就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
総合電機業界情報の6つのポイントを押さえよう
- 総合電機メーカーのビジネスモデルを理解しよう
- 総合電機メーカーの現状と課題・未来
- 総合電機メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 総合電機メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
- 総合電機メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
- 総合電機業界の構造と主要企業の概況
Contents
総合電機メーカーのビジネスモデル
現在就活に取り組んでいる学生の皆さんが、総合電機メーカーと聞いてまず思い浮かべるイメージは家電を中心としたBtoCビジネスでしょう。また思春期になったころから、日本の電機メーカーが作る家電製品が、世界で苦戦しているニュースも数多く耳にしてきたでしょう。
かつては日本を代表する家電を製造していたシャープや東芝と言った大企業の経営危機も大きく報じられてきたため、総合電機メーカーのビジネスに疑問を持っている方も多いでしょう。
しかし一方で総合電機メーカーは就活生にとって根強い人気がある業界です。この記事ではメーカーの代名詞でもある総合電機メーカーのビジネスモデル、現在の状況と課題、そしてその未来について解説していきます。
総合電機メーカーのビジネスの構造
メーカーによって温度差や部門は異なりますが、総合電機メーカーは消費者向けの製品(BtoC)と業務用製品(BtoB)の事業を手掛けています。
電機業界全体でみると、発電用・送電用・配電用電気機械器具製造業、産業用電気機械器具製造業、 民生用電気機械器具製造業、電球・電気照明器具製造業、電池製造業、 電子応用装置製造業、電気計測器製造業、その他の電気機械器具製造業という分類ができますが、総合電機メーカーは全てではないにしろ、これらを総合的に扱っている業態と理解しましょう。
また、重電機器と軽電機器という分類もあります。
重電機器とは工業用に使用する電気機械、軽電機は一般家庭や事務所用品となっているような,スケールの小さい電気機器全般と理解しましょう。
重電機は一般的には受注生産で、設計から製造、加工、組み立て、設置、メンテナンス・サービスまでを一貫して行います。
軽電機は家電製品をイメージすれば良く、消費者のラーフスタイルのニーズや変化に応じて製品を開発・製造して販売をします。
軽電機の中でも冷蔵庫や洗濯機などの生活用を「白物家電」、TVやオーディオ製品などの娯楽用を「黒物家電、もしくは茶物家電」という言い方で分ける場合があります。
ビジネスの流れ
総合電機メーカーのビジネスの流れは、重電部門であっても軽電部問であっても、顧客や消費者のニーズやウォンツを満たすための製品の設計を行い、製造に必要な部品の調達を行い、製造して国内販売、もしくは輸出を行います。
販売は、販売子会社や特約店、代理店、卸売業者に対して行います。
家電の場合は流通・小売業者を通じてその製品が最終消費者まで届けられるのです。そして製品が顧客や消費者に渡った後は、消耗品を除いて製品のアフターサービスを行うという流れになります。
軽電機部門は価格競争も厳しいことから、海外で最終組み立てまで行うEMS(電子機器受託生産)の導入も加速しています。EMS企業が設計に基づいた部品調達と組み立てを行い、完成品まで仕上げる方式です。
総合電機メーカーはグローバルビジネス
総合電機メーカーのビジネスはグローバルビジネスです。
かつては白物家電やテレビ、オーディオ製品、あるいはラップトップPCで大きなプレゼンスを占めていた日本の家電メーカーですが、韓国のLGやサムソン、中国のハイアールをはじめとするメーカーの攻勢によって海外での市場シェアを失ってしまいました。
しかし、日本の総合電機メーカーの売上比率を見てみると、例えば国内が強いと言われていた日立製作所の2020年3月期の売上比率は、国内51.7%,海外48.3%とであり、海外ビジネスは約5割であり、その比率は高まる傾向です。民生用の強いソニーの海外売上比率は約70%、パナソニックは現状53%の比率を2022年度までに60%にまで高める計画です。
国内市場は人口減少社会となっていくために、企業が成長するためにはどうしても外の市場が必要なのです。総合電機メーカーに就職を目指す皆さんは、グローバル市場を相手にビジネスをすることを前提に考えて下さい。
総合電機メーカーの現状と課題、そして未来
日本の総合電機メーカーはここ20年間、ほとんどの時期をアゲンストの風の中で事業を展開してきました。
日本のバブル経済の崩壊、ITバブルの崩壊、韓国や中国の海外メーカーの台頭、リーマンショック、東日本大震災などを経て、生き残りのためにビジネスの構造を変えてきました。
総合電機メーカーは、特に家電に関しては非常に幅広い分野で、且つ非常に多くのモデルに細分化したマーケティングを行ってきました。
しかしながら海外(韓国や中国)の新興企業は選択と集中という戦略で経営資源を投下して、その特定市場のシェアを獲得する戦略であったため、日本のメーカーは次第にシェアを奪われ撤退や事業売却をせざるを得ない事業も多かったのです。
更に、アップルがiPod、iTune、iPhoneでハードとソフトの在り方の概念を変える、イノベーションによるゲームチェンジによって、かつて日本メーカーの独壇場であった音楽再生端末や携帯電話、コンパクトデジタルカメラの市場を奪われてしまいました。
携帯音楽再生機、携帯電話やスマートフォン事業、PC事業、TV事業などはその代表的な例です。
このように不採算になってしまった事業の売却や、逆に有望なベンチャーや海外企業のM&Aは、総合電機メーカーのポートフォリオを健全に保ち更に成長するための大事な戦略になるでしょう。
BtoCでは競争環境が厳しく、高品質・高機能家電がを器を製造し、その製品の売り切りによって収益をあげることが難しくなったため、現在ではその事業を川上と川下に付加価値をつけて展開していくトレンドにあります。
川上への展開
川上とは、収益性の高いデバイス(部品や装置、システム)の外販であり、BtoBビジネスへの注力を意味します。川下とはサービス事業への展開・転換を意味します。
BtoBビジネスの分かり易い例は、車載用機器や産業用(工場の自動化やロボット事業)でしょう。
自動車分野ではEV化が急速に進むことが予測されているため、総合電機メーカーには追い風になります。特に高性能バッテリーやナビゲーションシステム、自動運転のためのセンシングなどは、現在でも事業化され、注目されている分野です。
更に、日本市場に於いては生産人口の減少による人手不足や、世界的な人件費の上昇トレンドから工場の自動化のニーズが益々高まっつています。AI技術やロボティクス、さらにはIoTの技術を融合・応用できる分野が広がっていくでしょう。
これらのBtoB分野への選択と集中により、その事業を磨くことは、参入障壁が高い分野でビジネスができる事を意味するのです。
川下への展開
日本の総合電機メーカーが作る家電製品は多品種、多モデルであり、製品のライフサイクルも短いため欧米の総合電機メーカーに比べて収益率が低い傾向にあります。
そこで総合電機メーカーは、いち早く製品売り切り型のビジネスではなく、製品販売後に利用されるソフトや消耗品、またはメンテナンス・サービスで収益を上げる事業を育ててきました。
BtoCの例では、ゲーム機を販売し、ソフトの配信や販売で収益をあげるモデルを考えれば分かり易いと思います。
マスで商品を売る時代は終わり、多様化する消費者ニーズにいかに“価値(ハードウエア+サービスなどのソフトウエアも含む)を提供するかが重要になっているのです。
この種のビジネスはリカーリング(継続的に収益をあげていく)と呼ばれており、携帯電話会社やゲームの課金、スマホのアプリ内課金や、古くはコピー機やプリンターなどもリカーリングモデルの分かり易いカタチです。
しかしソニーのゲーム事業などの一部を除き、リカーリングビジネスで総合電機メーカーが最も重視しているのはBtoB事業であり、IoTを基盤としたビックデータの分析、センサ技術等の発展によって新たな市場をつくることが期待されているのです。
イノベーション戦略
IoTやAIの技術革新は、異業種が全く新しいアイディアで革新的な製品やサービスを掲げて市場に参入する機会を拡大を意味します。この大変革ともいえる時代に日本の総合電機メーカーがとりうる戦略は以下の柱になります。
- ソフトウェア・サービスを事業に組み込み、技術やハードウェア偏重を払拭していく
- DX(デジタル・トランスフォーメーション)への取り組み強化
- 新素材開発やマルチマテリアル化(従来の素材の置き換え)による製品のイノベーション
- BtoBビジネスでの得意分野への選択と集中によるイノベーション。グローバルニッチ分野の開拓(グローバルニッチとは突出した技術で特定の分野では唯一無二のグローバルトップ製品の製造や、海外での生産性の高い製造ライン構築等を指す)
- 異業種や様々なタイプの企業、国境を越えた新しいパートナーとの連携による新しい市場の創出(オープンイノベーション)
それぞれ奥深い内容なので、総合電機メーカーに興味がある方は更に研究を深めていってください。志望動機の「将来、この企業で実現したいこと」のヒントになると思います。
新興国でのマーケティング
かつては新興国の家電市場でもプレゼンスが高かった日本製品は、その市場を韓国メーカーや中国メーカーに奪われて久しい状況が続いています。
日本製品はこれらの市場にはオーバースペックで価格が高く、普及段階で韓国・中国メーカーにその間隙を突かれてしまいました。
BtoCマーケティングという意味でも韓国メーカーは日本メーカーよりはるかに、ローカルマーケットを研究して、現地のニーズに合った商品開発やマーケティングを行っているのです。
すでに遅きに失した感はありますが、エレベーターや空調システムなどのBtoB事業はまだ日本メーカーの優位性が十分発揮できる分野です。さらにシステムソリューション事業やインフラ事業なども拡大を狙える分野なのです。
BtoC事業で再度ブランド価値を上げられれば尚素晴らしい事ですが、当面は海外市場で稼げるビジネスを拡大していくことが課題なのです。特に新興国でプレゼンスを確保していくことは今後の成長のためには重要と考えられています。
以上駆け足で解説してきましたが、総合電機メーカー各社にはそれぞれ特徴があり、取っている戦略、重きを置いている戦略や事業も違います。
例えばソニーはBtoBビジネスより、コンテンツやソフトの開発事業が生命線です。BtoBの象徴ともいえる自動車産業への取り組みでも、ソニーはセンシング技術、パナソニックはリチウム電池など、強化している技術にも違いがあります。
この記事は最大公約数の内容になっているため、この業界に興味がある学生は更にメーカー毎の違いや共通点を研究をしていきましょう。
この記事を読んだ人は、以下の記事を併せて読んでいます。
36の質問で、あなたの強み・適職を診断
就活は自己分析が必須!…ただ、やり方がわからず、悩んでいる人も多いはず。 そんな時は、自己分析ツールを活用しましょう キャリアパークのツールを使えば、36の質問に答えるだけであなたの強み・適職を診断できます。 サクッと自己分析を終わらせ、内定を勝ち取りましょう。あわせて読みたい!就活に即効の記事、ベスト5
- 1
-
26年卒の登録が殺到中!大手企業も利用するオファーボックスで、インターン情報やスカウトをもらおう
資生堂、マイクロソフト、朝日新聞、ニトリ、コクヨ、SoftBnak、JCB、ATEAM、sansan、Nissin、Opt、Funai Soken、RISOなども利用している逆求人型スカウトサービスのOfferBoxを賢く使い、就活のもう一つのルートを開いておこう
- 2
-
25年・26年卒の就活生には、dodaキャンパスを賢く利用する打ち手がある
少しでも納得感が高い内定を目指す25年卒の就活生、インターンに参加したい26年卒の就活生は、スカウトサービスで急成長しているdodaキャンパスを試してみよう。オファーの受信率は99%(23卒2022年6月時点、プロフィール入力率80%以上の場合)。ベネッセならではの充実したオンライン講座やイベント、本格的な適性診断まで無料で使えます!
- 3
-
納得できる内定獲得のための就活サイト、【就活会議】に無料登録すれば、88,000枚以上の本物のESを閲覧できる!
就活は情報戦。企業が提供する情報は重要ですが、それだけでは不安です。実際の社員の評価や、選考を受けた先輩達の口コミによる生の声を入手できる「就活会議」を徹底解説。ESや選考情報のリアルを手に入れよう
- 4
-
落ちてしまった選考の結果を、スカウト獲得に活用できる心強いサービスがある
スカウトサービスの大手、【キミスカ】の特徴は、落ちてしまった選考の結果さえもスカウト獲得に利用できる点です。それまでの頑張りを評価してくれる、「本当のあなた」を認めてくれる企業からのオファーを獲得しよう
- 5
-
【25年卒】首都圏の学生で、納得できる内定が取れていない人への神サービスを試してみよう
もう一人で悩まなくていい。就活の専任アドバイザーがマンツーマンでES添削・面談対策をしてくれ、しかもあなたに合った優良企業を紹介、完全無料の就活サポートをしてくれる「キャリアチケット」を紹介します