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【就活の業界研究】:TOPPANや大日本印刷をはじめ、印刷業界の主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では印刷業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

印刷業界の6つのポイントを押さえよう

  • 印刷業界の構造、特徴とビジネスモデル
  • 印刷業界の現状と課題・未来
  • 印刷会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 印刷会社に働く人の「やりがい」やモチベ―ションは何か
  • 印刷企業に向く人、向かない人はどんな人か
  • 印刷業界の上位企業の特徴と業績

印刷業界の中でも上場している企業を中心に、就活生にとって気になる売上上位企業に絞って企業の現況やその事業を取り巻く状況をまとめて解説します。

就活生が、自分の未来を印刷業界に託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

TOPPANホールディングス株式会社

凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区)は、2023年10月に持株会社体制への移行し、移行後の持株会社の商号を「TOPPANホールディングス株式会社」とし、凸版印刷の事業を継承する事業会社の商号を「TOPPAN株式会社」「TOPPANデジタル株式会社」とすることを決定しています。

下記の記事は、(旧社名)凸版印刷株式会社の2023年3月期(2022年度:2022年4月1日~2023年3月31日)における旧社名時の業績概要なので、記載には旧社名を使用しています。

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 1,638,833
経常利益 (百万円) 81,172
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 60,866
包括利益(百万円) 13,860
従業員数(人) 53,946
外、平均臨時雇用者数 5,561
連結子会社 219社
持分法適用関連会社 30社
持分法非適用関連会社 2社

凸版印刷及びそのグループ会社は、情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野及びエレクトロニクス事業分野の3事業分野にわたり幅広い事業活動を展開しています。

具体的な事業と主な製品・サービスは以下の通りです

情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連 証券類全般、通帳、ICカード、各種カード、BPO (各種業務受託)など
ビジネスフォーム、データ・プリント・サービスなど
マーケティング関連 カタログ・パンフレット・チラシ・POPなどの広告宣伝印刷物、各種プロモーションの企画・運営、コミュニケーション業務の各種アウトソーシング受託など
コンテンツ関連 週刊誌・月刊誌などの雑誌、単行本、辞書・事典などの書籍、教科書、電子書籍関連など
その他 教科書出版、旅行代理店業務など

 

生活・産業事業分野
パッケージ関連 軟包装材、紙器、液体複合容器、ラベル、段ボール、プラスチック成形品、受託充填・コントラクトなど
高機能・エネルギー関連 透明バリアフィルム、二次電池用関連部材、情報記録材など
建装材関連 化粧シート、壁紙、床材、エクステリア商材など
その他 インキ製造など

 

エレクトロニクス事業分野
ディスプレイ関連 液晶カラーフィルタ、TFT液晶、反射防止フィルムなど
半導体関連 フォトマスク、半導体パッケージ製品など

上記の様に印刷関連事業のみならず国内外で多様な事業を展開している凸版印刷は連結売上1兆5,475億円を超える巨大企業グループです。

TVコマーシャルでも訴求しているように、「印刷の会社」と考えるのは適当ではないでしょう。

凸版印刷に限ったことではありませんが、印刷業界は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による個人消費や企業活動の停滞や、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少などの影響を受けました。

産業界はコロナ禍からの回復・業績改善傾向にありますが、所謂伝統的な「印刷」事業は長期的に厳しい状況であることに変わりはありません。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

凸版印刷の2023年3月期におけるグループ連結業績に関しては、売上高は前期に比べ5.9%増の1兆6,388億円となっています。

利益面の業績は、営業利益は前期比4.3%増の766億円、経常利益は同6.4%増の811億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ投資有価証券売却益が減少したことに加え、当期に減損損失が増加したことなどにより、50.6%減の608億円という結果でした。

減損損失は、北米の軟包材コンバーティング事業や国内紙器事業で減損損失を計上したことなどによるものです。

2023年3月期のセグメント別業績の概要は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント売上・利益の概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
情報コミュニケーション事業分野 871,508 53.2% 42,883 37.4%
生活・産業事業分野 512,671 31.3% 23,507 20.5%
エレクトロニクス事業
分野
254,654 15.5% 48,208 42.1%
合計 1,638,833 100.0% 114,600 100.0%
調整額* -37,963
計上額 1,638,833 76,636

*セグメント利益の調整額には、各報告セグメントに配分していない全社費用△38,433百円等が含まれています。(全社費用は、主に本社部門及び基礎研究部門等に係る費用)

凸版印刷の事業戦略

凸版印刷グループでは21世紀の企業像と事業領域を定めた「TOPPAN4 VISION 21」において、「健康・ライフサイエンス」、「教育・文化交流」、「都市空間・モビリティ」、「エネルギー・食料資源」を4つの成長領域と定めています。

中期的な経営課題として、収益力の向上を目指す「事業ポートフォリオの変革」、新たな成長を創出する「経営基盤の強化」、持続的な価値向上を支える「ESGへの取り組み深化」を重要な経営課題と位置づけ、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、事業を推進しています。

具体的な施策の柱は以下の通りです。

収益力の向上を目指す「事業ポートフォリオの変革」

DX事業の推進:

DX事業については、全社を挙げて取り組むDXのコンセプトを「Erhoeht-X (エルへートクロス)」とし、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドなDXサービスを根幹に、データ分析、コンサルティングを含めたビジネスモデルの確立を目指す

  • マーケティングテクノロジーを活用した企業ブランド・製品・サービスのCX(カスタマー・エクスペリエンス)提供支援
  • デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたデータ活用型BPO(Business Process Outsourcing)の事業構築
  • 海外におけるセキュア事業の拡大

 

生活系事業の海外展開:

国内SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)・海外生活系事業については、材料調達から廃棄までのサプライチェーンを通して、CO2排出量・プラスチック使用量削減に貢献し、脱炭素・循環型社会の実現を目指す

  • 世界的にサステナブルニーズに対応し、M&Aを活用したグローバルネットワークを構築し、地産地消体制の強化と国内で培った技術とのシナジーを発揮
  • パッケージは、日本、北米、インドネシアを中心にバリアフィルムを活用したサステナブル包材の事業推進
  • 建装材は、海外生産拠点との連携を強化することで地産地消体制を確立し、グローバルな需要を獲得

 

新事業の創出(フロンティアビジネス):

競争優位を持つテクノロジー・ビジネスモデルを核に、へルスケア、メタバース、センサ関連などの領域で、事業化を推進

  • 「健康・ライフサイエンス」、「教育・文化交流」、「都市空間・モビリティ」、「エネルギー・食料資源」の4つの成長事業領域においては、特に「ヘルスケア事業」に注力し、早期事業化を実現

 

経営基盤の強化:

事業変革の基盤を形成するため、持株会社体制への移行、人財戦略、システム基盤のモダナイゼーション、製造基盤強化などを推進

  • 持株会社体制への移行:
    • グループシナジーの最大化を目的として、2023年10月から持株会社体制へ移行
    • グループガバナンスの強化を通じた経営資源の最適配分や、迅速な意思決定を可能とする経営体制への進化を図る
  • 人財戦略:
    • DXやSX、グローバル事業を牽引する人財の強化に向け、新たな人財開発プログラムの導入やグループ内の人財活性化施策を推進
    • ダイバーシティ&インクルージョンの実現を推進
  • システム基盤のモダナイゼーション:
    • 営業面、業務面の効率化・高度化を図るとともに、データドリブン型の経営を実現し、ビジネスモデル変革や新事業への迅速な対応を可能にする、有機的に繋がったグループシステムの構築を目指す
  • 製造基盤強化:
    • AIを活用した自動化・少人化、次世代MES(製造実行システム)を活用した全体最適の実現により、「安全・安心、高品質で少人化された持続可能なスマートファクトリー」を目指す

また、「ESGへの取り組み深化」では、地球環境課題への長期的な取り組み方針を定めた「トッパングループ環境ビジョン2050」を策定、SDGsへの取り組みでは、SDGsが示す課題への事業を通じた貢献において特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」に基づき、持続可能な社会の実現に貢献する計画となっています。

上記は中長期計画の骨子の一部に過ぎません。

就活で凸版を志望する皆さんは、印刷という分野をはるかに超えた企業の実態やビジョンを深く理解して、自分の実現したいビジョンや成長の機会を考えてみましょう。

特に、「事業ポートフォリオの変革」は重要課題であり、今後の成長の成否がかかっていると言っても過言ではありません。

中長期の方向性を理解し、新しいものにチャレンジして、それを実現していく価値観を自分事化して就活に臨んで下さい。

大日本印刷株式会社

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 1,373,209
経常利益 (百万円) 83,661
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 85,692
包括利益(百万円) 43,032
従業員数(人) 36,246
外、平均臨時雇用者数 19,447
子会社 141社
関連会社 23社

DNPグループは印刷事業と清涼飲料事業を展開しており、情報コミュニケーション部門、生活・産業部門、エレクトロニクス部門、飲料部門の4つのセグメンにより国内外で事業を展開しています。

具体的な事業内容、製品・サービスは以下の通りです。

  • 情報コミュニケーション部門:
    • 単行本・辞書・年史等の書籍、週刊誌・月刊誌・季刊誌等の雑誌、企業PR誌、教科書、電子書籍
    • カタログ、チラシ、パンフレット、カレンダー、ポスター、POP、デジタルサイネージ(電子看板)
    • 販促から顧客分析に関わるデジタルマーケティング支援、企業の業務プロセス・販売プロセスに関わるBPRコンサルとBPOサービス、データセンター事業、IPS
    • ビジネスフォーム、証券、商品券、通帳、ICカード、決済関連サービス、カード関連機器、ICタグ、ホログラム、認証・セキュリティサービスと関連製品、サイバー攻撃対策要員の訓練・養成
    • イベント・店舗・商品・コンテンツ等の企画・開発・制作・施工・運営
    • 昇華型熱転写製品(カラーインクリボンと受像紙)、溶融型熱転写製品(モノクロインクリボン)、証明写真機事業、顔写真・IDソリューション、エンタメ・アミューズフォトソリューション
    • 電子書籍流通・販売、図書販売、図書館運営、その他
  • 生活・産業事業部門:
    • 食品・飲料・菓子・日用品・医療品用等の各種包装材料、カップ類、プラスチックボトル、ラミネートチューブ、プラスチック成型容器、無菌充填システム
    • 住宅・店舗・オフィス・車両・家電製品・家具等の内外装材、自動車等のプラスチック成型部品、金属化粧板
    • リチウムイオン電池用部材、太陽電池用部材、電子部品搬送用資材、多機能断熱ボックス、その他
  • エレクトロニクス部門:
    • ディスプレイ用光学フィルム、プロジェクションスクリーン、有機ELディスプレイ用メタルマスク、液晶ディスプレイ用大型フォトマスク
    • 半導体製品用フォトマスク、リードフレーム、LSI設計、ハードディスク用サスペンション、MEMS(微小電子機械システム)製品、その他
  • 飲料部門:
    • 北海道コカ・コーラボトリング(株)を中心とした炭酸飲料、コーヒー飲料、ティー飲料、果汁飲料、機能性飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料等の製造・販売

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

DNPグループは、凸版グループと双璧を成す存在です。国内外で多様な事業を展開しており、この2社で印刷業界をリードしています。

2023年3月期におけるDNPグループ連結業績は、売上高が1兆3,732億円となり、前期比2.2%の微増となっています。

利益面では、営業利益は612億円(前期比8.3%減)、経常利益は836億円(前期比3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は856億円(前期比11.8%減)という結果でした。

2023年3月期における事業セグメント別業績概要は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント売上・利益の概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
情報コミュニケーション 718,413 52.3% 26,731 32.7%
生活・産業 399,626 29.1% 7,380 9.0%
エレクトロニクス 203,573 14.8% 46,936 57.5%
飲料 51,595 3.8% 601 0.7%
合計 1,373,209 100.0% 81,649 100.0%
調整額* -20,415
計上額 1,373,209 61,233

*セグメント利益の調整額は、報告セグメントに帰属しない基礎研究並びに各セグメント共有の研究等に係る費用です。

大日本印刷の事業戦略・中期経営計画

印刷事業の情報コミュニケーション部門の2022年度の連結業績は、売上高が7,202億円(前期比3.0%増)となっていますが、営業利益は注力事業の売上増加や為替のプラス効果があった一方、出版関連事業の減収のほか、原材料・エネルギー・物流関連のコスト上昇の影響を受け、267億円(前期比3.2%減)という結果でした。

 DNPグループの2023年3月期(2022年度)の連結決算において、売上では情報コミュニケーションが52.3%を占めていますが、事業利益ではエレクトロニクス部門が57.5%を稼いでおり、情報コミュニケーション部門を抜いていることが分かります。

中期経営計画:

DNPグループは、2023年4月から2026年3月期を最終年度とする3か年の新しい中期経営計画を基に事業を展開しています。

この計画のでは、「事業戦略」を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営資本の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、事業価値・株主価値を高めていく方針となっています。

中期経営計画の概要は以下の通りです。

3つの戦略:

  1. 事業戦略:

新しい「事業戦略」では、「市場成長性・魅力度」と「事業収益性」を基準に、目指すべき中長期の事業ポートフォリオを明確に示しています。

  • 「市場成長性・魅力度」が高い「成長牽引事業」と「新規事業」を「注力事業領域」と位置付け、この「注力事業領域」の五つの事業に集中的にリソース(経営資源)を投入し、必要な組織・体制なども十分に整備して、利益の創出を一層加速・拡大を図る
  • また、コアバリューの進化と深耕、独自の強みを持った企業に対するM&A、DNPならではの社会・関係資本である多様なパートナーとの共創などによって、「1」を獲得していく戦略を推進
    • 成長牽引事業:デジタルインターフェース関連、半導体関連、モビリティ・産業用高機能材関連
    • 新規事業:コンテンツ・XR(クロスリアリティ)コミュニケーション関連、メディカル・ヘルスケア関連
  • 市場成長性・魅力度の伸び率は低水準ながら収益性の高い「基盤事業」は、事業効率を高め安定的にキャッシュを生み出す
  • 市場成長性が低く収益性の厳しい「再構築事業」については、生産能力や拠点の縮小・撤退を含めた最適化を進めるとともに、注力事業領域へのリソースの再配分や、その中でも強みを持つ製品・サービスの強化による構造改革を推進
    • 基盤事業:イメージングコミュニケーション関連、情報セキュア関連
    • 再構築事業:既存印刷関連、飲料事業
      • 事業領域とその戦略をより明確化し、具体的な施策の実行を加速させるため、セグメントの名称を2023年度から、「情報コミュニケーション部門」を「スマートコミュニケーション部門」に、「生活・産業部門」を「ライフ&ヘルスケア部門」に変更
      • 快適な人々の暮らしに一層寄与していくため、関係の深い「飲料事業」を「ライフ&ヘルスケア部門」に移行し、「飲料部門」のセグメントを廃止
    • 上記の基本方針に基づき、スマートコミュニケーション部門、ライフ&ヘルスケア部門、エレクトロニクス部門の部門毎の課題、戦略、施策を示す内容となっています。
  1. 財務戦略:
  • 持続的な事業価値と株主価値の創出に向けて、財務の安定性を維持した上で、キャッシュを成長投資に振り向けるとともに、株主還元にも適切に配分する
  • キャッシュアロケーション戦略:
    • 「注力事業領域」への積極的な投資と既存事業の効率化を推進することで、成長投資の原資となる営業キャッシュ・フローを安定的に創出
    • 資産効率の改善に向けて、政策保有株式の売却を加速し、遊休不動産の縮減、有利子負債の活用を含む、適切な資金調達方法を検討するなど、資金効率の最大化に努める
    • 創出したキャッシュは、「注力事業領域」に集中的に投資を行うとともに、経営基盤の構築に向けた投資にも配分
  1. 非財務戦略:
    • 人的資本の強化
      • 2022年に「人的資本ポリシー」を発表し、これに基づいて積極的に進めている「人への投資」をより明確に企業価値の向上に結びつけていくため、グローバルでの「人的創造性(付加価値生産性)」を飛躍的に高めていくことを目指し、具体的な取り組みを実施
    • 知的資本の強化
      • DNP独自の強みと社外のパートナーとの連携を活かして、知的資本を強化
      • 研究開発の方針として、DNPがつくり出したい“より良い未来”の姿を描き、それを起点とした“未来シナリオ”を実現していくため、独自の技術を強化し、新製品・新サービスを開発・提供
    • 環境への取り組み
      • 常に、事業活動と地球環境の共生を考え、環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付ける
      • 「価値創造(事業の推進)」と「基盤強化」の両輪で環境課題の解決に取り組むことで、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に貢献

ガバナンス

  • DNPグループは、環境・社会・経済の急激な変化等、経営に大きな影響を与えるリスクを評価して中長期的な経営戦略に反映し、また、そのリスクを事業機会に転換していくプロセスの強化に取り組む
  • 2022年4月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を始動
  • 「サステナビリティ推進委員会」は、中期経営計画を実行していく過程で、環境・社会・経済の急激な変化をとらえて、適切に経営戦略に反映すべく、経営会議・取締役会に報告・提言

上記は新しい中期経営計画の骨子の一部に過ぎません。

既存の印刷事業が、中期経営計画において再構築事業に位置付けられていることは、現在の印刷業界の課題を色濃く反映しています。

就活で大日本印刷を志望する皆さんは、多角化した事業の内容、現在から将来に向けての戦略を深く理解して、自身の将来ビジョンや的確な志望動機を自分の言葉で語れるように企業研究を深めていきましょう。

株式会社フジシールインターナショナル

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 184,035
経常利益 (百万円) 8,426
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 6,869
包括利益(百万円) 12,966
従業員数(人) 5,767
外、平均臨時雇用者数 294
子会社 25社

フジシールインターナショナル及びグループ企業はペットボトル等に使用されるシュリンクラベル、タックラベル(原紙の裏面に接着剤が加工されたシール用ラベル)及びソフトパウチ(口栓付パウチで、パウチとボトルの機能を備えたもの)を中心としたパッケージングシステムの企画、提案、開発、製造及び販売等の事業展開をしています。

事業セグメントはグローバル市場を地域ごとに分け、日本、米州、欧州(PAGOを含む)、アセアンに分けています。PAGOとは スイス、ドイツ、イタリアにおいてタックラベル及び包装機械の製造、販売を行なっている企業の名称で、欧州セグメントに統合しています。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

フジシールインターナショナルの2023年3月期における連結業績については、売上高が1,840億35百万円となり、前期比8.1%の増収となっています。

利益面の業績は、営業利益81億94百万円(前期比22.5%減)、経常利益84億26百万円(前期比20.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益68億69百万円(前期比12.3%増)という結果でした。

2023年3月期における各事業の業績は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント売上・利益の概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
日本 95,194 51.7% 7,623 90.9%
米州 50,111 27.2% 1,749 20.9%
欧州 24,468 13.3% -1,079 -12.9%
アセアン 14,261 7.7% 94 1.1%
合計 184,035 100.0% 8,388 100.0%
調整額 -193
計上額 184,035 8,194

*セグメント利益の調整額△193百万円は、主に未実現損益消去(グループ外企業の取引が未成立で損益が確定していない取引)などのセグメント間取引消去です。

中長期計画

フジシールグループは、「包んで価値を、日々新たなこころで創造します。」を経営理念に掲げ、顧客のパッケージへのニーズを理解し、差別化した商品・サービスを提供することで顧客から一番に指名され続けるパートナーになることを経営の基本方針とし、更に従業員、取引先、株主、社会の皆様からも選ばれる、グローバルNo.1パッケージングカンパニーであり続けることを目指して事業を展開しています。

現在、中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期までの3ヶ年計画)では、環境課題への対応ニーズ加速、消費者ライフスタイル多様性の加速、消費地の拡大の3つの変化をビジネスチャンスと捉えています。

その変化に対応するため、フジシールインターナショナルグループの有する「世界で市場をリードするお客様の多様なパッケージニーズに対し、ローカルの製販開体制で柔軟かつアジャイルに対応し、培った技術や経験を他地域に展開する力」、「素材技術、生産、顧客のアプリケーション、アフターサービスまで一貫した技術保有を通じた、市場要求への対応力や検証能力とQCD(Quality, Cost, Delivery)の提供力」、またそれらを通じて培った「イノベーティブなグローバル顧客との強い関係」を活かして、持続可能な成長を追求していく方針です。

中期経営計画では、以下を重点課題としてグローバルベースで加速していく方針を打ち出しています。

  • ラベル事業の海外展開の加速及び収益性強化
    • シュリンク事業・タック事業で環境配慮型のラベルでリーダーポジション確立する
  • 一次包装拡大
    • 人と環境にやさしい一次包装を創造し、パウチ事業を第2のコア事業へと成長させる
  • 新規事業創出
    • 社会課題・市場の変化へ対応することで、第3・4の事業を創る

上記3つの重点課題をサステナビリティ経営の実践によって、グローバルベースで加速する方針をです。

フジシールインターナショナルはパッケージやシールという専門領域に特化してグローバルな顧客のニーズに対応したモノづくりを行っているユニークな存在の企業です。

就活でフジシールインターナショナルを志望する皆さんは、ユニークなポジショニング、専門性を理解するとともに、グローバル市場に目を向けて自分自身の志望動機やビジョンを固めていきましょう。

共同印刷株式会社

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 93,363
経常利益 (百万円) 1,289
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 1,253
包括利益(百万円) -1,748
従業員数(人) 3,208
外、平均臨時雇用者数 432
子会社 17社
関連会社 2社

共同印刷及びグループ会社は、製版・印刷・製本及びこれらに関連する付帯事業を中心として事業を展開しており、従来の事業ドメインとその周辺事業と連携、拡充する戦略をとっている企業です。

具体的な事業セグメントと主な製品・サービスは以下の通りです。

  • 情報コミュニケーション部門:
    • 週刊誌、月刊誌、季刊誌、単行本、全集、教科書、ポスター、カレンダー、広告宣伝媒体及び装飾展示等の企画・制作、電子書籍等
  • 情報セキュリティ部門:
    • 各種ビジネスフォーム、証券類、各種カード、データプリント、BPO(Business Process Outsourcing)、決済ソリューション等
  • 生活・産業資材部門:
    • 紙器、軟包装用品、各種チューブ、ブローボトル、金属印刷、建材用品印刷、電子機器部品、高機能材料等
  • その他:
    • 物流業、不動産管理業等

2023年3月期(2022年度)連結業績概要

共同印刷の2023年3月期におけるグループ連結業績については、売上高が933億6千3百万円となり、前期比5.6%の増収となっています。

利益面の業績としては、営業利益は7億7千5百万円(前期比2.5%増)、経常利益は12億8千9百万円(前期比0.7%減)、特別利益に投資有価証券売却益19億1千万円、退職給付制度改定益3億7千6百万円、特別損失に独占禁止法関連損失8億3千8百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は12億5千3百万円(前期比83.2%増)という結果となっています。

2023年3月期における各事業の業績は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント売上・利益の概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
情報コミュニケーション部門 35,134 37.8% -197 -19.2%
情報セキュリティ部門 25,943 27.9% 758 73.9%
生活・産業資材部門 30,076 32.4% 172 16.8%
その他 1,762 1.9% 293 28.6%
合計 92,916 100.0% 1,026 100.0%
調整額 -251
計上額 92,916 775

*セグメント利益又は損失の調整額は全社費用であり、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費及び研究開発費です

共同印刷は2022年度の連結売上の37.8%を占める、情報コミュニケーション部門が前期に続いて損失を出す結果となり、大手印刷会社でもこの業界の課題の克服は簡単ではないことを示しています。

2023年3月期の利益の大半は各種ビジネスフォーム、証券類、各種カード、データプリント、BPO事業を行っている情報セキュリティ部門が稼いでいるカタチです。

中期経営計画

共同印刷では、グループの経営ビジョンとして、「誠実なコミュニケーションと市場をリードする技術力でお客さまの思いをカタチにし、新たな価値を創出し続ける企業グループ」を「将来ありたい姿」として掲げ、その実現に向けた中期経営計画 (2021年度から2024年度までの4ヵ年計画) をまとめています。

中期経営方針を「豊かな社会と新たな価値を創造するために未来起点の変革に挑戦」と定め、既存事業における安定的な収益基盤の確立とともに、グループの柱となる新規事業の育成を目指す施策を展開しています。

印刷会社としての中核事業である、情報コミュニケーション部門では、マンガを中心としたコンテンツをデジタル展開するデジタルソリューションを推進するとともに、デジタル教材やパーソナル教材の提案を通じて教育分野での受注拡大に取り組んでいます。

オンラインとオフラインを融合させ、顧客体験を重視した総合提案によって受注を拡大させる方針です。

売上シェアが大きく中核事業の情報セキュリティ部門では、BPOサービスの売上拡大を図るとともに、セキュアなデジタルソリューションを組み合わせ、オンライン本人確認機能付き口座開設アプリや法人向けヘルスケアソリューションなど、パーソナルデータを活用したサービスの拡充を推進する計画です。

生活・産業資材系事業では、環境配慮製品及び高機能包材の開発に注力し、事業規模の拡大に取り組むとともに、チューブ関連では本体の層構成の一部に紙を使用したラミネートチューブを開発し、プラスチック使用量削減に貢献にも注力しています。

上記に加え、2022年9月にはグループで優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)として、「多様なライフスタイル」、「スマート社会」、「循環型社会」、「地球環境との共生」、「価値創造人材の活躍」、「責任ある企業行動」の6つを特定し、2022年11月に設置したサステナビリティ推進会議のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす取組を強化しています。

共同印刷のコーポレートブランドは「TOMOWEL(トモウェル)」です。

この言葉にはビジネスパートナー・家族・地域・社会など、関わるすべてと共に良い関係であり、未来を創り拓げていきたい、という想いが込められていいます。

就活で共同印刷を志望する皆さんは、印刷業界を取り巻く大きな環境の変化を理解して、現状の課題と課題解決に向けた戦略、具体的な取り組みを把握し、自分の頭でも深く考えて志望動機やビジョンを固めていきましょう。

自分は印刷業界に向いているタイプか、適性を診断してみよう

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まとめ

以上、印刷業界の上位企業4社の概況を凝縮したサマリーですが、現在の大手印刷会社の事業容と規模感や経営方針、グローバルへの展開などを感覚的にも理解できたと思います。

印刷業界は従来の「印刷」という枠では捉えきれない変化を遂げています。上位企業は印刷やクリエイティブというドメインを尊重しつつも、実態はIT、化学、素材、エレクトロニクス、産業・建築素材メーカーとしての事も手掛けています。

特に凸版印刷と大日本印刷は文系の学生のみならず、理工系の学生にも人気が高く、難関企業になっています。

デジタルによる急激な変化にさらされている業界であるだけに、新事業への展開や拡大の自由度が高く、可能性が広がっていると考えることもできるのです。

しかし企業によって規模も違い、注力できる戦略に差が出ることも事実です。

印刷業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。

上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いて行きましょう。

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