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【就活の業界研究】広告代理店の現状、課題、未来を俯瞰しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では広告業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

広告業界情報の7つのポイントを押さえよう

  • 広告業界、広告代理店のビジネスモデルを理解しよう
  • 広告代理店の現状と課題・未来
  • 広告代理店にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 広告代理店に働く人のモチベ―ションは何か
  • 広告代理店に向く人、向かない人はどういう人か
  • 広告代理店業界の構造
  • 主要広告代理店の概況
この記事では広告業界、そして広告代理店の現状、課題、未来について解説していきます。広告業界入門編として活用してください。

広告市場全体の動向

日本の広告費の統計は業界最大手の株式会社電通がまとめているものを使用しています。

全広告主が使用した広告費の正確なデータ、リアルな支出を足し上げたものではなく、調査会社と連携して、各媒体の出稿データから媒体費用とその媒体に関わる広告制作費を独自に推計したものの合計となっています。

2022年6月末現在で公表されている直近のデータは2021年1月~12月のものであり、その総額は6 兆  7,998億円、前年比110.4%と増加しました。

日本の広告費は2012年から2019年まで8年連続で増加していました。しかし2020年は新型コロナウイルスという思いもかけない問題が勃発し、10ポイント以上の減少となってしまいました。

2021年になってワクチン接種も進み、自粛ムードが徐々に緩和したことや、オリンピック効果、社会のデジタル化が一層進んだことでインターネット広告分野が成長し続けたことの支えられて、通年で二けた増の6兆7,998億円と復調しています。

広告費の分類は、マスコミ4媒体の広告費とインターネット広告費、そしてプロモーションメディア広告費に大別されています。その割合は以下のようになっています。

 

総広告費におけるそれぞれの構成比は、新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ4媒体が2兆4,538億円(構成比36.1%)、インターネット合計が2兆7,052億円(39.8%)、プロモーションメディア合計が1兆6,408億円(24.1%)となっています。

インターネット広告費がついにテレビ広告費を抜いたのは2019年でした。

コロナ禍にあった2020年でも、インターネット広告費だけは前年比105.6%と増加していました。更に2021年は前年比121.4%となって、引き続き好調を維持しています。

ちなみにマス四媒体の広告費は前年2020年比108.9%と回復傾向が明らかです。プロモーションメディア広告費は97.9%で微減となっています。

尚、日本全体の総広告費の推移は日本のGDPの推移とほぼ一致した動きをしています。

当たり前ですが、広告費を払うのは企業であり、売上、利益の一定割合を広告費として毎年計上して企業活動を展開しています。

企業の業績が上がって景気が良くなり、消費者の可処分所得も増え、国内全体の消費も盛り上がっていくという好循環になるためです。

2020年は2019年10月の消費増税とコロナ禍というダブルパンチに見舞われたったこともあり、景気の後退が顕著でした。2021年は東京オリンピック・パラリンピックも何とか開催できたことで、広告需要が上向き、下期には徐々にスポーツやエンタメ、イベントが感染症対策をしながら開催できるようになり、広告業界は全般的に復調しています。

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変化の激しいインターネット広告と広告代理店

1995年のWindows 95の発売によりインターネットが爆発的に普及、さらに携帯電話やスマートフォン、タブレットを誰もが持つ時代になり、広告市場も大きな変化が進行しています。

インターネット広告はネット環境、デバイス、ネットサービスの進化が非常に速く、総合広告代理店でもキャッチアップしていくのが難しい分野です。

大手広告代理店の指向は歴史的にどうしてもマス媒体、その中でも長期間に渡り圧倒的な媒体力を誇示してきたテレビ媒体、そしてテレビコマーシャルの制作にプライオリティを置いてきたからです。

テレビの媒体費用(番組提供やテレビスポットをするための料金)は、高額であり、それをより多く扱うことでコミッション報酬を多く得られるために合理的な戦略であったのです。

インターネット広告はかつてはバナーなどのディスプレイアドが主流で、Yahooなど、大手Webサイトのインプレッションの量で取引していた時代は、他のマス媒体のバイイングとほぼ同じフォーミュラが通用していました。しかし既にその時代は既に終わっています。

現在インターネット広告は、データを活用した広告配信や分析・効果検証を推進して広告投下を行う「運用系」のバイイングが主流になっています。

アドテクノロジー、データテクノロジーの進化のスピードはとても速く、無数にあるインターネットのサイトや広告スペースに、クライアントの広告の目的に最も効果があると分析したサイトやスペースに広告を配信し、クリックや見せたいコンテンツにどの程度留まったか、またコンバージョン(何らかの取引や登録の発生)など、設定した目標に対するパフォーマンスを分析して、効率の良いものを運用、選択しながら広告投下を行います。

この一連のプロセスは、クライアントに対するきめ細かいレポーティングも必要ですが、最近ではプログラマティック・バイイングといって、必要なデータと素材を入力するとコンピュータがバイイングを行い、広告配信をする手法も取り入れられています。

機械が行うと言っても、データを見て判断、分析してPDCAを回すのは人間なので、現段階ではインターネット専業の広告会社の方がそのノウハウはをより多く蓄積しています。

大手広告会社は自らインターネット専業広告会社やメディアレップを設立したり、資本投下、もしくは買収したインターネット専業の広告会社、コンサル会社を使用、もしくは業務提携や協業してインターネット広告の「実務」を行っているというのが実情です。

リアルとデジタルの融合

既に大手広告主もデジタルメディアを使用しないキャンペーンなどあり得ないと考えているため、総合広告代理店は既存マス媒体とデジタルを貫いたキャンペーン構造を提案しないと代理店間の競争には勝てない時代になりました。

10代、20代、30代は既にテレビをあまり見ない世代になっており、むしろデジタルによるコミュニケーション戦略立案がメインストリームになっています。

テレビは40代以上~高齢者をメインのターゲットとした媒体に変化していく傾向となっています。

いずれにしても、ターゲットのカスタマージャーニー(認知から購入に至るプロセスとメッセージのタッチポイント毎で分析し、どのポイントでドロップアウトしてしまうかをデータし、どのポイントにどう注力すべきかをデータで示す)に基づいた提案や、コミュニケーションデザインがキャンペーン構造の基盤になっています。

消費者の消費するポイントの変化も著しいものがあります。

就活生の皆さんも、クレジットカードさえ持っていればコンビニで買える商品以外は、ネットで「ポチる」場合が多いのではないのでしょうか?

テレビコマーシャルで一気に認知を拡大するとしても、それに合わせて、SNSではどんなコンテンツで拡散を狙うのか、PRイベントはどうするのか、広告主のWebサイト(Owned Media)にはどんなコンテンツを上げおくべきかなど、それぞれのタッチポイントが構造的、有機的に連動してクライアントの目的を達成するかを提案します。

広告コンテンツの重要性

コミュニケーションデザインは文章では簡単に書けますが、非常に難しい作業であり、これを一気通貫、ブレークスルーしていくのが、「クリエイティブのアイディア」、外資系代理店なら「Big Idea」と呼ぶものです。

精緻なチャネルプランニングが出来ても、そこに投下するコンテンツが「残念なもの」であれば、広告効果は半減、もしくはそれ以下にもなってしまいます。

「クリエイティブなアイディア」の現実は少し悲しい話になりますが、広告会社、その制作チームが常にBig Ideaが出せるとは限りません。

その結果、特に日本市場では知名度や好感度の高いタレントの存在感、タレントパワーだけに頼った広告になってしまいがちな実態もあります。

タレントのパワーは、秀逸なクリエイティブなアイディアによってより強いパワーを発揮する反面、アイディアが乏しい普通のできの広告や、しょうもないアイディアでも露出量さえ確保すれば一定のパワー、特に認知度の向上には寄与するため、代理店にとっても、それを発注する企業の宣伝担当にとっても都合が良いという面があるためです。

唯一の問題は多額の費用を投下しなければならないことです。

クライアントが多額のテレビ広告費やタレントに投下する予算も意思もない場合、広告会社の制作スタッフがYouTube での拡散を狙ったアイディア勝負のコンテンツを制作する場合もあります。

バズを狙うので制作に注意が必要ですが、低予算でもアイディア次第で国内外のニュースやワイドショーで取り上げられる例もあります。

しかしながら、狙って作ったコンテンツは意図が透けて見えてしまい、バズらないことも多く、クリエーターの自己満足で終わっている動画コンテンツや長尺CMの例もたくさんあります。

予算とアイディアでいかに効果を最大化できるかは、どんな場合でも広告代理店がクライアントから求められることになるのです。

広告代理店の未来

非常に予測は難しいのですが、明らかな事実が二つあります。一つは、他の多くの業界にも大きな影響を与える、人口減少と少子高齢化という日本市場の現実です。

前述したように、広告費の総額はGDPとの相関、もっと言えば国内消費支出の相関が強いことは明らかです。単純に考えても人口比率減少が消費量の減少の原因になることは明らかです。

量が減っても、単価のアップ(=一人当たりが消費する量、もしく質のアップによる)があれば、全体の量の減少をカバーできます。そのシフトが上手く進めば、広告会社の収益もかつてのような高成長はできないにしても、安定的な成長もしくは維持は可能と思われます。

その条件は、広告代理店が時代の変化にそのビジネスモデルを適応、変化できるかにかかっています。

日本国内の特殊な状況ではありますが、現状の媒体コミッションに依存するモデルでも、広告主は総合広告代理店が供給するサービスや付加価値に納得してこの特殊なモデル(困ったときに何でもやってくれる利便性)を認めていると考えられます。

しかし広告主の既存マス4媒体への投資は長期的にみれば減少していくトレンドです。

現在でも広告の効果という意味で非常に影響力が大きいテレビ媒体も、媒体そのものが、いままでのような盤石な状況ではなくなってきつつあります。

就活生の皆さんも、個人差はあるともいますが、あまりテレビは見ないのではないでしょうか。NetflixやAmazon Primeでの動画の視聴時間の方が多い方の方が多いのでは・・・。

テレビ放送のコンテンツはみても、YouTubeやBuzz Videoなどの、Web上のポータルサイト経由で、断片的な、自分が見たい部分だけを切り取って視聴する視聴態度が当たり前になってきているのです。

TV番組も録画して、視聴し、TVコマーシャル部分はザッピングする、もしくは日本のテレビ放送はあまり視聴せず、NetflixやAmazonプライム・ビデオ、WOWOWやその他有料放送を見る消費者が増えていくと、地上波の民放をみているのは殆どが高齢者だけという状況に近づいていきます。

このような媒体接触態度の変化は、相対的に民放テレビ局の地位を少しずつ奪っていき、地位の低下を招くことが予想できます。

今後は、貴重なイベントの生中継はPay per viewが主流になっていくでしょう。地上波は優良なイベントの放映権を負担できず、ネット系企業に買い負ける時代になっていきます。

もちろん民放各社のTVのコンテンツという資産を活かしたマネタイズの色々な方法や、インターネットでのビデオオンデマンドなどの布石を打っていますが、現状では収益の柱に育つまでには至っていません。

デジタルが開く未来を、広告会社のビジネスモデルにできるか

インターネット上での広告は完全なデータドリブンな世界に近づいて、オーディエンスに対して個別の広告展開を可能にしていきます。

ネット以外でも、センサやAIの技術を使用して、デジタル・サイネージの広告内容を通りかかった人の属性を推測して変えていくなど、技術革新とビックデータの解析ノウハウを蓄積してそれを広告主に販売する方法はあるでしょう。

また、そのコンテンツ開発は、過去も、今も、未来も広告会社の事業ドメインであり続けるでしょう。

もちろん開発過程では調査やAI技術、脳科学によるメッセージの有効性の検証が今以上に重視されるでしょうが、そうであっても人の琴線に触れるアイディアを開発できるのはクリエイティブな才能を持った人間しかいないからです。

つまり、収益を得る方法は変わる可能性が大きいですが、広告代理店が企業と消費者に対して果たしている本質的な価値は変わらないと考えられます。

メディアのバイイングの方法や、取引方法もAIによる予測やビットなどの新しい方法がまず欧米で開発され、日本にも移植されていくでしょう。

広告代理店の未来予測がし難いのは、広告主の意識の変化によるところが大きいという部分もあります。

歴史的に日本の極端な寡占市場が続いているのは、発注者である広告主がそれを受け入れてきた、その体制、得られるサービスのメリットを感じてきたという事実でもあるでしょう。

デジタル技術の激変による媒体環境や消費者の媒体消費、購買行動の変化に際し、広告主が日本の広告代理店が提供するサービスがコストに見合うものと判断すれば、それに見合ビジネス・収益は確保できる構造なのです。

国内市場の広告の総量は、バブルの崩壊や、リーマンショック級の経済危機や大地震などの天災に見舞われない限り、極端に減ることは考えられません。

したがって、広告代理店は収益を得るモデルを時代の変化に適合させ、且つクライアントの納得をえられるものに出来れば良いわけです。

この変化に対応できる力、能力が試されることになるでしょう。

海外のビジネスの開拓

他のほとんどの業界と同じように、国内で今までのような成長が見込めない場合は海外市場に打ってでるという選択があります。

日本の広告会社の場合は、自ら日本の広告主の海外展開をサポートするビジネスと、すでに海外市場で広告、広告関連ビジネスを展開している企業を買収し、買収した企業の利益を連結収益として決算に反映しつつ、外資広告主の日本市場展開や日本企業の海外市場展開のビジネスチャンスを獲得するという二つの方法があります。

例えば業界最大手の電通はイギリスの広告企業であるイージス社の買収を皮切りに、海外展開を拡大しています。

豊富な資金を武器に、中国、カナダ、フランスなどにおいても広告関連企業を買収し、各国での広告活動を展開して急速にグローバル企業化をすすめています。

現在電通は、グローバル社員64,832人のうち約69%(44,700人)が海外事業に関わる社員となっており、海外売上高比率(販売実績)は63.8%(2021年度)にまで高まっています。

電通の2021年度の決算では、売上総利益は前期比15.4%増(為替影響排除ベース同9.6%増)、調整後営業利益は、売上総利益の増加に加え、2020年12月から実施している構造改革やコストコントロールの成果により前期比33.8%増(為替影響排除ベース同28.4%増)となり、海外事業の成長が必要不可欠な状況となっています。

同じく大手総合広告代理店である博報堂の海外売上総利益比率は12.5%であり、今後アジアを中心に注力していく計画です。ADKや大広も中国、アジアをはじめとして欧州、北米、南米などへ進出もしています。

日本企業の海外展開に対しては、欧米や現地の有力代理店が競合となります。

海外では一業種一社が原則であるため、「海外市場でも日本の広告会社がの日本のクライアントを扱う」とは限りません。

特にクルマメーカーなど、予算も大きく現地の生活や価値観ににしっかりと基づいたマーケティングを必要とする場合は、現地の広告会社をアサインする場合が多いです。

日本発(日本企業)で海外に投資できるのは限られた大手広告代理店数数社と考えてください。

戦略コンサルファームとの競合

日本市場ではまだ脅威となっていませんが、アメリカではアクセンチュアやPWC、デロイトのような大手コンサルティング会社やIBMなどのIT企業のデジタル部門がインタラクティブ・エージェンシーとして独立してシェアを広げており、デジタルAgency市場TOP5のうち、4社を既存の広告代理店以外の会社占めるまでに成長しています。

もともとデータ分析によるソリューション提供が存在意義のコンサル系企業と、デジタル広告領域の親和性は非常に高いために、アメリカの大手広告主はいち早くこのサービスを受け入れた結果です。

日本の広告市場は特殊且つ、閉鎖的でもあるため、まだ直接の脅威とまでは言い切れませんが、デジタルの世界は異業種から新しいモデルを持ちこみ、ゲームそのもののやり方を変えてしまうことで短期間で市場を席捲することが起こり得るため、潜在的な脅威ではあるでしょう。

以上、駆け足で広告代理店の現在と課題、そして未来の解説をしてきましたが、広告業界は常に新しい世界と向き合って仕事をする、チャレンジングで興味深い業界であることは昔も今も、そして未来も変わらないでしょう。

業界の概要を理解できた方は広告代理店に勤めることの「やりがい」やモチベーション、適性などもチェックして、さらに業界研究をすすめていきましょう。

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