「就活の答え」では就活生が特に気になる人気企業を選んで、書類選考を突破するための企業別志望動機の作成方法を解説します。
この記事ではセメント業界最大手の太平洋セメントへの志望動機の例文をあげ、その作成方法を解説しています。
太平洋セメントは、「セメント業界」という、非常に「地味」な産業として、専門分野を研究している学生以外は、就活の対象としていない傾向がみられます。「就活の答え」編集部は、その傾向を非常に残念なことだと思っています。
理系、文系を問わず、太平洋セメントの採用ページを見る価値はあります。特にインフラをはじめとして、産業や生活を支える仕事に「やりがい」を感じている方にはお勧めです!
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では早速、例文をみてみましょう。
Contents
太平洋セメントへの志望動機(例文):
志望動機を400字以内でお書きください
私は人々の暮らしの根底を支える仕事を軸に就職活動をしており、インフラ産業を研究していく過程で貴社に大きな興味を抱いた。小学卒業までジャカルタで暮らしており、道路をはじめとする脆弱なインフラと、高層ビルが次々と立っていくダイナミズムを同時に感じていた。帰国後に東日本大震災を経験したことも、人々の暮らしを支える仕事に就きたいという動機に繋がっている。業界研究の課程で、インフラを更に支えるセメント業界に行きつき、貴社の事業に大きな魅力を感じたことが志望のきっかけである。魅力の第一はセメントには代替物がなく、更に技術的発展の可能性があること。第二は廃棄物の活用を行い循環型社会の実現に貢献していること。第三は国内だけでなく海外への事業展開を行い、インフラ需要の大きな新興国等の事業に大きな可能性を感じた点にある。貴社の一員として成長することで、日本や世界の資源循環型社会の実現に貢献していきたい。(397文字)
当社でやってみたいことを200字以内で記入して下さい
将来は海外事業にて海外工場や販売をマネージする仕事に就きたいと考えている。それまでは国内工場や事業所等の現場にて、セメントビジネスを基礎から覚えていきたい。自分は粘り強さと集中力で物事を達成してきた。アジアの留学生と新たな交流事業も立ち上げ、周囲を巻き込んでいく経験もしてきた。この力を現場で活かし、人脈を作り実績を積み上げることにより、海外営業や事業展開をリードできる人材として成長していきたい。(199文字)
企業別志望動機を書き始める前の注意点
志望動機を書き始める前に、絶対に注意しておくべきポイントをあげておきます。
- 自分起点、事実起点で、具体的に、ポジティブに書くこと
- 志望動機を構成する要素(下記参照)はあらかじめ全て考え、揃えて、文章にまとめておくこと
- 志望動機単独で書かない事。ES全体の回答要求項目を精査して、そのバランスの中で何をどの質問に対してメインの要素として書いていくかを決めてから書くこと
- ES全体の質問の回答要求項目に対し、文字数制限やスペース制限に従って結論ファーストでドラフトをつくる
- ドラフトが完成したら、その上で面接の質問やつっこみ、会話のつかみを想定して志望動機の論理の一貫性が保たれているか、面接のつっこみ質問に耐えられるかを想定し、推敲、改善すること
- 完成したら信頼のおける友人や近親者に読んでもらい第三者のアドバイスをもらうこと。リクルーターにコンタクトできる場合は、見てもらえるかを相談してみること
- PC上で文字数制限内(少なくとも80%以上)で書き上げ、誤字・脱字をチェックし、手書きの場合はできるかぎり丁寧に、読みやすく清書すること
従ってES解禁前の準備段階では、本サイトや他の信頼のおける就活サイトで志望企業の過去のES(直近年度及びその前)のES内容を把握しておきましょう。
稀に企業の独自の考え方でESに「志望動機」を求めない会社も存在します。その場合でも志望動機は面接時に質問されると考え、以下に解説するロジックに従って作成しておいて下さい。
志望動機の作り方
志望動機の作り方のフローは「志望動機に、あなただけの説得力を増す方法」で詳しく解説しています。作成したことがない方は参照してください。
「就活の答え」では、学生に人気のある50の業界・業種別に志望動機の書き方を解説しています。これらの記事も実践的に具体的な企業名をあげ、過去のESの設問に従って50社の志望動機の作り方を解説しています。以下の記事も是非参考にして下さい。
この記事では、自己分析や企業研究を既に行い志望企業が定まった方が、具体的な企業を例に、どのように志望動機を書くべきかを解説します。
志望動機のロジック
「就活の答え」では、以下のチャートでの志望動機のロジックを推奨しています。「本当のあなた」の価値観から積み上げていくロジックです。
就活では、ESや面接では他の重要視される質問、例えば「学部・学科の専攻の理由」や「研究テーマとその詳細」、「自己PR」を中心として、「学生時代に最も力を入れて行ったことと、具体的な成果」、「自分自身の強みとそれを発揮したエピソード」、「自分の強みを当社でどのように生かせると思うか」、「周囲の人を巻き込んで行った経験と成果」、「あなたが挑戦したこと」や「困難だった経験」等々に対し、的確に答えていく必要があります。
そのため自分の性格や価値観に紐づいた経験や実績、事実、そこから見出されるあなたの強みと企業選択の理由を結び付けることは非常に重要なエクササイズになるのです。
このロジックの一貫性が「就活の軸」です。この軸の説得力があることがESや面接での戦闘力になります。
一部の学生は報酬や福利厚生の良さ、世間体、誰もが知っている大企業、人気企業、上場企業や格好よさげな業界や企業群から企業を選び、赤枠で囲った企業選択理由(志望動機)を考え、後付けでその下の構造を作っていく人もいます。そのやり方自体は理解できますが、お勧めはできません。
そのやり方で時間をセーブできるかもしれませんが、まともな企業であれば一部のハイパーな学生(学歴も実績、能力が志望企業の水準に比べてずば抜けて高い学生)しか通用しないでしょう。
あとは人手不足でどんな学生でも欲しい企業、ブラック企業、ブラックでなくても早期離職が当たり前の厳しい業界や企業であれば内定は取れるでしょう。しかしそれは皆さんが望んでいることではないはずです。
人事担当や面接官はその企業で評価されている人達です。企業研究の深さや動機の強さ、弱さ、適性はすぐに分かってしまいます。
また技術系職種志望の場合は特に、志望者の専攻や興味、研究に対する姿勢、実績は特に重視されます。
太平洋セメントの特徴
太平洋セメントはその源流企業の小野田セメントの誕生から130年の歴史を持つ企業です。長年国内のインフラを支え、オリンピックやリニア新幹線等の数多くの国家プロジェクトも支えてきました。
また廃棄物のリサイクルにも注力しており、社会的に非常に重要な事業を行っているBtoB企業です。
顧客と長期的な信頼関係の上に成り立っているため、「信用や誠実さ」は特に重視されます。書類選考や面接の際に「嘘」や「ごまかし」が分かってしまう、また「専攻や研究に対する熱意」がなければ選考は突破できません。
石灰石鉱山を数多く所有し、大規模なプラントを運用する危険を伴う事業、また製品の品質によって建築物の強度や耐用年数にも影響があるため、厳密な品質管理も重要です。
そのため選考に当たっては「人物」を厳しく見抜かれると考えてください。「誠意」、「誠実さ」は基本中の基本です。また物事を最後までやりとげる粘り強さも重視しています。
太平洋セメントへの志望動機(例文)の解説
それでは上記のロジックで積み上げた、太平洋セメントへの志望動機を再度例示しておきます。
この年の太平洋セメントの志望動機の設問は「志望動機」と「太平洋セメントでやってみたいこと」の二問に分けて記述するパターンになっていました。
伝えたい内容をどの質問で答えるか、これらの二問や自己PRを通じて一貫したものが伝わるように構成する必要があります。
再掲 志望動機を400字以内でお書きください
私は人々の暮らしの根底を支える仕事を軸に就職活動をしており、インフラ産業を研究していく過程で貴社に大きな興味を抱いた。小学卒業までジャカルタで暮らしており、道路をはじめとする脆弱なインフラと、高層ビルが次々と立っていくダイナミズムを同時に感じていた。帰国後に東日本大震災を経験したことも、人々の暮らしを支える仕事に就きたいという動機に繋がっている。業界研究の課程で、インフラを更に支えるセメント業界に行きつき、貴社の事業に大きな魅力を感じたことが志望のきっかけである。魅力の第一はセメントには代替物がなく、更に技術的発展の可能性があること。第二は廃棄物の活用を行い循環型社会の実現に貢献していること。第三は国内だけでなく海外への事業展開を行い、インフラ需要の大きな新興国等の事業に大きな可能性を感じた点にある。貴社の一員として成長することで、日本や世界の資源循環型社会の実現に貢献していきたい。(397文字)
要素の分解
結論:太平洋セメントへの志望動機
- 私は人々の暮らしの根底を支える仕事を軸に就職活動をしており、インフラ産業を研究していく過程で貴社に大きな興味を抱いた
- →志望者の就活の軸(例文の場合は「人々の暮らしの根底を支える仕事」を最初に述べ、結論ファーストとして読める工夫をする
- →技術職志望で、自分の専攻や研究テーマが太平洋セメントの事業に直接か関わっている場合は、本当の意味で「結論ファースト」で志望動機を書くことも可能。多くの就活生の場合、セメント業界や太平洋セメントに帰結する過程の中で「自分自身の動機」を書いた方が自然に読める
結論のRTB 1 (Reason to believe):
- 小学卒業までジャカルタで暮らしており、道路をはじめとする脆弱なインフラと、高層ビルが次々と立っていくダイナミズムを同時に感じていた。帰国後に東日本大震災を経験したことも、人々の暮らしを支える仕事に就きたいという動機に繋がっている
- 業界研究の課程で、インフラを更に支えるセメント業界に行きつき、貴社の事業に大きな魅力を感じたことが志望のきっかけである
- →何故「人々の暮らしの根底を支える仕事」→「インフラ業界」→「セメント業界」→「太平洋セメント」に帰結したのかを志望者独自の情報(例文の場合は帰国子女としての視点、価値観、東日本大震災での経験)で根拠づける
結論のRTB 2 (Reason to believe):太平洋セメントを選んだ理由
- 魅力の第一はセメントには代替物がなく、更に技術的発展の可能性があること。第二は廃棄物の活用を行い循環型社会の実現に貢献していること。第三は国内だけでなく海外への事業展開を行い、インフラ需要の大きな新興国等の事業に大きな可能性を感じた点にある
- →太平洋セメントならではの情報を志望者の視点、価値観と連結し、3点を抽出して記述
- →3点に意味があるのではなく、1点でも2点でも良い。ただし志望者起点で語ることは重要
まとめ:
- 貴社の一員として成長することで、日本や世界の資源循環型社会の実現に貢献していきたい
- →志望動機を成長というキーワードを使用して意欲の表現で文を結ぶ
- →冒頭の就活の軸と一貫性を伝えること
再掲 当社でやってみたいことを200字以内で記入して下さい
将来は海外事業にて海外工場や販売をマネージする仕事に就きたいと考えている。それまでは国内工場や事業所等の現場にて、セメントビジネスを基礎から覚えていきたい。自分は粘り強さと集中力で物事を達成してきた。アジアの留学生と新たな交流事業も立ち上げ、周囲を巻き込んでいく経験もしてきた。この力を現場で活かし、人脈を作り実績を積み上げることにより、海外営業や事業展開をリードできる人材として成長していきたい。(199文字)
要素の分解:
結論:太平洋セメントでやってみたいこと
- 将来は海外事業にて海外工場や販売をマネージする仕事に就きたいと考えている
- →志望者の特徴(経験や実績、強み)と一貫性が伝わるキャリアビジョンを結論ファーストで記述
- それまでは国内工場や事業所等の現場にて、セメントビジネスを基礎から覚えていきたい
- →志望者独自のキャリアパスに対する考え方でビジョンを補強する
結論のRTB(Reason to believe):
- 自分は粘り強さと集中力で物事を達成してきた。アジアの留学生と新たな交流事業も立ち上げ、周囲を巻き込んでいく経験もしてきた
- →志望者の強み、経験による根拠づけ
まとめ:
- この力を現場で活かし、人脈を作り実績を積み上げることにより、海外営業や事業展開をリードできる人材として成長していきたい
- →「自分の特徴や強み」の仕事への活かし方と成長への意欲を表現して文を結ぶ
まとめ
ESの設問のパターンによって答え方、書き方をアレンジする必要はありますが、志望動機のロジックツリーはあらかじめ作っておけるはずです。
あなたの軸が強ければ後は書き方を工夫すれば良いだけです。この志望者の志望動機の構成は、技術系の職種にも充分応用が可能です。要素の分解の→以下の要素を参考にしながら、自分のオリジナルを作っていきましょう。
また太平洋セメントのインターンシップに参加できた人は、その体験を通じての気づきや感動、太平洋セメントの社員から得られたものを理由にあげることで、実際の体験を通じた太平洋セメントならではを表現することも非常に有効です。インターンシップの厳しい選考を参加できた方はぜひ検討してみて下さい。
稀にESで志望動機の詳細な記述を求めない企業もありますが、面接では志望動機関連の質問は絶対にありますので、しっかり準備をしておきましょう。
ESの質問項目は毎年少しずつ変わる場合もありますが、志望動機のロジックツリーがしっかりできていれば問題ありません。
そして下書きができたら信用のおける第三者にみてもらい、ブラシュアップをしていきましょう。
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