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【就活の業界研究】化粧品業界の構造と主要企業の概況をチェックしよう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するためのコンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

伝統的に女子就活生に人気がある化粧品業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。この記事では化粧品業界構造と主要化粧品メーカーの概況ついて解説していきます

。新卒の就活は、一生の中でも重要な決断の一つです。化粧品メーカーを志望するかどうかに関して、重要な情報になりますので、ぜひ参考にしてください。

化粧品業界情報の7つのポイントを押さえよう

  • 化粧品業界のビジネスモデルを理解しよう
  • 化粧品メーカーの現状と課題・将来性
  • 化粧品メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 化粧品メーカーで働く人のモチベ―ションは何か
  • 化粧品メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 化粧品業界の構造
  • 大手化粧品メーカーの概況

化粧品業界の構造

 

2022年における化粧品の国内全体の市場規模は約2兆9,134億円*、前年比2.6%*の増加と推定されています。(*2022年化粧品マーケティング要覧:富士経済調べ)

厚生労働省が発表している2021年3月末の全国の薬事関係業態数は、化粧品製造販売業が4,038社、化粧品製造業は3,968社となっています。

また業界団体である日本化粧品工業連合会の加盟企業だけでも約1,400社にも及んでいます。株式を公開している企業でも15社あります。(2023年7月現在)

化粧品を製造・販売している企業は非上場企業が多く、また上場企業でも、他の業界・業種の企業(例えば製薬会社や食品企業、アパレル企業等)が化粧品を製造・販売している例は数多く存在します。

化粧品の国内市場全体としては、少数の大企業と多数の中小企業によって市場を形成しているのが特徴です。

少し古いデータにはなりますが、2019 年の売上高による国内化粧品市場のメーカーシェアを見ると、資生堂グループ(市場シェア 13.2%)、花王グループ(同 12.1%)、コーセーグループ(同 7.3%)、P&G(同 3.7%)、ポーラ・オルビス(同 3.0%)の上位 5 社で約 4 割、上位 10 社では 5 割を占め、残り 5 割の市場はその他の企業によって形成されている構造になっています。

2021年度の国内市場の分野別シェア**は、スキンケア市場が47.9%、メイクアップ17.0%、ヘアケア市場20.3%、男性用化粧品5.5%、フレグランス1.2%、その他8.2%と続いています。(**2022年化粧品マーケティング総覧:矢野経済研究所経済調べ)となっています。

化粧品のマーケティングは、各カテゴリー別で低価格帯(マスブランド)、中価格帯(マステージブランド)、高価格帯(プレステージブランド)、業務用のブランドを分けて展開するのが一般的です。

販売方法別に、セルフとカウンセリングという分類もしています。販売チャネルも店舗、美容サロン、通信販売や人によるダイレクトセリング等、様々な形態が存在しています。

ターゲット毎の美容ニーズや可処分所得の違い、購入チャネルも異なるため、各化粧品メーカーは消費者や顧客にニーズに最適化するために商品開発を行い、ブランディングを行っているためブランド数も多くなりがちです。

また敢えて企業ブランドをつけずに、製品ブランドのみで展開する、アウト・オブ・~~という手法もとられます。

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大手化粧品メーカーの概況

化粧品の国内市場が、日本の人口が縮小に転じ、国内の個人消費も伸びない中での成長してきた主な要因は、旺盛なインバウンド需要(外国人観光による需要)が大きく貢献したことによります。(新型コロナウイルス感染症の蔓延前の、2020年1月までの状況)

インバウンド需要を細かくみていくと、観光客が激増しているのはアジアからであり、化粧品の主な購入者は中国、台湾、香港、韓国のから観光客でした。

これらの国は日本国内製造のブランド化粧品に対する信頼が厚く、アベノミクスではじまった基本的な円安傾向と、現地経済の拡大・成長による可処分所得の増加によって、日本製化粧品を免税で購入することがブームとなってきたためです。

お土産需要や現地での転売需要で、訪日観光客マーケットは活況でした。

特にプレステージと呼ばれる高価格帯商品が好調であることが売上高の増加に貢献してきたのです。

この外需の恩恵を受けることが出来るブランドは、海外(中国・台湾・香港・東南アジア)に進出している大手ブランドが中心となりますが、低~中価格帯のドラッグストアで売られているセルフ化粧品も、お土産や個人需要を取り込んでいるため、全体の需要を2桁まで伸ばすことに貢献してきたのです。

インバウンド需要で活況を呈していた国内市場は、新型コロナウイルスの感染症拡大によって急激に落ちこみ、2020年度から2022年度の化粧品企業の業績に大きな影響を与えました。

2023年半ばになって、コロナ禍で落ち込んだ国内市場も、日本国内の本格的なインバウンド消費の復活が期待できる状況になってきました。

2023年1月~6月の訪日外国人客は1,071万になり、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年の同期比で、64.4%まで戻ったことになります。

国・地域別では韓国が最多で約55万人、台湾が約39万人、米国が約23万人と続いています。ここに中国からの観光客が戻れば、一気にインバウンド需要の拡大が予見できます。

下記の各社の業績は、2022年12月期(資生堂・花王・ポーラ・オルビス、コーセー*)の業績と中長期の課題や計画をまとめています。

化粧品メーカーを目指す皆さんは、国内消費の動向や、各社から発表される四半期決算や年度の業績予測をモニターして、常に情報をアップデートしていきましょう。

それでは各社の概況を個別にみていきます。

株式会社 資生堂

2022年12月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 1,067,355
税引前利益 (百万円) 50,428
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 34,202
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) 84,722
従業員数(人) 33,414
外、平均臨時雇用者数 5,833
連結子会社 74社
関連会社 16社

資生堂は、株式会社 資生堂と子会社74社及び持分法適用関連会社16社で構成されており、化粧品、化粧用具、トイレタリー製品、理・美容製品、美容食品、医薬品の製造・販売を主な事業内容としています。

国内の「化粧品メーカー」という意味では、断トツの首位企業です。

資生堂の事業セグメントは、日本事業、中国事業、アジアパシフィック事業、米州事業、欧州事業と地域毎になっており、それにプラスしてトラベルリテール事業、プロフェッショナル事業と全社(共通)に分かれており、このことからもグローバル経営を意識していることが分かります。

2022年12月期(2022年度)の連結業績概要

2022年12月期 (2022年度)の資生堂グループの連結業績は、売上高が中国においてコロナ禍の影響により不透明な環境が続いた一方、欧米事業、トラベルリテール事業の回復により、前年比5.7%増の1兆674億円、現地通貨ベースでは前年比3.9%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは0.9%増という結果でした。

ブランド別では、多くのスキンケアブランが苦戦する中、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」およびフレグランスは、欧米での経済活動の再開や、中国事業でのプレステージブランドへの戦略的投資の継続、Eコマース売上の伸長などにより、それぞれ前年比6%増、22%増、12%増となっています。

利益面の概要は以下の通りです。

  • コア営業利益:
    • 中国での売上減に伴う差益減やパーソナルケア事業譲渡の影響はあったものの、機動的なコストマネジメントの推進や構造改革を通じた固定費の低減、為替影響等により、前年に対し88億円増益の513億円前年に対し88億円増益の513億円
  • 営業利益:
    • 前年年度にパーソナルケア事業譲渡に伴う譲渡益を計上していた一方、当連結会計年度においてはパーソナルケア製品の生産事業譲渡に伴う減損損失を計上したことなどから、前年に対し540億円減益の466億円
  • 税引前利益:
    • 金融収益が前年に対し18億円増益となったことや、持分法投資損益が前年に対し33億円の増益となった一方、営業利益が前年に対し540億円減益の466億円となったことにより、前年に対し487億円減益の504億円
  • 親会社の所有者に帰属する当期利益:
    • 税引前利益が前年に対し487億円減益の504億円となったことに加えて、法人所得税費用の前年からの減少と非支配持分が増加したことにより、前年に対し127億円減益の342億円

以下は2022年12月期のセグメント別、売上、利益の概要は以下の通りです。

2022年12月期 事業セグメント別の業績

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益。損失(百万円) 利益構成比
日本事業 237,565 22.3% -13,089 -28.0%
中国事業 258,226 24.2% -3,941 -8.4%
アジアパシフィック事業 68,017 6.4% 4,716 10.1%
米州事業 137,916 12.9% 7,660 16.4%
欧州事業 128,440 12.0% 6,926 14.8%
トラベルリテール事業 163,650 15.3% 37,678 80.5%
プロフェッショナル事業 9,337 0.9% 750 1.6%
その他 64,200 6.0% 6,078 13.0%
合計 1,067,355 100.0% 46,780 100.0%
調整額 4,559
計上額 1,067,355 100.0% 51,340

地域別売上高

地域別の売上の状況は以下の通りです。

  • 日本:2,376億円(構成比:22.3%)
  • 中国事業:2,582億円(構成比 24.2%)
  • アジア・パシフィック事業:680億円(構成比6.4%)
  • 米州:1,379億円 (構成比:12.9%)
  • 欧州:1,284億円 (構成比:12.0%)

中国市場の売上シェアが売上全体の1/4を占め、日本市場の売上を抜いています。資生堂にとって中国市場がいかに重要なのかが分かるデータとなっています。

資生堂の中長期経営戦略

資生堂は、2023年から2025年までの3ヶ年を中心に取り組む中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」を策定し、事業を展開しています。

「SHIFT 2025 and Beyond」は、「守り」から「攻め」に転じる躍動の期間として、新経営体制のもと、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、さらなる事業成長を確実なものにするという位置づけになっています。

「SHIFT 2025 and Beyond」では、前中期経営計画「WIN 2023 and Beyond」の残った課題である日本事業の成長性回復に取り組む方針です。

2023年から3年間の抜本的な改革により、2025年に同事業で500億円を超えるコア営業利益の実現を目標にしています。

また、同期間において全社をあげて持続的な売上成長と収益性を向上させるための改革を実行し、「ブランド」、「イノベーション」、「人財」の3つの重点領域への投資を強化して、コア営業利益率で、2025年までに12%、さらに2027年の最終年度には15%という目標達成を計画しています。

長期的な成長を目指した重点領域:

長期的な成長を目指すための主な重点領域を以下のように設定しています。

  • ブランド価値の向上 ブランド価値の向上・強化
    • 「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」などのグローバルブランドをはじめ、「エリクシール」などアジアをメインに展開しているブランド、フレグランスブランド、メンズブランドそして戦略的に開発された新ブランドに対して、マーケティング投資について3ヶ年で累計1,000億円超の追加投資を実施
  • イノベーションへの研究開発費の継続投資 開発費の継続投資
    • グローバル体制を活かした各地域における研究所との連携をこれまで以上に強化し、イノベーション領域の拡大、生活者への魅力ある訴求開発などの研究開発プロセスを進化
    • 資生堂の知見を、外部との共同研究や企業間連携・M&Aなどを通じて取り入れた技術と掛け合わせ、新たな商品やサービスの創造を推進
    • イノベーションのさらなる加速に向け、売上高比率3%の研究開発費を投資
  • グローバルな人財・リーダーシップの強化
    • 「PEOPLE FIRST」という考えのもと、人財育成へ積極的に投資
    • 将来のリーダー候補社員に対する選抜型プログラムや自発的キャリア開発支援、グローバルでの人財配置の加速や報酬制度の整備など、今後も企業成長を支える「人財」に引き続き投資を実施
    • 創業150周年の記念事業として、今秋、資生堂の創業の地である銀座に次世代を担う人財開発の拠点「Shiseido Future University」をオープン
  • 各地域事業の主な取り組 各地域事業の主な取り組み
    • 積極投資により継続的な安定成長を実現・高収益構造へ転換を目指す
      • 日本:ブランド力・組織力の強化、再成長による収益基盤の再構築
      • 中国:ブランドポートフォリオの拡充・新領域開発
      • アジアパシフィック: 将来の有望市場における事業基盤構築
      • トラベルリテール: 旅行者向けの独自価値を構築
      • 米州: 次なる成長の柱として成長基盤を構築
      • 欧州: 構造改革を経て収益性を伴う成長の実現

財務目標:

  • 売上高(為替影響、事業譲渡影響を除いた年平均成長率):2023年から2025年までの3年間で+8% (2022年比)、2026年から2027年までの2年間で+6% (2025年比)
  • コア営業利益率: 2025年に12%、2027年に15%の実現
  • フリー・キャッシュ・フロー:2025年に1,000億円
  • EBITDAマージン:2025年に18%、2027年に20%
  • 資本効率:2025年にはROICで12%、ROEで14%を実現

資生堂グループは、スキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を実行し、2030年までにこの領域における世界No.1の企業になることを目指すことを長期の戦略目標に置いています。定量目標としては、2030年に売上高2兆円、営業利益率18%を目指すとしています。

資生堂を志望する皆さんは、IR資料に目を通し、資生堂の企業理念、「THE SHISEIDOPHILOSOPHY」の内容や、資生堂が向かおうとしている方向性や戦略を深く理解して就活に臨んで下さい。

「THE SHISEIDOPHILOSOPHY」の中で示されている、OUR PRINCIPLES (TRUST 8)は、資生堂の社員が日々ともに仕事をするうえで大切にしている心構えや行動原理・規範を示したものです。自己PRで取り上げるエピソードの選び方や、アピールする内容に活かして下さい。

資生堂は、2021年7月1日をもってパーソナルケア事業を投資ファンドのCVC Capital Partners社に譲渡し、その後同事業を運営する会社の株主として参画して、合弁事業としています。

資生堂のパーソナルケア事業には、皆さん良くご存知の「TSUBAKI」や「専科」、「uno」、「シーブリーズ(SEA BREEZE)」等が含まれていますので、注意してください。

2021年12月期では、パーソナルケア事業やプレステージメイクアップ 3 ブランド(「bareMinerals」「BUXOM」「Laura Mercier」)の譲渡、Dolce&Gabbana社とのグローバルライセンス契約の解消などを行なっています。

また、プロフェッショナル事業は2022年2月9日にドイツのHenkel AG & Co. KGaAと譲渡契約した後、2022年7月に株式譲渡を完了しています。(ただし対象事業の日本国内での関連資産を承継する会社の株式20%を引き続き保有)

資生堂を志望する方はM&A関連のニュースにも注意を払っておきましょう。

花王 株式会社

2022年12月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 1,551,059
税引前利益(百万円) 115,848
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 86,038
親会社の所有者に帰属する包括利益(百万円) 125,437
従業員数(人) 35,411
外、平均臨時雇用者数 8,183
子会社 111社
関連会社 5社

花王の事業セグメントはコンシューマープロダクト事業、ケミカル事業、その他事業に分けられています。花王と関係会社(子会社111社、関連会社5社)で、これらの事業を展開しています。

コンシューマープロダクト事業は更にハイジーン&リビングケア事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、化粧品事業に分かれています。

具体的な製品群は以下の通りです。

ハイジーン&リビングケア事業:

  • ファブリックケア製品:衣料用洗剤、洗濯仕上げ剤
  • ホームケア製品:台所用洗剤、住居用洗剤、掃除用紙製品
  • サニタリー製品:生理用品、紙おむつ

ヘルス&ビューティケア事業

  • スキンケア製品:化粧石けん、洗顔料、全身洗浄料
  • ヘアケア製品:シャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー、メンズプロダクツ
  • パーソナルヘルス製品:入浴剤、歯みがき、歯ブラシ、温熱用品

ライフケア事業

  • ライフケア製品:業務用衛生製品、健康飲料

化粧品事業

  • 化粧品:カウンセリング化粧品、セルフ化粧品

花王グループカスタマーマーケティング株式会社が、日本におけるコンシューマープロダクツ事業の販売カ社の統括及び、ハイジーン&リビングケア、ヘルス&ビューティケア、ライフケアと化粧品のマーケティングを行うほか、100%子会社の株式会社カネボウ化粧品が化粧品製造事業を行っています。

海外市場は各国の子会社現地法人が行う体制です。

2022年12月期(2022年度)の連結業績概要

花王グループの2022年12月期(2022年度)における連結業績は、売上高が前期に対して9.3%増の1兆5,511億円(実質3.7%増)という結果でした。

利益面では、営業利益が原材料価格高騰の影響を大きく受け、1,101億円(対前期334億円減)、営業利益率は7.1%となっています。

税引前利益は1,158億円(対前期342億円減)、当期利益は、877億円(対前期237億円減)となり、増収減益の決算となっています。

主力である日本のトイレタリー (化粧品を除くコンシューマープロダクツ)市場および化粧品市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると前期を上回っていますが、化粧品市場に関しては、コロナ禍前の2019年の水準までには回復してない状況です。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2022年12月期連結決算セグメント別業績

セグメント名 外部売上高(百万円) 売上構成比 営業利益・損失(百万円) 利益構成比
ハイジーン&リビングケア事業 516,548 33.3% 30,674 28.2%
ヘルス&ビューティケア事業 369,549 23.8% 34,596 31.8%
ライフケア事業 55,734 3.6% -15 0.0%
化粧品事業 251,472 16.2% 14,086 12.9%
ケミカル事業 357,756 23.1% 29,516 27.1%
合計 1,551,059 100.0% 108,857 100.0%
セグメント間調整他 1,214
計上額 1,551,059 100.0% 110,071

化粧品事業の概況:

2022年12月期(2022年度)の化粧品事業の売上高は、前期に対して5.1%増の2,515億円(実質0.8%増)、営業利益は141億円(対前期66億円増)という結果でした。

日本では、市場が徐々に回復する中、「KANEBO」や「KATE」等のグローバル戦略ブランド「G11」*に集中的に投資し、売り上げ・シェアは前期を上回りました。

*下記、「花王化粧品事業の戦略」を参照して下さい。

特に、「KATE」は「リップモンスター」が好調を維持し、メイク市場全体でブランドシェアNo.1を継続しています。

中国では、感染症拡大による都市封鎖やその後の市場の冷え込みに加え、ローカルメーカーの台頭や流通チャネルの変化等の影響を大きく受け、売り上げは前期を下回っています。

欧州では、インフレによる景気減速が影響し売上は前期並みでしたが、「SENSAI」や「モルトンブラウン」のシェアは伸ばした年度でした。

参考:ヘルス&ビューティ事業の概況

ヘルス&ビューティケア事業の製品群

  • スキンケア製品: 化粧石けん、洗顔料、全身洗浄料
  • ヘアケア製品:シャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー、メンズプロダクツ
  • パーソナルヘルス製品:入浴剤、歯みがき、歯ブラシ、温熱用品

2022年度のヘルス&ビューティケア事業の売上高は、売上高が前期に対して4.2%増の3,695億円(実質1.8%減)という結果でした。

営業利益は、原材料価格高騰等が大きく影響し、346億円(対前期151億円減)となり、事業としては減収・減益の年度となっています。

  • スキンケア製品:
    • 売上は前期を上回りました。日本では猛暑の影響で、UVケア製品等のシーズン品の売上は好調に推移し、シェアも大きく伸長しました。タイでは、革新的な花王独自の技術を搭載した忌避剤ローション「ビオレガード モスブロックセラム」を6月にローンチしています。米国ではインフレによる消費減退の影響を受け、売り上げは前期を下回る結果でした
  • ヘアケア製品:
    • 売上は前期を下回りました。欧米のヘアサロン向け製品は、米国の「ORIBE(オリベ)」が、コアのサロンチャネルに加え、Eコマースも大きく伸長し好調を維持しました。日本のマス向け製品は、売上は前期を下回る結果でした
  • パーソナルヘルス製品:
    • 売上は、前期を下回りました。「めぐりズム」は順調に売り上げを伸ばしましたが、入浴剤は前期を下回る結果となっています

花王化粧品事業の戦略:

花王グループの化粧品事業はカネボウ化粧品、エキップの他、「ソフィーナ(SOFINA)」「キュレル(CUREL)」「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」の各ブランドによる5つの事業体を持っています。

今まで各ブランドが独自運営を続けたことでグ、各ブランドの下に細分化されたブランドが広がり、グループ全体のブランド数が49まで膨れ上がってしまいました。

そのためブランド毎の役割や優先順位が不明瞭となり効率が低下、国内の市場シェアも横ばいから縮小傾向になってしまい対策が急がれていました。

花王は2018年5月、現状の49のブランドを整理し、グローバル戦略ブランドを11、国内戦略ブランドを8つに絞って育成していく方針を発表しています。

国内市場では、これまでの複数の分類を排除して、シンプルにカウンセリングブランドとセルフブランドの2つに再編しています。

グローバル戦略ブランドは2020年に誕生したエキップの新ブランド「athletia」(アスレティア)と、カネボウ化粧品が欧州・中東の40カ国以上で展開している「センサイ(SENSAI)」の他、「RMK」「スック(SUQQU)」「エスト(EST)」「KANEBO」「ソフィーナ iP」「モルトンブラウン」「ケイト(KATE)」「フリープラス(FREEPLUS)」「キュレル」の11ブランドとなっています。

国内戦略ブランドは「ルナソル(LUNASOL)」「トワニー(TWANY)」「リサージ(LISSAGE)」「プリマヴィスタ(PRIMAVISTA)」「コフレドール(COFFRET DOR)」「アリー(ALLIE)」「エビータ(EVITA)」「メディア(MEDIA)」の8ブランドとしています。

花王はスキンケアを中心として、花王ならではのエビデンス(効果実感)と五感に訴える感性美を融合させて各ブランドの育成・成長を図っていく計画です。また消費者の購買行動の変化に対応して、デジタルマーケティングの強化に注力しています。

花王の中長期計画

花王は2030年までにあるべき姿として、持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献との両立によって、これまでの『グローバルで存在感のある会社「Kao」』になるという将来像をさらに一歩進め、『グローバルで存在価値のある企業「Kao」』になることを目指しています。

  • グローバルで存在価値のある企業「Kao
    • 持続可能な社会に欠かせない企業
    • 高社会貢献&高収益グローバル企業
    • ステークホルダーへの成長レベル還元
  • 2030年財務目標(結果として)
    • 売上高 2兆5,000億円
    • 営業利益 4,000億円
    • 連続増配継続 41期

またESGを通じて将来にわたって、人・社会・地球にとって価値のある存在になることを標榜しており、環境に対する姿勢や、最小限の資源で最大の価値を生み出す、”Maximum with minimum”を経営の指針、グローバル市場での成長など、自分自身の就活の軸や自己PR、志望動機の作成へ活かせるように、企業研究を追深めていきましょう。

中期経営計画:

2021年から2025年までの5年間を、2030年までにあるべき姿を実現させていくための礎となる重要な期間として設定し、花王グループ中期経営計画「K25」を策定し、事業を展開中です。

花王グループ中期経営計画「K25」

  • Vision(ビジョン):
    • 持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path
  • コーポレートスローガン:
    • きれいを こころに 未来に
  • 方針(目的)及び主な進捗状況:
    • 目的:持続可能な社会に欠かせない企業になる
    • 目標:サステナブル自走社会をリードする: ESG投資=未来財務
  • 主要成果:
    • カーボンリサイクル(炭酸ガスを原料に転換する)
    • ポジティブリサイクル(資源の再利用により新事業を創造する)
    • ストップパンデミック(感染症対策・予防領域を強化する)

上記は中期経営計画のコンセプトの、そのまた一部に過ぎません。就活で花王を志望する方は、選考前に全体を一読して、企業の大きな方向性を理解しておくことをおススメします。

化粧品事業に興味がある方は、花王グループカスタマーマーケティングを志望する方も多いと思いますが、本体の花王の戦略もよく理解しておきましょう。

株式会社 コーセー

2022年12月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 289,136
経常利益 (百万円) 28,394
親会社株主に帰属する当期 純利益(百万円) 18,771
包括利益(百万円) 28,866
従業員数(人) 7,940
外、平均臨時雇用者数 5,239
連結子会社 38社

注意:コーセーは2012年度より決算月を3月から12月に変更したため、前期である2021年度の決算は2021年4月1日から2021年12月31日の9ヵ月間の変則決算となっていましたが、2022年12月期からはフルイヤーの12ヵ月間の決算となっています。

コーセー及びグループ企業は、化粧品事業、コスメタリー事業、その他事業というセグメントで事業を展開しています。

ブランドのカテゴリーでは、ハイプレステージ、プレステージ、コスメタリーという分類をしています。コスメタリーはセルフ販売を中心とした購入しやすい価格帯のブランドになります。

コーセーでは、企業名を冠した「コーセーブランド」と、独自性の高い多彩なブランド群である「インディヴィデュアルブランド」 の2つに大別して、ブランド管理をしています。ジルスチュアートは、コーセーがライセンスを取って製造、販売しているブランドです。

ハイプレステージ下には有力子会社として株式会社アルビオンがあり、ALBIONやANNA SUIなどのブランドも展開しています。

コーセー及びグループ企業は、化粧品事業、コスメタリー事業、その他事業というセグメントで事業を展開しています。

ブランドのカテゴリーでは、ハイプレステージ、プレステージ、コスメタリーという分類をしています。コスメタリーはセルフ販売を中心とした購入しやすい価格帯のブランドになります。

コーセーでは、企業名を冠した「コーセーブランド」と、独自性の高い多彩なブランド群である「インディヴィデュアルブランド」 の2つに大別して、ブランド管理をしています。

ハイプレステージ下には有力子会社としてアルビオンがあり、ALBIONやANNA SUIなどのブランドも展開しています。

2022年12月期(2022年度)の連結業績概要

2022年12月期 (2022年度)におけるコーセーグループの連結業績は、売上高が289,136百万円 (調整後前期比7.5%増、20,144百万円増)でした。

2022年度は中国での断続的なロックダウンの影響に加え、韓国においても減収となっていますが、日本の百貨店・専門店チャネルにおけるハイプレステージ、欧米を中心に展開する「タルト」が実績を牽引しました。

連結売上高に占める欧米亜売上高の割合は41.8%、日本が56.4%、その他が1.8%という状況です。

利益面では、増収に加え、原価率の低減および販管費の抑制によって増加し、営業利益は22,120百万円(調整後前期比41.1%増)、経常利益は為替差益の大幅な増加により28,394百万円(同28.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18,771百万円(同68.6%増)となり、前期比で増益となっています。

以下は2022年12月期のセグメント別、売上、利益の概要です。

2022年12月期 事業セグメント別の業績

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
化粧品事業 234,969 81.3% 25,407 92.1%
コスメタリー事業 52,234 18.1% 1,101 4.0%
その他 1,933 0.7% 1,067 3.9%
合計 289,136 100.0% 27,576 100.0%
調整額 -5,456
計上額 289,136 22,120

セグメントごとに分析すると、コーセーグループの主力事業である化粧品事業の売上高は234,969百万円(同7.9%増、17,226百万円増)、コスメタリー事業の売上高が52,234百万円(同6.2%増、3,048百万円増)となっており、その他の事業の売上高は1,933百万円(同6.3%減、130百万円減)という結果でした。

主力事業の売上・利益の概要は以下の通りです。

化粧品事業の業績概要:

  • ハイプレステージにおいて、「コスメデコルテ」や「アルビオン」が日本で引き続き好調に推移、中国(トラベルリテール事業を除く)や韓国では苦戦
  • それ以外のブランドでは、「ジルスチュアート」、「アディクション」が、日本のメイクアップ市場の需要回復に伴い業績が伸長
  • 欧米で展開する「タルト」は、SNSでのプロモーションが功を奏し、主力商品や新商品の売上を伸長
  • プレステージの主力ブランド、「雪肌精」は下期から回復基調を示した
  • これらの結果、売上高は234,969百万円(調整後前期比7.9%増)、営業利益は25,407百万円(同28.5%増)

コスメタリー事業:

  • コーセーコスメポート(株)のヘアケアブランド「ビオリス」が苦戦した一方、同社の「クリアターン」に加え、メイクアップブランドの「ヴィセ」、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク」などが好調に推移
  • これらの結果、売上高は52,234百万円(調整後前期比6.2%増)、営業利益は1,101百万円(同182.0%増)。

その他:

  • ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売やOEM生産の受注が減少した結果、売上高は1,933百万円(調整後前期比6.3%減)、営業利益は売上原価率が低下したことにより1,067百万円(同36.9%増)

コーセーの中期経営計画

コーセーでは2026年の創業80周年に向けて更なる成長ステージを目指した中長期ビジョン「VISION 2026」を推進しています。

「VISION 2026」の基本骨子は以下の通りです。

コーセーグループ中長期ビジョン「VISION 2026」

コーセーグループの将来像:

  • 「日本を代表する化粧品メーカーとして、日本独自の化粧文化を創造する」という自覚を持ち、“一人ひとりのきれい”を追求し、世界に先駆けて“独自の価値”を創出し続け(唯一無二の存在)、オリジナリティと魅力あふれる多彩なブランドをお届けすることで、一人でも多くのステークホルダーの皆さまに選ばれる企業(憧れの存在・かけがえのない存在)となることを目指す
  • 定量目標
    • 売上高 5,000億円
    • 営業利益率 16%以上
    • ROA 18%以上
    • ROE 15%以上
  • ロードマップ
    • PhaseI:「グローバルブランド拡充と顧客接点の強化」
    • PhaseII:「世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」
    • PhaseIII:「世界のひとりひとりに存在感のある顧客感動企業への進化」
  • 基本戦略

3つの成長戦略

    1. ブランドのグローバル展開加速
    2. 独自性のある商品の積極的開発
    3. 新たな成長領域へのチャレンジ

2つの価値追求

    1. デジタルを活用したパーソナルな顧客体験の追求
    2. 外部リソースや技術と連携した独自の価値追求

3つの経営基盤

    1. 企業の成長を支える経営基盤の構築
    2. ダイバーシティ&インクルージョン経営の実践
    3. バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進

コーセーを志望する皆さんは、この中期計画の内容を理解して、自身の就活の軸や志望動機の作成に役立ててください。

さらなる成長のためには、グローバル展開の加速が必要不可欠であることが理解できると思います。 

株式会社 ポーラ・オルビスホールディングス

2022年12月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 166,307
経常利益 (百万円) 14,928
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 11,446
包括利益(百万円) 10,719
従業員数(人) 4,128
外、平均臨時雇用者数 1,619
連結子会社 32社
持分法非適用非連結子会社 1社
持分法非適用関連会社 8社

ポーラ・オルビスホールディングスグループは、純粋持株会社制を導入しており、ポーラ・オルビスホールディングス及び子会社33社で、ビューティケア事業を始めとした「美と健康」に関わる事業を中心に展開しています。

ポーラ・オルビスホールディングスは、持株会社としてグループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への経営管理業務(経営上の重要事項に係る指導・助言等)を行なう経営体制となっています。

主力のビューティケア事業は、中核企業の株式会社ポーラ、オルビス株式会社の他、株式会社ACRO、株式会社DECENCIA、トリコ株式会社や、海外ではJurlique International Pty.Ltd.、H2O PLUS, LLC*、トラベルリテール事業を行っているPOLA ORBIS Travel Retail Limited、ポーラオルビスグループの化粧品の研究開発と生産機能を担っているポーラ化成工業株式会社等を中心に事業を展開しています。

ビューティケア事業は、国内市場の基幹ブランドとして、「POLA」がハイプレステージとプレステージをカバー、「ORBIS」がミドル以下をカバーする構造になっています。

また海外ブランドとして「Jurlique」「H2O PLUS」*を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」を展開しています。

*注意: H2O PLUSブランドは、米国を中心に化粧品の製造・販売を転機してきましたが、事業環境は厳しく、計画を下回る業績で推移したこと、また、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革と更なる収益性向上を目指す一環として、2022年4月28日付でH2O PLUSブランドが展開する全事業から撤退することを決定しています

ポーラの特徴:

ポーラのブランドは一部百貨店にも展開していますが、主力事業である委託販売チャネルでは、全国2,946拠点のショップ、27,280人のビューティーディレクター(2022年12月31日時点)を通じたカウンセリング販売を実施しています。

ショップオーナー/マネージャー、ビューティーディレクターは、委託販売契約に基づく販売パートナーである個人事業主であり、ショップは、ポーラグループ外の独立した組織として存在しています。

株式会社ポーラから直接指導を受けた販売パートナーによるカウンセリング販売がポーラの最大の特徴です。

近年ではエステサービスの充実、エステと化粧品を融合した集客型店舗「ポーラ ザ ビューティー」(2022年12月31日時点537店舗)の展開や百貨店等への出店拡大等、店舗販売にも注力います。

POLAブランドでは、市場からのニーズが高いエイジングケア・美白を中心とした高付加価値商品の投入、ならびに基本活動であるカウンセリング・エステに注力することで、継続率の高い顧客の獲得を目指しています。

オルビスの特徴:

オルビスは1987年にポーラの通販化粧品部門として誕生し、オルビス、アクアフォースやオルビスユ―、クリアなどのブランドを展開しています。2000年以降はインターネットやSNS、カタログやチラシ等を活用した通信販売だけでなく、店舗展開(駅ビル等の商業施設に出店している店舗「オルビス・ザ・ショップ」(2022年12月31日時点95店舗)における店舗販売を中心に事業活動をしています。

オルビスは高品質な商品が低~中価格帯(1,000円~3,000円)で通信販売で購入できるという点が、忙しい女性に評判になり、事業を拡大してきました。

比較的新しいブランドと思えるかもしれませんが、既に発売以来30年以上の歴史を刻んでいます。

その間、国内市場では自然派化粧品ブランドは乱立し、オルビスのブランド価値も希薄化してきました。

そのような環境下で高収益事業へと再成長を遂げるため、リブランディングや「オルビスユー」シリーズの導入を行い、「オルビスアクア」シリーズ、「クリアフル」シリーズを加えて主力商品としています。

また、化粧品の他に、「オルビス ディフェンセラ」をはじめとした特定保健用食品による新たな顧客層の獲得や、ボディファッション品の販売により、ブランド差別性の創出による存在感の向上に取り組んでいます。

2022年12月期(2022年度)の連結業績概要

2022年12月期(2022年度)における、ポーラ・オルビスの連結業績は、売上高が前年同期比6.9%減の166,307百万円という結果でした。

利益面では、営業利益が売上高減による売上総利益減少により、前年同期比25.5%減の12,581百万円、経常利益は為替差益2,355百万円の計上により、前年同期比21.3%減の14,928百万円となっています。

親会社株主に帰属する当期純利益は無形固定資産の減損損失を計上した一方で、子会社の清算を決議したことに伴う法人税等調整額の減少により、前年同期比2.5%減の11,446百万円という結果でした。

全体の業績としては、売上や利益ともコロナ前の水準を回復できていない状況が継続しています。

以下は2022年12月期のセグメント別、売上、利益の概要です。

2022年12月期 事業セグメント別の業績

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
ビューティケア事業 161,654 97.2% 13,793 95.9%
不動産事業 2,083 1.3% 491 3.4%
その他事業 2,569 1.5% 96 0.7%
合計 166,307 100.0% 14,381 100.0%
調整額 -1,800
計上額 166,307 100.0% 12,581

ポーラ・オルビスの中長期戦略

ポーラ・オルビスグループは、創業100周年にあたる2029年を見据え、Missionとして「感受性のスイッチを全開にする」、Visionとして「ブランドひとつひとつの異なる個性を生かして、世界中の人々の人生を彩る企業グループ」、さらにこれらを実現するための5つの行動指針を加えた、グループ理念を掲げています。

この企業理念のもと、個性・特徴を持ったブランドを複数保有し、それぞれの事業が成長することでグループ全体の企業価値向上を図っていく、「マルチブランド戦略」を展開しています。

化粧品のみならず、ウェルビーイングや社会領域へも事業を拡張し、「多様化する『美』の価値観に応える個性的な事業の集合体」を目標に掲げ、化粧品事業のグローバル展開とブランドポートフォリオの改革と拡充、新価値の創出と事業領域の拡大、研究・技術戦略の強化の3つを挙げて事業を展開していく計画です。

新中期経営計画(2021年~2023年)では、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により一変した経済・市場環境を踏まえて、持続的な成長に向けた基盤構築の期間と位置づけ、長期経営計画(VISION 2029)の1stステージとして、またコロナ禍以前(2019年12月期)の業績回復を目指し、以下を柱とした戦略を展開しています。

  • 国内ダイレクトセリングの強化
    • POLAブランド:
      • OMO推進、国内の顧客情報を統合し各チャネルをシームレスにつなぐ新ビジネスモデル構築
      • 国内共通の顧客基盤構築により、各チャネルの特性や強みを活かした高LTV事業を実現
      • 回復基調にある顧客数の反転とLTV向上に向けた先行投資でトップライン拡大を優先
    • ORBISブランド
      • 独自のカスタマーデータプラットフォームを進化、顧客数増加とLTV最大化で増収転換
      • 商品購入だけでなく美容成功体験を提供、LTV最大化を実現。
      • アプリの新サービス「肌カ.ル.テ」で顧客に寄り添う伴走型コミュニケーションを提供
      • 顧客情報の分析を高度化、1to1のコミュニケーションでスキンケア+αの購買を促進
      • スキンケア領域の戦略的拡張でターゲット市場規模を拡大
      • 拡大する50代以上の市場でシェア拡大、シニア世代向けの新スキンケアを発売。
      • 未開拓市場に向けた戦略商材発売を計画。
  • 海外事業の利益ある成長
    • POLAブランド
      • 中国大陸が最重点市場、ブランドプレゼンス確立
      • オフラインは出店を継続、顧客接点を拡充し更なるブランド認知拡大と顧客体験の充実を図る。
      • オンラインは独自コンテンツ配信を強化、新たなプラットフォームへの出店検討
      • 中国大陸以外のアジアにおける成長加速
      • アジアを中心とした新規国へ展開し、グローバルでのブランドプレゼンス向上、中国市場に次ぐ成長基盤を構築
    • Jurliqueブランド:
      • トップライン拡大とともに更なる構造改革を進め損益分岐点を改善、早期黒字化を目指す
      • 中国はオンライン中心に成長加速、豪州・香港はアフターコロナにおける事業回復を実現
      • ブランドプレゼンスを確立。フェイシャルスキンケアの強化。スター商品を軸に顧客獲得・エンゲージメントを強化
      • スパトリートメントによるブランド体験強化。
      • 固定費の削減、費用コントロール強化。商品パッケージの再生可能素材への切り替えで原価・環境負荷の低減
    • ORBISブランド:
      • 中国市場への投資による成長加速と黒字化
        • 既存のオンラインチャネルに加えて、今後拡大が見込める内陸部都市の中間層をターゲットとしたオフライン展開の拡大
        • 顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化
    • THREEブランド:
      • 中国市場への本格的な進出、積極的な投資により成長加速
      • 中国ローカル市場での展開本格化
      • 代理店を活用しオンライン・オフラインの両チャネルで早期に顧客接点を拡大
  • 育成ブランドの利益貢献(THREEブランド Amplitudeブランド ITRIMブランド FIVEISM×THREEブランド)
    • THREEは2024年の黒字化達成に向けた構造改革を推進
    • DECENCIAブランド:
      • プレステージブランドとしてのブランディング強化
    • FUJIMIブランド:
      • 更なる事業拡大と黒字化
      • 新ブランドメッセージ発信、新商材としてスキンケアシリーズを発売し成長加速
  • 経営基盤の強化
      • 新価値創造に向けた独自の研究戦略、研究開発投資の強化
        • シンガポール研究拠点へ研究員を派遣、新価値創造のインフラ構築
        • スタートアップへの出資・アライアンスで外部連携強化、研究開発・実用化のスピードアップ
        • TDC(Technical Development Center)が2024年稼働開始予定
      • 海外組織体制:
        • グローバル展開加速に向けて海外組織体制を再編
        • ブランドごとに独立した事業運営体制から、地域区切りの運営に変更
        • 現地への権限移譲で意思決定を効率化、現地リソースの最大活用とオペレーション最適化を図る
  • 新ブランド、「美」に関する領域拡張
      • 新規事業開発手法の複線化による、事業化のスピードアップ
        • 社内の起業志望の人材に対し、事業化テーマを提供して新規事業を創出
        • 社外の起業家候補に対し、ビジネス立上げ段階でのシード投資。
        • 起業家人材獲得の強化
      • 研究開発型スタートアップへのLP出資*を通じ、アライアンス加速
        • スタートアップの保有する有望技術と自社技術と融合しコア技術創出。
        • 実装フェーズにある外部技術を活用することで、開発・実用化の律速を解消
          • *LP出資:LPとは、「Limited Partnership(リミテッド・パートナーシップ)」の略称。 所定のベンチャー企業へ出資をする際に、対象企業へ直接資金を投入して出資するのではなく、出資資金を募ってベンチャー企業を支援することを主たる業務とするベンチャーキャピタル(VC)を通して出資する形態

上記は中期経営計画の骨子のみですが、25年卒、26年卒でポーラ・オルビスを就活の対象と考える方は、独自の販売チャネルや長期ビジョン、中長期のプラン、戦略の方向性や内容を理解した上で、自身の就活の軸や志望動機に活かしてください。

成長のためには、中国市場を中心とした海外展開の成否とイノベーションが起こせるかがが鍵となっています。

まとめ

以上駆け足で4大ブランドをみてきました。それぞれ特徴がありますが、コロナ禍以前では、日本製のプレステージ、ハイプレステージブランドが日本、およびアジア、特に中国で受け入れられており、各社とも現地での販売拡大や、訪日外国人観光客の需要を取り込んで全般的には好調だった共通点があります。

しかしながら、2020年度~2022年度は、各社とも、全世界での新型コロナウイルス感染症の影響により業績の悪化は避けられませんでした。

2022年度も中国市場の大規模なロックダウン政策により、大きな影響を受けた1年でした。インバウンド消費は2022年度に入っても、復調せず、2023年度に入って、ようやく外国人観光客が戻りはじめ、今後が期待できる状況になってきました。

各社とも成長のために、海外マーケットでの売上を伸ばすこと、デジタルチャネルでの販売強化、オンラインとオフラインのマーケティング上の連携、スキンケアへの一層の注力、国内インバウンド需要の再拡大が課題である点も共通しています。

インバウンドやツーリスト需要拡大は再成長のためのドライバーであることは間違いないですが、それだけではなく、真に展開各国でのマーケティングに勝っていくことが、これからの日本の化粧品メーカーに求められています。

各国のマーケティングによるプレゼンス強化が、まわりまわってインバウンド消費にもつながるため、それぞれのブランド価値を各国で高めることが成功への鍵であることは明らかです。

これから大手化粧品メーカーを目指す皆さんは、ぜひ新たな市場や、ビジネスの開拓に果敢にチャレンジしていく気概をもっていただければと思います。

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