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【就活の業界研究】 日本郵政グループ各社の事業の概況をみてみよう

就活初期にできるだけ幅広い業界・業種を理解するために、業界研究コンテンツを作りました。何故それが大事かに関しては以下の記事を参考にしてください。

「就活の答え」では就活生に人気の高い、日本郵政グループを、以下の項目に沿って簡潔に情報をまとめていますので活用してください。就活初期に、業界を素早く俯瞰して、日本郵政グループを志望するかどうかのイメージを固めていきましょう。

日本郵政グループの6つのポイントを押さえよう

  • 日本郵政グループのビジネスモデルを理解しよう
  • 日本郵政グループ各社の現状と課題・未来
  • 日本郵政グループ各社にはどんな仕事があるのか、職種の情報
  • 日本郵政グループ各社で働く人のモチベ―ションは何か
  • 日本郵政グループに向く人、向かない人はどういう人か
  • 日本郵政グループ3社の事業の現況
この記事では日本郵政グループの事業会社3社の概況を見ていきましょう。

日本郵政グループの「総合職」採用はグループ一括の選考を行い、選考に残っていく過程で日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のグループ3社への志望を選び、入社希望会社毎の選考が行われて採用が決まっていく選考方式をとっています。

3社はグループですが事業内容が異なるため、選考の初期段階で自分の意思を決めておく必要があります。

そのためには各社の詳細な研究が必要不可欠になりますが、その前に大枠の状況を解説しますので参考にしてください。

2023年3月期の各社の業績報告書より、就活初期段階で重要と思われる部分を簡潔にまとめます。

日本郵便株式会社

2023年3月期連結決算(2022年度)

売上収益 (百万円) 3,451,530
経常利益 (百万円) 79,477
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 62,111
包括利益(百万円) 31,156
従業員数(人) 193,285
外、平均臨時雇用者数 134,149
連結子会社 197社
持分法適用関連会社 11社

引用元:日本郵便株式会社法第13条に基づく書類:事業年度16期

日本郵便の業績概要

日本郵便の2023年3月期(2022年度)におけるグループ連結業績は、営業収益が3兆4,515億円となり、前期比5.6%の減収でした。

利益面業績は、営業利益は郵便局窓口事業が増益となったものの、郵便・物流事業及び国際物流事業の減益により、837億円(前期比43.5%減)、経常利益は794億円(前期比44.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は621億円(前期比33.4%減)となり、前年度からは減益という結果でした。

日本郵便の事業は、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業の3つのセグメントで構成されています。

  • 郵便・物流事業:
    • 郵便事業、印紙の売りさばき、お年玉付郵便葉書等の発行、物流事業、その他の事業
  • 郵便局窓口事業:
    • 郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務等、保険窓口業務等、物販事業、不動産事業(不動産賃貸業・管理業及び建物売買業、土地売買業に限る)、提携金融サービス、その他の事業
  • 国際物流事業:
    • フォワーディング事業、ロジスティクス事業

事業セグメント別の業績概要は以下の通りです。

日本郵便:2023年3月期セグメント別営業収益・営業利益

事業名 外部顧客営業収益(百万円) 売上構成比 セグメント利益
(百万円)
利益構成比
郵便・物流事業 1,986,390 57.6% 32,852 35.4%
郵便窓口事業 865,957 25.1% 49,311 53.1%
国際物流事業 599,182 17.4% 10,732 11.6%
その他事業
合計 3,451,530 100.0% 92,896 100.0%
セグメント間取引等、全社費用調整・消去 -9,101
計上額 3,451,530 83,794

2023年3月期決算での主要事業の重要なポイントをあげておきます。

郵便・物流事業:

2022年度の郵便物等の総取扱物数:

  • 郵便物:144億4,510万通(前期比2.8%減)
  • ゆうメール:31億1,290万個(前期比7.0%減)
  • ゆうパック:9億8,032万個(前期比0.8%減)(うち、ゆうパケットが4億2,594万個(前期比1.4%増))

郵便・物流事業の業績概要:

  • 営業収益:1兆9,978億円(前期比2.1%減)
  • グループの郵便・物流事業は、厳しい競争環境等によるゆうパック減に伴う荷物や年賀葉書収入の減収等が減収の主な要因
  • 営業利益:328億円(前期比67.9%減)
    • 営業費用の水道光熱費や新規子会社費用の増加に加えて特別一時金の影響により費用が増加したことが減益の主な要因

2022年度の郵便・物流事業に関するトピック

商品・サービス・オペレーション体系の一体的見直しとサービスの高付加価値化

  • 「手紙の書き方体験授業」支援の展開やスマートフォンを活用した年賀状サービスの提供等、手紙の楽しさを伝える活動の展開等による、郵便利用の維持活動を展開
  • 成長するEC市場やフリマ市場を確実に取り込むため、差出・受取利便性の高いサービスを提供するとともに、営業倉庫を活用した物流ソリューションの拡大、企業間物流の強化等による、収益の拡大

先端技術の積極的な活用による利便性・生産性向上

  • 郵便物の減少傾向が継続する中、成長市場である荷物分野へのリソースシフトを推進
  • 業務量に応じたコストコントロールの取組の深化やDXの推進等を通じた生産性向上
  • テレマティクス技術(移動体通信システムを利用したサービス)を用いて取得するデータを、社員の安全確保や配達の相互応援、郵便物の配達順路や配達エリアの見直しにも活用
  • AIによる配送ルートの自動作成等によるゆうパック等の集配業務の効率化や、AGV(無人搬送車)の導入等による局内作業の省人化・スリム化を推進
  • 他企業との連携により、効率の良い配送システムの構築や利便性の高い受け取りサービスの提供等を実現する新たな物流プラットフォームの構築への取り組み
  • 将来的な実用化に向けて、ロボティクス(ピッキング用ロボット等)や配送の高度化(ドローンや配送ロボット等)の試行・実験

尚、中期経営計画では郵便・物流事業においては荷物分野への経営資源シフトを進め、2024年から2027年の間に荷物と郵便の収益シェアを半々にする構想となっています。

郵便局窓口事業:

郵便局窓口事業の業績概要:

  • 営業収益:1兆740億円億円 (セグメント間の内部営業収益を含む、前期比6.8%減)
  • 営業利益:493億円 (前期比100.7%増)

2022年度の郵便局窓口業務に関するトピック:

お客さま本位のコンサルティング営業の取り組み

  • 2022年4月より、新しいかんぽ営業体制を開始
    • 日本郵便からかんぽ生命保険に兼務出向した高い機動性と専門性をもったコンサルタントと、多様なお客さまニーズに応える窓口社員が、それぞれの能力を最大限に発揮することで、専門性と幅広さを兼ね備えた「総合的なコンサルティングサービス」をグループ一体で実現を目指す体制
    • お客さまとの接点の中でニーズに応じた金融商品をご提案するための研修や資格取得支援等を推進
    • お客さまとの接点を強化・拡充すべく、青壮年層開拓のための法人・職域営業の拡大、コンサルティングアプリを含めた営業ツールの整備
    • 来局誘致等に取り組むほか、金融コンタクトセンターによる受付商品の説明・申込代行の体制構築
    • データ化したお客さまとの折衝記録の活用、オンライン面談の体制整備等

リアルな存在としての郵便局を活かした、郵便局ネットワークの価値向上

  • 様々な地方公共団体事務の受託の取り組みを推進
  • 地域金融機関等との連携強化や郵便局窓口と駅窓口の一体運営等、他企業と連携しながら、地域やお客さまニーズに応じた多種多様な商品・サービスを展開
  • お客さまの利便性を踏まえた店舗の最適配置や、地域ニーズを踏まえた窓口営業時間の弾力化を推進

不動産事業の拡大に向けた取組み

  • JPタワー等の賃貸事業を行うとともに、住宅地に所在する土地の有効活用事業として、住宅、保育所及び高齢者施設の賃貸事業を展開
  • 新たな収益機会の拡大や保有不動産の有効活用の観点から、広島駅南口計画、虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業及び大阪駅前不動産開発等を推進

国際物流事業

国際物流事業の業績概要:

  • 営業収益:5,994億円 (セグメント間の内部営業収益含む、前期比12.8%減)
  • 営業利益107億円 (前期比62.7%減)

2022年度の国際物流事業のトピック:

  • オーストラリアの子会社であるトール社では、業績不振の主要因となっていたエクスプレス事業について、2021年8月に譲渡が完了
  • 人員配置の合理化等により、残るロジスティクス事業・フォワーディング事業の採算性を向上させる取り組みを強化
  • シンガポール・ベトナム等、アジア域内で特に成長が見込まれる数か国と小売業界・工業界といったトール社の得意とする業種にフォーカスした事業展開を行うこと等により、豪州に依存した事業構造から脱却し、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換による成長へ向けた取組を加速
  • 海外のBtoB事業を中心に事業展開するトール社と、国内に顧客基盤を有する日本郵便のシナジーを強化し、コントラクトロジスティクス*を中心に国内のBtoB事業の拡大を進め、国内外での総合物流事業展開による一貫したソリューションの提供を推進
  • トール社グループの債務超過(トール社連結グループは2022年12月末時点で826億円の債務超過の状態)に関しては、日本郵便からの2,000百万豪ドル(約1,800億円)の追加出資によって、2021年1月末時点で解消
    • *コントラクトロジスティクスとは、売買に関与しない第三者が特定の荷主顧客と契約を結び、輸送や在庫・配送業務の効率運営を図るサービスのこと

債務超過を解消したトール社ですが、今後の状況によっては、日本郵便の国際物流事業は更なる見直しが必要になる可能性があり、就活で日本郵政、日本郵便を志望する皆さんは注意を払っておきましょう。

株式会社ゆうちょ銀行

2023年3月期の有価証券報告書より、就活初期段階で重要と思われる部分を簡潔にまとめます。

2023年3月期連結決算(2022年度)

連結計上収益(百万円) 2,064,251
連結経常利益 (百万円) 455,566
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 325,070
連結包括利益(百万円) -364,552
従業員数(人) 11,807
外、平均臨時雇用者数 2,900
連結子会社 9社
持分法適用関連会社 2社
持分法非適用関連会社 2社

ゆうちょ銀行の業績概況:

ゆうちょ銀行の2023年3月期(2022年度)の連結業績は、連結粗利益が、前連結会計年度比(以下、前年度比)2,356億円減少の1兆563億円という結果になっています。

利益面では、連結業務純益が前年度比1,787億円減少の1,300億円、経常利益は、前年度比353億円減少の4,555億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、3,250億円という結果(前年度比300億円の減益)となり、前期と比較して減益の決算となっています。

ゆうちょ銀行の中期経営計画:

ゆうちょ銀行グループをとりまく事業環境は、人口減少・超高齢化社会、地域経済の縮小、デジタル革命の進展、コロナ禍を受けた新しい生活様式への変化、超低金利環境の長期化など、大きく変化しています。

これらの変化を認識し、それらに対応するため、ゆうちょ銀行グループの強み・経営資源を踏まえ、現在は新しい中期経営計画(2021年度から2025年度の5ヵ年)を策定し、事業を展開しています。

中期経営計画期間を「信頼を深め、金融革新に挑戦」する5年間と位置づけ、次の5つの重点戦略を通じて、ビジネスモデルの変革と事業のサステナビリティ強化を目指す計画となっています。

  1. リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革
  2. デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上
  3. 多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化
  4. ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の変化
  5. 一層信頼される銀行になるための経営基盤の強化

具体例としては、以下のような施策を積極的に推進する計画となっています。

「リテールビジネス」「マーケットビジネス」「Σビジネス」という3つのビジネス・エンジンを通じて、お客さまとの信頼を深めるとともに金融革新に挑戦し、中長期的にサステナブルな収益基盤の構築を目指す方針です。

  • リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革:
    • 店舗ネットワークは維持しつつ、セルフ型営業店端末「Madotab」やATMの高機能化、通帳アプリ・家計簿アプリの機能拡充等、セルフ取引チャネルやデジタルチャネルの充実を図る
    • 顧客基盤を活用し、多様な事業者との連携により最適なサービスを提供する、オープンな「共創プラットフォーム」の構築
    • 各種デジタルサービスの本人確認機能等のセキュリティの強化、「通帳アプリ」の機能拡充や「家計簿・家計相談アプリ」の構築、UI/UX(ユーザーインターフェイス、ユーザーエクスペリエンス)の継続的な改善等
    • 「通帳アプリ」を中心にした、デジタル領域での顧客基盤の拡大

 

  • 資産形成サポートビジネスの推進:
    • 資産形成サポートサービスは、いつもの社員に相談できる「対面チャネル」と、かんたん・べんり・低コストの「デジタルチャネル」を提供
    • オンライン相談機能の導入・拡大や、「資産運用コンサルタント」の育成等によるライフプラン・コンサルティングを実施
    • 対面チャネルでは、2022年4月から窓口の投資信託商品ラインアップをゆうちょ銀行の客さまが理解しやすい商品に厳選し、投資初心者には主に積立投資を提案
    • 2022年5月からは「投資一任サービス(ゆうちょファンドラップ*)」のサービスを開始
      • *ファンドラップとは、投資一任契約に基づき、投資運用業者がお客さまから投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づきお客さまのための投資を行うに必要な売買・管理等までを行うサービス
    • 2024年からのNISA制度(少額投資非課税制度)の拡充も踏まえ、つみたてNISAを始め、お客さまへの提案力を強化
  • 新規ビジネスの推進
    • キャッシュカード一体型のブランドデビットカード「ゆうちょデビット」の取扱いを2022年5月から開始
    • 「信託・相続サービス」等、新たなサービスの開始に向けての準備を遂行

 

第2のエンジン「マーケットビジネス」:

  • 適切なリスク管理の下、市場環境の変化を踏まえつつ、国際分散投資を拡大
    • 長らく低位で推移してきた国内金利が上昇に転じる可能性も見据え、円金利ポートフォリオを機動的に再構築
    • リスク耐性強化の観点から、クレジット資産については引き続き投資適格領域を中心に投資
    • 戦略投資領域*については市場変動への耐性が相対的に高いデット(債券)系商品を中心に、優良ファンドへの選別的な投資を実行による安定的な収益確保
      • *戦略投資領域:プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域

第3のエンジン「Σビジネス」:

ゆうちょ銀行では、「投資を通じたゆうちょ銀行らしい新しい法人ビジネス(Σビジネス)」を2022年11月に公表しています。

Σビジネスは、「社会と地域の発展に貢献する」というゆうちょ銀行グループのパーパスに合致するとともに、全国津々浦々に展開する店舗ネットワーク等、グループの強みを活かした、新しい法人ビジネスのことです。

Σビジネス業務の3つ柱:

  1. 連結子会社のJPインベストメント株式会社を中核としたGP*業務の本格化により、全国の成長性のある中堅・中小企業に投資(資本性資金の供給)を行い、国内への資金循環を強化する
  2. 投資先のベンチャー企業等の便利な商品・サービスを、当行グループの店舗ネットワークを通じて全国各地で紹介・媒介(マーケティング)し、投資先企業等の成長を支援する
  3. ゆうちょ銀行グループの店舗ネットワークを活用して、全国各地の投資先候補の発掘(ソーシング)を実行
    • *GP業務:General Partnerの略。投資ファンドにおいて投資先企業の選定、投資判断等を担うファンドの運営主体

上記以外にも、デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上の取り組みや、ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理、組織風土改革等の、5つの重点戦略に沿った様々な施策を行っています。

就活で日本郵政グループ、ゆうちょ銀行を志望する皆さんは、金融業界におけるゆうちょ銀行の特殊性やポジショニングをしっかり理解しておくことは当然として、中長期の計画の概要を把握して、その方向性と自分自身のビジョンを結び付け、就活の軸や志望動機の作成に活かして下さい。

株式会社かんぽ生命保

2023年3期の有価証券報告書より、就活初期段階で重要と思われる部分を簡潔にまとめます。

2023年3月期連結決算(2022年度)

保険料等収入 (百万円) 2,200,945
資産運用収益 (百万円) 1,159,020
経常利益 (百万円) 117,570
親会社株主に帰属する純利益(百万円) 97,614
包括利益(百万円) 25,938
従業員数(人) 19,776
外、平均臨時雇用者数 2,865
連結子会社 1社

かんぽ生命の顧客数は1,938万人にものぼり、全人口の15%(2022年度実績)に相当しますが、そのうち50歳以上の顧客が約7割を占めています。従って既存顧客へのアップセルやクロスセル、新規顧客層である青壮年層の開拓が課題になっています。

また自社の商品以外にも、以下の保険会社の商品を受託販売しています。

・アフラック生命保険株式会社
・エヌエヌ生命保険株式会社
・住友生命保険相互会社
・第一生命保険株式会社
・東京海上日動あんしん生命保険株式会社
・日本生命保険相互会社
・ネオファースト生命保険株式会社
・三井住友海上あいおい生命保険株式会社
・明治安田生命保険相互会社
・メットライフ生命保険株式会社

中でもアフラック生命とは、2018年12月19日に、日本郵政株式会社は、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との間で、「資本関係に基づく戦略提携」に関する基本合意書を締結しており、日本郵便株式会社及びかんぽ生命においてアフラック生命保険株式会社との協業を進めています。

かんぽ生命の業績概況:

かんぽ生命は、前連結会計年度の2019年7月中旬までは通常営業をしていましたが、2019年7月中旬以降は積極的な営業活動を自粛、更に2020年1月から2020年3月までは業務停止命令を受けたことにより保険募集を停止ました。

就活生の皆さんも報道等によってご存知かと思いますが、その原因は保険募集時の不適切な営業によるお客様に不利益が生じる保険取り換えや、過剰な契約等の諸問題が発生したことによるものです。

2020年度も2020年4月以降、引き続き積極的な営業活動を自粛し、本格的な営業は2021年4月1日からの再開となっています。

従って、2023年3月期 (2022年度)の決算は、本格的な営業を再開した2年後の業績を表しているということになります。

かんぽ生命の2023年3月期における連結業績の概要は以下の通りです。

経常収益:

経常収益は、前連結会計年度(以下、前年度)と比べ746億円減少し、6兆3,795億円(前期比1.2%減)

経常収益の内訳:

  • 保険料等収入:2兆2,009億円(同9.0%減)
  • 資産運用収益:1兆1,590億円(同0.9%増)
  • その他経常収益3兆195億円(同4.6%増)

経常費用:

経常費用は、前年度と比べ1,638億円増加し、6兆2,619億円(前期比2.7%増)

経常費用の内訳:

  • 保険金等支払金:5兆4,849億円(同1.1%減)
  • 資産運用費用:2,464億円(同253.2%増)
  • 事業費が4,457億円(同15.5%増)
  • その他経常費用:740億円(同20.5%減)等

損益面の概要は以下の通りです。

経常利益:

経常利益は、経保有契約の減少等に加え、新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費等の増加及び有価証券売却損の増加等により、前年度に比べ2,385億円減少し、1,175億円(前期比67.0%減)

特別損益:

特別損益は、前年度に繰り入れとなっていた価格変動準備金について、当年度において戻し入れたこと等により、前年度に比べ1,447億円増加し、823億円の利益

契約者配当準備金繰入額:

契約者配当準備金繰入額は、前年度に比べ110億円減少し、620億円(前期比15.1%減)

親会社株主に帰属する当期純利益:

経常利益に特別損益を加減し、契約者配当準備金繰入額及び法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、976億円 (前年度に比べ604億円減少、前期比38.2%減)

この結果、かんぽ生命の2022年度における基礎利益は、1,923億4,600百万円(前期比55.2%減)、連結ソルベンシー・マージン比率*は1,009.1%となっており、高い健全性を維持しています。

*ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つ

かんぽ生命の中期経営計画:

かんぽ生命では、2022年3月期(2021年度)からの中期経営計画を、2021年5月に公表しています。

新たな中期経営計画では、かんぽ生命がお客さまから真に信頼される企業へと「再生」し、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう、お客さま体験価値を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、「持続的成長」を目指すことを大きな方向性として示しています。

お客様の体験価値とは、商品やサービスの機能・性能・価格といった「合理的な価値」だけでなく、購入するまでの過程・使用する過程・購入後のフォローアップなどの過程における経験といった「感情的な価値」の訴求を重視するものです。

生命保険会社としての社会的使命に応えるために、今一度「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」との経営理念に立ち返り、お客さまから真に信頼される企業へと再生するための様々な具体策を展開する計画となっています。なによりもそれが大前提であり、信頼を再び取り戻すことが優先する内容となっています。

再生に向けた取り組み:

信頼回復に向けた取り組みの継続:

  • 2022年4月より、専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実施
  • 営業社員の育成について、中長期的な視点で一人ひとりの能力を伸ばすため、一人ひとりの能力の伸びを定量的に評価する仕組みを構築
  • 経営課題である営業推進に会社を挙げて取り組むため、本社・フロントライン(お客様対応を行う営業部門)が一体で営業を推進する体制へと改革
  • 目標達成に向けた手段を本社から示すとともに、積極的に意思疎通を図ることで、本社とフロントラインの情報・考え方を常に一致させ、全社を挙げて営業を推進
  • お客さまの移行に沿った提案を更に増やすことにより、新契約の回復を通じて保有契約の確保を目指す

上記に加えて、かんぽ生命では、保険サービスの充実、リスク管理を高度化して資産運用の深化・多様化を図る計画を実行中です。

更にはICT活用によるサービス向上、事務の効率化による事務量の削減により、お客さま体験価値の向上を推進しています。

就活で日本郵政グループ、かんぽ生命を志望する方は、営業における不祥事の内容、原因を深く理解することは当然として、金融業界におけるかんぽ生命の特殊性、ポジショニングを深く理解し、もう一度社会的な存在意義に立ち返って志望の意思を固めていってください。

また強固な事業基盤を有しているとはいえ、顧客基盤が高齢化していく中で、事業を成長させていくのは簡単ではないことを認識して取り組みましょう

信頼回復は未だ途半ばであり、現状では新規契約数の回復は易しいものではありませんが、頭を柔らかくして、新たなサービスを創り出すような発想・姿勢も評価されると思います。

自分の言葉でかんぽ生命やその未来を語れるように、企業研究を進めて下さい。

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参考:日本郵政株式会社

2023年3月期連結決算(2022年度)

経常収益 (百万円) 11,138,580
経常利益 (百万円) 657,499
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 431,066
包括利益(百万円) -305,224
従業員数(人) 227,369
外、平均臨時雇用者数 142,436
連結子会社(含む海外) 218社
持分法適用関連会社(含む海外) 14社

日本郵政の事業セグメントは、「郵便・物流事業」、「郵便窓口事業」、「国際物流事業」、「銀行業」、「生命保険業」、「その他事業」に分かれています。その他事業は、グループシェアード事業、病院事業、宿泊事業、投資事業、不動産事業等で構成されています。

2023年3月期のセグメント別業績は、以下の通りです。

事業名 外部顧客経常収益(百万円) 売上構成比 セグメント利益・損失(百万円) 利益構成比
郵便・物流事業 1,963,562 17.6% 35,212 4.2%
郵便局窓口事業 84,509 0.8% 50,466 5.9%
国際物流事業 599,899 5.4% -723 -0.1%
銀行業 2,062,509 18.5% 455,537 53.7%
生命保険事業 6,374,579 57.3% 117,892 13.9%
その他 49,160 0.4% 189,802 22.4%
合計 11,134,222 100.0% 848,188 100.0%
調整額* 4,358 -190,688
計上額 11,138,580 657,499

*経常収益の「調整額」は、国際物流事業セグメントの経常収益の算出方法と連結損益計算書の経常収益の算出方法の差異等によるもの

*セグメント利益の調整額はセグメント間取引消去と調整額の合計

日本郵政の中期経営計画

日本郵政グループでは、グループの新たな成長に向けた企業価値向上を目指し、2021年度から2025年度を計画期間とした、新しい中期経営計画「JPビジョン2025」を発表しています。

少子高齢化やデジタル化の進展等、グループを取り巻く社会環境の変化を踏まえ、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指し、DXの推進により、リアルの郵便局ネットワークとデジタルの融合に取り組む方針を掲げています。

ユニバーサルサービスを含むコアビジネス(郵便・物流事業、銀行業、生命保険業)の充実強化に加え、不動産事業の拡大や、新規ビジネス等の推進により、ビジネスポートフォリオを転換させることで、グループの新たな成長の実現を目指す計画となっています。

中期計画の中で日本郵政グループが目指す姿は以下の通りです。

  • リアルの郵便局ネットワークとデジタル(デジタル郵便局)との融合による新たな価値創造
  • コアビジネス(郵便・物流事業、銀行業、生命保険業)の充実強化により成長と、ビジネスポートフォリの転換

上記によって、目指す姿:

お客様と地域を支える「共創プラットフォーム」

  • 「日本郵政グループの最大の強みである郵便局ネットワークにより、グループ内で一体的なサービスを提供していくとともに、これまでになかったグループ外での多様な企業との連携を行うことで、地域において生活するお客さまが、安全・安心で、快適で、豊かな生活・人生を実現することを支える」

目指す姿の実現に向け、5年間の投資方針や、効率化・生産性向上施策を具体的に示しています。

また、社会問題化した不祥事による信頼を回復へ向けた業務の適正化と改善、コンプライス水準の向上、『2050年カーボンニュートラル実現』に向けた取り組み等にも注力する計画となっています。

就活で日本郵政グループ企業を志望する皆さんは、企業ごとの研究を深めることは当然として、グループとしての大きな経営方針、事業戦略もしっかり理解しておきましょう。その上で、志望する企業と志望動機をしっかり固めていきましょう。

2021年3月12日付で公表された日本郵政グループと楽天グループの業務提携も中期経営計画の方針にそった具体的な合意でした。

日本郵政は楽天グループに1,500億円の出資をして取得した株式に関しては、その後の楽天グループの株価の下落により、2023年6月時点で850億円の減損処理が必要になったことで失敗という見方もできますが、物流やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの分野での協業効果が本格的に出てくることを期待する状況です。

具体的な成果がでるのはもう少し時間がかかるかもしれませんが、DXと共創戦略は日本郵政を志望する上での大事なキーワードです。

日本郵政は保守的なイメージを持っている方も多いかと思いますが、企業として持続可能な成長を続けていくためには、新しいものを採り入れ、常に変化をしていく必要があります。

柔軟な発想やチャレンジ精神が求められることを十分意識して就活に臨んで下さい。

まとめ

日本郵政グループの事業会社3社の現状を駆け足で解説してきましたが、各社特徴も違い、また事業も広汎に及んでいるので、日本郵政グループという漠としたイメージや巨大企業グループとしての安心感やブランドだけで就活を組み立てるのは危険です。

志望する場合はきめ細かく企業研究をして、自己分析と合わせて志望動機を練る必要があります。

理系の学生で専門分野のプロフェッショナル採用で勝負する場合でも、事業全体の構造や現状の経営戦略、未来に向けての事業計画をしっかり踏まえてエントリーしましょう。

日本郵政各社は存在が巨大な割には総合職の採用人数が少ないため、非常にハードルが高い企業の一つです。OB/OG訪問、インターシップへの参加も含めてしっかり対策を練っていきましょう。

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