就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
この記事では総合電機業界の構造と主要各社の概況をまとめてみました。就活初期に、業界を素早く俯瞰して、総合電機業界を志望するかどうかのイメージを固めていきましょう。
総合電機業界情報の6つのポイントを押さえよう
- 総合電機メーカーのビジネスモデルを理解しよう
- 総合電機メーカーの現状と課題・未来
- 総合電機メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 総合電機メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
- 総合電機メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
- 総合電機業界の構造と主要企業の概況
Table of Contents
総合電機業界の構造
ここでは重電機器と軽電機器(家電等)を製造し、BtoB、BtoCの両方の事業を広く行っている総合電機メーカー大手6社(日立製作所、ソニー、パナソニック、東芝、三菱電機、シャープ)と富士通、NECを加えた8社を中心に解説していきます。
総合電機メーカーは、重電機器・軽電機器どちらも概ね同様の生産構造、体制を敷いています。
大手メー カーの下に、部品メーカー・素材メーカーがピラミッド的に連なる構造になっています。大手メーカーは、部品ごとに 下請けの協力企業を有しており、下請けとなる中小企業は、大手メーカーの生産体制に合わせた形で 受注生産を行なっています。
各企業ともそれぞれ得意分野、注力している分野が異なっている反面、家電等では激しい競争を繰り広げています。またソニーのようにコンテンツの他、異業種である金融分野(生保・損保・銀行)に進出している企業もあるため、個別の企業の概況をみていく方が良いかと思います。
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総合電機メーカー8社の概況
株式会社 日立製作所
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上収益 (百万円) | 10,881,150 |
税引前当期利益(百万円) | 819,971 |
親会社の株主に帰属する当期利益(百万円) | 649,124 |
親会社の株主に帰属する包括利益(百万円) | 905,819 |
従業員数(人) | 322,525 |
連結子会社 | 696社 |
持分法適用関連会社 | 267社 |
日立製作所及びグループ企業は、「デジタルシステム&サービス」「グリーンエナジー&モビリティ」「コネクティブインダストリーズ」の3つのセクターを成長分野として位置付け、関連するビジネスユニットを各セクターに配置しています。
また、「オートモティブシステム」を上記の3つのセクターに並ぶ位置づけとし、日立建機及び日立金属の2つのセグメント及びその他を加えた合計7セグメント*で製品の開発、生産、販売、サービスに至る幅広い事業活動を展開しています。(*2022年度まで)
ちなみに、就活生の皆さんのなじみの深い家電事業に関しては、事業を手がけていた2つの子会社、製造・開発の日立アプライアンスと販売の日立コンシューマ・マーケティングが合併して2019年4月に新会社を設立し、現在は日立グローバルライフソリューションズ株式会社として事業を展開しています。
各事業セグメント*下での主要な製品・サービスは以下の通りです。
デジタルシステム&サービス | ・デジタルソリューション(システムインテグレーション、コンサルティング、クラウドサービス)
・ITプロダクツ(ストレージ、サーバ) ・ソフトウェア ・ATM |
グリーンエナジー&
モビリティ |
・エネルギーソリューション(パワーグリッド、再生可能エネルギー、原子力)
・鉄道システム |
コネクティブ
インダストリーズ |
・ビルシステム(エレベーター、エスカレーター)
・生活・エコシステム(家電、空調) ・計測分析システム(医用・バイオ、半導体、産業) ・産業・流通ソリューション ・水・環境ソリューション ・産業用機器 |
オートモティブシステム | ・パワートレイン
・シャシー ・先進運転支援 ・二輪車用システム |
日立建機* | ・油圧ショベル
・ホイールローダ ・マイニング機械 ・保守・サービス ・土木施工ソリューション ・鉱山運行管理システム |
日立金属* | ・特殊鋼製品
・素形材製品 ・磁性材料・パワーエレクトロニクス ・電線材料 |
その他 | 光ディスクドライブ、不動産の管理・売買・賃貸 |
*注意:2022年8月23日付で日立建機株式会社が株式の一部譲渡によって日立製作所の連結子会社ではなくなりました。同様に2023年1月5日付で日立金属株式会社が株式譲渡によって関係会社ではなくなったことにより、2023年4月1日付で日立建機及び日立金属セグメントは廃止となっているので注意して下さい。(日立金属株式会社は株式会社プロテリアルに社名を変更しています)
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
2023年3月期(2022年度)における日立製作所の連結業績の概要は以下の通りです。
- 売上収益:前年度に比べて6%増加し、10兆8,811億円
- 日立建機(株)株式の一部売却や日立金属(株)(現(株)プロテリアル)株式の売却に伴う減収要因があったものの、為替影響に加え、パワーグリッド事業や鉄道システム事業の堅調な推移、自動車メーカーの生産量回復を受けた日立Astemo(株)の増収、GlobalLogic社の増収等により、増収
- 調整後営業利益: (売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標): 売上収益の増加等により、前年度に比べて99億円増加し、7,481億円
- 税引前当期利益:前年度に比べて193億円減少し、8,199億円
- 当期利益:前年度に比べて330億円増加し、7,038億円
- 親会社株主に帰属する当期利益:前年度に比べて656億円増加し、6,491億円
日立製作所の2023年3月期(2022年度)は、総じて増収増益を達成した年度となっています。
2023年3月期のセグメント別業績は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント損益(百万円) | 利益構成比 |
デジタルシステム&サービス | 2,217,973 | 20.4% | 293,729 | 32.1% |
グリーンエナジ―&モビリティ | 2,432,204 | 22.4% | 132,737 | 14.5% |
コネクティブインダストリーズ | 2,759,660 | 25.4% | 312,183 | 34.2% |
オートモーティブシステム | 1,915,254 | 17.6% | 73,447 | 8.0% |
日立建機 | 474,168 | 4.4% | 43,226 | 4.7% |
日立金属 | 825,588 | 7.6% | 43,054 | 4.7% |
その他 | 238,631 | 2.2% | 15,553 | 1.7% |
小計 | 10,863,478 | 100.0% | 913,929 | 100.0% |
全社・調整額 | 17,672 | ー | -29,323 | ー |
計上額 | 10,881,150 | ー | 884,606 | ー |
日立の中期経営計画:
日立製作所グループは、2022年4月に新たに策定した「2024中期経営計画」に基づいて事業を展開しています。
2024中期経営計画の骨子は以下の通りです。
プラネタリーバンダリー(地球の限界)を超えないように地球環境を守りつつ、社会の一人一人が快適で活躍できるウェルビーイング(人々の幸せ)が保たれた、サステナブルな社会の実現に貢献
- 電力・交通、金融・公共サービス、産業・都市、自動車をはじめとする主要な顧客の課題解決のため、日立製作所グループの事業カテゴリーである、グリーンエナジ―&モビリティ、デジタルシステム&サービス、コネクティブインダストリーズ、日立Astemoが貢献し、共創によ成長によってサステナブルな社会を実現
成長のために注力する施策
「デジタル」「グリーン」「イノベーション」の3つを成長のドライバー:
デジタル:
- 「顧客の経営課題を理解した上で、その解決方法を設計・実装し、運用・保守するとともに次の課題解決に取り組み、顧客の事業価値の向上に貢献する」という、顧客との価値協創のサイクル=Lumada*事業のサイクルを強化
- DX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)需要の高まりも追い風に、エネルギーや交通、産業など、日立製作所グループのあらゆる事業と連携して、Lumadaソリューションを展開
-
- Lumada:顧客データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/プラットフォーム)であり、OT(日立が社会インフラシステム事業を中心に培ってきた制御・運用技術、Operational Technology)、最先端のIT、プロダクトを掛け合わせたソリューションを顧客との共創することによって課題を解決する
グリーン:
- エネルギー転換、電動化、省エネ、自動化で世界のGX(グリーントランスフォーメーション)をリードし、サステナブルな社会の実現に貢献
- 環境長期目標「日立環境イノベーション2050」では、2030年度までに日立の事業所でのカーボンニュートラル、2050年度までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目標として脱炭素化を推進・加速
- その過程で得られたノウハウも活用し、各事業領域・地域に合わせた環境価値を提供することで、サステナブルな社会と日立の成長を図る
イノベーション:
- グローバルな事業成長へ向けてイノベーション創生を推進しており、先端研究を含めた研究開発投資
- タートアップ企業との協業のためのコーポレートベンチャリング投資を拡大
- 2050年の世界の姿を見据えて日立が取り組むべき研究開発分野を特定し、社会課題の解決に貢献する革新的な技術・製品の創生を図る
就活で日立製作所を目指す皆さんは、日立の事業戦略や事業ポートフォリオ、Limadaや長期的な環境に対するビジョンも理解して、自身の就活の軸や志望動機の作成の参考にしていきましょう。
日立製作所では大卒新卒人材の採用にも、ジョブ型採用を採り入れています。自分の興味、関心を鮮明にするとともに、専門性の獲得や自己成長によって、日立製作所で将来実現したいことや、ビジョンを明確に語れるように、企業研究をしっかりと行って下さい。
ソニーグループ株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 11,539,837 |
営業利益 (百万円) | 1,208,206 |
税引前利益(百万円) | 1,180,313 |
親会社の所有者に帰属する当期純利益(百万円) | 937,126 |
包括利益(百万円) | 227,794 |
従業員数(人) | 113,000 |
子会社 | 1627社 |
関連会社 | 155社 |
2021年4月1日付でソニー株式会社は「ソニーグループ株式会社」に商号変更し、同日付で発足したエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業を営む子会社がソニー株式会社の商号を継承しています。
ソニーの事業は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、音楽、映画、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)*、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)、金融及びその他の事業の7セグメントで構成されています。
*注意:* 2022年4月より、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野をエンタテインメント・テクノロジー&サービス(以下「ET&S」)分野に名称が変更されています。
- 事業セグメント別主要製品・サービス
- ゲーム&ネットワークサービス:
- ネットワークサービス事業、家庭用ゲーム機の製造・販売及びソフトウェアの制作・販売
- 音楽:
- 音楽制作、音楽出版、映像メディア・プラットフォーム事業
- 映画:
- 映画製作、テレビ番組制作、メディアネットワーク事業
- エンタテイメント・テクノロジー&サービス:
- テレビ事業、オーディオ・ビデオ事業、静止画・動画カメラ事業、モバイルコミュニケーション(スマートフォン事業、インターネット関連サービス事業)、その他(プロジェクターを含むディスプレイ製品、医療機器等)
- イメージング&センシング・ソリューション:
- イメージセンサー事業
- 金融:
- 主に日本市場における個人向け生命保険及び損害保険を主とする保険事、日本における銀行業等
- その他:
- 上記に含まれない製品やサービス、ディスク製造事業、記録メディア事業他
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
ソニーグループの2022年度の連結業績は、売上高及び金融ビジネス収入(以下、売上高)は、前年度比1兆6,183億円増加し、11兆5,398億円となりました。
この大幅な増収は、G&NS分野、I&SS分野、音楽分野及び映画分野の大幅な増収、ならびにET&S分野の増収によるものです。
利益面では、営業利益が前年度比ほぼ横ばい(微増)の1兆2,082億円という結果でした。これは、映画分野及びG&NS分野の大幅な減益ならびにET&S分野の減益があったものの、金融分野、I&SS分野及び音楽分野の大幅な増益、ならびに全社(共通)及びセグメント間取引消去の損失の大幅な縮小によるものです。
また、税引前利益は、前年度比628億円増加し、1兆1,803億円、当社株主に帰属する当期純利益は、前年度比549億円増かし、9,371億円という結果でした。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | セグメント別外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | 営業利益/損失(百万円) | 利益構成比 |
ゲーム&ネットワークサービス | 3,538,533 | 30.7% | 250,006 | 19.8% |
音楽 | 1,364,815 | 11.8% | 263,107 | 20.8% |
映画 | 1,364,887 | 11.8% | 119,255 | 9.4% |
エンタテイメント・テクノロジー&サービス | 2,436,739 | 21.1% | 179,461 | 14.2% |
イメージング&センシング・ソリューション | 1,301,481 | 11.3% | 212,214 | 16.8% |
金融 | 1,443,996 | 12.5% | 223,935 | 17.7% |
その他 | 72,338 | 0.6% | 16,849 | 1.3% |
合計 | 11,522,789 | 100.0% | 1,264,827 | 100.0% |
全社(共通)/調整消去 | -275,196 | ー | -56,621 | ー |
連結合計 | 11,539,837 | ー | 1,208,206 | ー |
ソニーの中長期戦略
2021年5月26日に開催した2021年度経営方針説明会では、以下の経営方針が説明されています。
ソニーのPurpose(存在意義):テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー
- 「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」
- 「クリエイティビティ」「テクノロジー」「世界(コミュニティ)」がキーワード
- ソニーがクリエイターたちと創るコンテンツを通した感動をより多くのユーザーに届けることを目指す
- Direct-to-Consumer(以下「DTC」)領域での外部パートナーとの協業を引き続き重視
- 世界でエンタテインメントを動機としてソニーグループと直接つながる人を現在の約6億人から10億人に広げる取り組みや投資を、特にモバイル、ソーシャルの領域で加速
- ソニーは、Purposeを軸にグループの多様な強みを活かして、長期視点でクリエイターとユーザーに新たな価値を創出し、事業の進化・成長に引き続きつなげていく
更に、2022年5月18日の2022年度経営方針説明会において、会長 兼 社長 CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎 氏は「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)と「人に近づく」という経営の方向性のもと、人を軸とした3つの事業領域で進めている投資と成長について以下の点を強調しています。
クリエイティビティとテクノロジーの力でエンタテインメントの進化を支える取り組み:
「人の心を動かす」エンタテインメント3事業(G&NS事業、音楽事業、映画事業)
- コンテンツIP、Direct-to-Consumer(以下「DTC」)サービスのさらなる強化
- 「メタバース」「モビリティ」を中心とした感動空間での新しいエンタテインメント体験の創出
- 現実空間を捉えるセンシング技術と、捉えた世界から学ぶAIを中心としたテクノロジー
「人と人を繋ぐ」事業:ET&S事業、I&SS事業
- クリエイターが感動コンテンツを創り、ユーザーがそれを体験するためのテクノロジー、製品・サービスを提供
- I&SS事業では、イメージセンサー向けに過去4年で約1兆円の投資を実施し、トップシェアを維持。また、成長領域として車載やIoT向けのセンシングにも取り組む
「人を支える」事業:メディカル事業、金融事業
- メディカル事業は、ソニーの光ディスク技術を応用した機器が、がんやウイルスなどの研究、細胞薬製造に貢献
- 金融事業では、生命保険、損害保険、銀行などの領域で800万人を超えるお客様に生活の利便性と安心を提供
上記は基本骨子の一部ですが、ソニーグループ各社を就活の対象とする場合は、ソニーのビジョンや中長期の計画を精査して就活に活かすことを強くお勧めします。
また、現在は2021年度から2023年度の3年間の中期経営計画(第四次中期経営計画)が進行中です。中期計画のKPIである3年間累計の調整後EBITDAは、当初計画を大幅に上回って進捗しており、各事業分野において、更なる成長を目指した戦略と、戦略に基づいた成果も出ています。
ソニーグループ各社を就活の対象とする方は、各企業においての具体的な成長戦略やその成果についても把握して、自分の言葉で語れるくらいまで研究を深めて下さい。
パナソニック ホールディングス株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 8,378,942 |
税引前利益(百万円) | 316,409 |
親会社の所有者に帰属する当期純利益(百万円) | 265,502 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益 (百万円) | 518,784 |
従業員数(人) | 233,391 |
連結子会社 | 523社 |
パナソニックグループは、総合エレクトロニクスメーカーとして関連する事業分野について国内外のグループ各社とともに開発・生産・販売・サービス提供の事業を展開しています。
なお、2022年度(2022年4月)から、パナソニック ホールディングス株式会社を持株会社とする事業会社制への移行を行っています。
パナソニックの製品の範囲は、電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つの事業セグメントと、その他の事業活動から構成されています。
各事業セグメントと主な製品・サービスの概要は以下の通りです。
- くらし事業:
-
- 冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、炊飯器、美・理容器具、家庭用空調機器、業務用空調機器、ヒートポンプ温水機器、換気・送風機器、空気清浄機、空間除菌脱臭機、冷凍冷蔵ショーケース、照明器具、ランプ、配線器具、太陽光発電システム、燃料電池、コンプレッサー、自転車、介護関連等の開発・製造・販売
- オートモーティブ:
- 車載インフォテインメントシステム、ヘッドアップディスプレイ、車載スピーカーシステム、車載スイッチ、先進運転支援システム(ADAS)及び関連デバイス、電動車向けシステム・デバイス、電子ミラー等の開発・製造・販売
- コネクト
- 航空機内エンターテインメントシステム・通信サービス、電子部品実装システム、溶接機、プロジェクター、業務用カメラシステム、パソコン・タブレット、各業界向けソリューション、施工・運用・保守サービス、サプライチェーンマネジメントソフトウェア等の開発・製造・販売
- インダストリー
- リレー、スイッチ、電源、タッチパネル、モーター、センサー、レーザーマーカー、コンデンサー、コイル、抵抗器、電子回路基板材料、半導体デバイス材料、成形材料、液晶パネル等のFAデバイス、電子部品、電子材料等の開発・製造・販売
- エナジー
- 車載用円筒形リチウムイオン電池、乾電池、リチウム一次電池/二次電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、蓄電モジュール/システム等の開発・製造・販売
- その他
- エンターテインメント&コミュニケーション:
- テレビ、デジタルカメラ、ビデオ機器、オーディオ機器、固定電話、インターカム
- ハウジング
- 水まわり設備、内装建材、外装建材、原材料の販売等
- エンターテインメント&コミュニケーション:
就活生の皆さんがよくご存じのPanasonicのAV家電品が「その他」の事業カテゴリーに分類されています。日本を代表してきた家電メーカーの変貌を象徴していることを理解して就活に臨んでいきましょう。
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
2023年3月期(2022年度)のパナソニックグループの連結業績は、売上高が8兆3,789億円(前年度比13%増)となっています。
半導体不足による生産・販売への影響などがありましたが、A2Wや、自動車生産の回復を受けた車載機器、車載電池などの販売増に加え、Blue Yonder Holding, Inc.(米国のソフトウェア会社)の新規連結や為替換算の影響もあり、増収でした。
利益面では、営業利益が、2,886億円(前年度比19%減)、税引前利益は、3,164億円(前年度3,604億円)、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、2,655億円(前年度2,553億円)のという結果になりました。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | セグメント別外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | 営業利益/損失(百万円) | 利益構成比 |
くらし事業 | 3,234,154 | 38.6% | 103,104 | 34.7% |
オートモーティブ | 1,283,261 | 15.3% | 16,225 | 5.5% |
コネクト | 1,051,531 | 12.5% | 20,900 | 7.0% |
インダストリー | 992,795 | 11.8% | 66,796 | 22.5% |
エナジー | 908,945 | 10.8% | 33,225 | 11.2% |
その他 | 908,256 | 10.8% | 56,742 | 19.1% |
合計 | 8,378,942 | 100.0% | 296,992 | 100.0% |
調整・消去 | ー | ー | -8,422 | ー |
連結合計 | 8,378,942 | ー | 288,570 | ー |
パナソニックの中期経営計画
パナソニックでは、2022年度(2022年4月1日)からの持株会社制へ移行しています。
従来のカンパニー制を廃止し、持株会社制への移行により分社化された各事業会社は、自主責任経営を徹底し、迅速な意思決定や、事業特性に応じた柔軟な制度設計などを通じて、事業競争力の大幅な強化に取り組んでいく方針で事業を展開中です。
- 主な事業会社(分割後)
- パナソニック株式会社
- パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社
- パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社
- パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社
- パナソニック コネクト株式会社
- パナソニック インダストリー株式会社
- パナソニック エナジー株式会社
- パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社
パナソニックグループは、この新しい体制による新しい中期経営計画をスタートしています。
中期経営計画の骨子は以下の通りです。
グループ共通の戦略:
- 「地球環境問題の解決」
- 「お客様一人ひとりの生涯にわたる健康・安全・快適」
この2つの領域において競合を超える貢献を果たすこと
地球環境問題の解決:
Panasonic GREEN IMPACTの達成
2050年に向けて現時点の全世界CO2総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトを目指す
- グループ戦略でのフォーカス事業
- 車載電池事業 (エナジーセグメント)
- 空質空調事業 (暮らし事業セグメント)
- サプライチェーンマネジメント事業(コネクト事業セグメント)
お客様一人ひとりの生涯にわたる健康・安全・快適:
- グループの持つ、多様な販売ルートでの顧客接点と様々な商品やサービスでの顧客接点を統合し、お客様一人ひとりの「くらし」を最も理解し、お客様に真に寄り添ったお役立ちを果たす
- グループのシナジーを創出するため、グループ横断の取り組みを加速するため、次世代事業推進本部を設立
- 事業ポートフォリオ:
- 各事業の長期にわたる競争力の獲得と、グループとしての成長に向けて、2023年度からは事業構成の組み替えの判断軸を明確化し、戦略的に見直しを推進
- 1つ目の判断軸にグループ共通の戦略との適合性を、2つ目の判断軸に将来の変化を見越した事業の立地・競争力と事業の成長性・収益性を置き、事業構成の組み替えを推進
中期経営指標 (KGI: Key Goal Indicator):
事業の競争力を徹底強化し、キャッシュ創出力を向上
- 累積営業キャッシュ・フロー:2.0兆円(2022-2024年度)
- ROE(株主資本利益率):10%以上(2024年度)
- 累積営業利益:1.5兆円(2022-2024年度)
中長期戦略における投資の考え方:
- 事業会社は、自ら稼いだキャッシュを基に、あるべき姿に向け自ら投資を行い、各事業領域でさらなる成長を目指す
- 財務規律を意識しつつも、競争力強化により得られたキャッシュで、事業会社のみならずグループとしても戦略的に2022年度から2024年度までの3年間で「成長領域」に4,000億円、「技術基盤」に2,000億円を投資
- 「成長領域」:車載電池領域、サプライチェーンソフトウェア領域、空質空調領域
- 「技術基盤」:水素エネルギー、CPS(Cyber Physical System)を含むグループ共通技術基盤
グローバル戦略:
- グローバルでは、地域特性に応じて現地のお客様に向き合った戦略、各地域におけるオペレーション力の強化を進め、事業を通じたPanasonic GREEN IMPACTを拡大
競争力強化に向けたグループ共通の重点施策:
- 挑戦を願う従業員の声を傾聴し、個性が最大限に活きる環境づくりを推進する「一人ひとりが活きる経営」と、Panasonic Transformation(PX)*や改善思想とデジタル技術を通じた現場革新によるサプライチェーン全体のオペレーション力の徹底強化を推進
- *Panasonic Transformation(PX):「デジタルと人の力で「くらし」と「しごと」を幸せにする」をスローガンにパナソニックが推進するDigital transformation
2025年卒、2026卒でパナソニックへの就活を考えている皆さんは、それぞれの事業の特性と課題、戦略を良く理解した上で、この再編による変化や中長期の戦略を把握して、自身の就活の軸や志望動機の作成に活かしていきましょう。
株式会社 東芝
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 3,361,657 |
営業利益 (百万円) | 110,549 |
継続事業からの税引前当期純利益・損出(百万円) | 188,965 |
当社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 126,573 |
当社株主に帰属する包括利益(百万円) | 166,677 |
従業員数(人) | 106,648 |
連結子会社 | 253社 |
持分法適用会社 | 130社 |
東芝とグループ企業は、「エネルギーシステムソリューション」、「インフラシステムソリューション」、「ビルソリューション」、「リテール&プリンティングソリューション」、「デバイス&ストレージソリューション」、「デジタルソリューション」及び「その他」の7部門に関係する事業によって事業セグメントを構成しています。
各事業セグメントと主要製品は以下の通りです。
- エネルギーシステムソリューション:
- 火力発電システム、原子力発電システム、電力流通システム、太陽光発電システム、水力発電システム等
- インフラシステムソリューション:
- 上下水道システム、放送システム、電波機器、産業光源、コンプレッサー、産業システム、環境システム、道路システム、駅務自動化機器、交通機器等
- ビルソリューション:
- エレベーター、一般照明等
- リテール&プリンティングソリューション:
- POSシステム、複合機等
- デバイス&ストレージソリューション:
- パワーデバイス、小信号デバイス、光半導体、ミックスドシグナルIC、イメージセンサ、ロジックLSI、HDD、半導体製造装置等
- デジタルソリューション:
- ITソリューションサービス等
- その他:電池等
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
東芝グループの2023年3月期(2022年度)の連結業績は、売上収益が前年同期比247億円増収し3兆3,617億円という結果になっています。
この増収は、主に各事業における以下の要因(加減)によるものです。
- エネルギーシステムソリューションが、原子力の安全対策工事関連の工事進捗差等の影響や、火力・水力の既受注案件の工事進捗等の影響、送変電・配電システムの増収による影響で増収
- インフラシステムソリューションは、鉄道・産業システムが増収
- ビルソリューションは昇降機の海外事業及び照明は増収になったものの昇降機の国内事業が減収、空調事業の連結除外の影響等により減収
- リテール&プリンティングソリューションはリテール事業、プリンティング事業ともに増収
- デバイス&ストレージソリューションは、半導体が増収になったものの、HDD他がモバイルやデスクトップのHDD市場縮小、ニアラインHDD市場の調整等の影響で減収
- デジタルソリューションは、中部東芝エンジニアリング(株)(現キオクシアエンジニアリング(株))の売却影響等があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに伸びており増収
利益面では、営業損益はインフラシステムソリューション、デジタルソリューション、その他が増益・改善となったものの、エネルギーシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューションでは減益となり、前年同期比484億円減少し1,105億円でした。
税引前損益は、空調事業の売却益や当社保有の関連会社株式の一部譲渡益、特別配当等により増益となったものの、キオクシアホールディングス(株)の持分法投資損益等の影響で減益となり、前年同期比501億円減少し1,890億円でした。
当期純損益は、連結子会社の繰延税金資産の取崩し影響等で、前年同期比681億円減少し1,266億円という結果になっています。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益・損失(百万円) | 利益構成比 |
エネルギーシステムソリューション | 658,029 | 19.6% | 30,373 | 28.9% |
インフラシステムソリュー ション |
665,031 | 19.8% | 45,049 | 42.9% |
ビルソリューション | 444,768 | 13.2% | 5,936 | 5.6% |
リテール&プリンティングソリューション | 511,600 | 15.2% | -4,099 | -3.9% |
デバイス&ストレージソリューション | 791,849 | 23.6% | 42,910 | 40.8% |
デジタルソリューション | 188,327 | 5.6% | 27,034 | 25.7% |
その他 | 102,053 | 3.0% | -42,136 | -40.1% |
合計 | 3,361,657 | 100.0% | 105,067 | 100.0% |
消去・全社 | ー | ー | 5,482 | ー |
連結計上額 | 3,361,657 | ー | 110,549 | ー |
東芝の中期経営プラン(東芝買収状況について)
東芝株式の公開買付について:
東芝は、2023年3月3日、日本産業パートナーズ株行会社 (以下「JIP」という。) から最終提案書を受領し、その後の交渉を経て、2023年3月23日、東芝取締役会において、JIPの曾孫会社であるTBJH株式会社 (現TBJH合同会社、以下「公開買付者」)による普通株式に対する公開買付けに関して、公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに対して賛同の意見を表明することを発表し、公開買付契約を締結しています。
2023年6月8日、東芝が設置した特別委員会の意見の内容を踏まえて公開買付けが開始された場合には、これに賛同するとともに、東芝の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しています。
公開買付者は、本公開買付けの開始には、国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が必要になり、かかる競争法令等及び投資規制法令等上の手続には一定の期間を要し、これらの手続に要する期間を正確に予想することは困難との見解を発しています。
国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が2023年3月23日から6ヶ月を経過する日までに完了されない場合等一定の場合には、本公開買付けが開始されず、東芝又は公開買付者によって本公開買付契約が解除される可能性があるというのが、2023年7月時点の状況です。
現状の中長期計画:
- 東芝グループの目指す姿:
- 「人と、地球の、明日のために。」というグループ経営理念に基づき、長年に亘り培ってきた社会インフラから電子デバイスに至る幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、今後も新たな製品、サービスやソリューションの創出と提供を通じて、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していく
2022年6月、デジタルとデータの力を活用し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する東芝グループ経営方針を発表しました。
この経営方針では、各事業の開始時点ではその事業単位での運用が正しかった運営も、現在のデジタル化やサービス化する時代に合わなくなってきている内部硬直性と、外部と協業をせずに、独自技術を自社のみで立ち上げるようとする外部硬直性、という2つの課題を克服する方針を打ち出しています。
また、デジタルエコノミーの発展に伴い、今後、様々な企業が産業の垣根を越えて繋がることで、新たな社会価値が創造されます。
この変化に対応するために、サービス化・リカーリング化していくデジタルエボリューション(DE)、それをプラットフォーム化するデジタルフォーメーション(DX)、そして、様々なプラットフォーム自体が業界を超えて繋がる量子の世界であるクアンタムトランスフォーメーション(QX)への発展を実現し、データサービスを収益の柱とする企業へと変革する内容となっています。
三菱電機株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 5,003,694 |
税引前当期純利益(百万円) | 292,179 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 213,908 |
親会社株主に帰属する当期包括利益(百万円) | 348,064 |
従業員数(人) | 149,655 |
連結子会社 | 209社 |
持分法適用会社 | 40社 |
三菱電機及びグループ企業は、分インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネスプラットフォーム、その他の5セグメントで事業を展開しています。
グループの種類別セグメントにおける主な事業及び製品内容は以下の通りです。
- インフラ:社会システム事業、電力システム事業、防衛・宇宙システム事業
- 鉄道車両用電機品、無線通信機器、有線通信機器、ネットワークカメラ・システム、大型映像表示装置、タービン発電機、水車発電機、原子力機器、電動機、変圧器、パワーエレクトロニクス機器、遮断器、ガス絶縁開閉装置、開閉制御装置、監視制御・保護システム、電力流通システム、衛星通信装置、人工衛星、レーダー装置、アンテナ、誘導飛しょう体、射撃管制装置、放送機器、その他
- インダストリー・モビリティ:FAシステム事業、自動車機器事業
- プログラマブルコントローラー、インバーター、サーボ、表示器、電動機、ホイスト、電磁開閉器、ノーヒューズ遮断器、漏電遮断器、配電用変圧器、電力量計、無停電電源装置、産業用送風機、数値制御装置、放電加工機、レーザー加工機、産業用ロボット、クラッチ、自動車用電装品、電動化関連製品、ADAS関連機器、カーエレクトロニクス・カーメカトロニクス機器、カーマルチメディア機器、その他
- ライフ:ビルシステム事業、空調・家電事業
- エレベーター、エスカレーター、ビルセキュリティーシステム、ビル管理システム、ルームエアコン、パッケージエアコン、チラー、ショーケース、圧縮機、冷凍機、ヒートポンプ式給湯暖房システム、換気扇、電気温水器、IHクッキングヒーター、LED電球、照明器具、液晶テレビ、冷蔵庫、扇風機、除湿機、空気清浄機、掃除機、ジャー炊飯器、電子レンジ、その他
- ビジネスプラットフォーム: 情報システム・サービス事業、電子デバイス事業
- ネットワークセキュリティーシステム、情報システム関連機器及びシステムインテグレーション、パワーモジュール、高周波素子、光素子、液晶表示装置、その他
- その他:
- 資材調達・物流・不動産・広告宣伝・金融等のサービス、その他
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
2023年3月期(2022年度)における三菱電機の連結業績は、売上高が為替円安の影響などにより、前連結会計年度比5,269億円増加して、5兆36億円となっています。
部門別では以下の事業が増収に寄与しています。
- ライフ部門:ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は欧州・国内・北米向け空調機器の需要拡大などにより増加
- インダストリー・モビリティ部門:FAシステム事業は脱炭素関連分野の設備投資を中心とした需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加
- ビジネスプラットフォーム部門:情報システム・サービス事業はシステムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業が増加し、電子デバイス事業はパワー半導体の需要などが堅調に推移し増加
- インフラ部門:電力システム事業は前年度並みとなり、社会システム事業は海外の公共分野向けで増加、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業が増加
利益面では、営業利益がインフラ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益はありましたが、ビジネスプラットフォーム部門、ライフ部門などの増益により、前年度比103億円増加の2,623億円となっています。
税引前当期純利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度比124億円増加の2,921億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比104億円増加の2,139億円となり総じて増収増益の決算となっています。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント別営業利益(百万円) | 利益構成比 |
インフラ | 960,915 | 19.2% | 27,543 | 9.3% |
インダストリー・モビリティ | 1,643,445 | 32.8% | 95,987 | 32.4% |
ライフ | 1,928,001 | 38.5% | 101,289 | 34.2% |
ビジネスプラットフォーム | 310,029 | 6.2% | 39,930 | 13.5% |
その他 | 161,304 | 3.2% | 31,474 | 10.6% |
合計 | 5,003,694 | 100.0% | 296,223 | 100.0% |
消去・又は全社 | ー | ー | -33,871 | ー |
計上額 | 5,003,694 | ー | 262,352 | ー |
三菱電機の中長期戦略
三菱電機は2021年2月1日の創立100周年を迎えました。
100年培った経営基盤に加えて、事業モデルの変革により、ライフ、インダストリー、インフラ、モビリティの4つの領域で、グループ内外の力を結集して、統合ソリューションを提供して社会課題を解決し、持続可能な社会に貢献する方針を打ち出しています。
三菱電機グループは、グループ内外の知見の融合と共創により、進化した統合ソリューションを提供する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」へ変革し、多様化する社会課題の解決に貢献していくとしています。
具体的には事業ポートフォリオを収益性と事業の成長性の4象限のマトリックスで、特性別にレジリエント事業(安定的な需要があり、市況変動時でも収益面で貢献する事業)、重点成長事業、価値再獲得事業、育成事業・新規事業に分け、強弱をつけて経営資源を投入する計画です。
特に重点成長事業と位置付ける「FA制御システム」「空調冷熱システム」「ビルシステム」「電動化/ADAS*4(先進運転支援システム)」「パワーデバイス」の5つの事業に対し、経営資源を戦略的に投入していく方針です。
産業メカトロニクス部門は、全世界的な工場の自動化推進の流れに乗っている点と、自動車機器事業も含まれているために好調です。
自動車関連分野では電気自動車(EV)向けのパワー半導体や、それに必要なレーザーやセンサーなどの関連機器事業の拡大が見込まれ、当面の業績を牽引していくでしょう。
重電はもとより、昔からビルシステムやエレベーター、大型ディスプレイなどのBtoB事業は海外でも多くの実績があるのも三菱電機の特徴です。
家電のエアコンや冷蔵庫のCMも比較的多い三菱電機なので、学生の皆さんはまだ家電のイメージが強いかもしれませんが、ビジネスの実態はとしてはBtoB電機メーカーが家電も手掛けていると考えた方が良いでしょう。
中期経営計画
現在の中期経営計画では、2025年度財務目標の「連結売上高5兆円」、「営業利益率10%」、「ROE10%」、「キャッシュ・ジェネレーション3.4兆円/5年」を目標に事業を展開しています。
創出したキャッシュ(3.4兆円/5年)については、成長投資を最優先として重点成長事業を中心に2.8兆円を振り向けつつ、利益成長を通じた株主還元についても更に強化して0.6兆円を目標とするキャピタル・アロケーション方針を発表しています。
就活で三菱電機を志望する皆さんは、三菱電機の事業特性や中長期の戦略を理解し、自身の就活の軸や志望動機の作成に役立ててください。
また、報道されている、一連の品質不適切行為への対応や労務問題も把握しておきましょう。
一連の問題により、特に「職場風土の改革」の必要性が指摘されています。
現状では、二度と同じような問題を繰り返さないようグループを挙げて再発防止にあたるとともに、信頼回復に向けた3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)を経営上の最重点課題と位置付け、新しい三菱電機の創生に向けた変革を遂行しています。
企業研究では、ポジティブな情報ばかりではなく、企業のネガティブの情報も把握しておくことをおススメします。
シャープ株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 2,548,117 |
経常利益(百万円) | -30,487 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | -260,840 |
包括利益(百万円) | -262,369 |
従業員数(人) | 46,200 |
連結子会社 | 118社 |
持分法適用会社 | 17社 |
シャープは親会社である鴻海精密工業股份有限公司、及びグループ会社と、電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主に事業を添加しています。
セグメント別の主要製品・サービスは以下の通りです。
- スマートライフ:
- 冷冷蔵庫、過熱水蒸気オーブン、電子レンジ、小型調理機器、エアコン、洗濯機、掃除機、空気清浄機、扇風機、除湿機、加湿器、電気暖房機器、プラズマクラスターイオン発生機、理美容機器、電子辞書、電卓、電話機、ネットワーク制御ユニット、太陽電池、蓄電池等
- 8Kエコシステム:
- テレビ、ブルーレイディスクレコーダー、オーディオ、デジタル複合機、インフォメーションディスプレイ、業務プロジェクター、POSシステム機器、FA機器、各種オプション・消耗品、オフィス関連ソリューション・サービス、各種ソフトウエア、マスク等
- ICT:
- 携帯電話機、パソコン、タブレット端末、ルーター等
- ディスプレイデバイス:
- ディスプレイモジュール、車載カメラ等
- エレクトロニックデバイス:
- カメラモジュール、センサモジュール、オプトセンサ、オプトデバイス、ウエハファウンドリ、CMOSイメージセンサ、半導体レーザー等
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
2023年3月期(2022年度)におけるシャープの連結業績は、売上高が2,548,117百万円(前年度比102.1%)でした。
ディスプレイデバイスの売上が減少したものの、スマートライフ、8Kエコシステム、ICT、エレクトロニックデバイスが伸長しています。
利益面では、営業損益は、エレクトロニックデバイスが増加した一方、その他4セグメントが円安の影響やディスプレイ市況の悪化により大幅に減少し、25,719百万円の営業損失(前年度は84,716百万円の営業利益)となっています。
経常損益は、営業損失となったことに加え、営業外損益が持分法による投資損失などの計上により4,768百万円の損失となったことから、30,487百万円の経常損失(前年度は114,964百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は、ディスプレイデバイスを中心に220,553百万円の減損損失を計上したことなどから、260,840百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となり、赤字決算となってしまいました。(前年度は73,991百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益(百万円) |
スマートライフ | 468,552 | 18.4% | 28,209 |
8Kエコシステム | 585,428 | 23.0% | 13,421 |
ICT | 311,351 | 12.2% | -5,530 |
ディスプレイデバイス | 736,224 | 28.9% | -66,482 |
エレクトロニックデバイス | 446,560 | 17.5% | 14,799 |
合計 | 2,548,117 | 100.0% | -15,582 |
調整額 | ー | ー | -10,137 |
計上額 | 2,548,117 | ー | -25,719 |
シャープの中長期戦略
シャープが経営不振に陥り、鴻海科技集團の戴正呉副総裁が社長に就任、新経営体制発足がしたのが2016年でした。
経営不振の原因は、液晶ディスプレイやテレビで市場を席巻したことから、液晶事業に特化しすぎてしまい、市場の需要の変化を読み違ったり、後発メーカーの価格攻勢に負けてしまったのが大きな原因でした。
鴻海科技集團のサポートや事業の選択と集中により2017年度(2018年3月期)の売上高は前年比18%の増収、全セグメントが売り上げを伸ばし2007年以来10年ぶりに全四半期が黒字決算となり、以降2021年度(2022年3月期)までの過去5期連続で純利益を継続して計上できていましたが、2022年度(2023年3月期)は6年ぶりに赤字を計上した年度となってしまいました。
2022年度(2023年3月期)の巨額赤字の主な要因は、2022年6月に再び連結子会社化した液晶パネル製造会社である堺ディスプレイプロダクトの業績不振であり、これによって総額2,205億円もの減損損失を計上したことによります。
シャープはもともとユニークな製品を開発、製品化する企業であり、プラズマクラスターイオン発生機やIGZO液晶ディスプレイモジュールなど、独自技術を活かした製品も多い企業です。
事業ビジョンでは次の100年における持続的成長を確実なものにするため、「8KとAIoTで世界を変える」という事業ビジョンの下、「8K+5G Ecosystem」と「AIoT World」の本格事業化を進めています。
「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立に向け、「ブランド事業を主軸とした事業構造の構築」、「事業ビジョンの具現化」、「社債市場への復帰」の3つの取り組みを重点的に推進しています。
2022年度以降は、こうした取り組みをベースとしつつ、持続的な成長のために、“ESGに重点を置いた経営”を実践していくことを発表しています。
ESGに重きを置いた経営:
- 技術力のさらなる強化
- グローバルマインドの醸成
- 人を活かす経営
この3つに重点的に取り組むことで、脱炭素社会の実現や医療・介護問題の解決、労働力不足の解消、多様なライフスタイルの実現等、現代社会が直面する様々な社会課題の解決に貢献することで、人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立を目指す、としています。
シャープは、海外事業の拡大に積極的に取り組んでおり、海外比率(2021年度67.2%)を早期に80%まで引き上げていく方針です。
これに向け、今後、海外各地域における販売戦略の強化を進めるとともに、グローバル視点での経営改革を推進して、具体的には、グローバル人材の育成強化や人材管理の仕組みの整備を進めるとともに、本社部門の海外支援機能の強化、海外企業との協業/M&Aの加速、コーポレートブランディングの強化等に取り組んでいます。
最先端技術を搭載した新製品のグローバル同時展開や、各地域の生活に根差した商品/サービス開発の強化も進め、海外各地域におけるシャープのプレゼンス向上を図っていく方針です。
シャープでは事業変革のさらなる加速に向け、2023年4月1日付で事業推進体制の見直しを実施しています。
具体的には、注力領域の明確化及び事業間シナジーの最大化を狙いに、事業グループの体制を「スマートライフ&エナジー事業」、「スマートオフィス事業」、「ユニバーサルネットワーク事業」の3つのブランド事業と、「ディスプレイデバイス事業」と「エレクトロニックデバイス事業」の2つのデバイス事業に再編しています。
同時に、技術力の強化を狙いに、全社のイノベーションを支える機能を束ねた「イノベーショングループ」を新設しています。
シャープは日本の企業でありながら、鴻海との協業で真のグローバル企業に成長できる可能性を秘めています。
実力主義が徹底されているため、チャレンジ精神が高い人、海外に出て実力を試したい人は向いている会社とも言えます。
富士通株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 3,713,767 |
営業利益(百万円) | 335,614 |
税引前利益(百万円) | 371,876 |
当期利益(百万円) | 244,865 |
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) | 215,182 |
当期包括利益(百万円) | 219,344 |
従業員数(人) | 124,055 |
外、平均臨時雇用人員 | 11,738 |
子会社(内、連結子会社) | 297社(291社) |
関連会社 | 52社 |
富士通及びグループ企業は、ICT(Information and Communication Technology)分野において、各種サービスを提供し、これらを支える最先端、高性能、かつ高品質のプロダクト及び電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを事業としています。
主要なビジネスである「テクノロジーソリューション」については、富士通が中心となり、「デバイスソリューション」は、連結子会社である新光電気工業(株)が中心となって、グループ各社と最先端のテクノロジーを駆使した製品の開発、製造及び販売並びにサービスを提供しています。
「ユビキタスソリューション」については、富士通と連結子会社である(株)富士通パーソナルズにおいて、製品の販売を行っています。
尚、メイン事業であるテクノロジーソリューションセグメントでは、以下の主要製品及びサービスを扱っています。
- テクノロジーソリューション:主要製品・サービス内容
- システムインテグレーション(システム構築、業務アプリケーション等)
- コンサルティング
- アウトソーシングサービス(データセンター、ICT運用管理、アプリケーション運用・管理、ビジネスプロセスアウトソーシング等)
- クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS等)
- ネットワークサービス(ビジネスネットワーク等)
- システムサポートサービス(情報システム及びネットワークの保守・監視サービス等)
- セキュリティソリューション
- 各種ソフトウェア(ミドルウェア、OS)
- 各種サーバ(メインフレーム、UNIXサーバ、基幹IAサーバ、PCサーバ等)
- ストレージシステム
- フロントテクノロジー(ATM、POSシステム等)
- 車載制御ユニット及び車載情報システム
- ネットワーク管理システム
- 光伝送システム
- 携帯電話基地局
- ユビキタスソリューションは一般の人にもなじみのある、個人向けPC, 法人向けPCなどの「クライアントコンピューティングデバイス」により構成されています
- デバイスソリューションは半導体パッケージ、電池をはじめとする「電子部品」により構成されています
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
2023年3月期(2022年度)における、富士通の連結業績は、売上収益が3兆7,137億円と、前年度比で1,269億円の増収でした。事業構造改革等の再編を除く本業ベースでは前年度比1,921億円の増収となっています。
利益面では、連結営業利益が3,356億円でした。(前年度が2,192億円だったのに対し653億円の好転)
税引前利益は3,718億円となり、前年度比1,318億円の増益、当期利益は2,448億円(前年度比で317億円の増益)、当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,151億円の利益(前年度から324億円の増益)となり、総じて増収・増益を達成した年度となっています。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | 外部収益(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益(百万円) | 利益構成比 |
テクノロジーソリューション | 3,156,810 | 85.0% | 263,164 | 78.4% |
ユビキタスソリューション | 188,612 | 5.1% | -6,585 | -2.0% |
デバイスソリューション | 368,345 | 9.9% | 79,035 | 23.5% |
合計 | 3,713,767 | 100.0% | 335,614 | 100.0% |
全社消去 | ー | ー | ー | ー |
計上額 | 3,713,767 | ー | 335,614 | ー |
富士通の中長期戦略
富士通は、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し、社会課題の解決に貢献する「DX企業」への変革を目指しています。
2020年7月に発表された経営方針では、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」という企業の存在目的(パーパス)を定め、Fujitsu Wayを12年ぶりに刷新しています。
富士通グループの事業領域を、お客様への提供価値に合わせて大きく2つに分類しています。
AI、データ活用などのテクノロジーをベースとしたDXビジネスと、DXに必要なクラウド移行などのモダナイゼーションとを合わせたデジタル領域を、お客様の事業の変革や成長に貢献する事業領域「For Growth」と定め、これを成長分野と位置付けて、規模と収益性の両方を伸ばしてく方針です。
For Growth 領域では、グローバルで着実に戦略を実行する体制を整えるため、日本を含めた6リージョン体制にフォーメーションを刷新し、コンピューティング、AI、5Gネットワーク、サイバーセキュリティ、クラウド、データマネジメント、IoTの7つを重点技術領域として定め、リソースを集中し強化しています。
また日本市場に根差したビジネスを強化するため、日本国内のビジネスを担う新会社「富士通Japan株式会社」を2020年10月1日に発足させ、2021年4月1日より11,000人体制で本格的に始動しています。
富士通Japan株式会社は、日本特有の要素が大きい自治体、文教、ヘルスケア、中堅民需市場などのビジネスをカバーしています。
システムの保守や運用、プロダクトの提供や保守といった従来型IT領域は、お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域として「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めていく計画です。
また2021年10月には、新たな事業ブランド「Fujitsu Uvance」を発表しています。
パーパスの実現に向け、社会課題を起点にお客様と共にその解決に取り組みながら成長していくために、今後注力していく7つの重点分野を定めています。
2030年に誰も取り残されないサステナブルな世界を実現するために取り組むべき課題や求められていることについて、社会全体を業種横断のクロスインダストリーな領域「Vertical Areas」として捉え、まずは「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy Living」「Trusted Society」の4つの分野に注力していく方針です。
同時に、顧客のDXを支えるためのテクノロジーやソリューションを 「Horizontal Areas」として整備し、「Digital Shift」「Business Application」「Hybrid IT」の3分野に注力し、これら7つの分野に、中長期的に経営リソースを集中させ、取り組んでいく戦略です。
中期経営計画
富士通グループでは、2023年5月に新たな中期経営計画を発表しています。
まず、パーパス実現に向けて必要不可欠な貢献分野であるマテリアリティを、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上の3分野に定め、この3つの分野で、気候変動、情報セキュリティの確保、生活の質の向上に向けた医療ヘルスケアの推進など、重点的に取り組むべき11の課題を設定しています。
更に2025年における富士通のあるべき姿と、ステークホルダーへの価値提供を最大化する4つの重点戦略を定めています。
- 事業モデル・ポートフォリオ戦略:
- 成長領域への投資や効果をより明確にし、事業ポートフォリオのマネジメントを強化するため、事業セグメントを変更
- 従来のテクノロジーソリューションを、サービスソリューションとハードウェアソリューションの2つに分類し強化
- 成長領域への投資や効果をより明確にし、事業ポートフォリオのマネジメントを強化するため、事業セグメントを変更
- カスタマサクセス/地域戦略:
- コンサルティングの強化
- 2025年度までにコンサルティングスキルを持つ人員を、テクノロジーとビジネスで合わせて1万人に増強
- モダナイゼーションビジネスを強化
- 地域戦略は、日本においては、全業種のお客様のモダナイゼーションをサポートし、また、日本を起点にグローバルで事業を展開するお客様に、グローバル標準のサービスやサポートを提供する体制を強化
- その他のリージョンでは、Fujitsu Uvanceを中心としたグローバルなソリューションやサービスの提供を拡大
- お客様への提供価値をグローバルで高めるため、戦略パートナーとのアライアンスも強化
- コンサルティングの強化
- テクノロジー戦略:
- Fujitsu Uvanceを支える5つのキーテクノロジーであるコンピューティング、ネットワーク、AI、データ&セキュリティ、そしてコンバージングテクノロジーに引き続きリソースを集中させ重点的に研究開発を実施
- AIを核にキーテクノロジーを強化し、付加価値としてビジネスに実装
- リソース戦略:
- グローバル統一のJob Roleを定義し、人材ポートフォリオの見える化や事業と連動した人材の育成計画をグローバルで推進
- リスキリングやアップスキリングを行い、成長領域のリソースを拡充するとともに、人的資本経営の強化として、より個人にフォーカスしたキャリア形成や、自律性、自主性を重視した施策を展開
- OneFujitsuプログラムを中心に、データドリブン経営の強化を進め、社内実践で得られた経験やノウハウを、価値としてお客様に提供
中期経営計画では、財務面での経営目標として、2025年度は、連結で売上収益4兆2,000億円、調整後営業利益5,000億円、同利益率12%の達成を目指しています。
上記は中期経営計画の骨子に過ぎません。
富士通を目指す就活生は、富士通のビジネスの特性や、経営手法の特徴、中長期の経営戦略を良く理解して、ミスマッチがおこらないように企業研究を深め、納得した上で志望することをお勧めします。
NEC(日本電気株式会社)
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 3,313,018 |
税引前損益(百万円) | 167,671 |
親会社の所有者に帰属する当期損益(百万円) | 114,500 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) | 172,601 |
従業員数(人) | 118,527 |
連結子会社 | 284社 |
持分法適用会社 | 56社 |
日本電気株式会社(NEC)及びグループ企業は、社会公共事業、社会基盤事業、エンタープライズ事業、ネットワークサービス事業およびグローバル事業の5つセグメントで設計、開発、製造および販売、サービスの提供などの事業を展開しています。
概要は以下の通りです。
- 社会公共事業:
- 主に公共、医療および地域産業向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング・クラウドサービスおよびシステム機器などの提供
- 社会基盤事業:
- 主に官公およびメディア向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング・クラウドサービスおよびシステム機器などの提供
- エンタープライズ事業:
- 主に製造業、流通・サービス業および金融業向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング・クラウドサービスおよびシステム機器などの提供
- ネットワークサービス事業:
- 主に国内の通信市場において、ネットワークインフラ(コアネットワーク、携帯電話基地局、光伝送システム、ルータ・スイッチ)、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)およびサービス&マネジメント(OSS/BSS、サービスソリューション)などの提供
- グローバル事業:
- デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス、サービスプロバイダ向けソフトウェア・サービス(OSS・BSS)ならびにネットワークインフラ(海洋システム、ワイヤレスバックホール)などの提供
- その他:
- ビジネスコンサルティングおよびシステム機器の開発・製造・販売などの事業
2023年3月期(2022年度)の連結業績概要
2023年3月期(2022年度)のNEC(日本電気)グループの連結業績は、売上収益が3兆3,130億円(前連結会計年度比9.9%増)となり、増収でした。
利益面では、営業損益は1,704億円の利益(同379億円増加)、調整後営業損益は2,055億円の利益(同345億円増加)、税引前損益は1,677億円の利益(同232億円増加)、親会社の所有者に帰属する当期損益は1,145億円の利益(同268億円減少)、親会社の所有者に帰属する調整後当期損益は1,386億円の利益(同287億円減少)という結果でした。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績
セグメント名 | 外部収益(百万円) | 売上構成比 | セグメント損益(百万円) | 利益構成比 |
社会公共事業 | 456,687 | 13.8% | 42,650 | 16.1% |
社会基盤事業 | 649,662 | 19.6% | 67,288 | 25.4% |
エンタープライズ事業 | 614,369 | 18.5% | 73,386 | 27.7% |
ネットワークサービス事業 | 543,400 | 16.4% | 24,137 | 9.1% |
グローバル事業 | 586,336 | 17.7% | 42,887 | 16.2% |
その他 | 462,564 | 14.0% | 14,697 | 5.5% |
合計 | 3,313,018 | 100.0% | 265,045 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -59,529 | ー |
計上額 | 3,313,018 | ー | 205,516 | ー |
NEC(日本電気)の中長期戦略
NECは2020年4月1日にNECグループ共通の価値観であり行動の原点を示す「NEC Way」を改定し、企業としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」「Principles(行動原則)」と、NECグループの一人ひとりの価値観・ふるまいを示した「Code of Values(行動基準)」「Code of Conduct(行動規範)」を規定しています。
Purpose(存在意義):
Orchestrating a brighter world
NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
Principles(行動原則):
- 創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」
- 常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重
- あくなきイノベーションの追求
NECを志望する就活生は、「NEC Way」や「2030VISION」それを実現するための中期経営計画、(「2025中期経営計画」)の概要を理解しておきましょう。
たとえばNEC Wayには、「Code of Values(行動基準)」として、NECグループの一人ひとりが体現すべき日常的な考え方や行動の在り方を示した行動基準を以下のように示しています。就活での自己PR作成の参考に役立ててください。
- 視線は外向き、未来を見通すように
- 思考はシンプル、戦略を示せるように
- 心は情熱的、自らやり遂げるように
- 行動はスピード、チャンスを逃さぬように
- 組織はオープン、全員が成長できるように
NECはサービス型ビジネスへの変革を加速すると宣言しています。
成長戦略は、NECグループの強みである技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」により成長を実現する方針です。
成長戦略の概要:
日本を含むグローバルでの事業フォーカス:
- デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス事業ならびにグローバル5G事業を注力領域と定め、事業成長を目指す
国内IT事業のトランスフォーメーション:
- 業種横断の共通商材の開発やクラウド事業者との連携加速により、DX事業の共通基盤であるNECデジタルプラットフォームをさらに強化
- 経営課題解決や社会価値共創を先進的な顧客とともに実現する戦略パートナーシッププログラムの推進や、政府が掲げるデジタル田園都市国家構想の実現に向けて取り組み、新たな事業機会を創出
次の柱となる成長事業の創造:
- 学術・研究機関を含む社外との連携をさらに加速し、AI(人工知能)や医療・ヘルスケア領域での事業開発活動を推進
またベース事業においては、利益率が低い事業について改善計画を策定し、計画が未達成となった場合には事業撤退を含めた経営判断を行うなど、各事業における堅調な成長と競合他社を上回る利益率の実現を目指す方針です。
全体としては個別のシステムインテグレーションの切り売り型ビジネスから、プラットフォームを活用したサービス型ビジネスモデルに転換していく方針です。
NECは昔から交通システム等のインフラ分野やや政府・公共機関のシステムに強みがあり、セーフティ事業との親和性が高いため、選択と集中を高めていく戦略です。
具体例としてNECグループの生体認証技術とAI(人工知能)技術等を活かした「NEC Safer Cities」と「NEC Value Chain Innovation」の推進、AI技術の活用が進むヘルスケア・ライフサイエンス事業、カーボンニュートラル関連事業領域を次の成長領域ととらえ、最新技術を活用した医療システム事業に加えて創薬関連事業でのインキュベーションを推進するなど、新たな価値創造にも取り組んでいます。
就活で日本電気(NEC)を志望する皆さんは、NECの事業特性や中長期の戦略を理解し、自身の就活の軸や志望動機の作成に活用してください。
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まとめ:
以上主要8社の概況を駆け足でみてきましたが、共通するキーワードは切り売り型ビジネスからサービスビジネス、ソリューション提供ビジネス、リカーリングモデルへのシフト、顧客との共創による課題解決ではないでしょうか。
AIの活用やカーボンニュートラル実現に向けて、ソリューションを提供することでビジネスチャンスとする点も共通しています。
またBtoCビジネスより、BtoBビジネスへのシフトも顕著なトレンドです。
国内市場に伸びが期待できない以上、成長は海外市場でどうプレゼンスをだしていくかも共通した課題です。
これから総合電機メーカーを目指す皆さんは、変化に対応していくこと、グローバル市場で戦っていくことはとても重要な決意になると思います。
現状、日本企業が世界に対して競争力を持ち得ている分野を更に強固にして絶対優位を築くことと、例えニッチな分野であっても技術的イノベーションにより他の追随を許さない領域をいち早く確立することが、電機業界が世界でプレゼンスを保つことに繋がります。
興味が湧いた方は是非個別の企業をじっくりと研究して、自分にベスト、ベターと思える企業にチャレンジしていってください。
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