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【就活の業界研究】:鉄鋼メーカー主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では金属・ガラス・セメント素材業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

金属・ガラス・セメント素材業界の6つのポイントを押さえよう

  • 金属・ガラス・セメント、素材業界の特徴とビジネスモデル
  • 金属・ガラス・セメント、素材業界の現状と課題・未来
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 金属・ガラス・セメント、素材メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では金属素材製造業界の中で就活生に人気が高い、鉄鋼メーカーの売上上位企業に絞ってメーカーの現況やその事業を取り巻く状況をまとめて解説します。

高炉メーカー、電炉メーカーそれぞれの上位企業を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に概要を解説していきます。

就活生が、将来を鉄鋼メーカーに託したいと思うか、自分の志望の意思を固める上での参考にして下さい。

目次の企業名をクリックorタップすることで、読みたい企業の説明に遷移します。

鉄鋼・高炉メーカー、上位企業の概況

日本製鉄株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 7,975,586
事業利益 (百万円) 916,456
親会社の所有者に帰属する当期利益・損失(百万円) 694,016
当期包括利益(百万円) 926,920
従業員数(人) 106,068
外、平均臨時雇用者数 15,922
連結子会社 360社
持分法適用関連会社 97社

日本製鉄株式会社は、1950年4月1日に設立され、1970年3月31日に八幡製鐵株式会社と富士製鐵株式会社が合併し商号を新日本製鐵株式會社に変更、2012年10月1日に住友金属工業株式会社と合併し商号を新日鐵住金株式会社に変更、さらに2019年4月1日に商号を日本製鉄株式会社に変更しています。

一部の学生の方は、旧社名の「新日鉄住金」で記憶されている方もいると思いますが、2019年4月に社名変更していますので注意しましょう。

日本製鉄の事業セグメントは、製鉄、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4事業に分かれ、グループ企業と共に事業を展開しています。

事業セグメントの概要は以下の通りです。

  • メインの製鉄事業は、日本製鉄も含め国内・海外377社に及ぶグループ企業によって、幅広い鉄鋼製品の製造販売を展開しています。

 

  • ケミカル&マテリアル事業は、2018年10月1日、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が経営統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、化学事業と新素材事業を統合し、ケミカル&マテリアル事業として再編しています。
    • 具体的には日鉄ケミカル&マテリアルを中心にした25社によって石炭化学製品、石油化学製品、電子材料、半導体・電子部品用材料・部材、炭素繊維・複合材、金属加工品の製造販売を行っています。
  • エンジニアリング事業日鉄エンジニアリングを中心に、製鉄プラント、産業機械・装置、鋼構造物等の製造販売、建設工事の請負、廃棄物処理・再生処理事業、電気・ガス・熱等供給事業を34社で手掛けています。

 

  • システムソリューション事業コンピュータシステムに関するエンジニアリング・コンサルティング、ITを用いたアウトソーシングサービスその他の各種サービスが事業内容となり、日鉄ソリューションズを中心に21社で事業を行っています。

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

日本製鉄の2023年3月期におけるグループ連結業績は、通期の売上収益は7兆9,755億円(前期は6兆8,088億円)となっており、前期に続いて大幅な増収でした。

利益面では、事業利益は9,164億円(前期は9,381億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,940億円(前期は6,373億円)という結果になっています。

世界粗鋼生産量は過去に例を見ない長期間かつ大規模な減少が継続した経営環境下にあって、日本製鉄単独粗鋼生産量も2012年の経営統合後ピークの4,900万トンレベルから、2022年度は3,425万トンに著しく減少しましたが、従来からの抜本的な収益構造対策等の継続により収益の最大化に取り組んだ結果の業績となっています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント状況

事業名 外部顧客売上収益(百万円) 売上構成比 セグメント利益(百万円):事業利益 利益構成比
製鉄事業 7,176,756 90.0% 861,443 93.5%
エンジニアリング事業 319,365 4.0% 11,674 1.3%
ケミカル&マテリアル事業 257,648 3.2% 16,170 1.8%
システムソリューション事業 221,815 2.8% 32,111 3.5%
合計 7,975,586 100.0% 921,401 100.0%
調整額 -4,944
計上額 7,975,586 916,456

連結収益の9割を占める、メインの製鉄事業の業績は、売上収益が7兆2,455億円(前期は6兆1,536億円)、セグメント利益は8,614億円(前期は8,710億円)という結果でした。

厳しい事業環境が継続するなか、従来からの抜本的な収益構造対策等の継続により収益の最大化に取り組むことで、生産・出荷数量の減少により1,350億円の減益となったものの、マージン改善による600億円の増益、コスト改善効果による500億円の増益等により、前期並みのセグメント利益を維持したカタチです。

日本製鉄の事業戦略

鉄はコスト優位性に加え、多様な特性と無限の可能性、何度でも何にでも再生利用できるリサイクル性、ライフサイクルでの環境負荷の低さなど、他の素材に比べ大きな優位性があり、あらゆる産業・インフラに必要不可欠な基礎素材として長い将来に亘り社会の発展に大きな役割を果たすことは間違いなく、世界の鉄鋼需要は、長期的には拡大していく見通しです。

特にインドを含めたアジア地域を中心に確実な成長が見込まれています。

一方IT(AI・IoT・ビッグデータ等)の急速な進歩や自動車 の車体軽量化・高強度化ニーズの高まり、EV等の新エネルギー車の普及、「持続可能な開発目標(SDGs)」、カーボンニュートラル実現という社会的な要請など、製鉄需要に関わる産業や社会のニーズが大きく変化しようとしているのも事実です。

また世界の鉄鋼生産量の5割強を占める中国における需要の頭打ち等により、海外市場における競争が一層激化することが想定されます。

このような環境を踏まえ、日本製鉄では「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、新たな「日本製鉄グループ中長期経営計画」(2021年3月5日公表)を策定し、事業を展開しています。

この中期経営計画は、以下の4つを柱としています。

中長期経営計画の4つの柱:

  1. 国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化
  2. 海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進
  3. カーボンニュートラルへの挑戦
  4. デジタルトランスフォーメーション戦略の推進

「国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化」については、「戦略商品への積極投資による注文構成の高度化」、「技術力を確実に収益に結びつけるための設備新鋭化」、「商品と設備の取捨選択による生産体制のスリム化・効率化」を基本方針となっています。

国内製鉄事業の最適生産体制を構築するとともに、競合他社を凌駕するコスト競争力の再構築と適正マージンの確保による収益基盤の強化を推進しています。

最適生産体制の構築に向けて、製品製造工程及び鉄源工程の生産体制スリム化・効率化、戦略商品への投資(次世代型熱延ライン新設、高級電磁鋼板製造体制の強化)を実行中です。

また「海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進」では、「グローバル粗鋼能力1億t体制」を目指してタイ、インド、米国等で具体的な買収、生産能力拡張や電炉新設が進行しており、今後も海外市場における需要地での一貫生産体制拡大を目指す方針です。

「カーボンニュートラルへの挑戦」では脱炭素社会に向けた取組みにおいて欧米・中国・韓国との開発競争に打ち勝ち、引き続き世界の鉄鋼業をリードするべく、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を掲げ、経営の最重要課題として諸対策を検討・実行していく計画です。

具体的な鉄鋼プロセスの脱炭素化に向けては、3つの超革新技術(高炉水素還元、100%水素直接還元プロセス、大型電炉での高級鋼製造)を他国に先駆けて開発・実機化するための取組みを推進中です。また、足元では、高炉から電炉への転換を推進するなど、様々な選択肢に関するアプローチを開始しています。

デジタルトランスフォーメーション戦略では5年間で1,000億円以上を投入し、鉄鋼業におけるデジタル先進企業を目指しています。

これらは計画の骨子の更に一部に過ぎません。

就活で日本製鉄を志望する皆さんは、国内の生産体制のリストラクチャリングと成長に向けた戦略・投資、脱炭素に向けた取り組みが同時に進行中という状況を理解しておきましょう。

企業研究を深める中で、中期経営計画の戦略の背景や方向性を理解して、自分自身のビジョンや志望付きを固めていきましょう。

日本製鉄による、USスチールの買収について

日本製鉄は2023年12月18日の取締役会において、米国子会社であるNIPPON STEELNORTH AMERICA, INC.を通じ、米国の高炉・電炉一貫の鉄鋼メーカーであるUnited States Steel Corporationを買収すること及びU. S. Steelとの間で本買収に関する合併契約を締結することを決定致しています。

背景としては、日本市場の伸びがこれまでのように期待できないこと、企業を成長させていくためには、日本以外の市場で稼ぐこと、その意味で米国市場は安定的な成長が期待できる大市場であること、US Steelは電炉に強みがあることなどが上げられています。

この買収は、総額2兆円規模になり、買収が完了すれば日本製鉄は世界第3位の鉄鋼メーカとなります。(世界鉄鋼協会の資料によると、買収前のステイタスは、粗鋼生産量で日本製鉄は世界4位、USスチールは27位)

今後、米国における買収承認手続きなど、まだ様々なニュースがでてくると思いますが、鉄鋼業界では非常に大きなトピックであるため、就活生は買収の背景や動向に注目していきましょう。

JFEホールディングス株式会社

注意:2022年6月に、ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社からJFEホールディングス株式会社へ商号変更を行っています。

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 5,268,794
事業利益・事業損失 (百万円) 235,841
税引前利益又は税引前損失 (百万円) 210,282
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) 162,621
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) 198,999
従業員数(人) 64,241
連結子会社 326社
持分法適用関連会社等 88社

JFEホールディングスは、2002年日本鋼管株式会社と川崎製鉄株式会社が経営統合して設立された会社です。

JFEホールディングスは、JFEグループ全体の経営戦略の策定、グループ会社の経営とリスク管理、グループIR等の対外説明、グループ全体の資金調達等の機能を集約した、グループを代表する上場会社として、スリムなグループ本社機能を担うホールディングカンパニーです。

JFEグループとして、「JFEスチール(株)」、「JFEエンジニアリング(株)」、「JFE商事(株)」の3つの事業会社が中心となり、事業分野ごとの特性に応じた最適な業務執行体制により事業を展開しています。

事業セグメントも鉄鋼事業、エンジニアリング事業、商社事業、全社(共通)となっており具体的な事業は上記の事業会社を中心にそれぞれのグループ企業が展開しています。

  • 鉄鋼事業:
    • JFEスチール(株)およびその関係会社において、銑鋼一貫メーカーとして各種鉄鋼製品の製造・販売を主力事業とし、鋼材加工製品、原材料等の製造・販売、ならびに運輸業および設備保全・工事等の周辺事業を展開
      • 連結子会社144社、持分法適用関連会社等41社による

 

  • エンジニアリング事業:
    • JFEエンジニアリング(株)およびその関係会社において、エネルギー、都市環境、鋼構造、産業機械等に関するエンジニアリング事業、リサイクル事業および電力小売事業を展開
      • 連結子会社81社、持分法適用関連会社等23社による

 

  •  商社事業:
    • JFE商事(株)およびその関係会社において、鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売事業を展開
      •  連結子会社101社、持分法適用関連会社等24社による

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

JFEホールディンスの2023年3月期におけるグループ連結業績は、売上収益が5兆2,687億円となり、前連結会計年度(以下、前年度)に比べ9,036億円(20.7%)の増収となっています。

損益面の業績は、事業利益が2,358億円となり、前年度に比べ1,806億円(43.4%)の減益、税引前利益は2,102億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,626億円となり、前年度に比べそれぞれ1,783億円(45.9%)、1,254億円(43.6%)の減益という結果でした。

売上収益、事業利益とも全体の65%を占める鉄鋼事業においては、販売価格の改善や円安等で、前連結会計年度に比べ7,077億円(22.3%)の増収となる3兆8,811億円となっています。一方、セグメント利益については、販売価格の改善や継続的なコスト削減に取り組んだものの、原料価格高騰や為替影響に加え、棚卸資産評価差等の一過性の減益要因により前年度に比べ1,769億円(54.7%)の減益となり、事業利益は1,468億円にとどまりました。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント状況

事業名 外部顧客売上収益(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
鉄鋼 3,427,239 65.0% 146,825 65.1%
エンジニアリング 498,079 9.5% 13,481 6.0%
商社 1,343,476 25.5% 65,115 28.9%
合計 5,268,794 100.0% 225,422 100.0%
調整額 -4,384
計上額 5,268,794 221,038

JFEグループの事業戦略

現在JFEグループは、社会の持続的発展と人々の安全で快適な生活のために「なくてはならない」存在としての地位を確立し、経済的持続性を実現することを目指し、第7次中期経営計画(2021年~24年度)を策定・実行しています。

この中期計画は鉄鋼事業の構造改革を完遂する2024年度までを対象とし、経営基盤を確立し新たなステージへ飛躍するために、大胆に変革に挑戦する方針を掲げています。各事業の主要な取り組みは以下の内容になっています。

鉄鋼事業:

量から質への転換

  • 国内生産については収益の源泉を「量」の拡大に求めず、徹底して「質」の追求に転換
  • 構造改革による固定費削減に加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による労働生産性の向上や歩留の改善等による大幅なコスト削減
  • 高付加価値品の比率を引き上げ、プロダクトミックスを改善、販売価格体系の見直しによる「鋼材トン当たり利益」の追求

成長戦略の推進

  • インド、ベトナムの現地パートナー企業との提携強化による現地生産化による事業戦略の深化・収益の拡大
  • インドの電力需要増による、変圧器に使用される方向性電磁鋼板の需要拡大への対応強化
  • 高付加価値品製造や環境負荷低減等に関する技術・操業・研究ノウハウを活かして構築したプラットフォームを海外メーカー等に提供することにより、継続的に対価を得るソリューションビジネスを推進

 

エンジニアリング事業:

JFEエンジニアリングでは、『くらしの礎を「創る」「担う」「つなぐ」-Just For the Earth』というパーパスのもと、世界の人々の暮らしを支え、地球を守り次世代につなげることを使命として事業を推進しています。

中長期的には、リサイクルや廃棄物発電等の「Waste to Resource事業」、再生可能エネルギー、カーボンリサイクル等の「カーボンニュートラル事業」、上下水やガス、電力、リサイクル等の運営事業を相互に連携・複合化させる「複合ユーティリティサービス事業」および橋梁、パイプライン建設等の「基幹インフラ事業」を中核事業と位置付け、M&Aや業務提携等も活用し、2030年度を目途に売上収益1兆円規模を目指す方針を掲げています。

再生可能エネルギー発電施設のEPC(設計・調達・建設)および運営事業の拡大に加え、新たに洋上風力発電におけるモノパイル等の着床式基礎構造物の製造・供給事業への参入を決定しています。

 

商社事業:

商社事業はJFEグループの中核商社であるJFE商事の提案力・発信力を高め、顧客と共に持続的に成長する存在感のある企業を目指しています。

具体的には高機能電磁鋼板の世界Nо.1のグローバル流通加工体制の構築や、グループ連携による自動車向け鋼材の流通加工体制強化および海外現地企業との協業等による建材事業の基盤確立への取り組み、日本国内での流通加工機能の更なる強化等による収益の拡大に注力しています。

上記は中期経営計画の骨子のまたその一部にしか過ぎません。

加えてカーボンニュートラルの実現に向けて「鉄鋼事業のCO2排出量削減」、「社会全体のCO2削減への貢献」を戦略の軸として取り組みを推進中です。

具体例の一つとして、二酸化炭素を分離・回収して再利用する「カーボンリサイクル高炉」の開発を進めており、2023年度に試験炉をつくる予定としています。

就活でJFEグループ各社を目指す皆さんは、中期経営計画の戦略の背景や具体的に実行中の施策も含めてしっかり理解した上で選考に臨みましょう。

株式会社 神戸製鋼所

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 2,472,508
経常損益(百万円) 106,837
親会社株主に帰属する当期純損益(百万円) 72,566
包括利益(百万円) 120,351
従業員数(人) 38,488
外、平均臨時雇用者数 6,450
子会社 202社
関連会社 49社

神戸製鋼所は幅広い事業を展開しています。事業セグメントは、鉄鋼アルミ、素形材、溶接、機械、エンジニアリング、建設機械、電力、その他と分かれており、グループ企業とともに事業を展開しています。具体的な主要製品及び事業は以下の通りです。

  • 鉄鋼アルミ:鉄鋼事業の主な製品及び事業
    • 条鋼(普通線材、特殊線材、特殊鋼線材、普通鋼棒鋼、特殊鋼棒鋼)、鋼板(厚板、中板、薄板(熱延・冷延・表面処理))、アルミ圧延品(飲料缶用アルミ板、自動車用アルミ板、熱交換器用アルミ板、磁気ディスク用アルミ基板)、鋼片、鋳物用銑、製鋼用銑、スラグ製品、建材、各種特殊鋼製品、各種鋼線の製造・販売を展開
  • 素形材:素形材事業の主な製品および事業
    • 鋳鍛鋼品(舶用部品・電機部品・産業機械部品等)、アルミニウム合金及びマグネシウム合金鋳鍛造品(航空機用部品、自動車用部品等)、チタン及びチタン合金、アルミニウム合金鋳造品及び加工品(自動車用部品)、アルミ押出材及び加工品(自動車用押出材、自動車用部品、鉄道車輛押出材等)、銅圧延品(半導体用伸銅板条、自動車端子用伸銅板条、リードフレーム、空調用銅管、復水管等)、鉄粉の製造・販売を展開
  • 溶接:
    • 溶接材料(各種被覆アーク溶接棒、自動・半自動溶接用ワイヤ、フラックス)、溶接ロボット、溶接電源、各種溶接ロボットシステムの製造・販売、溶接関連試験・分析・コンサルティング業等
  • 機械事業:
    • エネルギー・化学関連機器、原子力関連機器、タイヤ・ゴム機械、樹脂機械、超高圧装置、真空成膜装置、金属加工機械、各種圧縮機、冷凍機、ヒートポンプ、各種プラント(製鉄圧延、非鉄等)、各種内燃機関の製造・販売
  • エンジニアリング:
    • 各種プラント(還元鉄、ペレタイジング、石油化学、原子力関連、水処理、廃棄物処理等)のエンジニアリング、砂防・防災製品、土木工事、新交通システム、化学・食品関連機器等の製造・販売
  • 建設機械:
    • 油圧ショベル、ミニショベル、ホイールローダ、クローラクレーン、ラフテレーンクレーン、作業船の製造・販売
  • 電力:
    • コベルコパワー神戸、(株)コベルコパワー真岡、(株)コベルコパワー神戸第二による電力供給
  • その他:
    • 特殊合金他新材料(ターゲット材等)、各種材料の分析・解析、高圧ガス容器製造業、超電導製品、総合商社、不動産事業

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

神戸製鋼所の2023年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が前連結会計年度比(以下、前年度比)3,899億円増収の2兆4,725億円となっています。

損益面の業績は、営業利益が前年度比12億円減益の863億円でした。鉄鋼メタルスプレッドが大幅に改善したものの、素材系事業や建設機械における販売数量の減少、固定費を中心としたコストの増加、在庫評価益の縮小などが影響しています。

経常利益は、エンジン認証問題に関する補償金収入の増加などにより、前度比136億円増益の1,068億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比124億円増益の725億円という結果でした。

2023年3月期における売上収益、各利益指標は、前年度に引き続きコロナ禍以前の年度(2018年3月期~2020年3月期)を大幅に超える水準となっています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント状況

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
鉄鋼アルミ 1,065,757 43.1% 41,969 39.0%
素形材 266,179 10.8% 942 0.9%
溶接 87,318 3.5% 2,837 2.6%
機械 181,592 7.3% 14,335 13.3%
エンジニアリング 143,739 5.8% 4,198 3.9%
建設機械 381,720 15.4% 12,365 11.5%
電力 324,369 13.1% 24,560 0.2
その他 20,184 0.8% 6,332 5.9%
合計 2,470,861 100.0% 107,542 100.0%
調整額 1,646 -704
計上額 2,472,508 106,837

神戸製鋼所は2017年10月に、アルミ・銅事業部門において、顧客の製品仕様に適合しない一部の製品について、検査証明書データを改ざんし、故意に仕様適合として出荷していた事実が発覚し、マスコミも大きく取り上げたことから社会的にも大きな注目を集めました。

国内外の600社以上に出荷されたアルミ・銅製品で品質検査に関する証明書を数十年前から組織的に改ざんしていた不適切事案であり、その後車メーカー等の国内で相次いだ企業の品質不正の発覚の引き金となっていまいました。

社内、第三者による徹底的な調査が行われ、その後正式な報告書や再発防止策や検査自動化などの投資が発表され、引き続き信頼回復への活動に注力するとともに、この事案を契機として、2020年5月に「KOBELCOが実現したい未来」「KOBELCOの使命・存在意義」を新たに定めるとともに、既に制定していた「KOBELCOの3つの約束」、「KOBELCOの6つの誓い」と併せて体系化し、新グループ企業理念として制定・発表しています。

就活で神戸製鋼所を志望する皆さんは、これらの背景や企業理念も理解しておきましょう。

神戸製鋼所の事業戦略

神戸製鋼を取り巻く事業環境は、コロナ禍を契機とした産業構造の変化に加え、カーボンニュートラルの実現に向けた社会変革、さらに、DXの進展等によって急速に変化しています。

神戸製鋼所ではこれらを事業構造変革と新たな収益獲得の機会として捉え、積極的に取り組んでいくために、新たに2021年度~2023年度を対象とした中期経営計画を策定し、実行しています。

神戸製鋼の重要課題を、「安定収益基盤の確立」、「カーボンニュートラルへの挑戦」の2つに設定し、この中期経営計画の期間を「素材系を中心とする収益力強化」などの取組みを更に深化させ、グループの「安定収益基盤を確立」する期間と位置付けています。

また、鉄鋼と電力事業における「カーボンニュートラルへの挑戦」は、多様な技術と人材を競争力の源泉として幅広い事業を営む神戸製鋼の強みを活かし、社会に貢献できる新たなビジネスチャンスと捉え、グループ一丸となって取り組んでいく方針です。

過去2021年度、2022年度では以下の5つを重点施策として事業を展開してきました。

5つの重点施策

  • 鋼材事業の収益基盤強化
  • 新規電力プロジェクトの円滑な立ち上げと安定稼働
  • 素材系事業の戦略投資の収益貢献
  • 不採算事業の再構築
  • 機械系事業の収益安定化と成長市場への対応

2023年度からは、「成長軌道への回帰」をテーマに上げ、「安定収益基盤を確立」する期間と位置付け、新規電力プロジェクトの立上げが完遂し、収益貢献がフルに寄与する2023年度にROIC(投下資本収益率)5%以上の収益レベルを確保し、さらに、将来の姿として、ROIC8%以上を安定的に確保し、持続的に成長する企業グループを目指す方針です。

鋼材事業の収益基盤強化については、長期的に鋼材内需が縮小していくとの想定のもと、加古川製鉄所の粗鋼生産量6.3百万トン前提での安定収益確保、さらに6.0百万トンでも黒字が確保できる体制の構築を目指しており、鉄鋼メタルスプレッド*の改善に取り組んでいます。

*メタルスプレッドとは鉄鋼一次製品に相当する鋼材の出荷単価から、それを製造するのに使用する主原料価格を差し引いたものを意味し、鉄鋼メーカーの基本的な収益力を見る上で重要な指標

引き続き、固定費及び変動費の更なる削減、特殊鋼線材・ハイテン等高付加価値品へのシフト(品種構成改善)、海外事業の収益貢献を継続して取り組む計画となっています。

長期的な鉄鋼と電力事業における「カーボンニュートラルへの挑戦」は、多様な技術と人材を競争力の源泉として幅広い事業を営む神戸製鋼グループの強みを活かし社会に貢献できる新たなビジネスチャンスと捉え、グループ一丸となって取り組むとしています。

上記は骨子の一部に過ぎません。

就活で神戸製鋼所を目指す就活生の皆さんは、企業研究を深めるのは当然として、新たな中期経営計画の内容を理解し、自分自身の成長の機会や志望動機作成に活用して下さい。

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鉄鋼・電炉メーカー、上位企業の概況

トピー工業株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 334,496
経常利益 (百万円) 8,043
親会社株主に帰属する当期純利益・純損失(百万円) 6,321
包括利益(百万円) 8,932
従業員数(人) 5,706
外、平均臨時雇用者数 842
子会社 34社
関連会社 4社

トピー工業及びそのグループ企業は、素材供給部門としての鉄鋼事業及び加工部門としての自動車・産業機械部品事業が、相互に関連を持ちながら素材の生産から最終製品の加工まで、一貫した生産体制を持つ金属加工の総合グループです。

また電力卸販売、合成マイカ(化粧品用基礎原料)、クローラーロボット、屋内外サインシステム、土木・建築、不動産の賃貸及びスポーツ施設の運営等、事業の多角化も行っています。

トピー工業の筆頭株主は、日本製鉄(発行済み株式の20.92%を保有:2022年3月31日現在)であり、日本製鉄と業務提携を行っています。

具体的な事業セグメントと主要製品は以下の通りです。

  • 鋼鉄セグメント:電気炉による製鋼及び各種条鋼の圧延
    • H形鋼、一般形鋼及び異形棒鋼は主に建設用資材として国内外に販売し、異形形鋼は主に自動車・産業機械部品事業部門に供給
  • 自動車・産業機械部品セグメント:
    • 自動車用スチールホイール、アルミホイール、建設機械用スチールホイール、自動車用プレス製品、工業用ファスナー(精密薄板バネ他)
    • 産業機械部品(ブルドーザー、パワーショベルの足回り部品及び排土板・バケット等の先端金具、 モーターグレーダーの刃先等)の製造・販売
  • 発電セグメント:
    • 石炭火力発電設備で発電を行い、電力を卸販売
  • 事業開発セグメント:
    • 合成マイカ(化粧品基礎原料)、クローラーロボットの製造・販売
  • 賃貸セグメント:
    • 不動産の賃貸
  • その他:
    • 屋内外サインシステム、土木・建築、スポーツ施設の運営等

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

トピー工業の2023年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が過去最高の334,496百万円(前期比23.3%増)となっています。

この増収は、原材料、電力等のエネルギー、副資材等のコスト上昇に見合った販売価格の適正化や堅調な鉱山機械用超大型ホイールの需要の捕捉等を進めたことが寄与しています。

損益の業績としては、鋼材製品におけるプロダクトミックスの最適化、構造改革等によるコスト改善の取り組み等により、利益においても前期から大きく回復し、営業利益は7,175百万円(前期 営業損失1,706百万円)、経常利益は8,043百万円(前期 経常損失1,401百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、6,321百万円(前期比1,535.1%増)となり、大幅な改善となっています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント状況

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
鉄鋼事業 107,971 32.3% 8,038 62.6%
自動車・産業機械部品事業 198,147 59.2% 4,016 31.3%
発電事業 21,957 6.6% -566 -4.4%
事業開発 1,043 0.3% 155 1.2%
賃貸 712 5.5%
その他 5,375 1.6% 492 3.8%
合計 334,493 100.0% 12,849 100.0%
調整額* -5,673
計上額 334,496 7,175

*セグメント利益又は損失△5,673百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用等で、全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない当社の管理部門に関わる費用

中期経営計画

トピー工業グループは、2022年度から2025年度を実行期間とする新たな中期経営計画を公表し、その計画に基づき事業を展開中です。

この新中期経営計画は、2030年のありたい姿「新たな価値を創造し、社会課題解決をリードする企業」からバックキャスト発想で策定されており、スローガンは「TOPY Active & Challenge 2025」となっています。

2012年度から実行してきた「Growth & Change」で築いた事業基盤をベースに、次の100年を見据えた新たな価値創造を目指した取り組みをスタートさせ、イノベーションの追求による企業価値の向上と社会課題解決への貢献を目指す方針を示しています。

鉄鋼セグメントにおいては、鉄スクラップや電力、副資材等の価格の上昇に伴う増加コストの鋼材販売価格への反映を精力的に進め、また、異形形鋼圧延技術を活用したトピー工業独自の異形形鋼等の高付加価値製品の拡充を図っています。

また、2021年10月に稼働を開始した明海リサイクルセンター株式会社の金属高度選別設備を用いたリサイクルの高度化によって、トピー工業の製鋼工程のCO2排出量の削減と循環型社会の実現に貢献しています。

共英製鋼株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 355,715
経常利益 (百万円) 14,671
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 13,108
包括利益(百万円) 19,656
従業員数(人) 3,972
外、平均臨時雇用者数 431
連結子会社 17社
持分法適用関連会社 3社

共英製鋼及びそのグループ企業は、国内鉄鋼事業、海外鉄鋼事業、環境リサイクル事業を主たる事業としています。

具体的な事業セグメントと主要製品は以下の通りです。

  • 国内鉄鋼事業:
    • 電気炉を使用して鉄スクラップを溶融し、精錬・圧延成形を施して土木・建設用鋼材を中心とした鉄鋼製品を製造し、販売
    • 主要製品:異形棒鋼、構造用棒鋼、平鋼、山形鋼、I形鋼、ネジ節鉄筋(タフネジバー)、ビレット(半製品)、鉄筋加工製品等
    • 鉄鋼製品の仕入販売及び鉄鋼製品の運搬事業
  • 海外鉄鋼事業:
    • 自社電気炉にて鉄スクラップを溶融・精錬した半製品、または外部より購入した半製品に圧延成形を施して土木・建設用鋼材を中心とした鉄鋼製品を製造し、販売
    • 主要な製品:異形棒鋼、ネジ節鉄筋、線材、鉱石粉砕用丸鋼、鉱石粉砕鉄球用丸鋼、ビレット(半製品)
  • 環境リサイクル事業:
    • 医療廃棄物、産業廃棄物の中間及び最終処理、燃料ガス製造、再生砕石事業等
  • その他事業:
    • 土木資材販売業、港湾事業、鋳物事業、保険代理店業等

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

共英製鋼の2022年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が前期対比62,996百万円(21.5%)増収の355,715百万円でした。

連結利益面では、営業利益は同6,000百万円(68.0%)増益の14,819百万円、経常利益は同4,122百万円(39.1%)増益の14,671百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同6,785百万円(107.3%)増益の13,108百万円となり、総じて増収・増益の年度となっています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント状況

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失
(百万円)
利益構成比
国内鉄鋼事業 153,581 43.2% 14,717 94.3%
海外鉄鋼事業 189,603 53.3% -674 -4.3%
環境リサイクル事業 7,645 2.1% 1,638 10.5%
その他 4,886 1.4% -72 -0.5%
合計 355,715 100.0% 15,610 100.0%
調整額 -791
計上額 355,715 14,819

中期経営計画

共英製鋼グループは、鉄鋼事業を中核とした資源循環型事業を通じて社会と共生し、日本経済と地域社会の発展に貢献することを経営理念に定めて事業を行っています。

共英製鋼は2017年12月に創立70周年を迎えた歴史のある企業であり、今後は「100年企業」に向けて創業の精神である“Spirit of Challenge”という経営理念の下、「世界のインフラ・環境づくりに貢献する企業」、「利益水準を向上しステークホルダーに還元する企業」、「コンプライアンス・品質を重視する企業」、「安全で働きやすい職場づくりを進める企業」という「あるべき姿」の実現を目指しています。

この目標に向かって、現在は中期経営計画「NeXuS 2023」を策定し、事業を展開しています。

中期経営計画の骨子は以下の通りです。

スローガン:「地球と共存 世界へ未来へつながる共英製鋼グループ」

尚、タイトルのnexusの意味は「つながり・連携」であり、以下の意味を表しています。

  • 「グループ内をつなぐ力」▶ グループ総合力の強化
  • 「外部とつなぐ力」 ▶ 外部との連携強化
  • 「次代につなぐ力」 ▶ 見えざる価値の向上

事業の成長に向けた取り組み

  1. 海外鉄鋼事業の収益力強化と成長拡大の準備
  2. 国内鉄鋼事業の競争力強化と将来を見据えた設備更新
  3. 環境リサイクル事業および鉄鋼周辺事業の収益機会拡大

上記の他に、ESGへの取り組みとして、カーボンニュートラル社会・資源循環型社会の実現に向けた取り組み強化や、すべてのステークホルダーに貢献する取り組み強化、経営基盤の強化を柱とした計画となっています。

共英製鋼社グループの中核である電炉事業は、鉄スクラップを再び製品として社会に送り出す資源循環型事業であり、持続可能な社会の実現に貢献しうる存在です。

環境問題に強い興味・関心のある就活生は、企業研究を深めてみてください。

東京製鐵株式会社

2023年3月期決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 361,245
経常利益 (百万円) 39,257
当期純利益(百万円) 30,848
従業員数(人) 1,055

東京製鐵は独立系の電炉メーカーの上位企業です。建材が主力で、機動的な価格政策に特徴があり、熱厚鋼板も手掛けています。

東京製鐵の事業は、東京製鐵1社、鉄鋼事業の単一セグメントでの事業展開となっています。

従って、決算は単体の業績による決算です。東京製鐵は鉄鋼製品の製造を行い、その製品を商社に販売、商社がその得意先の需要家に販売するというビジネスモデルで事業を行っています。

2023年3月期(2022年度)業績概要

東京製鐵の2023年3月期の業績は、売上高が製品出荷数量の増加と製品出荷単価の上昇により361,245百万円(前年実績270,883百万円からの増収)となっています。

利益面の業績としては。営業利益が38,063百万円(前年実績31,773百万円)、経常利益は39,257百万円(前年実績33,426百万円)となり増益でしたが、当期純利益は繰延税金資産の取り崩しによる法人税等調整額の計上などにより、税金費用が増加したことから前年実績31,937百万円からの微減となり、30,848百万円という結果でした。

地域別の売上(2023年3月期)の状況は以下の通りで、日本とアジアを中心に商社を通じて顧客に製品を届けているメーカーです。

地域ごとの売上高(2023年3月期・2022年度実績)

地域名 売上(百万円) 売上構成比
日本 297,801 82.4%
アジア地区 38,720 10.7%
その他 24,723 6.8%
合計 361,245 100.0%

中長期戦略

東京製鐵は鉄鋼資源のリサイクルを通じ、省エネルギーと省資源に努め、環境の保全に貢献していくことを経営の基本方針としています。

中期的な会社の経営戦略は、鉄スクラップの高度利用を推進するとともに、需要家のニーズに応えるべく、製品の多様化と生産性・品質の向上を進めることを基本としています。

引き続き、鉄鋼資源のリサイクルが重要使命の一つであるとの認識に立ち、生産面においては、生産性と品質の向上をさらに進めるとともに一層のコストダウンをはかり、営業面では、機動的な販売・物流体制をとることで顧客満足度のさらなる向上を目指しています。

またSDGsが社会の共通認識となるなかで、気候変動への対応が「企業経営上の最重要課題の一つ」として認知され、製造業や建設業などの各分野においても、サプライチェーン全体の「脱炭素」を目指す動きが進みつつあります。

東京製鐵では2021年6月に長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を改定し、2050年におけるカーボンニュートラル達成を新たな目標としています。

増加を続ける日本の鉄スクラップは、2050年には国内の鋼材需要の大部分を満たす数量に達すると期待されています。

膨大なCO2排出量の削減、貴重な資源である鉄スクラップの国内での資源循環という社会が直面する二つのテーマに向き合い、2050年の「脱炭素社会」「循環型社会」を実現すべく、電炉トップメーカーとして鉄鋼製品の新分野にチャレンジし続けてきた東京製鐵が果たす役割は大きいでしょう。

東京製鐵の鉄鋼製品生産1トン当たりの当社のCO2発生量は、鉄鉱石・石炭を主原料とする場合と比較して概ね四分の一であり、貴重な国内資源である鉄スクラップを付加価値の高い様々な鉄鋼製品へとリサイクルすることにより、「循環型社会」と「低炭素社会」の実現に向けて、一層貢献していく方針です。

東京製鐵の取り組みは、国際的にも高く評価されており、環境NGOであるCDPからは、世界の鉄鋼セクターでは唯一、3年連続で最高評価の「気候変動Aリスト」に選定されています。

環境問題にも強い興味・関心のある就活生は、企業研究を深めてみてください。

大和工業株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 180,438
経常利益 (百万円) 90,494
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 65,317
包括利益(百万円) 111,987
従業員数(人) 1,398
子会社 9社
持分法適用関連会社 7社

大和(やまと)工業及びそのグループ企業では以下のセグメント及び主要製品で事業を展開しています。

  • 鉄鋼事業(日本):
    • H形鋼、溝形鋼、I形鋼、鋼矢板、縞H形鋼、造船用形鋼、エレベータガイドレール、鋳鋼品、船舶製缶、重機械加工を製造・販売
  • 鉄鋼事業(タイ国):
    • H形鋼、溝形鋼、I形鋼、鋼矢板を製造・販売
  • 軌道用品事業:
    • 分岐器類、伸縮継目、NEWクロッシング、接着絶縁レール、脱線防止ガード、タイプレート類、ボルト類を加工・販売
  • その他:
    • 運送、医療廃棄物処理、不動産事業等、カウンターウェイトの製造・販売

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

大和工業の2023年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が180,438百万円であり、前連結会計年度(以下、前年度)に比べ30,408百万円増加しています。

利益面では、営業利益前年度比3,522百万円増の16,813百万円、経常利益は前年度比32,847百万円増の90,494百万円親会社株主に帰属する当期純利益は前計年度比25,400百万円増の65,317百万円と主要利益指標で増益を達成しています。

経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に続いて過去最高益を更新しています。

各セグメントの売上収益、セグメント利益の状況は以下の通りです。

2023年3月期連結決算セグメント状況

事業名 外部顧客売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
鉄鋼事業(日本) 72,873 40.4% 8,701 43.9%
鉄鋼事業(タイ国) 97,331 53.9% 10,735 54.2%
軌道用品事業 6,491 3.6% 250 1.3%
その他 3,742 2.1% 129 0.7%
合計 180,438 100.0% 19,816 100.0%
調整額 -3,003
計上額 180,438 16,813

中長期の取り組み

大和工業は、鉄スクラップを再利用して製品化する循環型処理の過程において、最新設備の導入と技術力の開発により、省資源、省エネルギーそして環境の保全問題という、いま社会に最も求められているテーマに対して地球規模で取り組んでいる企業です。

高速かつ大量の鉄道輸送と船舶輸送の一翼を担う製品作りでも、日本国内にとどまらずグローバルな事業展開を行っています。

大和工業は、世界的な経済構造の激しい変革に対応できる経営方針として、事業の一極化をさけ、主に海外に事業投資を行い、投資の分散化を進めています。米国、韓国、タイに続いてバーレーン王国やサウジアラビア、ベトナムにも進出しています。

特に成長市場であるASEAN地域を米国事業に次ぐ第二の収益の柱に育成すべく、ASEANでの形鋼300万トン体制構築を目指し、具体的には、既存拠点であるタイのサイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドを大和工業のASEAN展開のマザー工場と位置付け、技術力の向上と競争力の強化を図るために圧延ラインの戦略的更新を計画しています。

ベトナムでも今後成長が見込まれるベトナム国内の形鋼需要に対応すべく、上工程の製鋼能力の余剰を活用した中小型形鋼圧延ラインの増設を合弁パートナーとともに検討中です。

既存の海外拠点の充実に加え、M&Aを通じたASEAN地域での新拠点の獲得にも積極的に取り組む方針です。

中近東の合弁事業は業績に関しては先行き不透明感もあることから、販売価格の下落を織り込んでおり、連続黒字であるものの成功とまでは言えませんが、成長の源泉である海外事業を更に安定・発展・拡大させていくことが成長戦略の柱となっています。

就活で大和工業を志望する方は、2019年に創立75周年を迎えたことを機に、大和工業が定めたグループのMission、 Vision、 Yamato SPIRITを深く理解し、よく内面化して自分の言葉に置き換え、自分自身のビジョンを明確にして選考に臨んで下さい。

  • MISSION: 鉄で未来を 未来の鉄を
    • グローバルな鉄事業を通して、モノづくりの技術を追求し続け 、 国際社会の発展や豊かな地域社会の実現に貢献します
  • VISION
    • 最先端の技術で、世界のインフラを支える、鉄のリーディングカンパニーを目指します
  • Yamato SPIRIT:常に意識すべき価値観・行動指針
    • 誇り:
      • 鉄・軌道のプロフェッショナルとして、自覚と責任を持ち行動します
    • モノづくり:
      • 世界基準の製品・サービスを、徹底した安全のもと提供します
    • グローバル:
      • 世界中、どこにおいても通用する人材となります
    • 和の精神:
      • 国籍、性別、年齢を超えてチームワークを発揮します
    • フェア:
      • 高い倫理観を持ち、公正・誠実に判断、行動します
    • 挑戦
      • 目標を高く、失敗を恐れず、未来へ向かいます

まとめ

以上、鉄鋼メーカーの上位企業の現状をみてきました。凝縮したサマリーですが、高炉、電炉業界における主要企業の事業内容と規模感、グローバル市場における存在を感覚的にも理解できたと思います。

また日本の産業界による、CO2排出量の約4割を鉄鋼業界が占めているともいわれることから、鉄鋼業界がカーボンニュートラルという大きな課題に取り組み、大転換をしなければいけないフェーズであることも重要なポイントです。

もちろん鉄鋼業界だけで解決できる問題ではありませんが、産業全体や地方経済、雇用等の社会的に大きな課題を担っていることは間違いありません。

上位企業は理工系の学生に非常に人気の高い企業であり、難関です。

これらの素材業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。

また上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。

上位企業はリクルーターから高評価を得ることがポイントになるので、企業研究を徹底的に行って具体的なアクションを起こしていきましょう。

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