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【就活の業界研究】旅行業界の構造と、主要旅行会社の現況を知っておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では旅行業界の中でも、就活生に人気の高い旅行会社の情報を以下の項目に沿って簡潔にまとめていますので活用してください。

旅行会社の7つのポイントを押さえよう

  • 旅行会社のビジネスモデルを理解しよう
  • 旅行業界の現状と課題・未来
  • 旅行会社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 旅行会社に働く人のモチベ―ションは何か
  • 旅行会社に向く人、向かない人は誰か
  • 旅行業界の構造変化
  • 国内大手旅行会社を取り巻く現況
この記事では伝統的に就活生に人気がある旅行業界の構造と大手旅行会社の現況やその事業を取り巻く状況をまとめて解説します。就活生が、未来をこの業界、旅行会社に託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

ただし、2020年3月より、新型コロナウイルス感染症の影響で最も大きな打撃を受けた業界の一つが旅行業界です。この記事ではコロナ以前の平常時におけるトレンドと、コロナが及ぼしている影響の両方の側面から分析をしています。

旅行業界は2021年卒の大卒新卒の採用を見送っている企業も多く、2022年卒以降も厳しい状況が続くものと予想されています。旅行業界を志望する就活生は、この業界を取り巻いている厳しい状況を理解した上で、他の業界にも視野を広げて就職活動を進めることをお勧めします。

旅行業界にこだわりを持っている学生は、近接業界やサービス業として親和性の高い他の業界に一旦入り、キャリアを積んで平常時に戻った際に、キャリア採用として旅行会社にチャレンジすることもできます。

様々な選択肢を考え、就活を進めていきましょう。

旅行業界の構造の変化

伸びる旅行EC市場規模

 

経済産業省の「電子商取引(EC)に関する市場調査」によると、2013年に2兆 4415億円だった「旅行サービス」におけるBtoCのEC市場規模は、2017年には約4 割増の3兆3742億円まで拡大しています。

2014年以降の前年比伸び率は、7.7%、9.7%、 5.4%、11.0%と推移しています。2017年は2ケタ台の伸びを記録するなど、OTA(Online Travel Agent) 等による取り扱いが堅調に増加していることがその理由とされています。

直接のEC以外の、旅のキュレーションサイト、比較サイト、個人ブログやSNSなど、旅行 × デジタルの流れは留まるところを知りません。OTA業者も含めて、旅行代理店としての手数料ビジネスで旅行業、旅行会社を考えるのは、もはや機能しない発想と言っても良いでしょう。

大手旅行会社の状況

大手の旅行会社4社(JTB、KNT、阪急交通社、日本旅行)の旅行事業部門の取扱高(売上高)について2018年度と比較すると、2019年度は前年比マイナスとなっています。

これは2020年2月に始まった新型コロナウイルスの影響が各社の第4四半期(2020年1月~3月末)の業績に悪影響を及ぼしたことが大きな原因です。

また2019年10月に実施された消費税増税も、国内消費を冷え込ませたことも影響しています。

2020年3月期決算資料などによると、各社でインバウンド旅行の取扱は拡大していたことが分かります。急激にFIT化(外国人が団体旅行やパッケージツアーを使用しないで個人で旅行をすること)しつつある訪日旅行事業の強化=伸びている市場を確実にビジネスの成長に結びつけることが課題ととらえ、好調であったインバウンド需要の取り込みに努力をした結果でした。

しかしながら、2020年3月以降、コロナウイルスが好調であったインバウンド需要もほとんどゼロにしてしまいました。

また旅行会社の今後は、OTA対策、連携のほか、MICE(Meeting, Incentive Tour, Convention, Exhibitionの略)、地方創生事業への取り組みなどを通じた法人営業強化が収益を上げる上で重要な課題となっています。

観光庁のまとめている、主要旅行業者の旅行取扱状況速報で、2019年度(2019年4月1日から2020年3月31日)のデータを、2018年度と比較したのが次の表になります。

なお、HISは観光庁が毎月取りまとめている「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」への取扱額の提供を、2019年11月分から取りやめているため観光庁のデータには現れなくなっています。

その代わりにHISは自社のホームページで、海外旅行、国内旅行、訪日旅行の取扱高を月次で掲載しています。大手旅行会社のHISがいかに苦しい環境に置かれているかを如実にア表すデータになっています。

その意味では旅行会社4社(JTB、KNT、阪急交通社、日本旅行)の2019年度の業績データより、現在の厳しさを直感的に理解できるデータのため、是非目を通しておいてください。

本記事では2020年8月までのデータを昨年同月比で理解できるように、引用しておきます。

大手4社(JTB、KNT、阪急交通社、日本旅行)の取扱額:

旅行会社2018年度(千円)2019年度(千円)増減率
JTB(11社計)1,693,222,9011,577,140,26693.1%
KNT(13社計)496,302,573459,291,64092.5%
日本旅行449,839,235424,942,44894.5%
阪急交通公社(3社計)369,971,137335,605,67890.7%

出典:主 要 旅 行 業 者 の 旅 行 取 扱 状 況 速 報(観光庁)
(平成31年4月~令和2年3月計)

2019年度海外旅行取扱額の状況(JTB、KNT、阪急交通社、日本旅行)

旅行会社2018年度(千円)2019年度(千円)増減率
JTB(11社計)593,421,136544,826,43291.8%
KNT(13社計)164,841,288153,725,47693.3%
日本旅行126,950,891109,666,87686.4%
阪急交通公社(3社計)229,832,713203,316,82388.5%

2019年度国内旅行取扱額の状況(JTB、KNT、阪急交通社、日本旅行)

旅行会社2018年度(千円)2019年度(千円)増減率
JTB(11社計)1,007,301,226934,442,66592.8%
KNT(13社計)308,373,133280,743,87491.0%
日本旅行278,164,101267,710,85696.2%
阪急交通公社(3社計)136,683,985128,626,14994.1%

2019年度外国人旅行取扱額の状況(JTB、KNT、阪急交通社、日本旅行)

旅行会社2018年度(千円)2019年度(千円)増減率
JTB(11社計)92,500,53997,871,169105.8%
KNT(13社計)23,857,72924,822,290104.0%
日本旅行44,724,24347,564,716106.4%
阪急交通公社(3社計)3,454,4393,662,706106.0%

参考資料:HISの月次取扱高比較 (2019年度 VS 2020年度 月次推移)

HIS 海外旅行取扱高速報:(単位:百万円)

HIS2019年度2020年度前年比(%)
11月29,69128,89397.30%
12月32,77135,221107.50%
1月25,43623,32591.70%
2月33,85632,04794.70%
3月37,78110,20927.00%
4月39,117465 1.2%
5月26,822545 2.0%
6月28,778289 1.0%
7月31,146306 1.0%
8月47,516433 0.9%
9月36,780
10月32,249

HIS 国内旅行取扱高速報:(単位:百万円)

HIS2019年度2020年度前年比(%)
11月4,3324,440102.50%
12月3,8213,44590.20%
1月3,7873,78299.90%
2月5,5125,31096.30%
3月6,8902,62838.10%
4月5,174225 4.3%
5月4,58224 0.5%
6月3,845209 5.4%
7月5,26582415.70%
8月7,7091,43518.60%
9月5,622
10月4,712

HIS訪日旅行取扱高:(単位:百万円)

HIS2019年度2020年度前年比(%)
11月2,4752,02481.80%
12月2,6801,92571.80%
1月1,9601,89996.90%
2月2,38769028.90%
3月2,66456 2.1%
4月3,0235 0.2%
5月2,81828 1.0%
6月2,7123 0.1%
7月2,84418 0.6%
8月2,46618 0.7%
9月2,098  
10月1,865  

この旅行大手の一角を占めるHISの2020年3月以降のデータの推移のを見れば、直感的に2022年卒の新卒時の採用が非常に厳しいことが理解できると思います。

2020年12月現在では、既にJTB、KNTホールディングス、日本力等の大手旅行代理店が2022年度の新卒採用を見送る方針を発表しています。

政府も国内旅行に関しては 「Go To Travel」キャンペーンという需要喚起策や、資金繰りを支えるスキームを実施してはいますが、海外との往来に関してはまだまだというところです。

コト消費としては非常に有望な産業であり、地方経済への影響も大きいため、新型コロナウイルスの問題が全世界で終息に向かうことを祈るのみです。

事業再編の動き

JTBグループは、2018年1月、社名を「ジェイティービー」から「JTB」へ変更しました。また4月には新たな価値提供に向けた経営改革として、地域別・機能別の事業会社15社を本社に統合し、「個人」と「法人」を軸とする組織再編を行なっています。

KNT-CTホールディングスも大規模な事業構造改革として近畿日本ツーリストと近畿日本ツーリスト個人旅行の2社を統合し、新たに2017年6月に「KNT-CTグローバルトラベル」、2018年4月には「KNT首都圏」「KNT関東」「KNTコーポレートビジネス」「KNT-CTウェブトラベル」を設立しました。個人旅の商品はクラブツーリズムに集約して経営資源を集中して投下する体制を敷いています。

HISは2017年10月、カナダの旅行会社Jonview Canadaを買収したほか、インドのOTAへの出資など引き続きグローバルな展開を行っています。更に、旅行事業以外の事業として電力事業や格安SIMの新会社の設立などの多角化を積極的に進めています。

 新興勢力もの活発な動き

オンライン専業のエボラブルアジアは、OTAとの業務提携により領域を拡大しながら、2018年5月、DeNAトラベルを買収するという話題もありました。現在では株式会社エアトリして事業を展開しています。DeNAトラベルの2018年3月期の決算では営業赤字が19億円でしたが、エボラブルアジアが買収して統合後6月~9月期は営業黒字を出しており、今後が注目されます。尚、エボラブルアジアは2016年に東証マザーズ、2017年3月に東証一部に上場している企業です。「One Asia」をビジョンに掲げ、オンライン旅行事業、訪日旅行事業及びITオフショア開発事業の3つの事業を営む企業であり、旅行業界の中でもその動向が注目されています。

TTA(Traditional Travel Agent:店舗販売を持つ伝統的旅行会社)の新しい事業

2017年11月、日本旅行はポニーキャニオンと、東武トップツアーズはニールセンスポーツジャパンと業務提携をしています。その狙いは新たにエンターテインメントビジネス、コンテンツビジネス、スポーツマーケティングを地方創生やインバウンド事業に活用することです。

顧客・消費者のライフスタタイルの動線上で、旅行会社として培ってきた強みを活かすという発想に基づく業界の大きなトレンドの現れです。一言で言えば「脱・代理販売」の流れです。

2017-2018年の新規参入状況

オンラインを武器にした異業種からの参入も、目が離せません。直近の日本市場だけでもLINEやDMMが旅行事業に参入しました。エイベックス・グループ・ホールディングスもエイベックス・トラベル・クリエイティヴを設立、通販でおなじみのジャパネットたかたもクルーズ事業を自ら手掛けて、その販売を得意の通販で行うという、異種格闘技戦のようなマーケットになりつつあります

IT系企業は、旅行会社の既存の構造や発想の外から、旅行というサービスを再定義して事業化することを考えているため、今後旅行市場を塗り替えてしまうようなポテンシャルを持っています。旅行の前、中、後の人間の心理や、情報のシェアを考えるとLINEやFacebookなどのSNSが提供するプラットフォームとの親和性の高さは、就活をしている皆さんならすぐに理解できるでしょう。SNSのプラットフォームは情報のシェアという意味で大きな影響力を持ち、ツアーの前、中、後でマネタイズできる接点を創るという戦略なのです。

旅行会社の上場企業

上記の大手4社とHIS以外にも、新興の旅行会社の中には、オンラインという新しいチャネルに特化することで上場を果たしている企業も沢山あります。

以下、一覧表でリストアップしておきますので、是非企業のホームページ、IR情報(有価証券報告書)、採用ページ等を併せてチェックしてみて下さい。

名古屋鉄道国内・海外ツアーを取り扱っている名鉄観光をじめ、碧海観光、豊鉄観光サービス、中央アルプス駒ケ岳ロープウェイ、新穂高ロープウェイ、ぎふ金華山ロープウェイ等を展開。
アドベンチャー航空券や旅行商品の比較・予約サイトの「skyticket」等を中心に事業を展開。Webシステム開発で徹底的に無駄と戦い、顧客に価格とサービスで感動を還元する戦略をとっている。リユース商品やスポーツアパレル等の販売も行っている
旅工房オンライン主力。個人旅行事業、法人旅行事業、インバウンドの3つの事業を営んでいるが、個人旅行事業が売上の8割を占めている。個人旅行ではWEbシステムによる世や悪手続きのほかに「トラベル・コンシェルジェ」による旅行のカスタマイズができる人的サポートも行っている
エアトリ2007年5月11日設立。事業内容は、オンライン旅行事業(営業利益の約8割),訪日旅行事業(インバウンド)、ITオフシェア事業(ベトナムにてIT人材育成)の3事業がメインで、アジアをつなぐ架け橋となる独自のビジネスモデルを展開。個人旅行以外にも企業の出張に係る移動および宿泊の手配をするBTM事業「エアトリTTM」も展開
HANATOUR JAPAN主に韓国、中国、東南アジアからのインバウンド旅行商品の企画、各種手配、移動、買い物、宿泊までをワンストップで提供。事業セグメントは、旅行事業、免税販売店事業、バス事業、ホテルなど宿泊運営事業を展開
ユーラシア旅行社世界各地の遺跡、自然、伝統文化、芸術など様々なテーマで、世界160ヵ国で顧客の知的好奇心を満たす海外ツアー、海外旅行を企画・販売しているのが特長
オープンドアTVCMでおなじみの、旅行会社や予約サイトが販売する旅行商品を一括で検索できる国内・海外格安旅行比較サイト「トラベルコちゃん」をはじめ、日本をはじめとする世界中の航空券やホテルの宿泊プランなどを多言語で紹介
ベルトラ国内及び海外の現地体験ツアー(国内及び世界150ヵ国に展開)に特化したオンライン予約サービス「ベルトラ」を運営。いわゆるオプショナルツアーに特化し、旅先での体験から行き先を検索できるしシステムを組んでいる
ベストワンドットコム店舗を持たないクルーズ旅行・船旅中心のオンライン旅行会社を展開。主に個人顧客をターゲットに、海外・国内クルーズの乗船券やパッケージ旅行の販売や、クルーズ旅行に必要な航空券、ホテル、送迎、オプショナルツアーなど様々な旅行商品を提供。社長の澤田秀太氏は、HIS代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏の長男

まとめ

皆さんが就職を考えている大手旅行会社は、現在置かれている状況も、それを踏まえた上での未来に対するアプローチの方法や戦略に違いがあります。そのため、旅行業界を志望すると決めたら、徹底的に企業研究をするべきです。

しかし本当に旅行業を将来まで続く自分のキャリアとして検討するならば、既存の旅行会社のありかたを研究するだけでは不十分なのです。これは既存の大手旅行会社に就職したいと考えている学生に特に言っておきたいことです。

大手旅行会社も、過去に培ってきたノウハウだけで生きていけるとは決して思っていません。

先が見えない時代だからこそ若い学生の柔軟な発想や、VRやSNS、IoTやAI、シェアエコノミーに対する受容性など、現在の経営者にはない、テクノロジーに対する感性やポテンシャルに期待しているからです。

もちろん、旅行会社の社員としての基本的な素養や価値観は必要ですが、それをどのように実現するかについては、既存の考え方にとらわれない発想やジャンプを求めていると理解してください。

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