就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
化学メーカーの7つのポイントを押さえよう
- 化学メーカーのビジネスモデルを理解しよう
- 化学メーカー、業界の現状と課題・未来
- 化学メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 化学メーカーに働く人のモチベ―ション、「やりがい」は何か
- 化学メーカーに向く人、向かない人はどういう人か
- 化学業界の構造
- 総合化学メーカー主要各社の概況
更に化学工業、化学素材メーカーに勤める人の共通のモチベーションや「やりがい」、この業界に抜いている人、向いていない人、「適性」に関するアウトラインを解説します。
本気で化学業界を目指すかどうかの参考にしてください。もちろん最後に判断するのは、自分自身です。判断の参考になる情報を分かり易くまとめておいたで、自己分析の結果と照らして是非活用してください!
Contents
化学メーカーの職種:主要な職種と仕事内容
化学工業、化学素材メーカーの職種は大きく、技術系、営業系、事務系と分けて理解するのが分かり易いと思います。特に技術系、営業系の仕事内容は化学メーカーの特徴があるので把握しておきましょう。
技術系職種
技術系職種の中の分類は企業によっても考え方の差がありますが、仕事内容で分けると概ね以下の分類ができます。
既に事業化している中間財、製品に関する基礎研究や応用研究、新たな用途の開発や製品の改良、改善が主な職務になります。顧客からの要望に応えるのが第一の役割であり、短期的に結果を出すことが求められます。
顧客から要求されたデータの提出や、顧客との技術的なミーティングにも参加します。新しくした点や改善したポイントなどのプレゼンや提案も営業と共に行います。研究・開発職には特許の取得というミッションもあります。
まだ世の中に存在しない新しい素材の開発が主なミッションになります。素材にもよりますが、長期に渡り研究が必要なテーマ、基礎研究もあり、かならず成功するとも限らない仕事です。
新素材や製造方法の研究開発と、特許の取得によって企業に利益をもたらすのが役割となります。
製品の製造を効率的、経済的、安全に行い、求められている品質とコストを両立できるようにする役割を担います。
製造現場を管理する工場もしくは工場近隣のオフィスでの勤務が基本になります。顧客からの品質に対するクレームへの対応も重要な役割です。新製品の製造ラインの設計、開発も担当します。
生産・製造技術開発部門の中で自社プラントの機械、電気系統の設計、維持管理、定期的な修理関係を担当します。
化学メーカーの場合、営業は文系出身者が知識を習得して行う場合もありますが、その営業を技術的にサポートする技術営業と呼ばれる部門を持っている場合があります。
営業と共にセミナーを開催して自社製品のプレゼンを行ったり、海外への営業に同行したり、現地の販売会社や代理店の指導を行ったりという、技術開発部門と営業を繋ぐ役割を担っています。
化学メーカーの場合、品質管理部門を独立した組織としてコンプライアンス体制を敷いています。その製品が顧客の求める品質を満たせていない場合、その素材を使用した顧客の製品の不具合につながり大きな問題に発展してしまうことになるため、素材メーカーとしての社会的な信用を失うことになります。
そのため品質管理は地味ですが非常に重要な役割を負っています。製品の分析と判定、クレーム対応、法令対応を担当します。
全社の特許を専門の弁理士とともに取り仕切ります。出願地域、国での調査や開発部門をサポートして出願に必要な書類の作成及び申請を行います。また特許の係争に対する対応も担当します。
営業職種
化学メーカーの営業は基本的に一つの担当部門は少数精鋭の4から5人で担当します。大口の固定顧客が多く、取引の額が大きいために少数で賄えるという特徴があります。また商社経由の取引もあるため、その場合は取引の相手は商社になり、こちらも更に大口の契約が基本となるためです。
基本は既存の顧客との良好なコミュニケーションをとり、顧客の動向や要望、競合の動向に関する情報を収集して社内にフィードバックする役割を負います。
海外駐在の場合と、国内から海外市場への輸出というかたちで海外の顧客への営業を行います。仕事の内容は国内の営業と同じですが、現地法人に対する教育や支援、本社関係部門との調整、コーディネートも重要な役割となります。
事務系・業務系職他
経営形態として、事業ごとでカンパニー制を引いている場合や企業によっては海外事業部として海外案件や進出先現地法人及び提携企業との連絡・調整業務を独立して行なっている場合もあります。
化学工業、化学素材メーカーに働く人のモチベーション、「やりがい」は何か
化学工業、化学素材メーカーで働いている人のモチベーションや「やりがい」を確認しておきましょう。当然職種によってもやりがいは違いますが、共通している部分もあるので、代表的な声をまとめておきます。
- 世の中の広汎な産業を支え、化学素材が色んな用途で使われて人々の生活を支えている事実がこの仕事の「やりがい」に繋がっていると思います
世の中のまだないものをつくっていく喜び
- 何と言っても、試行錯誤とデータの分析を重ねて、未だ世の中にない素材や、意図した機能をもった素材を開発していくことが「やりがい」です。
- 特許の取得も大きなモチベーションになっています。画期的なものを開発し、業界内や社会的にも評価されることがモチベーションの源泉です
研究者や専門家と仕事をしていると実感できること
- 化学会社には製品やテーマ別に専門家集団による事業が行われており、知識の習得や自分自身の成長も実感できます。そのチームの一員として働くことがモチベーションに繋がっています
応用分野が広く色んな業界と関わることができる
- 扱っている製品分野にもよりますが、概して化学素材は応用範囲が広いため、提案によってビジネスのフィールドを拡げることができます。また様々な業界の新規案件に取り組むチャンスがあります
世界を舞台にした仕事ができる
- 海外出張も多く、海外の顧客との接点も多いため色んな経験ができる点はモチベーションになります
- 化学素材メーカーの場合、若いうちから海外案件に携わる機会も多く、仕事を通じて成長を実感できます
- 世界でトップシェアの製品に携わることができると、その事業に携わっていることがそのままモチベーションに繋がっています
化学プラントを常時安全に稼働させること
- 化学プラントは規模も大きく、複雑な工程を経て製品をつくっているため効率よく安全にプラントを稼働させることは非常に重要な職務です。生産現場であたりまえのことを着実におこなっていることは自分自身のプライドとしてモチベーションになっています
顧客からの感謝されること
- 顧客のオーダーをきっちり満たすことができると、感謝や信頼を獲得できます。お礼の言葉をもらえる時は率直に喜びを感じることができます
安定した環境でじっくり仕事に取り組めること
- 顧客の要望を満たすのはどの業界でも同じだと思いますが、基本BtoBのビジネスであり素材という製品の性格上、営業のサイクルや要望にこたえていくプロセスでは緊急案件は少ない傾向です。リーズナブルな時間が取れることが多く、そのため落ち着いて仕事に取り組めます。もちろん扱っている製品や事業部で大きな差がありますが、素材部門は比較的安定した環境で仕事ができます
上記は業種や職種によっての差はありますが、化学工業、化学素材メーカー業界の本質的な部分と密接に関連した共通の「やりがい」やモチベーションです。
これらのコメント、内容に共感できた方、ピンときた方は、化学業界に「向く人、向かない人」はどういう人かについてもイメージを持っておきましょう。
化学工業、化学素材メーカーに向く人、向いていない人はどういう人か
化学工業、化学素材メーカーに向いている人
当たり前のようですが、面接でもよく質問される場合があります。化学メーカーを志望する人は、化学に興味を持っていることが前提と考えて下さい。
理系の学生は自身の専攻を選んだ理由と志望理由との関係も答えられるようにしておきましょう。文系の学生も、化学に対する興味や志望理由もまとめておきましょう。
メーカーを志望する人の共通の適性ですが、特に化学素材メーカーの場合は他の産業のメーカーが製品をつくるための原料・素材を供給することになります。素材メーカーとしてのモノづくりに対する興味は基本的な適性の一つです。
研究開発職は選考過程でも専門分野に対する能力はシビアに評価されます。与えられたテーマに取り組める基礎知識や向上心があることは当然ですが、加えて、結果が出るまで粘り強く物事に取り組めることも、化学メーカーへの適性の一つです。
テーマによっては長い期間、地道な努力を積み重ねていくことも多いため、粘り強さ、継続力、忍耐力のある人、どんな時、どのような仕事でも前向きに取り組める性格の人には向いている職場です。
また営業職の場合もBtoB領域が多いため、派手さはなくても誠実に取り組み、粘り強く長期に渡る信頼関係を構築できる人は向いています。
研究開発職、エンジニア、製造工場をはじめ、化学メーカーのモノづくりのプロセスでは多くの人や部門が関わります。チームワークで仕事をすすめられないと務まらない職場です。営業も含め、社内でのチームワークは非常に重視される業界です。
化学品や素材の生産・製造は概して大規模なプロセスで構築されているため、物事を論理的に考えることが得意で、データの分析ができることは非常に重要な資質と言えます。
データやロジックに裏打ちされていること、定量データがついていることが求められる業界でもあります。
大手のみならず、化学メーカーは海外事業を持っており、その重要性は益々高まっています。国内市場で大きな需要増が見込めない中、成長のためには外に活路をもとめるしかありません。英語をはじめ中国語、スペイン語などの語学が得意な学生は有利です。
海外市場への興味や、海外で活躍したいという強い意思がある人は化学業界は一つの選択肢になるでしょう。
化学工業、化学素材メーカーは危険物を扱うことも多く、一歩間違えば大事故や企業の信頼性を大きく傷つけてしまう事態にもなりかねないため、職務に対する責任感や法令順守、コンプライアンスへの高い意識が求められます。
旧財閥系企業も多く、古い体質も残っている業界なので、企業にもよりますが上下関係も厳しい傾向です。年配者や先輩、同僚、同期、部下との関係がうまく築ける人は適性があります。
化学工業、化学素材メーカーに向いていない人
向いていない人は向いている人の逆の資質です。重複になるので箇条書きのみでまとめておきます。
- 化学にとりたてて興味がない人
- モノづくりに対して特別な思い入れがないひと
- 化学素材の役割や意味に対して興味が薄い人
- 物事に粘り強く取り組むことが苦手な人。直に結果を求め、結果が出ないと直に諦めてしまう人。飽きっぽい人
- チームワークで仕事をするのが苦手な人。一人で仕事をするのが好き、集団で何かを成し遂げることに喜びを感じない人。個人や個性が最大限受け入れられないと嫌な人。
- 論理的に物事を考えるのが苦手、感覚的な判断、感性や感情による判断を重視する人。データをみるのが嫌いな人
- 語学が嫌いな人、語学に対する向上心がない人
- 国内だけでビジネスをしたいと考えている人
- 責任感や規範意識に欠ける人
- 上下関係を受け入れるのが苦手な人、年配者や先輩との関係構築が苦手な人
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