就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。
「就活の答え」では印刷業界を、以下の項目に沿って解説していきます。
印刷業界の6つのポイントを押さえよう
- 印刷業界の構造、特徴とビジネスモデル
- 印刷業界の現状と課題・未来
- 印刷会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 印刷会社に働く人の「やりがい」やモチベ―ションは何か
- 印刷企業に向く人、向かない人はどんな人か
- 印刷業界の上位企業の特徴と業績
この記事では印刷業界の構造や特徴とビジネスモデルを中心に分かり易く解説します。印刷業界入門編として活用してください。
印刷業界とはどんな業界なのか
就活生の皆さんの周りには新聞や雑誌、書籍やチラシ、またはパッケージや包装紙など、生活の中に印刷物があふれているにも関わらず、日常で「印刷業界」のことをあまり意識したことはないと思います。「紙に文字や画像を印刷する」、更にそれを裁断したり、折ったり、製本したりする産業ということは答えられたとしても、それ以上の知識はほとんどないのが現状です。
デザインや画像処理技術を勉強している学生以外は、色がどうやって紙の上に再現されているのかも多くの人が答えられません。
従って一部の学生以外は、印刷業界を意識して研究しないと印刷業界が就活の対象になるのか、ならないのかも判断できません。この記事では印刷業界の基本的なポイントを短時間で理解できるように解説します。まずは業界の構造から理解しましょう。
印刷業界の構造
印刷業界(印刷及び関連業界)は日本の産業統計上、「印刷業」「製版業」「製本業」「印刷物加工業」「印刷関連サービス業」の5 業種に分かれています。もちろんそれらを全て行っている総合印刷会社も数多く存在します。
日本印刷産業連合会のデータによると、2016年の印刷産業の出荷額は5兆2752億円という規模であり、全国の総事業者数は23,205になっています。この出荷額のうち約9割、事業者数の8割を印刷業が占めています。
凸版印刷と大日本印刷の存在
印刷業界を代表する企業として凸版印刷と大日本印刷の二社は、就活の人気ランキングでも100位以内に入ってくる企業です。学生の間でも知名度がある証明です。
業界1位の凸版印刷の2019年度の連結売上1兆4647億円、同じく大日本印刷の売上は1兆4150億円であったので、合計すると2兆8797億円の達し、2016年の国内出荷額に対しては54.6%にも達します。連結なので海外子会社の売上も入っていますが、ざっくり言えばこの2社で国内の印刷業界の売上の半分を占め、残りの半分を約23000社で分けている構造になっています。
ある意味特異な業界ともいえますが、この2社以外の23,000社が存在できている理由を考えるとこの業界の特徴が見えてきます。
印刷業界の特徴とビジネスモデル
凸版印刷や大日本印刷が扱っている印刷業務を全て自社の印刷工場で製造している訳ではありません。自社でやるべき仕事と、自社で仕事を受けても実際は協力印刷会社(下請け)に外注して進行・品質管理のみを行う仕事に分けて受注を消化しています。
印刷物は実に多種多様であり、特殊な加工を必要とするものや特別に高いクオリティが求められるもの、または大口顧客の仕事は自社工場で印刷を行いますが、小口の印刷物やごく一般的な印刷物は小回りの利く外注でこなした方が効率は良いのです。
中小の印刷会社は自社の顧客の印刷物を扱うとともに、大手の下請け業務を扱って自社の印刷機械の稼働率を上げています。
また、印刷物を考えると基本的にすべてオーダーメイドで印刷物をつくっているため、印刷という仕事そのものがその都度個別の対応が必要という特徴があります。もちろん在版による増刷はありますが、都度対応が基本のビジネスです。
この多種多様性ときめの細かい対応で注文生産することと、地域や顧客に密着する必要があることも小規模な印刷会社が存在する理由なのです。
印刷の収益モデル
印刷会社の収益は印刷関連業務の工程とともに理解しておきましょう。印刷業務の工程は営業が顧客から印刷物の発注を受けたあと、以下の様な工程ですすみます。
プリプレス工程:
- 原稿の企画・編集(文章作成含む)・デザイン:この工程はクライアント、広告会社や出版社、編集プロダクション等が行う場合もあります
- 原版制作(組版・版下・製版):DTPによる入稿原稿制作と製版(入稿原稿制作までは広告会社や編集・制作プロダクションが行う場合もあります)製版データから色校正(色の再現性をチェック)をつくり問題なければプレス工程に進みます
プレス工程:
- 刷版:オフセット印刷機に使用する印刷の原版の事を刷版と呼び、製版フィルムを感光性のあるアルミ板に焼き付けて現像処理をする方法と、出力用データを、PostScript対応のプレートセッタから刷版(CTPプレート)に焼き付けた状態で出力して作る方法があり、CTPと呼んでいます
- 印刷:刷版を印刷機に取り付けて、紙等にインキを転写する複製技術で、活版印刷(凸版印刷)、オフセット印刷、グラビア印刷(凹版印刷)、スクリーン印刷(孔版印刷)やフォーム印刷、シール印刷等の種類があります
ポストプレス工程:
- 断裁、折り、光沢加工、製本などの印刷物を仕上げる工程
梱包・運送(納品):
基本的に以上の工程で印刷物は完成しますが、印刷会社によっては各種の印刷物をセットする工程、梱包する工程、仕分けする工程、ラベリングする工程、運送・発送・納品から受発注管理、在庫管理というフルフィルメントまでを一連のサービスとして受注して収益化している企業も存在します。
印刷物を発注すると印刷会社から見積書が提出されます。見積書には印刷会社が担当する上記工程の費用と、発注数量に従った用紙代の明細が記載されます。
印刷会社は各工程・項目毎でかかる変動費(用紙代や外注費用)と固定費をカバーし、適正利益ができるような基準単価を設定しているため、それを基本に見積書を作成して発注主と価格交渉を行い、合意すれば実際の作業を開始します。
印刷以外のビジネスモデル
印刷会社の中には販売促進のための企画やデザイン、プロモーションの提案といった広告会社が得意としている領域や、印刷し終わった後のフルフィルメントを自社で行うことで、ワンストップソリューションを提供してクライアントの業務負担を減らし、それを新しい収益モデルにする企業も増えています。
また紙の情報を積極的にデジタルに転換することで、新しい収益モデルを作ることにも注力しています。電子書籍、電子チラシ、電子漫画やアプリによる広告収入を得るモデルや、デジタルサイネージ、デジタルPOPなど分野にも注力しています。
更に凸版印刷や大日本印刷等の大手企業は壁紙などのインテリアや建材分野やパッケージ生産などの産業印刷も手掛けています。
また印刷で培った技術を使用してのセキュア技術分野、データサービス、エレクトロニクス・電子部品分野、化学製品分野などへも進出して収益の柱の一つとしています。
大手だけではなく小口印刷の需要を取り込むためのオンデマンド印刷や印刷通販(プリントパックなど)の新しいビジネスモデルや、印刷のニーズと供給を結び付けるマッチングを行って収益化するなどの新しいビジネスが登場しています。
まとめ
このように印刷業界のビジネスモデルは急速に変化しており、いままでの「印刷をする会社」という認識では全く収まらなくなっています。
また就活をすすめるにあたっては、変化の激しい印刷業界の現状と課題、そして未来はどうなっていくのかを把握しておく必要があります。
就活で「好き」は大事な要素ですが、クリエイティブで面白そうな業界だけで判断する前に、しっかりと現実をみていきましょう。
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