就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
「就活の答え」では機械業界を、以下の項目に沿って解説していきます。
機械業界の6つのポイントを押さえよう
- 機械業界の構造とビジネスモデルを理解しよう
- 機械業界の現状と課題・未来
- 機械メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
- 機械メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
- 機械メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
- 機械メーカーの上位企業の特徴と業績
この記事では機械製造業界の中でもプラント業界の売上上位企業に絞って、各企業の特徴や現況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に解説します。
就活生が、自分の未来をこのプラント業界に託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。
機械製造業は工作機械・ロボット、建設機械・プラント、重機械・農業・縫製・食品・印刷産業機械など、様々な分野を専門的に扱っている企業や複数の分野を扱っている企業、更に部品と機械の両方を製造している企業等、あるいは総合電機メーカーの一事業として機械を製造している等、様々なパターンがあります。
従って厳密にカテゴライズするのは難しい部分もありますが、就活生の専門分野や興味のある分野もあるため大枠で分類しています。
特にこの記事で解説するプラント業界の企業は、建設業的な側面もあるため、志望を考える場合はしっかり企業研究を行っていきましょう。
それでは、プラント企業の特徴から解説していきます。
Contents
プラント企業の特徴
プラント業界、プラント企業と呼ばれる場合のプラントに明確な定義がある訳ではありません。
プラントとは工場、機械装置一式、設備を意味する英語であり、一般的に「大型の生産設備」を指すものと考えておきましょう。
大型の生産設備の中で、典型的に使用されるのが「石油精製プラント」、「石油化学プラント」、「電力プラント」、「鉄鋼プラント」等の言葉です。
そしてこれらのプラントは機械・設備・工事を統合した巨大なシステムとして捉える必要があり、プラントを手掛ける企業は、調査からはじまり、企画、設計、建設・設備・施工、指導、試運転などの一連のプロセスを行う総合エンジニアリング機能を備えている企業ということになります。
設置する機械類を全て製造している訳ではなく調達して組み合わせ、最適化する機能を果たしています。プラント建設とは不可分であり、プラント建設企業と呼ばれる場合もあります。
プラントの建設は、設計(Engineering)、調達(Procurement)、工事(Construction)の3つのフェーズに大きく分かれます。
この3つの頭文字EPCをとって、設計・調達・工事を一括請負するエンジニアリング会社が行うビジネスをEPCビジネス、あるいはEPC事業と呼びます。
プラントビジネスは巨大プロジェクトの受注産業であり、世界的なプラント専業の大手は日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの3社です。
それではその3社の特徴と現況をクイックにみていきましょう。
大手プラント企業の概況
日揮ホールディングス株式会社
旧社名:日揮株式会社
2022年3月期連結決算 (2021年度)
売上高 (百万円) | 428,401 |
経常利益 (百万円) | 30,028 |
親会社株主に帰属する当期純利益/純損失(百万円) | -35,551 |
包括利益(百万円) | -27,360 |
従業員数(人) | 7,275 |
外、平均臨時雇用者数 | 1,794 |
子会社 | 53社 |
関連会社 | 41社 |
日揮では経営改革として、2019年10月、新たなグループ会社体制への変更を機に、持株会社体制へ移行し、商号を「日揮ホールディングス株式会社」(英文名:JGC HOLDINGS CORPORATION)に変更にしています。
同時に日揮プラントイノベーション株式会社が商号を日揮株式会社に変更し、海外EPC事業を日揮グローバル株式会社、国内EPC事業を日揮株式会社にそれぞれ承継し、事業を展開しています。
日揮ホールディングス及びそのグループ企業は、各種プラント・施設の計画、設計、建設および試運転役務等を主たる事業としています。
具体的な事業は以下の事業セグメントで区分されています。
- 総合エンジニアリング事業:
- 石油、石油精製、石油化学、ガス、LNG、一般化学、原子力、金属製錬、バイオ、食品、医薬品、医療、物流、IT、環境保全、公害防止等に関する装置、設備及び施設の計画、設計、調達、建設及び試運転役務等のEPCビジネスを中心に構成
- 機能材製造事業:
- 触媒・ナノ融資技術分野、クリーン・安全分野、電子材料・高性能セラミック分野、次世代エネルギー分野をグループ企業でカバー
- その他の事業:
- 機械調達、コンサルティング、オフィスサポート、原油・ガス生産販売事業、水処理事業等、発電・造水事業、FPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)保有・傭船事業を展開
上記の各分野を、それぞれ専門性を持っている連結子会社を中心としたグループ企業と共に事業を行なう体制になっています。
2022年3月期(2021年度)連結業績概要
日揮ホールディングスの2022年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が4,284億1百万円(前期比1.3%減)となり、僅かながら減収という結果でした。
利益面では営業利益が206億88百万円(前期比9.6%減)、経常利益300億28百万円(前期比17.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は355億51百万円の純損失(前年度は51億41百万円の純利益)という結果でした。
当期純損失の計上は、イクシスLNGプロジェクト*に関する特別損失(575億円)を計上したことが主な要因でした。
- *イクシスLNGプロジェクト:
- 国際石油開発帝石(INPEX)がフランス石油メジャーのTOTAL社とともに西オーストラリア沖合のイクシスガス・コンデンセート田の開発を行うプロジェクト。日本企業がオペレーター(操業主体)として大型LNG開発を主導する初のプロジェクト
2022年3月期の連結決算における、各事業の業績概要は以下の通りです。
事業セグメント別業績概要:2022年3月期連結決算
事業名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益 (百万円) |
利益構成比 |
総合エンジニアリング事業 | 377,995 | 88.2% | 13,221 | 61.4% |
機能材製造事業 | 44,250 | 10.3% | 7,296 | 33.9% |
その他の事業 | 6,155 | 1.4% | 1,006 | 4.7% |
合計 | 428,401 | 100.0% | 21,524 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -835 | ー |
計上額 | 428,401 | ー | 20,688 | ー |
日揮グループの長期ビジョン
日揮グループでは、事業を取り巻く環境の激変を踏まえ、今後もグループが持続的に成長していくために、「人と地球の健やかな未来づくりに貢献する」という長期的でグローバルな視座のもと、グループに集う全ての人たちがその存在意義に共感し、自らを変革していく必要があると考え、企業の存在意義を再定義し、その道標として、長期経営ビジョンである「2040年ビジョン」をまとめています。
長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の骨子は以下の通りです。
- 日揮グループのパーパス(存在意義):“Enhancing planetary health”
- 2040年に目指す姿:
- “Enhancing planetary health”を道標に、これまでに培ってきた能力や実績を駆使することで、「エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立」、「資源利用に関する環境負荷の低減」、「生活を支えるインフラ・サービスの構築・維持」の3つの社会課題の解決を目指す
- 日揮グループ共通のValues:
- 4つのちから:「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」
- 2つの誓い:「尊重」、「誠実」
5つのビジネス領域へと事業を多角化し、2040年に目指す姿である「Planetary healthの向上に貢献する企業グループ」への変革に挑戦
- 5つのビジネス領域と事業の方向性:
- エネルギートランジション
- ヘルスケア・ライフサイエンス
- 高機能材
- 資源循環
- 産業・都市インフラ
2040年に目指す姿を実現するため、ビジネス領域、ビジネスモデル、組織の3つのトランスフォーメーションを実現する方針です。
ビジネス領域のトランスフォーメーションの現状でのシナリオは以下の通りです。
ビジネス領域のトランスフォーメーション:
- 最初の5年間(2021~2025:挑戦の5年間):コア事業である「エネルギートランジション」に注力
- 低・脱炭素オイル&ガス、クリーンエネルギーをコア事業に育成
- 成長事業への積極投資
- 将来事業の基盤確立
- 次の5年間(2026~2030:収穫の5年間):成長事業である「高機能材」と「ヘルスケア・ライフサイエンス」
- 成長事業の収穫
- 将来事業の収益化
- 後半の10年間(2031~2040:飛躍の10年間):将来事業として認識する「資源循環」と「産業・都市インフラ」
- 将来事業を事業の柱にして、多角化したポートフォリオ経営の実現
5つのビジネス領域における各事業の方向性は以下のとおりです。
- エネルギートランジション:
- ネットゼロの実現に向けたオイル&ガスの低・脱炭素化とクリーンエネルギー拡大
- ヘルスケア・ライフサイエンス:
- 医薬・病院分野の国内及び新興国における展開と医療を通じた人々の健康の実現
- 高機能材:
- コア技術を生かした、成長分野でオンリーワンとなる高機能材料の開発・製造
- 資源循環:
- 資源循環社会の実現に向けた市場形成・エコシステム構築の主導
- 産業・都市インフラ:
- 環境配慮型の複合的な産業・都市インフラシステムの提供
更に、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、組織のトランスフォーメーションの骨子は以下の通りです。
- ビジネスモデルのトランスフォーメーション:
- EPCビジネスは、IT Grand Plan 2030/ EPC DXを推進し、EPCビジネスモデルを深化
- EPCで培った経験を起点としたバリューチェーンの上流・下流へのビジネスモデルの拡大及びデジタル技術を利用した新たなビジネスモデルの確立
- 既存の高機能材製造を強化
- ライセンス、コンサルテーション・PMC、保全・デジタルO&M、プラットフォームビジネス、事業参画等、グループの強みを活かした変革を推進
- 組織のトランスフォーメーション:
- ビジネス領域及びビジネスモデルのトランスフォーメーションを確実に成功に導くため、組織面でのトランスフォーメーションを推進
- 地域特有の社会課題の解決に向けた「リージョナル経営体制」の強化
- これまでにないスピード感と発想で新たな技術や事業を創出するための「イノベーション創出環境」の強化に注力
中期経営計画「BSP2025」
日揮ホールディングスでは長期経営ビジョン「2040年ビジョン」における最初の5年間―「挑戦の5年(2021~2025年度)」を対象期間とする新中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(BSP 2025)」を策定し、事業を展開しています。
中期経営計画「BSP2025」の骨子
3つの重点戦略
- 既存事業である「EPC事業のさらなる深化」と「高機能材製造事業の拡大」による収益の確保・拡大、2040年への長期成長を見据えた「将来の成長エンジンの確立」に挑戦
EPC事業のさらなる深化:
- EPC事業のさらなる深化では、大型EPCプロジェクトの競争力・収益力をさらに強化することで、2025年度の海外の大型EPCプロジェクトの売上高目標を3,500億円に設定
- リスク管理・プロジェクト折衝力の強化を通じたプロジェクト粗利益率の向上と、JV組成戦略・デジタル技術・建設工法の最適化による受注競争力の向上を推進し、大型EPCプロジェクトにおけるグループの強みをさらに深化させる
- EPC事業の成長市場・分野への拡大として、EPC事業を成長市場・成長分野に拡大し、ポートフォリオの多様化を推進
- 今後案件の増加するLNG受入基地、ガス火力発電、太陽光発電、バイオマス発電、医薬品、病院、ケミカル分野の強化による収益拡大と並行して、成長著しいアジア地域におけるリージョナル経営体制の強化や国内市場への対応も見据えた人員増強を図り、2025年度の成長市場・分野におけるEPC事業の売上高目標として3,000億円の達成を目指す
上記に加え、高機能材製造事業の拡大と将来の成長エンジンの確立のための取り組みも強化する計画となっています。
高機能材製造事業の拡大:
- 事業規模を拡大し、2025年に売上高600億円の達成を目指す
- 既存主力事業においてプロパーケミカル触媒、ハードディスク用研磨材、半導体製造装置関連素材等の製品ラインナップを増強
- 将来を見据えた戦略投資と次世代事業の開発にも取り組みも推進
- 戦略投資:ファインケミカル新製品開発や高熱伝導窒化ケイ素基板生産設備
- 次世代事業の開発:カーボンリサイクル向け触媒、全固体電池用電解質、骨再生材料等が対象
また将来の成長エンジンとして期待するビジネスを以下にように設定し、注力していく計画です。
- エネルギートランジション領域:
- カーボンマネジメント支援、洋上風力、スマートO&M、水素・燃料アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)
- ヘルスケア・ライフサイエンス領域:
- スマートホスピタル、スマート工場、デジタルヘルスケア
- 資源循環領域:
- 廃プラスチック、廃繊維リサイクル、SAF(Sustainable Aviation Fuel:次世代航空燃料)製造
- 産業・都市インフラ領域:
- 水処理、鉄道
就活で日揮グループを志望する皆さんは、企業研究を深めることは当然として、成長のための大きな変革と、成長戦略の概要、技術的な背景等を理解して自分自身のビジョンや志望動機の作成に活かしていきましょう。
千代田化工建設株式会社
2022年3月期連結決算(2021年度)
完成工事高 (百万円) | 311,115 |
経常利益 (百万円) | 11,431 |
親会社株主に帰属する当期純利益/純損失(百万円) | -12,629 |
包括利益(百万円) | -17,272 |
従業員数(人) | 4,018 |
外、平均臨時雇用者数 | 703 |
連結子会社 | 16社 |
持分法適用関連会社 | 5社 |
千代田化工建設は三菱商事が筆頭株主(60.23%保有:2022年3月末現在)の総合エンジニアリング企業です。
主力のエンジニアリング事業では、各種産業用・民生用設備並びに公害防止・環境改善及び災害防止用設備に関する総合的計画、装置・機器の設計・調達・設置、土木・建築・電気・計装・配管等工事及び試運転、メンテナンス等、その他これらに付帯する一切の事業を行っています。
その他事業は財務・会計のコンサルティング、エネルギー・環境全般の技術的コンサルティングや人材派遣、アウトソーシング、設計システム開発・販売、ITシステムのコンサルティング、ソフトウェア開発、情報システム運用・管理等の事業で構成しています。
それぞれの事業を連結子会社を中心としたグループ企業と共に行う体制です。
2022年3月期(2021年度)連結業績の概要
2022年3月期における千代田化工建設のグループ連結業績の概要は以下の通りです。
- 受注工事高:
- 受注工事高は、4,159億40百万円(前連結会計年度比、以下前年度比53.7%減)
- 会計年度末受注残高は1兆3,310億14百万円
- 完成工事高:
- 完成工事高は、3,111億15百万円(前年度比1.4%減)
- 完成工事総利益:227億94百万円(前年度の完成工事総利益200億61百万円)
- 完成工事総利益率:前連結会計年度の6.4%から1.0ポイント増加し7.3%
- 営業利益:105億45百万円(前年度に比べ35億29百万円増加)
- 経常利益:114億31百万円(前年度に比べ29億69百万円増加)
- 特別利益・特別損失:
- 顧客との和解等によるプロジェクト関連損失等の計上により206億90百万円の損失超過(前年度は4億13百万円の収益超過)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:
- 126億29百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年度は79億93百万円の純利益)
2022年3月期における千代田化工建設のグループの分野別連結業績の概要は以下の通りです。
事業部門名称 | 売上実績(百万円) | 構成比(%) | 前年同期比(%) | |
エンジニアリング事業 | 310,394 | 99.8% | 1.4%減 | |
内訳: エネルギー分野 |
LNGプラント関係 | 155,454 | 50.0% | 48.3%増 |
その他ガス関係 | 4,063 | 1.3% | 64.0%減 | |
石油・石油化学・金属関係 | 56,670 | 18.2% | 52.4%減 | |
内訳: 地球環境分野 |
医薬・生化学・一般化学関係 | 32,681 | 10.5% | 22.3%増 |
環境・新エネルギー・インフラ関係 | 59,069 | 19.0% | 20.9%増 | |
その他 | 2,455 | 0.8% | 39.3%減 | |
その他事業 | 721 | 0.2% | 1.8%増 | |
総合計 | 311,115 | 100.0% | 1.4減 |
尚、国内売上高は117,677(百万円)となり売上構成比は37.8%、海外売上高は193,438(百万円)で構成比は62.2%となっています。
千代田化工建設の再生
千代田化工建設は2019年3月期の決算で巨額の赤字を計上しました。
この赤字の原因は米国で遂行中のキャメロンLNGプロジェクトにおいて労働者の人件費が高騰し、且つ労働者の定着率も下がり生産性も上がらない状態で工事コストが大幅に増加してしまったことによるものです。
このプロジェクトを受注した2014年時点で、建設のみならず設計や資材調達までジョイントベンチャー(JV)のパートナーに任せ切りにして設計が遅れたことと、総投資額6000億円という大型のLNGプロジェクトであるだけに打撃が大きかったようです。
2019年度では、遂行中案件の想定外のコスト増及び訴訟・仲裁等についてのリスクの見直し等による追加コストを計上した結果、繰越剰余金がマイナスとなり、この早急な債務超過状態の解消のため、三菱商事(株)及び(株)三菱UFJ銀行との間で再生支援の枠組みについての基本合意書及び三菱商事(株)との間で株式引受契約書を締結し、財務及び事業基盤の強化をしています。
財務面では、2020年6月に開催した株主総会において決議された資本金及び資本準備金の額の減少、並びに剰余金の処分により、千代田化工建設単体の累積損失(2020年3月末現在1,354億94百万円)を解消しています。
千代田化工建設の中期経営計画
この財務強化策とともに、新たな中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」を策定し、リスク管理体制の高度化、EPC(設計・調達・建設)遂行管理力の進化、人財の高度化・拡充に取り組んでいます。
新たな中期経営計画での、新たな取り組みは以下の通りです。
フロンティアビジネス本部の3つの事業の柱:
- クリーンテックをコアとした炭素循環ビジネス
- 分散化・データ時代のユーティリティビジネス
- 未解決の技術課題へのソリューションをコアとした医薬・ライフサイエンスビジネス
-
- 主として独自技術に基づく水素チェーン事業の商業化、二酸化炭素を有価物資源として有効活用する当社及び他社技術の商業化、分散化した電源と多様化したエネルギー需要を千代田化工建設の知見とデジタル技術で結びつけ、最適なエネルギーをサービスとして提供するシステムビジネスモデルの構築、再生医療発展の鍵となる細胞培養工程に関わる新技術の商業化
デジタルトランスフォーメーション本部の取り組み:
- 自らAI技術・データ解析への造詣を深め、人財も育成しなら、プラントエンジニアリングの技術・知見と融合させる形で、主に石油・ガス業界におけるプラント操業の最適化・自律化に貢献するデジタルプロダクトを創出
グループ自身のIT基盤の拡充・推進
- IT大手のTIS株式会社との共同事業を開始
- プラント空間設計の業務効率化に向けて、千代田化工建設が持つプラントエンジニアリングの経験、設計思想と、(株)Arentが持つCAD技術、最適化技術とを融合させ、世界中のプラントオーナーやEPC (設計・調達・建設)コントラクターなどに向けて新たなシステムを提案する新会社(株)PlantStreamを設立し、折半出資での共同運営を開始
千代田化工建設は、脱炭素化社会・水素社会への移行の加速、LNG(液化天然ガス)を含む低炭素エネルギー及び再生可能エネルギーの更なる普及といった事業環境の大きな変化や、変化を捉えた重要顧客の戦略見直しを、新たな市場機会、成長の機会になることを踏まえて、2021年5月の段階で上記の中期計画の一部をアップデートしています。
複雑な制約・課題に対し最適なソリューションを提供する最適化力、設計を最適化し高い品質を保証するEPC(設計・調達・建設)遂行力、及び基礎研究力とEPC知見を融合する新技術の社会実装力という創業以来の実績に裏打ちされた強みを活かして、カーボンニュートラル貢献分野及びライフサイエンス分野の伸長や継続型事業の創出・強化の両面で事業ポートフォリオを革新していく方針を打ち出しています。
この計画では、2030年までに既存事業と新規事業の利益比率を50:50とすること、それらの推進により、連結純利益300億円以上を稼ぐ収益構造に変革を遂げることを目指しています。
千代田化工建設も再生のための変革を推進中です。
もともとチャレンジ精神や目標達成への意識の高さが重視されるプラント業界ですが、適性や仕事に対するビジョンが合致する方は業界・企業研究を深めて、業界・企業への志望意欲を高めていきましょう。
東洋エンジニアリング株式会社
2022年3月期連結決算(2021年度)
完成工事高 (百万円) | 202,986 |
経常利益 (百万円) | 3,126 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 1,620 |
包括利益(百万円) | 4,485 |
従業員数(人) | 4,037 |
外、平均臨時雇用者数 | 1,118 |
子会社 | 23社 |
関連会社 | 9社 |
東洋エンジニアリングは1961年5月東洋高圧工業株式会社(現・三井化学株式会社)の工務部門が分離独立してできた企業であり、石油・石油化学プラントに実績を持つエンジニアリング会社です。
主な事業内容であるEPC事業は、一般化学、石油化学、石油精製、天然ガス、電力、原子力、水、交通、高度生産システム、物流、医薬、資源開発、バイオ、環境その他各種産業におけるプラントの研究・開発協力、企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導などを内容としており、東洋エンジニアリング及びグループ会社が、グローバルな体制で総合エンジニアリングビジネスを展開しています。
2022年3月期(2021年度)連結業績概要
東洋エンジニアリングの2022年3月期におけるグループ連結業績の概要は以下の通りです。
- 完成工事高:
- 完成工事高は、複数の国内向けバイオマス発電所、インド向け石油精製プラント、ロシア向け石油化学プラント等のプロジェクトの進捗により、前連結会計年度比(以下、前年度比)189億円(10.3%)増の2,029億円という結果でした。
- 完成工事総利益:
- 完成工事総利益は、完成工事高が増加したほか、完成工事総利益率の向上により、前度比22億円(12.3%)増の208億円
- 営業利益:
- 営業利益は、販売費及び一般管理費が増加した一方、前述の完成工事総利益が増加した結果、前年度比13億円(83.4%)増の29億円
- 経常利益:前年度比3億円(12.4%)増の31億円
- 税金等調整前当期純利益:前度比3億円(12.4%)増の31億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益:前年度比8億円(98.9%)増の16億円
2022年3月期決算における地域別売上は以下の通りです。
地域名 | 売上(百万円) | 売上構成比 |
日本 | 88,086 | 43.4% |
インド | 40,908 | 20.2% |
その他地域 | 73,991 | 36.5% |
合計 | 202,986 | 100.0% |
東洋エンジニアリングでは過去3期 (2016~2018年度)に渡って米国向けエチレン製造設備プロジェクトの収支悪化、プロジェクト損失の影響を受けてきました。
損失発生の根本的要因の一つには、契約形態の選択の誤りでした。
顧客との契約は固定金額契約であったのに対し、下請工事会社との契約は実費精算型契約となっており、コストリスクを一手に負う形となっていたこと、もう一つの要因としては、米国の熟練工不足と低生産性により人件費が増大したことが挙げられています。
この状況を変えるために、米国向けエチレン製造設備プロジェクト対応、 事業構造の変革、 組織力の強化、 財務基盤の強化を柱にした再生計画の取り組みを進めた結果、2020年3月期(2019年度)の連結決算において4期ぶりに営業利益の黒字化を達成しました。
プロジェクトのリスクマネジメントを強化するとともに、事業構造の変革としてプラント事業中心の事業ポートフォリオから、プラント事業とインフラ事業の2本柱へと変革することを掲げて取り組んだ結果、2事業の連結粗利益および事業本部人員比率は、2019年度末にはほぼ半々となり、また組織力強化に向けたグループ全体での業務最適化を進めた結果、各EPC拠点の業績寄与の割合が拡大、また足元のEPC案件での粗利益率は、再生計画実施以前の案件と比較して大幅に向上したことから、再生計画は一定の役割を終えたという認識です。
東洋エンジニアリングの中期経営計画
現在はポストコロナとカーボンニュートラルへの移行を見据え、2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を策定し、事業を展開しています。
中期経営計画では、環境調和型社会と豊かな暮らし(経済性・利便性)の両立を目指し、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略の二重螺旋を紡いで深化させていく方針となっています。
- EPC強靭化戦略:
- 国内では医薬分野、海外ではインド、東南アジア、ブラジル等のマーケットで引き続き見込まれる需要の増加に対して、各拠点が強みとする領域を軸に、拠点独自あるいは拠点間協業を拡大して、拠点を中心にしたEPCオペレーション体制を構築
- 2019年度から本格的に着手したDXoT(Digital Transformation of TOYO)により、EPC遂行における大幅な効率化・高付加価値化、更にリスクの予見に重点をおいて開発・実装を推進
- グループオペレーションの深化とDXoTを掛け合わせ、顧客満足度とEPC事業の競争力の双方を向上
- 「新技術・事業開拓」戦略:
- 再生可能エネルギーの大規模メガソーラーやバイオマス発電、交通システム、医薬等の非石油化学系EPC事業の拡大
- プラント運転データの見える化・活用支援サービスのDX-PLANT®やHERO(Hybrid Energy system Re-Optimization、数理最適化技術を利用したプラント省エネサービス)といったEPC案件での経験に裏打ちされた技術サービスを提供
- カーボンニュートラルの様々な分野への取り組み:
- 技術的な強みである合成ガス技術やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、二酸化炭素回収・貯留)技術を活かした領域として、SAF*(Sustainable Aviation Fuel、再生可能代替航空燃料)や燃料アンモニア(燃料用途としてのアンモニア)に注力
- *SAFは木質バイオマス等を原料とするバイオジェット燃料で、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業において、日本国内での開発実証実験を行い、2030年頃の商用化実現に向けて取り組みを推進
- グループの得意分野であるアンモニア自体を燃料として発電や船舶での利用する燃料アンモニアの事業領域にも注力
- 技術的な強みである合成ガス技術やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、二酸化炭素回収・貯留)技術を活かした領域として、SAF*(Sustainable Aviation Fuel、再生可能代替航空燃料)や燃料アンモニア(燃料用途としてのアンモニア)に注力
SAFや燃料アンモニアといった事業領域では、それぞれの製品を製造する設備を建設するといったEPC事業に留まらず、顧客を含む様々なメンバーとともにマーケットやバリューチェーンを構築していくことを目指す方針を掲げています。
東洋エンジニアリングは、 グループのミッションを “Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”と規定し、「世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献する」としています。
また目指す企業像を “Global Leading Engineering Partner”とし、「世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナー」となることを標榜しています。
グループで共有する価値観や行動基準も “Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”として明確にしています。
-
- Integrity:誠意と責任を持って業務を遂行
- Creativity:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造
- Diversity:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重
- Learning:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得
- Team:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現
就活で東洋エンジニアリンググループを目指す方は、再生から新たな成長へと向かう中長期の戦略・計画をしっかり把握して、自分自身のビジョンや志望動機を固めていきましょう。
尚、東洋エンジニアリングはロシアにおいて複数のプロジェクトを行っており、2022年3月期間末時点では資機材の出荷等に一部影響が出ているものの、代金回収も含めて重要な影響は生じていません。
2022年度以降については、関連プロジェクトの継続性に不確実性を伴い、プロジェクトの進捗に相当の影響がでる可能性があることも注視しておいてください。
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手早く本格的で客観的な自己分析を済ませ、納得の結果を追求していきましょう。
まとめ
以上、プラント専業メーカーの上位企業の現状をみてきました。凝縮したサマリーですが、大手プラント企業の事業内容と規模感、各社がいかにグローバルな存在であるかは感覚的にも理解できたと思います。
上位企業は理工系の学生に人気の高い企業であり、難関です。
広く機械業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。
上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。
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