就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。
IT業界情報の7つのポイントを押さえよう
- IT業界のビジネスモデルを理解しよう
- IT業界の現状と課題・未来
- IT業界にはどんな仕事があるのか、職種の情報
- IT業界に働く人のモチベ―ションは何か
- IT業界に向く人、向かない人はどういう人か
- IT業界の構造
- IT業界、主要各社の概況
自分自身が、未来をIT業界、中でもどんな分野の企業に自分を託したいと思うか、志望の意思を固める上での参考にして下さい。
Contents
IT業界の構造
IT業界をどう分けるかに関しては、分析者の立場によって様々であり、正解がある訳ではありません。
それほど変化が激しく、また業際も融合していく、アメーバ的な業界でもあるため、IT業界として理解すべきかどうかも迷ってしまうのが現実です。
IT業界と認識されている企業でも、インターネット・Web系企業、例えばソフトバンクや楽天、Google、Apple, Amazonのような企業は、非常に多くのビジネスに、インターネットという武器を使って参入を果たしています。
またインターネット広告を扱うインターネット専業の広告代理店は、広告業界として扱うべきか、インターネット業界として扱うべきか、どちらが正解とも言えません。
Facebook, Twitter(X), Line というようなSNSも、そのサービスと顧客(会員)ベースを利用して多くの事業に参入しています。
またハードウェアを作っている企業、通信インフラを提供する企業、ソフトウェアメーカー、情報処理・システムを供給するSI系企業、コンサルティング企業など、IT業界の構造は業種・業態別に大きく違うのが実情です
従って他の業界とは異なり、IT業界を目指す就活生は自己分析に基づいて、自分の価値観に適した業態・企業を絞って研究をしていく必要があります。
例えば同じインターネット業界でEコマースを展開するアマゾンと楽天では、商品の供給側の顧客層やマネタイズするビジネスモデルも違います。共通項を見つけるよりビジネスの違いを研究していくべきなのです。
IT業界の市場規模や業界構造を見てみよう
一般社団法人 情報サービス産業協会の調査による、2022年度の情報サービス産業 業務種類別売上高は以下のようなシェアになっています。
ハードウェア販売とその他を除く、91.8%が情報サービス業とされており、その中で47.6%の最も高いシェアをもつのが情報システムの企画、構築、運用などの業務をシステムのオーナーとなる顧客から一括して請け負うSI(システム インテグレーター)サービス、以下、ソフトウェア開発15.6%と続いていきます。
情報サービス産業 業務種別売上高の割合 (2022年)
グラフ出典:一般社団法人 情報サービス産業協会 2022年度版 情報サービス産業 基本統計調査
情報サービス産業 職種別従事者の割合 (2020年)
現在は行われていない経済産業省による特定サービス産業実態調査の2020年データで、情報サービス産業の職種別従業者のシェアを見ると、以下のような割合となります。少し古いデータになりますが、システムエンジニア(SE)職に従事している人が多いことが分かります。
出典:経済産業省・経済構造実態調査二次集計結果及び特定サービス産業実態調査をもとに、情報サービス産業協会で作成
資料:経済産業省・経済構造実態調査、特定サービス産業実態調査(https://www.meti.go.jp/)
この二つのデータから、この記事では情報サービス産業の中で最もシェアの高い、システムエンジニアリングサービス、所謂SIer業界をIT業界の主要な業界とし、その主要企業の中でも上位4社の概況をまとめておきます。
新卒でITエンジニアになりたいなら、ITと就活の専門知識を持つプロに相談するのが近道
IT技術やWeb技術は今の社会にとって必要不可欠であり、それに係る人材は枯渇しています。
ITを担当するITエンジニアは多種多様な産業に渡り、且つ技術をベースとした専門分野に分かれているため、現状の自分にどんな可能性が広がっているのかを正確に判断するのは難しいものです。
この分野のすそ野は広く、プログラミングの知識が殆どなく、その「さわり」程度の知識しかない文系の学生でもITエンジニアの卵として就職することも可能です。
また大学で情報工学を学んでいる学生や大学院でAIを専門に研究してきた学生が、IT系企業だけではなく、外資系のコンサルティング会社や投資銀行のエンジニアとして就職することも普通にできるのです。
しかしほとんどの学生の場合、産業や企業、IT系の職種に対する知識が乏しいため、具体的な就活をどう進めたらよいのか分からず、最初の段階で躓いたり、無駄な時間を使ってしまいます。
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システムインテグレータ、SIer業界の主要企業の概要
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 3,490,182 |
営業利益(百万円) | 259,110 |
税引前当期利益 (百万円) | 242,800 |
当社株主に帰属する当期利益(百万円) | 149,962 |
当社株主に帰属する包括利益(百万円) | 222,223 |
従業員数(人) | 195,106 |
外、平均臨時雇用者数 | 7,561 |
子会社 | 624社 |
関連会社 | 51社 |
注意:
株式会社エヌ・ティ・ティ・データは2023年7月1日をもって持株会社体制へ移行しています。
持株会社の名称は「株式会社NTTデータグループ」となり、その傘下に国内事業会社の「株式会社NTTデータ」、海外事業会社として「NTT DATA, Inc.」を置き、それぞれの事業会社下のグループ企業と共に事業を展開する体制となっています。
株式会社NTTデータグループは、持株会社および上場会社として必要なコーポレートスタッフ組織の他、グローバル共通のイノベーション、マーケティング、ガバナンス強化・推進組織、競争力の源泉である技術の研究・開発組織を置き、戦略投資を含むグローバル横串での連携・強みづくりのための取り組みを推進する役割を担うことになります。
国内事業会社である、株式会社NTTデータは、国内事業会社としての統合的な戦略および分野横断戦略の立案を行い、その実行を推進するとおもに、人事、財務およびマーケティング・広報機能等も担うカタチです。
以下は、2023年3月期(2022年度末)の情報を基にしていることを留意して下さい。
NTTデータはグループ連結売上高3兆円強を誇る、情報サービス産業の巨大企業です。
もちろん、日本電信電話株式会社を最終的な親会社とするNTTグループに属しています。
受託ソフトウェア業界の中でも断トツの首位企業であり、就活人気も高い企業です。主要な産業別のセグメントをバランスよく持っており、海外展開にも注力しています。
主な事業セグメントは以下の通りであり、NTTデータ及びその子会社、一部関係会社が行っています。
- 公共・社会基盤:
- 行政、医療、通信、電力等の社会インフラや地域の活性化を担う、高付加価値なITサービスを提供する事業
- 金融:
- 金融機関の業務効率化やサービスに対して、高付加価値なITサービスを提供する事業
- 法人:
- 製造業、流通業、サービス業等の事業活動を支える高付加価値なITサービス、及び各分野のITサービスと連携するクレジットカード等のペイメントサービスやプラットフォームソリューションを提供する事業
- 海外:
- 海外ビジネスにおける市場特性を考慮した高付加価値なITサービスの提供
- その他:
- 業界横断的なコンサルティング・ソリューションの提供や本社部門機能のサポート等
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)における、NTTデータの連結業績の概要は以下の通りです。
- 売上高: 3,490,182百万円( 前連結会計年度比36.8%増)
- 営業利益: 259,110百万円(同21.9%増)
- 税引前当期利益: 242,800百万円(同12.5%増)
- 当社株主に帰属する当期利益 :149,962百万円(同4.9%増)
2023年3月期(2022年度)の連結業績は、海外事業統合に伴うNTT Ltd. 連結拡大影響等により、売上高・営業利益・当期利益は増となっています。
売上高は、連結拡大影響に加え、全セグメントにおける規模拡大及び為替影響により増収となり、営業利益は、全社戦略投資の増加及び不採算案件の損失等はあるものの、連結拡大影響に加え、増収等により増益を達成しています。
また受注高は海外事業の規模拡大及び為替影響により増加し、2,725,567百万円と前年同期比で13.5%の増加となっています。
2023年3月期における、事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期 セグメント業績概要
セグメント名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | 営業利益/損失(百万円) | 利益構成比 |
公共・社会基盤 | 523,120 | 15.0% | 68,648 | 23.1% |
金融 | 552,139 | 15.8% | 68,798 | 23.1% |
法人・ソリューション | 459,487 | 13.2% | 51,403 | 17.3% |
海外 | 1,866,131 | 53.5% | 81,597 | 27.4% |
その他 | 88,856 | 2.5% | 26,883 | 9.0% |
合計 | 3,489,733 | 100.0% | 297,329 | 100.0% |
調整額 | 449 | ー | -38,219 | ー |
計上額 | 3,490,182 | ー | 259,110 | ー |
NTTデータの事業戦略
NTTデータの企業理念:
NTTデータの企業理念は、「情報技術で、新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」です。
またNTTデータのグループビジョンを、「Trusted Global Innovator」としています。
成長戦略も「2025年頃に、Global Top 5の企業として世界のお客様から信頼される企業をめざす」としています。
成長ステージは以下の3つに分かれており、現在はGlobal 3rd Stage にむけて新たな中期経営計画(2022年度~2025年度)を基に、事業を展開しています。
- Global 1st Stage: グローバルカバレッジを拡大し、2015年度までに連結売上高 6兆円、海外売上比率30%を目指す
- Global 2nd Stage: グローバルブランドを確立し、2018年度までに連結売上高2兆円、海外売上高比率概ね50%を目指す
- Global 3rd Stage: 信頼されるブランドの浸透とともに、2025年頃にGlobal Top 5となる
NTTデータは、前中期経営計画(2019年度~2021年度)において、グローバルで質を伴った成長をめざし、海外事業の収益性改善とデジタルへの取り組みの更なる加速を推進してきました。
一方で、社会課題の解決・地球環境の貢献に向けてデジタルトランスフォーメーションは加速しており、更なる競争力の強化に向けた取り組みが必要であることに変わりはありません。
2021年度のグローバルビジネスは41%であり、Global 3rd Stageに向けては、海外事業の質を伴った成長とデジタル領域における競争力の強化が継続課題となっています。
現在の3rd Stageのテーマは“Realizing Sustainable Future”としており、「未来に向けた価値をつくり、様々な人々をテクノロジーでつなぐことで、お客様とともにサステナブルな社会を実現する」という「めざす姿」を掲げています。
また世界的に人財獲得競争が激化していることを踏まえ、多様な人財が長期に活躍できる環境・文化へ変革していくとともに、真のグローバル企業へと成長していくことが課題となっています。
新中期経営計画
NTTデータグループの新中期経営計画(2022年度~2025年度)の概要は以下の通りです。
- 基本方針:
- Trusted Global Innovatorとして、未来に向けた価値をつくり、様々な人々をテクノロジーでつなぐことでお客様とともにサステナブルな社会を実現することをめざしていきます。
- 中期戦略:中期戦略の骨子は以下の通りです。
- これまで培ってきた顧客理解と高度な技術力でシステムをつくる力と、様々な企業システムや業界インフラを支え人と企業・社会をつなぐ力をさらに高める
- 具体的には、業界・技術のフォーサイト(未来視点)を起点とした変革提案と、高いアジリティを実現するアセットベースの価値提供により、経営変革・事業変革の構想策定から実現まで、End to Endの対応力を強化
- 様々なモノやデータをつなぐEdge to Cloud サービス*により、業界を超えて企業をつなぐ業際連携を実現し、企業・業界の枠を超えた新たな社会プラットフォームや革新的なサービスの創出を目指す
- *Edge to Cloud サービスとは、IoT端末やスマートデバイス、その近くに設置されたサーバでデータ処理・分析を行うエッジコンピューティングと、データを集中管理・処理するクラウドコンピューティングを組み合わせたアーキテクチャ
- これらの取り組みをグローバル全体で推進していくため、NTTグループ傘下のNTT株式会社(以下、NTT, Inc.)と海外事業を統合し、ITとConnectivityを融合したサービスをトータルで提供する企業へ進化させる
- コンサルティングやアプリケーション開発に留まらず、Connectivity領域までを含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービスラインナップを一元的に整備し、複雑化・多様化するお客様のニーズにグローバルレベルで対応する
戦略の全体像:Realizing a Sustainable Future
未来に向けた価値をつくり、様々なテクノロジーで繋ぐことでお客様とともにサステナブルな社会を実現する
- 「Clients’ Growth サステナブルな社会を支える企業の成長」
- 「Regenerating Ecosystems 未来に向けた地球環境の保全」
- 「Inclusive Society 誰もが健康で幸福に暮らせる社会の実現」
実現に向けての戦略
- 戦略ITとConnectivityの融合による新たなサービスの創出
- 戦略フォーサイト起点のコンサルティング力の強化
- 戦略アセットベースのビジネスモデルへの進化
- 戦略先進技術活用力とシステム開発技術力の強化
- 戦略人財・組織力の最大化
これらの5つの戦略を支える仕組みとして、グローバルを前提としたMarketing、Innovation、Governanceの機能を強化し、事業環境の変化に迅速に対応していくとともに、Global 3rdStageに向けた事業成長を実現するためのグローバル連携機能の強化と戦略投資を実施して投資と成長の好循環を確立していく計画となっています。
またこれまでのESG経営の取り組みを拡大し、長期的な視点を持ったサステナビリティ経営を推進する方針です。
上記は中長期の計画の骨子のみですが、就活でNTTデータを志望する皆さんは、行っている事業や業務を深く理解することは当然として、企業の中長期の計画・戦略も把握しながら、自分の就活の軸や志望動機に役立ててください。
また、持株会社と事業会社に分かれた新体制によって出される新たなニュースや方針にもアンテナを高くして注意を払っておくことをおススメします。
株式会社 野村総合研究所
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 692,165 |
営業利益(百万円) | 111,832 |
税引前利益 (百万円) | 108,499 |
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) | 76,307 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益(百万円) | 80,508 |
従業員数(人) | 17,394 |
外、平均臨時雇用者数 | 5,082 |
連結子会社 | 92社 |
持分法適用会社 | 11社 |
野村総合研究所とそのグループ各社は、リサーチ、経営コンサルティング及びシステムコンサルティングからなる「コンサル ティングサービス」、システム開発及びパッケージソフトの製品販売からなる「開発・製品販売」、アウトソーシング サービス、共同利用型サービス及び情報提供サービスからなる「運用サービス」並びに「商品販売」の4つのサービスを 展開しています。
これらのサービスと顧客、マーケットを勘案し事業セグメントを以下のように区分して事業を展開しています。
各セグメントの事業内容
- コンサルティング:
- 政策提言や戦略コンサルティング、業務改革をサポートする業務コンサルティング、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングを提供
- 金融ITソリューション:
- 主に証券業や保険業、銀行業等の金融業顧客向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービスの 提供、共同利用型システム等のITソリューションやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの提供
- 産業ITソリューション:
- 流通業、製造業、サービス業や公共向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス等のITソリューションを提供
- IT基盤サービス:
- 主に金融ITソリューションセグメント及び産業ITソリューション部門を通じて、データセンターの運営管理 やIT基盤・ネットワーク構築等のサービスを提供
- 様々な業種の顧客に対してIT基盤ソリューションや情報セキュリティサービスの提供、ITソリューションに係る新事業・新商品の開発に向けた研究や先端的な情報技術等に関する研究
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)における野村総合研究所の連結業績は、売上収益がコンサルティングサービスを中心に全てのサービスで増加し、692,165百万円(前年度比13.2%増)となり、増収を達成しています。
利益面では、良好な受注環境、生産活動を背景に収益が向上したことに加え、横浜野村ビルにおける信託受益権を売却したことに伴い固定資産売却益2,238百万円を計上した結果、営業利益は111,832百万円(同5.3%増)、営業利益率は16.2%(同1.2ポイント減)、EBITDAマージンは22.5%(同1.4ポイント減)という結果でした。
2023年3月期連結決算における、各セグメントの状況は以下の通りです。
2023年3月期(2022年度) セグメント別業績概要
セグメント名 | 外部顧客売上収益(百万円) | 売上構成比 | 営業利益(百万円) | 利益構成比 |
コンサルティング | 46,100 | 6.7% | 12,329 | 11.2% |
金融ITソリューション | 328,576 | 47.5% | 49,710 | 45.3% |
産業ITソリューション | 267,190 | 38.6% | 24,429 | 22.2% |
IT基盤サービス | 50,298 | 7.3% | 23,346 | 21.3% |
合計 | 692,165 | 100.0% | 109,816 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | 2,015 | ー |
計上額 | 692,165 | ー | 111,832 | ー |
野村総合研究所の事業戦略
野村総合研究所は長期経営ビジョン 「Vision2022」を基に「NRIグループ中期経営計画(2019年度~2022年度)」を立て、一層の生産性向上と 既存事業の拡大に取り組んできました。
グローバルやデジタルビジネス分野等の新領域において、事業基盤の形成や実績の蓄積に注力、またDX戦略、グローバル戦略、人材・リソース戦略を推進してきました。
野村総合研究所は、2023年4月に発表した「NRI Group Vision 2030」(以下「V2030」という。)において、ビジョン・ステートメントを「Envision the value, Empower the Change (まだ見ぬ価値をともに描き、変革にさらなる力を)」とし、野村総合研究所グループが2030年に目指す姿を「経営とテクノロジーの融合で時代を先駆け、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本で世界をダイナミックに変革する存在へ」と定めています。
今後、コア領域の深化・進化と、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域やグローバルでのさらなる成長を志向する方針です。
またV2030では、「持続可能な未来社会づくり」と「NRIグループの成長戦略実現」を一体的に追求する上で、2030年に向けて重点的に取り組むテーマとして「創出する価値」、「価値を生み出す資本」、「経営基盤(ESG)」の3層で計8つのマテリアリ
ティを特定し、グループのサステナビリティ基本方針に位置づけています。
創出する価値:「持続可能な未来社会づくり」を実現 | |
マテリアリティ | デジタル社会資本の充実を通じた活力ある未来社会の共創 |
社会資源の有効活用を通じた最適社会の共創 | |
社会インフラの高度化を通じた安全安心社会の共創 | |
価値を生み出す資本:「人的資本」及び「知的資本」が価値共創を支える | |
マテリアリティ | 多様なプロフェッショナルの挑戦・成長による人的資本の拡充 |
個々の知を組織力に昇華させる知的資本の創出・蓄積 | |
経営基盤(ESG):NRIらしいESGを、サプライチェーンへ拡張 | |
マテリアリティ | ビジネスパートナーとの協働による地球環境への貢献 |
ステークホルダーとの関係強化による社会的責任の遂行 | |
戦略的なリスクコントロールを実現するガバナンスの高度化 |
具体的な計画としては、V2030の実現に向け、2023年4月に前半3か年の「NRIグループ中期経営計画(2023-2025)」を策定し、事業を展開中です。
「NRIグループ中期経営計画(2023-2025)」の成長戦略の柱
中期経営計画の戦略骨子は以下の通りです。
- コアビジネス領域:
- コンソリューション(ビジネスITを企画・構想する段階からコンサルティングとソリューションが並走し、顧客に継続的に価値を創出するビジネスモデル)で顧客との価値創造をさらに深める「コア領域の深化・拡大」と、ビジネスプラットフォーム拡大と抜本的な生産革新で圧倒的な競争力と高付加価値を実現する「コア領域の進化」を同時に実現
- DX進化:
- 顧客の業務プロセス変革・インフラ変革(DX1.0)、ビジネスモデルそのものの変革(DX2.0)に加え、企業や産業を超えて社会にインパクトをもたらす0に挑戦
- グローバル:
- 日本・アジア、豪州に加え、巨大かつ高い成長力をもつ市場である北米への展開を通じ、世界3極での事業運営に向けた体制を整備
- マネジメント:
- 人的資本の拡充と、サステナビリティ経営や環境対応を強化し、経営基盤を盤石化
- 財務目標:
- 中期経営計画2025の最終年度(2026年3月期)に、売上収益8,100億円、うち海外売上収益1,500億円、営業利益1,450億円、営業利益率9%、ROE20%以上を目指す
上記は中長期計画の骨子の一部に過ぎません。
就活で野村総合研究所を志望する皆さんは、行っている事業や業務を深く理解することは当然として、職種志望動機を固める上でも企業の中長期の計画・戦略も把握しながら、自分の就活の軸や志望動機、キャリアプランの作成に役立ててください。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上収益 (百万円) | 570,934 |
税引前利益(百万円) | 46,924 |
当社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 34,208 |
当社株主に帰属する当期包括利益(百万円) | 38,308 |
従業員数(人) | 9,665 |
外、平均臨時雇用者数 | 6,766 |
連結子会社 | 17社 |
関連会社 | 13社 |
伊藤忠テクノソリューションズは、エンタープライズ事業、流通事業、情報通信事業、広域・社会インフラ事業、金融事業、ITサービス事業、その他というセグメントで事業を展開しています。
伊藤忠テクノソリューションズ及びグループ企業は、これらの事業領域において、コンピュータ・ネットワークシステムの販売・保守、ソフトウェア受託開発、データセンターサービス、サポートなどの事業を展開しています。
いずれの事業もコンサルティングからシステム設計・構築、保守・運用サービスまでの総合的な提案・販売活動及びITインフラアウトソーシングや、一部ハードウェア、ソフトウェアの販売を行っています。
各事業ではそれぞれの顧客ニーズ・課題解決に最新技術を取り入れて対応しています。5Gの本格展開に向けた案件の獲得や、ビジネスの次世代化に向けてのIoT、AI、ビッグデータやアジャイル型の開発を活用したソリューションの提供に積極的に取り組んでいます。
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)における、伊藤忠テクノソリューションズの連結業績の概要は以下の通りです。
- 売上収益:前連結会計年度と比べて48,578百万円(前年同期比9.3%)増加し、570,934百万円
- 売上収益は、製造、情報サービス、運輸、製薬、エンターテインメント、公共、自動車、社会インフラ、地方自治体、金融向けなど様々な分野で増加したことに加え、国内外事業会社の増収が寄与
- 売上総利益:前年度と比べて4,399百万円(同3.3%)増加し、139,077百万円
- 増収が寄与
- 売上総利益率は、製品の利益率が低下したこと等により、前連結会計年度の25.8%から1.4ポイント減少の24.4%
- 営業利益:営業利益は、前年度と比べて4,009百万円(同7.9%)減少し、46,473百万円
- 税引前利益:税引前利益は、前年度と比べて4,951百万円(同9.5%)減少し、46,924百万円
- 当社株主に帰属する当期純利益:当社株主に帰属する当期純利益は前年度と比べて1,164百万円(同3.3%)減少し、34,208百万円
2023年3月期のセグメント別の業績は以下の通りです。
2023年3月期 (2022年度)セグメント業績概要
セグメント名 | 外部顧客売上収益(百万円) | 売上構成比 | 税引前利益(百万円) | 利益構成比 |
エンタープライズ事業 | 110,140 | 19.3% | 9,483 | 17.7% |
流通事業 | 63,786 | 11.2% | 6,034 | 11.3% |
情報通信事業 | 173,346 | 30.4% | 11,280 | 21.0% |
広域・社会インフラ事業 | 103,233 | 18.1% | 9,211 | 17.2% |
金融事業 | 49,762 | 8.7% | 5,348 | 10.0% |
ITサービス事業 | 11,738 | 2.1% | 13,757 | 25.7% |
その他 | 58,928 | 10.3% | -1,480 | -2.8% |
合計 | 570,934 | 100.0% | 53,633 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -6,709 | ー |
計上額 | 570,934 | ー | 46,924 | ー |
伊藤忠テクノソリューションズの事業戦略
伊藤忠テクノソリューションズは、CTCの由来である「Challenging Tomorrow’s Changes」をグループ全体のスローガンとして、日々変化を遂げる顧客の事業環境変化に機敏に対応し、顧客価値を提供する企業たるべく挑戦し続けることにより、事業活動等を通じて夢のある豊かな社会の実現に貢献していくことを標榜しています。
企業理念では、ミッションとグループが共通でもつべき価値観を以下のように規定しています。
- Mission (使命):明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する
- Values (価値観)とAction Guidelines(心得)
- 変化への挑戦:常に新しいことに取り組み、決して諦めずに臨んでいるか?
- 価値への挑戦:お客様が期待する以上の価値を、生み出しているか?
- 明日への挑戦:自由な発想で、よりよい明日の姿を描いているのか?
また2021年4月にはグループのマテリアリティ(重要課題)を以下のように規定しています。
-
- ITを通じた社会課題の解決:
- 先進技術のたゆまぬ追求、様々なパートナー都のビジネスの共創、安心で安全なITサービスの提供
- 明日を支える人材の創出:
- 多様なプロフェッショナルの育成、互いを尊重し合える風土の醸成、未来を創る人材教育への貢献
- 責任ある企業活動の実行:
- 実効性のあるガバナンスの強化、気候変動対応への貢献、一人ひとりの責任ある行動の実践
- ITを通じた社会課題の解決:
そして現在は2021年4月から2024年3月までの3か年の新たな中期経営計画「Beyond the Horizons ~その先の未来へ~」を策定し、以下3つの基本方針を着実に実行することに注力をしています。
基本方針とそれを実現する重点シナリオのポイントは以下の通りです。
基本方針1Accelerate:顧客の変革を支える新たな取り組みを加速
- 顧客業務、顧客事業、生活者の日常のDX
- コミュニティ形成と共創ビジネス拡大
- 高付加価値サービス、先進技術の提供
基本方針2 Expand:強い領域における更なる探求と市場拡大
- ”つくる”を土台にした5Gビジネスの拡大
- XaaS*ビジネスの強化
- 国内ビジネスモデルのグローバル展開
*XaaS:情報システムの構築や運用に必要な様々な資源(ソフトウェアやハードウェアなど)をインターネット等を通じてクラウドで提供・利用するようにしたサービスの総称
基本方針3 Upgrade:未来を捉えた自己変革の実践
- 個の成長と適材適所を組み合わせた総合力強化
- 環境変化に適応する経営基盤改革
- 多用なステークホルダーとの共存
上記は骨子のみですが、就活で伊藤忠テクノソリューションズを志望する皆さんは、事業や業務を深く理解することは当然として、企業の中長期の計画・戦略も把握しながら、自分の就活の軸や志望動機、キャリアプランの作成に役立ててください。
また企業のDNAとしての変化や挑戦に対する行動原理も自分事化して深耕しておきましょう。
TIS株式会社
2023年3月期連結決算(2022年度)
売上高 (百万円) | 508,400 |
経常利益(百万円) | 63,204 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 55,461 |
包括利益(百万円) | 47,746 |
従業員数(人) | 21,946 |
外、平均臨時雇用者数 | 1,943 |
連結子会社 | 50社 |
持分法適用関連会社 | 74社 |
TIS及びそのグループ企業の主な業務は、情報化投資に関わるアウトソーシング業務・クラウドサービス、ソフトウェア開発、ソリューションの提供を行っており、これらの業務に関連するコンサルティング業、不動産賃貸・管理事業など付帯関連する業務もカバーしています。
尚、TISでは更なる構造転換の推進に向け、グループ全体でのマネジメント体制を変更したことに伴い、事業セグメントを2023年3月期より以下のように変更しています。
新しい開示セグメントは「オファリングサービス」、「BPM」、「金融IT」、「産業IT」、「広域ITソリューション」及び「その他」の6つになります。
TISは、オファリングサービス、金融IT、産業ITの各セグメントにおいて、グループの中心となって事業を展開するカタチです。
- オファリングサービス:
- TISグループに蓄積したベストプラクティスに基づくサービスを自社投資により構築し、知識集約型ITサービスを提供
- 主な連結子会社:TISシステムサービス株式会社、MFEC Public Company Limited、Sequent Software Inc.
- BPM:
- ビジネスプロセスに関する課題をIT技術、業務ノウハウ、人材などで高度化・効率化・アウトソーシングを実現・提供
- 主な連結子会社:株式会社アグレックス
- 金融IT:
- 金融業界に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業・IT戦略を共に検討・推進し、事業推進を支援
- 産業IT:
- 金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業・IT戦略を共に検討・推進し、事業推進を支援
- 主な連結子会社:クオリカ株式会社、AJS株式会社
- 広域ITソリューション:
- ITのプロフェッショナルサービスを地域や顧客サイトを含み、広範に提供し、そのノウハウをソリューションとして蓄積・展開して、課題解決や事業推進を支援
- 主な連結子会社:株式会社インテック、TISソリューションリンク株式会社
- その他:
- 各種ITサービスを提供する上での付随的な事業等で構成
- 主な連結子会社:TISトータルサービス株式会社、ソランピュア株式会社
2023年3月期(2022年度)連結業績の概要
2023年3月期(2022年度)におけるTISの連結業績は、売上高が508,400百万円(前期比5.4%増)となり、増収を達成しています。
利益面では、営業利益が62,328百万円(同13.9%増)、経常利益63,204百万円(同13.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は55,461百万円(同40.5%増)となり、前期に続いて大幅増益の決算となっています。
売上高については、顧客のデジタル変革需要をはじめとするIT投資ニーズへの的確な対応による事業拡大により、前期を上回る結果となっています。
営業利益については、増収に伴う増益分に加え、高付加価値ビジネスの提供、生産性・品質向上施策の推進等により売上総利益率が27.9%(前期比1.2ポイント増)に向上したことが販売費及び一般管理費の増加を吸収し、前期比増益となっています。
経常利益については、営業利益の増加により前期比増益、親会社株主に帰属する当期純利益については、経常利益の増加に加えて特別損益が大きく改善したことが大幅増益に寄与しています。
事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。
2023年3月期セグメント別業績概要
セグメント名 | 外部顧客売上高(百万円) | 売上構成比 | セグメント利益(百万円) | 利益構成比 |
オファリングサービス | 99,132 | 19.5% | 6,426 | 10.3% |
BPM | 40,958 | 8.1% | 5,123 | 8.2% |
金融IT | 99,432 | 19.6% | 13,896 | 22.3% |
産業IT | 112,916 | 22.2% | 16,728 | 26.8% |
広域ITソリューション | 153,531 | 30.2% | 19,343 | 31.0% |
その他 | 2,429 | 0.5% | 878 | 1.4% |
合計 | 508,400 | 100.0% | 62,396 | 100.0% |
調整額 | ー | ー | -67 | ー |
計上額 | 508,400 | ー | 62,328 | ー |
TISの事業戦略
TISグループでは目指す企業像を「Create Exciting Future」をグループ共通の価値観として、「先進技術・ノウハウを駆使しビジネスの革新と市場創造を実現し、顧客からは戦略パートナーとして頼りにされ、既成業界・市場の変革に常にチャレンジし、新たな市場を創造するイノベーターとなることを目指す」、と定めています。
その実現に向けて、以下の4つの戦略ドメインを基に事業を展開しています。
- ストラテジックパートナーシップビジネス :
- 業界トップクラスの顧客に対して、業界に関する先見性と他社が追随できないビジネス・知見を武器として、事業戦略を共に検討・推進し、ビジネスの根幹を担う
- ITオファリングサービス:
- 蓄積したノウハウと、保有している先進技術を組み合わせることで、顧客より先回りしたITソリューションサービスを創出し、スピーディーに提供
- ビジネスファンクションサービス:
- 蓄積した業界・業務に関する知見を組み合わせ、先進技術を活用することにより、顧客バリューチェーンのビジネス機能群を、先回りしてサービスとして提供
- フロンティア市場創造ビジネス:
- 保有する技術・業務ノウハウ、顧客基盤を活かして、社会・業界の新たなニーズに応える新市場/ビジネスモデルを創造し、自らが事業主体となってビジネスを展開
現在は、中期経営計画(2021-2023)を策定し、「Be a Digital Mover 2023」をスローガンに、グループビジョン2026の達成に向けた成長加速のため、DX提供価値の向上を基軸とした、事業構造転換の実現に取り組んでいます。
中期経営計画(2021-2023)では、「売上高5,000億円」、「営業利益(営業利益率)580億円(11.6%)」、「EPS(1株当たり当期純利益)の年平均成長率10%超」、「戦略ドメイン比率60%」、「社会課題解決型サービス事業売上高500億円」の目標を掲げています。
グローバル事業に関しては、前中期経営計画において確立したASEAN各国のパートナーとのアライアンスを強化し、最先端技術や破壊的テクノロジーを活用することで、グローバルでITオファリングサービス、フロンティア市場創造ビジネスを拡大する計画であり、2026年度にはASEAN地区子会社と持分法提供会社の売上高合計で、1,000億円を目指しています。
具体的には、タイ、インドネシアに続き、マレーシア、ベトナム、フィリピンを中心にASEANの事業基盤を構築すべく投資を推進していく計画です。
就活生の中にはテレビコマーシャルでTISインテックグループを知った方も多いと思います。システム・インテグレーター事業に興味のある就活生は、ぜひTISの企業研究もしてみて下さい。
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まとめ
以上、駆け足でIT業界の構造と大手SIer企業の概況を解説しました。大きなトレンドや企業の特徴、課題や今後の方向性は理解できたと思います。
IT業界は変化のスピードが速い業界です。国内市場は当面IT投資が旺盛で成長が続くことに期待できますが、長期的には人口減少や、エンジニア不足による問題に直面するでしょう。
海外人材、外国人エンジニアの受け入れも、今後加速していくでしょう。また一部大手の企業は、既に海外市場を積極的に開拓する戦略を並行して行っています。
大手SIerに関しての共通のキーワードは、グローバル市場の開拓です。
さらに海外の巨大IT企業は、圧倒的な規模、資金力によって、新しい技術への開発投資に莫大な金額を投じて更に競争力を強めています。
その意味で日本企業が生き残り、更に成長をしていくためには、ニッチな市場でも独占的なシェアを握れるようなイノベーションを行っていくしかありません。
時代の最先端を走っている業界であり、変化を受け入れ成長したいと思っている学生には「やりがい」のある業種です。また海外志向の強い学生も、外資系企業も含めてぜひ検討に加えてみてください。そして企業毎に深い研究を進めていきましょう。
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