万円) | 44,331 |
税引前当期純利益(百万円) | 48,875 |
当期純利益(百万円) | 33,557 |
従業員数(人):2022.3月現在単体 | 11,987 |
株式会社 大和証券グループ本社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 866,090 |
純営業収益(百万円) | 464,226 |
経常利益(百万円) | 86,930 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 63,875 |
包括利益(百万円) | 103,094 |
従業員数(人) | 14,731 |
外、平均臨時雇用者数(人) | 241 |
連結子会社 | 140社 |
持分法適用関連会社 | 22社 |
大和証券グループ本社は持株会社であり、傘下の連結子会社140社及び関連会社22社とともに、有価証券関連業を中核とする投資・金融サービス業を展開しています。
具体的な事業として有価証券及びデリバティブ商品の売買等及び売買等の委託の媒介、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱いその他有価証券関連業並びに銀行業その他の金融業等を、日本をはじめ欧州、アジア、米州の主要な金融市場を中心に行っています。
事業セグメントとその主要事業会社は以下の通りです。
リテール部門 | 大和証券株式会社、他 |
ホールセール部門* | 大和証券株式会社 大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパリミテッド 大和証券キャピタル・マーケッツ香港リミテッド 大和証券キャピタル・マーケッツシンガポールリミテッド 大和証券キャピタル・マーケッツアメリカホールディングスInc. 大和証券キャピタル・マーケッツアメリカInc. 他 |
*ホールセール部門=グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングの事業
アセット・マネジメント部門 | 大和アセットマネジメント株式会社 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社大和証券オフィス投資法人 サムティ・レジデンシャル投資法人、他 |
投資部門 | 大和企業投資株式会社 大和PIパートナーズ株式会社 大和エナジー・インフラ株式会社 他 |
その他 | 株式会社大和総研 株式会社大和ネクスト銀行 株式会社大和証券ビジネスセンター 大和証券ファシリティーズ株式会社 他 |
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
大和証券グループ本社の2023年3月期における連結業績は、営業収益は前年度比39.8%増の8,660億円、純営業収益は同7.5%減の4,642億円という結果でした。
収益の内訳及び前年度比は以下の通りです。
- 受入手数料は2,799億円、前年度比(以下、同)10.8%の減収
- 委託手数料は、市場環境の悪化により顧客フローが減少したことにより、同15.3%減の642億円
- 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、エクイティや債券の引受案件が減少し、同28.2%減の281億円
- トレーディング損益は、エクイティ収益が減少したこと等により、同30.8%減の702億円
- 金融収支は、レポ取引の拡大等の影響により、同104.9%増の640億円
利益面の業績は、販売費・一般管理費、取引関係費、人件費、不動産関係費が増加した結果、経常利益は同36.0%減の869億円、固定資産売却益等により特別利益が181億円(前年度90億円)、固定資産除売却損や投資有価証券売却損等により特別損失が83億円(前年度31億円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比32.7%減の638億円となり、前期に続いての減益の決算となっています。
2023年3月期における各事業の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期 連結決算セグメント別業績
セグメント名 | 外部顧客への純営業収益(百万円) | 収益構成比 | k経常利益・損失(百万円) | 利益構成比 |
リテール部門 | 164,336 | 35.4% | 25,886 | 29.8% |
ホールセール部門 | 160,891 | 34.7% | 2,822 | 3.2% |
アセット・マネジメント部門 | 70,394 | 15.2% | 44,526 | 51.2% |
投資部門 | 16,446 | 3.5% | 13,068 | 15.0% |
その他・調整等 | 52,157 | 11.2% | 626 | 0.7% |
合計 | 464,226 | 100.0% | 86,930 | 100.0% |
*「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、子会社の統合・管理、銀行、情
報サービス、事務代行及び不動産賃貸等の事業が含まれています
大和証券グループの中長期経営計画
大和証券グループは、中長期の経営ビジョンとして「2030Vision」を策定し、その中でグループが挑むべき課題として、「人生100年時代」、「イノベーション」、「グリーン&ソーシャル」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「サステナブル経営の基盤」を重点分野と位置付けています。
また「貯蓄からSDGsへ」をキャッチフレーズに「資金循環の仕組みづくりを通じたSDGsの実現」を目指すべき姿として定めています。
これらの重点分野に対し具体的な取り組みを進めるなかで、サステナブルな経済的・社会的価値を創出し、大和証券グループに対するESG評価の向上と中長期的な企業価値の向上を図る方針となっています。
現在はこの2030ビジョンの実現に向け、2021年度を初年度とした当初3ヵ年の中期経営計画“Passion for the Best”2023を策定・実行中です。
この中期経営計画では、「未来を共に創るベストパートナー~Be with you~」をスローガンに設定し、基本方針として「クライアントファーストとクオリティNo.1の実現」、「ハイブリッド戦略による新たな資金循環の確立」、「デジタルとリアルのベストミックスの追求」を掲げて事業を展開しています。
また2023年度における連結経常利益2,000億円以上、連結自己資本利益率(ROE)は10%以上等の定量目標も設定しています。
就活で大和証券グループ各社を志望する皆さんは、中長期の事業戦略やビジョンをしっかり把握して、自分自身の就活の軸や成長の機会、志望動機の作成にも役立ててください。
中期経営計画では、部門別の課題や戦略、現在注力中の活動も把握することができます。ぜひご自身でも、なぜそれが必要なのかを考え、「やってみたいこと」や「ビジョン」の作成の参考にしてみましょう。
大和証券株式会社
2023年3月期決算 (2022年度)
大和株式会社の2023年3月期の業績概要は以下の通りです。
営業収益(百万円) | 277,542 |
純営業収益(百万円) | 243,358 |
経常利益(百万円) | 5,959 |
当期純利益(百万円) | 7,151 |
従業員数(人) | 8,537 |
大和証券はグループのリテール営業部門と国内ホールセール部門の中核会社ですが、日本企業の海外展開を直接金融面でサポートする重要な役割を担っています。
国内ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングビジネスで構成されています。
グローバル・マーケッツは、主に国内外の機関投資家や事業法人、金融法人、公共法人等の顧客向けに、株式、債券・為替及びそれらの派生商品のセールスおよびトレーディングを行っており、主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益およびトレーディング収益です。
グローバル・インベストメント・バンキングは、国内外における有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しており、主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料と理解してください。
2023年3月期(2022年度)の業績概要
大和証券の2023年3月期における営業収益は2,775億円(前年度比14.9%減)、純営業収益は2,433億円(同22.8%減)という結果でした。
純営業収益の内訳及び前年度比の概要は以下の通りです。
- 受入手数料は委託手数料及び募集・売出しの取扱手数料等が減少し、総額で1,773億円 (同11.7%減)
- トレーディング損益はエクイティ等の減少により481億円 (同52.0%減)
- 金融収支は178億円 (同29.0%増)、
販売費・一般管理費は、取引関係費が403億円(同7.7%増)、事務費が535億円(同7.6%増)であったものの、人件費が920億円(同6.5%減)となったこと等から、合計で2,385億円(同0.5%減)となった結果、利益面の業績としては、経常利益は59億円(同92.4%減)となり、これに特別損益、法人税等を加味した結果、当期純利益は71億円(同87.5%減)という結果でした。
2021年月期、2022年月期の決算は連続して増収・増益の年度でしたが、2023年月期は一転して減収・減益となっています。
各事業の2023年3月期における業績概要は以下の通りです。
セグメント名 | 外部顧客への純営業収益(百万円) | 収益構成比 | セグメント利益・損失(百万円) |
リテール営業部門 | 160,142 | 65.8% | 25,064 |
国内ホールセール部門 | 83,755 | 34.4% | -5,304 |
その他・調整等 | -539 | -0.2% | -13,800 |
合計 | 243,358 | 100.0% | 5,959 |
銀行系証券会社の現況
みずほ証券株式会社
2023年3月期決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 424,977 |
純営業収益:金融費用控除後(百万円) | 280,616 |
営業利益(百万円) | 16,624 |
経常利益(百万円) | 13,620 |
当期純利益(百万円) | 6,604 |
親会社株主に帰属する純利益(百万円) | 6,494 |
連結従業員数(人) | 8,942 |
単体従業員数(人) | 6,864 |
国内拠点数 | 225拠点 |
海外(駐在員事務所+現地法人) | 11 |
みずほ証券は、業界トップの236拠点の国内ネットワークを展開、みずほ銀行の支店ロビー内にプラネットブースを設置する等みずほ銀行との共同店舗化を進めています。
また債券や株式の引受業務やM&Aアドバイザリー等の投資銀行分野でも、常にトップクラスの実績を残しています。
リサーチでは、業界トップクラスのアナリスト、ストラテジスト、エコノミストが多数在籍しており、株式、債券・為替等の機関投資家から高い評価を受けている日本の銀行系証券会社のトップランナーです。
2023年3月期(2022年度)米国拠点合算ベース業績の概要
2023年3月期(2021年度)の連結業績は、投資銀行・リテールが苦戦するなかでグローバルマーケッツが収益を牽引し、3年連続で経常利益1,000億円を超える水準を確保しています。
純営業収益が5,067億円(前年比2%増)、経常利益は前年同期比15%減の1,116億円、当期純利益は前年同期比21%減の799億円という結果でした。
2022年3月期(2021年度)事業部門別業績概要 (米国拠点合算ベース)
セグメント名 | 純営業収益*:(百万円) | 主要事業部門収益構成比 | 経常利益*(百万円) | 利益構成比 |
グローバル投資銀行 | 84,900 | 16.7% | 25,300 | 18.9% |
グローバル・マーケッツ | 310,100 | 60.9% | 104,400 | 78.0% |
リテール・事業法人 | 114,300 | 22.4% | 4,200 | 3.1% |
3部門合計 | 509,300 | 100.0% | 133,900 | 100.0% |
その他・調整 | -2,523 | ー | -22,276 | ー |
連結合計 | 506,777 | ー | 111,624 | ー |
出典:2022年度決算説明資料
*合算ベースには、連結損益計算書の純営業収益および経常利益に連結対象会社でない米国みずほ証券等の米国拠点の純営業収益および経常利益(社内管理ベース)を単純合算
SMBC日興証券株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 279,492 |
純営業収益:金融費用控除後(百万円) | 222,878 |
営業利益・損失(百万円) | -44,485 |
経常利益/損失(百万円) | -42,170 |
税金等調整前当期純利益/純損失 (百万円) | -57,796 |
親会社株主に帰属する当期純利益/損失 (百万円) | -39,838 |
包括利益 | -29,119 |
連結従業員数(人) | 10,871 |
海外拠点人員数(人) | 823 |
国内店舗数 | 110 |
連結子会社 | 12社 |
持分法適用関連会社 | 7社 |
元々野村、大和とならんで日本の3大証券会社のひとつであった日興證券が、日興コーディアル証券となり、更に2009年10月に三井住友フィナンシャルグループの一員となって、後に2018年1月にはSMBCフレンド証券との統合も経て現在の経営形態になっています。
2023年3月現在、国内110店舗を有し、三井住友銀行との広範な業務協働施策を展開しています。
個人に対しては株式、債券、投資信託、年金・保険やオーダーメイドの資産運用サービス「日興ファンドラップ」など様々な商品を揃え、コンサルティング営業に注力しています。
企業オーナーや上場企業の役員などの富裕層にはプライベート・バンキング業務を通じて資産保全や資本政策のソリューションを提供、法人顧客に対しては金融商品部門や投資銀行部門と緊密に連携を行い、企業金融のニーズやM&A等の事業戦略ニーズに応えられる体制を構築しています。
海外ネットワークも充実しており、グローバル株式・株式関連-日本・ブックランナー、新規公開株式引受、円債総合・主幹事等のリーグテーブルではトップクラスの実績を上げています。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)におけるSMBC日興証券の連結業績は、純営業収益が 2,228.8億円 (前期比-33.3%)、損益面では経常損失421.7億円 (前年度は653.4億円の利益)、当期純損失が398.3億円(前年度は498億円の利益)という結果でした。
参考:SMBC日興証券株式会社 2023年3月期の営業収益の内訳
主要業務 | 純営業収益*:(百万円) | 主要事業別収益構成比 |
株式委託手数料 | 26,500 | 11.9% |
投信募集手数料 | 16,000 | 7.2% |
FW手数料・代行手数料 | 69,300 | 31.1% |
引受手数料 | 17,600 | 7.9% |
受手その他 | 29,400 | 13.2% |
トレーディング損益 | 62,700 | 28.1% |
金融収支 | 1,000 | 0.4% |
売上総利益 | 0 | 0.0% |
合計 | 222,800 | 100.0% |
データ出典:SMBC日興証券株式会社 2023年3月期 決算説明資料
2022年度は現在の中期経営計画の最終年度にあたり、引き続き以下4点重点戦略の仕上げに注力してきました。
- グループ資産運用ビジネスの高度化
- 北米を中心とした海外ビジネス強化、
- リスクソリューション、ノンフロービジネスの強化、
- デジタルトランスフォーメーションと3W改革の推進
また、2つの優先課題として「サステナビリティへの取組み強化」と「部門戦略を支える人材配置・育成)」を着実に進めてきまた。
しかしながら、2022年度は欧米の金利上昇や景気減速懸念、ロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの長期化により不透明な市場環境となり投資マインドは低下し、発行市場も低調に推移した難しい事業環境にありました。
年度後半に収益の改善が一部で見られるものの、報道された相場操縦事案の影響もあり減収・減益という結果となっています。
三菱UFJ証券ホールディングス株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 492,807 |
純営業収益:金融費用控除後(百万円) | 352,257 |
経常利益(百万円) | 84,541 |
親会社株主に帰属する当期 純利益(百万円) |
44,802 |
包括利益 | 77,696 |
従業員数 (人) | 7,624 |
外、平均臨時雇用者数 (人) | 412 |
連結子会社数 | 9社 |
持分法適用関連会社 | 1社 |
三菱UFJ証券ホールディングスグループは、主な事業として投資・金融サービス業(有価証券の売買およびその委託の媒介等、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集および売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱い、その他の金融商品取引業ならびに貸金業等)を事業としており、三菱UFJ証券ホールディングスは証券持株会社という位置づけです。
傘下の事業会社各社のグループ間連携を推進しつつ、業態毎に経営資源の配分や業績の確認を行う役割を担っています。
グループは、業態・地域別のセグメントから構成されており、「証券業務(国内)」「証券業務(欧州)」「証券業務(米州)」に分けられています。
国内の証券業務は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社*、auカブコム証券の2社で構成されています。(2023年3月末現在)
モルガン・スタンレーMUFJ証券株式会社は関連会社という位置づけです。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
三菱UFJ証券ホールディングス株式会社の2023年3月期における連結業績は、連結純営業収益が3,522億57百万円(前年度比114.3%)となり、増収でした。
販売費・一般管理費は2,977億41百万円(同104.4%)となり、その結果、利益面では連結経常利益は845億41百万円(同175.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は448億2百万円(同260.3%)となり、前期比で増益を達成しています。
2023年3月期 セグメント別業績概要
セグメント名 | 外部顧客からの純営業収益(百万円) | 収益構成比 | セグメント利益・損失(百万円) | 利益構成比 |
証券業務(国内) | 288,986 | 70.1% | 39,231 | 34.6% |
証券業務(欧州) | 72,230 | 17.5% | 7,565 | 6.7% |
証券業務(米州) | 59,782 | 14.5% | -171 | -0.2% |
その他* | -8,942 | -2.2% | 66,896 | 58.9% |
合計 | 412,057 | 100.0% | 113,521 | 100.0% |
調整額 | -59,799 | ー | -68,719 | ー |
連結合計 | 352,257 | ー | 44,802 | ー |
- 注意:
- 外部顧客からの純営業収益の調整額△59,799百万円は、主に連結範囲から除外されたMUSAの外部顧客からの純営業収益の調整
- セグメント利益または損失の調整額△68719百万円は、主にセグメント間取引消去等
中長期の課題
MUFGグループは、2021年4月1日に経営ビジョンを改定し、「MUFG Way」へと改称しています。「MUFG Way」では、環境・社会課題解決とMUFGの経営戦略の一体化を進める中、社会における「Purpose(存在意義)」、「Values(共有すべき価値観)」、「Vison(中長期的に目指す姿)」を以下のように定義しています。
- Purpose(存在意義): 世界が進むチカラになる。
- Values(共有すべき価値観):「信頼・信用」2.「プロフェッショナリズムとチームワーク」3.「成長と挑戦」
- Vision(中長期的にめざす姿):世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ
三菱UFJ証券ホールディングスグループは、「MUFGの中核として業界No.1のクオリティを有し、お客さま満足度No.1の証券会社」としての地位を確立していくことを標榜しています。
国内営業においては、顧客ニーズに適した商品やサービスを提供できる営業体制を構築すると共に、MUFGグループの顧客基盤を最大限に活用し、「ウェルスマネジメントビジネス拡大」、「貯蓄から資産形成」、「預り資産拡大」に取り組んでいます。
またグループ各社のオンライン取引の利便性を高めることで、さまざまな顧客との取引を増やすなど、ネットリテールビジネスの強化を通じ、収益力を拡大・多様化に注力しています。
主な業務上の課題:
現在は以下を課題として、具体的な施策を展開しています。
- ウェルス&ミドルマーケット領域:
- アドバイザリー型ビジネスを完成するとともに、MUFGグループの顧客基盤を最大限に活用し、グループが一体となってさらなる強化を図る
- リモート領域ではアドバイス機能を有するリモートチャネル「MUFGテラス」も活用し、デジタルとアドバイスを融合した独自のビジネスモデルの確立を目指す
- auカブコム証券株式会社は、auスマホ経済圏を最大限活用したビジネスモデルの構築及び商品・サービスのさらなる強化・拡大
- 市場商品領域:
- 機関投資家ビジネスで内外クロスセルによる商品力の強化、また商品供給機能として競争力の高い商品を提供
- 投資銀行領域:
- 国内ではMUFGグループの顧客基盤とモルガン・スタンレーのグローバルな商品力、情報力を活かし、エクイティ、債券の引受業務およびM&Aアドバイザリー業務においてお客さまのニーズに応える質の高いソリューション機能を提供
- 海外領域:
- 国内外でのクロスセルやMUFG資産回転ビジネスを中心に強化し、グローバルで競争力あるプロダクト供給とソリューションを提供
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
2023年3月期決算(2022年度)
営業収益(百万円) | 291,397 |
純収益:金融費用控除後(百万円) | 261,100 |
営業利益(百万円) | 44,263 |
経常利益(百万円) | 46,982 |
税引前当期純利益(百万円) | 45,160 |
当期純利益 | 36,341 |
従業員数(人) 2022/3/31 | 5,630 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は三菱UFJフィナンシャル・グループ (MUFGグループ) とモルガン・スタンレー双方のネットワークや豊かなノウハウを自在に活用できることが最大の特徴です。
個人、法人を問わず、あらゆる金融ニーズに対し、多角的な視点と、高いクオリティを兼ね備えたソリューションを提供、多様な金融商品やサービスの提供、資産運用はもちろん、資産承継なども含めたさまざまな金融ニーズにワンストップで応えられる体制を構築しています。
国内では特にウェルスマネジメントとESG投資に注力して事業を展開しています。
MUFGと世界41ヵ国以上のネットワークを有するモルガン・スタンレーとのジョイントベンチャーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券はモルガン・スタンレーのグローバル・リーチや卓越した商品サービスを活かした高い提案力を駆使して、投資銀行業務でも着実に成果を積み上げています。
投資銀行業務に興味のある就活生は、是非、業界・企業研究を深めてください。尚、「就活の答え」では、投資銀行のビジネスモデル、現状と課題、投資銀行に対する適性について、別の記事で詳しく解説しています。是非参考にしてください。
2023年3月期(2022年度)の業績概要
2023年3月期(2022年度)における三菱UFJモルガン・スタンレー証券の業績は、営業収益が2,913億97百万円(前期比107.1%)、経常利益は469億82百万円(同89.8%)、当期純利益は363億41百万円(同98.9%)という結果でした。
参考:三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2023年3月期(2022年度)営業収益の内訳
主要業務 | 純営業収益*:(百万円) | 主要事業別収益構成比 |
受入手数料:顧客との契約から生じる収益 | 129,389 | 44.4% |
トレーディング損益 | 114,524 | 39.3% |
営業投資有価証券等損益 | 4 | 0.0% |
金融収益 | 47,479 | 16.3% |
合計 | 291,397 | 100.0% |
出典:三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 業務及び財産の状況に関する説明書 【2023年3月期】
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準大手証券・ネット専業証券会社の現況
SBIホールディングス株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 998,559 |
税引前利益(百万円) | 100,753 |
親会社の所有者に帰属する当期純利益(百万円) | 35,000 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) | 51,489 |
従業員数(人) | 18,756 |
連結子会社 | 580社 |
持分法適用関連会社 | 63社 |
SBIホールディングスグループは、証券・銀行・保険を中心に金融商品や関連するサービスの提供等を行う「金融サービス事業」、投資事業、海外金融サービス事業、資産運用サービス事業を行う「アセットマネジメント事業」、医薬品、健康食品及び化粧品等の開発・販売や、メディカルインフォマティクス事業を行う「バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業」を中心に事業を展開しています。
事業セグメントとその主要な事業会社は以下の通りです。
金融サービス事業 | SBIファイナンシャルサービシーズ(株) (株)SBI証券 SBIリクイディティ・マーケット(株) SBI FXトレード(株) SBIマネープラザ(株) SBIインシュアランスグループ(株) SBI生命保険(株) SBI損害保険(株) SBI FinTech Solutions(株) SBIエステートファイナンス(株) (株)SBI新生銀行 昭和リース(株) (株)アプラス 新生フィナンシャル(株) (株)SBI貯蓄銀行 SBI地銀ホールディングス(株) |
資産運用事業 | SBIアセットマネジメントグループ(株) SBIグローバルアセットマネジメントグループ(株) SBIアセットマネジメント(株) |
投資事業 | SBIキャピタルマネジメント(株) SBIインベストメント(株) SBI Hong Kong Holdings Co., Limited SBI VENTURES ASEET PTE. LTD |
暗号資産事業 | SVI VCトレード(株) |
非金融事業 | SBI ALApharma Co., Limited SBIファーマ(株) SBIアラプロモ(株) SBIバイオテック(株) |
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
SBIホールディングスグループの2023年3月期における連結業績は、収益が前期比30.8%増の9,986億円と過去最高を更新しています。
利益面では、投資事業においてベトナム上場銘柄であるTIEN PHONG COMMERCIAL JOINT STOCK BANK等の一部海外上場銘柄の公正価値評価により約427億円の評価損を計上したことに加え、暗号資産市場の低迷や一部取引先の破綻等により、暗号資産事業の税引前損失が約184億円となったことから、税引前利益は同75.6%減の1,008億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同90.5%減の350億円という結果になりました。
前期のSBI新生銀行連結子会社化に際して計上した一時要因である負ののれん発生益等1,956億円の影響を除くと、税引前利益は同53.6%減、親会社の所有者に帰属する当期利益は同74.2%減でした。
2023年3月期における各事業の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期 連結決算セグメント別業績
セグメント名 | 外部顧客からの収益(百万円) | 収益構成比 | セグメント税引前利益・損失(百万円) | 利益構成比 |
金融サービス事業 | 881,680 | 88.1% | 150,653 | 123.0% |
資産運用事業 | 27,581 | 2.8% | 10,123 | 8.3% |
投資事業 | 36,528 | 3.6% | -16,661 | -13.6% |
暗号資産事業 | 30,796 | 3.1% | -18,429 | -15.1% |
非金融事業 | 24,248 | 2.4% | -3,253 | -2.7% |
合計 | 1,000,833 | 100.0% | 122,433 | 100.0% |
消去又は全社 | -2,274 | ー | -21,680 | ー |
連結合計 | 998,559 | ー | 100,753 | ー |
ビジネスに対する基本観
SBIホールディングスグループの特徴は、常に以下の3つの基本観によって成り立っています。
- 「顧客中心主義」の徹底:
-
- より安い手数料・より良い金利でのサービス、金融商品の一覧比較、魅力ある投資機会、安全性と信頼性の高いサービス、豊富かつ良質な金融コンテンツの提供といった、真に顧客の立場に立ったサービスを徹底的に追求
- 「仕組みの差別化」の構築:
-
- インターネット時代における競争概念の劇的な変化に対応すべく、単純な個別商品・サービスの価格や品質で差別化するのではなく、顧客の複合的なニーズに応える独自の「仕組み」を構築し、そのネットワーク全体から価値を提供する
- 「企業生態系」の形成:
-
- 構成企業相互のポジティブな相乗効果を促進し、それぞれのマーケットとの相互進化のプロセスを生み飛躍的な企業成長を実現
- グループ企業間及び国内外の他の企業グループとの相互作用を通じてネットワーク価値を創出する「企業生態系」の形成を重視した経営を展開
SBIホールディングスの成長戦略
SBIホールディンググループは、資本効率を考慮しながら、「金融イノベーター」や「新産業クリエーター」として、事業の「選択と集中」で回収した資金を成長分野や革新的な事業展開を可能とする分野へ再投資することで、グループ全体としての持続的な成長を目指す方針を掲げています。
インターネットを通じた金融サービスを中核に据えた総合金融グループとしての事業構築を日本国内において既に完成させ、アジア地域を中心とした成長著しい国々においては、投資事業の運用体制構築が概ね完了しており、今後はAI、IoT、ビッグデータ、ロボティクスのほか、フィンテックの中核技術であるブロックチェーン等の分野での有望な企業への投資や提携を積極的行っていく計画です。
SBIグループは顧客利益を最優先する「顧客中心主義」を徹底し、高い顧客満足度を獲得することで、2023年3月末時点で約4,600万件の顧客基盤を有するまでに飛躍的な成長を遂げています。
グループでは、以下三つの「多様化」にきめ細かく取り組みリスク分散を図りつつ、収益源の拡充・開拓を図り、顧客基盤1億件超を当面の目標として掲げています。
SBIグループが取り組む3つの多様化
- 顧客の多様化
- ネオ証券化の推進
- 三井住友フィナンシャルグループとの協業は次の段階に移行
- マルチポイント経済圏の更なる拡大
- SBIグループの有する多様な経営資源を活用し、事業法人・金融法人顧客の拡大に尽力
- 地域金融機関との協業推進
- 住信SBIネット銀行の「ネオバンク構想」の推進による金融業内外における顧客基盤の拡大
- 金融商品・サービスの多様化
- 証券事業では「貯蓄から資産形成へ」の流れを捉え、商品・サービスの多様化により顧客満足度の向上と新規顧客の獲得を図る
- SBI新生銀行グループは、SBIグループとの連携強化を通じ商品・サービスの多様化を推進
- 暗号資産事業では、顧客ニーズを幅広く捉えるべくM&A等も活用し取り扱う暗号資産やステーキング等のサービスを拡充
- 事業分野の多様化
- 資産運用事業を中核的事業に位置付け、M&AやJV設立等を通じて2027年度中に運用資産残高20兆円の達成を目指す
- 国内外で革新的な技術を取り入れたWeb3などの新たなビジネス領域を開拓
上記は取り組みの骨子のみですが、それぞれに数値目標と達成のための戦略や施策が練り上げられています。
SBIグループを就活の対象にする方は、ぜひその内容を把握して、自分自身の興味に繋がるかを確かめてみて下さい。
SBIホールディングスでは、SMBCグループと、スマートフォン向け金融サービスなどのデジタル分野に加え、対面証券ビジネス分野や投資分野、地方創生分野等の幅広い事業領域における協業を目指す、戦略的資本・業務提携に関する基本合意を締結しています。
また、海外における投資事業を一層強固なものへと発展させていくと共に、出資先の海外金融機関に対して、日本国内で培ったインターネット金融サービスの先進的ノウハウを提供することで、アジア地域を中心にグローバルに貢献できる総合金融グループとなることを標榜しています。
就活にダイレクトに繋がる人材採用に関しては、2006年4月から採用を進めてきた新卒採用者が、急速に拡大するSBIグループの未来を担う幹部候補生として、既に各々重要なポジションで活躍しています。
今後もより優秀かつグローバルな人材の確保と、社員のキャリア開発を促進し、当企業グループの持続的な成長と発展を図る方針です。
2022年4月からは新卒初任給及び入社3年目までの給与テーブルの大幅な引き上げを実施、SBI大学院大学の活用による人材教育の拡充やM&A等を通じた優秀な即戦力人材の獲得も併せて促進しています。
就活でSBIホールディングスを志望する皆さんは、創業者である北尾 吉考氏の哲学・経営理念を深く理解し自分事化することは当然として、SBIグループの中長期戦略を把握して、成長機会における自分のアピールポイントを明確にするとともに、自己のビジョンと共鳴することを言語化しておきましょう。
株式会社 岡三証券グループ
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 66,551 |
経常利益(百万円) | 421 |
親会社株主に帰属する当期当期純利益(百万円) | 529 |
包括利益(百万円) | 1,091 |
従業員数(人) | 3,358 |
連結子会社等 | 12社 |
持分法適用関連会社 | 2社 |
岡三証券グループは証券ビジネス、アセットマネジメントビジネス、サポートビジネスをセグメントとして事業を展開しています。
証券ビジネスは、有価証券の売買等及び売買等の委託の媒介、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱い等の事業で構成されています。
アセットマネジメントビジネスは、投資運用、投資助言・代理並びに投資事業組合財産の管理及び運用等の事業です。
サポートビジネスは、岡三グループ及び外部顧客に対する情報処理サービス、事務代行、不動産管理等の事業が含まれます。
各事業セグメントにおける関連の事業会社は以下の通りです。
証券ビジネス | 国内連結子会社:
岡三証券株式会社 アジア連結子会社: 国内持分法適用関連会社: |
アセットマネジメントビジネス | 国内連結子会社: 岡三キャピタルパートナーズ株式会社、他2社国内持分法適用関連会社: 岡三アセットマネジメント株式会社* |
サポートサービス | 国内連結子会社: 岡三情報システム株式会社 岡三ビジネスサービス株式会社 岡三興業株式会社 |
*SBIグループとの間で岡三アセットマネジメント株式会社を合弁会社化しています
グループ力の強化として、岡三証券と岡三オンライン証券の経営統合を完了し、「対面とネットの融合」による新たな付加価値提供に向けての取組みを進めたほか、クラウドファンディング事業会社との資本業務提携など、事業基盤の拡大に努めています。
またデジタルシフト時代にふさわしい商品・サービスの開発と提供に向けた体制構築のため、デジタル証券ビジネスへの参入を決定しています。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
岡三証券グループの2023年3月期における連結業績は、営業収益が665億51百万円(前年度比10.0%減)、純営業収益は649億2百万円(同10.8%減)の減収という結果でした。
販売費・一般管理費は659億36百万円(同2.5%減)であったため、その結果、利益面では経常利益が4億21百万円(同93.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億29百万円(同94.7%減)の大幅な減益となっています。
2023年3月期における各事業の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期 連結決算 事業セグメント別業績概要
セグメント名 | 外部顧客からの営業収益(百万円) | 収益構成比 | セグメント税引前利益・損失(百万円) |
証券ビジネス | 58,495 | 87.9% | -869 |
アセットマネジメントビジネス | 6,949 | 10.4% | 72 |
サポートビジネス | 1,100 | 1.7% | 1,128 |
合計 | 66,545 | 100.0% | 331 |
調整額 | 6 | ー | -1,365 |
連結合計 | 66,551 | ー | -1,034 |
岡三証券グループの中期経営計画
岡三証券グループは、2023年4月に創業100周年を迎えました。創業100周年から未来に向けて成長を続けられる体制の確立に向け、ビジネスモデルの変革を加速しています。
次の100年も持続的な成長を実現するための経営基盤の確立に向け、現在、2023年4月から2028年3月までを対象期間とする5カ年の新中期経営計画を策定し、事業を展開しています。
創業以来の経営哲学である「お客さま大事」を礎に、金融のプロフェッショナルとして「お客さまの人生に貢献する」証券グループへとさらなる発展を目指す方針です。
中期経営計画の概要は以下の通りです。
岡三証券グループ 中期経営計画
- Purpose(存在意義):
- 金融のプロフェッショナルとして「お客さまの人生」に貢献する
- Vision(目指す姿):
- 真心のこもったサービスでお客さま一人ひとりのニーズに応えつづけるベスト・パートナー
- 基本方針:
- ゴール:ビジネスモデルを変革し、次の100年も成長しつづける経営基盤を確立する
- 成長戦略:
- One to One マーケティングの強化
- プラットフォームの高度化
- コーポレートブランディングの進化
- ~成長戦略の実現性を高めるために、全領域で“デジタル化”を推進する~
- 対象期間:
- 2023年4月から2028年3月までの5年間
- 主な経営指標目標:
- 預り資産 10兆円
- ROE 8%
- 総還元性向 50%
- (中期経営計画の対象期間中、PBR 1.0 倍を超えるまで、年間10億円以上の自己株式取得を実施)
具体的には、顧客ニーズの多様化やビジネスチャンスの拡大に着実に対応するため、「お客さま本位のサービス提供」、「シェアードバリューの創出」、「デジタライゼーションへの取り組み」を基本方針に据え、リテールビジネスを中心に、法人ビジネス、アライアンスなど様々な領域から変革を進めています。
施策としては顧客接点拡充のため店舗戦略やチーム制営業、コンタクトセンター機能拡充のほか、スマホ・タブレットなどのデジタルツール活用、オンライントレードの刷新などの施策を実施し、お客さまの体験価値(カスタマー・エクスペリエンス=CX)向上に取り組んでいます。
東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 73,383 |
純営業収益(百万円) | 69,598 |
経常利益(百万円) | 6,346 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 1,953 |
包括利益(百万円) | 2,649 |
従業員数(人) | 2,747 |
外、平均臨時雇用者数(人) | 489 |
子会社 | 27社 |
関連会社 | 15社 |
東海東京フィナンシャル・ホールディングスの事業セグメントは投資・金融サービス業の単一セグメントとなっています。
主要な事業会社は以下の企業です。
国内 | 東海東京証券株式会社 株式会社東海東京調査センター 東海東京アセットマネジメント株式会社 東海東京インベストメント株式会社 東海東京ウェルス・コンサルティング株式会社、他 関連会社:地銀との合弁による証券会社(関連会社) |
海外 | Tokai Tokyo Securities (Asia) Limited Tokai Tokyo Investment Management Singapore Pte.Ltd. Tokai Tokyo Global Investments Pte.Ltd. Tokai Tokyo Securities Europe Limited |
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)における東海東京フィナンシャル・ホールディングスの連結業績は、営業収益が、前年度比9.4%減少し733億83百万円、純営業収益は11.1%減少し695億98百万円でした。
利益面では、営業利益は68.0%減少し31億59百万円、経常利益は51.1%減少し63億46百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は85.1%減少し19億53百万円となっています。
2023年3月期の連結決算は、前期比で減収・減益という結果でした。
経営戦略
東海東京フィナンシャル・ホールディングスグループでは、従来の証券会社とは異なる、未来に続く新たなビジネスモデルの構築により、メガバンク系や大手証券に対抗できる証券業界の第三極のリーダーとなるべく、経営計画「New Age’s Flag Bearer 5~新時代の旗手~」を基に事業を展開してきました。
具体的にはリテール部門において、「リテール顧客セグメント別戦略の独自性の追求」をテーマに顧客基盤の拡大と収益力の強化に取り組んでおり、日本橋高島屋三井ビルディング最上階に富裕層向けのサロンを開設、また事業承継や相続対策、税務対策など総合的なソリューション、相続や退職等のライフイベントに対するコンサルティングサービス*を強化しています。
- *Orque d’or(オルクドール):富裕層のお客様とご家族の人生に寄り添う真のパートナーとして、金融サービスに加えさまざまなサービスを提供することにより、高い信頼性のもと最高のご満足をお客様にお届けするサービスブランド
マーケット部門、法人営業部門、投資銀行部門では、3部門がそれぞれの専門性を活かしながら有機的に連携することで、お客さまとの取引を拡大させ、より安定的に収益を創出できるよう、事業ポートフォリオを強化する戦略です。
プラットフォーム面では有力な地方銀行と設立した提携合弁証券会社は株式会社十六銀行と7社目となる提携合弁証券会社「十六TT証券株式会社」を開業しています。
いずれも各地域において圧倒的な事業基盤と顧客基盤を有する金融機関との合弁事業を展開中です。新たな取り組みとしてはFinTech企業との提携を進めています。
現在は、新たな5ヵ年の中期経営計画として、「“Beyond Our Limits” ~異次元への挑戦」を策定し、2022年4月よりスタートして事業を展開しています。
新中期経営計画では、独自のビジネスモデルを一層磨き、拡大を図ることにより、厳しい環境にも負けず大きな発展を遂げていくことで、「誇り」と「憧れ」を感じる企業グループとなることを目指す方針です。
仲間とともに自らの限界や壁を超えた(“Beyond Our Limits”)総合金融グループとなるために「“Social Value & Justice” comes first」を新中期経営計画における行動指針として、「異次元の世界」を創生するための革新的な戦略を推進しいていくとしています。
そのための戦略の基本方針として、「金融力の強化」と「異次元に向けた重点施策」を掲げています。
「金融力の強化」においては、収支構造改革への取組み、安定収益基盤の拡大を強化し、「異次元に向けた重点施策」では、Powerful Partners*との協業、New Bonanza**の創出等に一層注力する方針です。
*電力会社、通信会社、金融機関、商社、不動産、大学、地方銀行、地方公共団体といったパートナー
**新しい金鉱脈となるビジネスや機能
加えて、デジタル分野では、子会社であるCHEER証券株式会社、株式会社TTデジタル・プラットフォームにおいて先進的な金融サービスの提供やデジタル化による地域社会のDX化の推進を図る計画となっています。
マネックスグループ株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 79,304 |
税引前利益(百万円) | 4,669 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 (百万円) | 3,392 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) | 4,354 |
従業員数(人) | 1,491 |
外、期末派遣従業員(人) | 174 |
子会社 | 39社 |
持分法適用関連会社 | 5社 |
マネックスグループは、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、日本、米国及びアジア・パシフィックに主要な拠点を有して事業を展開しています。
マネックスグループ株式会社の事業セグメント及び主要な事業会社は以下の通りです。
セグメント | 主な事業 | 主要な会社 |
日本 | 日本での金融商品取引業 | マネックス証券株式会社
マネックス・アセットマネジメント株式会社 |
米国 | 米国での金融商品取引業 | TradeStation Securities, Inc. |
クリプトアセット事業 | 仮想通貨交換業 | コインチェック株式会社 |
アジア・パシフィック | 香港、豪州での金融商品取引業 | Monex Boom Securities(H.K.) Limited
Monex Securities Australia Pty Ltd |
投資事業 | 有価証券等の投資事業 | マネックスベンチャーズ株式会社
MV1号投資事業有限責任組合 MV2号投資事業有限責任組合 |
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
マネックスグループの2023年3月期における連結業績は、営業収益が79,304百万円(同10.7%減)となり、収益合計は81,221百万円(同15.7%減)という結果でした。
販売費及び一般管理費は、日本セグメント及び米国セグメントなどで増加したものの、クリプトアセット事業セグメントで減少した結果、68,487百万円(同0.2%減)となり、費用合計は76,553百万円(同1.4%増)でした。
その結果、利益面の業績は、税引前利益が4,669百万円(同77.6%減)、当期利益は3,324百万円(同74.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,392百万円(同73.9%減)となり、総じて減収・減益の年度となっています。
2023年3月期における各事業の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期 連結決算 事業セグメント別業績概要
セグメント名 | 外部顧客への営業収益(百万円) | 収益構成比 | セグメント税引前利益・損失(百万円) |
日本 | 31,968 | 40.3% | 5,781 |
米国 | 37,979 | 47.9% | -227 |
クリプトアセット事業 | 7,559 | 9.5% | -876 |
アジア・パシフィック | 1,094 | 1.4% | -158 |
投資事業 | 705 | 0.9% | 216 |
合計 | 79,304 | 100.0% | 4,735 |
その他* | ー | ー | 4,450 |
調整** | ー | ー | -4,517 |
連結合計 | 79,304 | ー | 4,669 |
*その他は、報告セグメントからマネックスグループ株式会社への配当金です。
**調整は、セグメント間の内部取引消去
事業計画の概要
日本セグメントでは、中核事業であるオンライン証券業が株式委託手数料の引き下げやゼロ化といった外部環境の大きな変化に直面しており、ビジネスモデルを変革することで対処する方針です。
マネックス証券の主な顧客層は40~50代を中心とした中長期の資産形成層であり、アクティブトレーダー層の割合は同業他社に比べると低いことや、営業収益に占める委託手数料の割合は約4割と同業他社比で高く、手数料依存の収益構造を変革していくことが重要課題となっています。
具体的には2022年3月より、マネックス証券の日本株の現物取引手数料を、主要ネット証券と同水準に引き下げるとともに、機能やサービスが業界最高水準の米国株、マネックス銘柄スカウター、単位未満株「ワン株」や、マネックスカードの高ポイント還元率等を訴求して、新規口座獲得を進めていきます。
また、ウェルスマネジメントサービスの柱となる「IFA*サービス」、提携金融機関との「金融商品仲介業務サービス」、マネックスカード投信積立や投資信託毎日つみたてサービスおよび企業の実質的な価値を高めるためのエンゲージメントファンド「マネックス・アクティビスト・ファンド」などを通じて、引き続き預かり資産を増加させていく方針です。
*IFA:Independent Financial Advisorの略、独立系フィナンシャルアドバイザーとして系列に縛られず商品選択を行う金融商品の仲介を行うサービス
また買収したコインチェック株式会社がお客様に安心・安全なサービスを提供できるよう全社をあげてバックアップし、クリプトアセット(暗号資産)事業の育成に注力しています。
日本において暗号資産交換業での確固たる地位を確立し、さらに暗号資産交換業に限らないクリプトアセットを活用したサービスを創造し、それを世界展開することを目指しています。
法人顧客向けには、ブロックチェーン技術を活用した新たな事業分野の創出や、成長分野であるNFT・メタバース事業では、グローバル先端企業との協業により仮想空間での新たな経済圏構築を目指すとともに、優良なNFTを選別して取扱うことで差別化を進め計画です。
「グローバル」「個人」「新技術」というキーワードで新しい時代の金融を再定義し、新しい金融や、新しい個人経済活動のサポート産業を創造していく戦略で事業を展開しています。
マネックス証券はNTTドコモの連結子会社となる
2023年10月、NTTドコモはマネックスグループとその子会社である、マネックス証券との資本提携を発表しました。この資本提携によりマネックス証券はNTTドコモの連結子会社となります。
NTTドコモは自社のユーザー及びdポイントの会員に、マネックス証券による金融商品、金融サービス、金融情報や教育コンテンツの提供が可能となり、ユーザーの資産形成をサポートを通じて、NTTドコモ経済圏の強化を図る狙いがあります。
今回の資本提携では、マネックス証券の社名や企業理念、ブランドはそのままに、NTTドコモの顧客基盤や事業基盤を活用して、様々な金融サービスを提供していくことが、マネックス側の狙いです。
マネックス証券をはじめ、証券会社を対象とした就活を考えている就活生は、今回の資本提携とその後の共創による展開に注目していきましょう。
松井証券株式会社
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 31,071 |
純営業収益(百万円) | 28,415 |
経常利益(百万円) | 11,253 |
当期純利益(百万円) | 7,823 |
従業員数(人) | 180 |
外、平均臨時雇用者数(人) | 205 |
松井証券は、オンライン証券取引サービスの単一事業セグメントで、個人投資家を対象とした株式ブローキング事業を主たる事業とし、オンライン証券取引サービス「ネ ットストック」を提供している、オンライン証券のパイオニア企業です。
具体的には、株式及び先物・オプションの委託売買業務、引受け並びに募 集及び売出しの取扱、投資信託の販売、FX(外国為替証拠金取引)等のサービスを行っています。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
松井証券の2023年3月期における業績は、営業収益が31,071百万円(同1.5%増)、純営業収益は28,415百万円(同3.5%減)という結果でした。
利益面では、営業利益は11,349百万円(同11.1%減)、経常利益は11,253百万円(同12.0%減)となっています。
前事業年度において投資有価証券売却益2,590百万円及び固定資産売却益1,279百万円を計上した反動もあり、当期純利益は7,823百万円(同31.6%減)と大幅な減少という結果でした。
事業の特徴と課題
松井証券は「顧客中心主義」を企業理念として掲げ、「個人投資家にとって最高の取引環境を提供すること」を経営理念として常に可能性を追求し、独自の発想に基づくイノベーティブな商品・サービスを先駆けて提供することを事業鵜の基本としています。
経営資源をオンラインベースのブローキング事業に集中し、「選択と集中」を進めることにより、低コストで効率的なオペレーション体制を維持することで同業他社に比べて高い経常利益率を達成しています。
オンライン証券会社のパイオニアとしてのブランド・知名度とそれに基づく信頼性、お得感のある分かりやすい手数料体系、シンプルで使い勝手を追求した取引ツール、店舗を有しない充実のサポート・オペレーション体制を背景として、安定した顧客基盤を構築しています。
松井証券の収益源は株式ブローキング事業であり、その収益は取引頻度が高い一部の顧客に依存するかたちになっています。その結果、株式市況と業績との連動性が高いという収益構造になっています。
オンライン証券業界における個人の株式等委託売買代金シェアを維持・拡大することが事業のベースとなっていることから、今後も顧客満足度の向上に資する付加価値の高い商品・サービスの開発・提供に取り組み、顧客基盤の強化を図る方針です。
2022年度では、「一日信用取引」の金利・貸株料の無料化、新投資情報ツール「マーケットラボ」の提供を開始したほか、「松井証券 株アプリ」の改善に継続的に取り組んでいます。
また、個人投資家に人気の米国株サービスにおいては、取扱銘柄数を拡充したほか、取引通貨を米ドル・日本円から選択できる「外貨決済サービス」を開始しています。
その他、個人投資家に人気のあるIPO銘柄においては、ベンチャーキャピタルとの連携を強化して引受件数の向上に努めた結果、引受参入率は60%を超え、IPO銘柄の取り扱い数において、業界3位の実績を残しています。
一方、長期的な事業環境の変化に対応するためには、事業の広がりも不可欠となっており、事業構造の見直しを積極的に進める方針です。
低コストで効率的なオペレーション体制を維持しつつ、オンラインベースでの商品・サービス の拡充、FX事業の拡大を積極的に進め、顧客の裾野拡大と、資産形成層に対する投資信託の販売をはじめとした新たな顧客層の取り込みに取り組んでいます。
FX事業、投資信託事業を強化し、収益の多様化を図り、松井証券にはない技術やノウハウを必要とする事業については、外部企業との提携を積極的に進める方針です。
FX事業では、「初めての方でも少額から簡単に始められる“あんしんFX”」をコンセプトとしたブランド「松井証券MATSUI FX」のプロモーション強化や、全取引通貨ペアで業界最狭水準のスプレッドや最低取引単位を1通貨単位とするなど、競争力のあるサービスを提供に注力した結果、2022年度は、2021年度比で2倍の取引規模に拡大しています。
投資信託事業では、継続的にサービスの拡充及び預かり資産残高の拡大に取り組み、取扱銘柄の拡充や、信託報酬の一部をお客様に還元するサービスを展開しています。
投資信託事業への取り組みは、将来的なアセットサービス拡大に向けた布石であり、上記の取り組みの結果、預かり資産残高が1,000億縁を超える規模に拡大するなどの成果も出ています。
auカブコム証券株式会社
(旧社名:カブドットコム証券株式会社)
2023年3月期連結決算 (2022年度)
営業収益(百万円) | 20,083 |
純営業収益(百万円) | 17,512 |
営業利益 (百万円) | 3,492 |
経常利益(百万円) | 3,788 |
当期純利益(百万円) | 2,890 |
従業員数(人) | 203名 |
親会社 | 三菱UFJ証券ホールディングス(株)、auフィナンシャルホールディングス |
auカブコム証券は、2019年12月まではカブドットコム証券という商号の企業でした。
カブドットコム証券は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ及び三菱UFJ証券ホールディングス株式会社の連結子会社でしたが、2019年4月にKDDI株式会社の完全子会社であるLDF合同会社による株券等に対する公開買付けの開始を経て、2019年8月に上場を廃止しています。
現在では、三菱UFJ証券ホールディングス株式会社が51%、auフィナンシャルホールディングス株式会社が49%を所有しており、MUFGのグループ企業です。
auカブコム証券は株券等貸借取引へのAI技術の採用、ビッグデータによる投資情報サービスの提供など、数多くの最新の技術を活用しており、MUFGの持つ総合金融機能(安心感)とKDDIの持つauスマホ経済圏(先進性)での取引の拡大が戦略の柱です。
既にじぶん銀行との連携はもとより、auカブコムFX(外国為替証拠金取引)、au投資信託、au資産運用サービス等の提供を開始しています。
少額からの投資やauPayカードによる投信積立サービス(クレカ積立)、ポイント投資などの新しいサービスを積極的に展開するなど、ユニークなポジショニングの証券会社となっています。
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