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【就活の業界研究】鉄道業界の構造と、主要鉄道会社の概況を知っておこう

就活の業界研究:鉄道業界の構造と、主要鉄道会社の概況を知っておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

[/list] 「就活の答え」では鉄道業界を、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。

鉄道業界情報の7つのポイントを押さえよう

  • 鉄道会社のビジネスモデルを理解しよう
  • 鉄道業界の現状と課題・未来
  • 鉄道会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 鉄道会社に働く人のモチベ―ションは何か
  • 鉄道会社に向く人、向かない人はどういう人か
  • 鉄道業界の構造
  • 主要鉄道会社の概況
この記事では鉄道業界の構造と、主要鉄道会社(JR6社と大手民鉄4社)の概況について解説をしていきます。

Contents

全国の鉄道の構造

旅客の公共輸送機関分担率

2015年度のデータになりますが、国内旅客輸送における輸送人員数のシェアでみると、JRが30.4%、大手民鉄16社の合計が49.2%となり合計79.7%となっています。以下、自動車が19.7%、旅客船0.3%、航空0.3%の割合になっています。

利用人数に移動距離を乗じた輸送人キロのシェアでは、JR 45.7%、大手民鉄26.8%、航空14.9%、自動車12.1%、旅客船0.5%という結果になりました。鉄道合計のシェアは72.5%ということになります。 (データ:大手民鉄の素顔より、数字でみる鉄道2017 国土交通省)

上記の大手民鉄とは、東武鉄道、西武鉄道、京成電鉄、京王電鉄、小田急電鉄、東京急行電鉄、京品急行鉄道、東京地下鉄、相模鉄道、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道、京阪電気鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道、西日本鉄道の16社です。日本民営鉄道協会へは全国72社が加盟しています。詳しくは、日本民営鉄道協会のホームページで地域毎に参照できます。

JRは旅客輸送という意味では全国を6社でカバーしており、長距離路線と主要都市を中心としたネットワークを持っており一社当たりの規模が大きいのが特徴です。特に長距離の路線はJRにしかありません。

民鉄は利用人数ではJRと比較するとはるかに多く、地域のきめ細かい短距離輸送を担っています。JRのターミナル駅と連結して、役割分担をしながら鉄道全体のネットワークを形成しています。

鉄道全体で国民の7割の移動をカバーしている巨大な業界なのです。

それではJR6社の概況と大手私鉄の中から東急、東京メトロ、近鉄、阪急の4社の概況をクイックにみていきましょう。

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JR 6社の特徴と現況

JR各社の状況を2022年3月期決算、有価証券報告書、決算公告、中期経営計画から概況をまとめておきます是非参考にしてください。

JR東日本: 東日本旅客鉄道株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 1,978,967
経常利益/損失(百万円) -179,501
親会社株主に帰属する当期純利益/経常損失(百万円) -94,948
包括利益(百万円) -100,543
従業員数(人) 71,240
外、臨時従業員数(人) 25,076
連結子会社数 135社
関連会社 74社

JR東日本の鉄道事業エリアは関東と東北の1都16県。駅数は1,628、営業キロは在来線が6,108.5km、新幹線が1,194.2 km、総合計 7,302.7 kmとなっています。

鉄道旅客運送事業の他、流通・サービス事業、不動産、ホテル、その他金融等の事業を連結子会社及び持分法適用関連会社を通じて行っています。

1日当たりの列車本数は、12,296本*、輸送人員は1,780万人**にも及びます。

*2020年3月ダイヤ改正時

**2020年3月31日現在

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

JR東日本グループの2022年3月期における連結業績は、営業収益が前年度の新型コロナウイルス感染症の影響による減収の反動や、不動産事業における回転型ビジネスモデルによる売上計上で増収となったことなどにより、前期比12.1%増の1兆9,789億円という結果でした。

前年度比では増収となってはいますが、コロナ禍の影響が全くなかった2019年3月期の営業収入が3兆20億円、影響が軽微であった2020年3月期の営業収入が2兆9,466億円だったことを考えると、約1兆円の減収であり、依然新型コロナウイルス感染症拡大の悪影響が続いていた年度でした。

損益面では、営業損失が1,539億円(前連結会計年度、以下、前年度は、営業損失5,203億円からは改善)、経常損失は、1,795億円(前年度は、経常損失5,797億円からは改善)、親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純損失の計上などにより、949億円(前年度は、親会社株主に帰属する当期純損失5,779億円)となり、2期連続の損失計上(赤字)という結果になりました。

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸事業 1,277,035 64.5% -285,346
流通・サービス事業 278,186 14.1% 14,116
不動産・ホテル事業 352,671 17.8% 107,807
その他事業 71,073 3.6% 11,643
合計 1,978,967 100.0% -151,780
調整額 0 -2,158
連結決算計上合計額 1,978,967 100% -153,938

JR東日本の経営はコロナ禍以前では、セグメント売上・利益ともにバランスがとれており、本業の旅客輸送業でも売上規模に見合った利益をあげていました。

交通インフラ全体を考えると、中長期的に一層の人口減少や高齢化、東京圏への人口集中が見込まれるとともに、自動運転等の技術革新やグローバル化の変容など、経営環境が大きく変化していくことが想定されています。

JR東日本グループも、会社発足から30年以上が経過し、社員の世代交代の進展や鉄道ネットワークの拡充など、様々な変革課題に直面しています。

加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大による経営環境の激変により、当面の間は移動需要の大幅な減少など、かつてない厳しい環境となることが予想されています。

中期経営計画

現在は2018年7月に策定したグループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、これまでの「『鉄道インフラ』を起点としたサービス提供」から、リアルなネットワークとデジタルを掛け合わせ、「『ヒト(すべての人)』を起点とした社会への新たな価値の提供」へと「価値創造ストーリー」を転換する戦略を実施しています。

2025年度には運輸事業セグメントとそれ以外のセグメントの営業収益の比率を「6:4」にしていく計画ですが、成長分野に経営資源を重点的に振り向け、「5:5」の早期実現をめざす方針です。

「変革 2027」の実現に向けて、「安全」を引き続き経営のトッププライオリティと位置づけ、「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」、「経営体質の抜本的強化(構造改革)」および「ESG経営の実践」を課題として事業を展開しています。

就活でJR東日本を志望する皆さんは、急激な業績の悪化を受けて選考はより一層厳しいものになることが予想されます。業界研究や企業研究を深め、OB/OG訪問やインターンンシップにも積極的にチャレンジしていきましょう。

JR東海: 東海旅客鉄道株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 935,139
経常利益/経常損失(百万円) -67,299
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) -51,928
包括利益(百万円) -52,144
従業員数(人) 30,323
外、臨時従業員数(人) 7,477
連結子会社数 29社
持分法適用会社数 2社

JR東海は「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念のもと、東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることに加え、大動脈輸送を二重系化する超電導リニアによる中央新幹線の建設により、「三世代の鉄道」を運営するということを使命として事業活動を展開しています。

名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表される不動産事業や流通事業、ホテル・サービス事業、その他の事業を展開しています。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

2022年3月期(2021年度)におけるJR東海の連結業績の概要は以下の通りです。

  • 営業収益:営業収益は、前期比1,116億円(13.6%)増の9,351億円
  • 営業損益:営業利益は17億円となり、前期が1,847億円の営業損失であったことと比べ、1,864億円改善
  • 経常損益:経常損失は672億円となり、前期が2,620億円の経常損失であったことと比べ、1,947億円改善
  • 親会社株主に帰属する当期純損益:親会社株主に帰属する当期純損失は519億円となり、前期が2,015億円の親会社株主に帰属する当期純損失であったことと比べ、1,496億円改善

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸業 708,083 75.7% -8,327
流通業 94,782 10.1% -3,790
不動産業 40,992 4.4% 14,925
ホテル・サービス業 27,531 2.9% -7,583
鉄道車両等製造業 49,866 5.3% 5,890
その他 13,884 1.5% 2,821
合計 935,139 100.0% 3,936
調整額 0 -2,228
連結決算計上合計額 935,139 100% 1,708

セグメント別の営業収益を前期比で観ると、以下のような推移となっています。

  • 運輸業に関しては、運輸収入は前期比1,810億円(38.0%)増の6,572億円
    • 東海道新幹線では、輸送実績(輸送人キロ)が前期比3%増加した結果、運輸収入は前期比41.3%増の5,898億円
    • 在来線では、輸送実績(輸送人キロ)が前期比7%増加した結果、運輸収入は前期比14.6%増の673億円
  • 運輸業以外の事業においては、不動産業が前期比4%の増収、ホテル・サービス業は前期比8.8%の増収、流通業、鉄道車両等製造業、その他では前期比41.2%、5.7%、11.5%の減収という結果でした。

JR東海の課題

JR東海の経営はセグメント売上・利益ともに運輸事業の比率が高く、特に利益に関してはそのほとんどを輸送事業であげている形です。

そしてそのほとんどが東海道新幹線によってつくられています。

連結利益高ではJR東日本を大幅に上回っており、この収益力がリニア新幹線への投資を可能にしています。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出及び移動の自粛等の影響で、JR東海の収益の主源泉である東海道新幹線を中心とした、ビジネス、観光の利用が大幅に減少したことから、前期の2021年3月期の営業収益は2020年3月期比55.4%減の8,235億円、経常損失は2,620億円、親会社株主に帰属する当期純損失は2,015億円と、民営化以来初の赤字決算になってしまいました。

2022年3月期は、前期からは大きく改善はしていますが、2期連続での損失計上(赤字決算)となってしまいました。

リニア新幹線も南アルプストンネル静岡工区においては、大井川の水資源への影響について、静岡県、流域市町等の理解が得られず、トンネル掘削の前段で必要となるヤード整備に着手できていないなど、実質的に工事が進捗しない状態が続いています。

2027年の開業に向けて、工程は大変切迫した状況にあり予定通りの開業は困難になりつつあります。

JR東海では、コロナ禍で受けた大きなダメージを挽回し、将来にわたって、JR東海グループが社会的使命を力強く果たしていくため、「業務改革」と収益の拡大に向けた取組みにより経営体力の再強化に挑戦しています。

JR東海の特徴の一つが海外展開です。

高速鉄道システムの海外展開に関しては、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みに注力しています。具体的には米国における高速鉄道プロジェクトや、台湾における高速鉄道の技術コンサルティングを継続的に実施しています。

JR東海を志望する就活生は、JR東海の業績をしっかりモニターして、コロナ禍からのリバンプやその先の将来像を自分事化して、就活を進めていきましょう。

JR西日本: 西日本旅客鉄道株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 1,031,103
経常利益/経常損失(百万円) -121,047
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) -113,198
包括利益(百万円) -112,226
従業員数(人) 46,799
外、臨時従業員数(人) 10,509
連結子会社数 61社
持分法適用会社数 5社

JR西日本は運輸業、流通業、不動産業、その他の事業をグループの子会社とともに展開しています。

  • 運輸業:鉄道事業、旅客自動車運送事業及び船舶事業
    • 鉄道事業のうち、JR西日本が北陸、近畿、中国及び九州北部の2府16県の広いエリアを営業範囲として、新幹線、在来線の特急を中心とする都市間輸送及び京阪神都市圏や広島、岡山等の地方中核都市を中心とする地域での都市圏輸送等を担っています
  • 流通業:百貨店業のほかに、主要駅における物販・飲食業等を展開
  • 不動産業:不動産販売・賃貸業、ショッピングセンター運営
  • その他:保有資産を活用したホテル業や広告業、鉄道事業と相乗効果の高い旅行業、建設事業等

2021年3月期(2021年度)連結業績の概要

2021年3月期(2021年度)にけるJR西日本の連結業績は、営業収益が前期比12.1%増の1兆311億円となったものの、営業損失は1,190億円、経常損失は1,210億円、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純損失は1,131億円となり、2期連続の損失計上(赤字)という結果になりました。

前期に引き続き、厳しい結果となっていますが、第3四半期連結会計期間では8四半期ぶりに黒字に転じ、業績が改善する兆しが見えた年度でもありました。

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸業 544,126 52.8% -144,306
流通業 124,253 12.1% -8,600
不動産業 151,188 14.7% 30,028
その他 211,535 20.5% 2,977
合計 1,031,103 100.0% -119,900
調整額 0 809
連結決算計上合計額 1,031,103 100% -119,091

JR西日本はコロナ禍で経営環境が激変するまでは、中期計画に則り、地域に密着して、地域価値の向上、線区価値の向上、事業価値の向上を共通戦略として設定し一大観光周遊エリアの創出や訪日外国人へのサービス強化、関西都市圏のブランド化等に注力してきました。

北陸新幹線金沢開業効果の最大化や大阪駅をはじめとしたターミナル駅の開発等、関西・北陸への観光促進と訪日外国人の観光需要の取り込みに注力してきました。

北陸新幹線のさらなる延伸、うめきた(大阪)地下駅開業等の大規模プロジェクトの進行中であり、また万国博覧会の招致によるプロジェクトを大きなビジネスチャンスと捉えています。

また福知山線で起きたような大事故を二度と起こさないように、中期経営計画でも「安全性向上に向けた取り組み」も最重要課題として取り組んでいます。

中期経営計画

2020年10月には、経営環境の激変を踏まえ、中長期的な財務基盤の回復、社会変化を捉えた変革、安全と成長への道筋を示すべく、次期中期経営計画期間となる2027年度までを見通したうえでの方針策定と2022年度までの経営指標の見直しを行っています。

コロナ禍からの経営再建と事業構造改革の行程を3つのフェーズに分け、「変革・復興期(第I期)」(~2022年度)、「変革・復興期(第II期)」(2023~2027年度)、「進化・成長期」(2028年度~)の三期で捉えた計画となっています。

全期を通じて安全性の向上と地域共生に取り組みつつ、「変革・復興期」においては構造改革と財務基盤の立て直しによる経営の強靭化、特に「変革・復興期(第I期)」では変化対応力を高めるべく、企業改革に集中的に取り組み、その後の「進化・成長期」におけるさらなる発展につなげる方針です。

中期経営計画の4つの戦略

  1. 「福知山線列車事故を原点とした安全性向上」:「全期」
  2. 「地域共生の深耕と新たな価値創造への挑戦」:「全期」
  3. 「経営の強靭化」:「変革・復興期(第I期)」「変革・復興期(第II期)」
  4. 「変化対応力を高める企業改革」:「変革・復興期(第I期)」

企業改革に集中的に取り組み、行動変容によりご利用減少が継続したとしても安定した利益が創出できる事業構造への改革を推進する方針を掲げています。

就活でJR西日本を志望する皆さんは、改革や挑戦の意識を高く持って企業研究を深め、JJR西日本の成長の機会を自分事化して、就活の軸や志望動機に活かして下さい。

JR九州: 九州旅客鉄道株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 329,527
経常利益/経常損失(百万円) 9,237
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) 13,250
包括利益(百万円) 11,244
従業員数(人) 14,872
外、臨時従業員数(人) 3,805
連結子会社数 54社
関連会社 7社

JR九州グループは、運輸サービス、建設、不動産・ホテル、流通・外食及びその他事業を九州全域を中心に展開しています。

  • 運輸サービスグループ:鉄道事業、バス事業、船舶事業等
  • 建設グループ:建設業、車両機械設備工事業、電気工事業等
  • 不動産・ホテルグループ:不動産賃貸業(商業施設、オフィス、マンション等)、不動産販売業(分譲マンション等)、駐車場の運営、シニア事業、ホテル業、複合観光施設の運営等
  • 流通・外食グループ:小売業のほか、飲食業及び農業
  • その他グループ:広告業、建設機械の販売・レンタル、ゴルフ場経営等

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

JR九州の2021年3月期における連結業績は、営業収益が前期比12.1%増の3,295億27百万円となり、増収となっています。

ただし、コロナの影響が全くなかった2019年3月期の営業収益が4,403億円、影響が軽微であった2020年3月期の4,326億円と比較すると、まだまだ回復には至っていません。

利益面では、営業利益が、39億44百万円(前期の営業損失は228億73百万円)、EBITDAは前期比563.3%増の307億70百万円、経常利益は92億37百万円(前期の経常損失は193億23百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は132億50百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純損失は189億84百万円)となり、損失を出した前期の赤字から、黒字転換を達成しています。

2022年3月期におけるJR九州の事業セグメント別業績概要は以下の通りです。

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸サービス 102,009 31.0% -22,299
建設 42,579 12.9% 7,087
不動産・ホテル 106,711 32.4% 17,986
流通・外食 43,433 13.2% -1,241
その他 34,794 10.6% 2,883
合計 329,527 100.0% 4,417
調整額 0 -473
連結決算計上合計額 329,527 100% 3,944

中長期計画

JR九州では、「2030年長期ビジョン」そして「あるべき姿」を実現するために、2030年までに想定される主要な外部環境変化と、その変化に影響を受ける人々の豊かさに関する価値観の変化に着目するとともに、極端な変化を想定した未来シナリオも検討したうえで、「2030年長期ビジョン実現方針」と2022年度から2024年度の3カ年における方針及び重点戦略等を定めた「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」を策定しています。

中長期の経営計画の体系は以下の通りです。

  • あるべき姿:安全とサービスを基盤として、九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ
  • おこない:誠実/成長と進化/地域を元気に
  • 2030年長期ビジョン:安全・安心なモビリティサービスを軸に、地域の特性を活かしたまちづくりを通じて九州の持続的な発展に貢献する
  • 2030年長期ビジョン実現方針:
  1. 価値観の変化をとらえた「豊かな生活を実現する」まちづくり
  2. 九州の持続的な発展に貢献する領域の拡大
  • 中期経営計画 2022-2024:
    • 2023年3月期よりスタートした3カ年の「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」では、グループが早期に成長軌道への復帰を図る重要なステージとして位置づけ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況下において取り組んできた「事業構造改革の完遂」、そして前述の2030年長期ビジョン実現方針に基づいた「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」という3つの重点戦略を推進していく方針です。
    • そして、「戦略実行・実現を担う人づくり」と「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」に取り組む計画となっています。

JR九州の特徴は鉄道と不動産を経営の2本柱と位置付け、事業を展開していることです。中核事業である鉄道は赤字のローカル線への対応が焦点となっています。

企業としては、鉄道については収支を維持するために投資の適格性を厳格に判断していく姿勢を明確にしていますが、地方の交通・公共インフラをどうしていくかは地方自治体や国の問題でもあるためそう簡単ではありません。当面は新幹線や鉄道以外の事業収益でバランスをとるしかないというのが現状です

現状の業績は厳しいですが、成長するアジア諸国へのゲートウェイという地の利もあるため、中長期のスパンで成長の機会を捉え、自分自身のビジョンをしっかり持っていいましょう。

JR北海道 北海道旅客鉄道株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益 (百万円) 110,337
全事業営業利益/損失 (百万円) -72,775
経常利益/損失 (百万円) -8,098
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) -1,052
従業員数 (人) 6,247
連結子会社数 17社
持分法適用関連会社 1社

JR北海道は人口減少地域を抱えて、単独で維持が難しい路線を数多く抱えています。

インバウンド需要の促進策やホテルの開業、運賃改定などの経営努力は続けていますが、新幹線も赤字が続いており、在来線の老朽化や安全対策、豪雪対策や自然災害の復旧も必要であり黒字化するのが難しい上状況というのが正直なところです。

これらの構造的な問題に加え、新型コロナウイルス感染症の悪影響が加わり、2021年3月期(2020年度)期に続き、2022年3月期(2021年度)の決算は再び非常に厳しい状況(損失)になりました。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

2022年3月期(2021年度)の連結営業収益は1,103億円となり、新型コロナ感染拡大の影響を大きく受け、全体で553億円の大幅減収(前期比マイナス43.1%)であった年度の営業収入1,119億円に対して、更に16億円減少した結果となっています。

大幅減収の状況を踏まえて、コスト削減に注力し、悪化幅を減少しましたが、結果的に営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度と比較して改善はしていますが、損出を計上した赤字決算からは脱却できていません。

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸業 59,100 54% -77,200
小売業 20,200 18% -400
不動産賃貸業 21,500 19% 5,500
ホテル業 4,200 4% -1,200
その他 5,100 5% 800
合計 110,300 100% -72,600
調整額 -100
連結決算計上合計額 110,300 100% -72,700

各セグメントの概況は以下の通りです。

  1. 運 輸 業:鉄道運輸収入の増加に加え、乗合バスのご利用状況もやや回復し、増収増益
  2. 小 売 業:コンビニ・土産店・飲食店などにおいて売り上げが回復したものの、スーパーマーケットは他店との競合もあり売り上げが減少し、ほぼ前年並み
  3. 不動産賃貸業:JRタワーでは、緊急事態宣言に伴う土日休業・時短営業を行ったものの、前年度に対し営業日数が増加し、増収増益
  4. ホ テ ル 業:稼働率は低迷が続いているものの、前年度と比較するとやや改善し、増収増益
  5. そ の 他:清掃整備業では消毒・抗ウイルス施工の新規獲得等があったものの、卸売業で取扱量が減少したことなどにより、ほぼ前年並み

現状では徹底した自助努力を進めると同時に、国及び地域からの支援、グループ会社からの収益還元に頼っての経営を改善するしかない状況が続いています。

JR四国 四国旅客鉄道株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益 (百万円) 31,100
営業利益/損失 (百万円) -22,100
経常利益/経常損失 (百万円) -3,200
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失 (百万円) -5,200
従業員数 (人) 2,116
連結子会社数 20社

*億円未満切り捨て

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 営業収益(百万円) 構成比 営業利益/損失(百万円)
運輸業 17,400 39% -21,400
物品販売業 5,400 12% -300
建設業 10,300 23% 1,000
ホテル業 3,600 8% -1,200
不動産業 1,600 4% -0
その他事業 6,500 15% 100
合計 44,800 100% -22,100

*セグメント別売上高には外部顧客に対する売上の他、他セグメントへの売上を含んでいます

*億円未満切り捨て

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

JR四国の決算を見ると、純粋な事業全体では赤字であり、中でも根幹の運輸事業の赤字が大きいのが特徴です。また近年、豪雨などによる自然災害の発生も経営に大きな影響を与えています。

各事業においてサービス品質の向上と収益の拡大、地域社会との積極的な連携に取り組み、2020年1月までは前年を上回り、当初の計画どおり業績は堅調に推移していましたが、2020年2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい経営状況が続いています。

2022年3月期における連結業績の概況は以下の通りです。

  • 売上収益:311億円(対前年度比、33億円の増加)
    • 四国DC*の効果や「JRクレメントイン今治」を開業した効果等で、運輸業、ホテル業、物品販売業において、前年度比増収となっていますが、コロナの影響が軽微であった2020年3月期の営業収益の6割程度という結果でした。
      • *四国DC:四国 DC(デスティネーションキャンペーン)は四国 4 県が一丸となって行う大型観光キャンペーン。JR四国と自治体、旅行会社等が協力して実施。
  • 営業利益:営業損失221億円(対前年度比、38億円の改善)
  • 経常利益:経常損失32億円(対前年度比、75億円の改善)
    • 営業外損益が、株式市場が好調に推移する中、国の支援に伴う貸付金確保のための評価益の実現を実施し、基金運用益が41億円増加
  • 親会社株主に帰属する当期人利益:純損失52億円 (対前年度比、28億円の改善)

営業収益が前年度より増収となってはいるものの、利益面では営業利益、経常利益、当期純利益のいずれもマイナスの赤字決算が継続しています。

中期経営計画

2021年度は2031年度の経営自立に向け、「長期経営ビジョン」と「中長期計画2025」のスタートになる重要な年でした。

長期経営ビジョンでは、ありたい姿を「鉄道を中心としたモビリティの提供及びまちづくりを通じた様々な事業を展開し、交流人口の拡大と地域の発展に貢献するとともに、新しい価値・サービスの創造にチャレンジすることで、従業員が誇りを持ち、生き生きと働ける企業グループ」としています。

具体的には、「鉄道運輸収入の安定的な確保」、「省力化・省人化による生産性向上」、「非鉄道事業における最大限の収益拡大」を柱に経営基盤強化を重点実施項目として事業を展開しています。

就活でJR四国を志望する方は、JR四国の長期ビジョンや中期計画を理解して就活に臨んで下さい。

キーワードは四国内外の交流人口の拡大と、四国の活性化への貢献です。ぜひ自分事化して考えてみて下さい。

東急株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 879,112
経常利益/経常損失(百万円) 34,998
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) 8,782
包括利益(百万円) 19,955
従業員数(人) 24,364
外、臨時従業員数(人) 18,471
連結子会社数 132社
関連会社 34社

2022年3月期:セグメント別連結売上高及損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
交通事業 162,927 18.5% -3,937
不動産事業 187,183 21.3% 45,230
生活サービス事業 489,368 55.7% 6,600
ホテル・リゾート事業 39,634 4.5% -16,736
合計 879,112 100.0% 31,157
調整額 0 386
連結決算計上合計額 879,112 100% 31,544

連結決算上は、東急を鉄道会社と考えずに、鉄道と不動産、流通・生活サービス業の総合産業と考えた方が良いでしょう。

特に売上高でみると、東急百貨店、東急ストア、渋谷109東、東急ハンズ等のブランド、クレジットカードビジネス、ケーブルテレビ事業、広告代理店事業などのグループ子会社で構成する生活・サービス事業の売上が交通事業の約3倍の規模となっています。

また不動産事業も自らが多摩田園都市を中心に宅地を造成販売し、住宅等の建設販売を行うとともに、東急不動産、東急リバブル等の不動産連結子会社も利益を積み上げ、セグメント利益では交通事業(東急主要沿線及び伊豆急行、バス事業などの収益)や生活サービス事業を抜いて、一番のシェアを誇っています。

東急全体は非常にバランスの取れたポートフォリオであり、本業の交通事業でも着実に利益をだしている民鉄の優等生と言われてきました。

しかし、民鉄の優等生と言われている東急でも、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は甚大であり、前期である2021年3月期は損失計上(赤字決算)となってしまいました。

2022年3月期は大幅な改善となり、黒字に転換していますが、コロナ以前の水準からは程遠い状況が続いています。

2022年3月期(2021年)連結決算の概要

2022年3月期(2021年)における東急グループの連結業績は、営業収益が、8,791億1千2百万円(前年同期比6.1%減)となり、減収という結果でした。

利益面では、営業利益が315億4千4百万円(前年同期は316億5千8百万円の営業損失)となって、営業黒字に転換しています。

これは交通事業やホテル・リゾート事業を中心とした、2020年4月に発出された緊急事態宣言に伴う外出自粛、店舗休業影響からの利用者数回復に加え、不動産事業における大規模物件の販売が寄与した結果です。

その結果、経常利益は349億9千8百万円(前年同期は268億2千4百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は、87億8千2百万円(前年同期は562億2千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となり、黒字決算に転換しています。

連結子会社の伊豆急行(株)における減損損失182億8千4百万円を含む特別損失314億5千5百万円を計上したものの、固定資産売却益の計上があったこと等による黒字化でした。

中期経営計画

東急では2021年度をスタートの年とする、中期3か年経営計画を策定して事業を展開しています。

中期経営計画の基本方針は、“『変革』~事業環境変化への対応による収益復元と進化”としています。

移動・交流人口の減少や、ワークスタイル・ライフスタイル変容の加速等をはじめとする事業環境変化への対応と構造改革諸施策の推進によって、収益規模を復元する計画です。

各事業の戦略を構築するうえでは、まちづくりの観点から行動やニーズをはじめとする社会の変容をとらえ、中長期的なパラダイム変化の兆候を意識したうえで各事業における戦略を構築し、持続的な成長につなげていく方針です。

その大きな柱が「自律分散型都市構造の考え方をベースとした事業展開への転換」です。

これは従来型の「住まい=郊外中心」、「オフィス・商業=都市中心」という一軸構造ではなくなり、多様化・複層化するニーズを確実に取り込み、各事業の成長に繋げていこうという考え方に立脚しています。

東急電鉄への就職を志望している就活生は、東急という企業の特徴を踏まえて、事業の成長の機会を自分事として深く考えてみることをお勧めします。

東京メトロ 東京地下鉄株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 306,904
経常利益/経常損失(百万円) -20,497
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) -13,397
包括利益(百万円) -15,447
従業員数(人) 11,794
外、臨時従業員数(人) 1,941
連結子会社数 13社
非連結子会社 1社
関連会社 3社

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸 273,780 89.2% -23,656
不動産 13,543 4.4% 4,609
流通・広告 19,171 6.2% 6,793
その他 408 0.1% 40
合計 306,904 100.0% -12,213
調整額 0 96
連結決算計上合計額 306,904 100% -12,117

注:セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っています。

東京メトロは鉄道事業を中心に首都東京の都市機能を支え、東京に集う人々の生活に貢献している優良企業です。運輸業の売上、利益ともシェアは9割近く、本業でしっかりと利益を出してきました。

あらゆる機能が集中した東京、しかも都心中心という非常に恵まれたテリトリーということもありますが、近年では駅を拠点にした周辺地域の活性化や、東京の観光資源の開発にも貢献しています。

2021年に開催された東京オリンピックは、観光資源開発の絶好の機会になるはずでしたが、海外からの渡航制限に加え無観客開催となり、短期的には残念な結果となってしまいました。

機能が集中する東京が新型コロナウイルスの被害を受けたため、まさに都市の交通網を担っている東京メトロも昨年度程ではないですが、依然大きな影響を被っています。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

2022年3月期における東京地下鉄の連結業績は、新型コロナウイルス感染症の影響から一部回復したことに伴い、旅客運輸収入等が増加し、営業収益が3,069億4百万円(前期比3.8%増)となっています。

前年度比で増収となっていますが、コロナの影響がなかった2019年3月期の営業収入が、4,348億円、影響が軽微だった2020年3月期の4,331億円と比較すると約1,300億円の減収という状況です。

利益面では、営業損失が121億1千7百万円(前期は営業損失402億9千9百万円)、経常損失が204億9千7百万円(前期は経常損失476億8千9百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失が133億9千7百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失529億2千7百万円)となり、前期より改善はしていますが、2期連続で赤字を計上する結果となっています。

中期経営計画

短期的には厳しい状況が続きますが、東京地下鉄では抜本的な経営改善に向けた取り組みを開始しています。

東京メトログループは、2022年4月に、持続可能な鉄道事業の運営と成長戦略による収益拡大を実現すべく、「構造変革」・「新たな飛躍」を基本方針に掲げ、4つの重点戦略を設定した、2022年度から2024年度までの中期経営計画「東京メトロプラン2024」を公表し、事業を展開しています。

この中期経営計画では、お客様の安全を第一に、3つのキーワード「安心な空間」「パーソナライズド」「デジタル」をベースとして、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、「構造変革」に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、「新たな飛躍」を目指した取組を推進することを基本方針としています。

ポストコロナにおける社会・行動変容を見据え、「安心な空間」、「パーソナライズド」、「デジタル」の3つのキーワードを設定し、これらに基づく施策にキャッシュフローを重点的に配分していくことで、持続的な企業価値の向上を目指す方針です。

近鉄グループホールディングス株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 691,512
経常利益/経常損失(百万円) 30,658
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) 42,755
包括利益(百万円) 59,363
従業員数(人) 26,605
外、臨時従業員数(人) 12,773
連結子会社数 113社
関連会社 14社

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円)
運輸 153,250 22.2% -2,721
不動産 159,189 23.0% 29,346
流通 187,403 27.1% -1,513
ホテル・レジャー 166,681 24.1% -21,685
その他 24,316 3.5% 1,708
合計 690,842 100.0% 5,134
調整額 670 -1,269
連結決算計上合計額 691,512 3,864

近鉄グループは、鉄道事業を中心に幅広い事業を展開しており、「運輸」、「不動産」、「流通」、「ホル・レジャー」、「その他」の事業を行っています。

「運輸」は鉄道、バス、タクシー及び観光施設の営業、鉄道施設整備儀容、その他運輸関連事業等、「不動産」は不動産の販売、賃貸及び管理等、「流通」は百貨店、ストア及び駅売店における商品の販売、飲食業等、「ホテル・レジャー」は旅行、ホテル及び旅館の営業、映画業・水族館等、「その他」はケーブルテレビ、情報処理の営業等を事業化しています。

近鉄グループは歴史的に多角を推進しており、国鉄民営化の時のお手本にされました。

非常にバランスの取れた事業ポートフォリオであり、本業の運輸業でもしっかりと利益を出してきました。

百貨店事業は、旗艦店である「あべのハルカス近鉄本店」の収益力のさらなる強化を図るとともに、郊外店では地域のお客様や取引先と連携した「地域共創型百貨店」を目指し、それぞれの地域の特性に合わせたリニューアルに取り組んでいます

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

前期である2021年3月期における近鉄グループホールディングスの連結業績は、新型コロナウイルス感染症が収束せず、運輸、流通、ホテル・レジャーなど各事業で大幅な減収となり、赤字の決算となってしまいました。

2021年度はコロナ禍によって事業環境が大きく変化したことを受けて、2021年5月に「近鉄グループ中期経営計画2024」を策定し、各事業においてコスト削減を進め損益分岐点の引き下げを行うとともに、業務の効率化による新規採用社員数の抑制、ホテルやオフィスビル等の一部の保有資産やグループ会社株式の売却を行うなど聖域なき事業構造改革を実行した年度でした。

2021年4月には工場用機械器具の製造・販売業を営む(株)サカエを子会社とし、個人消費に偏っていた事業ポートフォリオを見直して、法人向け事業の強化を図っています。

2022年3月期(2021年度)連結業績は、前期に比較して0.8%減の6,915億12百万円となり、前年度比では微減という結果でした。

利益面では、営業利益が38億64百万円(前期は621億15百万円の損失)、経常利益は(株)近鉄エクスプレスの業績が堅調に推移し、持分法による投資利益が増加したことから、306億58百万円(前期は419億59百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損益で、ホテル事業再編によるホテル資産の売却益を計上したこと等により、427億55百万円(前期は601億87百万円の損失)となり、前年度の赤字から黒字決算に転換しています。

中期経営計画

2021年5月に策定した「近鉄グループ中期経営計画2024」は、アフターコロナ社会に対応した新基本方針を「コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革」として、「コスト構造の抜本的見直し」、「有利子負債の早期削減」、「外部パートナーとの連携強化」、「事業ポートフォリオの変革」、「DXによる新規事業・サービスの創出」、「地域の課題解決を目指したまちづくり」の6つの重点施策を設定しています。

就活で近鉄グループを志望する方は、中期経営計画を参考にしながら、事業ごとの戦略や具体策、将来への方向性を理解して、自分自身のビジョンを深堀りしていきましょう。

阪急阪神ホールディングス株式会社

2022年3月期連結決算(2021年度)

営業収益  (百万円) 746,217
経常利益/経常損失(百万円) 38,450
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) 21,418
包括利益(百万円) 17,251
従業員数(人) 22,869
外、臨時従業員数(人) 8,294
連結子会社数 139社
関連会社 54社

2022年3月期:セグメント別連結売上高及び損益の概要(単位:百万円)

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円) 構成比
都市交通 157,128 21.1% 5,626 12.4%
不動産 213,161 28.6% 32,952 72.9%
エンタテイメント 61,485 8.2% 9,263 20.5%
情報通信 48,638 6.5% 5,867 13.0%
旅行 60,102 8.1% -5,748 -12.7%
国際輸送 143,229 19.2% 8,019 17.7%
ホテル 24,909 3.3% -13,176 -29.2%
その他 37,153 5.0% 2,385 5.3%
合計 745,809 100.0% 45,191 100.0%
調整額 408 -5,979
連結決算計上合計額 746,217 39,212

阪急阪神グループの特徴は宝塚や阪神タイガースという有力なエンターテインメントビジネスを持っていることです。特に阪神電鉄にとっては、タイガースの存在が売上、利益とも大きいことです。

阪急は利益では不動産事業のウェイトが都市交通事業とほぼ同等のウェイトを占めています。

また阪急交通公社は旅行事業社としても大手旅行会社の一角を担っています。鉄道を核として、生活やエンターテインメントに密着した事業展開を行っており、近鉄と並ぶ関西の民鉄を代表する企業です。

阪急阪神ホールディングスの事業ポートフォリオは以下の通りです。

  • 都市交通事業:鉄道事業、自動車事業(バス、タクシー等)、流通業、都市交通その他事業
  • 不動産事業:賃貸事業、分譲その他事業
  • エンタテイメント事業:スポーツ事業、ステージ事業
  • 情報通信事業:
  • 旅行事業:
  • 国際運輸事業:
  • ホテル事業*
  • その他事業:建設・環境事業、広告代理・制作事業、人事・経理代行業、グループカード事業、グループ金融事業

*2022年度から、不動産事業にホテル事業を統合し、ホテル事業は不動産事業の1業態となっています

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要

前期の2021年3月期では、阪急阪神ホールディングスの連結業績も、新型コロナウイルス感染症拡大による甚大な影響を受けました。グループの連結営業収益は対前会計年度比(影響が軽微であった2020年3月期比)で1,937.5億円減少し、5,689億円となり、25.4%のマイナスとなり、営業利益ベースでは前会計年度比で931億の減少、率にして97.8%の大きなマイナスでした。

そうした中で、阪急阪神グループでは、2022年3月期(2021年度)を既存事業の回復に全力を尽くすための「緊急回復期間」と位置付け、収支構造の強靭化に注力するとともに、コロナ禍をきっかけに加速している事業環境の変化(ニューノーマル時代)への対応に注力した年度となりました。

これらの結果、当期も新型コロナウイルスの影響が大きく残るものの、同影響をより大きく受けた前期比では、多くの事業において一定の回復が図られ、営業収益、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも増加させることができています。

2022年3月期(2021年度)連結業績の概要は以下の通りです。

  • 営業収益:7,462億17百万円 (前年度比:1,773億17百万円増加)
  • 営業利益:392億12百万円 (前年度比:371億45百万円増加)
  • 経常利益:384億50百万円 (前年度比:460億73百万円増加)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:214億18百万円 (前年度比:581億21百万円増加)

経常損失、純損失を計上した2021年3月期(2020年度)から、黒字に転換しています。

参考:2022年3月期の阪急電鉄セグメント別連結売上及び損益の概要

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円) 構成比
都市交通 122,184 57.0% 4,429 16.8%
不動産 56,952 26.6% 15,625 59.2%
エンタテイメント 33,311 15.5% 6,008 22.7%
その他 2,025 0.9% 345 1.3%
合計 214,474 100.0% 26,410 100.0%
調整額 682 222
連結決算計上合計額 215,156 26,632

参考:2022年3月期の阪神電気鉄道セグメント別連結売上及び損益の概要

事業セグメント 外部顧客への営業収益(百万円) 構成比 セグメント利益/損失(百万円) 構成比
都市交通 34,953 19.3% 676 4.8%
不動産 24,797 13.7% 2,395 16.9%
エンタテイメント 29,258 16.2% 3,249 22.9%
情報・通信 57,035 31.5% 5,866 41.4%
建設事業 29,740 16.4% 2,005 14.1%
その他 5,183 2.9% -8 -0.1%
合計 180,969 100.0% 14,186 100.0%
調整額 128
連結決算計上合計額 180,969 100% 14,314

新型コロナウイルスは多角化した鉄道企業の事業をことごとく追いつめる脅威の存在です。

旅行やホテル事業のみならず、特に阪神タイガースや宝塚といった優良なエンタメ事業にも影響を与えたているため今後の状況の変化にアンテナを高くしておきましょう。

阪急阪神ホールディングスの中長期計画

長期ビジョン:

阪急阪神ホールディングスは、新しい「長期ビジョン-2040年に向けて-」を策定しています。

この長期ビジョンでは、今後推進していく「芝田1丁目計画:大阪新阪急ホテル・阪急ターミナルビルの建替、阪急三番街の全面改修等」や「なにわ筋連絡線・新大阪連絡線計画」等の大規模プロジェクトの利益貢献が期待できる2035~2040年頃を見据えながら、長期的にグループが目指す姿をはじめ、その実現に向けた戦略や財務方針等を定めています。

具体的には、スローガンとしては引き続き「深める沿線 拡げるフィールド」を掲げ、それを実現するために、阪急阪神グループの事業ポートフォリオを踏まえ、「提供するサービス(価値)」と「事業エリア」をもとに以下の4つを重点戦略としています。

  • 戦略1: 関西で圧倒的1の沿線の実現
  • 戦略2:コンテンツの魅力の最大化
  • 戦略3: 沿線事業モデルの展開エリアの拡大
  • 戦略4: 高付加価値サービスの提供による事業シェアの拡大

この4つの戦略に加えて、「阪急阪神DXプロジェクト」やSDGs・2050年カーボンニュートラルに向けた取組を強力に推進するほか、この新しい長期ビジョンを実現するために、グループが一体となって変革を推進する方針です・

中期経営計画:

長期ビジョンの実現に向け、中期的な取組を反映した具体的な実行計画として、2022年度から2025年度までの4か年を「コロナ前の成長軌道に回帰する期間」及び「長期ビジョンの実現に向けて足固めをする期間」と位置付ける中期経営計画を策定し、事業を添加しています。

2022年度については、2021年度に続いて既存事業の回復に全力を尽くすための「緊急回復期間」として、収益力の回復や固定費の削減・変動費化、また財務体質の良化等に向けた取組に注力しながら、利益水準をコロナ前の3分の2程度へと回復させる計画となっています。

また長期ビジョンの実現に向けた最初のマイルストーンとなる2025年度については、長期ビジョンの方向性に則った施策を着実に推し進めていくことにより、2030年度の目標が射程圏に入る営業利益の水準を目指し、数値目標を設定してその達成に向けて事業を展開しています。

業務の効率化・省力化や生産性の向上等の他、コストの抑制・削減を図ることで既存事業の改善・強化を図るとともに、グループを挙げてDX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応に注力し、リアルとデジタルを両輪とした事業展開を実現していく方針です。

上記は骨子のみですが、就活で阪急阪神ホールディングスのグループ企業を志望する方は、長期ビジョンや中期経営計画の内容を理解して、自分自身のビジョンを深堀してみて下さい。

まとめ

JR系6社、大手民鉄4社の現状を駆け足で解説してきましたが、各社特徴も違い、また事業も広汎に及んでいるので、鉄道会社の「鉄道」というイメージだけで就活を組み立てるのは危険です。

志望する場合はきめ細かく企業研究をして、自己分析と合わせて志望動機を練る必要があります。理系の学生で専門分野のプロフェッショナル採用で勝負する場合でも、事業全体の構造や現状の経営戦略、未来に向けての事業計画をしっかり踏まえてエントリーしましょう

特に鉄道企業はコロナ禍による経営環境の激変に対処するため、安全性を担保した上でコスト削減をしなければなりません。採用活動は更に厳しく、厳選採用を徹底していくでしょう。

大手優良鉄道会社は事業規模が巨大な割には採用人数が少ないため、非常にハードルが高い業界の一つです。OB/OG訪問、インターシップへの参加も含めて対策を練っていきましょう。

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