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【就活の業界研究】就活のはじめに、建設業界のビジネスモデルと業界の構造を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では建設業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

建設業界の7つのポイントを押さえよう

  • 建設業界のビジネスモデルを理解しよう
  • 建設業界の構造
  • 建設業界の現状と課題・未来
  • 建設会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 建設会社に働く人のモチベ―ション、「やりがい」は何か
  • 建設会社に向く人、向かない人はどういう人か
  • 主要建設会社各社の概況
2019年までは東京オリンピック関連の建設需要拡大や関連した景気浮揚効果で、建設ブームが続いてきました。バブル崩壊後の長い低迷期とリーマンショックに直撃された建設業界ですが、2013年以降は成長トレンドに入り、県建設業界は好調を維持してきました。

伝統的に工学・建築系の学生に就活人気の高い建設業界のビジネスモデルと、業界の構造をはじめに理解しておきましょう。業界入門編として活用してください。

建設業界の定義

建設業とは、建設業法において「元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう」と定められています。

そして工事の種類を土木一式工事と建築一式工事の2種類の一式工事とし、とび・土工工事や舗装工事等の27種類の専門工事計29種類に分類、また平成28年より建設業許可における新たな業種として「解体工事業」が追加されています。

これら全ての建設業を営むためには、工事の業種ごとに国土交通大臣あるいは都道府県知事より営業許可を受ける必要があります。請負として建設工事を施工する者は、元請業者のみでなく、下請の場合や、個人で行う場合にも許可が必要です。

就活で学生の皆さんが最も興味を持っているのはゼネコンと呼ばれる総合建設業者だと思います。この記事ではゼネコンという視点からみた建設業のビジネスモデルと業界の構造を解説していきます。

建設業界のビジネスモデル

まず、建設業界の一番の特徴は受注型のビジネスであるという点です。

民間でも公共機関でも、ある土地に、なにかの目的で建物を建てたい、あるいは道路や橋をつくりたいという発注者(施主)がいて、その案件を受注することによってビジネスが生まれます。

建設業はモノづくりの代表的な産業ですが、他のメーカーと違うポイントは必ず発注者がはじめにいるという点です。建設業自らの創意と意図で何かを建ててビジネスを行うことはあってもごく一部に過ぎません。基本は営業による指名や、入札、コンペによってプロジェクトを受注するビジネスです。

この性格は、建設業のビジネスに大きな影響を与えています。最大の影響要因は日本の経済、景気の動向、政府や地方公共団体の公共工事への予算の動向です。

建設投資の内訳

国土交通省の令和2年度(2020年度)の建設設備見通しによると、2020 年度の建設投資は、前年度比 3.4%減の 63 兆 1,600 億円となる見通しとなっています。

2020年度の見通しのデータでは、国内の建設投資を公共と民間、土木と建築で分けると以下のような割合になります。

公共 25.62兆円 民間 37.54兆円
内:建築:住宅 0.67兆円 内:建築:住宅 15.02兆円
内:建築:非住宅 4.18兆円 内:建築:非住宅 10.58兆円
内:建築補修 1.43兆円 内:建築:建築補修 6.27兆円
内:土木 19.34兆円 内:土木 5.67兆円

つまり内訳でみると公共建設投資の75.5%を土木工事が占め、民間建設投資の84.9%が建築投資となっています。

景気の動向に左右されるビジネス

日本の建設投資額はピーク時の1992年度の約84兆円から長いデフレの低迷期に入り、リーマンショックの翌年2010年度にピーク時の半額、約41兆円まで落ち込みました。その後は増加トレンドに転じ、2020 年度は約63兆円まで回復しています。現在はどん底から約54%の成長、回復を遂げている状況です。

これは東日本大震災からの復興、国土強靭化政策、オリンピック需要、脱デフレ政策による金融緩和などの複合的な要因によるもので、建設業にはフォローの風が吹いてきました。

しかし、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症拡大は、建設業にも大きな影響をもたらしています。

帝国データバンクによれば、2021年1月から5月末の倒産件数では、「建設・工事業」の倒産件数148件であり、これは「飲食店:254件」に続いて2番目に多い業種になっています。

この建設・工事業のコロナ倒産の大半は、内装工事や電気工事を手掛ける中小・零細規模の建設会社であり、多重構造の業界の末端から影響を受けていることが分かります。

就活生が就活の対象にするような中堅以上の建設会社には未だ大きな影響が及んでいる訳ではありませんが、既に工事の延期や中止等による受注数の減少傾向が出てきており、今後の景気の動向には十分注意する必要はあります。

発注者にとって、建設は巨額のコスト、予算が必要になるのが常です。

事業の現状が良好で、経済の先行きが良いと判断できれば投資しようという気になりますが、経済全体が不景気であったり、先行きが不透明、暗いと判断した場合は巨額の投資を控えるため、発注案件の量が減り、発注規模も小さくなります。

一般のメーカーであれば、自らの創意工夫で新製品を開発し、新たな需要や、ユーザーそのものをつくることもできますが、建設業にはそれが殆どできません。

現在の状況は外的環境が良く、不採算案件をあえて受注することも減っているため、建設業界全般の利益率も回復しています。しかしビジネスが外的要因に大きく左右される事は業界の構造的問題とも分析されています。

長期的なビジネスプランが立てにくいモデル

建設会社が景気の動向に左右されてしまうこと以外に問題なのは、長期的なビジョンが立てられない点です。

民間デベロッパーのニーズという視点でみると、バブル時代のように多くの企業が不動産投資に走ったり、マンションや大型商業施設もどんどん建っていく時代であれば、ひとつの発注者から連続、継続して案件を受注することができます。

建設業者にとってはデベロッパーからある程度継続して受注する予想もできるでしょう。しかし、そんな時代が続いていく保証はありません。

建築案件の場合は通常2~3年の計画でプロジェクトが進行しているため、現時点では3年先のビジネス、売上は読み込めることになります。

しかし補修・維持・管理案件以外には、5年先、10年先に発注が確実に見込める案件はないため、ビジネスとしては固定費を軽くし、受注状況に従って変動費で調整する構造にならざるを得ないのが現状です。

良く言えばフレクシブルに対応できる構造ですが、悪く言えば長期的スパンで人材のストックや計画を立てにくい構造なのです。

請負という契約モデル

建設工事は「請負契約」であり、請負とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約になります。従って成果物(建物)の実現のためのリスクは請負者が負担することになります。

たとえばゼネコンを例にすれば、顧客である施主に対して、契約書に記載された金額で受注し、ゼネコンは一次下請けの建設、土木工事業者に発注し、更に二次下請け、三次下請け、最終的には一人親方のような個人にまで多重下請け構造がつらなって工事が進んでいくビジネスになります。

このような下請けの多重構造は建物実現のための損出リスクをコントロールすることに役立つ構造なのです。

需要の変動に対応するためには、必要に応じて人工を確保していくことが必要であり、それが下請け重層構造になっている要因のひとつです。

下請け構造と人的資源・労働環境の問題

受注型であるが故に需要が読みにくく、下請け構造をつくって建設をしていかなければならないビジネスモデルが、建設の現場を支える「人の問題」に直結しています。

重層構造をつくるということは、それぞれの層で利益をとっていかなければならないため、工事の総予算が上流から下流に向けて小さくなっていく構造になります。

どんな企業でも基本的には受注した金額以上は支払えず、受注売上と発生費用との差額で利益を出していかなければならないからです。

これを賃金という視点でみてみましょう。賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、現状の建設業男性全労働者の平均賃金は全産業男性労働者の平均賃金と同じレベルまで上昇しています。

しかし現場の男性建設就業者(生産労働者)の平均労働賃金は全産業労働者平均と比べ格差は縮小傾向にあるものの、まだ低いというのが現実です。

建設業就業者は1997年には全国で685 万人いましたが、2016年には495万人にまで減り、ピーク時の72.3%、その内、建設技能労働者は332万人(ピーク時比71.6%)になっていました。

一般社団法人 日本建設業連合会の調査(2020建設業ハンドブック)によると、2019年時点では499万人(ピーク時の72.8%)その内建設技能者は327万人(ピーク時(1997年464万人)比70.5%)となっており、減少傾向が続いています。

震災復興や国土強靭化などの公共事業予算の一部復活や、東京オリンピック需要などの需要増に加え、建設業就業者の減少は一人当たりの労働時間(年間: 2,048時間:2019年時点)の多さに繋がっています。

経団連が行った2019年労働時間実態調査*のデータによると、回答企業276社(対象労働者1,233,246人)の平均値では全産業平均(年間: 1,998時間)、製造業平均(年間: 1,998時間)と比較して多いことが推測できます。

厚生労働省が実施した、『平成30年度就労条件総合調査』では、建設業の平均年間休日総数は、104日という結果でした。

主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は 84.1%(平成29 年調査87.2%)、「完全週休2日制」を採用している企業割合は 46.7%(同 46.9%)でした。

これを企業規模別にみると、「1,000 人以上」が 64.8%、「300~999 人」が 56.7%、「100~299 人」が 52.0%、「30~99 人」が 43.4%となっており、概して大企業になる程、労働環境が恵まれていることが分かるデータとなっています。

もちろん、これらは現場の工事就業者を含めた全体の数字ではありますが、建設会社に入社して現場を切り盛りする建設管理職に就く場合、労働時間の長さの覚悟は必要となります。

イメージ的にも3K(きつい、きたない、きけん)職場の一つとされたこともあり、若い人に敬遠されてきたことも建設就業者不足に繋がっています。地域差もありますが、全般には人手不足の状況です。

また建設業就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約16.2%と他産業と比べ高齢化が著しい業界です。

現在でも65歳以上の建設就業者が16.4%を占めるという調査もあり、高齢者が活躍している業界(高齢化が急速に進行している業界)であるため将来的に労働力が不足するのは明らかです。

現在、政府及び建設企業は人材確保、特に若者の就業を促進するために技能資格制度の拡充や待遇の改善、将来的なマネージメント登用への制度改革に注力しています。また外国人就業者の活用も不可欠な状況になっています。

まとめ

建設業界のビジネスモデルを中心に、ビジネスの構造からくる問題も含めて分析してきました。

建設業はスケールの大きさ、「地図に残る仕事」ができる達成感の他、地域の生活やインフラ整備や維持、災害時の応急対応、地方創生などの社会的な役割を担っている業界であり、「なくてはならない」存在です。そのため大きな「やりがい」を感じることのできる業界でもあります。

建設業界のビジネスモデルのアウトラインが頭に入ったら、現在の建設業界の状況や課題、そして未来に関してもも理解していきましょう。

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