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【就活の業界研究】:建設機械メーカー主要各社の現況を把握しておこう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では機械業界を、以下の項目に沿って解説していきます。

機械業界の6つのポイントを押さえよう

  • 機械業界の構造とビジネスモデルを理解しよう
  • 機械業界の現状と課題・未来
  • 機械メーカーにはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 機械メーカーに働く人のモチベ―ションは何か
  • 機械メーカーに向く人、向かない人はどんな人か
  • 機械メーカーの上位企業の特徴と業績

この記事では機械製造業界の中でも建設機械メーカーの売上上位企業に絞って、各メーカーの特徴や現況を、直近の有価証券報告書や中期経営計画を基に解説します。

就活生が、未来をこの業界、建設機械メーカーに託したいと思えるか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。

機械製造業は工作機械・ロボット、建設機械・プラント、重機械・農業・縫製・食品・印刷産業機械など、様々な分野を専門的に扱っている企業や複数の分野を扱っている企業、更に部品と機械の両方を製造している企業等、あるいは総合電機メーカーの一事業として機械を製造している等、様々なパターンがあります。

従って厳密にカテゴライズするのは難しい部分もありますが、就活生の専門分野や興味のある分野でもあるため、大枠で分類をしています。

それでは、建設機械メーカーの特徴から解説していきます。

建設機械の特徴

何を建設機械とするのかという明確な定義はありません。また建設機械の定義は難しいのが現状です。

総務省の日本標準産業分類では、「建設機械・鉱山機械製造業」として分類されています。

また経済産業省の機械統計年鑑では「土木建設機械、鉱山機械及び破砕機」として装軌式トラクタ、ブルドーザ、建設用クレーン、掘削機械、ショベル系(油圧式)、整地機械、コンクリート機械、鉱山機械を挙げており、大枠の理解はできると思います。

技術開発と海外展開

日本の建設機械工業は戦後の国土復興期に海外から輸入した建設機械の修理業から再起し、1950年代の道路・港湾・鉄道や水資源開発をはじめとする社会資本整備のための建設に、建設機械需要が高まったため、国産技術を駆使して建設機械を製造、または外国企業との技術提携によって旺盛な需要に対応してきました。

高度経済成長時も、産業の発展や生活環境の向上のための建設投資が増加する中で、建設機械メーカーは技術・開発力を磨き、時代の要請に即した建設機械を開発、製造をしてきたのです。

特に1960年ごろから開発が始まった油圧ショベルの市場が急成長して、油圧ショベルは日本の建設機械業界を代表する製品に成長を遂げています。

国内の建設機械の需要は、当然ながら建設需要によって上下し、建設需要は景気によって大きく変動します。

従ってドルショック、石油ショック、プラザ合意による円高、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災など、日本経済全体にネガティブな影響を与える事象の度に業績が落ち込むのは仕方のないことです。

しかし、国内需要の落ち込みをカバーするために、逞しく海外市場を開拓してきたのも建設機械メーカーであり、大手企業はその事業をグローバルに展開しています。

特に80年代後半の円高が進んだ局面では、輸出から生産を積極的に海外にシフトすることで、グローバル生産体制構築を促進しています。

海外市場開拓の原動力になっているのが、たゆまぬ技術開発です。

油圧機械の性能向上、機械の大型化、都市部工事用の小型建機、省エネ技術の開発、メカトロニクスによる操作性の向上、自動化技術、建設ロボットの開発、排ガス規制対策、低騒音・低振動対策、安全技術等、時代の要請に素早く対応することによって日本の建設機械メーカーの技術力が磨かれ、その製品が世界での競争力に結びついているのです。

加速する新技術開発

低燃費で二酸化炭素の排出量を抑えることは建設機械にも求められています。そのためハイブリッドショベルやハイブリッドシステムを搭載したホイールローダー等が開発されています。

また小松製作所が実現しているダンプトラックの無人運行など、高度な情報通信技術を駆使した建設機械のシステム化が進んでいます。

土木や建設の現場では、マシンコントロール(MC)、マシンガイダンス(MG)技術の導入が進んでいます。

マシンガイダンスは、建機の位置情報を利用して行う建設用機械の操縦システムで、衛星データを利用するGNSSや地上に機材を設置して行うTS等の測位手段で建設機械の位置情報と、施工対象の設計データ、測量データの差分を操縦席のモニターに提供して映し出し、操作をサポートするものです。

マシンコントロールはマシンガイダンスに油圧制御のシステムを加え、施工箇所の3次元設計データを利用して機械をリアルタイムで自動制御しながら施工を行う技術です。

このような技術を導入した建設機械をICT建機と呼び、今後の成長が期待されています。

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建設機械メーカー、上位企業の現状

ここからは売上上位の建設機械メーカーの特徴と現状を簡潔に解説します。

株式会社 小松製作所

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上高 (百万円) 3,543,475
税引前当期純利益 (百万円) 476,434
当社株主に帰属する当期純利益(百万円) 326,398
当社株主に帰属する当期包括利益(百万円) 422,459
従業員数(人) 64,343
外、平均臨時雇用者数 6,265
連結子会社 211社
持分法適用関連会社 40社

小松製作所及びグループ会社は「建設機械・車両」、「リテールファイナンス」、「産業機械他」の3部門にわたって、製品の研究開発、生産、販売、サービス、販売金融に至る幅広い事業活動を国内並びに海外で展開しています。

小松製作所は米国キャタピラー社に次ぐ世界第二位の建設機械メーカーで、アジア地域のではトップシェアを握っている巨大企業です。

建設機械・鉱山機械・車両が売上の9割近い構成になっていますが、産業機械では鍛圧機械、板金機械、工作機械等を手掛けています。

セグメント別の主要製品・サービスは以下の通りです。

建設機械・車両事業:

  • 掘削機械:
    • 油圧ショベル、ロープショベル、ミニショベル、バックホーローダー、ブラストホールドリル
  • 積込機械:
    • ホイールローダー、ミニホイールローダー、スキッドステアローダー
  • 整地・路盤用機械:
    • ブルドーザー、モーターグレーダー
  • 運搬機械:
    • ダンプトラック、アーティキュレートダンプトラック、クローラーキャリア
  • 林業機械:ハーベスター、フォワーダー、フェラーバンチャー
  • 地下建設機械:シールドマシン、トンネルボーリングマシン
  • 地下鉱山機械:コンティニュアスマイナー、シアラー、ロードホールダンプ、ジャンボド
  • リル
  • 環境リサイクル機械:自走式破砕機、自走式土質改良機、自走式木材破砕機
  • 産業車両:フォークリフト
  • その他機械:鉄道メンテナンス機械
  • エンジン、機器:ディーゼルエンジン、ディーゼル発電機、油圧機器
  • 鋳造品:鋳鋼・鋳鉄品
  • 物流関連:運輸、倉庫、梱包
  • ソリューションビジネス:無人ダンプトラック運行システム(AHS)、スマートコンストラクション、KOMTRAX

 

リテールファイナンス事業

  • 販売金融:建設・鉱山機械のリース、割賦

 

産業機械他事業

  • 鍛圧機械:サーボプレス、機械プレス
  • 板金機械:レーザー加工機、プラズマ加工機、プレスブレーキ、シヤー
  • 工作機械:トランスファーマシン、マシニングセンター、クランクシャフトミラー、研削盤、ワイヤーソー
  • 防衛関連:弾薬、装甲車
  • 温度制御機器:サーモモジュール、半導体製造用温度制御機器
  • 光学機械:半導体露光装置用エキシマレーザー

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

小松製作所の2023年3月期におけるグループ連結業績は、売上高が3,543,475百万円となり前連結会計年度比(以下、前年度比)26.4%増)大幅増収となっています。

国内売上高は前年度の389,085百万円と比較して5.2%増加の409,414百万円、海外売上高は前年度の2,413,238百万円と比較して29.9%増加の3,134,061百万円という結果でした。

利益面の業績は、営業利益が490,685百万円(前年度比54.8%増)となり、売上高営業利益率は前年度を2.5ポイント上回る13.8%と向上しています。

税引前当期純利益が、476,434百万円(前年度比46.8%増)、当社株主に帰属する当期純利益は326,398百万円(前連結会計年度比45.1%増)となり、前年度に引き続き大幅な増益を達成しています。

 2023年3月期(2022年度)は、売上高及び全ての利益指標においても、コロナの影響を全く受けなかった2019年3月期を上回る実績となっています。

2023年3月期の事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。

2023年3月期連結決算 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客への売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
建設機械・車両事業 3,286,723 92.8% 443,603 89.9%
リテールファイナンス事業 67,807 1.9% 27,267 5.5%
産業機械他 188,945 5.3% 22,586 4.6%
合計 3,543,475 100.0% 493,456 100.0%
調整額 58
計上額 3,543,475 493,514

中期経営計画

小松製作所グループは、2022年4月より、新たな3カ年(2022年度~2024年度)の中期経営計画「DANTOTSU Value –Together, to “The Next” for sustainable growth」 をスタートさせ、事業を展開しています。

中期経営計画における成長戦略を通じて、「安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場をお客様とともに実現する」という目指すべき姿に向けて、ダントツ商品(製品の高度化)、ダントツサービス(稼働の高度化)、ダントツソリューション(現場の全体の最適化・高度化)、が三位一体となるダントツバリュー(新たな顧客価値)の創出に取り組み、収益向上とESG課題解決の好循環サイクルによる持続的な成長を目指す方針を打ち出しています。

未来の現場の実現に向けては、モノ(機械の自動化・自律化と効率化・低排出カーボン化)とコト(顧客プロセス全体の最適化)の両面でのイノベーションに取り組み、更に、地球温暖化対策と事業成長の両立を実現するため、未来の現場へのロードマップを策定し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを経営目標のチャレンジ目標としています。

また成長戦略は、「イノベーションによる成長の加速」、「稼ぐ力の最大化」、「レジリエントな企業体質の構築」を3本の柱として、以下の具体的な施策に注力する計画となっています。

イノベーションによる成長の加速

  • 現場を最適化する新たな顧客価値の創造
    • DXスマートコンストラクションの推進、海外展開
    • 鉱山用オープンテクノロジープラットフォームによる事業推進
    • プラットフォームと親和性の高い高度化した商品開発・市場導入
  • カーボンニュートラルに向けた価値(モノ・コト)づくりの挑戦
    • 電動化機械の開発・市場導入
    • スマート林業の普及・拡大
    • 地球環境負荷ゼロ工場

 

稼ぐ力の最大化

  • 成長市場におけるプレゼンス拡大
    • アジア・アフリカ市場への取り組み強化
    • 林業機械事業、坑内掘りハードロック事業の拡大
    • アフターマーケット事業の拡大
  • バリューチェーンビジネスの進化による更なる成長
    • データ・ドリブン・ビジネスモデルの構築
    • ライフサイクルサポートビジネスによる差別化の推進
    • リマン・リビルド事業の拡大

 

レジリエントな企業体質の構築

  • 効率的な事業運営とリスクマネージメントの強化
    • 環境変動に強い生産調達体制の強化(マルチソース比率の拡大)
    • 経済安全保障リスクのアセスメントと体制の整備
    • グローバルなブランド戦略の展開によるコーポレートブランドの強化
  • 多様性に富む人材基盤の充実化
    • ダイバーシティ&インクルージョンの推進
    • 多様な能力開発機会の提供とエンゲージメントの向上
    • デジタル人材、オープンイノベーション推進人材の育成

加えて、ESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指す方針を掲げています。

小松製作所グループは、2021年、持続可能な社会の実現と事業継続性の向上に関する指針「サステナビリティ基本方針」を策定し、更に、温暖化対策と事業成長の両立を目指すチャレンジ目標「2050年カーボンニュートラル宣言」を打ち出しています。

ESG課題の中でも、気候変動に影響を及ぼす温室効果ガス(CO2等)排出量削減に関する世界的な潮流や、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速化を背景として、環境負荷低減に向けた取り組みを最重要課題の1つとして捉えています。

事業活動に関わる様々な領域でのCO2排出量削減を行なうと同時に、これらの活動をビジネスチャンスとしていく方針です。

具体的には、主力の建設・鉱山用機械におけるイノベーションでは、ICT建機の開発・導入の加速、「スマートコンストラクション」をグローバルに推進、電動化建機の市場導入、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(Autonomous Haulage System)等に注力し、グローバル展開を加速する計画です。

産業機械他事業では、建設機械・車両事業とのシナジー効果や新商品開発により、板金鍛圧・工作機械事業における自動車のEV化進展等による産業構造変化に取り組んでいます。

上記は中期経営計画の骨子のみですが、就活で小松製作所を志望する皆さんは、企業の現状や中長期の経営戦略を深く掘り下げ、自分自身のビジョンと重ねて考えることで、志望動機を深めていって下さい。

日立建機株式会社

2023年3月期連結決算 (2022年度)

売上収益 (百万円) 1,279,468
税引前当期利益 (百万円) 112,661
親会社株主に帰属する当期利益(百万円) 70,175
親会社株主に帰属する当期包括利益(百万円) 75,515
従業員数(人) 25,430
外、平均臨時雇用者数 2,267
連結子会社 79社
関連会社 26社

日立建機及びそのグループ会社は、以下の2つのセグメントに分けて事業を展開しています。

  • 建設機械ビジネスセグメント:
    • 油圧ショベル・超大型油圧ショベル、ホイールローダー等の製造・販売及びこれに関連する部品サービスの販売により建設機械に関連する一連のトータルライフサイクルの提供
  • ソリューションビジネスセグメント:
    • 建設機械ビジネスセグメントに含まれないマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品開発、製造、販売及びサービスソリューションの提供

2023年3月期(2022年度)連結業績の概要

日立建機の2023年3月期におけるグループ連結業績は、売上収益が前連結会計年度比(以下、前年度比)24.8%増加の1兆2,794億6千8百万円となっています。

利益面の業績は、営業利益が、前年度より25.1%増加し1,333億1千万円、(営業利益の売上収益に対する比率は前年度から変わらず10.4%)、税引前当期利益は、前年度より1.6%増加し1,126億6千1百万円、親会社株主に帰属する当期利益は、年金制度の改定に伴う一時的な損失計上、持分法で会計処理されている投資の減損損失等もあって、701億7千5百万円(前年度比7.5%減)という結果になっています。

前年度に引き続き、2023年月期の連結業績は、売上・利益ともコロナの影響を全く受けていない2019年3月期の実績を超える水準を達成しています。

2023年3月期の事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。

2023年3月期連結決算 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客への売上収益(百万円) 売上構成比 セグメント営業利益
(百万円)
利益構成比
建設機械ビジネス 1,154,103 90.2% 122,959 92.2%
ソリューションビジネス 125,365 9.8% 10,351 7.8%
合計 1,279,468 100.0% 133,310 100.0%
調整額
計上額 1,279,468 133,310

日立建機はコマツに次ぐ国内二位の建設機械メーカーで、油圧ショベルの国内出荷数でも二位ですが、中国、インドネシア、ロシアなどに製造拠点を設けて、世界最適地生産・供給体制を構築して事業を展開しています。

グローバルでトップレベルの製品力を持つ油圧ショベルに加え、ホイールローダー、ダンプトラックの分野でも開発力と販売力の両面で競争力強化を図っています。

また顧客企業の課題である安全性・生産性の向上とライフサイクルコストの低減を解決するために、ICT/IoTソリューション「Solution Linkage(ソリューションリンケージ)」を、日立グループの幅広い先進技術と、ビジネスパートナーのエキスパート技術を融合したオープンイノベーションを活用して、開発を加速していく計画です。

製品のライフサイクルコストと環境負荷の低減のために、ハイブリッドや電動等の低炭素型製品の開発にも注力しています。

中期経営計画

現在は2023年度を初年度とする、新中期経営計画(BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ)を策定し、事業を展開しています。

新中期経営計画(BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ)による経営戦略

新中期経営計画の戦略は以下の4本の柱で構成されています。

  1. 顧客に寄り添う革新的なソリューションの提供
    • 製品進化・データ連携・デジタル活用によりお客さまの課題にソリューションを提供
    • マイニング事業では、採掘(Pit)から選鉱領域(Plant)の多様なタッチポイントでの連携及び製品の進化を、デジタルを活用して実現することにより、お客さまの課題にソリューションを提供
  2. バリューチェーン事業の拡充
    • 2022年度実績のバリューチェーン売上収益比率6%から、2025年度には50%以上を目指す
  3. 米州事業の拡大
    • 2025年度には、独自展開分のみで売上収益3,000億円以上をめざして、新車販売及びバリューチェーン事業を拡大し、収益の安定化を図る
    • コンパクト・コンストラクション事業:独自の販売網について、2022年度に整備が進んだ北米につづき、中南米における構築を推進
    • マイニング事業:北米向けに建設・砕石現場用の超大型油圧ショベルを拡販、南米向けには、サービスサポート体制の底上げ、また、米州全域のダンプトラックの体制強化
    • バリューチェーン事業で:レンタル事業に注力、大手代理店やレンタル会社では通常所有しないような機種をレンタルする「レンタルToレンタル」や、小規模の地域総合レンタル会社の支援を通じて、レンタル事業を拡大
  4. 人・企業力の強化 
  • 人財戦略として、人・組織・文化の3つの項目を最優先に取り組む
    • 「人」:国内外の人財がグローバルに活躍できる育成の場や機会を提供
    • 「組織」:2022年に導入したお客さまの業種や製品サイズ別に設計・製造・販売・サービスを一体となったビジネスユニット制を深化させ、グローバル全体での業績管理を高度化
    • 「文化」:経営計画管理システムを通じ、完遂する文化を浸透させ、経営戦略の遂行と経営基盤の強化に向けた人財施策を推進
  • 研究・開発体制では、アジャイル開発により企業文化を変革
  • 研究・開発~生産・供給~販売・サービスまで、グローバルに事業体質を強化

上記に加え、カーボンニュートラルに向けた目標と取り組み、達成すべき定量的目標が設定されています。

就活で日立建機を志望するも皆さんは、中長期の経営戦略や成長戦略を把握して、自分自身の成長の機会やビジョンや志望動機作成にも活用してください。

株主構成の変更

尚、2022年1月14日付けで、親会社である株式会社日立製作所(以下、「日立」)と、日本産業パートナーズ株式会社(以下、「日本産業パートナーズ」)が管理・運営・情報提供を行うファンドがその持分の全てを保有する特別目的会社及び伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事」)がその持分の全てを保有する特別目的会社が共同で出資する予定のHCJIホールディングス合同会社との間で、日立が保有する日立建機の普通株式55,290,000株(議決権所有割合26.0%)をHCJIホールディングス合同会社へ譲渡することが合意されました。

この合意により、2023年3月期末の株主構成における、筆頭、第二位の株主は以下の通りとなっています。

株主構成:

  1. HCJIホールディングス株式会社:発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する所有株式数の割合は26.00%
  2. 株式会社日立製作所:上記同25.42%

日立建機と日立グループとの関係

  1. 日立ブランドは継続使用し、グローバルに日立ブランドの価値向上に貢献
  2. IoTをはじめ、様々な研究開発分野で、日立グループとの連携を継続する
  3. 日立グループとの部品取引や技術提携を継続し、日立建機の環境対策とサーキュラーエコノミーを加速

就活で日立建機を志望する皆さんは、新たな経営体制とパートナーの基での事業戦略と具体的な事業展開にも注目していきましょう。

コベルコ建機株式会社

 コベルコ建機株式会社は 株式会社神戸製鋼所の100%子会社であり、上場していないため有価証券報告書は発行していません。

2023年3月期(2022年度)の決算概要は以下の通りです。

売上高 (百万円) 239,581
営業損失  (百万円) -5,234
経常利益(百万円) 8,459
税引前当期純損失 (百万円) 9,749
当期純利益 (百万円) 9,645
従業員数(人) 2,563名(グループトータル7,776名)
関連会社 20社

コベルコ建機は油圧ショベル、移動式クレーンに代表される建設機械をはじめ、ビル解体機や資源リサイクル機械などの環境関連機器の開発から製造、販売そしてアフターサービスまで行う製販一体の建設機械メーカーです。

売上比率はショベルが91%、クレーンが9%となっています。

親会社である神戸製鋼所の連結では、建設機械セグメントの事業を23の子会社と関連会社6社で構成して担当しており、コベルコ建機は中核的な子会社という位置づけになります。

上記の表はコベルコ建機株式会社の業績ですが、2023年3月期(2022年度)における神戸製鋼所の建設機械セグメントの連結売上高は、前連結会計年度比2.7%増の3,817億円でした。

利益面では、経常利益が販売台数の減少や、調達コスト上昇分の販売価格への転嫁遅れによる減益要因があった一方、円安による輸出採算の改善やエンジン認証問題に関する補償金収入の増加などにより、前連結会計年度比2億円増益の123億円という結果になっています。

コベルコ建機では日本、東南アジア、中国を守る市場とし、攻める市場としては北米、欧州、インド、そして拓く市場として中東とアフリカを掲げて、グローバル事業を展開しています。現状連結売上の約6割が海外市場です。

キャタピラージャパン合同会社 

 キャタピラージャパンの前身は三菱重工の建設機械事業であり、1960年に油圧ショベルを国産化したことからはじまっています。その後1963年には米国のキャタピラー社と50:50の出資比率で合弁会社 キャタピラー三菱株式会社を発足させました。

その後、1987年にはキャタピラー三菱と三菱重工の明石製作所が合併して、新キャタピラー三菱となって、キャタピラー社と日本の技術スタッフが共同で新製品を開発する等で事業を加速させていました。

2008年、三菱重工は出資比率を33%に下げたことを機に、キャタピラージャパン株式会社に商号を変更、更に2012年には三菱重工が、保有するキャタピラージャパンの株式をすべてキャタピラー社に譲渡すると発表、2017年には社名をキャタピラージャパン合同会社へ変更しています。

傘下の国内子会社である「キャタピラー東北株式会社」・「キャタピラーイーストジャパン株式会社」・「キャタピラーウエストジャパン株式会社」の組織を株式会社から合同会社に変更した上で、その3社を合併して、Catブランドの建設機械・ディーゼルエンジン等の販売・サービスを手掛ける日本キャタピラー合同会社としました。

現在では世界最大の建設機械メーカーである米国のキャタピラー社の日本法人であるキャタピラージャパン合同会社の子会社として、販売・サービスを担う日本キャタピラー合同会社が存在するという構造になっています。

キャタピラージャパンの主力製品は、油圧ショベルやホイールローダーであり、油圧シャベルではコマツ、日立建機、コベルコ建機に次ぐ4位に位置しています。

 全世界的に需要が伸びている油圧ショベルの開発の中枢としての役割と、グローバルに展開されている工場のマザープラントとしての役割を担うなど、常にワールドワイドな視点でビジネスを展開しています。

 日本のものづくりの繊細さや緻密さと、アメリカの効率性・大胆さをそれぞれの視点で集結した開発・製造スタイルを実施しており、世界のキャタピラーグループの中で、特にアジア・パシフィック地域で重要な役割を担っています。 

尚、外資系企業のためキャタピラージャパンの業績は公表されていません。

住友建機株式会社 

住友建機は住友重機械工業の100%子会社のため非上場企業であるため有価証券報告書は公開していません。

住友建機は油圧ショベルを主力とする建設機械メーカーです。油圧ショベルの国内出荷シェアは5位にランクされており、その他応用機や道路機械(フィニッシャーやタイヤローラー)も手掛けています。

海外展開も中国、東南アジア、オセアニア、中近東、アフリカなど、世界市場を視野に置いたダイナミックな営業活動を展開しています。中国においては、「住重中駿(厦門)建機有限公司」を設立し中国各地に油圧ショベルと道路機械を供給しています。

インドネシアに日本、中国に次ぐ住友建機カラワン工場を設立するなど、成長著しい東南アジア市場への供給も強化しています。

また米国では「LBX社」を設立。Link -Beltブランドの油圧ショベルを出荷するなど、北米、欧州を含むグローバル展開に注力しています。

2022年12月期 (2022年度)の決算概要は以下の通りです。

住友建機株式会社 決算概要

売上高 (百万円) 119,670
営業利益(百万円) 2,852
経常利益(百万円) 3,920
税引前当期純利益 (百万円) 3,920
当期純利益(百万円) 3,456
従業員数(人:2022年4月現在単体) 750

上記の表は、住友建機株式会社の業績概要ですが、親会社である住友重機械工業の2022年12月期における連結業績の中でロジスティックス&コンストラクションセグメントの受注高は3,541億円(調整後前期比5%増)、売上高は3,003億円(調整後前期比6%増)、営業利益は130億円(調整後前期比18%減)という結果でした。

尚、住友重機械工業は、2022年度より決算期を3月31日から12月31日に変更したため、9ヵ月間比較を調整後前期としています。連結子会社の住友建機も12月決算に変更となっています。

油圧ショベル事業は、景気減速やロックダウンの影響により中国市場の需要が大きく減少したものの、国内や北米は堅調であったことから受注、売上は増加しましたが、中国市場での売上減少や債権に対する引当金の計上などにより営業利益は減少した結果となっています。

その他の事業では、建設用クレーン事業が、北米地区の需要が堅調に推移したことなどから、受注、売上、営業利益ともに増加、また、運搬機械事業は、港湾・電力向け需要が堅調に推移したことなどから受注、売上、営業利益ともに増加しました。

国内の販売とサービスは住友建機販売株式会社が行う体制としています。

株式会社 タダノ 

2022年12月期連結決算 (2022年度)

売上高 (百万円) 192,932
営業利益/営業損失(百万円) 7,191
経常利益/経常損失 (百万円) 6,540
親会社株主に帰属する当期純利益/当期純損失(百万円) 2,210
包括利益(百万円) 8,305
従業員数(人) 4,651
子会社 36社
持分法適用関連会社 3社

タダノ及びそのグループ企業は、建設用クレーン、車両搭載型クレーン及び高所 作業車等の製造販売を行っており、建設用クレーンでは国内最大手の企業です。

大型のラフテレーンクレーンに強みがあり、車両搭載型クレーンや高所作業車なども手掛けています。

主な製品は以下の通りです。

  • 建設用クレーン:
    • オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、クローラクレーン、トラッククレーン、軌陸車
  • 車両搭載型クレーン:
    • カーゴクレーン、車両運搬車、軌陸車
  • 高所作業車:
    • 高所作業車、穴掘建柱車、高架道路・橋梁点検車、軌陸車、照明車
  • その他:
    • 部品、修理、中古車、リフター等

 

国内4工場と、海外にもアメリカ、ドイツ、中国、タイにも工場を持ち、更なるグローバル化を推進しています(2023年3月期における、海外売上高比率は67.2%)

2022年12月期(2022年度)連結業績の概要

タダノグループは、2022年度の決算より、決算期を3月31日から12月31日に変更したことにより、変則決算となっています。

タダノの2022年12月期におけるグループ連結業績は、日本向け売上高が633億3千1百万円、海外向け売上高は、1,296億円でした。その結果、総売上高は1,929億3千2百万円となり、海外売上高比率は67.2%でした。

利益面の業績は、営業利益は71億9千1百万円、経常利益は65億4千万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、22億1千万円という結果でした。

タダノの事業セグメントは地域制を採用しています。2022年12月期の事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。

2022年12月期連結決算 セグメント別業績概要

事業名 外部顧客への売上高(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円)
日本 74,530 38.6% 9,775
欧州 36,467 18.9% -9,949
米州 61,267 31.8% 5,048
その他 20,667 10.7% 1,933
合計 192,932 100.0% 6,807
調整額 383
計上額 192,932 7,191

中期経営計画

タダノは現在2021年度をスタートとする、中期経営計画(21-23)」を基に事業を展開しています。

この中期経営計画では事業に対する自助努力に集中することと、5つの重点テーマとして、①グループシナジー最大化、②耐性アップ、③競争力強化、④ESG/SDGs推進、⑤DX・GX(グリーン・トランスフォーメーション)への取り組みを掲げ、その実現のために以下の9つの戦略に取り組んでいます。

9つの戦略:

  1. 市場ポジションアップ
  2. 四拍子強化(商品力強化、感動品質追求、感動サービス提供、中古車グローバル化)
  3. グローバル&フレキシブルものづくり(伸び縮み力、分業、購買グローバル化)
  4. ライフサイクル価値の向上(ストックビジネスの拡充)
  5. 電動化とAIの実用化
  6. 財務体質健全化
  7. グループ&グローバル経営基盤の強化(欧州事業再建とインド事業育成)
  8. DX・GXへの取り組み
  9. 人財活用

上記は中期経営計画の骨子の一部に過ぎません。

就活でタダノグループを志望する皆さんは、グループシナジー最大化へのキーワードとして、掲げる「ONE TADANO」=「グループ全体が共通の価値観を持った一つのチームになる」というコンセプトや、「ふところ深く」、「身軽に」、「柔軟性」、「分散」、「俊敏」、「質の向上」の6つの鍵に表れている企業風土を理解しておきましょう。

まとめ

以上、建設機械メーカーの上位企業の現状をみてきました。凝縮したサマリーですが、建設機械メーカーの事業内容と規模感、各社がいかにグローバルな存在であるかは感覚的にも理解できたと思います。

上位企業は理工系の学生に非常に人気の高い企業であり、難関です。機械業界に興味や志望意欲を繋ぐことができた方は、志望企業候補のあたりをつけて、詳細な企業研究を進めて下さい。

上位企業の多くはインターンシップに積極的です。OB・OG訪問も含めぜひトライして門戸を開いていってください。

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