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【就活の業界研究】:重機械メーカー、重工業主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では機械業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

機械業界の6つのポイントを押さえよう

  • 機械業界の構造とビジネスモデルを理解しよう
  • 機械業界の現状と課題・未来
  • 機械メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 機械メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 機械メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 機械メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では機械製造業界の中でも重機械メーカー、重工業と呼ばれる企業の売上上位企業に絞って、各メーカーの特徴や現況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に解説します。

就活生が、未来をこの業界、機械メーカーに託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

機械製造業は工作機械・ロボット、建設機械・プラント、重機械・農業・縫製・食品・印刷産業機械など、様々な分野を専門的に扱っている企業や複数の分野を扱っている企業、更に部品と機械の両方を製造している企業等、あるいは総合電機メーカーの一事業として機械を製造している等、様々なパターンがあります。

従って厳密にカテゴライズするのは難しい部分もありますが、就活生の専門分野や興味のある分野もあるため大枠で分類しています。

それでは、重機械メーカーの特徴から解説していきます。

重機械メーカーとは

重機械とはどんな機械を指すのかは明確に定義されている訳ではありません。

また重機械という産業分類が存在している訳でもありません。機械業界・機械製造業は多岐に渡る機械群で構成されているため、明確に線引きをすることはできないのです。

この記事では、逆説的ではありますが、総合重機械メーカーと呼ばれる企業が主に扱っている機械群、重工業用の機械群として捉えています。

具体的には日本産業機械工業会が分類している「産業機械」(鉱山機械、化学機械、環境装置、動力伝動装置、タンク、ボイラ・原動機、プラスチック加工機械、風水力機械、運搬機械、製鉄機械、ポンプ、圧縮機などを含む機械群)という程度の括り方になると思います。

造船業から陸(おか)上がりして産業機械を生産するに至った企業が多く、総合重機大手と呼ばれる三菱重工、IHI、川崎重工、日立造船、住友重機械工業、三井E&Sホールディングスの現況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画をもとに、その概況を解説していきます。

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総合重機メーカーの概況

三菱重工業株式会社

売上収益 (百万円) 3,860,283
事業利益 (百万円) 160,240
税引前利益 (百万円) 173,684
親会社株主に帰属する当期利益(百万円) 113,541
当期包括利益(百万円) 268,540
従業員数(人) 77,991
外、平均臨時雇用者数 8,340
連結子会社 256社
持分法適用関連会社 33社

三菱重工業株式会社は、総合重機の最大手の巨大企業であり、三菱重工及びグループ企業では以下の4つのセグメントで事業を展開しています。

  • エナジー:
    • 火力発電システム(GTCC*、スチームパワー)、原子力発電システム(軽水炉、原子燃料サイクル・新分野)、風力発電システム、航空機用エンジン、コンプレッサ、排煙処理システム(AQCS**)、舶用機械等の設計、製造、販売、サービス及び据付等
      • * Gas Turbine Combined Cycleの略
      • ** Air Quality Control Systemの略
  • プラント・インフラ:
    • 製鉄機械、船舶、エンジニアリング、環境設備、機械システム、工作機械等の設計・製造・販売・据付・サービス等
  • 物流・冷熱・ドライブシステム:
    • 物流機器、ターボチャージャ、エンジン、冷熱製品、カーエアコン等の設計・製造・販売・サービス・据付・サービス等
  • 航空・防衛・宇宙:
    • 民間航空機、防衛航空機、飛しょう体、艦艇、特殊車両、特殊機械(魚雷)、宇宙機器等の設計・製造・販売・サービス・据付・サービス等

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

三菱重工の2022年3月期における連結業績は、売上収益が航空・防衛・宇宙セグメントが減少したものの、物流・冷熱・ドライブシステムセグメント、エナジーセグメント及びプラント・インフラセグメントが増加したことにより、3兆8,602億83百万円という結果でした。前連結会計年度比(以下、前年度比)で1,603億36百万円(+4.3%)の増収となっています。

利益面では、事業利益はエナジーセグメントが減少したものの、航空・防衛・宇宙セグメント、プラント・インフラセグメント及び物流・冷熱・ドライブシステムセグメントが改善・増加したことにより、前年比1,061億58百万円(+196.3%)増の1,602億40百万円でした。

税引前利益も前年度を1,243億28百万円(+251.9%)上回る1,736億84百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度比729億1百万円(+179.4%)増の1,135億41百万円となり、大幅な増益の決算となっています。

三菱重工の2022年3月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客からの売上収益(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
エナジー 1,643,374 42.7% 86,268 53.7%
プラント・インフラ 616,983 16.0% 23,601 14.7%
物流・冷熱・ドライブシステム 981,265 25.5% 30,682 19.1%
航空・防衛・宇宙** 604,549 15.7% 20,050 12.5%
合計 3,846,172 100.0% 160,603 100.0%
調整額(全社又は消去) 14,110 -362
計上額 3,860,283 160,240
  •  エナジー:
    • 売上収益:GTCCや原子力発電システムが増加したことなどにより、前年度を1,050億83百万円(+6.8%)上回る1兆6,510億86百万円
    • 事業利益:スチームパワーや航空機用エンジンが増加したものの、洋上風力発電システム事業関連の株式譲渡益の計上があった前年度を414億30百万円(△32.4%)下回る862億68百万円
  • プラント・インフラ:
    • 売上収益:製鉄機械や環境設備が増加したことなどにより、前年度を146億27百万円(+2.3%)上回る6,518億86百万円
    • 事業利益:構造改革効果等によりエンジニアリングや製鉄機械が増加し、前年度から338億23百万円改善し、236億1百万円
  • 物流・冷熱・ドライブシステム:
    • 売上収益:物流機器や冷熱製品、エンジンが増加したことなどにより、前年度を1,262億26百万円(+14.7%)上回る9,865億34百万円
    • 事業利益:全体的な増収に伴う利益の増加等により、前年度を150億68百万円(+96.5%)上回る306億82百万円
  • 航空・防衛・宇宙
    • 売上収益:民間航空機や飛しょう体、宇宙機器が減少したことなどにより、前年度を968億17百万円(△13.8%)下回る6,052億92百万円
    • 事業利益:固定費削減等のコストダウン施策の効果や三菱スペースジェット関連費用が減少したことなどにより、前年度から1,148億92百万円改善し、200億50百万円

三菱重工の事業戦略

三菱重工では、主力の火力発電システム事業での世界的な市場縮小、その他の既存事業でも規模の伸び悩みと価格競争の激化による収益力低下という課題に直面し、また多くの事業が成熟化する中で今後の成長の軸となる新たな事業分野の開拓が必要となっています。

さらに、前年度(2020年度)は新型コロナウイルス感染症の流行による事業環境の急激な悪化により、特に民間航空機関連事業や中量産品事業が大きな打撃を受けてしまいました。

現在は、事業環境の急激な変化にいち早く対応するため2020年10月から開始した中期経営計画「2021事業計画」(2021年度から2023年度の3年間をカバー)を策定・実行しています。

「2021事業計画」では、事業規模の拡大よりも、「収益力回復・強化」及び「成長領域の開拓」に優先的に取り組み、2024年度からの中期計画での飛躍のための基盤づくりを行うとしています。

具体的には以下の領域を優先的に取り組む課題としています。

エネルギー供給側の脱炭素化(エナジートランジション)

  • 「カーボンニュートラル」社会の実現に向けて、脱炭素化技術の開発、水素エコシステムの構築等により貢献
  • 既存火力発電設備の高効率化と水素/アンモニア混焼による低炭素化への取り組み
  • 原子力発電領域では、既設プラントの再稼働、燃料サイクル施設の竣工に向けた対応等での着実な取り組み
  • 2030年代半ばの実用化を目標に、革新技術を採用した世界最高水準の安全性を実現する次世代軽水炉の開発を推進
  • 更に先のステージである脱炭素化に向けた水素・アンモニアの活用及びCO2回収・利用への取り組み

 

エネルギー需要側の省エネ・省人化・脱炭素化(社会インフラのスマート化)

  • 需要側でもシステムの省エネ・省人化・脱炭素化を進め、「社会インフラのスマート化」を通じて、安全・安心・快適な暮らしの実現に貢献 
  • 多様化・高度化する顧客の要望に応えるため、従来の製品提供主体のビジネスから、多様な機械システムを統合制御することで顧客の課題を解決して新たな価値を共創するソリューションビジネスへの転換
  • 物流事業の「自動化物流」や、「コールドチェーン」等のソリューション提案、冷凍物流エンジニアリングの提供
  • 無人フォークリフト、自然冷媒冷凍機等の機器を連携させて自動化し、更なる効率化・最適化を図り、物流の自動化・省人化と、冷熱・電力供給を統合・協働させることで画期的な省エネと脱炭素化を実現
    • 規模データセンター向けに高効率の冷熱機器や発電システムを提供
    • コンテナ型のマイクロデータセンターの商用化
  • 製品(ハードウェア)の設計・製造で積み重ねた知見とデジタルテクノロジーを融合させて、多様な知能化機械システムの統合によるソリューションの提供
  • データ解析、AI技術、シミュレーション技術等のデジタルトランスフォーメーションの技術基盤を活用し、製品やサービスを「かしこく・つなぐ」ことにより、複合的な機械システムとしての潜在能力を更に発揮させるようなソリューションやバリューチェーンを顧客とともに創出

 

収益力の回復・強化

  • 外部環境の変化を注視しながら、臨機応変に施策を展開して収益力を維持・拡大
  • 火力発電システム事業や製鉄機械事業では遠隔システムによる運用・保守等のデジタルサービスの提供を推進
  • 中量産品事業では販売網やサービス網の強化・拡大を加速
  • 市場低迷が長期化している民間航空機Tier1(ティア1)事業では市場回復まで固定費削減等の損益改善策を継続するほか、各事業で原材料費や輸送費等の高騰に対応して適正な価格を設定
  • 国家安全保障の分野でも政府の方針に則り対応
  • アセットマネジメントによるキャッシュ・フローの創出
  • デジタルトランスフォーメーションを活用した更なるコーポレート部門の業務効率化
  • 人員リソースのシフト、事業ポートフォリオの見直しを含む構造改革を推進

三菱重工は中長期的には、「MHI FUTURE STREAM」(中長期的な視点で既存事業の転換や新規事業の創出に取り組む活動)を通じて、新たな事業機会の創出や、エネルギー・環境事業の構造転換に引き続き取り組んでいます。

新たな事業分野の例としては、洋上風力発電など再生エネルギーの拡大と再生エネルギーの変動を補うための調整電源及び蓄エネルギーシステムを挙げています。

また、二酸化炭素の有効活用/固定化のためのバイオマス利用、二酸化炭素回収貯留などの分野等、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))やグローバル指標であるSDGs(をSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を念頭におき、短期・中長期両方の視点での事業拡大を図っていく戦略です。

就活で三菱重工を目指す皆さんは、大きな変革期と言えるこの時代のトレンドとともに、三菱重工の事業内容や戦略を自分事化して、自身の就活の軸や志望動機に活かしていきましょう。

株式会社 IHI

2022年3月期連結決算(2021年度)

売上高 (百万円) 1,172,904
営業利益 (百万円) 81,497
税引前利益 (百万円) 87,637
親会社株主に帰属する当期利益(百万円) 66,065
当期包括利益(百万円) 88,240
従業員数(人) 28,801
連結子会社 150社
持分法適用関連会社 28社

IHIおよびグループ企業は以下の資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械及び航空・宇宙・防衛の4つのセグメントを主として事業を展開しています。

  • 資源・エネルギー・環境:
    • 原動機(陸用原動機プラント,舶用原動機)、カーボンソリューション(ボイラ、貯蔵設備)、原子力(原子力機器)等の製造,販売,サービスの提供等
  • 社会基盤・海洋:
    • 橋梁・水門、交通システム、シールドシステム、コンクリート建材、都市開発(不動産販売・賃貸)、等の製造、販売、サービスの提供等
  • 産業システム・汎用機械:
    • 車両過給機、パーキング、回転機械(圧縮機、分離装置、舶用過給機)、熱・表面処理、運搬機械、物流・産業システム(物流システム,産業機械)等の製造,販売,サービスの提供等
  • 航空・宇宙・防衛:
    • 航空エンジン、ロケットシステム・宇宙利用(宇宙開発関連機器)、防衛機器システム等の製造,販売,サービスの提供等
  • その他の事業:
    • 通信、電子、電気計測、情報処理などの機器・装置等の製造、販売、サービスの提供等及びサービス業

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

IHIグループの主力事業である民間向け航空エンジンは、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けています。

長距離国際線では、一部地域において入国制限の緩和が進むものの、旅客需要の回復は遅れていますが、国内線及び短距離国際線の旅客需要は回復に向かっており、これに伴ってスペアパーツ販売の増加傾向が続いています。

車両過給機においては、自動車産業における生産調整が長引いており、販売台数が伸び悩むなど、依然として厳しい経営環境にありました。

このような環境下、IHIグループは、2020年度から実行している中期経営計画「プロジェクトChange」を基に、コスト構造の強化や事業構造の改革による収益基盤の強化とライフサイクルビジネスの拡大、成長事業創出の投資原資確保のため、前年度に引き続き投資不動産等の売却も実行しています。

2022年3月期(2021年度)におけるIHIの連結業績は、受注高が前年度比15.0%増の1兆2,612億円となり、売上収益についても5.4%増の1兆1,729億円という結果でした。

損益面では、営業利益が民間向け航空エンジンにおけるスペアパーツの販売増加や原子力、熱・表面処理の増収に加え、有形固定資産等の売却などにより535億円増益の814億円となっています。

税引前利益は、為替差益の増加や持分法による投資損益が利益に転じたことなどにより増益幅が拡大した結果、600億円増益の876億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、529億円増益の660億円となり、増益に転じた決算となっています。

2022年3月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客への売上(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失
(百万円)
利益構成比
資源・エネルギー・環境 342,430 29.2% 22,992 56.3%
社会基盤・海洋 157,445 13.4% 15,363 37.6%
産業システム・汎用機械 369,848 31.5% 12,854 31.5%
航空・宇宙・防衛 262,295 22.4% -9,370 -22.9%
その他 40,886 3.5% -1,011 -2.5%
合計 1,172,904 100.0% 40,828 100.0%
調整額* 40,669
計上額 1,172,904 81,497

*セグメント利益の調整額は、セグメント間取引に関わる調整額△222百万円、各報告セグメントに配分していない全社収益40,891百万円の合計

IHIの事業戦略

IHIに限ったことでは有りませんが、重工業を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大による社会・経済の変貌や価値観の変容、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進によるビジネスモデルや働き方の変化、地球規模の気候変動問題に対する国際的な関心の高まり、企業のサステナビリティを重視するESG投資の拡大など急激に変化しています。

これらの時代の急激な変化に対応するため、IHIでは2022年度(2023年3月期)までの期間を環境変化に即した事業変革への準備・移行期間と位置づけ、「プロジェクトChange」という取り組みを策定・実行しています。

「プロジェクトChange」の目的は以下の通りです。

「プロジェクトChange」の目的

  • 成長軌道への回帰:新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより毀損した事業の収益力とキャッシュ創出力を早期に回復させる
  • 成長事業の創出:SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、“自然と技術が調和する社会”を目指し,「脱CO2の実現」、「防災・減災の実現」、「暮らしの豊かさの実現」をIHIグループが取り組むべき社会課題として考え、それらの課題を解決し、IHIグループの成長をけん引していく3つの成長事業を「カーボンソリューション」、「保全・防災・減災」、「航空輸送システム」と定義

またこれらの目的を達成するため、「プロジェクトChange」の取り組みとして、業績回復ドライバーの実行、環境変化に打ち勝つ事業体質への変革、財務戦略の実行、「成長事業の創出」の具体化と迅速な実行、これらの活動による定量的な財務目標も掲げています。

IHIグループは「社会とお客さまの課題に真正面から取り組み、新たな価値を創造する」ことを通じて、持続可能な社会の実現へ貢献していくことを、長期視点に立った「目指す姿」と定義しています。

社会とともに発展するよき企業市民であることを第一義とし「技術をもって社会の発展に貢献する」、「人材こそが最大かつ唯一の財産である」との経営理念のもと、21世紀の環境,エネルギー,産業・社会基盤における諸問題を、「ものづくり技術」を中核とするエンジニアリング力によって解決し、地球と人類に豊かさと安全・安心を提供するグローバルな企業グループになることを目指しています

この基本方針を実現するためIHIグループの社員には,「グローバル」、「ものづくり技術・エンジニアリング力」、「世界に通用する業務品質」の観点から卓越した能力を持つプロフェッショナル集団となることを求めています。

就活でIHIを志望する皆さんは、IHIの企業研究は当然として、重工業が担う「社会的課題の解決」を深堀して、自分の言葉として就活の軸や自分自身のビジョン、志望動機をIHIに重ねて語れるようにトライしてみて下さい。

 川崎重工業株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

売上高 (百万円) 1,500,879
経常利益/経常損失 (百万円) 29,934
親会社株主に帰属する当期純利益/純損失(百万円) 21,801
包括利益(百万円) 59,880
従業員数(人) 36,587
子会社 119社
関連会社 27社

川崎重工の事業セグメント

川崎重工及びグループ会社では総合重機メーカーとして国内第三位という巨大企業です。

具体的な事業セグメントは以下の通りです。

  • 航空宇宙システム事業:
    • 航空機、航空機用エンジン等の製造・販売
  • 車両事業:
    • 鉄道車両、除雪機械等の製造・販売
  • エネルギーソリューション&マリン事業:
    • エネルギー関連機器・システム、舶用推進関連機器・システム、産業機械、環境装置、低温貯槽装置、水素関連設備、破砕機、船舶等の製造・販売
  • 精密機械・ロボット事業:
    • 油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売
  • モーターサイクル&エンジン事業*:
    • 二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、パーソナルウォータークラフト(PWC)「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジン等の製造・販売
  • その他事業:
    • 商業、販売・受注の仲介・斡旋、福利施設の管理等

*2021年10月、車両事業及びモーターサイクル&エンジン事業を分社し、自律的事業運営を強化するとともに、当社グループの事業を、「陸・空輸送システム」「モーションコントロール&モータービークル」「エネルギーソリューション&マリンエンジニアリング」の3つのグループに再編しています。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

2022年3月期(2021年度)における川崎重工の連結業績は、連結受注高が前期比1,997億円増加の1兆6,021億円、連結売上高は前期比123億円増収の1兆5,008億円という結果でした。

利益面では、営業損益は前期比511億円改善の458億円の利益、経常損益は前期比327億円改善の299億円の利益、親会社株主に帰属する当期純損益は前期比411億円改善の218億円の利益となり、赤字となってしまった前年度から、黒字転換を達成しています。

尚、2022年3月期のセグメント別業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失(百万円) 利益構成比
航空宇宙システム 298,212 19.9% -9,702 -18.8%
車両 126,684 8.4% 3,288 6.4%
エネルギーソリューションマリン 297,306 19.8% 1,166 2.3%
精密機械・ロボット 252,678 16.8% 16,607 32.2%
モーターサイクル&エンジン 447,927 29.8% 37,338 72.4%
その他事業 78,070 5.2% 2,890 5.6%
合計 1,500,879 100.0% 51,590 100.0%
調整額 -5,785
計上額 1,500,879 45,805
  •  航空宇宙システム事業:
    • 売上高:前期比795億円減収の2,982億円
    • 営業損益:前期比219億円改善して97億円の営業損失
  • 車両事業:
    • 売上高:前期比65億円減収の1,266億円
    • 営業損益:前期比78億円改善して32億円の営業利益
  • エネルギーソリューション&マリン事業:
    • 売上高:前期比222億円減収の2,973億円
    • 営業利益:前期比91億円減益の11億円
  • 精密機械・ロボット事業:
    • 売上高:前期比 118億円増収の2,526億円
    • 営業利益:前期比25億円増益の166億円
  • モーターサイクル&エンジン事業:
    • 売上高:前期比1,112億円増収の4,479億円
    • 営業利益:前期比255億円増益の373億円
  • その他事業:
    • 売上高:前期比23億円減収の780億円
    • 営業利益:前期比24億円増益の28億円

川崎重工業の事業戦略

川崎重工業は、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げ、最先端の技術で新たな価値を創造し、顧客や社会の可能性を切り開く企業グループを目指しています。

「選択と集中」「質主量従」「リスクマネジメント」を指針とし、社会課題に対するソリューションの提供を通じてSDGs達成に貢献すべく、経済的価値・社会的価値の二つの軸で企業価値を高める経営を推進しています。

現在は2030年に向けて目指す姿、グループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを~Trustworthy Solutions for the Future~」を定め、その実現に向けて、以下の3つのフィールドに注力する方針です。

  • 「安全安心リモート社会」-リモートロボットによる新しい価値の創出:
    • 医療・ヘルスケア、ものづくり、産業インフラなど様々な分野で、遠隔操作・ロボット技術等を用いて、安全で安心な社会の創出
    • リモート社会の実現により全ての人々が社会参加できる新しい働き方・くらし方を提案
  • 「近未来モビリティ」-人とモノの移動の変化・トレンドに素早く対応
    • 無人で物資を運ぶヘリコプターや配送ロボットなど、航空機やオフロード四輪車、ロボット技術等を組み合わせ、新しい輸送や移動手段を用いたスマートな社会を提案
  • 「エネルギー・環境ソリューション」-クリーンエネルギーの安定供給に向けて
    • 世界に先駆けて水素サプライチェーン(「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」)を構築するほか、輸送システムの電動化など、地球環境に配慮したカーボンニュートラルな社会の実現に貢献

また2021年4月に船舶海洋事業とエネルギー・環境プラント事業を統合し、社内の将来的な水素関連製品を集約し、コア・コンポーネントを中心としたエンジニアリング事業の推進体制を強化しています。

加えて2021年10月には車両事業及びモーターサイクル&エンジン事業を分社し自律的事業運営を強化するとともに、当社グループの事業を陸・空輸送システム、モーションコントロール&モータービークル、エネルギーソリューション&マリンの3つのグループに再編成しています。

鉄道車両製造を担っていた車両カンパニーが「川崎車両」として、バイクなどの部門だったモーターサイクル&エンジンカンパニーが「カワサキモータース」として分社化しているので、2023年卒以降の就活生はそれを前提として就活を進めて下さい。

就活で川崎重工を志望する皆さんは、川崎重工の企業研究を深め、中長期の戦略や川崎重工が成長のための機会をどこに見ているかなどの戦略も把握しておきましょう。

また事業再編の動きも視野に入れながら、川崎重工業で実現したいことを自分の言葉で話せるまで、就活の軸や志望動機を高めて下さい。

日立造船株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

売上高 (百万円) 441,797
経常利益 (百万円) 11,783
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 7,899
包括利益(百万円) 9,024
従業員数(人) 11,540
連結子会社 120社
持分法適用関連会社 19社

日立造船及びそのグループ企業では、主として以下の環境装置・プラント、機械装置、インフラ設備等の設計、製作、据付、販売、修理、保守・保全及び運営等を主な事業として展開しています。

具体的な事業セグメントと主要製品・サービスは以下の通りです。

  • 環境・プラント:
    • ごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設、エネルギーシステム(発電設備)、バイオマス利用システム、海水淡水化プラント等各種プラント、電力卸売
  • 機械・インフラ:
    • 舶用原動機、舶用甲板機械、自動車用プレス機械、ボイラ、脱硝触媒、圧力容器等各種プロセス機器、原子力関連設備機器、プラスチック機械、食品機械、医薬機械、精密機器、エレクトロニクス・制御システム、橋梁、水門扉、煙突、海洋土木、シールド掘進機、防災システム、風力発電
  • その他:
    • 運輸・倉庫・港湾荷役

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

日立造船の2022年3月期における連結業績は、売上高が、機械・インフラ部門が減少したものの、環境部門等の増加により、前連結会計年度 (以下、前年度)に比べて33,204百万円 (8.1%)増加の441,797百万円という結果でした。

損益面では、営業利益が前年度に比べ144百万円(0.9%)増加の15,541百万円、経常利益は、前年度に比べ9百万円(0.1%)減少の11,783百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、ドイツのSteinmüller Babcock Environment GmbH (現社名:Hitachi Zosen Inova Steinmüller GmbH)の全株式を取得し、連結子会社としたことに伴う負ののれん発生益を特別利益に計上したこと等により、前連結会計年度に比べ3,641百万円(85.5%)増加の7,899百万円となっています。

2022年3月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客に対する売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
環境・プラント 307,176 69.5% 12,428 79.8%
機械・インフラ 126,264 28.6% 2,617 16.8%
その他 8,356 1.9% 525 3.4%
合計 441,797 100.0% 15,571 100.0%
調整額 -29
計上額 441,797 15,541

日立造船の事業戦略

日立造船グループでは、事業規模のみならず収益性・健全性を兼ね備えた社会的存在感のある企業グループを目指して、2030年での達成を目指した長期ビジョン「Hitz 2030 Vision」を掲げています。(Hitzは略称社名)

長期ビジョン「Hitz 2030 Vision」では、今後世界的に、環境汚染や食料・水・エネルギーの不足の深刻化が予測される中で、日立造船グループが社会全体の環境システムの維持・向上に貢献する「循環型社会の実現に向けたソリューションプロバイダー」となることを目指しています。

そのためにバリューチェーンの拡大、既存技術の高度化、新製品・新事業の創出、グローバル化の推進及びダイバーシティ・マネジメントの推進に取り組んでいます。

具体的には、以下のような取り組みを展開しています。

クリーンなエネルギー・水に対する取組:

  • ごみ焼却発電の更なる展開、バイオマス利用システムによる発電、陸上・洋上風力発電の推進等により、CO2削減に貢献する再生可能エネルギーの利用拡大を目指す
  • 水事業に対する国内自治体の財源不足に対応するための官民連携や、レンタル設備による災害時の緊急水需要への対応
  • 環境保全、災害に強く豊かな街づくりの実現のため、ごみ焼却発電・リサイクル施設事業によるごみ処理・廃プラスチック問題への取組み
  • フラップゲート式水門による津波・高潮対策や、橋梁、高速道路、水門等のインフラ設備の老朽化や自然災害対策としてのメンテナンス・遠隔監視事業の展開

現在は中期経営計画「Forward 22」に基づき、2020年度から2022年度までの3年間を「収益力の強化」を推進し、成果を上げる期間と位置づけ、「私がやる! 踏み出す一歩が未来を変える」という行動規範を掲げており、最終年度となる2022年度における計数目標として、4,000億円レベルの受注高・売上高、営業利益率5%を目標にしています。

具体的な製品・サービス面では、「製品・サービスの付加価値向上」のために以下の方向性を打ち出しています。

  • 先端技術の活用:
    • データの収集・蓄積・分析の基盤整備、診断・自動運転技術の開発及びグループの製品やサービスへのIoTやAIの組み込み提案など、先端技術を活用した新しいビジネスの創出と伸長を行う
  • 事業立地の転換、顧客・市場との対話の促進:
    • 顧客の課題を解決する新しい事業モデル、製品・サービスを提供することにより、事業領域の拡大、良質受注の確保に努める
  • グループ総合力の発揮:
    • ごみ焼却発電、水処理、橋梁などの事業分野別に、事業部門と関係会社で事業グループを形成する体制に加え、さらに共同研究開発機関等や業務提携先を加え共創型の事業グループに進化させ、競争力のある企業グループを実現する

就活で日立造船を志望する皆さんは、長期的なビジョンである「循環型社会の実現に向けたソリューションプロバイダー」の意味と社会的な存在意義を自分事化し、自分の言葉で成長の機会・意欲やビジョンを語れるように企業研究を緻密に行なっていきましょう。

住友重機械工業株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

売上高 (百万円) 943,979
経常利益 (百万円) 64,847
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 44,053
包括利益(百万円) 74,024
従業員数(人) 24,584
子会社 182社
関連会社 10社

住友重機械工業及びそのグループ企業は総合機械メーカーとして以下のセグメントで事業を展開しています。

事業セグメント別の主要製品は以下の通りです。

  • メカトロニクス:
    • 減・変速機、モータ、インバータ、レーザ加工システム、精密位置決め装置、制御システム装置
  • インダストリアルマシナリー:
    • プラスチック加工機械、フィルム加工機械、極低温冷凍機、精密鍛造品、半導体製造装置、加速器、医療機械器具、鍛造プレス、工作機械、空調設備、防衛装備品
  • ロジスティック&コンストラクション:
    • 油圧ショベル、建設用クレーン、道路機械、運搬荷役機械、物流システム、駐車場システム
  • エネルギー&ライフライン:
    • 自家発電設備、ボイラ、大気汚染防止装置、水処理装置、産業廃棄物処理設備、タービン、ポンプ、プロセス装置、反応容器、攪拌槽、食品製造機械、船舶

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

住友重機械工業の2022年3月期における連結業績は、売上高が9,440億円という結果でした。

損益面にでは、営業利益は657億円、経常利益は648億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は441億円でした。

2022年3月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客への売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益/損失(百万円) 利益構成比
メカトロニクス 160,986 17.1% 6,392 9.7%
インダストリアルマシナリー 230,600 24.4% 19,314 29.4%
ロジスティック&コンストラクション 341,360 36.2% 19,333 29.4%
エネルギー&ライフライン 205,061 21.7% 18,199 27.7%
その他 5,973 0.6% 2,465 3.8%
合計 943,979 100.0% 65,702 100.0%
調整額 -23
計上額 943,979 65,678
  • メカトロニクス部門:
    • 売上高:1,610億円(前期比21%増)
    • 営業利益:64億円(前期比106%増)
  • インダストリアル マシナリー部門:
    • 売上高:2,306億円(前期比13%増)
    • 営業利益:193億円(前期比22%増)
  • ロジスティックス&コンストラクション部門:
    • 売上高:3,414億円(前期比13%増)
    • 営業利益:193億円(前期比42%増)
  • エネルギー&ライフライン部門:
    • 売上高は2,051億円(前期比1%増)
    • 営業利益は182億円(前期比9%増)
  • その他部門:
    • 売上高は60億円(前期比1%減)
    • 営業利益は24億円(前期比17%増)

住友重機械工業の事業戦略

住友重機械工業は各事業セグメントの売上構成のバランスが取れている点です。また北米、アジア及び欧州を中心にグローバルに事業を展開しており、海外の需要の増加に対応するため、販売網の整備と生産設備の拡充を行っています。

住友重機械工業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により次期中期経営計画の公表を一年延期し、「中期経営計画2023」を策定・実行しています。

「中期経営計画2023」では、企業価値と社会価値の両立を長期の目標として、社会や市場の構造が変化しても持続的に成長し利益を出し続け、社会価値創造に貢献できる企業を住友重機械工業のあるべき姿として設定しています。

社会価値創造のために解決すべき課題は、2030年を念頭に置いたメガトレンドや将来目指す姿からバックキャスティングして設定し、中期経営計画2023では、その長期目標に向けた基礎固めを行う方針としています。

中期経営計画2023の骨子は以下の通りです。

  • 強靭な事業体の構築:
    • 新型コロナウイルスをはじめ、あらゆるリスクに対応する事業継続計画を構築しつつ、成長に必要なコンピテンスへの投資を続け、環境変化に耐えうる強靭な事業体を目指す
  • 企業価値向上のための変革:
    • DXの活用推進、事業ポートフォリオの見直し等
  • 働きやすい会社への変革:
    • 人材開発、グローバルのリソースを活用しダイバーシティを推進等
  • 商品・サービスによるSDGsへの貢献:
    • 経済的、技術的発展に寄与する商品とサービスの提供による社会課題の解決と企業価値の向上、持続可能な社会実現への貢献
  • 事業を通じた環境負荷の低減:
    • 事業活動及び提供する商品ライフサイクル全体を通じて、温室効果ガスの削減やサーキュラー・エコノミーの推進、エネルギー効率の向上などによる、環境負荷の低減

上記に注力することで、最終年度である2023年度に受注高1兆700億円、売上高1兆500億円、営業利益760億円を達成することを財務目標としています。

株式会社三井E&Sホールディングス

2022年3月期連結決算(2021年度)

売上高 (百万円) 579,363
経常利益・損失(百万円) -25,742
親会社株主に帰属する当期純利益・純損失(百万円) -21,852
包括利益(百万円) -8,780
従業員数(人) 6,665
外、平均臨時雇用者数 952
連結子会社 52社
持分法適用非連結子会社 1社
持分法適用関連会社 65社

三井E&Sホールディングス及びグループ会社では、以下の船舶、海洋開発、機械、エンジニアリングの4つの事業を展開しています。

  • 船舶:
    • 船舶等の製造、販売、設計、 エンジニアリング、修理ほか
  • 海洋開発:
    • 浮体式海洋石油・ガス生産設 備の設計、建造、据付、販売、リース、チャーター及び オペレーションほか
  • 機械:
    • 舶用ディーゼル機関、産業機械、港湾関連構造物の製造・ 販売・設計ほか
  • エンジニアリング:
    • 発電事業、海外土木・建築工事全般ほか
  • その他:
    • 情報・通信、販売、サービス、エンジニアリングほか

尚、株式会社三井E&Sホールディングスは、2023年4月に純粋持株会社体制を解消し、事業持株会社体制への移行に伴い、社名を変更することを発表しています。

新社名: 株式会社三井E&S

社名変更に伴い、「E&S」に込める意味を、今後の当社の目指していく姿勢や事業ドメインに沿って再定義しています。

「E&S」には、「Engineering & Services for Evolution & Sustainability」の意味合いがあり、社会の進化と持続を目指しエンジニアリングとサービスに注力することで、グループの企業価値の持続的向上を図る企業姿勢を込めています。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

三井E&Sホールディングスの2022年3月期における、連結業績は、売上高は5,793億63百万円(前期比△10.1%)となり、前期に引き続き減収という結果でした。

損益面では、営業損失が100億29百万円(前期は122億43百万円の営業損失)、経常損失は257億42百万円(前期は82億23百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は218億25百万円(前期は1億34百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となり、厳しい状況が続いています。

2022年3月期のセグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年3月期 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客への売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円)
船舶 28,088 4.8% -438
海洋開発 323,322 55.8% -8,086
機械 153,736 26.5% 8,156
エンジニアリング 7,629 1.3% -10,810
その他 66,586 11.5% 1,149
合計 579,363 100.0% -10,029
調整額
計上額 579,363 -10,029
  • 船舶:
    • 受注高は195億21百万円(前期比△48.4%)、売上高は280億88百万円(前期比3%)、営業損失は4億38百万円(前期は19億16百万円の損失)
  • 海洋開発:
    • 受注高は2,706億97百万円(前期比△15.6%)、売上高は3,233億22百万円(前期比+11.2%)、営業損失は80億86百万円(前期は217億83百万円の損失)
  • 機械:
    • 受注高は1,487億69百万円(前期比+18.7%)、売上高は1,537億36百万円(前期比△3.3%)、営業利益は81億56百万円(前期比△16.9%)
  • エンジニアリング:
    • 受注高は16億52百万円(前期比△92.6%)、売上高は76億29百万円(前期比△80.0%)、営業損失は108億10百万円(前期は4億74百万円の利益)

事業再生計画

三井E&Sホールディングス グループはエンジニアリング事業の海外大型EPCプロジェクトの損失により、財務基盤を大きく毀損していることから、この回復が急務とされています。

また造船事業やエンジニアリング事業など既存事業の収益も悪化しており、不採算事業からの撤退や新たな収益の柱となる成長事業の育成が必要となっているため、「三井E&Sグループ事業再生計画」を定め、財務基盤の回復及び収益体質の強化に注力しています。

2019年度にスタートした「三井E&Sグループ 事業再生計画」では、「財務・収益体質の強化」、「事業構造の変革」という2つの戦略を掲げ、既に総額約1,200億円規模の事業・資産売却を完了しています。

加えて「23年中期経営計画、以下23中計」を1年前倒しで、2022年度からスタートさせています。

「23中計」のビジョンは「2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決」を目指す姿として、グループの中核事業である舶用推進事業、港湾物流事業の強みを更に強化し、サービスやソリューション提供へと収益モデルの変革を進める方針です。

具体的には以下の取り組みを進めています。

コア事業の強化:

  • コア事業を「舶用推進」「港湾物流」「保守・探査」と明確にし、コア事業を軸に収益力強化を推進
    • 2022年3月31日付で、「株式会社IHI 原動機の舶用大型エンジン事業承継に関する基本合意書の締結」を公表し、コア事業である「舶用推進」の、舶用大型機関の開発・生産・アフターサービスを強化

 

収益モデルの変革:

  • コア事業である「舶用推進」「港湾物流」の各事業を、「グリーン戦略」と「デジタル戦略」により、更なる強化を推進
    • グリーン戦略:環境対応製品のエンジニアリングに注力し、脱炭素関連製品提供を進める
    • デジタル戦略:自社サービス網とデジタル技術の掛け合わせによるサービス開発により、海上輸送と港湾荷役の連携など強みを持つ分野で、デジタル技術を活用したサービスを提供

まとめ

以上、主要分野別で重機械メーカーの上位企業の現状をみてきました。凝縮したサマリーですが、機械メーカーの事業内容と規模感、各社がいかにグローバルな存在であるかは感覚的にも理解できたと思います。

上位企業は理工系の学生に非常に人気の高い企業であり、また社会的な課題の解決に大きな影響力のある業界であるため、難関となっています。

機械業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。

新型コロナウイルスの影響で不確実性が増している業界ではありますが、日本にとって重要な産業・業界であることには変わりません。

上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。

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